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俺の家でこんなに人が集まるのは、もちろん初めてだ。
ラミィさんはすでにくつろぎモードで、俺のソファにふわっと腰を下ろしている。
ラミィ「人の家で飲むお酒さいこぉ〜!!」
俺が何か言おうとすると、すいせいさんが苦笑いしながら肩をすくめた。
すいせい「ごめん、呼びすぎた!」
「いや、呼びすぎたって……。」
フレア「まぁまぁ、たまにはこういうのもいいじゃない?」
フレアさんが優しくフォローしてくれるが、俺の心はまだ追いついていない。
そらさんがテーブルの上に持参した差し入れを並べながら、にこやかに言った。
そら「天津さん、お邪魔してます~!あんまり無理しないで、楽しみましょうね♪」
「いや、まぁ……楽しむのはいいんですけど、これって……俺の家ですよね?」
すいせい「そうだよ?」
すいせいが開き直った顔で言う。
すいせい「落ち込んでる天津さんを元気にする会ってことで!」
「いや、そんな会を開いてくれとは頼んでないんですが……。」
すいせい「頼まれてなくてもやるんだよ!」
「強引すぎますよ……。」
俺はため息をつきつつ、テーブルの上に並べられた酒とおつまみの量を見て、少し頭を抱えた。
「しかし、なんでこのメンツなんですか?」
すいせい「その場にいた人を適当に連れてきた!」
「それでよくこんな個性強めな人たちが集まりましたね……。」
フレア「まぁまぁ、気にしない気にしない!」
フレアさんが俺の肩を軽く叩く。
AZKiさんはグラスを持ちながら微笑んでいた。
AZKi「天津さん、せっかくだから飲みませんか?」
「……まぁ、これだけ集まったなら飲まないわけにはいかないですよね。」
俺は観念してグラスを手に取る。
「かんぱーい!」
そらさんの掛け声で、俺の家にしては異例の飲み会が始まった。
そら「それで天津さん、最近どうなんですか?」
「最近……ですか?」
そら「うん、ほら、お仕事とか大変そうだなって思って」
「まぁ、色々ありますけど……今は在宅勤務になったんで、少し落ち着いてる感じですね。」
ラミィ「在宅勤務、いいなぁ~!朝ギリギリまで寝てられるじゃん!」
すいせい「それは違うでしょ。天津さんは今、仕事しながらも大変な状況なんだから。」
ラミィ「えぇ~?でも実際、ちょっとくらいはダラダラしてるでしょ?」
「いや、それが意外と集中できなくてですね……。」
フレア「まぁ、オフィスと違って家だと空気も違うしね。でも、天津さんって結構真面目だから、適度に息抜きもしないとだよ?」
「そうですね……まぁ、今日は十分すぎるくらいの息抜きになりそうですが。」
すいせい「でしょ?だから感謝して?」
「いや、感謝はするけど、急に家に人を呼ぶのは……。」
すいせい「ほら、細かいことは気にしない!」
AZKi「ふふ、すいちゃん、相変わらずだね。」
すいせい「まぁね!」
そら「でも、せっかくだし、ゲームとかしない?」
ラミィ「おお!それいいね!何する?」
すいせい「じゃあ、トランプとか?」
フレア「いいね、ババ抜きとか盛り上がりそう。」
AZKi「じゃあ負けた人は何か罰ゲームにしましょうか?」
「罰ゲーム……?」
すいせい「うん、そうだね。せっかくだし、天津さんにピッタリの罰ゲーム考えよう!」
「ピッタリってなんですか……?」
ラミィ「うーん、天津さんっていつも敬語だよね?」
フレア「あ、いいじゃん。じゃあ、負けたら『敬語禁止』ってことで!」
すいせい「それいいね!天津さん私だけ敬語抜きにしてるのも違和感だし!」
「いや、それは……。」
そら「決まりだね!」
こうして、俺にとっては少々きつい罰ゲーム付きのババ抜きが始まるのだった。
テーブルの上にトランプが広げられ、ババ抜きが始まった。
ラミィ「よーし、負けないぞー!」
すいせい「天津さん、負けたらちゃんとタメ口で話してね?」
「いや、そもそも負ける気はないんで……。」
フレア「そういうこと言う人がだいたい負けるんだよね~。」
俺は慎重にカードを引きながら、内心かなり警戒していた。罰ゲームとはいえ、タメ口で話すのはなんだか恥ずかしい。普段の話し方が染みついている分、意識しないと直せないだろう。
そしてゲームは進み……
