OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜 作:名無しのモンスター
翼
LP:4000
半次
LP:4000
月一試験の実技テストにて、訳あってオベリスク・ブルーの1人であるリンクスのモブキャラブルー生徒こと青野 半次とデュエルすることになった俺氏。さてと、この世界での奴のデッキは何なのか……
「俺の先攻だな、ドロー‼︎」
「グフッ」
げ、先攻取られた。でもデュエルディスクの設定によって決められた順番なんだし、しゃあないか。
「まずはこいつで下準備だ。手札から【レスキューラビット】を守備表示で召喚‼︎」
【レスキューラビット】
ATK:300
DEF:100
半次の目の前に現れたのは、頭に黄色いヘルメットとゴーグルを被っている、救急隊員らしき四足歩行で白黒模様のウサギ。よく見れば首には無線機が掛けられていた。
ってかこいつも表側守備表示で召喚かよ。その甘えはやめろコラ。ってか早く表側守備表示での召喚は禁止になれよ。
「【レスキューラビット】の効果発動‼︎ こいつをゲームから除外し、デッキからレベル4以下の通常モンスターを同名で2体特殊召喚することができる」
身勝手に心の中で怒っていたら、【レスキューラビット】が首に掛けている無線機を手に取り、何やら音声を出しながらその場から走り去っていった。半次の背後から光の粒子経緯で現れ走って来たた2体のモンスターとハイタッチを交わしながら。
「現れろ、2体の【ジェムナイト・サフィア】‼︎」
【ジェムナイト・サフィア】×2
ATK:0
DEF:2100
【レスキューラビット】と交代するように現れたのは、青い宝石──サファイアで出来た鎧を身に纏った宝石の戦士。それも2体。低レベルでデメリット効果無しの守備力2100のモンスターは、この時代のデュエルでなら地味に厄介だな。
ってか、こいつのデッキは【ジェムナイト】デッキか? もしくは通常モンスターを活躍させるデッキ? どちらにせよ、さすがはブルー生徒。やはり注意が必要か。
「【レスキューラビット】の効果で特殊召喚されたモンスターは、このターンの終わりに破壊される……が、エリートの俺ならばこのターンにこいつらを有効活用できなくもない‼︎」
「ヘーソーナンデスカースゴイデスネー」
「何故片言になる⁉︎ バカにしやがって……‼︎」
うん、下の者を平気で見下す奴はバカにするに限るからね。
「
1体のサフィアが腕をクロスしながらしゃがんだかと思えば、そいつは青い光の粒子を放ちながら消滅し、その光から出てきた2枚のカードが半次の手札に加わった。
「さらに見せてやろう‼︎
サフィアの背後に、複数の丸い宝玉を襷として付けている黒曜石の鎧の戦士が現れる。すると2体の背後に青を基調とした橙色・黒色の混じった渦が現れ、2体がその中で混ざり合って光を放った。
「現れろ、【ジェムナイト・アクアマリナ】‼︎」
【ジェムナイト・アクアマリナ】
ATK:1400
DEF:2600
光の中から姿を現したのは、口元辺りを隠している大きな甲冑を身に着け、紺色のマントを靡かせる藍色の騎士。右手には黒と青を基調とした丸い盾の中心部に嵌められている緑青色の宝石──アクアマリンが輝いていた。
「さらに【ジェムナイト・オブシディア】の効果発動‼︎ こいつが手札から墓地に送られた場合、墓地のレベル4以下の通常モンスターを1体特殊召喚することができる。俺は融合素材にしてない方の【ジェムナイト・サフィア】を呼び出す‼︎」
黒曜石の鎧の戦士が半透明の姿となって再びフィールドに現れたかと思えば、青白い光を全身から放ち出した。まるでその光の中で、姿を全く異なるものへと変えようとするための伏線であるかのように。
【ジェムナイト・サフィア】
ATK:0
DEF:2100
光が収まったかと思えば、そこにいたのは黒曜石ではなくサファイアの戦士。青白い気を纏いながら、ソリッドビジョンで大きくなった自身の巨大なカードに右膝をつけ、守備態勢を整えている。
「さらに次のターンに向けての準備もさせてもらう‼︎ 墓地の【ジェムナイト・フュージョン】の効果発動‼︎ 墓地の【ジェムナイト】モンスターを1体除外することにより、このカードを手札を加える‼︎ 除外するカードはオブシディアだ‼︎」
サフィアの足元に転がり落ちていた丸い黒曜石が浮遊し、一人でに瓦解した。砕けたその黒曜石の中には1枚のカードが入っており、それは1人でに半次の手札に行った。
「永続魔法【ブランチ】と【補給部隊】を発動‼︎」
オイオイ、後続の準備までしちゃってまぁ……
「そしてリバースカードを1枚伏せてターンエンド‼︎ どうだ‼︎ これがエリートの布陣だ‼︎ お前に突破できるかな‼︎」
半次
LP:4000
手札:2枚(【ジェムナイト・フュージョン】×1)
フィールド:
【ジェムナイト・アクアマリナ】DEF:2600
【ジェムナイト・サフィア】DEF:2100
【ブランチ】×1
【補給部隊】×1
伏せカード×1
正直に言って、天狗の多いブルーだからこそできる盤面を作られてたまげたよ。
フィールドから墓地に行けば俺のフィールドのカードを1枚バウンスするアクアマリナに、融合モンスターが破壊されれば素材を後続として呼ぶ【ブランチ】、破壊をトリガーにドローする【補給部隊】、そして次のターンの融合のために自己回収された【ジェムナイト・フュージョン】……
これはもうアレだ。相手ターンに除去と後続の準備をし、その準備から次のターンで【ジェムナイト・フュージョン】で新たな【ジェムナイト】融合モンスターを出し、そいつを中心にトドメを刺すつもりだ。
ここまで徹底しているだなんてな……ただの天狗な雑魚だと思ってたわ。ま、それでも人間性としてはお前らが嫌いなんだけどな‼︎ その盤面を立てただけで勝てると思ってんのなら尚更だ‼︎
「俺のターン、ドロー‼︎ フィールド魔法【円盤闘技場セリオンズ・リング】を発動‼︎」
俺の背後に黒い火山が現れ、その上空に青や白などの明るい色をした機械が、闘いのリング──闘技場の形として輝きながら浮かび上がった。俺が使うテーマのモンスター達は、あの闘技場で己を鍛えたり王者を決めたりしているのだろう。背景ストーリーもにわか知識だからよく分からんけど。
「このカードの発動処理として、デッキから【セリオンズ】モンスターを1体手札に加えることができる。俺が手札に加えるのは……そうだな、【セリオンズ“デューク”ユール】にする」
「【ドラゴンメイド】でも【ティアラメンツ】でもないだと⁉︎」
一体いつから、俺のデッキが【ドラゴンメイド】と【ティアラメンツ】しかないと錯覚していた?
