OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜 作:名無しのモンスター
翔の過去──兄・カイザー亮が【パワー・ボンド】を封印した真相を聞くために、十代が学園の購買に行ってデュエル申請の書類を書くことに同行した俺氏。で、結果はどうなったかというと。
「くっそー‼︎ クロノス先生、なんで『渡す前にカイザーを慕っているブルー生徒に破られるのがオチだ』だなんて言って取り上げるんだよ‼︎ やってみないと分かんないってのによー‼︎」
はい、先程十代が言ったように、クロノス先生にダメ出しされました。カイザーとデュエルできる可能性を潰されるなんて、よっぽど堪えたんだろうな。
「それほどまでにカイザーが慕われてるってことじゃないのか? レッドを毛嫌いしてそうな先生だけど、それなりの配慮をって考えでやってたんだと思う。取り上げ方が強引だったり目の前で破られたりされるよりはマシだろ」
「まぁ、それはそうなんだけどよぉ……って、先生は俺達レッドを嫌ってるのか? なんで?」
「……お前、マジで言ってるのかそれ?」
少なくともお前に対して色々な嫌味をされてるはずなのに、それに対して何も微塵も感じてないどころか、寧ろ気付いてないとか、どんだけ鈍く感じているんだよ。
『この世界のアニメは2000年代であるからな、鈍感主人公がいてもおかしくない。ヲーは好きだぞ? こういう天然キャラは』
ラー様、ちょっと黙っててください。
「いやそんなことより、こうなりゃ一か八かだ!! 書類を破られるという姑息なことされる可能性があるくらいなら、カイザーに直談判だ!! 直接デュエルに申し込んでやるぜ!!」
「いや、尚更無理なんじゃないのか? 直談判なんて他のブルー生徒とも直接対面するようなもんだぞ」
それこそ階級差別してくる連中の輪の中に、自らが恰好の餌となってダイビングしてボコられるのと一緒なんだよ。つまり自殺行為。ブルーどもに馬鹿にされていじめみたいなことを受けるのがオチだ。
「そんなもん実際に行ってみないと分かんねェだろ。他のブルーの奴らはともかく、カイザーは悪い奴じゃないはずだろ?」
「それはまぁ……そうだな。カイザーは良い人だ」
「だよな‼︎」
良い人じゃなかったら、サイバー流なんていう尊重し合う宗教みたいなデュエルをしないはずがない。ブルーのクソどももカイザーの強さだけじゃなくて人柄も見習えよ、アホが。
「よし‼︎ 思い立ったが吉日‼︎ 早速申し込みに行くぜ‼︎ 待ってろよ翔、必ずお前の過去の答えを見つけさせてやるからな‼︎」
「アレ? 数分前の再放送かな?」
レッド寮を出る前に聞いた台詞がまた聞こえたと思った時には、既に十代がブルー寮に向けて走り出していた。それに気づいた俺も彼の後をついて行く。
……念のため、差別していることが明らかになっているという証拠を作っておくとするか。
♢
で、実際にブルー寮に殴り込みに行って、カイザーに会わせろと十代が頼み込んだら。
「身の程を知れオシリス・レッドのドロップアウトめ‼︎」
「お前のような奴がカイザーに近づくことなど許されると思っているのか‼︎」
「何だとー⁉︎ って、ぶへっ⁉︎」
「お、おい。大丈夫か十代?」
案の定だった。ブルーのアホどもが寮前で通せんぼしているかのように門前払いしてきて、食い下がる十代に向けてバケツに入った水をぶっかけてきやがった。
はい、いじめ確定。お前ら後で報告してやるからな。階級差別もいい加減にしろ。だから俺はお前らと同じブルーになりたくないんだよ。
『水も滴るいい男とはこの事だね』
「(ユベル……いくら記憶喪失だからといって、今の十代を見て笑うところじゃないだろ……)」
そんな俺の心境など知らず、水浸しになった十代を見て嘲笑したブルーのクズ野郎どもが寮に戻ろうとしたら。
「何馬鹿なことしてんだお前ら」
「「ゲゲッ⁉︎ は、半次⁉︎」」
「えっ? 半次?」
なんか聞き覚えのある声と名前が聞こえてきたものだから、思わずすっ飛んだ声を上げてしまった。そして聞き覚えのある声がする方向に視線を向けると、そこにはデュエルリンクスのオベリスク・ブルーこと青野 半次が、寮に戻ろうとしたブルーのクズ野郎どもの目の前に現れていた。
「言っておくが、そいつらはオベリスク・ブルーじゃない癖に、俺やあの万丈目まで倒しやがったそこそこ噂のデュエリストどもだ。正直負けたのを認めたくないが、強さぐらいならお前らよりもそいつらの方が上だ。馬鹿にしすぎると後で痛い目に遭うぞ」
……ん? 今、試験で出会った時のイメージからは想像できないような発言が出てきたんだが? ブルーがブルーじゃない奴を認めるって何? お前、初対面時とのキャラが違くね?
