呪術廻戦のあの世は鬼灯の冷徹のあの世だったようです 作:久保サカナ
一年生トリオがわちゃわちゃしている光景からしか得られない栄養がある
◇虎杖悠仁の地獄ってなぁに?
「虎杖!地獄ってそもそもどういうところなのよ」
「俺も気になる」
ある時、俺たちが寮の談話室でくつろいでいると釘崎と伏黒がそんな話題を振って来た。
うん、関係者への説明も俺の現世派遣獄卒としての仕事の一環だよな。
「う〜ん、じゃあ2人ともあの世とか地獄の知識ってどのくらいある?」
「閻魔大王がいて嘘つきは舌を抜かれるのよね、あと三途の川を渡ると戻れないとか?」
「善人は天国行きで悪人は地獄行きになるんだろ?呪詛師は地獄だろうが呪術師はどっちだ?」
「うん、2人とも大体合ってるよ。もっと詳しく説明すると…」
ステップ1、まず死んだらどうなる?
「お迎え課っていう人間の生命活動を完全に停止させて魂を切り取り亡者をあの世に連れて行く専門の部署があって基本的にはその鬼たちに着いていけばOKなんよ、迷子になったり悪さをしている場合はあの世の警察が動くこともあるけどね」
「はい、質問」
「なんだ?伏黒」
「呪力無しで死んだ術師は呪霊になるだろ、その辺はどうなってるんだ?」
「あ〜良い質問!、ここで思い出して欲しいのは呪霊は負の感情の塊であって霊ってついているけど一般的に言う幽霊…つまり亡者とは違うんだよ」
虎杖も鬼灯様から習ったことだが、術師の呪霊とは「術師が死んだ時に発した負の感情が術式を持ってカタチになったもの、つまり呪霊ノットイコール術師本人」であるということだ。
なお、術師本人は鬼灯様の『没収徒(ボッシュート)』で術式を没収されてあとは普通にお迎え課に引き渡される。
残った呪霊をどうするかはこの世側…呪術界の管轄である。
ただし、禪院家みたいな裁判無しで地獄直行みたいな連中は火車さんという地獄の遣い(デッカくて強い猫)にドナドナされる。
「へぇ〜勉強になるねぇ」
いつの間にか入って来ていた五条に思わず顔を顰める伏黒&釘崎、しかし虎杖は嫌な顔一つせず説明を続けるのだった。
ステップ2、あの世に着いたらどうなる?
「俗に言う『死出の旅路』をしてもらうことになるね、まずあの世には10人の十王と呼ばれる裁判官が居て閻魔大王はそのうちの1人なんよ。その10人の王のところで順番にこの世で犯した罪を裁かれて亡者の行く末は決まるんだよ」
「じゃあ一般的な舌を抜くとか三途の川を渡るって何よ?」
「舌を抜くのはこれから説明するけど三途の川は『死出の旅路』の一環だよ、亡者はあの世の長い道のりを歩く羽目になるけどちゃんとズルせず歩けるか?っていうのも裁判における判断材料にされるの、大体全ての裁判が終わって行く末が決まるのに四十九日かかるから葬儀用語でいうところの『四十九日明ける前は〜云々』というのはここから来てるね」
「なるほど…ちなみにズルしたらどうなるんだ?」
「即座に地獄行きになります、あの世ってシビアよ?」
「仏教用語の浄玻璃の鏡ってナニ?」
「閻魔大王が裁判に使う鏡で亡者のこの世での行いや心の中を映せるの、俺のオススメはこの鏡を使われる前に自供することかな。十王様というかあの世は『嘘をつく奴』にはめっちゃ厳しいんだぜ?」
「「「なるほど」」」
ステップ3、裁判が終わるとどうなる?