闘技場の下底の中心部で光るコアらしきものがさらに輝き、そこから1個の球体が落ちてきた。それが俺の目の前に落ちて止まったのと同時に収縮し、変形していく。それは1枚のカードとなって俺の手札に加わった。
「手札の【
スカート部分が花弁を模した腹部を露出した鎧の女騎士が現れ、巨大な棘らしき銀の槍を振るい赤い花弁を散らしながら消えていった。その中に混じった1枚のカードが近くに落ちていったので、俺はそれを手に取った。
「
1枚のカードを墓地に送れば、上空にモンスターのレベルのマークとなる物体が8つ現れ、それらは全て大量の金貨となって降り注いできた。それらが全て地面に転がり落ちて消えていった時には、俺の手札が2枚増えていた。
アレ? 十代との闘いで使った時にはこんな演出なかったような……いや、他にもアニメにはなかった演出がたくさんあったし、今更か? まいっか。
「これでこいつが使える。手札の【セリオンズ“リリー”ボレア】の効果発動‼︎ このカードを手札から特殊召喚し、この効果を発動するために対象に取った俺の墓地の【セリオンズ】モンスターまたは植物族モンスターを、装備カード扱いとしてこのカードに装備する‼︎」
「手札から自分で特殊召喚できる上に、同タイミングで墓地のモンスターを装備だと⁉︎」
「現れろ、【セリオンズ“リリー”ボレア】‼︎ そして【セリオンズ“デューク”ユール】を装備‼︎」
【セリオンズ“リリー”ボレア】
ATK:2400
DEF:2500
優雅に回転しながら降り立ってきたのは、朱色と橙色を基調とした女性型のロボット。頭部の両側には蔦で牡羊の角を模したかのようなパーツ、赤い肩には黄色い花を模したパーツが付けられていた。下半身は朱色の花弁を思わせるスカートのパーツの下に、茎やドリルを模したパーツと複製もの茨の鞭を覗かせていた。
すると彼女の背後に、黄金の鉄の塊で作られたペンチアームとロボットが翼をイメージしたかのようなエネルギータンクらしきものが浮遊し、それがボレアに装着された。そのペンチアームやタンクから炎から漏れ出るように噴き出し、ボレアの力を高めようとしていた。
「【セリオンズ“デューク”ユール】を装備した【セリオンズ】モンスターは攻撃力が700ポイントアップし、自身の効果を使用可能する。1体のモンスターが2体分の効果を得られるってわけだ」
「攻撃力の上昇だけでなく効果の付与まで施されているだと⁉︎ クソッ、小癪な……‼︎」
【セリオンズ“リリー”ボレア】
ATK:2400 → 3100
おうおう、1ターン目から警戒するようになっちゃってまぁ。……まさか宝の持ち腐れだとか思ってるんじゃないだろうな? もしそう思っていたとしたら、わからせる必要があるな……‼︎
「
「また手札入れ替えをするかのように……‼︎」
悪いな。俺の大抵のデッキは、墓地のカードを増やして真価を発揮しながら手札・デッキの入れ替えをし、展開していく……それが強みなのでね。
そう心の中で自慢していたら、デュエルディスクから青い電撃が流れてきて、それに合わせて表示画面に『2DROW』という文字が出てきたため、俺がカードを2枚ドローしたらその表示も流れてきた電撃も無くなった。
あ、今のはデュエルディスクのトラブルとかバグとかじゃなくて、【セリオンズ・チャージ】を発動する際の演出だからね? 壊れてないからね? 勘違いしないでね?
さてと、引いたカードはどんな感じなのやら……
「よし、いいのが来た‼︎ 手札の【セリオンズ“ブルズ”アイン】の効果発動‼︎ 墓地の【セリオンズ】モンスターか戦士族モンスターを対象として特殊召喚し、装備する‼︎ アインよ、【
【セリオンズ“ブルズ”アイン】
ATK:2100
DEF:1600
ギャリギャリッという豪快にタイヤを走らす音が聞こえてきたのと同時に、後ろから脚部が一輪車──ホイールとなっており、頭部に巨大な牛の角を模したパーツを付けている黄金のボディのロボットが現れた。右手に縁が金色で刃先が銀鉄となっている槍を、左手に金色の縁を持つラウンドシールドを持っていた。
そんな彼の背後に【
が。ダーパンとマントには何かしらの力が備わっているわけではなかったからなのか、それを着けたアインは何やら不機嫌そうに頭を小刻みに揺らした。嫌なのか、それを付けられるのが……
「ここで【セリオンズ“リリー”ボレア】の効果発動‼︎ 自分フィールドか手札のカードを1枚墓地に送ることで、デッキから【セリオンズ】
ボレアが自身に装着されたペンチアームを天に掲げれば、アインに着せられたダーパンとマントが光の粒子となって天へと昇っていき、代わりに1枚のカードが落ちていき、それが俺の手札に自然に加わった。
「装備しても意味がないカードをサーチに利用したのか……」
「まだまだァ‼︎ 【セリオンズ・チャージ】でドローした【セリオンズ“エンプレス”アラシア】の効果発動‼︎ 俺が対象に取った墓地の【セリオンズ】モンスターか爬虫類族モンスターを装備しながら特殊召喚できる‼︎ 装備するのは【セリオンズ“リーパー”ファム】だ‼︎」
【セリオンズ“エンプレス”アラシア】
ATK:2100
DEF:2500
地面から這い出てくるように現れたのは、金色の襟巻らしきパーツを頭頂部に付け、紫色の生地のマントを靡かせる紫色の大蛇のロボット。蟠には複数の棘が縦列に並ぶように生えており、腰部にもカーブ状に曲がった巨大な棘が生えていた。さらに左腕に赤い鉤爪の付いた巨大なラウンドシールドが装着されており、右腕は左腕よりも一回り大きく強調していた。
そんな彼の背後に、藍色の鮫の形をした優先式の遠隔砲台が2つも出現し、その電気配線がアインの背中に接続されたのと同時に口部から咆哮しているかのような音声が上げられた。
「【セリオンズ“リーパー”ファム】を装備した【セリオンズ】モンスターも攻撃力が700ポイントアップし、ファムの効果を得るぜ」
「そ、そいつも自身の効果を味方に付与するのか⁉︎」
【セリオンズ“エンプレス”アラシア】
ATK:2100 → 2800
「ここでちょっとした味付けだ。
………………いやなんでこれにはソリッドビジョンの演出がないんだよ。カードイラストからして、表現が難しいってのか? ソリッドビジョンの判別が分からんな……
まぁいいや、【セリオンズ】のデッキエンジンの1つが墓地に行ったんだし、これはこれで良しとするか。
「墓地に
「んなもん自分で考えろ。バトルだ‼︎ 俺は【セリオンズ“エンプレス”アラシア】で【ジェムナイト・アクアマリナ】を攻撃‼︎」
