OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜 作:名無しのモンスター
月一試験が終わってからしばらく経った。ちなみに昇格の辞退は通してくれた。原作通り十代が昇格を蹴ったんだし、これが罷り通らないわけがないもんな。
あの試験から俺は、実技デュエルの授業で使用するデッキに純【セリオンズ】を追加し、わざとなるべく不利な状況に持ち込まれてからの逆転勝利をするという形で全勝していった。さすがに完全試合みたいなのを毎回やったらさらに目立っちゃうからね。自制自制。
ちなみにあの日以来、三沢は前向きに【ウィッチクラフト】デッキを作ることにしたそうな。女性への耐性を強くするための一環としても使う必要があるとのことだ。
じゃあ俺が【ティアラメンツ】デッキを使ってお前と戦ってた時や、翔を助けに来た時に女子4人と邂逅した時は、心境的にどうだったんだって話にはなるけどね。なんで表面的には平気だったんだ?
後、テスト勉強の時から仲良くなった神楽坂とは、彼のデッキの強化・調整に関しての相談に乗ってあげていた。どのカードを入れればいかに
本当は他人のコピーではなく自分自身のデッキを作るべきなんだけど、結構な相違点のある感じに作るのだったら……って甘くなっちまった。てへぺろ。
ってなわけで、アカデミアお休みの日に神楽坂のデッキの相談に今日も付き合ってあげていた時の事だった。
「そういえば、十代達レッド寮の3人が何やら噂を聞いたみたいだぜ」
「噂って?」
「あぁ。「それってハネクリb」なんでもこのアカデミアには、森の奥に今は誰にも使われていない廃寮があるらしいんだ」
なんかさらっとホラーの話を持ち掛けてないか? 急にそんな話するのやめてもらってもいいッスか? 今、夕方とはいえもうちょっとで夜になりそうなんだけど。まぁ原作の流れがあるだろうから聞くけど。
神楽坂が広場で十代達レッド寮の3人から聞いた話によると、そこはかつて特待生寮だったのだが、そこで行方不明事件が起きたり闇のゲームに関する研究をしていたりとか……で、廃寮の事が気になって仕方がないと思った十代が、今夜行ってみるつもりだそうだ。
「……で、それを聞いたお前はこれからどうすんだ?」
「夜になったらそこへ行って、十代達が来たら入るなと注意して戻ってもらうようにするつもりだ。あそこは絶対立ち入り禁止の場所になっていそうだし、下手したら入って退学になるかもしれないからな。俺はあいつらみたいな面白い奴が、退学でアカデミアを去ってしまうのはもったいないからさ」
止める側なのか。ま、それもそっか。危険地帯にわざわざ足を踏み入れるという馬鹿な真似をする奴を、同じアカデミア生徒として放っておくわけにはいかないもんな。
それに……原作通りの流れからすると、あそこでは確か、十代とcv.若本の奴が闇の
それでもデマとはいえ、(訳あって本物のをやる羽目になるけど)闇のデュエルを仕掛ける奴は放っておけない。どうにか対処しなければな。
「よしわかった、俺も付き合うぜ。念のため、先生にも注意してもらうために同行をお願いしてみるよ」
「おう‼︎ わざわざ悪いな翼、助かるぜ‼︎」
さてと……早速この事を
「(……で、何故ティルルは俺のベッドの中で蹲っているんだ?
