現代の影   作:ただの片栗粉

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ふむ、恋愛が多いからちょっとずつ設定考えとこうかな


別次元:1208②

マリン?「さーて、それじゃあ出発しますか!」

 

マリンさんの家を出て、俺たちは霧の図書館へと向かうことになった。道は街の外れに続いており、やがて森の入り口が見えてきた。

 

「この森の奥にあるんですか?」

 

マリン?「そうよ。街から少し離れてるけど、そこまで遠くはないわ。ただね……」

 

シオン「ただ?」

 

マリン?「霧の図書館って呼ばれてるだけあって、森の奥は常に霧が立ち込めてるの。迷ったら最後、戻ってこれないって話もあるのよね。」

 

「それは……嫌ですね。」

 

シオン「まぁ、シオンがいるから大丈夫でしょ!」

 

マリン?「頼りにしてるわよ、シオンたん?」

 

そんな軽口を叩きながら、俺たちは森の奥へと足を踏み入れた。

 

「そういえば、この次元の俺とシオンさんって何をしてるんですか?」

 

マリン?「んー?さぁ?マリンはあんまり関わってないけど……」

 

シオン「知らないんだ?」

 

マリン?「でも、噂くらいは聞いたことあるわよ?」

 

「どんな噂です?」

 

マリン?「天津さんは、この街じゃなくて別の街に住んでるみたいなんだけど……どうやらそこで彼女を作ったらしいよ」

 

「……は?」

 

シオン「へぇー?」

 

マリン?「なんでも、その子とは結構仲が良くて、もうずっと一緒にいるらしいよ?」

 

「いやいや……」

 

シオン「なるほどねぇ~。別次元の天津さんは恋愛してるんだぁ?」

 

「……ちょっと待ってくださいよ。」

 

マリン?「どうしたの?そんなに驚くこと?」

 

「いや、なんか……変な感じがするというか。」

 

シオン「まぁ、別次元の自分が自分とは限らないしねぇ?」

 

マリン?「で、どうする?会いに行く?」

 

「いや、今はそれどころじゃないので……。」

 

シオン「ちょっと興味あったけど、まぁいいや。」

 

俺たちは妙な気持ちを抱えつつも、霧の図書館へと進むのだった。

 

マリン?「さて、マリンはここでお別れね。」

 

霧の図書館の前に立つと、マリンさんは立ち止まり、くるりと振り返った。

 

「ありがとうございます。」

 

マリン?「ここから先は2人で頑張ってね。」

 

そう言って、マリンさんは軽く手を振りながら霧の中へと消えていった。

 

「……行きますか。」

 

シオン「うん、でもちょっと怖いね。」

 

重厚な扉を押すと、静かに開き、中には果てしなく続く本棚が並んでいた。

 

「すごい……こんなに本があるなんて。」

 

館内は想像以上に広かった。天井が見えないほどの高さまで本棚がそびえ立ち、まるで迷宮のようだ。照明はなく、壁に取り付けられたランプがほのかに空間を照らしている。

 

シオン「うわっ! 見て見て! こんな本見たことない!」

 

シオンさんはすでに興奮気味で、奇妙な装丁の本を次々と手に取っていた。中には、触れると表紙が光るものや、ページが勝手にめくれるものもある。

 

「シオンさん、そんなに持ち帰れませんよ。」

 

シオン「えぇ〜! こんなチャンス滅多にないのに!」

 

「そもそも、禁書を探しに来たんですからね?」

 

シオン「……わかってるよぉ。でもちょっとくらいなら……ね?」

 

そう言いつつ、シオンさんはすでに何冊かを抱え込んでいた。

本棚を巡っていると、ふと視線の先に何かを見つけた。

 

「……あれ?」

 

図書館の奥の薄暗がりに、大きな扉がぽつんと佇んでいる。

 

シオン「何? どうしたの?」

 

「あそこに……扉があります。」

 

シオン「こんな図書館の奥に? 怪しすぎない?」

 

「禁書があるとしたら、ああいう場所に隠されているんじゃないですか?」

 

