OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

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?「廃寮とか呼ばれてたこんなところに、なんか面白そうなデカい男が入ってたからついて来たったw なんか関係ない奴らまでこの空間にいるんだけど……ま、えぇか()」
 


霊使い召喚獣vsデーモン(後編)

 

「な、なんだ一体?」

「こ、これは……何が起こったのだァ……?」

「嘘だろ……? なんで俺達はこんなところにいるんだ?」

「アラ? 丸藤君に前田君、天上院さんに神楽坂君はここにいませんね?」

「……どうやら、ボク達だけがこの空間に入れられてしまったようだね」

 

 あ……ありのまま、今起こったことを話すぜ‼︎

 この俺・王辻翼は、神楽坂と晴田先生こと【聖殿の水遣い】と一緒に廃寮に行こうとした十代達レッドトリオを止めようとした。ついでに明日香とも鉢合わせした。

 そしたら移動先で亜鈴先生ことアレイスターがタイタンとデュエルしていたのを目撃し、いつの間にか十代・アレイスター・【聖殿の水遣い】・タイタンの5人で上下左右黒一色の不気味な空間にいた……

 な……何を言ってるのかわからねーと思うが、俺達も何をされたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……

 場面転換とか、テレポートとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ……もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 

 いやホント、なんだよこれ⁉︎ なんかいつの間にか俺達はこんなところにいたんだぞ⁉︎ さっきまで崖岩にいたはずなのに……‼︎ ホントに突発的にこんな背景真っ黒な場所に飛ばされたんだぞ⁉︎ そのせいか地面に足がついてるのにそんな気がしない……‼︎

 

「タイタン‼︎ お前性懲りもなくまた何か企んでるな⁉︎」

「ち、違う‼︎ 私は何もしていなァい‼︎」

「だろうね。じゃなきゃ最初から本物の闇のデュエルを実行できていただろうし」

 

 このような状況を作ったのはタイタンではないかと悟った十代がタイタンに問い詰めるも、それは間違いだった。タイタンも何が何だかって感じで、アレイスターも彼は絶対違うだろと言うような発言してるし、俺もそんな気はしてたぜ……

 

「‼︎ みなさん、その場から離れてください‼︎」

「「「ッ⁉︎」」」

 

 何かに気がついた【聖殿の水遣い】に呼びかけられたのと同時に、俺達の視界の先に何かが蠢いているのが見えた。

 それは、まるで黒いスライムのような何かが複数。それらはだんだんと形を変えていき、鋭い目と鋭利な黒い爪を持った怪物となった。その怪物達が俺と十代に目掛けて襲い掛かろうとするが……

 

『ご主人様‼︎』

『『マスター‼︎』』

『王辻少年‼︎』

『クリー‼︎』

 

 俺達の身の危険を察知したのか、【ドラゴンメイド・フランメ】となったティルル・【ティアラメンツ・カレイドハート】となったレイノハート・キトカロス・レギュラスが俺を、ハネクリボーが十代を守るように出現。

 そして各々が身体から放つ光が怪物達を押し返し、その場で光の粒子へと変えて消滅させていった。

 

『『大丈夫ですか、ご主人様(マスター)‼︎』』

「あ、あぁ……サンキューみんな、助かった……」

『穢らわしい姿でマスターに近寄るな、雑魚が』

『少年には指一本すらも触れさせはしないぞ‼︎』

 

 お、おうおう……ウチの精霊達、あまりにも頼もしすぎるだろ……俺に傷1つも付けさせないというその意志の強さ、あまりにも尊敬しちゃうよ……

 

「へへっ……助かったぜ、相棒」

『クリクリー‼︎』

 

 ハネクリボーもその小さな体で十代を怪物から守ってくれただなんて、感激したぜ……‼︎

 

「な、なんだ一体ィッ⁉︎ く、来るなァッ‼︎ やめっ、あああァッ⁉︎ た、助け───」

 

 あ、ヤベッ。タイタンの事、忘れてた。気がついた時にはもう既に遅し。タイタンの身体は次々と飛び掛かってきてスライム体となった何かに飲み込まれていき、やがてスライムしか見えない状態になってしまった。

 

「タ、タイタンが……⁉︎ あっ‼︎ 亜鈴先生、そのヒモみたいなの取った方がいいぜ‼︎ もしかすると、このままだと先生も───」

「取り込まれることはないよ。いや……()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 十代がデュエルアンカーを外すようにとアレイスターに呼びかけるも、彼はその必要はないと即答する。そしてタイタンの方に視線を向き直せば……スライムは徐々に姿形を変えていき始めた。

 スライムが成ったその姿は、タイタンの背格好がかなり似ている……否、タイタンそのものであった。本人との相違点があるとすれば、仮面越しの瞳が紅く光っていることだろうか。

 

「ククク……さぁ、デュエル再開といこうではないかァ……」

 

 さらには声も、そして口調も、完全にタイタン本人そのものとなっていた。あまりにも目の色以外が何もかも同じというのは、あまりにも不気味すぎる……

 

「い、一体何が起きているんだ……?」

「……王辻君(マスター)

はい(あぁ)ヤバいですね(わかってるさ)

 

 このままボォーッと突っ立っていたら、後ろから別の怪物達が俺達を飲み込んでくるかもしれない。その可能性を避けるべく、俺と【聖殿の水遣い】はいつでも迎撃できるようにとデュエルディスクを展開させた。俺自身がイレギュラーな敵になるのはごめんだからな、身の守りを固めさせてもらうぜ。

 で、タイタンとなったスライムと対峙することになったアレイスターはというと……

 

「やれやれ、一体何がどうなってることやら……ま、デュエルに勝ってから考えるか」

 

 俺からこの世界の本来の歴史を教えてもらったからなのか、はたまた彼自身がマイペースな性格だったからなのか、アレイスターは口元を緩ませ溜息をつきながらデュエルディスクを構え直した。

 

「ちょ、亜鈴先生⁉︎ こんな訳分かんねェ状況で、まだデュエル続ける気なのか⁉︎」

「じゃあ遊城君。君は今のボクと同じ立場だったら、この状況でデュエルを中断したりする?」

「ウッ……」

「できないよね。君はデュエル好きだから、大好きなデュエルを放置できない」

 

