OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

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前回のあらすじ

ペガサス「プロになってもう一度輝いてみまセンか?」
キース「俺はアンタの事を恨んでたし、命とかも狙ってたぞ?」
ペガサス「それはそれ、これはこれデース‼︎ 私も貴方に色々としてしまいましたし、お互い様デース‼︎」
キース「えぇ……」

海馬「貴様らの過去の過ちを完全に隠蔽するようにするから、プロデュエリストになれ」
マリク「えっ急に何……?」
海馬「承諾すれば貴様らイシュタール家に資金を贈ろう」
イシズ「マリク、ここはお試しで乗ってみるべきです」
マリク「姉さん⁉︎」

その後
マリク&キース「プロデュエリストやるの楽しい」


1週間以上も待たせてすみませんでした。まさかタッグデュエルが思ったよりも長くなるとは思わなくて……(汗)
 


プロデュエリストとのタッグデュエル(前編)

 

翼&翔

LP:8000

 

マリク&キース

LP:8000

 

 

 別に負けてもペナルティとかがあるわけのない、プロデュエリストとのタッグデュエルが始まった。そのプロデュエリストがまさかの表マリクさんと光堕ちキースだとは思わなかったが、果たして実力は……

 

「先攻は君達からだ」

「ならボクからいくっす‼︎ ドロー‼︎」

「ングッ」

 

 おっといけね。まずは翔の先攻からだった。とりあえず先攻アレルギーの事をプロデュエリスト達に知られるわけにはいかないから、なんとか我慢したけど……大丈夫か? バレてないよな?

 いや、1番心配なのは翔のプレイングなんだけど、プレミとか起こさないよな……?

 

「ここは……よし‼︎ 【スチームロイド】を守備表示で召喚‼︎」

 

 

【スチームロイド】

ATK:1800

DEF:1800

 

 

 翔が呼び出したのは、蒸気機関車にそっくりな外見のロボット。デフォルメされた目が煙室扉の辺りに付けられており、後輪を脚として立っている。そして前輪はコードらしきものを伸ばして腕となっていた。

 ふむ、【スチームロイド】を攻撃表示にしなかったようだな。こいつは攻撃対象にされると攻撃力が500下がるから、守備表示で出したのは正解だぜ、翔。一応そこら辺は大丈夫か。

 

「永続魔法【補給部隊】と【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】を発動し、カードを1枚伏せる‼︎ ボクはこれでターンエンド‼︎」

 

 えらく消極的ではあるが、悪くない動きだ。後続を呼ぶためのカードも備えているし、及第点だ。

 

 

翼&翔

LP:8000

翔の手札:2枚

フィールド:

【スチームロイド】DEF:1800

【補給部隊】×1

機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】×1

伏せカード×1

 

 

「次は俺様のターンだ‼︎ ドロー‼︎」

 

 さて、バンデット・キースはリストバンドにカードを仕込んだり……は、してないな。ま、イカサマなんてしてたらプロデュエリストになんかなれてなかっただろうから、してるわけないとは思うけどな。

 

「俺様は【モーターシェル】を召喚‼︎」

 

 

【モーターシェル】

ATK:1300

DEF:1800

 

 

 煙を放出する音を出しながら出て来たのは、左右にスパイクシールドを装着した紫色の一輪車型マシン。黒鉄の鋼で作られたマフラーから廃棄ガスを放出しているのを見るに、世紀末によって作り出されたものである可能性が窺える。

 

「さらに手札の【モーター・カイザル】の効果発動‼︎ こいつを見せることによってこのターン、俺様は闇属性・機械族モンスターの召喚を行えるぜ」

「続けて召喚だって⁉︎」

 

 ギュイイインッと、何処からかエンジンが起動する音が響いていく。その音に釣られるかのように、【モーターシェル】も両腕のスパイクシールドを回転させる。

 あ、今リアクションを見せたのは翔の方ね。俺は効果知ってたから無反応なんで。

 

「【モーターシェル】を生贄に捧げ、【モーターバイオレンス】を召喚‼︎」

 

 

【モーターバイオレンス】

ATK:2100

DEF:1200

 

 

