「……本当に2ヶ月で地球圏に到達するとは。ミノフスキードライブか、地球圏の科学の発展は凄まじいな」
宇宙世紀102年、地球連邦政府から木星船団に贈られたネオ・ジュピトリスが地球圏に到達した。ネオ・ジュピトリスに乗っていた最高責任者クラックス・ドゥガチは、木星から地球圏へ2ヶ月程度で到達したことに感嘆の声を上げていた。
「ええ、本当に凄いですね。これでまだ発展途上の技術だと言うのですから驚きますよ」
「今後改良が進めば地球圏から木星まで片道1週間となるとか」
「半月程度で往復できるようになると?ううむ、信じられんな。だがこのネオ・ジュピトリスは片道2ヶ月で地球圏に到達した。本当に出来るかもしれん」
ドゥガチの傍には木星船団の幹部達もおり、ドゥガチと同じくミノフスキードライブの力を実感し感嘆していた。
「このネオ・ジュピトリスは今後の木星船団の主力となるでしょうね」
「うむ、2年後にはネオ・ジュピトリス2番艦が建造されるそうだし木星船団の未来は明るいな」
「以前地球圏であの若造のせいでジュピトリス級を1隻失った時はどうなるかと思ったが、何が起こるか分からんものだ」
ネオ・ジュピトリスは今後も2号機以降が建造される予定で、建造され次第木星船団に贈られる予定であった。
「ミノフスキードライブ搭載のネオ・ジュピトリスの情報が地球圏で発表されてから、木星船団への志望者が増加傾向にあります」
「従来なら片道2年掛かっていたのが、ミノフスキードライブの登場で2ヶ月にまで短縮されたからな。片道2年なら敬遠しただろうが、2ヶ月程度なら我慢できる者も多いさ」
「アナハイムからの大規模支援のおかげで、木星船団に余裕ができたのは地球圏にも知られている。労働環境も改善されているし志望者が増えるのも当然だな」
「フン、現金な奴等だ」
「まあまあ、志望者が増えるのは良い事です。人手は幾らあってもいいですからね」
木星船団の今後は明るいと幹部達は明るい顔をしていたが、ドゥガチは微妙な表情を浮かべていた。それに気づいた幹部の一人が尋ねる。
「如何されましたか?」
「いや、少しばかりな……最近の地球圏は妙だと思わんか?」
「妙、ですか?」
「ああ、以前とはあまりにも態度が違い過ぎる。いや、我々木星船団を支援してくれるのはいい事だが……少々気味が悪い」
「……仰る事はわかります。最近の地球圏の動きは少し不気味です」
「ええ、アナハイムが大規模支援をすると聞いた時は喜びましたが、冷静に考えて木星船団にそこまでする理由がわかりません」
「あれ程の支援をして採算が取れているのでしょうか?商人であるアナハイムがボランティア感覚で大規模支援をするのはおかしいですな」
ドゥガチの言葉に、木星船団の古参の幹部達は同意していた。以前の地球圏では考えられない態度に彼らが不気味に思っても無理はないだろう。
「考えすぎだと思いますが……戦争の後始末が終わってようやく地球圏も支援する余裕ができたのでは?」
「一年戦争では地球圏の総人口の半数が死亡し、その後のグリプス戦役では地球連邦軍の内輪揉めで疲弊していました。我々木星船団を支援する余裕がなかったのは別におかしくないかと」
「どちらにせよ地球圏からの大規模支援を断る余裕などありませんでした。地球圏が何を考えているのかはわかりませんが、少なくとも今の状況は以前と比較して遥かに改善されています。今後も彼らの好意を活かして木星船団を発展させるべきです」
それに対して若手の幹部達は木星船団は支援を断れなかったのだし、相手の意図が何であれ利用するべきだと主張した。
「…………うむ、そうだな。つまらないプライドに拘る必要はない。我々木星船団の発展の為に地球圏とは今後も良い関係であるべきだな」
ドゥガチは最終的に今までの恨みを水に流す事に決めた。自分の感情よりも木星船団の発展の方が重要だったからだ。木星船団のトップであるドゥガチの言葉を受けて古参幹部達も内心はともかく納得する事にしたのであった。
「そういえば以前地球圏でジュピトリス級を一隻失ったという事ですが、一体何があったのですか?確か当時の責任者はパプテマス・シロッコという名の男だったようですが」
「ああ、アイツか。自分を天才だと公言し、実際に抜きん出た才覚はあった男だが……何を考えたのかティターンズに参加してな」
「は?その男は何故地球圏の争いにわざわざ首を突っ込んだのですか?」
「それは私も聞きたいよ。まあ奴はもう死んでいる以上真意はわからんがな」
(ああ、あの件か。ジュピトリスを失ったのは大きな痛手だった……あの若造には目をかけていたのだがな。本当に何を考えていたのだあの男は?)