 デュエルを中断させようとした十代が、アレイスターにおまいうな感じに反論され、図星を突かれたのか気まずそうな表情を浮かべる。三度の飯よりデュエルが好きな奴だからな、アレイスターと同じ立場だったら絶対サレンダーしないに決まってる。

 そして、アレイスターもこのデュエルをやめるつもりはないようだ。当然、十代とは別の理由があるからだが。

 

「ボクにも、デュエルを途中で投げ出すわけにはいかない理由があるのさ。得体の知れない第三者が加入してのこの状況で、中途半端にデュエルをやめたら大変なことになるだろうって考えもあるけど……」

 

 口を閉じてからフゥッと軽く息を吐き、再びその口を開こうとした途端、彼は笑みを作った。まるで十代を安堵させようとしているかのように。

 

「ボクは先生だ。生徒の事を考えず逃げるような真似はしたくないし、生徒は守りたい主義だからね」

「……‼︎」

 

 そう言って、アレイスターは十代に向けてウインクした。自分のすべきことは自分の力でやり遂げる、そんな自信の表れだろうか。まぁ人の裏の顔がどんなのかなんて、俺が分かるわけないけどさ。

 

「先生………………わかった‼︎ 絶対勝ってくれよ‼︎」

「もちろんそのつもりさ」

 

 けど、自信あって心にも響く言葉+嘘偽りのない余裕の笑みは、十代を信用させるのに充分なものだった。十代も笑顔でアレイスターの事を信じるようになったし、ね?

 

「さ、待たせたね。早く何かしらのカードを使ってくれないかい?」

「そう急かすな、すぐに使ってやるさァ……」

 

 

亜鈴

LP:3100

手札:2枚(【召喚師アレイスター】×1)

フィールド:

【召喚獣メルカバー】ATK:3100

【ランリュウ】ATK:2100

【憑依覚醒】×1

【憑依解放】×1

伏せカード×2

 

vs

 

タイタン?

LP:2700

手札:4枚

フィールド:

【補給部隊】×1

フィールド魔法【万魔殿(パンディモニウム)ー悪魔の巣窟ー】

 

 

「私のターン、ドロォ。魔法(マジック)カード【終わりの始まり】を発動ォ」

 

 ファッ⁉︎ 【終わりの始まり】だって⁉︎

 

「墓地の闇属性モンスターが7体以上ある時に発動ォ。その内のを5体除外してカードを3枚ドローするゥ。私は【シャドウナイトデーモン】、【ジェノサイドキングデーモン】、【トリックデーモン】2体、【プリズンクインデーモン】を対象とするぞォ」

 

 これだよこれ、条件はちょっと厳しいけど、意外とその条件はデッキ次第で簡単に達成できて、その上で3枚もドローができるもんな。しかも除外されて効果を発揮できる闇属性テーマとも相性が良いと見た。ヤバいよヤバいよ。

 そんな事を考えている内に、タイタン?の背後に5体の悪魔が全身黒一色──シルエットとなって現れる。これから除外されてタイタン?にドローの権利を与えるだろうが……

 

「3枚ドローはさすがに見過ごせないね。メルカバーの効果発動。手札の魔法(マジック)カード【ライトニング・ストーム】を墓地に送り、その発動を無効にして除外だ」

 

 無論、それをアレイスターが許すはずもなかった。ってかコストとして使ったカードもヤバすぎだろ……

 メルカバーの剣に淡い光が宿り、その光がシルエット達を吸い込もうとする。これで大量の手札による盤面崩壊の可能性は避けられたか───

 

「チェーンして速攻魔法【サイクロン】を発動ォ。その効果で【憑依解放】を対象に取るゥ。後続を出されると厄介なのでなァ」

 

 え? ここで【サイクロン】をチェーンだと? 一体何を企んで……ハッ⁉︎ ま、まさか⁉︎

 

「そしてそれにチェーンし、速攻魔法発動ォッ‼︎ 【禁じられた一滴】ゥッ‼︎」

「「そ、そのカードは⁉︎」」

「【禁じられた一滴】? 他の【禁じられた】カードとはなんか違うのか?」

 

 【禁じられた聖杯】を持っている十代が、タイタン?の発動させた【禁じられた一滴】を見て首を傾げた。あのカードがどれだけヤバいのか、この場ではっきり説明しておかないと十代の今後のデュエルに悪影響を及ぼしそうだ。だから説明必須不可避だ。

 

「【禁じられた一滴】は自分の手札・フィールドのカードを任意の枚数墓地に送って発動できるカード。チェーン中に発動処理を待っているフィールドの魔法(マジック)(トラップ)カードを墓地に送ることも可能だ。そしてその効果は……」

 

 ここまで言ったところで、【聖殿の水遣い】が「ここからは教師として私が」と割って入るように交代して説明を続けた。

 

「墓地に送った枚数分、相手フィールドのモンスターを選び、それらの攻撃力を半分にし、効果を無効にします。対象を取る効果じゃないから、ある程度の耐性をすり抜けられるんです。しかも相手は効果発動のために墓地に送られた種類と同じカード効果を、このカードの発動に対してチェーンすることができなくなります」

「た、対象を取らず、コストにした種類のカードのチェーンをさせない無効効果だって⁉︎」

 

 そう。対象を取らずにモンスター効果の無効&攻撃力半減も強いところだが、1番の強みはチェーンされにくいということだ。

 

「その通りだァ……よって私は【終わりの始まり】とおまけで【サイクロン】を墓地に送り、このカードの発動による魔法(マジック)カードのチェーンを封じるゥ。そして2体のモンスターを選択できるようになったため、メルカバーと【ランリュウ】を選択だァ」

「うわ、これはキツすぎるな……」

 

 メルカバーの足元と【ランリュウ】の影から、影のような黒い小人が次々と彼等に群がり始めた。まるで今宵の生贄は彼等だと言わんばかりに。

 メルカバーが戦車(チャリオット)の足部分や車輪部分を動かしたり、【ランリュウ】が翼を羽ばたかせ風を起こして取り払おうとするも、それができない程の数が群がっていたためそれができずにいた。

