休日の午前、本をめくる音だけが部屋に響いていた。たまにはこういう穏やかな日も悪くない...
そう思いながらページを進めていると、携帯が鳴った。着信画面に表示されたのは「春先のどか」の名前。
のどか「天津さん、大変です! 事務所周辺にオークらしきモンスターが現れました!」
「モンスター……ですか?」
のどか「はい! すでに風真いろはさんが対応していますが、数が多くて苦戦しているみたいで……!」
「わかりました。すぐに向かいます。」
本を閉じ、急いで玄関を飛び出した。事務所まではさほど遠くない。走りながら、状況を整理する。いろはさんが対応しているが、苦戦中。しかも複数。厄介な相手だ。
事務所前に到着すると、すでに戦闘は始まっていた。いろはさんが刀を振るい、オークたちを相手に奮闘している。だが、数の多さに押されつつあるようだった。
いろは「天津殿! 到着でござるか!」
「お待たせしました。ここからはお任せください。」
いろは「助かるでござる……っ!」
最後に一体を斬り伏せると、風真いろはさんはすぐさま事務所へと退いた。その場に残されたのは、俺と複数のモンスターたち。
「さて、やりますか。」
影を足元に広げ、じりじりと間合いを詰める。モンスターたちは俺に狙いを定め、一斉に襲いかかってきた。
「影踏み。」
足音を消し、一瞬で距離を詰める。予想通り、オークたちは対応が遅れた。その隙を突き、影を刃の形に変えて斬りつける。だが、手応えがない。
「硬いな……。」
刃が表面で弾かれた。表皮が異様に強固なタイプか。となると、決定打は核を狙うしかない。
オークの一体が大きく腕を振り下ろしてくる。回避が間に合わない――そう思った瞬間、影を防壁のように広げて衝撃を和らげる。
「影縛り。」
オーク達の影を絡め取り、動きを封じる。数が多すぎるため完全には抑えられないが、一時的な足止めにはなる。
「核の位置は……そこだな。」
赤く光る核が、オーク達の体内にかすかに見える。やはり、これを破壊しないと倒せない。
「影斬り!」
影を刃の形に変え、核へと一直線に突き刺す。だが、核の周囲に硬質な膜が張られており、攻撃が届かない。
「防御が厄介だな……なら、崩すしかないか。」
影を操り、分身を作り出す。一斉にオークを囲み、様々な角度から攻撃を仕掛ける。何度も何度も斬りつけ、少しずつ防御を削る。
オークたちは怒り狂い、無秩序に暴れ始めた。その勢いに押されそうになるが、俺も負けるわけにはいかない。
「影の刃、貫け!」
影を槍の形に変え、渾身の力を込めて突き刺す。防御が崩れた核へ一直線――貫いた瞬間、オークは激しくのたうち回った。
「あと少し……。」
核がひび割れ、ついに砕け散る。オークの体が崩れ落ち、黒い霧となって消滅した。残る数体も、同じ手順で次々に倒していく。
そして――すべてのオークが消えた頃、ようやく事務所の前には静寂が戻った。
のどか「天津さん、大丈夫ですか!?」
「問題ありません。すべて片付きました。」
のどか「すごい……あんなに強いオークたちを、たった一人で……。」
戦闘の痕跡を見つめながら、のどかさんは呆然とつぶやく。事務所のスタッフたちも、戦闘の衝撃が冷めやらぬ様子だった。
そして、その日のうちに事件の様子がネットで拡散され、すぐにニュースとなった。
『ホロライブ事務所前での異常事態、スタッフらしき男がエリートオークを撃退』
映像は近くの通行人が撮影したらしく、俺が影を操って戦う姿がしっかりと映っていた。
――これで、隠しようがなくなったな。
俺の力が世間に知られるのも、時間の問題だった。
ニュースでは、俺が戦ったモンスターについての追加情報が報じられていた。
ニュースキャスター「本日、ホロライブ事務所付近で確認されたモンスターは、通常のオークよりもはるかに強力な『エリートオーク』と呼ばれる個体であることが判明しました。専門家によると、エリートオークの出現は『モンスタースタンピード』――つまり、大量のモンスターが街へと押し寄せる現象の前兆である可能性があるとのことです。」
エリートオークか。確かに、あの硬さとパワーは普通のオークとは比べものにならなかった。だが、それ以上に気になるのはニュースが指摘していたモンスタースタンピードだ。
ふと、頭の中に過去の記憶がよみがえる。
江戸の街が、燃えていた。
家屋は崩れ、人々の叫び声が響き渡る。その中を埋め尽くしていたのは無数の異形の怪物たち。鬼、妖、魔物……そのすべてが怒涛の勢いで押し寄せ、人間たちを蹂躙していた。
俺は、その中心で戦っていた。
「影縛り!」
叫びながら影を操り、怪物たちの動きを封じる。しかし、一体を倒せば新たな一体が現れる。まるで終わりの見えない戦いだった。
横を見ると、戦友・風真源十郎が刀を振るい、次々と怪物を斬り伏せている。
源十郎「影道! こりゃあキリがねぇな!」
「わかってる!喋る暇あるなら斬れ!」
源十郎「いつになっても真面目だなぁ!風真家一刀流奥義!旋風断空*1!」
源十郎が放った風真家奥義は風の渦をまといながら斬撃を繰り出し、前方のすべてを切り裂く奥義、こっちも吹き飛ばされそうな事をつゆ知らず、配慮の欠けらも無い源十郎だ。
そして俺たちは最後の最後まで戦った。だが、江戸の街は半壊し、多くの人々が命を落とした。
あれからどれほどの時が経ったのか。今、俺は現代に生きている。だが、また同じことが起きようとしているのかもしれない。
「……まずいな。」
口に出た言葉は、誰に向けたものでもなかった。
エリートオークの出現。それがモンスタースタンピードの前触れであるなら、すぐに対応を考えなければならない。
俺は携帯を取り出し、のどかさんに連絡した。
「のどかさん、さっきのニュース見ましたか?」
のどか「はい、もしかしてモンスタースタンピードの事ですか?」
「そうです、もし起きた際タレントに万が一被害があるとこっちとしては重要な事態なので今のうちに上の人達に報告をと、」
のどか「私も今、そう思ってたので明日上に報告します。」
のどかさんがそう言い、電話を切った。あの時のモンスタースタンピードと同じなら東京はほぼ大崩壊になる可能性が高い。昔よりも化け物達は確実に力を上げていた。
これが最後のストックなので次いつ投稿されるかは本人でも分からないので少々お待ちください。
なるべく早めに投稿します。