アラシアが多大な砂埃を巻き上げながらアクアマリナに接近していく。そして鉤爪で地面を抉りながら、盾を突き出し防御の姿勢を整えていたアクアマリナを盾ごと上空へと吹き飛ばし、遠隔砲台から放たれた藍色の熱光線を当て鎧を溶かしながら爆発を巻き起こした。
「おのれ……だが‼︎ 戦闘破壊された【ジェムナイト・アクアマリナ】、そして【ブランチ】、【補給部隊】の順に効果を発動させてもらう‼︎」
うん、さすがにたくさん発動するよね。やばたにえん。
「【補給部隊】の効果で、俺のモンスターが破壊されたのでカードを1枚ドロー。【ブランチ】の効果で融合モンスターがフィールドで破壊され墓地に送られたため、自分の墓地に存在するその融合モンスターの融合に使用した融合素材モンスターを1体特殊召喚する。オブシディアは【ジェムナイト・フュージョン】によって除外されているため、【ジェムナイト・サフィア】を特殊召喚する‼︎」
【ジェムナイト・サフィア】
ATK:0
DEF:2100
青白い光を放ちながら爆煙が切り払われた途端、サファイアの身体をした戦士が自身と同じ姿の仲間に並び立つように降り立った。真相は不明だが、まるで先程までアクアマリナの鎧を着けて既にフィールドにいたかのような雰囲気を醸し出していた。
「そして【ジェムナイト・アクアマリナ】の効果により、こいつがフィールドから墓地へ送られた時、相手フィールドのカードを1枚
「あっヤベッ」
「俺が手札に戻すのは【セリオンズ“リリー”ボレア】だ‼︎」
降り立ったサファイアの周辺に、アクアマリナの鎧に使われたであろう青い宝石の破片が落ちていく。それらが突然発光したかと思えば、青白い霧となってボレアに急接近し、覆い尽くす。
ヤバい……ミスった。アクアマリナの効果は破壊効果なのかと思ったら、バウンス効果だったみたいだ……何故間違えて覚えたんだ俺は。解せぬ。
もしもバウンスさせる効果じゃなくて破壊する効果だったら、【セリオンズ“ブルズ”アイン】の効果で【セリオンズ】モンスターは破壊から免れたのになー……ってか攻撃しなくて済んだじゃん。俺のバカ。
『何テキストを読み間違いしたのだ汝よ‼︎ 明らかなプレイングミスは致命的であるのだぞ‼︎』
『落ち着きなよラー。確かにテキストを読み間違いするのは良くないことだけど、たくさんあるカードの中で流用(?)されてないカード全てを翼が理解しているわけがないじゃないか。無理難題はするものじゃないよ』
「(それって俺の事を遠回しに馬鹿にしてるってことにならないか? 悪かったよテキストの読み間違いなんかしてよ)」
ラー様にダメ出し喰らうわ、ユベルに遠回しにバカにされるわで、俺は恥ずかしい思いをしてしまったぜ……こんなんでよく十代戦後に目立たない程度の無双しようなんてほざけたな俺。
「フッ……サフィアの守備力は2100。そして攻撃権が唯一残っている貴様のアインの攻撃力も2100。これでは突破できないなぁ?」
「追撃されないことを確信して調子に乗りやがって……‼︎ メインフェイズ2に入る‼︎ カードを1枚伏せてターンエンドだ‼︎」
やっちまったもんは仕方ない、切り替えていくぞ‼︎ マスターデュエルだってプレミした後もその後のケアをする事が大事だったからな‼︎
翼
LP:4000
手札:2枚(【セリオンズ“リリー”ボレア】×1)
フィールド:
【セリオンズ“エンプレス”アラシア】ATK:2800(装備:【セリオンズ“リーパー”ファム】×1)
【セリオンズ“ブルズ”アイン】ATK:2100
【円盤闘技場セリオンズ・リング】
伏せカード×1
vs
半次
LP:4000
手札:3枚(【ジェムナイト・フュージョン】×1)
フィールド:
【ジェムナイト・サフィア】DEF:2100
【ジェムナイト・サフィア】DEF:2100
【ブランチ】×1
【補給部隊】×1
伏せカード×1
「結局数を減らせなかったとはな……やはりオベリスク・ブルーより強い者など学園には教師以外存在しないな‼︎ 俺のターン、ドロー‼︎ 【ジェムレシス】を召喚‼︎」
【ジェムレシス】
ATK:1700
DEF:500
半次がなんか偉そうなことを言いながら呼び出したのは、足は無く下半身は蛇のようになっている、黄土色のアルマジロに似た体型のモンスター。背中・横腹・臍の部分に赤い宝石が嵌められており、その背中には筒状のジェットパックらしきものが備えられていた。
「【ジェムレシス】が召喚に成功した時、デッキから【ジェムナイト】モンスターを1体手札に加えることができる。俺は【ジェムナイト・アンバー】を手札に‼︎」
サーチ効果か。止めるべきだろうが、今の奴の手札には【ジェムナイト・フュージョン】がある。ここは……通すか。
【ジェムレシス】が地面に穴を掘れば(ソリッドビジョンシステムなので実際に穴は出来てない)、そこから琥珀模様の宝石が掘り起こされた。その宝石は発光して1枚のカードへと変貌、それが半次の手札に加わった。
「さっきのターンでは『知恵』でお前のモンスターを除去したからな……次は『力』でお前のモンスターを消してやろう‼︎
「ほーん? 【ジェムナイト・フュージョン】では融合しないのか?」
「【ジェムナイト】融合モンスターは【ジェムナイト・フュージョン】でしか融合できないとでも思っているのか? ラー・イエローが素人じみたことを言うとは呆れたな‼︎」
うるせェ、雰囲気作りと観戦してる人に何かしらの勘違いさせないために初見のフリしてたんじゃい。少しぐらいは察しろやこの天狗が。
「まぁいい、俺は───」
半次が融合素材を指定しようとした途端、俺の背後に黒い小さな球体のような何かが複数蠢き、その内の数個からキラリと目を光らせているような輝きが放たれた。
「な、なんだこの黒いヤツらは⁉︎」
「あ、すまん。宣言する前にソリッドビジョンの対応が早かったようだ。【置換融合】の効果にチェーンして手札の【増殖するG】の効果発動」
「例の相手ターンに手札から効果発動ができるモンスターの一種か……‼︎」
「相手がモンスターを特殊召喚する度に、その回数だけ俺はカードを1枚ドローする」
「俺が特殊召喚する度にドローだと⁉︎ 俺のデッキの天敵じゃないか……‼︎」
いやぁ、この時代に僧Gを使っても結構刺さるには結構刺さるんだなこれ。意外とみんな特殊召喚しまくるから、良ければ牽制にもなれるしね。うん。
「クッ……だが手は緩めんぞ‼︎ 改めて俺は【ジェムレシス】と【ジェムナイト・サフィア】で融合‼︎」
【ジェムレシス】と【ジェムナイト・サフィア】の背後に複数の色が混ざった渦が出現する。その中に2体が溶け合うように入り込み、純白の輝きを放つ。
「その腕で全てを壊せ‼︎ 【ジェムナイト・ジルコニア】‼︎」
【ジェムナイト・ジルコニア】