 そんな中、髪と肌が白く、赤い2本角を持つ、ほぼ黒一色な衣装と黒い天使の翼を持つ天使──堕天使が真っ黒な天空から舞い降りる。そして手に持っている水呑から4滴──正しくは2つ──の雫を垂れ流す。

 

 

【召喚獣メルカバー】

ATK:3100 → 1550

 

【ランリュウ】

ATK:2100 → 1550

 

 

 するとどうだろうか。プルガトリオの身体は痙攣し、メルカバーは動く度に何処かが錆びたかのような音を発するようになった。つまるところ弱体化したのを確認したのか、堕天使は不気味な笑みを浮かべながらその場を去っていってしまった。

 

「このまま残りのチェーン処理といこォう。チェーン3で【サイクロン】で【憑依解放】を破壊しィ……」

 

 堕天使の去り際に続くかのように、発生した風の暴力が【憑依解放】のカードに衝突し、ガラスの如く粉砕させる。

 

「チェーン2でメルカバーの効果は【禁じられた一滴】の効果で無効ォ。そしてチェーン1、【終わりの始まり】の効果処理で除外を行ってから3枚ドローだァ」

 

 そしてタイタン?の背後にいた5つの影が、突如出現した異次元への渦の中へと吸い込まれていき、その渦が消える寸前に3枚のカードが飛び出し、それを彼はノールックでキャッチし手札に加えた。

 

「これで手札の枚数が回復したか……」

「つまり、あのタイタンという人は、更なる捲り札を引いた可能性が出た……ということになりますね」

「そういうことだァ。ここで魔法(マジック)カード【ブラック・ホール】を発動ォ。フィールドのモンスターを全て破壊するゥ」

「ゲッ、ブラホ引いてやがったぞあいつ⁉︎」

 

 突如発生した黒い渦。その渦は星をも飲み込まんとする吸引力を誇っていた。その渦にメルカバーと【ランリュウ】は成す術なく吸い込まれていき、渦と共に消えてしまった。

 

「そんな⁉︎ 亜鈴先生のモンスター達が⁉︎」

「……こいつは2枚の伏せカードでなんとかしないと、負けるな……」

 

 アレイスター……この状況からこのターンで耐えれるカードは持ってるんだろうな? じゃないとさすがの俺でもお前が負けるイメージが沸いてしまう……頼む、なんとかしろ……‼︎

 

「ここから面白いものを見せてやろォう……【竜魔導の守護者】を召喚ンゥ」

 

 

【竜魔導の守護者】

ATK:1800

DEF:1300

 

 

 ここでタイタン?が呼び出したのは、ヘルムが竜の顔を模している水色の鎧で全身を覆った女騎士。腰の青いマントを靡かせ、刃が竜の羽の形状となっている槍を優雅に振るう。

 

「ここで悪魔族じゃない奴を召喚するなんて、なんだか新鮮だね」

「こいつはとある悪魔を呼び出すのに良い兵だからなァ。【竜魔導の守護者】の効果発動ォ。召喚・特殊召喚に成功した場合、手札を1枚捨てることで、【融合】通常魔法か【フュージョン】通常魔法を手札に加えることができるゥ。私は【デーモンの召喚】を墓地に送り、【融合】を手札に加えるぞォ」

 

 【竜魔導の守護者】が槍を杖のように持ち直し、祈りの込めるように何やら呪文を唱える。すると彼女の頭上に【融合】のイラストが描かれた模様が浮かび上がり、それが凝縮・変形し【融合】のカードとなる。

 

「そして【竜魔導の守護者】のもう1つの効果ァ。融合デッキの融合モンスターを見せることで、その素材となるモンスターを1体、裏側守備表示で特殊召喚することができるゥ。私は【デーモンの顕現】を見せ、その融合素材である【デーモンの召喚】を裏側守備表示で特殊召喚だァ」

 

 タイタン?が【融合】のカードを手札に加えながらそう宣言すれば、【竜魔導の守護者】が今度は槍で地面をカツンっと軽く叩く。するとそこから魔法陣が発生し、さらにそこから1枚の巨大なカードが裏側の横向きとなって出現した。

 そのカードの名前は、【デーモンの召喚】。初代遊戯王シリーズ主人公の遊戯が使ってた伝説のモンスターの1体だ。

 

「【デーモンの召喚】って、あの決闘王(デュエルキング)・遊戯さんが使ってた……⁉︎」

「しかもそいつを融合素材とした融合モンスターまで持っているのか。厄介だな……」

「ふふふ……後はもう分かるだろォう? だがその前に、充分なサーチをしたところでこのカードを発動するゥ……魔法(マジック)カード【強欲で貪欲な壺】ォ。デッキの上から10枚を除外し、2枚ドローだァ」

 

 【貪欲な壺】と同じ顔や色をした壺の裏に、ニッコリとした緑色のゴブリンの顔が張り付いている壺が現れた。その開口部に10枚のカードが引き寄せられるように入っていき、そこから2枚のカードが飛び出した。

 【強欲で貪欲な壺】……今の俺が転生した影響がレギュレーションに響いてないこの時代では、まだ制限カードのままの【強欲な壺】のサブカードといったところか。

 同じく2枚ドローできる分、名称ターン1かつたくさんデッキの上からカードを除外する上にそれらの回収が困難となる、ハイリスクハイリターンのカードだ。そんなカードを入れているとか、躊躇ねェなこいつは……

 いや、乗っ取られたのと同時にデッキの中のカードが何枚か書き換えられて、そのカードがデッキに入ったのか? それなら【禁じられた一滴】が出たのも納得がいくが……

 

「待たせたなァ……【融合】を発動ォ。フィールドの【デーモンの召喚】と闇属性モンスターである手札の3体目の【トリック・デーモン】で融合ォ」

 

 そんな事を考えている内に、タイタンが新たにカードを発動させた。

 裏側表示のカードが捲られ、黄ばんだかのような色の骨と蒼い筋肉繊維が剥き出しな悪魔が姿を現す。そしてその背後には山羊の悪魔の骸骨を被った女性の悪魔・【トリック・デーモン】が闇の中に紛れながら顔を見せる。

 そしてこの2体が混色とした渦の中で溶け合い、混ざり合い、光を解き放つ。

 

「さぁ、進化して現れるがいい……【デーモンの顕現】ンゥ」

 

