魔法少女ホロウィッチ!~希望を守る光の巨人~ 作:川口・river・高史
「とりあえず、まず…『ホロウィッチ』って、何なんですか?」
「「輝く『ホロ』の魔法使いのことだけど。」」
「いやざっくり過ぎる!?」
「めっちゃデジャヴだにぇ…」
「んなたん達の時と同じなのら…」
見かねたかなたが、たからに説明を始める。
「えっと…まず『ホロ』っていうのは、人の中にある強い心の輝きのこと。
僕たちはその『ホロ』が特にすごいんだって。」
「かなた達は、『ホロキャス』の配信でみんなにユメを与えるスターだからね!」
「あ、それはわかります!
先輩たちの配信には、僕もいっぱい『希望』をもらいましたから!」
「その強い『ホロ』を持ってて、誰かを助けようとする人がなれるのが『ホロウィッチ』なんだって。」
「なるほど…それじゃあ、先輩たちも?」
「うん、コラプサーに人が襲われてるところが急にスマホに映って、危ない!って思ったら、スマホに吸い込まれて…」
「みこ達も『ホロキャス界』に来ちゃって、その人をコラプサーから助けたい!って思ったら、ホロウィッチになったんだにぇ。」
「『ホロキャス界』…それがあの世界のことなんですよね。
いったい、どういう世界なんですか?」
「『ホロキャス界』は、たくさんの人が『ホロキャス』を見て『楽しい』って気持ちから生まれた、夢と魔法の世界だよ。」
「ええぇ…『ホロキャス』で世界ができちゃったんですか…!?」
「それからアエルとラグに出会って、『ユメオチ』した人を助けるために力を貸してほしいってお願いされて、ホロウィッチとしてやっていくことにしたのら。」
「『コラプサー』と戦えるのは、『ホロウィッチ』だけなんだ!」
「ボクらも魔法は使えるけど、『コラプサー』を倒せるほどじゃないから。」
「『コラプサー』…先輩たちが戦っていた、あの怪物のことですよね?」
たからはマリンに問いかけ、マリンはそれに頷いて答える。
「元気をなくした人の心がホロキャス界に落ちちゃうことを『ユメオチ』っていうんだけど、そんな『ユメオチ』した人の不安な気持ちから生まれる怪物が『コラプサー』で、『ユメオチ』した人の『ホロ』を奪ってしまうの。」
「『ホロ』を奪う…もし、『ホロ』が全部奪われたら…?」
「…その人の心は、もう現実に帰れなくなっちゃう。」
「そんな…!」
「そうなる前に、沙花叉達がコラプサーを倒して、ユメオチしちゃった人を助けるってわけ。
コラプサーと戦えるのが沙花叉たちだけなら、ほっとけないし、やるしかないからね。」
「そういうことですか…」
「だから、たからにもホロウィッチとして、一緒に戦ってほしいんだ!」
「たからの『ホロ』も、かなたたちに負けないくらい強い力を持っているから!」
アエルとラグがたからに改めて頼み込み、かなたもたからの前に出て語り掛ける。
「僕からもお願い。
今回現れたやつは、僕たちだけじゃ勝てなかった…そしてきっと、今回だけじゃない。
これからの戦いでは、たからの力が不可欠になる…どうか、僕たちに力を貸してほしい。」
かなたの言葉に、みこ、ルーナ、マリン、シオン、クロヱもたからを見て頷く。
「…わかりました。
僕も、ホロウィッチやります!」
「たから…!」
「ありがとう!」
アエルとラグが、目を輝かせながらたからにお礼を言った。
「そういえば、たからの『ホロ』は『ウルトラマン』だったよね。
マリン先輩みたいにウルトラマンが大好きだからかなって思ったけど、『ホロ』は精神的なやつだったよね?」
クロヱが思い出したかのように、ラグに尋ねる。
「たからは、〝みんなに希望を届けたい″とという強い気持ちが、『ウルトラマン』の『ホロ』になったんだ。」
「希望を届けたい…たからがプロフィールにも書いてたね。」
「はい!僕はウルトラマンから、たくさんの『希望』を貰いました。
だから僕も、誰かに希望を届けられるような人になりたいって思っていたんです。
そんなときにホロキャスのことを、先輩方のことを知って、「これだ!」って…!
先輩方の配信で『希望』を貰って、僕も先輩方みたいに、『配信』でみんなに『希望』を届けたい!って思ったんです!」
「おぉー、嬉しいこと言ってくれるじゃん。」
「先輩として鼻が高いにぇー!」
「それで、『ホロ』の能力は、空を飛べる事?
かなたんと同じように空飛んでたよね。」
「はい!本当にウルトラマンみたいに飛べて…!