シオンさんと目を合わせると、彼女は少し考えたあと、静かに頷いた。

 

シオン「……行ってみる?」

 

「もちろん。」

 

2人はゆっくりと扉へと近づいていった。

扉に手をかけると、意外にも軽く開いた。中は真っ暗で、奥へと続く階段が伸びている。

 

「……地下?」

 

シオン「こういう時って大体ヤバいものがあるよね。」

 

「禁書を探しに来たんですから、当然ですよ。」

 

シオン「まぁ、そうだけど……気をつけてね。」

 

階段を一歩ずつ降りていくと、やがて広い空間へと出た。そこは巨大な地下ホールのようで、壁に取り付けられた青白い灯りがぼんやりと空間を照らしている。

 

奥の方には厳重に封印された本が数冊、台座の上に並んでいた。

 

「……あれか。」

 

シオン「結構ガチガチに守られてる感じするけど……どうやって持ち出そう?」

 

慎重に近づこうとしたその時だった。

 

シオン?「おっと、そこまでだよ」

 

不意に声が響き、2人は反射的に立ち止まる。

 

台座の前に、いつの間にか誰かが立っていた。

 

シオン「え……?」

 

「シオンさん?」

 

そこにいたのは、シオンさんそっくりの人物だった。ただ、こちらのシオンさんよりも落ち着いた雰囲気がある。

 

シオン?「ようこそ、霧の図書館へ。」

 

その人物――この次元のシオンさんは、静かに微笑んでいた。

 

「……やっぱり、この次元にもシオンさんがいるんですね。」

 

シオン?「そりゃあね。ここは私の庭みたいなものだから。」

 

彼女は淡々と言いながら、ゆっくりと台座の前に立つ。

 

シオン「もしかして、その本を守ってるの?」

 

シオン?「そういうこと。これはただの本じゃない。知識は力になるけど、同時に危険にもなる。だからここに封じられてるのさ。」

 

「……俺たちは、その中の一冊が必要なんです。」

 

シオン?「へぇ、どれを狙ってるの?」

 

「ドリームウォーク。」

 

言った瞬間、シオン?の表情がわずかに変わった。

 

シオン?「……なるほどね。禁書の中でも、特に厄介なやつを求めてるんだ。」

 

シオン「なら、話が早いんじゃない?」

 

シオン?「いや、そう簡単にはいかない。」

 

彼女は一歩、こちらに歩み寄る。

 

シオン?「この本を持ち出すなら、それなりの覚悟がいる。悪用されたら世界が崩れるかもしれないし、そもそも使うだけでリスクがある。」

 

「それでも、俺たちには必要なんです。」

 

シオン?はじっとこちらを見つめる。

 

シオン?「……じゃあ、試してみる?」

 

「試す?」

 

シオン?「ここで試験をする。君たちが本を手にするにふさわしいかどうか……それを決めるのは、私。」

 

シオン「なんか面倒なことになったね。」

 

シオン?「そう思うなら帰れば? でも、禁書が欲しいなら、私を納得させなきゃいけない。」

 

「……やるしかないですね。」

 

シオン?はクスリと笑い、手をかざす。

 

シオン?「じゃあ、始めようか。」

 

すると、周囲の空間がゆっくりと揺らぎ始めた。

 

霧が立ち込めるように、空間が揺らぎ始める。足元が不安定になったかと思うと、次の瞬間、俺たちは別の場所に立っていた。

 

「……っ、ここは?」

 

シオン「さっきまでの図書館じゃない……?」

 

見渡すと、そこは本棚に囲まれた薄暗い部屋だった。だが、普通の図書館とは違う。壁一面に古びた本が積み上げられ、天井は高く、どこまでも続いているように見える。

 

シオン?「ここは試験の場。私が作り出した領域だよ。」

 

俺たちの前に立つシオン?が、ゆっくりと手を掲げる。

 

シオン?「ここで私の問いに答えてもらうよ。」

 

シオン「問い?」

 