『さ、さすがに精霊とは無関係なホラーものの話は苦手なんですよぉ……‼︎ い、今にも泣き出しそうです……‼︎』
「(あ、そうなんだ……)」
♢
そして夜。俺と神楽坂は十代達を待ち伏せすべく例の廃寮へと先回りしていた。
「ここがかつて、行方不明になった特待生が使っていた廃寮か……」
見た目は洋風の館っぽいが、壁ははがれてるわ窓は割れてるわで、結構ボロボロとなっているな。どうしてそこまでボロボロになってんだこの寮は。原作にわかな俺が思うに2年ぐらい前に廃寮になってただろうとはいえ、2年程でそこまでになるとは信じ難いなァ……
「晴田先生もわざわざ同行していただきありがとうございます」
「いえいえ。私も教師ですから、生徒の危険な行為を見過ごすわけにはいきません。ここへ来た遊城君達にはしっかりと注意せねば」
そして十代達に注意を促すために同行することになった教師が、晴田 阿良芽こと【聖殿の水遣い】だ。彼女は他の教師となった精霊達と同じく俺と仲が良いし1番まともそうで、彼女なら十代達に対して最善の対応をしてくれると思って、同行を頼んだんだ。
「それにしても、まさか本当に廃寮があったとは驚きでしたね。私は今年初めて赴任したので知りませんでした」
「しかも廃寮になった事件も起きたとか……何故学園はこの事を報告しなかったんでしょうか?」
「公に明かせば混乱を招かねないと、学園側が判断したのでしょうね」
いや、この日までに行方不明事件の事を黙っておく方が、結構な混乱を招かねないと思うんですが。バレた方が結構な責任追求を問われるぞデュエル・アカデミア。何故黙ってる。
「お、着いたぜ……って、誰かいるな?」
と、坂ら辺から聞き覚えのある声が聞こえてきた。その方向へと振り向けば、そこにはこちらというか廃寮へと向かって来ていた、懐中電灯を持っていた十代・ビクビクとしていた翔・意外と肝が据わっている様子隼人の3人がいた。
「よ、十代」
「翼。それに神楽坂に晴田先生まで……一体どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもないだろ。この先は立ち入り禁止の施設があるんだぞ、退学になる前に早く帰れ」
俺が気軽に十代に挨拶し、十代が何故俺達までこの廃寮にいるのかと問いかけてくる中、神楽坂が3人にこの場から立ち去るようにと促してきた。
「えっ⁉︎ も、もしかして……ボク達が廃寮を見に行こうとしていたのを知ったの⁉︎ な、なんで⁉︎ この事はボク達しか知らないはず……」
翔、自分達以外に廃寮に行くことを知られてないと思っていたのか、そして脅迫などされたりして退学になるのではないかと困惑した。まぁ、教師である【聖殿の水遣い】もこの場にいるわけだしね。
「偶々広場でそういう話を聞いていてな。翼と晴田先生に相談して待ち伏せしていたんだ。ホラ、お前達なら廃寮に入りそうだからな」
「「ウッ⁉︎」」
「あちゃ、バレてたか」
はい図星確定。ってか約1名はもう白状してるようなもんだし。
「ボ、ボクは入る気なんてないっすよ⁉︎ 大体廃寮なんて危ない施設に入る勇気なんて……」
「お、俺はスポット程度なら平気だからってことで、十代に合わせてたんだな……」
なるほど、2人とも十代の好奇心に押し負けた感じに十代の後をついて行ったってわけか。ってか隼人、お前はホラーにはある程度の耐性があったんだな。意外だ。
「ま、そういうわけだ。立ち入り禁止の場所に入って退学になるってことになりたくなければ、神楽坂の言う通り早く帰───」
「そこにいるのは誰⁉︎」
「ふぉぉぉっ⁉︎」「「ヒィィィィィィッ⁉︎」」
俺がさらに十代達に帰るようにと促そうとしたところで、突然【聖殿の水遣い】のものではない若い女性の叫び声が耳に響いてきたため、俺・翔・隼人の3人は思わず悲鳴を上げてしまった。
「誰だ‼︎」
十代、お前が1番肝が据わっているんだな。神楽坂も【聖殿の水遣い】もビクリと驚いて身を強張らせていたのに、俺達以外の人が見当たらない状況で叫ばれても動じないなんて……
そんな事を考えていたら、ガサガサと音を立てながら揺れた草むらの奥から人の姿が見え始め、十代がその方向に向けていた懐中電灯の光によって、影のように隠れていた姿がはっきりと俺達の目に映し出された。その正体は……
「明日香か」
俺達の見知った奴だった。ま、そうなんじゃないかとは思っていたけどな。
「貴方達、なんでこんなところに? 晴田先生まで……」
「それはこっちの台詞だぜ、明日香」