 【モーターシェル】が頭部に入っていたエンジンパーツを残しながら淡い光となって消えていき、そのパーツの隣に、黄土色と灰色のパーツを細身の体に顔代わりとなる黒いマイナスネジを嵌めた機械が現れる。両腕は赤い三連速射の銃となっており、その銃口を俺達に向けてきた。

 

「フィールドから墓地に行った【モーターシェル】の効果発動‼︎ 闇属性・機械族・レベル1・攻守200である【モータートークン】を攻撃表示で特殊召喚するぜ」

「だったらボクは手札の【増殖するG】の効果発動‼︎ 相手が特殊召喚する度にボクはカードを1枚ドローする‼︎」

 

 あ、俺が翔にあげた手札誘発のカードだ。融合デッキは手札消費が激しいし、ドローソースは多く入れるのに越したことはないと思ってあげたけど、やっぱり採用してくれたのか。……ヘヘッ、なんか嬉しいぜ。

 

「構わねェよ。来い、【モータートークン】‼︎」

 

 

【モータートークン】

ATK:200

DEF:200

 

 

 そして【モーターシェル】のエンジンパーツがそのまま浮遊し、このままでも戦えると言っているかのように自身を回転させてきた。パーツだけのヤツが意思を持つことなんてあるんだ……遊戯王界では当たり前の事なんだけど。

 

「【増殖するG】の効果で1枚ドロー‼︎」

 

 すると翔の周りに黒い点々のようなのが複数集まってきた。しかもキラリと目らしき何かを光らせながら。そしてその内の1体が何処からか取り出してきた1枚のカードを、翔にポイッと雑に投げ渡した。雑にカードを投げるのやめろや。

 

魔法(マジック)カード【アイアンドロー】を発動‼︎ 俺様のフィールドのモンスターが機械族モンスター2体のみなら、この後の特殊召喚が1回になる代わりに2枚ドローだ‼︎」

 

 ここでキースがドローカードを使用。地中から現れた巨大な深緑色の機械の手が光を放つ2枚のカードをキースに差し出し、収まった光からカードにイラストが浮かび上がった。

 

「さらにフィールド魔法【鋼鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダース)】を発動するぜ」

 

 キースの背後に、黄金のスロットマシーンから手足が伸びた機械やライフル銃を模した顔を持つ黒鉄の機械、黒い斑点を持つ赤い目のような機械などといった、機械の兵達がモンスターゾーンとなるフィールドに入らないように周囲を徘徊していく。

 

「【補給部隊】を発動させ、バトルフェイズに入る。【モーターバイオレンス】で【スチームロイド】を攻撃‼︎ モーターカノン‼︎」

 

 三連速射となっている両腕を【スチームロイド】に突き出した途端、合計6つの銃口から赤い熱光線が放たれた。

 

(トラップ)発動‼︎ 【スーパーチャージ】‼︎ 【ロイド】モンスターがフィールドに存在する状態での攻撃宣言時、ボクはカードを2枚ドローできる‼︎」

「んだよ、攻撃を止める系じゃねェのか……まぁいい、破壊しろ‼︎」

 

 (トラップ)カードの発動に合わせ、【スチームロイド】が放出させている蒸気を増幅させた……のだが、そんな事をしても攻撃力が上昇するわけもなく、熱光線に当たった【スチームロイド】はその熱に浴びたことによって爆発四散してしまった。

 

「だけどここで永続魔法【補給部隊】と【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】の効果がそれぞれ発動する‼︎」

 

 おっと、ここで破壊トリガーコンボか。今回は翔による戦闘破壊限定の【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】とのか。ウチの前世の環境だとそれが出来そうにないなー。

 

「まずは【補給部隊】で1枚ドロー‼︎ そして【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】の効果‼︎ 機械族モンスターが戦闘によって破壊され自分の墓地へ送られた時、デッキからそのモンスターより攻撃力の低い、同じ属性の機械族モンスターを1体特殊召喚できる‼︎ 【スチームロイド】の攻撃力は1800のため、それより低いモンスターを呼び出す‼︎」

「なら俺様もフィールド魔法【鋼鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダース)】の効果発動だ‼︎ 1ターンに1度、俺のフィールドの元々の種族・属性が機械族・闇属性のモンスターが、戦闘または自身の効果でフィールドのカードを破壊した場合、手札から機械族・闇属性モンスターを1体特殊召喚できる」