AZKi「やった、上がり!」
フレア「私も!」
そら「ふふ、私も~。」
すいせい「おっと、やばいな……。」
気づけば、残っているのは俺、すいせいさん、ラミィさんの三人。
ラミィ「天津さん、これはやばいんじゃない?」
「いや、まだわかりませんよ。」
俺は手札を見て、冷静にババを押し付けるタイミングを探る。
すいせい「天津さん、ババ持ってるでしょ?」
「……さぁ、どうでしょうね。」
しかし、運命は非情だった。数ターン後──
ラミィ「よし、あがり!」
すいせい「やった、私も!」
「……え?」
すいせい「はい、天津さん、負け決定!」
ラミィ「うわぁ~、ほんとに負けた!タメ口確定!」
フレア「これは楽しみだね~。」
そら「天津さんのタメ口、どんな感じなんだろ?」
AZKi「さぁ、ちゃんとやってもらいましょうか?」
「いや、でもこれは……。」
すいせい「約束は約束でしょ?はい、まずは私にタメ口で!」
「…すいせい、酒、取ってくれる?」
すいせい「そうそう、それくらいの感じ!」
そら「なんだか新鮮!」
AZKi「うんうん、ちょっと面白いかも。」
「……くそ、やりにくい。」
ラミィ「いつかホロメン全員に対して敬語やめてね?」
「マジか……。」
すいせい「よーし、それじゃあこの調子で飲み会再開だね!」
結局、妙に気恥ずかしい時間を過ごすことになったのだった。
ラミィ「てかさ!すいちゃんと天津さんいつの間に泊まってたの?」
フレア「あ、確かに。もしかして社内恋愛?」
すいせい「違う違う!!」
「勿論違う」
AZKi「でも2人結構相性いい感じはするよ?」
そら「確かに、収録とかも天津さんはすぐすいちゃんの要望を取り入れてるもんね?」
「それは......仕事だからですよ。すいせいに限らず、他のタレントの意見があればなるべく取り込みたいので。」
すいせい「ほらね?天津さんはちゃんと仕事としてやってるだけだから!」
ラミィ「えー?でも天津さん、すいちゃんが困ってるときっていつもすぐ助けてくれるじゃん?」
フレア「うんうん、それに結構プライベートでも仲いいよね?」
AZKi「そうそう、前にも泊まってたんでしょ?」
そら「なんだかお似合いだね~。」
すいせい「ちょ、ちょっとみんな!そういうんじゃないって!」
俺もこの流れに少し困惑する。
「……いや、本当にそういうんじゃないんで。」
フレア「まぁまぁ、そういうことにしとくよ。」
ラミィ「絶対怪しいなぁ~。」
すいせい「だから違うってば!」
すいせいさんは若干頬を赤らめながら、ぐいっとジュースを飲み干した。
そら「天津さんもすいちゃんも、どっちも素直じゃないですね。」
「……何も隠してないんですが。」
AZKi「でも、こうやってみんなで集まるのも楽しいですね。」
フレア「確かに。仕事の話ばっかりじゃなくて、たまにはこういう時間も必要だよね。」
すいせい「そうそう、天津さん、落ち込んでる場合じゃないって!」
「まぁ……そうですね。」
少し前までの悩みが、今は少しだけ遠く感じる。
こうして、俺の家での賑やかな夜は、まだまだ続いていくのだった。
暗い部屋の中、静かに札を並べる。
机の上にはすでにいくつもの呪言の札が置かれ、その一枚一枚に淡い光が宿っていた。
天川正「……順調ですね。」
彼は手にした札をひらりと宙に投げる。すると、札は壁に貼りつき、そこから呪紋が淡く浮かび上がった。まるで生きているように蠢くその文字列を見て、天川正は満足げに頷く。
部屋の奥では数人の影が動いていた。彼の指示で札を配置する者、呪言の効果を確認する者、そして別の場所で準備を進める者。すべては、"モンスタースタンピード"のための計画の一環だった。
部下A「天川様、各地への札の配置、完了しました。」
天川正「よろしい。その札が機能すれば、いずれモンスターたちの動きは制御下に置ける。……あとは、天津隆良がどう動くかですね。」
彼は封印の札を張ったときの手応えを思い出し、口元を僅かに歪めた。
天川正「まさか、あの男がここまで鈍っているとは。封印を張るのは拍子抜けするほど簡単でしたね。」
部下B「……ですが、天津隆良はかつて"影"を操った者。いずれ封印を破る可能性も。」
天川正「ええ、わかっています。しかし、その時こそ──"試練"の始まりです。」