ATK:2900
DEF:2500
渦の中から着地したのと同時に地面を揺らしながら現れたのは、銀の輝きを持つ構造ダイヤの鎧の闘士。同じく鎧を嵌めていた腕は自身の身体よりも一回り大きく、紫色のマントを風で静かに靡かせていた。
「【増殖するG】の効果で1枚ドローさせてもらうぜ」
「構わないさ‼︎ そしてこれが【ジェムナイト・フュージョン】で融合しなかった理由だ‼︎ 墓地の【置換融合】はこいつを除外することで、墓地の融合モンスターを1体融合デッキに戻して1枚ドローする‼︎」
半次の墓地ゾーンに小さな混沌の渦が発生し、そこから青い宝石──アクアマリナの鎧の破片が飛び出し、集結して光の粒子となって半次の融合デッキの中へと入っていった。それに合わせるように半次はカードをドローし……不敵な笑みを浮かべた。ウザッ。
「さらに【強欲な壺】を発動‼︎ デッキから新たに2枚のカードをドローさせてもらう‼︎」
ここで禁止ドローソースか。ケッ、はよ【強欲な壺】と【天使の施し】禁止にならねェかなァ。
「
サフィアの背後に、胸部に琥珀が嵌め込まれている黄色い鎧の戦士が炎にも見える光の刃を掌から生み出しながら姿を現す。そして様々な宝石の光沢のような輝きを放つ渦が発生し、2体とも溶け込み眩い光を放った。
「いでよ、【ジェムナイト・プリズムオーラ】‼︎」
【ジェムナイト・プリズムオーラ】
ATK:2450
DEF:1400
光が晴れた時には、そこには赤いマントを翻した金色の縁をなぞらせる白銀の鎧の騎士が立っていた。
両肩には人工的に作られた細長い宝石が煌めかせており、側頭部にも人工宝石でできた牛の形の角がキラリと輝く。そして右手には人工宝石で作られた刃の細剣が、左手には黄色と緑の宝石が嵌められた大きな三角模様中央に見える丸い盾を持っていた。
「【増殖するG】の効果で───」
「ドローができるのだろう? 勝手にしてろ‼︎ どうせこのターンで俺が勝つのだからな‼︎」
あ? やれるもんならやってみろやコラ。
「墓地の【ジェムナイト・フュージョン】の効果で墓地の【ジェムナイト・サファイア】を除外して手札に加え、発動‼︎ 手札の【ジェムナイト・ラズリー】と【ジェムナイト・ガネット】で融合‼︎」
何処からともなく現れた蒼玉が瓦解したのと同時に、柘榴石を胸部に嵌めた朱色の鎧の闘士と、胸部に鉱石を嵌めている足元まで長く伸ばしている髪のパーツをした岩の人形らしき少女が現れる。そして混沌の渦によって混ざり合い、光として爆ぜた。
「今度はこいつの出番だ‼︎ 【ジェムナイト・ルビーズ】‼︎」
【ジェムナイト・ルビーズ】
ATK:2500
DEF:1300
光を斬り裂きながら現れたのは、その突風によって青いマントを翻し、嵌め込まれている紅玉を輝かせた紅蓮の鎧の戦士。紅蓮の西洋風な薙刀を優雅に振るい、穂先を俺のモンスター達に向けながら構えた。
あ、ここでも増Gのドローね。
「墓地に送られた【ジェムナイト・ラズリー】の効果発動‼︎ 墓地の【ジェムナイト】通常モンスターを1体手札に戻せるので、【ジェムナイト・サフィア】を手札に‼︎」
ガネットと混ざり合い爆ぜたと思われた岩の人形の少女──ラズリーが姿を現し、手に持っていた蒼玉を半次に差し出した。その宝石は突如白く発光した途端、1枚のカードに変貌。半次はそれを受け取り手札に加えた。
「さて、ここで【ジェムナイト・プリズムオーラ】の効果発動‼︎ 手札の【ジェムナイト】カードを1枚墓地に送り、相手フィールドの表側表示モンスターを1体破壊させてもらうぞ‼︎ 【ジェムナイト・サフィア】を捨て、【セリオンズ“エンプレス”アラシア】を破壊だ‼︎」
プリズムオーラの剣に蒼玉と同じ輝きが纏われたかと思えば、即座に電撃も纏われる。その剣をアラシアに向けた途端、電撃が激しくさらに帯電されていく。このままいけば雷撃がアラシアに目掛けて放たれることだろう……が。
「それを通すわけにはいかないんだよなぁこれがさぁ‼︎
「破壊効果のタイミングで発動ということは、無効にする効果を選ぶ気か……‼︎」
まぁそうだな。除外なんかしたって効果が無効にされないわけで、普通なら除外を選んでもアラシアは守れないし、無効にしても攻撃力の問題でプリズムオーラの攻撃によってアインが戦闘破壊されて俺は戦闘ダメージを受ける……どっちにしろ俺は無傷にならないだろうな。
普通なら、な‼︎
気がつけば、アラシアの背後に青白い光を発する巨大な球体が昇り出す。しかも目がついており睨みを利かせているようだが、それは顔全体を覆い尽くしているかのように大きく少々丸みがあり、怖さやカッコ良さよりも可愛さの方が勝っていた。
「ただし‼︎ 墓地に【無尽機関アルギロ・システム】が存在していれば、両方の効果を選ぶことができる‼︎」
「な、なんだと⁉︎ い、いや待て‼︎ お前はそのカードを発動してなかったはず……ハッ⁉︎」
察したな? 察したな? デュエリストなら見逃しは命取りだから、それを思い出したのは良きやぞ。つーか俺もこうするよとちゃんと宣言したしな。
「【おろかな副葬】で墓地に送ったカードがそれか……‼︎」
「その通り‼︎ よってプリズムオーラの効果を無効にし、当然除外もする‼︎」
青白い光の球体──アルギロから光の霧らしきものがアラシアを覆い尽くす。するとアラシアの身体に青白い光の膜が覆われ、眩く強く発光される。
その光の膜を纏いながら、アラシアが左腕の鉤爪で切り裂こうとする態勢を取り、プリズムオーラに目掛けて突進していく。プリズムオーラも返り討ちにせんと剣からの雷撃を放つ。
が、当たる寸前でアラシアは身体を右に揺らして回避。そして鉤爪を突き上げてプリズムオーラの胴体を殴り飛ばした。天井近くまで飛ばされたプリズムオーラはその時の電撃の暴走によるものなのか爆発し、光の粒子となって消滅した。
「クソッ……‼︎ 今のは破壊ではないから、【ブランチ】の効果も【補給部隊】の効果も発動できない……‼︎ おのれ……‼︎」
おうおう、悔しがりながらこちらを睨んできよるな。自分の切り札の1体をあっさりと消されるのは悔しいでしょうねェ。だがこれもデュエルの一環なんでね、許せ。
「ならばバトルだ‼︎ 俺は【ジェムナイト・ジルコニア】で【セリオンズ“エンプレス”アラシア】を攻撃!! 効果破壊がダメならば戦闘破壊するまでだ!!」
ジルコニアが両拳を合わせてガチンッと鳴らせば、その拳に光沢が発生し、さらには拳が合わさった時の衝撃で周辺の地面が揺れる。そして何度も地面をさらに揺らしながら走り出し、アラシアに向けて拳を振るおうとした。
