シオン「ちょっと!こっちもやばいんだけど!!」
天津さんが天川正と戦っている間、私はモンスターの群れを相手にしていた。
最初は抑えられていたけど、次から次へと湧いてきて、キリがない。
シオン「やっぱ天津さんに任せてる場合じゃなかったかも……!!」
後ろを振り返ると、天津さんと天川正が激しくぶつかっていた。
呪符が飛び交い、天津さんの影の力が不安定ながらも応戦しているのが見える。
正「呪言・焔」
天川正の札が炸裂し、天津さんが吹き飛ばされた。
シオン「天津さん……!」
駆け寄ろうとした瞬間、背後から獣の咆哮が聞こえた。
シオン「……っ、こっちはこっちで大変なのに!」
私はすぐに魔力を練り、杖を構える。
シオン「グラビティ・インパクト!」
足元に魔法陣を展開し、モンスターの動きを鈍らせる。
しかし、それでも数が多すぎる……!
シオン「どうしよう……天津さんの方にも行きたいけど、これじゃあ……!」
そう悩んでいると、天津さんの声が聞こえた。
「……シオンさん、行ってください!」
シオン「え?」
「あなたは街を守ってください。ここは俺が食い止めます!」
天津さんの言葉に、一瞬迷った。
でも——
シオン「……わかった!すぐ戻るからね!」
私はモンスターを引きつけながら、街の方へと向かった。
モンスターの大群を振り切りながら、私は必死で街へと走る。
シオン「くそっ……なんでこんなことになってんの!?もう……!!」
天津さんが一人で戦っているのに、私は逃げるような形になってしまった。
シオン「……でも、街を守らなきゃ。」
街に近づくと、既にモンスターが建物を壊し始めていた。
人々の悲鳴が響き、炎が上がる。
シオン「こんなの、絶対許さない……!」
杖を振り上げ、詠唱を開始する。
シオン「メテオ・クラッシュ!!」
空から巨大な火球が降り注ぎ、モンスターたちを吹き飛ばした。
しかし、それでも完全には倒しきれない。
シオン「まだ……まだ終わってない!」
私は再び魔力を練り、戦闘態勢を取った。
シオン「くそっ……! しつこい!」
メテオ・クラッシュの直撃を受けても、モンスターたちは次々と湧いてくる。
私は炎の魔法で道を切り開きながら戦い続けるが、数が多すぎる。
「このままじゃ、キリがない……!」
そう思った瞬間、モンスターの群れが不自然に動きを止めた。
シオン「……?」
すると、モンスターたちの中から、一人の術者が現れた。
???「やぁ、お嬢ちゃん。ずいぶんと暴れてくれてるみたいだね。」
黒いローブをまとった男が、余裕たっぷりの笑みを浮かべていた。
シオン「……あんた、何者?」
???「俺か? 俺は"ヨミ"。天川正様に仕える者の一人さ。」
シオン「……幹部クラスってわけ?」
ヨミ「まぁ、そんなところかな。でも、俺は単なるモンスターの群れとは違うよ。」
ヨミが手をかざすと、モンスターたちの動きが変わった。
シオン「……あれ、こいつらの動きが……?」
ヨミ「"集え、影の獣"」
彼の呪文と共に、モンスターたちが融合し、一体の巨大な魔獣が生み出された。
シオン「……最悪なんだけど……!」
私はすぐに魔法を展開し、攻撃を仕掛ける。
シオン「ヘルズ・ブレイズ!」
赤黒い炎が魔獣を包み込むが、その炎をものともせずに突進してきた。
シオン「——っ!!」
私は間一髪で横に跳び、回避する。
ヨミ「ははは、どうした? さっきまでの勢いは?」
シオン「うるさいっ!!」
魔法を次々と放つが、魔獣の動きは速く、すべて回避される。
シオン「くそ……!!」
そして、ヨミ自身も術を唱え始める。
ヨミ「"闇の鎖"——」
次の瞬間、黒い鎖が空間を裂くようにして飛び出し、私の体を縛り上げた。
シオン「っ!!」
ヨミ「終わりだ。」
彼が手を振り上げ、止めを刺そうとした——その時。
——バシュッ!!