彼の指が札をなぞると、それは淡く光りながら彼の手に吸い込まれるように消えた。
天川正「モンスタースタンピードの混乱の中で、天津隆良...いえ、高田影道はどう動くか……そして、封印されたままの彼に何ができるのか。楽しみにしていますよ。」
彼の瞳には、静かな狂気とも言える光が宿っていた。
時間は夕方を過ぎタレントたちが次々と帰っていき、部屋の中はようやく静けさを取り戻した。テーブルの上には、飲みかけのグラスや食べ残しのつまみが散乱している。
俺は軽く伸びをしながらため息をついた。
「……なんかすごい時間でしたね。」
すいせい「そうだねー。天津さん、疲れた?」
ソファに腰掛けたすいせいは、少し疲れているのか、いつもより力の抜けた表情をしている。
「まぁ……楽しくなかったわけじゃないですけど。」
すいせい「ふふ、じゃあ成功ってことで。」
彼女はコップを軽く揺らしながら、満足げに微笑んだ。
俺は片付けに取りかかろうと立ち上がる。
「さて、片付けますか。」
すいせい「えー、今やらなくてもよくない?」
「いや、これ放っておいたら明日の俺が困るんですよ。」
そう言いながらグラスを手に取ると、すいせいはソファに横になり、腕枕を作るようにして俺を見た。
すいせい「ねぇ、天津さん。」
「なんです?」
すいせい「今日とこの間の罰ゲーム、覚えてる?」
「……敬語をやめる、でしたっけ?」
すいせい「そそ。それ、ちゃんとやってくれてないよね?」
「いや、それは……。」
すいせい「ほら、今やってみてよ。」
俺は少し言葉に詰まる。普段から丁寧に話すのが癖になっているせいで、急に敬語を崩すのは意外と難しい。
「……すいせい。」
すいせい「うん?」
「お前、ほんと自由すぎるだろ。」
すいせい「お、いいじゃんいいじゃん!その調子!」
彼女は満足げに笑いながら、ソファの上で軽く足を揺らす。
「……なんか、すごい違和感あるな。」
すいせい「すぐ慣れるって。てか、天津さんがこう話してるの、なんか新鮮でいいね。」
「そうか?」
すいせい「うん、ちょっと距離縮まった感じする。」
「そりゃまぁ、今までずっと敬語だったからな……。」
俺はテーブルの上を片付けながら、すいせいを見る。彼女はまだソファに寝転がったまま、俺の方をじっと見つめていた。
「……どうした?」
すいせい「いや、なんか……こうやって天津さんと二人でいるの、ちょっと落ち着くなって。」
俺は手を止めて、少し考える。
「そうか。」
すいせい「うん。」
すいせいはソファに座ったまま、コップの中の飲み物を軽く揺らしながら俺を見た。
すいせい「ふぅ……やっと静かになったね。」
「まぁ、あれだけ騒がれた後だと、逆に静かすぎて違和感あるけどな。」
すいせい「でも楽しかったでしょ?」
「まぁ……そうだな。」
すいせいは満足げに微笑む。俺はグラスの水を一口飲みながら、ふと気になっていたことを聞いた。
「そういえば、何で今日はあんなにみんなを呼んだんだ?」
すいせい「え、だから言ったじゃん。天津さんが落ち込んでるかなーって思って。」
「別に落ち込んでるわけじゃ……いや、まぁ、ちょっとは気にしてたけど。」
すいせい「でしょ?だったら少しくらい賑やかな方がいいかなって思ってさ。」
そう言って、すいせいは軽く肩をすくめる。
「……ありがとな。」
俺がそう言うと、すいせいは少し驚いた顔をしてから、すぐに笑った。
すいせい「おっ、素直じゃん。」
「そういうのは言うもんだろ。」
すいせい「ふーん、じゃあもっと言ってくれてもいいんだよ?」
「調子に乗るな。」
すいせいはクスクスと笑いながら、ソファに深くもたれかかった。
すいせい「……ねぇ、天津さん。」
「ん?」
すいせい「今日はもう泊まってくから。」
「いや、決定事項みたいに言うなよ。」
すいせい「だって終電ないし。」
「いや、タクシー使えばいいだろ。」
すいせい「えー、めんどくさい。」
「……まったく。」
俺は軽くため息をつきながら、ソファに座り直す。
「じゃあ、朝早く起きろよ。」
すいせい「はーい♪」
すいせいは満足げに微笑みながら、ソファのクッションを抱きしめる。
俺はそんな彼女の様子を見ながら、改めて静かになった部屋の空気を感じた。
落ち着かないようで、でもどこか心地よい──そんな夜だった。
また泊まりやがったよこの2人