古参幹部と若手幹部の話を聞いて当時を振り返ったドゥガチは、シロッコの奇行について首を傾げるのであった。
「おまたせ!久々の地球はイイ感じだなぁ~ドレルとセシリーは大丈夫?」
「地球!地球だー!」
「ちきゅー!」
「2人とも元気で大丈夫そうですね」
その頃地球では
「いくぞセシリー!われにつづけー!プルプルプルー!」
「プルプルプルー!」
「2人とも危ないですよ」
「うんうん、元気があってよろしい!でも危ないから走っちゃダメだぞ?」
「師匠おかえりなさい!」
「おう、長らく留守番させて悪かったなクェス」
「いや本当にね……4年近く月に留まるとは思わなかったな」
「アッハイ。ごめんなさい」
NT育成機関に戻ったニコはクェスに留守番させていた事を謝罪していた。
「まあ師匠が元気そうで安心したよ。カロッゾさんもお元気そうですね。ドレル君達大きくなったね~」
「ええ、お久しぶりですクェスさん」
「クェスおねーちゃん!」
「ねーちゃ!」
クェスは時折月に行ってニコと会っていたためカロッゾやドレル達と面識があり、ドレル達もクェスには懐いていた。
「早速修行していく?」
「んまぁそうっスね。月でも一応修行はしてたからフォースの力は衰えてないけど、ちょっと身体が緩んだから鍛え直そうかと」
「お母さんお腹ぷにぷにー!」
「ぷにぷにー!」
「……ププッ、そうらしいね」
「アハハ、二人ともニコさんが傷ついてるからそこまでにしましょう」
「うん、おチビ達!人を傷つける言葉を言うのは……やめようね!でも子供だからね、しょうがないね」
子供達から事実を言われたニコは少し傷つきつつも修行を行う事にしたのであった。
「そうかぁ……ゾルタンの奴結婚するのかぁ。道理でここにいないわけだ。いやアイツが結婚するとか今年一番驚いたゾ」
「皆も驚いてたよ。お相手は大人しくて優しそうな人だったな」
修行の合間に近況を話し合っていたニコはゾルタンが結婚に踏み切ったり、ヨナ達が3人でハッスルした結果育児に翻弄されていると聞いてしみじみとした表情を浮かべていた。
「人は変わっていくもんだとはっきりわかんだね……」
「いや師匠がそれを言うの?師匠は変わり過ぎだよ、師匠が結婚したって聞いた時皆呆然としてたよ?」
「アイツら私の事を何だと思ってたんだ?」
「んー、変な言葉を垂れ流す変な人?」
「ククク……酷いこと言うな。まあ事実だからしょうがないけどさぁ」
過去の自分を思い返したニコは何も言い返せなかった。
「最近の地球圏は平和だよな~。私が老衰で死ぬまでずっとこのままで、いや孫か曾孫が老衰死する頃までは平和でいてほしいな」
「平和……平和かなぁ?最近変な組織が世間を賑わせているけど」
そう言ってクェスがテレビを点けると、テレビはちょうどいいタイミングでニュースを報道していた。
『……今の政府は救いようがないほど腐りきっている。政治家達の間では世襲制と血縁主義が横行し、そして官僚達は自分の利益の事しか考えていない。挙句の果てには屁理屈をこねて地球に居座り続けている!我々マフティー・ナビーユ・エリンは腐敗した地球連邦政府を憂い、ここに決起したのである!』
「こんなテロリスト組織が出てくるくらい治安が悪化してるけど……」
「ヘーキヘーキ、全然大丈夫だから!」
心配するクェスに対してニコは心配するなと笑う。
「未来視で確認してみたらいいぞ。一方的な展開で終わるから」
「……………あ、本当だ。ボコボコにされてるや」