…もしかして、水中や宇宙も行ける?」
「うん、いけるよ!」
「マジ?もうかなたんの上位互換じゃん。」
「オイ!!」
「いやいやいやいや!流石にパワーはかなた先輩には敵わないですから…!」
「フォローになっとらんわ!!」
「あと、ステッキを武器にしなくても攻撃できてたのらね。」
「武器が変身アイテムだから、その分ステッキのままでも攻撃できるんでしょうか…?
あ、変身アイテムといえば…!」
たからはスマホを取り出し、画像を表示してみんなに見せる。
そこには、たからの「ウルトラホロライザー」の本体の色が黒になったアイテムが表示されていた。
「これって…たからの変身アイテム?
でも、色が違うね。」
「これは『ウルトラゼットライザー』っていって、僕の最推しのウルトラマンゼットの変身アイテムでして、この左側のスリットにメダルを1枚ずつ、3枚はめてリードすることで、3人のウルトラマンの力を借りた姿に変身できるんです!
それで、僕の『ウルトラホロライザー』にも同じようにスリットがあったから、もしかしたら、僕も皆さんの力を借りることができるのかも、って…!」
「なるほど…アエル、ラグ、どうなの?」
「うん、実はたからの『ホロ』にはもう一つ、〝みんなと絆で繋がりたい″っていう思いがあって、これがこのアイテムにも表れているんだ。」
「みんなの『ホロ』を借りることで、新しい力が使えるようになるよ!」
「なにそれ凄っ!?
でも、「ホロを貸す」って、どうやればいいんだにぇ?」
「そこは、これから皆さんと一緒に戦うことで、皆さんとの絆が深まれば、自ずと「その時」が来ると思います!」
「わー、ヒーロー物っぽい…」
「それから、もう一つ聞きたいことがあったんけど…
さっきのデカくなったコラプサーのこと『デマーガ』って呼んでたけど、もしかして…」
「…はい、あれは『熔鉄怪獣デマーガ』、ウルトラマンシリーズに出てくる怪獣です。」
「やっぱり…」
「かなたん、知ってたの?」
「いや…でも、たからが名前を知ってるっていうことは、そういうことなのかなって。」
「でも、なんでいきなりコラプサーが、ウルトラマンの怪獣に?」
「『いきなり』ってことは、コラプサーが怪獣の姿になったのは、これが初めてなんですね?」
「それどころか、そもそもあんなにデカくなったのが初めてだにぇ。」
「…ということは…何者かが手を加えた、と考えるのが自然ですよね…」
「手を加えた…まさか、マレフィクスが…?」
「マレフィクス…?」
初めて聞く単語が出たことで、たからはかなたに尋ねた。
「実は、『ユメオチ』や『コラプサー』を裏から仕組んでるやつらが居てね…それが『マレフィクス』。
『ロタ』と『フリスト』っていう、2人の妖精が、弱ってる人の心を『ユメオチ』させたり、『コラプサー』を操って『ホロ』を奪ってるんだ。」
「妖精が…!?
一体、何のために…?」
「それはまだわからない…だから、ユメオチした人をコラプサーから助けながら、マレフィクスを止めて、目的も聞き出す。
それが、今の僕たちの方針だ。」
「今までも、沙花叉たちに対抗するために、コラプサーを自分たちで操作して襲ってきたこともあったんだけど、それでも沙花叉たちが撃退してたから…」
「シオン達を倒すために、怪獣の力を使ってきた、ってことなのかな。」
「…それにしたって、展開が急ですね…
突然、ウルトラ怪獣を利用してくるなんて…」
「…一筋縄ではいかなそうね、これは。」
ホロキャス界にある、謎の洋館。
その広間で、2人の黒い妖精『ロタ』と『フリスト』が、魔法でデマーガとウルトラマンホロの戦闘の記録を見ていた。
そこへ、謎の人物が現れた。
「…あの力を使えば、ホロウィッチは敵ではなくなる…と言っていたが、これはどういうことだ?」
ロタが、近づいてきた赤いコート姿の男を睨みつけながら問いかけた。
「『想定外』というものは、得てして起こりうるものだ。
もっとも、『ウルトラマンが現れる』というのは、流石に想定外が過ぎたがね。」
男は肩をすくめながら答えた。
「しかし、私の言ったとおり、ホロウィッチは怪獣には対抗できていなかった。
であれば、ウルトラマンにさえ対処すれば、脅威は無いも同然と言える。」
男は懐から1枚のメダルを取り出し、ロタへ差し出した。
「対策は私の方で考えるよ。
君たちは引き続き、君たちの『目的』を果たすといい。」
ロタが無言でメダルを受け取ると、男はその場から立ち去った。
「…ロタ、奴は本当に信用できるやつなのか?」
「信用はしていない、だが奴のもたらす『力』が有効なのも事実だ。」
ロタは、渡されたメダルを見る。
「今は、この力でホロウィッチに対抗するしかあるまい。」
決意を固めるロタを、離れた場所から、赤コートの男が不易な笑みを浮かべながら見ていた。