 

【デーモンの顕現】

ATK:2500

DEF:1200

 

 

 光が収まり、その中から【デーモンの召喚】1体のみが姿を現す。だがこの【デーモンの召喚】は先程の姿とは異なり、筋肉繊維が濃い紫色となっている。さらには翼は巨大化していて、右腕が3本指の巨大な鉤爪となっており、その腕で何もかもを掴み潰そうとしていた。

 

「このカードがモンスターゾーンにいる限り、名前は【デーモンの召喚】として扱われるゥ。そして私のフィールドの【デーモンの召喚】の攻撃力を500ポイントアップだァ」

 

 

【デーモンの顕現】

ATK:2500 → 3000

 

 

 【デーモンの顕現】の頭部の山羊に似た角を起点に雷撃が迸り、そこからその紫電が宿っていき、【デーモンの顕現】に更なる強さを得たことを強調させる轟咆を上げさせる。

 

「さらに墓地に送られた【トリック・デーモン】の効果発動ォ。これによって……ふむ、これは運が良いィ。【デーモンの降臨】を手札に加えるゥ」

 

 そして先程融合召喚のために溶け込まれたはずの【トリック・デーモン】が半透明の姿となって再び姿を現し、1枚のカードをタイタン?に手渡しした。

 ん? 今手札に加わったのって、確か青い縁の……儀式モンスターだよな? ……もしかしてだけど、ね?

 

魔法(マジック)カード【高等儀式術】を発動ォ。デッキの通常モンスターを任意の数だけ墓地に送り、その合計となるレベルの儀式モンスターを儀式召喚するゥ。私はレベル6の【デーモンの召喚】をデッキに送り、レベル6の儀式モンスターの儀式召喚を執り行ァう」

「ここで儀式召喚……まさか」

 

 大地に描かれた緑の魔法陣から同色の雷が放たれる。そして光の柱となった雷の中から、その力を宿した者が姿を現す。

 

「これがもう1つの進化だァ……いでよ、【デーモンの降臨】ンゥ」

 

 

【デーモンの降臨】

ATK:2500

DEF:1200

 

 

 その正体は、【デーモンの召喚】の色違いとも言える存在。相違点があるとすれば、筋肉繊維が青色となっており、翼は顕現と同じ大きさで同じ青色、そして角も青く【デーモンの召喚】よりも長くなっていた。そして迸らせている雷も青く……否、蒼く光らせていた。

 ってか、ゴードン使った後に儀式モンスターのサーチと【高等儀式術】って。どんだけ儀式召喚するためのキーカードを揃えられたんだよこいつは。本物の闇のゲーム主人の特権ってか? ふざけるのも大概にしろ。

 

「この【デーモンの降臨】もモンスターゾーンにいる限り、【デーモンの召喚】として扱うゥ。よって、こいつの攻撃力も【デーモンの顕現】によって500ポイントアップだァ」

 

 

【デーモンの降臨】

ATK:2500 → 3000

 

 

 【デーモンの顕現】が右腕から迸らせている雷撃を、その腕を【デーモンの降臨】に向けて伸ばすように彼に譲渡した。その紫電は青く染め上げるように塗り替えられ、【デーモンの降臨】の力となった。

 

「さらに教えてやろォう。フィールドの【デーモンの顕現】は、儀式モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されず、儀式モンスター以外のモンスターの効果では破壊されない効果があるゥ。楽に倒せるとは思わんことだァ」

「それは厄介だね。かなり場持ちができるような効果程意外と面倒臭いものはないよ」

 

 それもそうだな。儀式以外のモンスター効果限定とはいえ、破壊耐性がついているものと相手するのは少々心にクるものがある。効果での除去は破壊のものが多いのだから、除去する手段が限られる。

 ……まぁ、このターンではモンスターによる効果破壊は見込めそうにないけどな。今のところ。

 

「バトルだァ。私は【デーモンの降臨】でダイレクトアタックゥ。魔光雷・蒼ォ」

 

 【デーモンの降臨】の身体に迸る蒼い雷撃が、さらに激しさを増す。そしてアレイスターに向けて突きつければ、それは奔流──ビームのように太く一筋に放たれる。この一撃を喰らえば、ライフはまだ0にはならないがただでは済まないことだろう。

 

「亜鈴先生‼︎」

「大丈夫、このターンではやられないから。リバースカードオープン。(トラップ)カード【カウンター・ゲート】。ダイレクトアタックを無効にしつつ、カードを1枚ドロー。それがモンスターなら、そのモンスターを表側攻撃表示で通常召喚できる」

 

 アレイスターの目の前に、藍色の何かが見える四角い空間が扉を開くように現れ、奔流を飲み込んでいった。それに合わせてアレイスターがカードをドローし……

 

「ドローしたカードは【マスマティシャン】。通常召喚可能なモンスターのため、このカードを召喚する。あ、【憑依覚醒】の効果で攻撃力は300ポイント上昇ね」

 

 

【マスマティシャン】

ATK:1500 → 1800

DEF:500

 

 

 奔流と入れ替わるように空間から飛び出してきたのは、全身よりも長い白鬚を伸ばしている、学者の衣装を着込んだ2頭身の学者。左手に持っている杖の先端は眼鏡を掛けた角帽の人の顔を模していた。

 

「【マスマティシャン】の召喚成功時の効果発動。デッキからレベル4以下のモンスターを1体墓地に送ることができるため、ここは……そうだね、【稲荷火】を墓地に送るよ」

 

 【マスマティシャン】か杖を天に向くように軽く振るった。すると先端の角帽部分が紅い光を放ち、尻尾が巨大な炎となっている狐の絵を描き空中に浮かばせた。

 

「ならば次は【デーモンの顕現】で【マスマティシャン】を攻撃ィ。魔光雷・茈ィ」

 

 今度は【デーモンの顕現】の右腕に迸っている雷撃が激しさを増し、全身に宿していたのも右腕に集約する。そして翼を使って飛び上がり、そのまま【マスマティシャン】に目掛けて急降下。狐の絵を貫通しながら【マスマティシャン】の低い身体を掴み雷撃全てを浴びせ、そのまま爆散させた。

 それと同時に、一般の者ならば目を疑うような光景が発生した。

 