「晴れて天国行きの判決が出た亡者は天国へ、地獄行きの亡者は罪に合わせておもてなしされるよ。中間くらいの亡者は予防接種のノリで舌を抜かれて、それでこの世の罪がチャラになって天国か転生かだね」
「なるほどね、舌を抜くのはやっぱり閻魔大王がやんの?」
「閻魔大王は忙しいから獄卒だね、主に芥子ちゃん先輩…かちかち山のうさぎどんがやってるよ」
「うさぎどんは地獄にいるのか?そもそもかちかち山って実話なのか?」
「実話だぜ。悪い狸を呵責…刑罰のことね、懲らしめたいらしいよ。スッゲー仕事人ならぬ仕事兎で俺も先輩として尊敬してる。ちなみに桃太郎も一寸法師もかぐや姫も実話で今はみんなあの世で暮らしてるよ」
そう言ってうさぎどんこと芥子ちゃん先輩の写真をスマホで見せる虎杖、かわいいけど…強そう!という感想を抱く3人。
伏黒の脱兎に紛れても一目で分かりそうな強者オーラを写真越しでもひしひしと感じる。
他のおとぎ人たちは忙しくて記念撮影する暇がなかったため写真はまだ無い。
「こないだ見せてもらった傑のムービーでは犯した罪に応じて行く地獄も決まるんでしょ?全部でいくつくらいあるの?」
「基本的には272箇所あるよ、時代に応じて増えたり減ったりしてる」
なお虎杖の増えたり減ったりしてる例
・像に酒を飲ませて暴れさせた罪…廃止されて動物虐待の罪に統合、ちなみにこの地獄に落ちた奴は1人だけ
・法螺貝で動物を驚かせた罪…法螺貝持ってる奴今何人くらいいんだよ!という理由で廃止、動物虐待の罪に統合
・現代ならではの罪、オレオレ詐欺やIT犯罪などは急ピッチで法改正が進んでいるが基本的には「詐欺」「泥棒」あたりの罪になる
「基本的には地獄も現世の時代背景に合わせて変わるってことよ、地獄のナンバー2の方がその辺すごく柔軟で優秀でね。俺もその鬼神様にヘッドハントされたんだ」
「そういえばお前まだ秘匿死刑されて四十九日明けて無いよな、あの世でどうなったんだ」
「スッゲー徳を積んだ亡者が死ぬと専用のお迎えが来て裁判抜きで天国行きになるんだよ、さっきの火車さんの逆だな。俺もソレの一種よ、誰もが一度は想像するイカン女教師みたいな女神様が迎えに来てくれたぜ」
「写真見せなさいよ!」
そう言ってスマホの荼吉尼様との記念撮影した映像を見せる虎杖、これには3人も誰もが一度は想像するイカン女教師だ…と納得。
「あと特級呪物を飲んで死んだから鬼神になっちゃってね、あくまで地獄の法律は『種族が人間の亡者』にのみ適用されるから他の種族…妖怪とか低級神とかは獄卒として労働になるんよ。あと善良な呪術師も獄卒ヘッドハント対象だぜ?ちなみに俺と九相図の兄貴たちは獄卒ヘッドハントされて裁判スキップ組ね」
「お前…!あの世でそんな事になってたのか…」
「呪霊はともかく妖怪とか見たことないんだけど」
「ほとんどの土地神様や妖怪といった『本物の人外』はとっくにあの世に移住してるんよ、それか上手く隠れているか、この世は人間と呪霊で住みにくくなっててね」
「世知辛いわねー」
「それでもお祭りの時とかは現世に降りて人間に混じってるよ?今度近場でやる時は案内するぜ?」
「「「何それ行きたい」」」
これで一通り話終わったかな、と考える虎杖。
そこに聞き慣れたバリトンボイスで「上手く説明出来ていますね、素晴らしい!」と拍手が響いた。
「鬼灯様!?いらしてたんですか!?」
「気づかないのなんてまだまだだね、悠仁」
「その辺はおいおいですね、それにしても獄卒一年生未満にしては説明が分かり易かったですよ」
「市役所の窓口対応だと思ってやってました」
「「「昔取った杵柄!?」」」
そうして虎杖と仲間たちの高専での日々は過ぎるのだった、なお2年生の先輩達にも同じ説明をすることになる模様。
米花町の市役所勤めで説明が下手くそだったり不親切な者は即座にコロコロされます。