 

 ここで機械族の特殊召喚ラッシュか。これでキースはもう一度翔のモンスターを破壊しながら彼のデッキ枚数をほんの少しだけ削ることができ、翔はさらなる特殊召喚でアドバンテージを稼げるはず。両者とも悪くない状況だ。

 

「俺様が呼び出すのはこいつだ。来い、【リボルバー・ドラゴン】‼︎」

 

 

【リボルバー・ドラゴン】

ATK:2600

DEF:2200

 

 

 爆発音に釣られて来たかのように、観戦目的で群れていた機械達の集団の中から、全長3メートルもあるだろう黒鉄の龍らしき機械が降り立ってきた。頭部と両腕が銃──リボルバーとなっており、重厚となっている鋼鉄の身体が凶暴さを引き立たせていた。

 

「ならボクは【増殖するG】の効果で1枚ドロー‼︎ そして攻撃力1600の【ドリルロイド】を守備表示で特殊召喚だ‼︎」

 

 

【ドリルロイド】

ATK:1600

DEF:1600

 

 

 翔が呼び出したのは、ドリル戦車をデフォルメにした機械。顔を覆い尽くす程の大きさを誇る鼻部分と両手がドリルとなっており、地中を掘って現れたからなのか自身の全身並の面積を誇る穴を指差し(指どこ?)ドヤ顔した。

 

「今度は【リボルバー・ドラゴン】で【ドリルロイド】を攻撃するぜ‼︎ ガン・キャノンショット‼︎」

 

 ───のと同時に、【リボルバー・ドラゴン】が両腕の銃口から弾丸を発射。それに【ドリルロイド】が気づくも時既に遅し。

 1つが右腕を弾き、もう1つが顎を弾けば、最後に【リボルバー・ドラゴン】が頭部の銃口から放った弾丸が胴体に命中。怯まされたことで目を回しながら、【ドリルロイド】は身体を爆発されてしまった。

 

「【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】の効果は1ターンに1度じゃない‼︎ 今度は攻撃力400の【エクスプレスロイド】を守備表示で特殊召喚‼︎」

 

 

【エクスプレスロイド】

ATK:400

DEF:1600

 

 

 プオンッという音を発しながら、新幹線を模したデフォルメの機械が本物の如く走りながら翔のフィールドへと現れる。前輪は【スチームロイド】と同じく腕が付いていた。

 さらには先頭形状が角ばっており、薄紫色の模様が描かれていることから、JR東日本のE3系新幹線に類似していると思われる(Wiki参照)。

 

「【エクスプレスロイド】の召喚・反転召喚・特殊召喚成功時の効果発動‼︎ ボクの墓地から同名以外の【ロイド】モンスターを2体手札に加えることができる。よって【スチームロイド】と【ドリルロイド】を手札に‼︎」

「チッ……2体ピッタリじゃねェか。その上、やっぱり【モータートークン】で追撃できねェか……」

 

 車両とも言える【エクスプレスロイド】の体から、体の所々が凹んだり破損したりしてボロボロになっている【スチームロイド】と【ドリルロイド】が、あっさりと破壊されたことに対してか申し訳ないという表情で顔を覗かせた。特に【ドリルロイド】はその気持ちで押し潰されそうになっていた。

 【エクスプレスロイド】が先頭車両のドア付近をコンコンッと叩けば、それに気づいた2体の【ロイド】が慌てて了承するように頷き飛び出した途端、全身が光に包まれ縮小・変形していき、カードとなって翔の手札へと加わった。

 これで翔の手札は7枚か。これで素で融合しても手札数に問題ないレベルとなったな。素材要因もちゃんとありそうだし。

 

「だが、モンスターを残したままにして生贄要因にさせるわけにはいけねェな。メインフェイズ2、【リボルバー・ドラゴン】の効果発動‼︎ 【エクスプレスロイド】を対象にし、コイントスを3回行う‼︎ 2回以上表が出れば、そいつは破壊されるぜ。ロシアン・ルーレット‼︎」

 