未来視で確認したクェスは、マフティーが何もできず壊滅する未来を視て安心し修行を再開するのであった。
「僕もみてみたいー!」
「みたーい!」
「やだよ(即答)ドレル達には早すぎるからダメだ。お前達が大きくなって自分で視えるようになるまではお預けだ」
「アハハ……師匠の言う通りだから2人とも我慢しようね」
<人物紹介>
●プルツー(ニコ)
→家族を連れて久々に地球に戻ってきた。子供達から体がぷにぷにしてると言われてショックを受け修行に専念する。夜になったらカロッゾとハッスルする。
マフティーについては未来視で確認して出来レースだと知り興味を無くす。
●カロッゾ
→少し身体がぷにぷにしてるニコもいいと思っている。
●ドレルとセシリー
→仲良し兄妹。今日も兄妹仲良く「「プルプルプルー!」」と言っている。
ちなみにセシリーは12歳になって「プルプルプルー!」の口癖が直ったが、その後もテンションが上がったら口に出てしまいその度頭を抱えていた。一度ついた癖は簡単には直らないのだ。未来では年下の彼氏の前で「プルプルプルー!」と喋ってしまったセシリーは、その夜ベッドで悶絶していたのであった。
●クェス
→師匠から留守番を頼まれ数年の間頑張っていた苦労人。ドレルとセシリーの事は可愛がっている。ゾルタンまで結婚する事に衝撃を受けて少し焦っている。
●○ェダイ(仮)
→ゾルタンが平凡な女性と結婚を決意したり、ヨナが毎夜搾り取られていたくらいで平和だった。フォースの力を使いこなせる人間が増えてきたが、未来視については未だにニコとクェスだけしかできない。
●ドゥガチ
→最近の地球圏が態度を豹変した事に少し不気味に思っている。でも木星船団の発展の為なら気にしない事にした。原作より大幅に余裕ができたので精神状態は安定しており、木星帝国を建国する事はなくなった。
もしこの世界のドゥガチが原作の様子を視たら宇宙猫になって盛大に困惑するだろう。
●木星船団
→アナハイムからの大規模支援とネオ・ジュピトリスによって余裕ができた。労働環境が大幅に改善されたため地球圏からの志望者も増えて嬉しい悲鳴を上げている。
●ネオ・ジュピトリス
→ミノフスキードライブを搭載した期待の新型輸送船。木星まで片道2ヶ月まで短縮したスゴイ船である。建造するのは大変だったが、木星帝国誕生を阻止できるなら必要な出費だとアナハイムと地球連邦政府が頑張った模様。
●マフティー・ナビーユ・エリン
→正当な預言者の王(笑)が率いるテロリスト集団。創設者はクワック・サルヴァーだが、その正体は地球連邦政府に所属する官僚の一人。この世界のマフティーは地球連邦政府が地球にいる主だった反連邦政府組織を殲滅するために創設したテロリスト組織であり、ニコの未来視によって行動が完全に予測されているため地球連邦政府の掌で踊る道化でしかない。
最終的にはマフティーの下に集った反連邦政府組織達をロンド・ベルと地球連邦軍の精鋭達がボコボコにする事になっている。アムロ・レイ大尉が乗るΞガンダムも来るから慈悲はない、死ぬがよい。
ハサウェイ?ブライト艦長の息子さんはテロリストと関わらず家族と仲良く過ごしていますよ?ブライト艦長もマフティーを討伐したら退官を認められているのでテロリストの殲滅にやる気を出している。これが終わったら家族と一緒にゆっくりしよう、いやレストランを開いてもいいかもな!とウキウキしながら退官後の生活を考えている。
今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。