「な、なんだよ‼︎ オベリスク・ブルーじゃない奴にコテンパンにされて負けた奴が偉そうに‼︎」
「そ、そうだそうだ‼︎ 試験の時にイキがった割にライフを100しか減らせずズタボロにされた癖によォ‼︎」
「……ハッ。そのオベリスク・ブルーじゃない奴にズタボロのコテンパンにされた奴に、ライフを1つも減らせなかったりワンキルされて負けた癖に、口だけは達者な奴らはどこの誰だったかな?」
「「ウッ……」」
負けじと正論をぶつけてくる2人に対し、半次は先程の十代の時に見せた2人のように嘲笑し、実際に起きたことであろう正論を突きつけ返した。で、2人は苦虫を噛み締めたような表情になったと。図星か。
「後、お前ら多分終わったぞ」
「「は? 何を言って……」」
「ラー・イエローの奴、お前らがオシリス・レッドに水をぶっかけたところまで録画していたぞ」
「「えっ……?」」
ッ⁉︎ バ、バレた⁉︎ バレないようにこっそりとデュエルディスクのカメラ機能をオンにしていたというのに、それを見られてた⁉︎ 2人の方は全く気づいてなかったのに⁉︎
「ハッ。デュエルじゃないやり方で敵を追い払うとか、デュエル養成学校の生徒が聞いて呆れるな。まだ録画されてるみたいだから、これを校長が見たらどう思われるか……ブルーじゃない奴に負けた俺に完敗した癖に負け惜しみな事を言ってたのも記録されてるし、それなりの処罰は受けるんじゃないかぁ?」
「「ウ、ウゥッ……」」
「これ以上羞恥を受けたくなかったら、もう二度とあんな事するな。俺以上の実力をつけてから出直してこい」
とうとう何も言い返せなくなったのか、半次からの忠告を受けたブルーの情けない2人は、ショックを受けた顔で肩を落としながらトボトボと寮の中へと入っていった。
正直ざまぁと言いそうなんだけど、デュエルでは制してないし、状況が状況だったから、素直に喜んでいいのか分からねェ……
「誰だか知らないけどありがとうな、助けてくれて‼︎」
俺が半次の事で色々と考えていたら、十代が彼に素直に感謝していった。そしたら半次は不服そうな表情でそっぽを向きながら答えた。
「勘違いするな。俺はお前らのようなオベリスク・ブルーじゃない奴を助けたかったわけじゃない。俺にコテンパンにされた癖に偉そうにしてる奴らが気に食わなかっただけだ」
「えっ? でも、俺達をフォローしてたような……」
「ハッ、ただの気まぐれだ」
あ、なるほど。あくまで同族嫌悪による嫌味みたいなものが、結果的に俺達を庇うような感じになったってわけか。それなら半次でもやりそうだな、同じ階級でも実力の違いがあるわけだし。
けど、本当に気まぐれで俺達をフォローするような言葉も出すか? 俺達の事を噂のデュエリストだとか実力は凄いものだとか言ってたし、彼が言わないだろう自虐ネタも言ってくるし……
「それに、俺があの時負けたのは運だと思ってはいるが、どのみちあの事実は変えられない……」
あ、実力で負けたとは思ってないけど、負けは負けだと受け止めてる感じなんだな。
いや、あの試験デュエルからここまで人が変わるものなのか? あの時はレギュラスが結構良い事を言っていたけど、たった数日だけで変わるとは思えないんだよなぁ正直……
「だから覚えておけ、王辻 翼‼︎ 次こそはお前に勝つ‼︎ オベリスク・ブルーの誇りにかけて‼︎」
「お、おう……」
もう1人のライバルキャラか何かなのかなマジで? と思っていたら、半次も寮に戻ろうとしたため、我に帰った俺は彼を呼び止めることに。
「ま、待て半次‼︎」
「なんだ? これ以上お前らと関われば、俺は他のブルーの奴らからさらに悪印象を持たれてしまうからやめてくれないか?」
あ、もう既に悪印象を持たれてたんだな。いや、俺に負けた癖にとかってクズ2人が言ってたし、納得がいく。
「いや、俺達は訳あってカイザーとデュエルを申し込もうとしているんだ。だから彼のところまで案内してくれないか?」
ここまで言った途端、半次は予想していなかった事を聞いたのか目を見開いた。俺達が無謀にもアカデミアの帝王と呼ばれているカイザーと闘うことに驚きを感じたんだろうな。
「……カイザーなら、学園に用事があるらしいからここにはいないぞ」
えっそうなの? じゃああのクズどもがカイザー絡みで馬鹿にしてきたのはなんだったん?