 ハズレを引いてデメリットがあるわけじゃないのに、なーにがロシアン・ルーレットだよ。笑わせんな。

 【リボルバー・ドラゴン】が【エクスプレスロイド】に3つの銃口で標準を合わせるのと同時に、キースがデュエルディスクのソリッドビジョンシステム仕様のコインを3枚同時に放出した。そして地面に落ちたコインの出た面は……

 

「裏、表、表……成功だ。よって【エクスプレスロイド】には消えてもらう‼︎」

 

 3つの銃口から同時に弾丸が放出される。【エクスプレスロイド】は自身の高速スピードを持ってして回避を試み、1つは避けることに成功するも、残りの2発が先頭形状と先頭車両に直撃し、その重さに耐え切れず爆発四散してしまった。

 

「【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】によってモンスターが特殊召喚されるのは、戦闘破壊された時のみ‼︎ 今のタイミングでは【エクスプレスロイド】よりも攻撃力の低いモンスターは出せねェぜ‼︎」

「ッ……やっぱり効果を把握されていたんだ……」

 

 言っとくけど、そいつより低い地属性・機械族【ロイド】モンスターは翔のデッキにはねェぞ。翔のデッキがどんなのかは知らないだろうとはいえ、そんな事を言ってもあんまり意味はないぞ。他のモンスターだったら説明の必要性は高いけどな。

 

「俺様はカードを1枚伏せてターンエンドだ。さぁそこの優男、次はテメェのターンだぜ。テメェの実力、見せてみな」

 

 優男って誰? もしかして俺の事か? 俺、自分の事を優しい人間だとは思ってないんだが……まぁいいや、ターンが回ってきたからにはお望み通り見せてやるか。

 

 

翼&翔

LP:8000

翔の手札:8枚(【スチームロイド】×1、【ドリルロイド】×1)

フィールド:

【補給部隊】×1

機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】×1

 

vs

 

マリク&キース

LP:8000

キースの手札:2枚(【モーター・カイザル】×1)

フィールド:

【リボルバー・ドラゴン】ATK:2600

【モーターバイオレンス】ATK:2100

【モータートークン】ATK:200

鋼鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダース)

【補給部隊】×1

伏せカード×1

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎ 俺は手札から【闘炎の剣士】を召喚‼︎」

 

 

【闘炎の剣士】

ATK:1800

DEF:1600

 

 

 俺のフィールドの1箇所にて、炎の渦が巻き上がる。その中心部から飛び出したかのように現れたのは、『闘炎』の文字が彫られた一回り大きな剣に炎を纏わせた剣士の青年。蒼色の衣の上に朱色の鎧を着ており、その周囲にも火の粉が次々に飛び散っているかのように見える。

 

「【闘炎の剣士】だと……? チッ、あの野郎の事を思い出しちまったぜ……」

「【炎の剣士】そっくりだな。そういえば、城之内は最近どれだけ強くなったのかな」

 

 そう。実はこの【闘炎の剣士】、初代遊戯王メインキャラである城之内が使ってたモンスター【炎の剣士】のリメイクモンスターの1体なんだ。しかもなかなかのレア物指定。そりゃ驚かれるってわけ。

 ちなみにこのGX世界では、城之内もプロデュエリストをやっているらしい。つまり彼の使うモンスターは大抵人気があるってわけ。【炎の剣士】もその内の1体だ。俺はカテゴリーとなったそいつを今使ってるってわけ。

 

「【闘炎の剣士】の効果発動‼︎ このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから【炎の剣士】のカード名の記された魔法(マジック)(トラップ)カードを1枚手札に加えることができる」

「やっぱり【炎の剣士】に関する効果を持っていやがったのか……‼︎」

 

 その通りでございます☆ すみませんねェ、城之内じゃないのにそのようなカードを持っていて。

 

「この効果で俺は【炎の剣域】を手札に加えます」

 

 剣を地面に突き立て、左手を天井に翳した【闘炎の剣士】。するとその手に収まる程の炎が集まり、野球ボール並の球体が出来上がる。それは縮小・変形して1枚のカードとなって俺の手札に加わった。

 

「そしてそのまま永続魔法【炎の剣域】を発動‼︎」

 

 俺のフィールドが炎渦に包まれていく。その渦はまるで龍を模しているかのような呻りを見せていた。だがそれは捉えたものを焼き尽くすためのものではなく、熱き心を持った者を鼓舞するためのものだった。