「確かにジルコニアの攻撃力はアラシアよりも上。だからその分のダメージは受けちまう……」
「ダメージだけか? 戦闘破壊されるのも明白だろう!!」
「あ、それはこのカードによって一度だけNGになるから。フィールド魔法【円盤闘技場セリオンズ・リング】の効果で1ターンに1度、【セリオンズ】カードか【無尽機関アルギロ・システム】を墓地に送り、【セリオンズ】モンスターの戦闘破壊を防ぐ!! よって【セリオンズ“キング”レギュラス】を墓地に送り、この効果を適用だ‼︎」
「何ッ⁉︎」
ふと、アラシアの背後に半透明な獅子を模したかのような顔を持つ赤いマントの闘士が現れる。それはアラシアにジルコニアの巨大な拳が迫って来た途端、己の赤い拳を突きつけジルコニアの拳を受け止める。
その時に発生した衝撃波がこの場を震動させ、同時に発生した突風が俺とアラシアに襲い掛かってくるものの、互いに踏み止まった。
「フゥ……仲の良い友人の言葉を借りるなら、このくらいは必要経費ってな‼︎」
翼
LP:4000 → 3900(2900 - 2800 = 100)
「クソッ……なら【ジェムナイト・ルビーズ】で【セリオンズ“ブルズ”アイン】を攻撃‼︎」
ルビーズが薙刀を優雅に振り回せば、刃を中心に薙刀の面積半分を覆い尽くす程の炎が燃え滾る。充分な程に炎が纏われたのに合わせ、ルビーズは跳躍。天高く飛んだのと同時にアインを見据え、薙刀を突き出しながら急降下する。
「させるか‼︎ 手札の【工作列車シグナル・レッド】の効果発動‼︎ このカードを特殊召喚し、攻撃対象をこのカードに移し替えてバトルを行う‼︎ 来い、【工作列車シグナル・レッド】‼︎ 守備表示‼︎」
「バトルフェイズ中に手札からモンスター効果だと⁉︎」
【工作列車シグナル・レッド】
ATK:1000
DEF:1300
突如響き渡る、列車の発車するサイレン音と踏切の鳴る音。ソリッドビジョンによって広がった線路を走りながら現れたのは、アームが2本ついた朱色の小型列車。赤いランプと黄色いライトで前面を照らしながら、アインを庇うように前に出てルビーズの薙刀を受け止めた。
その列車──シグナル・レッドの守備力はルビーズの攻撃力よりも明らかに低い。そのためルビーズの斬撃にも炎にも耐え切れず爆発する……はずなのだが、刃はシグナル・レッドの鋼鉄の身体を貫けておらず、表面に少々焦げ目がついているだけに済まされていた。
「この効果によって特殊召喚され、戦闘を行うことになったこのカードは、その戦闘では破壊されない‼︎ つまり俺のフィールドにいる【セリオンズ】は現状、全員除去を免れたってわけだ‼︎」
俺がそう自慢気に語っていると、半次は何故か絶望しているかのように目を見開き、身体を恐怖で震わせながら青冷めた表情を浮かべていた。
「バ、バカな……効果破壊を邪魔された上に、戦闘破壊すら出来ずに終わっただと……⁉︎ な、何故なんだ……俺のデュエルでは、ここまで思い通りに事が運ばなかったことなんて一度もなかったはずだ……‼︎」
あ、そうなんだ。昨日までは自分の思い通りにデュエルを進めることができたんだ。そうでなきゃオベリスク・ブルーになんてなれなかったもんな。天狗になったのはアレだけど、多分結構な努力はしていたのかもな。
「そう邪険するなよ。この日までお前が凄かったからそうなったってだけなんだから」
「お、お世辞はやめろ‼︎ こ、この俺を惨めに見るな‼︎」
いやそんなこと思ってないんだが。正直プレイングは悪くなかったし、シグナル・レッドを使えたのは増Gで偶々引き寄せれたからこそなんだし。
「ジェ、【ジェムナイト・ガネット】を除外し、【ジェムナイト・フュージョン】を手札に‼︎ カードを1枚伏せてターンエンドだ‼︎」
「このエンドフェイズ時、【セリオンズ“リーパー”ファム】の効果発動‼︎ 相手ターンに1度、自分の魔法&罠ゾーンの【セリオンズ】カード1枚と相手フィールドのカード1枚を手札に戻すことができる。セリオンズ・リングとお前が今伏せたカードをバウンスさせてもらうぜ」
「ま、また……‼︎ こ、【攻撃の無力化】が……‼︎」
オイ、自分の伏せたカードをバラすなよ。それを自殺発言というんだぞ。
アラシアに付けられていた遠隔砲台が自ら配線を外し、2体の【ジェムナイト】を素通りしながら半次が伏せていた伏せカードに目掛けて突貫。その時の衝撃によって伏せカードは宙を舞い、元のサイズとなって半次の手札に加わり、遠隔砲台もカードとなって俺の手札に加わった。
「ふざけるな……ふざけるな……‼︎ 僕は、僕は必死に努力を積み重ねてオベリスク・ブルーになったんだ……‼︎ 同じブルーなら兎も角、下の奴にここまで阻害されて負けるなんてことはあり得ないんだ……‼︎」
おや、追い込まれてると思ったのか一人称が『僕』になってる。そういう設定もリンクスのブルー学生としてそのまま残るんだな。
「悪いな、半次。使うカードと運命力次第では、階級とかそういうものに関係なく状況をひっくり返されることがある。それが
あ、少しカッコ良い事言えたかも。今ので心の中は台無しだけど。
翼
LP:3900
手札:4枚(【セリオンズ“リリー”ボレア】×1、【円盤闘技場セリオンズ・リング】×1)
フィールド:
【セリオンズ“エンプレス”アラシア】ATK:2800(装備:【セリオンズ“リーパー”ファム】×1)
【セリオンズ“ブルズ”アイン】ATK:2100
【工作列車シグナル・レッド】DEF:1300
伏せカード×1
vs
半次
LP:4000
手札:2枚(【ジェムナイト・フュージョン】×1、【攻撃の無力化】×1)
フィールド:
【ジェムナイト・ジルコニア】ATK:2900
【ジェムナイト・ルビーズ】ATK:2500
【ブランチ】×1
【補給部隊】×1
伏せカード×1
さてと……このターンでケリをつけるとするか。
「俺のターン、ドロー‼︎ 手札の【セリオンズ“リリー”ボレア】の効果発動‼︎ このカードを特殊召喚し、【セリオンズ“デューク”ユール】を装備‼︎」
【セリオンズ“リリー”ボレア】
ATK:2400 → 3100
DEF:2500
金のペンチアームと翼のエネルギータンクを引き寄せながら、牡羊と茎付きの花弁をイメージした女性型ロボットが姿を現す。浮遊している金のパーツを装着しながら、それに内蔵されている炎で力を増幅させる。
「ボレアの効果発動‼︎ シグナル・レッドを墓地に送り、【セリオンズ・クロス】を手札に加える‼︎」
ボレアの身体から伸ばしている鞭がシグナル・レッドを完全に覆い尽くすように巻きついた。だが締めつけ破壊するかのような力はなかったのか、軋むような音は何一つ発生していなかった。