「ッ……‼︎」

 

 

亜鈴

LP:3100 → 1900(3000 - 1800 = 1200)

 

 

 アレイスターの身体に電流が一瞬流れ込んでいたのだ。それも【デーモンの顕現】が放ったものでも【デーモンの降臨】が放ったものでもない。緑の混じった白い光であったからだ。

 その電流を浴びたアレイスターは一瞬苦い表情を浮かべ、その場で右膝をついてしまった。これは、演出による条件反射ではない……

 

「……うわ、人の身体から煙が出るなんて初めてだ。しかも自分の体で起きるなんてね……」

「せ、先生⁉︎」

「全く……これを受けながらデュエルをするとか、()()()()()はデュエリストの配慮がなってないよ」

 

 そう、これは()()()()()()()()。ソリッドビジョンシステムによる攻撃が、ダメージを受けるごとに本物となってデュエリストに襲い掛かってくるのだ。

 

「だ、大丈夫なのかよ先生? 今、先生の身体に冗談なしにヤバいのが……」

「まぁね。思ったよりは痛かったけど、デュエルを平気で続けられることに変わりはないよ。ってか遊城君、なるべくボクやタイタンスライムから離れて。君も闇のゲームによる質量攻撃を喰らっちゃうから」

 

 アレイスターが電流を受けた今の様子から見て冗談事ではないと察したのか、十代が必死な形相で呼び掛ける。が、アレイスターは何事もなかったかのようにすぐに立ち上がり、手をヒラヒラと振りへっちゃらアピールを十代に離れるようにと促した。

 ……いや、本当に大丈夫なのか? いくらカードの精霊だからといって、受けるダメージによっては平然といられるわけがないと思うんだが……十代もハネクリボーも心配しているし……

 ってタイタンスライムって誰だよ……あ、今のタイタンの事か。確かにスライムが取り込んではいたけど。

 

「あ、そうそう。【マスマティシャン】が戦闘破壊されたので、ボクはカードを1枚ドローさせてもらうよ」

「フゥン……このターンでの貴様の負けは無くなったがァ、身体の方は持つかなァ? 【竜魔導の守護者】でダイレクトアタックゥ」

 

 【竜魔導の守護者】が槍を振り回せば、その槍に青白い光がオーラを纏うかのように発する。その槍を改めて持ち直した【竜魔導の守護者】はその場で駆け出し、アレイスターにトドメを刺そうとする。

 

「リバースカードオープン。速攻魔法【ライバル・アライバル】。自分・相手のバトルフェイズにモンスターを1体召喚できる」

「バトルフェイズ中に召喚だとォ……?」

「よって【召喚師アレイスター】を召喚。効果で【召喚魔術】を手札に。そして【憑依覚醒】で攻撃力アップだ」

 

 

【召喚師アレイスター】

ATK:1000 → 1300

DEF:1800

 

 

 ここで彼と瓜二つ──というよりはカードの精霊である時の姿である魔法使い・アレイスターが、本人を敵から守るべく姿を現した。捲った書物とその魔力から生み出された魔法陣をカードに変えながら、杖を構え【竜魔導の守護者】を迎え撃つ。

 

「ならば【召喚師アレイスター】を攻撃だァ」

 

 プレイヤーからモンスターの方へと標的を変えた【竜魔導の守護者】。モンスターが杖から炎や雷の球体──魔法を放つも、【竜魔導の守護者】はそれらをあっさりと斬り裂いていく。そして一気に距離を詰めた途端に横薙ぎし、モンスターの身体を斬り裂いてしまった。

 攻撃を防ぎきれなかったモンスターは苦痛な表情でプレイヤーを見やる。そして彼の身の安全を心配するかのように目を閉じ、光の粒子となって消えていった。

 

「クッ……‼︎ 今度のダメージは軽いね……‼︎」

 

 

亜鈴

LP:1900 - 1400(1800 - 1300 = 500)

 

 

 再び電流がアレイスターの身体に襲い掛かるものの、ダメージの少なさが幸いしたのか膝を曲げずに耐え切ったようだ。僅か500ダメージならまぁ……ね?

 

「微妙な結果に終わってしまったなァ。だがァ……メインフェイズ2ゥ。魔法(マジック)カード発動ォ。【三戦の才】ィ」

 

 なっ⁉︎ ここで【三戦の才】だって⁉︎

 

「ゲゲッ、このタイミングで……」

「貴様が私のターンにモンスター効果を発動したため、3つの効果の内1つを使わせてもらおォう。その効果はァ……『相手の手札を確認し、その中から1枚をデッキに戻す』効果だァ」

「「「ここでハンデス効果だと(だって)(ですって)⁉︎」」」

「だよねェ……」

「さぁ、貴様の今の手札はどうなっているのかねェ……」

 

 巨大なうちわ型の軍配がタイタンの目の前に現れ、1人でに振るわれ模様が発光する。その光によるものなのか、軍配に秘められた謎の力が働いたものなのか不明だが、それによってアレイスターの手札がソリッドビジョンシステムで赤裸々にされてしまう。

 今の彼の手札は……【召喚魔術】に加えて、大抵1番最初のターンぐらいじゃないと効果が使えない【ディメンション・アトラクター】か。となるとやはり、デッキに戻されるのは……

 

「クックックゥ……【召喚魔術】をデッキに戻してもらおうかァ」

「まぁ、そうなるよね……」

 

 墓地融合の条件が整った【召喚魔術】を選ばれてしまい、それをアレイスターは渋々とデッキの中に戻すことに。

 しかし、今の手札の悪さから【召喚魔術】をデッキに戻される羽目になるのは……かなりキツいものがあるな。唯一手札に残っている【ディメンション・アトラクター】なんか効果は使えないし、召喚するにも盤面的にもレベル的にも論外だ。使い物にならない。

 

「さぁ、貴様はこの状況をどう覆すのかなァ……? 私はこれでターンエンドだァ」

 

 

亜鈴

LP:3100

手札:1枚(【ディメンション・アトラクター】×1)

フィールド:

【憑依覚醒】×1

 

vs

 

タイタン?