 

「【炎の剣域】の効果発動‼︎ 俺の手札かフィールドの表側表示のモンスターを1体墓地に送ることで、エクス……じゃなかった、融合デッキからとあるモンスターを()()()()()()で特殊召喚することができます」

()()()()()()……? ッ⁉︎ まさかッ⁉︎」

「そのまさかですよ‼︎ 【飛龍炎サラマンドラ】を墓地に送り、こいつを呼び出す‼︎」

 

 俺のフィールドに龍の顔を模した炎が、とぐろを巻くように昇りながら姿を現した。その炎から龍の雄叫びの如く高い音が響けば、周囲の炎がそれを包み込む。

 二重となった炎。しばらく経つと、その中から2つの一筋の光が炎から覗かせる。それは正に眼光……否、眼光そのものだった。

 

「熱き炎を持ってして現れろ‼︎ 【炎の剣士】‼︎」

 

 

【炎の剣士】

ATK:1800

DEF:1600

 

 

 二重の炎が真っ二つに切断され、その中から1人の戦士が姿を見せる。容姿は【闘炎の剣士】と同じではあるものの、剣はさらに一回り大きい大剣で彫られている文字が『炎』だけになっており、大人びた雰囲気を持っている上に筋肉が多くつけられていた。

 

「【炎の剣士】……やっぱり城之内のカードじゃねェか」

「しかもここまで見るに、どうやら彼はあのモンスターを中心としたデッキで闘うようだね」

 

 まぁ他にもデッキはいっぱいありますけどね。そして【飛龍炎サラマンドラ】が墓地に送られた場合の効果を……いや、まだここでは使わないでおこう。ここで()()()に繋げるのはなんだか危ない気がする。

 

「墓地の【飛龍炎サラマンドラ】の効果発動‼︎ このカードが手札・墓地に存在する場合、このカードを自分フィールドの戦士族モンスター1体の装備魔法カードとしてそのモンスターに装備することができる‼︎ 【炎の剣士】に装備‼︎」

 

 【炎の剣士】の持つ大剣に、斬り裂かれたはずの龍の炎が纏われた。その炎は剣に朱い輝きを与え、熱をさらに増幅させていく。

 

「【飛龍炎サラマンドラ】が【炎の剣士】またはそのカード名が記されたモンスターに装備されている限り、装備モンスターの攻撃力は700ポイントアップする‼︎」

 

 

【炎の剣士】

ATK:1800 → 2500

 

 

 その炎が、今度は【炎の剣士】の身体にも纏わりつくかのように巨大化。燃え盛るそれによる熱を帯びさせ、心にも火を灯したかのように【炎の剣士】に雄叫びを上げさせた。

 

「……ヘッ。その程度の攻撃力じゃあ、【リボルバー・ドラゴン】を倒すには程遠いんじゃねェか?」

「焦らないでください。まだ俺の手札は4枚もあるんですよ?」

「……それもそうだな。だがマジでそう思ってんのかって考えんじゃねェぞ? ヒール役特有の煽りってヤツだよ」

「……そっすか」

 

 ヒール役。それは悪役や敵役として振る舞う演者のことだ。キースは実際悪役として城之内や遊戯と闘ったことがあるからな、そりゃヒール役として売られてこいとか言われるだろうな。

 いや、もしかすると自分からヒール役で買って出たとか? うーむ、分からん……

 おっといけね、デュエルに集中せんと。

 

「とりあえずバトルフェイズに入る‼︎ 俺は【炎の剣士】で【リボルバー・ドラゴン】を攻撃‼︎」

「このままバトル……やはり何か企んでやがるな」

「ご明察。やっぱりプロデュエリストは察しがいいですね」

 

 炎がより一段と燃え盛る大剣を握り締め、3つの銃口を持つ巨大な機械の龍を見据える【炎の剣士】。そんな2体を傍観するかのように、【リボルバー・ドラゴン】の背後にて機械のモンスター達が騒ぎ立てまくると……

 

「まずは攻撃宣言時に速攻魔法【闘気炎斬剣】を発動‼︎ 自分の戦士族・炎属性モンスターの攻撃宣言時に発動したため、フィールドのカードを1枚対象にして破壊する‼︎」

「【炎の剣士】の必殺技のカードだと⁉︎」

「対象は【鋼鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダース)】だ‼︎ 闘気炎斬剣‼︎」

 