そしてその鞭の隙間から光が発生し、鞭が解かれたと思えば、巻きつかれたはずのシグナル・レッドの姿が見当たらず、代わりにそこになかったはずの1枚カードが見える。そのカードを鞭が拾い上げ、俺の手札を持つ手に渡された。
「ま、またその
仕留め損なった時のための処置なんですけどね。けどすっごく怯えてるな。妨害しまくったカードの1枚だし、そりゃ堪えるか。
「墓地の【無尽機関アルギロ・システム】の効果発動‼︎ 自分の墓地の【セリオンズ】カードとこのカードの内、1枚を手札に加え、もう1枚をデッキの一番下に戻すことができる。俺は【セリオンズ“キング”レギュラス】を手札に加え、アルギロ・システムをデッキに戻すぜ‼︎」
睨んでいる瞳がデフォルメな光の球体が、日が昇るかの如く再び姿を現した。その球体の中から1枚のカードが生成され、渡しているかのように俺の元へと渡ったのを確認したのに合わせ、日が沈むかのようにその場から消えていった。
「
デュエルディスクから再び青い電撃が流れる演出が発生し、それに合わせるように俺はカードをドローした。うーん……よく見りゃあデュエルディスクから電撃が出るビジョンって本当に故障かと思っちまうな。ヤベー。
「お、こいつは丁度良い。たった今ドローして出た速攻魔法【ツインツイスター】を発動‼︎ 手札を1枚捨てることで、フィールドの
俺が手札を捨てたのに合わせ、今出ている全てのモンスターの中で1番背の高いであろうアラシアよりも長い竜巻が、高い風圧の暴力で【ブランチ】と【補給部隊】のカードを押し飛ばそうとする。
無論、半次にこの効果に抵抗する手段がないままで何も起こらないわけもなく、2枚のカードは耐え切れずにガラスのように砕け散っていった。
「つ、次のターンの布石まで作らないつもりか……⁉︎ ど、どこまで僕を蔑ませば気が済むんだ……‼︎」
「そのために色々とやってるわけじゃないんだけどなァ……」
ってか妨害が飛んでくることなんてOCG界でもアニメ世界でも一緒じゃねェか。妨害される機会がOCG界の方が多いだけであってさぁ。いや、OCGの事なんてこの世界では知ったこっちゃないけどさ。
「手札の【セリオンズ“キング”レギュラス】の効果発動‼︎ 自分の墓地の【セリオンズ】モンスターか機械族モンスターを装備しながら特殊召喚できる‼︎」
俺がそう宣言すれば、天井から円盤の形をした光が発生し、そこからフィールドを覆い尽くすように発光した。
「眠れる獅子の機構王よ‼︎ 星座の煌めきに導かれ、偉大なる姿と勇志を見せよ‼︎ 見参せよ、【セリオンズ“キング”レギュラス】‼︎」
そうカッコ良く召喚口上を言いながら、俺はデュエルディスクにレギュラスのカードをセットし、天の光から何かが舞い降りて………………
「………………」
「………………」
……アレ?
「舞い降りて来てねェ……」
顔を引き攣りながら、俺は思わずそう呟いてしまった。いやホントになんで⁉︎ なんでなのレギュラスゥ⁉︎ なんでいつまで経ってもフィールドに降り立ってきてくれないのさァ⁉︎
「ハ、ハハ……な、なんだァ⁉︎ ここまでやっておいてデュエルディスクの故障か⁉︎ 最後の最後でお前の方が運がなかったようだなァ‼︎」
「さっきまで怯えてた癖に急に調子に乗るな‼︎ 不戦勝は実質勝っても負けてもないのと一緒なんだよ‼︎ ってかデュエルディスクが故障してたなら自動的にデュエルが中断されるだろ‼︎ そういうシステムになってんだろ‼︎」
「エッアッハイ……」
思わず怒声でできる限りの正論をブッパしたら、さっきまで無理矢理調子に乗ろうとした半次がまた委縮してしまった。その……なんかすまん、別に怖がらせるつもりはなかったんだよ。
って、んなことを心の中で言ってもあまり意味はないか。ちゃんと声に出して言っとかないと。そう思いながら、俺が口を開こうとした……その時だった。
『遅くなってすまないね‼︎』
天から何やら漢気溢れる大きな声が、俺の耳に響いた。
『だがもう大丈夫‼︎』
さらに声が聞こえたのと同時に、天から何かが瞬時に急降下してきた。地面に当たったのと同時に大きな震動が発生し、突風や莫大な砂埃も起こり俺達の視界を遮る。
『何故かって?』
映像投影での演出なのに反射的に閉じてしまった瞳を開けてみれば、砂埃の中に巨大な体躯の人影が見える。突風によってマントを靡かせながら、その人影は右腕らしきものを天に掲げるように真っ直ぐ伸ばし───
『私が来た‼︎』
砂埃が晴れたのと同時に高らかに叫んだ。ってか。
「「うるさっ‼︎ ………………えっ?」」
鼓膜に強く響く程の声量が出ていたため、俺が思わずそう叫んだ……のと同時に、半次も俺と同じセリフを叫んでいた。今の鼓膜に響いた声は、
しかも。しかもだぞ。ふと周りを見回したり耳を傾けたりすれば。
「イッテェ〜‼︎ なんだなんだ⁉︎ どっからデカい声が聞こえてたんだ⁉︎」
「クッ……誰だ‼︎ この万丈目様が勝利目前の状況にいるという中で大きな声を出した奴は‼︎」
「な、なんだったんだ今の声は?」
「耳が痛い……」
「誰が叫んでたんだ?」
「にしても声、デカかった……」
「お、思わず響く前に耳を塞いだから酷くはならなずに済んだが、今のは一体……?」
「あ、頭までもがガンガンしたっす……お、思ったよりもあっさりと痛みが引いたけど……」
「オ、オウ〜……あ、頭と耳にゴングが鳴り響いているノーネ……」
デュエル中の十代や万丈目、他のオベリスク・ブルー生徒。観戦していた他の生徒達、クロノス先生の耳にまで響いていたらしく、それぞれが先程の声に対する様々な意見を呟いていた。
ちなみに先程の声の正体。それは……
【セリオンズ“キング”レギュラス】
ATK:2800
DEF:1600
俺がさっき特殊召喚したこのモンスター──カードの精霊の1体【セリオンズ“キング”レギュラス】が発したものである。
藍色の腹筋部分に青い光線模様が描かれた白銀のボディの上に、黄金の膝当て・腰当て・右肩に刺が付けられており、左肩は金色の縁が描かれた藍色のパーツとなっている。さらに腰にはチャンピオンベルトと思われるものが装着されており、全てのパーツよりも一段と煌めかせていた。
獅子の鬣にも燃え盛る炎にも見える髪のパーツがついた小さな顔から深緑色の瞳を輝かせ、それよりも二周り大きい紅い拳を掲げ人差し指を突き出し、赤いマントを靡かせながらポージングを取っていた。
ってか、さっきのレギュラスの声、精霊が見えず声も聞こえないはずの者達にまで響いてしまうとかどういうこと? まさかデュエルディスクの故障……わけがないよな。じゃあどうしてみんなの耳に聞こえたんだ? まさかそういう能力……?