LP:2700

手札:0枚

フィールド:

【デーモンの顕現】ATK:3000

【デーモンの降臨】ATK:3000

【竜魔導の守護者】ATK:1800

【補給部隊】×1

フィールド魔法【万魔殿(パンディモニウム)ー悪魔の巣窟ー】

 

 

「これは……キツいといっちゃあやっぱりキツいかな」

 

 今の盤面を見て、アレイスターは苦笑しながらそう呟いた。だが正直に言って、この状況は苦笑程度では済まされるわけがない。今の彼の手札は【ディメンション・アトラクター】のみで、墓地利用できるカードもない。

 はっきり言えば、ドロー次第では『詰み』だ。この状況をどうにかできる1枚のカードが引かなければどうしようもない。

 

「ならば降参するかァ? その代わり、闇のゲームでそれをやれば魂を奪われるだろうがなァ。誰かに交代してもらうのならば、そいつが負けるまで延命で済むがねェ」

「冗談。そもそも生徒がいる中で彼等を守れない無責任な事はしたくないよ。それに……」

 

 死ぬのを遅らせるという提案をするタイタン?の誘いを蹴り、最後まで闘うと語るアレイスター。まだドローしていないのに勝敗がついたと思われたくないと思ったのか、彼の心境がどうなのかは俺にもわからない。けど……

 

「この状況から大逆転できれば最高に気持ちいいのが、遊戯王(デュエルモンスターズ)の醍醐味じゃないか」

 

 何故だかわからないが、あいつが負けるビジョンが全く浮かばない。これまで精霊世界で様々な苦難を乗り越えてきたからなのかもしれないが、不思議と確信できる。

 

「亜鈴先生……こんな時に限ってアニメ展開に浸らないでくださいよ……」

 

 そしてウチの精霊達の界隈では良くあるっぽいらしく、それを何度も聞いたり見たりしてきただろう【聖殿の水遣い】は額に右手を当てながら呆れる。確かに命懸けの闘いでふざけないでほしいよな……」

 

「まぁ、こういう様子の彼に限って、毎回運が味方してくれるんですけどね……」

 

 ………………ん? なんか、嫌なというわけではないが変な予感が……

 

「ボクのターン、ドロー」

 

 余裕のある笑みを浮かべながら、アレイスターはカードをドローした。さて、奴が引いたカードはどんなのになっているのか……正直に言って、犠牲者が出るのは絶対嫌だ。良いカードを引いていてくれ……‼︎

 

「……どうやら今日のボクは、運が良かったみたいだ」

 

 えっ……? まさか引いたのか? 逆転の一手を……?

 

魔法(マジック)カード発動……【召喚魔術】」

「な……何ィッ⁉︎ デッキに送ったカードが戻ってきたのかァッ⁉︎」

「やっと声を荒げてくれたね」

「……やはりそうなりますよね」

 

 嘘やろ⁉︎ まさか【召喚魔術】を素引きで引き戻したってのか⁉︎ なんて運の良い……‼︎

 

「これにより、ボクは墓地の【召喚師アレイスター】と【稲荷火】で融合する」

 

 上空に青白い魔法陣が縦向きに浮かび上がる。その魔法陣をバックにするかのように、アレイスターと尻尾が巨大な炎となっている細身で厳つい顔をした橙色の狐──稲荷火が、半透明の姿となって現れる。

 そしてその2体と魔法陣が淡い光となってこの場を照らし、2体が溶け合い混ざり合って新たな生命を生み出していく。

 

「古の禁術に呼び出されし3体の悪魔よ‼︎ 煉獄を身に纏いしその力で立ちはだかるものを嬲り倒せ‼︎ 融合召喚‼︎ 束ねろ、【召喚獣プルガトリオ】‼︎」

 

 

【召喚獣プルガトリオ】

ATK:2300 → 2600

DEF:2000

 

 

 光が収まり、現れたのはヘビィメタルな悪魔・牛の頭蓋骨を被った1つ目の悪魔・一本角と両腕の刃を持つ悪魔の3体だった。それぞれが自身の身体の一部に刺さっているアレイスターの杖に酷使したものを発光させ、宿している炎を増大させていく。

 ってか出たよ、この状況で逆転確定のモンスターが。こいつの効果マジで攻撃向けなんだよなァ。

 

「君のフィールドには3体のモンスターがいる。よってプルガトリオは自身の効果で合計600ポイントアップだ」

 

 

【召喚獣プルガトリオ】

ATK:2600 → 3200

 

 

「そして忘れてないだろうけど、プルガトリオは相手モンスターに全体攻撃ができる。【補給部隊】の効果でドローしたカード次第では、君のモンスターは【デーモンの降臨】以外は全滅確定だ」

 

 そう、攻撃力上昇に加えて1番スゲェのがこれ。全体攻撃できるモンスターなんて限られているってのに、おまけで攻撃力上昇もあるんだからヤバいよプルガトリオ。デュエルリンクスとかでも一時期強かった時期があったわけだ。

 

「全体攻撃ができるだって⁉︎ じゃあタイタンのモンスター達を【デーモンの降臨】以外倒せて、本当に逆転できるじゃんか‼︎」

「ですが、相手モンスターの数が減るごとにプルガトリオの攻撃力は下がってしまいます。なので倒すモンスターの順番は考えないといけませんよ」

 

 ここで【聖殿の水遣い】、アレイスターの逆転が確定したのか先生らしく十代にデュエルのレクチャーし始めたよ。しかもアレイスターに呆れてるような感じに。職務をちゃんとするのはいい事だけど、いくらなんでもこの状況でやるゥ?