突然、空間が揺らぎ、光が弾ける。
ヨミ「……なに!?」
ヨミも驚いた表情で振り向いた。
そこには、スターロードのゲートが開かれ、二つの影が飛び出してきた。
シオン?「ギリギリだったみたいね!」
マリン?「まったく、面倒なことになってるじゃない!!」
シオン「……!? あんたたち……!!」
スターロードから現れたのは——
この次元のものではない、もう一人の"シオン"と"マリン"だった。
ヨミ「……ふぅん、また妙なのが現れたね。」
シオン「アンタたち、何で……?」
シオン?「そっちのシオンに使えて、こっちのシオンに使えない魔法なんてないんだからね!」
マリン?「よぉーし! 久しぶりに頑張っちゃいますよ!」
シオン「……助けに来てくれたってわけ?」
シオン?「まあね。でも何よりも——」
シオン?が杖を掲げ、青紫の魔法陣を展開する。
シオン?「こんな面白そうな戦い、逃すわけにはいかないでしょ!」
ヨミ「ふぅん……。ま、増援が来ようが関係ないさ。」
ヨミが片手を掲げると、影の魔獣が低く唸り、再び動き始める。
ヨミ「お前たちも、"闇の狩人"の獲物にしてやるよ。」
シオン?「はいはい、やれるもんならやってみなさいよ!」
シオン「いくよ!」
マリン?「おっしゃ、派手にいくぞー!」
影の魔獣が吠え、四方八方に黒い触手のようなものを伸ばして攻撃してくる。
シオン?「フレア・ストーム!!」
シオン?が炎の魔法を解き放つと、魔獣の触手が燃え上がる。しかし、影の魔獣はすぐに再生する。
マリン?「こいつ、タフすぎない?」
ヨミ「そう簡単には倒せないよ?」
ヨミは指を鳴らし、魔獣の体にさらなる呪文を刻む。すると、魔獣の影がシオン?とマリン?の足元に広がり、二人の動きを封じようとする。
シオン?「甘い!」
杖を振ると、光の魔法陣が足元に展開され、影を弾き飛ばした。
シオン?「こっちの次元の私がどれだけやるか見せてあげる!」
マリン?「じゃあ、そろそろ私も本気出そっかな〜!」
彼女が短剣を抜き、水の刃をまとわせる。
マリン?「アクア・スラッシュ!」
鋭い水流の刃が魔獣の体を切り裂く。しかし、魔獣はそのまま襲いかかってくる。
マリン?「なにこれ!? 普通の攻撃が効かないとかズルくない!?」
シオン「こっちも手を貸すよ!」
シオンは両手を組み、魔法陣を展開する。
シオン「ダークネス・バインド!!」
闇の鎖がヨミの足元から生え、彼の動きを封じようとする。しかし——
ヨミ「そんなもの、呪言・破。」
呪符を一枚取り出し、鎖に貼り付けると、鎖は瞬時に砕け散った。
シオン?「ちょっと! なんでそんな簡単に解除されるのよ!?」
ヨミ「そりゃ、僕のほうが格上だからさ。」
シオン「なっ……!」
ヨミは余裕の笑みを浮かべ、さらに影の魔獣を強化する。
ヨミ「"影の王よ、深淵よりその力を解き放て"」
影の魔獣の目が赤く輝き、さらに巨大化していく。
シオン?「やば、ちょっと強化しすぎじゃない?」
マリン?「さっすがにこれは……まずいかも?」
シオン「……でも、負けるわけにはいかない!」
シオン?「当然でしょ! こっからが本番よ!」
影の魔獣が咆哮し、周囲に黒い波動を放つ。地面が震え、空気が歪むほどの圧力が三人を襲った。
シオン?「ちょっ……なにこれ!? 重力でも操ってるの!?」
マリン?「うっ……体が重い……!」
シオン「まずい、影の魔法を強化してる……!」
ヨミ「フフ、さぁ、どうする? 逃げてもいいんだよ?」
影の魔獣が巨大な触手を振り下ろす。
「ッ……くる!」
シオンが瞬時に飛び退くが、衝撃波で吹き飛ばされる。
シオン?「くっ……! フレイム・ウォール!!」
シオン?が炎の壁を展開し、影の触手を焼き払う。しかし、影の魔獣は再び形を変え、炎を無効化するかのように広がっていく。
ヨミ「無駄だよ。この魔獣は影そのもの。物理も魔法も効きやしない。」
マリン?「そんなん……ズルじゃん!」
ヨミ「強者がズルいのは当然だろう?」
シオン「……だったら!」
シオンは杖を構え、闇と光の魔力を混ぜ合わせた。
シオン「ダークライト・バースト!!」
黒と白の光が融合し、爆発的な閃光が魔獣を包み込む。
ヨミ「……なに?」
影の魔獣が一瞬だけ形を崩した。
マリン?「今だぁぁっ!! "アクア・スラッシュ"!!」
シオン?「"ライトニング・ランス"!!」
マリン?の水刃と、シオン?の雷槍が影の魔獣に直撃する。
影の魔獣が揺らぎ、ひときわ大きな咆哮を上げる。
ヨミ「……チッ。やるじゃないか。」
シオン「はぁ……はぁ……これで……!」
しかし、ヨミは微笑みながら手をかざす。
「……まあ、そろそろ潮時かな。」
その瞬間、影の魔獣が霧散し、黒い霧となってヨミの背後に収束していく。
シオン?「ちょっ、待ちなさいよ!」
ヨミ「今はね、ここで負けるつもりはないんだ。次の舞台で、もっと楽しくやろうじゃないか。」
彼の足元に影のゲートが開く。
マリン?「逃がすかぁ!」
マリン?が短剣を投げるが、刃は影の中へと吸い込まれてしまう。
シオン「くっ……!」
ヨミはニヤリと笑いながら、そのまま影の中へと消えていった。
マリン?「逃がしちゃったか……」
シオン?「でも、モンスターは全部倒したし、これで一旦は……」
シオン「……天津さんの方は大丈夫かな……?」
シオン?「急ごう! こっちの戦いは終わったけど、向こうはまだ終わってない!」
シオンたちは急いで天津のもとへと向かうのだった——。