「俺達と先生は廃寮に行こうとした十代達に引き返すようにと伝えていてな。あそこは行方不明者が何人かいるんだろ?」
明日香が何故俺達がこの場所にいるのかとキョトンとしていたら、神楽坂が説明に入った。そして翔と隼人は気まずそうに顔を明後日の方向に向けていた。知り合いに自分達が危険な行動をしようとしていたことがバレたらそりゃあな。
そして神楽坂が廃寮での行方不明者の有無を聞き出せば、明日香は悲しそうな表情をしながら頷いた。やはり行方不明者はいたようだな。じゃないと廃寮なんて存在しないはずだ。
「先生がいるってんなら入るわけにはいかないけど……そんな迷信、信じないね」
「先生がいなきゃ入るつもりみたいな発言やめろ。ってかいなくても入ろうとするな」
ってか教師の目の前でそんな発言すんのやめろよ。一層ここの警備を強くしないといけなくなるんだから。まぁそうした方が二次被害とかが起きないけどな。
「迷信なんかじゃないわ‼︎ 本当にここは危険なのよ‼︎ 神楽坂君達の言う通り引き返して‼︎」
おぉうっ⁉︎ ビ、ビックリした……明日香の奴、結構声を荒げていたようだ。いつも彼女らしくない様子だ。口調もいつもより強めだし。
「ど、どうしたんだよ明日香? らしくないぜ?」
さすがに心配になってきたのか、十代が何かあったのかと明日香に問いかける。すると明日香は先程よりも悲しみの籠った表情で俯き、口を開いた。
「───私の兄が……ここで行方不明になったのよ」
空気がかなり重くなったように感じた。そういえば明日香には兄がいたんだっけか。確か名前は……
「天上院さんのお兄さん……もしかして天上院吹雪君の事ですか?」
「!? 先生、兄さんの事を知っているのですか⁉」
うおっすごい食いつきだな。行方不明の自分の兄に関する情報について知ってる人がいると、そこから彼の行方が何処にいるのかと思い込んでしまうのも無理もないな。けど、俺が思うには……
「あっ。い、いえ……つい先程、行方不明者の中にはどんな人がいるのかを軽く調べただけですので、知っているのは名前だけで……」
「そ、そうでしたか……すみませんでした、取り乱して……」
「いえ。天上院さんのお兄さんも巻き込まれているというのでしたら、より一層その事件について調べる必要があります」
やはりというべきか、【聖殿の水遣い】が持っていた情報は行方不明事件に対してちょっと小突いた程度だけだったため、名前しか知らない模様。その事実に明日香は謝罪しながらも落胆するしかなかった。そんな彼女に、【聖殿の水遣い】が優しく両手を彼女の肩に置きながら優しく語り掛ける。
「天上院さん。私の方からでも、他の先生方と一緒にお兄さんについて調べておきます。なのでそんな顔をしないでください」
「先生……はい、ありがとうございます」
心無しなのか、明日香の表情に軽い笑顔が浮かんだかのように見えた。この対応だけでも彼女の心の支えにはなったことだろうな。
「……はい、この話は終わりです‼︎ 消灯時間が近づいていますので、皆さんそろそろ部屋に戻りますよ」
話の区切りがついたと思ったのか、【聖殿の水遣い】が俺達にそれぞれの寮へと戻るように促した。でも興味津々な十代の事もあるしな、念のためレッド寮での監視をお願いしてみるとするか───
ビー‼︎ ビー‼︎ ビー‼︎ ビー‼︎
「「「「「「⁉︎」」」」」」
な、なんだァ⁉︎ 突然サイレンみたいな音が響いてきたんだが⁉︎ 俺達廃寮の中には入ってないぞ⁉︎ 一体何が……
『
ぶ、部外者が侵入してきただとォ⁉︎ しかも廃寮の中にって、俺達のすぐそこ………………あっ(察し)
「し、侵入者⁉︎」
「しかも廃寮付近って、俺達の近くなんだな⁉︎」
「それにアカデミアの外からって、一体どうなってるんだ……?」
「とにかくまずはこの場から離れることが先決です‼︎ 行きますよ‼︎」
皆が突然の事に戸惑いを見せる中、【聖殿の水遣い】が冷静な状況の判断で誘導してきたため、俺達はそれに従うことにした。
とりあえず……侵入者相手が誰なのかは察したし、心の中でこう伝えとくか。南無三。
♢
「クソォッ……‼︎ 何故だ、何故私の存在がバレたのだァッ⁉︎」
一方その頃、夜の茂みの中を掻い潜りながら、1人の仮面を付けた黒ずくめの大男が廃寮から離れようとしていた。
彼の名はタイタン。『闇のデュエリスト』という触れ込みで仕事を請け負っている、闇社会の男である。
彼は十代を退学させようとするクロノスにより給料3か月分の代金で雇用され、『立ち入り禁止となっている廃寮への侵入』を作り上げるために、囮として兄の手がかりを求めて廃寮に来ていた明日香を拉致して十代をおびき寄せようとしていた。
