現代の影   作:ただの片栗粉

1 / 33
影に生き、影に散る男

その夜、月明かりは不気味に赤く染まり、風に乗る竹林のざわめきが不吉な音を奏でていた。高田影道は静かに目を閉じ、体に巡る疲労と痛みに集中した。彼の胸を貫いた刃は、命の灯を奪い去るには十分すぎるものであった。

 

「儂の道もここまでか…」

 

呟く声は静寂の中に溶け、闇の中に消えた。影道は長い人生を振り返る。己の影の能力を駆使し数多の戦場を駆け抜けてきた。戦いに勝利しても、失うものが増えるばかりだった。

 

最期の瞬間、彼は影の能力を手にした運命を呪うことなく、ただ静かに受け入れた。刹那、彼の周囲に闇が渦巻き、影が彼を包み込むように舞い上がった。

 


 

「これは儂自身の物語だ。そう聞いてくれ。昔、江戸の世で影を操る剣士として生きていた。高田影道という名を持ち、戦い続けて80年、最後は敗北で幕を閉じた。」

 

「それがすべてだと思っていたんだ。だが、人生ってやつは、どうやら一度きりじゃないらしい。」

 

「正直なところ、最初は全然ついていけなかった。馬車じゃなくて車?瓦じゃなくてビル?それにスマホだと?だが、不思議と馴染んでいくもんだな。人間って案外、適応力があるらしい。」

 

「今の儂は"天津隆良"ってのが、儂の新しい名前だ。江戸の影道じゃなく、現代の隆良として生きる…それも悪くない。まあ、少なくとも周りから“普通”に見られるってのは楽だな。」

 

平凡な学校生活、スマホやインターネット、友人との交流──影道だった頃には想像もつかなかった日常を隆良として経験していく中、彼は次第に現代社会に馴染んでいく。だが、影を操る力だけは隆良の中で静かに息づいていた。そして、その力が再び呼び起こされる時が訪れる。

 

「そして儂...いや俺は隆良として成人もして真っ当に働いている。それがここ、ホロライブという会社で運営する側として働いている。」

 

すいせい「な〜に呟いてんの?」

 

俺がデスクでボソボソ喋っていると後ろから見慣れたタレントが1人やってきた。このホロライブの1タレントで今人気のアイドル"星街すいせい"だ。その彼女がが満面の笑みでこちらを見ている。

 

すいせい「いやー...今日の打ち合わせ、助かりました!本当にいつもありがとうございます!」

 

「いや、俺なんかより、すいせいさんのアイデアがすごかったですよ。あの瞬時の判断力は、やっぱりプロだなって思いました。」

 

俺はは軽く頭を下げる。内心では、自分がホロライブに関わる日が来るとは思ってもみなかったが、こうして彼女たちの努力を間近で見ると、不思議と心が動かされるものがあった。

 

すいせい「プロって言われると照れるなー。でも天津さんって、なんか落ち着いてるよね。年上だからかな?」

 

「まぁ、こう見えて少しばかり年は食ってますから。」

 

江戸の記憶を含めると、百年以上生きてるとは言えないがな。

 

すいせい「ところで、この後時間あります?よかったら一緒にご飯でもどうですか?」

 

すいせいの提案に俺はは少し戸惑った。タレントとスタッフが気軽に出かけるのは珍しい。だが、その屈託のない笑顔に断る理由も見当たらない。

 

「いいですよ。ちょうど腹も減ってました。」

 

すいせい「決まり!それじゃ、近くに美味しいオムライスのお店があるんだけど、どう?」

 

「良いですね、少し待っててもらえると助かります。」

 

そう行って退勤する時間だったので退勤し、彼女の所へと向かった。

 


 

夜の街を歩きながら、二人は世間話を続けていた。

 

「それにしても、すいせいさんって本当に元気ですよね。仕事の後なのに、全然疲れた感じがしない。」

 

すいせい「え?そんなことないよ!ただ、楽しいことしてると疲れなんて吹っ飛ぶだけ。天津さんだって、好きなことしてる時って疲れなんて忘れない?」

 

「俺は、そうだな…。戦ってる時が、好きなことと言えるのかもしれない。」

 

すいせい「え、戦う?天津さんって、趣味で格闘技でもやってるの?」

 

「いや、まぁ、そんなところです。」

 

苦笑いで言葉を濁す。影の力について話すわけにはいかないし、あの時はあの時で気が狂うくらい戦っていた記憶しかない。逆に今は平和すぎる。

 

その時、異様な空気が周囲を包んだ。街灯が一瞬、チカチカと明滅し、不自然な音が聞こえる。

 

すいせい「…何か変じゃない?」

 

すいせいが足を止めた瞬間、通りの影から巨大な怪物が現れた。体は漆黒に染まり、牙を剥き出しにしたそれは、明らかにこの世のものではなかった。

 

「すいせいさん、後ろに下がって。」

 

すいせい「え、なにこれ!?どういうこと?」

 

「説明は後だ。とにかく、俺に任せて。」

 

俺は静かに影を呼び起こした。手を動かすことなく、その足元から影が立ち上がり、剣の形を作り出す。

 

「まさかこんなところで力を使うことになるとはな…。」

 

苦笑しながらも、その目は鋭く怪物を見据えていた。

 




影踏み
高田影道個人の影能力
・影踏み(足音を消して相手との距離を詰める移動技)
・影縛り(相手の影を操り移動を不可能にする)
・�����
・�����
・影(影を好きなように操る)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。