 

「あ、そっか。1体倒すだけで攻撃力が3000になって、【デーモンの召喚】系モンスターと相打ちになるのか……そいつらも2体とも3000はあるし、【デーモンの降臨】を攻撃してダメージを与えててから【デーモンの顕現】を倒しておかないと……」

「……何故その2体の攻撃力が3000もあるか分かりますか?」

「えっ? ……あっ‼︎ 【デーモンの顕現】の効果でか‼︎ なら先に【デーモンの顕現】を倒しておけば……‼︎」

 

 そう。【デーモンの顕現】の効果がなくなり【デーモンの降臨】は元の2500へと戻り、ダメージが少し増えることになるのだ。だが、ここでもう1つ問題がある。

 

「……あ、それでもこのターンで勝つことは無理かも……」

 

 そう、十代はこのターンではタイタン?を倒せないと悟った──否、()()()()()()()()()()()()

 タイタンの今のライフは2700。プルガトリオが最初に【デーモンの顕現】を倒して200、攻撃力が200減って【デーモンの降臨】を攻撃して500、さらに200減って【竜魔導の守護者】を倒して1000……

 このままプルガトリオを攻撃させたとしても、合計ダメージは1700でタイタンのライフは1000残ってしまう。次のターンで倒すことができないと、十代は考察したのだ。

 確かにこの後このままバトルフェイズに入ればそうなってしまうな。このままいけば……な。

 

「墓地の【召喚魔術】の効果発動。デッキに戻し、対象を取った墓地の【召喚師アレイスター】を手札に」

 

 再び魔法陣が浮かび上がり、アレイスターのシルエットをも映し出す。そしてシルエットごと凝縮・変形していき【召喚師アレイスター】のカードとなり、アレイスターの手札に加わった。

 

「アレイスターが手札に……? あ、そっか‼︎ 召喚して【召喚魔術】をサーチして、また【召喚魔術】で新たに【召喚獣】を呼び出せば……‼︎ けど、【デーモンの降臨】を攻撃して1000以上のダメージを与えられるモンスターなんているのか?」

 

 まぁ、いるにはいるよ? 効果によって攻撃力を上げる奴がいてさ、そいつによって余裕で1000以上のダメージを与えられるんだよなァ。

 

「バトルフェイズに入るよ」

 

 ま、今回に限ってはアレイスターは()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ⁉︎ 新しいモンスターを出さずにバトルフェイズだって⁉︎」

「大丈夫ですよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「プルガトリオで【デーモンの顕現】を攻撃」

 

 プルガトリオの1体──両腕が刃となっている方の悪魔が【デーモンの顕現】に向けてその腕を突きつけた……のと同時に、アレイスターが()()()()1()()()()()()()()()()()

 

「フゥン、結局私をこのターンで倒すことは叶わなかったようだな───」

「このダメージ計算時、手札の【召喚師アレイスター】の効果発動」

「な、何ィッ……⁉︎ サーチ効果を持つモンスターを、手札から発動だとォッ……⁉︎」

 

 まぁ、そういう反応するわよな。このターンまで召喚・リバース成功時の【召喚魔術】サーチ効果しか使ってこなかった【召喚師アレイスター】が、まさかの手札誘発の効果まで備わっていたんだから。

 しかもその効果は……特にプルガトリオにとってはめちゃくちゃ美味い効果なんだよなァこれが。

 

「このカードを手札から墓地に送ることで、ボクのフィールドの融合モンスター1体の攻撃力・守備力を1000ポイントアップさせることができる。よってプルガトリオの攻撃力は……」

 

 そう説明している内に、3体の悪魔の頭上にモンスターのアレイスターが半透明の姿となって現れる。そしてプルガトリオの3体ともに向くように杖を構える。すると薄紫色の光が杖の先端から放たれ、プルガトリオの身体を覆い尽くす。

 プルガトリオがその光に覆われた途端、その光の熱に反応したからなのか、プルガトリオの身体の紫炎が増大化して強大化させていく。そしてその炎の増大化に合わせ、3体共に雄叫びを上げた。

 

 

【召喚獣プルガトリオ】

ATK:3200 → 4200

DEF:2000 → 3000

 

 

「攻撃力……4200だとォォォッ⁉︎」

「……竜魔導を攻撃すりゃあ全体攻撃いらなくね?」

 

 攻撃力4200の全体攻撃はさすがに鬼畜だ。対抗手段となるカードが無ければ全破壊&ダメージは避けられないからな。

 とはいっても、今さっき言ったようにタイタン?の残りライフ的に考えると竜魔導への攻撃のみで決着がつくから意味がない。そもそも【デーモンの降臨】は儀式モンスター以外との戦闘では破壊されないから全破壊も叶わないしね。

 

「それじゃあ攻撃続行だ。このまま全員を攻撃する」

 

 刃の両腕の悪魔が軽く再び咆哮を上げれば、ヘヴィメタルな悪魔と1つ目の悪魔も飛び上がる。それぞれの視線の先では、同じ悪魔──2体の【デーモンの召喚】となる【デーモンの顕現】と【デーモンの降臨】を見据えていた。

 

「フィニッシュになるから、攻撃名でも付けておこうか。──狂炎乱舞」

 

 そう告げたのに合わせ、3体のプルガトリオは一斉に攻撃を仕掛けた。刃が竜魔導の身体を鎧ごと斬り裂き、白い全身が【デーモンの顕現】を押し飛ばし、最後に巨腕が【デーモンの降臨】を顔を殴りながら吹っ飛ばす。

 そして竜魔導と【デーモンの顕現】の身体に付着したプルガトリオの身体の紫炎が小刻みな小さな爆発を起こしていき……やがて巨大な爆発を起こし、【デーモンの降臨】をも飲み込んでしまった。

 

「そ、そんな……バカなァァァァァァァァァッ‼︎」

 

 

タイタン?

LP:2700 → (4200 - 3000 = 1200) → (4000 - 3000 = 1000) → (3800 - 1800 = 2000) → 0(-1500)

 

 

 オーバーキルじゃねェか。【デーモンの降臨】に攻撃する必要、なくね? まさかロマン目的で全体攻撃できるように配慮したとかじゃないだろうな……?