つーか、何故何処ぞのジャンプの某ヒーロー漫画の人気キャラの名台詞を発したんだこいつは? そのアニメでも観たの?
『さぁ王辻少年‼︎ このデュエルで私達の勝利を輝かしく飾ろうではないか‼︎』
「モ、モンスターが喋った、だと……⁉︎」
『おっと、そこの青い制服の少年よ‼︎ これは王辻少年のデュエルディスクに施された、私が出た時のみ発生するシステムなのだ‼︎ なので怪奇現象ではないぞ‼︎ 決して‼︎ なので気にせずかかってくるがいい‼︎』
何そのシステム初耳なんですけど。そんなシステムあるだなんて全然聞いてないんですけど。何その超限定的なシステム。改造する意味あるゥ?
ってか、この状況でこいつが出た時点で、このターンで決着がつくの確定なんですけど。伏せカード次第で。
「とにかく……後はレギュラスの効果によって対象に取った【セリオンズ“デューク”ユール】を装備し、攻撃力を700ポイントアップ。そしてユールの効果により、【セリオンズ】モンスターを効果破壊から守る効果を付与だ。まぁもっとも、この効果は既にボレアが装備した1体目のユールによって既に付与されているけどな」
『HAHAHA‼︎ ユールよ、君の力を貸してもらうぞ‼︎』
【セリオンズ“キング”レギュラス】
ATK:2800 → 3500
レギュラスの元に金色の翼らしきエネルギータンクが1人でに浮遊しながら現れ、それが背中に装着され炎を噴出する。さらにはペンチアームらしきものが肩に装着され、そこからも炎を放出。レギュラスの力を増幅させる。
「フィールド魔法【円盤闘技場セリオンズ・リング】を発動‼︎ 発動処理としてデッキから【セリオンズ“ブルズ”アイン】を手札に加える‼︎」
黒い火山が現れ、さらには青白い機械質な円盤型の闘技場が浮かび上がる。その闘技場から1つの球体が落ちて1枚のカードとなり、俺の手札に加わった。
「手札の【セリオンズ“ブルズ”アイン】の効果発動‼︎ 墓地の【
【セリオンズ“ブルズ”アイン】B
ATK:2100
DEF:1600
朱い闘牛を模したロボットが自身の脚となるタイヤで爆走しながら現れ、斜めスライドにブレーキを掛けながら自身の持つ槍を振るった。
そのモンスターは既に【
「そろそろバトルフェイズに入るぜ」
「ッ……‼︎」
俺がバトルフェイズに入ったのと同時に、半次がまたもや恐怖を感じているかのような表情を見せてきた。負け濃厚とか嫌だもんね、仕方ないね♂
「俺は【セリオンズ“リリー”ボレア】で【ジェムナイト・ジルコニア】を攻撃‼︎」
ボレアが背中のエネルギータンクを噴出させ、ジェットパックを起動させたかのように前進し始める。何本かスカート部分に隠れていた茨の鞭も全て見え出し、前方にいるジルコニアを攻撃しようとする。
「まだだ……こんなところで、ブルーに入ってすぐの試験デュエルなんかで……俺より階級の低い奴なんかに、負けてたまるかァァァ‼︎
ミラー・フォースじゃなくてエアー・フォースかい。ミラフォならぬエアフォかい。多分前のターンではアクアマリナの効果を発動させるために敢えて発動しなかったんだろうけど、まさかミラフォじゃない全体除去カードを使ってくるとは思わんやん……
そんな事を考えている間に、ボレアとジルコニアの間に荒れ狂う黄緑色の風の障壁が発生。鞭かペンチアームからの炎が当たってしまえば、突風によって生まれる奔流によって俺のモンスター達は手札に行ってしまって攻撃できなくなるし、名称ターン1によってメインフェイズ2でアラシアしか呼ぶことができなくなるが……
「悪いが、
「そ、そんな……ッ」
2体のモンスターの間に割って入るように、マントを翻し背中のエネルギータンクの炎を噴出させながら、レギュラスが飛び上がって来た。その時の彼の身体は、淡くゆっくりと点滅させながら光を放っていた。
「2枚目の【セリオンズ“リリー”ボレア】を墓地に送り、エア・フォースの効果を無効にする‼︎
『むんっ‼︎』
やがて全身からその場を覆い尽くす光が放たれる。2体の【ジェムナイト】は思わず巨腕や盾で視界を守り、半次も反射的に腕で目を隠した。それに合わせるかのように、その光に当たった風の障壁は何の力を働くこともなく覆われながら消滅していった。
「エア・フォースの効果は無効になり、俺のモンスター達は手札に戻らなくなった‼︎ よってボレアの攻撃続行だ‼︎」
『ボレアよ、後は任せたぞ‼︎』
この場を覆い尽くす光が晴れたかと思えば、ボレアは既にジルコニアの目の前にまで接近していた。それに気づいたジルコニアが拳を振るいボレアを殴り飛ばそうとするが、時既に遅し。
胴体に突きつけられたペンチアームから放出された炎の圧に押し飛ばされ、追撃として複数の鞭に鎧を殴打されまくり、やがてジルコニアの身体は爆発を巻き起こして消滅していった。
「ッアアアッ‼︎」
半次
LP:4000 → 3800(3100 - 2900 = 200)
「続けて【セリオンズ“エンプレス”アラシア】で【ジェムナイト・プリズムオーラ】を攻撃するぜ‼︎」
アラシアの背中に配線で付けられていた遠隔砲台から藍色のレーザーが放たれ、プリズムオーラ目掛けて迫っていく。プリズムオーラは自身の持つ盾で防いだり剣を振るって弾いたりと、交互に手段を変えて被弾を防ごうとするも……
次々と放たれたレーザーを全て対処したプリズムオーラの目の前に、距離を詰めていたアラシアが眼前で睨みを利かせてきた。その睨みにプリズムオーラが一瞬の怯みを受けたのに合わせ、アラシアが鉤爪を立てながら顎に一発。そして巨大な尻尾でプリズムオーラの身体を地面に叩きつけた。
「ぐあああっ‼︎」
半次
LP:3800 → 3150(3100 - 2450 = 650)