「ええっ⁉︎ なんだよそれ‼︎ じゃああの2人がカイザーはこの寮にいる前提で絡むわけないじゃないか‼︎ まさかお前も嘘ついてるわけじゃないだろうな⁉︎」
「フンッ、アレはあいつらが揶揄ってるだけだ。信じられないなら今呼んでやろうか?」
クズ2人みたいに悪印象を俺達につけられるのを嫌ってなのか、十代に指摘された半次は寮の扉を開け、そこから腹から声を出した。
「丸藤先輩‼︎ 貴方に用がある奴がいますよ‼︎ 出てきてくれますか⁉︎ カイザー‼︎ 丸藤先輩‼︎」
結構響きのある声が寮に響き渡った。俺達の鼓膜にも結構響いていたし、多分カイザーのいる部屋にも響いていそうだな。
で。半次が呼んで30秒もしたところで、彼は溜息をついてから俺達の方へと向いた。そして……
「……あの声で呼んでこれだけ待っても来なかったということは、そういうことだ。俺の言った通り、カイザーは今この寮にはいないってわけだ」
「マ、マジかよぉ……」
まぁそうだろうな。呼ばれてたら普通は返事の1つぐらいはするはずだし、カイザーはそれくらい優しいってことぐらい前世で知ったし。
「ま、カイザーが戻ってきたらお前らの事を言っておいてやるから安心しろ。とはいっても、俺もこの後学園に用事があるから、伝えられたとしても結果は明日になるけどな」
「そうか……検討してくれてありがとうな」
「フンッ」
いやさっきから思ったんだけど、そのツンデレムーブは一体何なんだよ。とある原作キャラみたいな人としての成長やめてくれよ。いや、そうしてくれた方がぶっちゃけ心の負担が軽くなるというか減るだろうけどさ。
♢
ブルー寮が見えなくなるまで歩いていた頃には、時刻はとっくに夕焼けが降りて夜空の見える時間帯となっていた。もう少しで警備隊がアカデミア内の見回りに来るな、これ。
「ハァ……結局今日は何の収穫もなかったな」
「けどまぁ、あのオベリスク・ブルーの奴がカイザーと話を通してくれるって伝えてくれてよかったな!! あいつ、結構良い奴だったりして!!」
「あ、あぁ。でも、初めて会った時はそうじゃなかったんだよな……ぶっちゃけ、口だけ言ってどうせ伝えないのかなって考えてはいた……」
やっぱりあの時から1ヶ月は経ってないと、本当に改心したのかなんて怪しく思えるんだよなぁ……あいつ、半分だけとはいえ俺に負けたことを認めてない感じだったし。
「そうか? まさか見た目でまだ改心してないと思ってるのか? そりゃねェだろ」
「いや別にそんなんじゃないけどな……」
ってかお前が人を疑わなさすぎなだけだと思う。デュエリストはみんな友達って理論、そんなには通じないと思うのだが……
「ま、今は明日になるまで待ってようぜ‼︎ そんでもって、念のためまた俺達だけでカイザーを探そう‼︎」
「そうだな。とりあえず俺は、もう少しレッド寮で翔と一緒にタッグデュエルの対策をするよ」
くよくよしても始まらないし、とりあえずやれることをやっていかないとな。この世界でのこの時期でのタッグデュエルは退学を賭けたわけじゃないから、翔が原作通りに一度筏に乗ってアカデミアに去る可能性は低いわけだし……な。
おっ。そろそろレッド寮に着きそうだな……って、ん? なんか、どう見てもオシリス・レッドの色じゃない服を着ている長身の男がいるな? 誰だ? 隣に明日香がいるし、今なんか翔が来て対応しようとしてるんだけど……
「お兄さん、なんでこんなところに……⁉︎」
「……この寮に、遊城 十代という生徒がいると明日香に聞いたのだが、今いるか?」
「ア、アニキなら……あっ⁉︎ い、今戻って来たよ‼︎ ほら、後ろ後ろ‼︎ 翼君もだ‼︎」
マジで? マジで翔の兄・カイザーこと丸藤亮と会っちゃったよ。しかもレッド寮の前で、十代を探していたらしい。こんな偶然ってあるぅ?