シオン?「そう。ドリームウォークはただの禁書じゃない。それを手にする覚悟があるか、試させてもらうから。」

 

「……どういう試験ですか?」

 

シオン?「簡単さ。」

 

彼女は指を鳴らす。すると、本棚の間から黒い霧が湧き上がり、そこから何者かの影が現れた。

 

シオン?「さあ、戦ってみせて。」

 

影は徐々に形を成し、俺たちの前に立ちはだかる。

 

「……っ!」

 

シオン「ちょっと、マジで戦うの!?」

 

シオン?「大丈夫、大怪我はしないようにしてるから。」

 

そう言いながらも、彼女の目は本気だった。

 

「……やるしかないですね。」

 

シオン「はぁ、面倒だなぁ……でも、ここで負けるわけにはいかないか。」

 

影たちはゆっくりとこちらに向かってくる。

 

「行きますよ、シオンさん!」

 

試験が、始まった。

 

影が蠢き、足元から黒い靄が広がる。しかし、いつもと感覚が違う。

 

「……っ、これは?」

 

俺が影を操ろうとした瞬間、力が意図しない方向へと流れた。

 

シオン「天津さん!? 何かおかしくない?」

 

「……影が、勝手に……!」

 

影の縛りを作ろうとしたが、逆に自分の足元から勢いよく影が噴き出し、周囲を包み込んでいく。まるで意思を持って暴走しているようだった。

 

シオン「ちょっ……何!? これ、ヤバくない?」

 

シオン?「なるほどね。この世界の流れに、天津さんの力が適応できてないんだね。」

 

シオン?は腕を組みながら興味深そうに見ていた。

 

「くっ……動かせない……っ!」

 

影が絡みつき、俺の身体を締め付ける。思うように動けない。

 

シオン「天津さん、大丈夫!?」

 

「は……分からない……力が……っ!」

 

影は俺自身の意思を無視して広がっていき、試験の場を飲み込もうとしていた。

 

シオン?「……このままじゃ試験どころじゃないね。少し手をを貸してあげる。」

 

そう言いながら、彼女は指を鳴らした。すると、影の暴走が少しずつ弱まり始める。

 

「……っ!?」

 

シオン「な、何をしたの?」

 

シオン?「ここの世界に合わせて、天津さんの力を少しだけ抑えただけだよ。」

 

俺は荒い息をつきながら、自分の影を見下ろした。まだ違和感はあるが、さっきまでの暴走は収まりつつある。

 

シオン?「さて、これで試験を再開できるね。」

 

目の前の影たちはまだ消えていない。俺は深く息を吸い込み、もう一度構え直した。

 

「……やるしかないか。」

 

シオン「もう暴走しないでよ?」

 

「まだ多少蠢いてはいますが、何とかしてみせますよ。」

 

影の暴走を抑えたとはいえ、未だに力の流れが不安定なのがわかる。このままではまともに戦えない。

 

「……なら、いっそ。」

 

俺は深く息を吸い込み、影を自分自身へと取り込むことにした。

 

黒い靄が渦を巻き、俺の身体を包み込んでいく。影が染み込むように身体へ吸収され、肌の感覚が変わっていくのがわかる。そして――

 

シオン「えっ……!? 天津さん!?」

 

気づけば俺の身体は昔のものに変わっていた。

 

「……この姿で戦うのは久しぶりだな。」

 

長い黒髪が揺れ、袖の広い和服の感触が懐かしく感じる。かつての俺――高田影道の姿だ。

 

シオン?「へぇ……これは興味深い。」

 

俺は軽く拳を握り、身体の感覚を確かめる。影の流れも、さっきよりは安定している。

 

「……行くぞ。」

 

影を足元に馴染ませ、一瞬で距離を詰める。

 

シオン?が軽く指を動かすと、黒い影の塊が飛んできた。それを影踏みで回避し、間合いを詰める。

 

シオン「す、すご……! さっきまでとは動きが違うし、何あのおじいちゃんの姿......!」

 

影の力を完全に掌握した俺は、シオン?へと斬りかかる――。

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