しかし、それは作戦実行前から破綻する羽目となった。何故かアカデミア側から自分がこの場にいたことがバレ、服装の指定やけたたましいサイレン音も相まって作戦どころではなくなったのだ。
よって、彼は一度その身を隠す他なかった。このままアカデミアの外へと避難──逃げ出すという選択肢もあるのだが、依頼主から代金で雇用されたからには仕事をやり遂げる必要があると思っているようだ。
「一体誰が私を見つけたのか、誰が通報したのか、それを調べる必要もあるのかァ……? いや、今は一度向こう側に隠れ、奴らの様子を窺うべきだなァ……‼︎」
悪態を吐くことを堪えながら、タイタンは警備隊や他のアカデミアの者達の視界に入り追走されることを避けるべく、森の奥下にあった岩山の傾斜を滑り洞穴へと入っていった……その時だった。
「おっと、見つけた」
その声が聞こえ、タイタンが洞穴の影で自分の姿が見えなくなる寸前の場所まで移動していたのと同時に、突如赤く細長い光線式のワイヤー──手錠が、タイタンのデュエルモードがOFFとなって展開されていないデュエルディスクを掴む。
「ぬぅぅぅっ⁉︎ な、なんだこれはァッ……⁉︎」
さらにはプログラミングされているかのような音が流れたのに合わせ、デュエルディスクを強制的にデュエルモードに変更させた。
「クッ……は、外れん……‼︎ しかも、デュエルディスクのモードを変更できんだとォッ……⁉︎」
ここで捕まるわけにはいかないと、タイタンはどうにかして手錠を外そうとするが、引き抜くことも叩いて壊すことも叶わず、デュエルディスクのモード切り替えも解析不能のシステムによって出来なくなっているため、タイタンは焦りを見せ始めた。
刹那。
「無駄だよ。これはデュエルアンカー。デュエルが終わるまで絶対に外れない仕様になっているのさ」
「ッ⁉︎ 誰だァッ⁉︎」
手錠──デュエルアンカーと呼ばれたそれが放出された方向から、好青年らしくも大人びた声が聞こえてきた。その方向にタイタンが振り向けば、そこには白を基調としたスーツに黄色いネクタイを着込んでいる、片眼鏡を付けた緑髪の青年がいた。
彼は既にデュエルディスクを展開しており、
その青年は向かい側の岩壁に立ち、タイタンと対峙する位置に立った後、彼に向けて微笑みを浮かべた。
「はじめましてだね、侵入者さん」
爽やかな笑みに、優しさのある美声。何もかもを抱擁しそうなその対応の仕方に安心感を覚えさせるも、何処か裏がある……そう感じさせていた。
「ボクは亜鈴 九郎。このデュエル・アカデミアに今年入ったばかりの数学担当の教師さ」
「きょ、教師だとォ……⁉︎」
「部外からの侵入者が来たと聞いて捕獲するために探し回ったんだけど、人目のないところに行ってみて正解だった」
裏の読めない相手に警戒するタイタンを余所に、教師と名乗る青年──亜鈴は淡々と話し始める。自分が何者なのか、何故この場所にいるのか、それを簡略化した文で分かりやすく優しく。
「今から君がすべき事はいずれか2つに1つだ。このボクにデュエルを挑んで勝ち、デュエルアンカーの解除を狙うのか。それともこのまま警備隊に捕まるのを待つか。あ、ボクを殺しても無駄だよ。そんな事したらデュエルが出来なくなって一生デュエルアンカーを解除できなくなるから」
「お、おのれェ……」
その反面の性格をも染み出すかのように、亜鈴は選択を迫る。システム通りにデュエルをして、勝って解放された後に逃走を続けるか。はたまた別の手段でデュエルアンカーを外そうとして、余計な時間を喰って警備隊に捕まるか。どちらに転じようとも、タイタンにとっては苦渋の決断になるものばかりだった。
結局、タイタンが取る選択肢はただ1つ。デュエルに勝ってデュエルアンカーを解除、そしてすぐさま逃走を続けることだ。ならば早急に倒せばいいだけの話。そう判断したタイタンは冷静になり、強制展開されたデュエルディスクを構えた。
「……いいだろォう。貴様のデュエル、受けて立とうではないかァ……ただし、闇のデュエルでなァッ‼︎ 我が名はタイタン、闇のデュエリストだァッ‼︎」
己が行うデュエル──闇のデュエルによるものでの承諾をしたタイタンが、高らかにそう語る。
「やっとその気になったようだね。さぁ足掻いてみなよ、闇のデュエリストさん?」
その微笑みは、クールながらもまるで非日常を追い求める若者のような笑みだった。
「「
亜鈴
LP:4000
タイタン
LP:4000
次回はオリ主以外がデュエルをする回となります‼︎ お楽しみに‼︎