「えっ……? ア、アンタが、カイザー……?」
「タメ口やめろ、指差すな。いくらなんでも初対面相手に失礼だろ。しかも上級生だし」
「構わん。俺も自然体の方が接しやすいからな」
あ、そういえばそうだった。実は意外と心が広い人だから、原作でも十代や他の人達がタメ口を使って話してきても全く気にしてないんだった。じゃあ他人はともかく、カイザーの前では話し方の指摘をしても意味ないじゃん。他人の前では指摘しないといけないけど。
ってかちょっと待て。今はその事に対して気にしてる場合じゃねェだろ。俺と十代はカイザーを探していたんだぞ? で、夕焼けが終わるまで見つけられなかったのに、夜になってまさかのレッド寮で遭遇……なんだこの偶然は? いやこれ偶然か?
と、とりあえず、何故カイザーがここにいるのかを聞かないと……
「あの……すみません。えっと……カイザー? 丸藤先輩? どっちの方で呼べばいいのですか?」
「俺としてはどっちで呼ばれようが構わない」
「そ、そうですか……で、では1つ質問を。何故カイザーがここにいるのですか?」
俺がそう質問してみれば、亮が「それは」と言ったところで何を思ったのか急に言葉を止めた。そして視線を尻目で明日香の方に向けながら再び口を開く。
「その事については明日香が分かりやすく教えてくれるから、彼女に聞いてくれ」
「ちょっと亮? そこでなんで私に振るのよ?」
「そうした方が、言葉の足りない俺よりも上手く彼等に俺の言いたいことが伝わると思ったからな」
「何よそれ……はぁ、まったく……」
おいコラ。いくら自分が言葉が足りないと自覚してるからって、他人に自分の伝えようとしていることを代わりに教えてもらおうとするな。それを突然任された明日香も困惑して呆れ気味になってんぞ。
そして明日香は不服に感じながらも、仕方なくといった感じに亮の代わりに俺の質問に答えだした。
「実はね……私が亮と一緒に兄さんの事を話していた後、亮の弟の翔が貴方と一緒にプロデュエリストとタッグデュエルをすることになったという話をしていたの。そして当日に向けて2人でタッグデュエルの練習をしていた時、訳あって十代が亮とデュエルしたがっていたのも伝えたら、亮が十代に興味を示してそれに乗ってくれるみたいよ」
……なるほど。明日香の奴、俺達がタッグデュエルの練習していたこととカイザーを探していたこと、それらを全部知ったのか───
「えっ⁉︎ マジで⁉︎ カイザー、俺とデュエルしてくれるのか⁉︎」
「うおっビックリした⁉︎ 急にデカい声出すな‼︎」
いくら目的を達成できる……というかデュエルしたい相手とデュエルできると思ったからって、急に人の耳近くでデカい声を出すな‼︎ 鼓膜にめっちゃ響いてきてるんだよ‼︎
「あぁ。俺とお前とのデュエルで、翔が何か答えを見つけられるんじゃないかとも言われたからな。翔の力になるともいうのなら、無下にするわけにはいかん」
「お、お兄さん……」
なるほど、初期の頃からカイザーは翔の事を気にかけているんだな。なら言葉が足りないだろうとはいえ、翔の成長を助長するような言葉を、彼が小学生だった頃に言わなかっただろうな。そこそこ良い兄弟愛だこと。
そんな事を思っていたら、カイザーはいつの間にかデュエルディスクを装着しており、いつでもデュエルできるようにと準備していた。ってか急に準備すな。はえーよホ○。
「見ておくんだ翔、お前の友である十代とのデュエルを。そしてこのデュエルで見つけろ、お前が探していた答えというものを」
「……う、うん……‼︎」
カイザーに促されてか、翔は唾を飲み込みながら緊張気味に彼のデュエルしようとしている姿を凝縮する。それに合わせるかのように、十代もデュエルディスクを展開させ、彼も同じくデュエルの態勢を取った。
……いよいよ始まるんだな、十代とカイザー……ニュースターと帝王のデュエルが。
「よっしゃあ‼︎ そうと決まれば話が早い‼︎ いくぜカイザー‼︎」
「来い」
「「
十代
LP:4000
亮
LP:4000
半次「丸藤先輩、帰ってくるのが遅いな……」
さらっと嫌味あるオリキャラを少し軟化してしまった……ま、後々そうしていく予定だけど(笑)