 と。そんな事を考えていたら、タイタンの身体を濃い紫色が混じった黒いモヤみたいなものが覆い尽くしてきた。

 

「ッ、がァッ⁉︎ な、何をするゥッ⁉︎ やめろォッ‼︎ ま、まさか、本当に闇のゲームが実在していたとでも───」

 

 プルガトリオの連続攻撃によって意識を取り戻したであろうタイタンだったが、抵抗も虚しく俺達が助けようとする間もなく、そのまま暗闇の中へと飲み込まれていった。

 デュエルが終わったタイタンの呆気ない最後(死んでないと思うから『最期』ではない)を見て唖然としていた俺達だったが、そこに俺達を呼びかける声が聞こえてきた。

 

『クリクリ〜‼︎』

『ご主人様方‼︎ ハネクリボーがこの空間の出口を見つけたそうです‼︎ 早くここから出ましょう‼︎』

「ナイスだぜ相棒‼︎ ティルルもサンキューな‼︎ 翼‼︎ 亜鈴先生‼︎ 晴田先生‼︎ 行こうぜ‼︎」

「お、おう‼︎」

 

 どうやらティルルとハネクリボーが出口を見つけたらしいので、俺達は彼女達の後をついて行きながら、その出口だという空間の亀裂──裂け目の光に向かって走り出した。

 そして出口が近づいてきたため、こんなところ早く出ようと思っていた俺達は一斉に裂け目の向こう側へと飛び込んだ……

 

「おっ?」

「は?」

「えっ?」

「あっ」

 

 のと同時に、何故か空中にいるかのような感覚を覚えた。ふと下を見れば、先程までの岩崖がある地面との間の高さがそこそこあり、言葉通り俺達は空中にいたことが明らかとなった。

 この状況に俺達は思わず呆けた声を揃えて上げてしまい……やがて落下した。

 

『ご主人様、危ないです‼︎』

「うわっと⁉︎」

 

 ただし、フランメとなったティルルに身体を掴まれ落下を免れた俺を除いて。

 

「ぶへっ‼︎」

「きゃんっ⁉︎」

「おっと」

 

 アレイスター、スライディングしたかのように伏せる形で地面に衝突。【聖殿の水遣い】、地面に踵がついた途端に滑って尻餅をつく。十代はまさかの綺麗に着地。教師と生徒でこの差は何なんだ。

 ってかアレイスター、顔面を地面にごっつんこしたが大丈夫なのか? 眼鏡が割れたりしてない……あ、割れてないようだ。よかった。おっと、俺も着地しとかないと。ありがとなティルル。

 俺が着地したのに合わせて、空間の外にいた翔達がこちらへと駆け寄ってきた。仲間達が自分達の入れないこの空間から出られたんだ、身を案じて駆け寄るのも無理もない。

 

「アニキ‼︎ 翼君‼︎ 先生‼︎」

「よかった、4人とも無事なんだな‼︎」

「ところで、あのタイタンって男は……ん?」

 

 明日香がタイタンの事を聞こうとした途端、何かに気づいたらしいので俺達もその方向へと振り向いた。

 そこに見えていたのは、巨大な黒一色の巨大な球体。その一部には裂け目となる箇所が。恐らくあの球体の中に俺達は入れられてしまい、先程の真っ黒な空間の中でデュエルの続きしたり観戦したりしていたようだ。

 ってか、なんかバチバチと電流を流してね? 嫌な予感がしてきた……

 

「あ、ヤバいぞこれは⁉︎ みんな伏せろ‼︎」

 

 危険を察知した神楽坂がそう叫んだため、俺達はすぐさまその場で地面に伏せた。

 次の瞬間、球体が収縮を始め、裂け目を通して尋常じゃない吸引力を起こし始めた。落ち葉や石ころは勿論のこと、複数の岩や寿命の短い木々までもが吸い込まれていき始めた。

 だが幸いなことに、俺達は吸引が始まる前に地面に伏せていたので、掃除機の餌食となるゴミみたいに吸い込まれることはなかった。爆発じゃなくてよかったァ……

 そしてしばらくすれば吸引力は徐々に弱まっていき、球体は点のような小ささになるまで収縮し、やがて消滅していった。じゃあな大迷惑現象、2度と現れるな(無理だろうけど)。

 

「えっと……とりあえず、これで終わったのかな……?」

「うん、タイタンとか言う奴は追い払ったよ。だから君達が襲われる心配はもうなくなった」

 

 翔が心配そうに呟けば、アレイスターがそれに答え彼にホッと胸を撫で下ろさせた。タイタンの生死の有無がないとはいえ、確かに追い払えたかと言えば追い払えてはいたな。デュエルに勝ったわけだし。

 

「さてと……ボク達はこの事を理事長達に、上手く闇のゲームの事云々を隠しながら報告しにいくね。行こうか、晴田先生」

「ハァ……そうですね。そろそろ朝になりそうですから、みなさんは早く寮に帰ってくださいね? それでは」

 

 地面に伏せたことで付いた砂を軽く払い、アレイスターは学校関係者にこの事の何割かを報告しに行った。何処かマイペース感のある彼に呆れながらも、【聖殿の水遣い】も俺達に帰路へ行くようにと伝えてからアレイスターの後を追いかけて行った。

 

「なんか……最後はあっさりとした感じだったな」

「デュエルが終わって色々と解決したんだ、別にいいだろ」

 

 さっきまでの空間での重たい雰囲気は何だったんだと語る神楽坂に対し、俺はそう軽く答えた。もう事件は解決したし疲れたんだ、そろそろ寝たい。

 

「それもそうだな‼︎ 早くみんなのところへ帰ろうぜ‼︎ 大徳寺先生にバレたら厄介だ‼︎」

 

 十代がそう言ったのを皮切りに、俺達の緊張の糸がほぐれたのか思わず全員で笑い合い、他の先生にバレるわけにはいくまいとその場で解散することになった。

 なんかこの後の大事そうな展開があったような気がするけど……ま、それは後でなんとか考えるとするか。

 

 

 

「マママママ、マンマミーア……‼︎ ホ、ホントに闇のゲームってのは存在していたノーネ……⁉︎ そ、それにドロップアウトボーイ以外も巻き込んでしまったノーネ……と、特に先生方の巻き添えはヤバかっターノ……ペペロンチーノォ……」

 

 この事件の元凶が、目撃してはいけない出来事に遭遇して怯えていたことも知らずに。

 

 

 

 

 

「ところで、遊城君達は廃寮の中に入らなかったかな?」

「入りませんでしたね。私が教師として止めていたもので。となると、あれによって発生する制裁タッグデュエルの件や、あの原作キャラとの初邂逅の件はどうしましょうか……」

「……そこら辺、もう考えているんでしょ? プランBの1つ、決行しなよ」

「それもそうですね……マスターの精霊の中で5本指に入る人脈の多い私のコミュ力、魅せつけてやりましょう‼︎」

 




ジェノサイドキング「リメイク版の俺が出たから元祖の進化体が出てもえぇやん」
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