尻尾を叩きつけた衝撃で巨大なクレーター(のソリッドビジョン)が発生。それに合わせて反射神経で半次が悲鳴を上げる。先程まで叩きつけられていたプリズムオーラは既に光の粒子となって霧散しており、その場にはいなかった。
「まだまだァ‼︎ 今度は【セリオンズ“ブルズ”アイン】でダイレクトアタックだ‼︎」
自身の脚のタイヤを爆走させ、半次に近づいたのに合わせて彼の足元に槍を突き刺すアイン。その時の衝撃でクレーターのソリッドビジョンが発生し、同時に吹き荒れた突風がまた半次に反射的に悲鳴を上げさせた。
「うあああっ‼︎」
半次
LP:3150 → 1050
「こいつでトドメだ‼︎ 【セリオンズ“キング”レギュラス】でダイレクトアタック‼︎」
レギュラスが身体を右に捻り、拳を強く握り締めた。するとふと、その拳から淡く紅い光が発し、腕半分をも覆い尽くした。さらには力を籠め集中させているためなのか、レギュラスを中心に風圧が漂い出し、マントを激しく靡かせる。
「いけ、レグルスインパクト‼︎」
『DETROIT SMASH!!!!!』
それ絶対○ール○イト意識しとるだろ⁉︎ やめろ俺が攻撃名を間違えたように見えるから‼︎
力の籠ったストレートパンチが、半次に目掛けて放たれる。右腕を伸ばし拳を突き出したのと同時に、凄まじい突風が体育館全体に吹き荒れた。
ソリッドビジョンにより実際に拳が当たることがないとはいえ、このまま巨腕に殴られるかのような状況に遭えば、半次も思わず吹っ飛ばされたかのように後ろへ豪快に転げ落ちるだろうが……
「ッ………………………………えっ?」
レギュラスの拳は、半次の顔面近くで制止した。つまり殴り飛ばされるという錯覚は起きず、半次も吹っ飛ばされるという大きいリアクションをすることもなく、ただ唖然とするだけだった。
半次
LP:1050 → 0
まぁ、一応攻撃を行った判定にはなっているから、今ので俺の勝利は確定しているんだけどね。
けど……さっきまであんだけ負けるわけにはいかないと叫びまくっていた半次は今、負けたのに寸止めの攻撃に呆然としているんだよね。でもそうなっちゃうのも無理もない。俺が半次と同じ立場だったら同じ反応するし。
言っとくけど俺は別に攻撃の仕方の指示とかはしてないからな? いつの間にかデュエルディスクに付けられた機能によるものだと思うからな? 訴えんといてくれよ?(なんでだよ)
『……成長ある若者の人生を、過大な暴力で狂わせたりはしない』
呆然としたままの半次に対し、腕を下ろしながらそう呟く。その声に半次は我を取り戻したのか、レギュラスを見て目を見開いていた。
『非常なる悪意で無ければ無益な怪我はさせず、対象の正しい道を突き進ませるための道標を作る。それが、私の
マントを翻しながら半次に背中を向けたレギュラス。ってかソリッドビジョンによる行動なのに闘い方に拘りがあるのか……ま、リアルファイトならその闘い方というものが役立つだろうけどね。
いやリアルファイトしてたまるか。ってか起きてたまるか。ここは
『……少年よ』
「えっ? あっ、俺か? な、なんだ……?」
『君のその放漫さは良くなかった。だが、君の【ジェムナイト】デッキに対する想いは、言葉にしなくとも私には伝わってきている』
は? こいつ、もしかして自分のデッキ──【ジェムナイト】デッキの事を大切なデッキだと思ってたのか? 正直ブルー生徒ってほとんどが強いカードならばなんでもいい、みたいな感じかと思ってたけど、こいつは違うのか……?
『しかし、君が高い階級に甘んじ他人を嘲笑うその態度を見て、君のデッキが応えてくれるわけがない。故に、王辻少年とのこのデュエルで負けたのだ』
「ッ……‼︎」
あ。今、図星となることを指摘した。確かに半次はブルーだから、自分は強くてそれより下の階級の奴は弱いと思い込んでいる発言をしてたもんな。GXテンプレだけど。
そして階級の低い俺と闘った結果、負けた。与えたダメージも僅かの100。除去できたモンスターもたったの1体。こんなにも屈辱的なことはないはずだ。俺なんか前世ではノーダメージノー除去で負けたデュエルもあったからな、さすがに完全に同情できる。
否定できない事実を言われたのか、半次は膝をつきながら俯き、顔に影を落とした。表情は見えないが、怒りの感情はないように感じた。でなきゃ今この場で逆上してさらに恥をかくことになってただろうしな。
『少年よ‼︎』
「⁉︎」
唐突に、レギュラスが叫んで呼びかける。その声が鼓膜に響いたのか、半次は目を見開きながら顔を上げた。先程までの鬱な感情を無理矢理変えられたかのようだ。
『君が何故デュエルをしているのか、何故アカデミアに入ったのか、まずはそれをよく考えておくことだ。それを思い出した時、君はデュエリストとしての真価を発揮することだろう‼︎ それを私は願おう‼︎』
……えっと……これって、レギュラスが半次の事をフォローしてくれているってことか……? さすがに俺はあいつみたいな奴にどのようなフォローをかければいいのかなんて思いつかねェから、アレが正しいのかすらわかんねェな……
そう考えていたら、レギュラスは既にカードの姿へと戻っており、半次もデュエルコートから降りていたため、俺も『昇格する気はないのでラー・イエローのままでお願いします』とクロノス先生に伝えてから急いでその場を後にするのだった。
半次が落ち込む様子のなく、何やら深刻そうに考えているかのような表情をしていたのを、尻目に見ながら。
レギュラス、どうしてもイラストからの出で立ちとヒーローらしい風格からオー○マイ○を連想してしまう……
ところでぇ、今回もプレミがあるのか何かで?