 その大群の方に視線を変えた【炎の剣士】が、彼等に向けて大剣を横薙ぎに振るう。さすれば大剣が纏った龍の炎が巨大化して呻りながら動き出し、咆哮らしき音を上げながら機械の大群を飲み込んでいく。

 機械の大群は各々が耐熱性のある身体を持ってしても、あらゆるものを飲み込まんとする炎の高熱と勢いに耐えられず、次々と爆発を巻き起こしながら炎の中で溶けていってしまった。

 

「えっ……? つ、翼君……どうして【リボルバー・ドラゴン】や伏せカードじゃなくてフィールド魔法を破壊したの?」

「実はあのフィールド魔法……【鋼鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダース)】にはな、発動プレイヤーの機械族・闇属性モンスターに1ターンに1度の戦闘破壊を無効にした上で、その戦闘で自分が戦闘ダメージを受けた場合、その数値分だけ攻撃力が永続でアップする効果まで備わっているんだ。だからこちらのモンスターの攻撃力が彼のモンスターを超えても、ダメージを与えるだけで次のターンに返り討ちにされてしまう。そういった事態を避けたかったのさ」

「そ、そうだったんだ……‼︎ なるほど……時には見える防御手段も対処する必要があるんだね」

 

 そゆこと。伏せカードを破壊することも正解ではあるが、持久戦の事も考えるとこれも正解のはずだ。

 ちなみに言っておくが、ライフが4000のルールでこの状況なら、【鋼鉄の襲撃者(ヘビーメタル・レイダース)】じゃなくて伏せカードを破壊する方が最適だ。戦闘破壊を防がれるのを機に、【モータートークン】に2回攻撃してリーサルができるからな。8000ルールじゃこの盤面だと難しいけど。

 

「攻撃続行だ‼︎ ダメージ計算時、手札の【焔聖騎士ーローラン】の効果発動‼︎ 自分・相手ターンに1度、このカードを攻撃力500ポイントアップの装備カード扱いとして俺のフィールドのモンスターに装備する‼︎」

 

 金と赤の混じった髪を持つ、燃え盛る炎を模した真っ赤なマントを翻している青年が姿を現す。その青年が自身の持つ、持ち手までもが炎に包まれている剣──聖騎士ローランの剣・デュランダルを【炎の剣士】に投げ渡す。

 それを【炎の剣士】が左手で掴めば、その剣にも龍の炎が宿り出す。そして剣も燃え盛る炎のように変化したかのような一瞬の錯覚を起こし、宿った炎もそれに合わせて激しく燃え盛っていく。

 

 

【炎の剣士】

ATK:2500 → 3000

 

 

「やっぱり超えやがったか……‼︎」

 

 はい、そうです。僅差だけどあっさりと超えました。覚悟しろよ【リボルバー・ドラゴン】、すぐにその黒鉄のガチガチライフルな身体を斬ってやるからな。【炎の剣士】が。

 

「いけ、【炎の剣士】‼︎ 闘気二刀流炎斬剣‼︎」

 

 ローランが背中を見せる【炎の剣士】に手を振ってその場から消えたのに合わせて、【炎の剣士】が両手でそれぞれの剣を握り締めながら跳躍する。龍の炎を宿したそれらを同時に振り下ろし、弾丸を発射しようとした【リボルバー・ドラゴン】の背後を通って着地する。

 足が地に着いたのと同時に、【リボルバー・ドラゴン】の身体が半分になるような赤い直線が刻まれる。その間から炎が噴き出たり火花が飛び散ったりとしているのを見るに、どうやら【炎の剣士】に斬られたことによって発生したものと見て捉えられる。

 少しして【リボルバー・ドラゴン】はその直線に合わせて左右の身体が泣き別れとなり、その瞬間に火花が大きな爆発と化し塵となって消滅していった。

 

「チィッ‼︎」

 

 

マリク&キース

LP:8000 → 7600(3000 - 2600 = 400)

 

 

「先制ダメージは彼等の方に渡ってしまったね」

「だがこんくらい問題ねェよ。【補給部隊】の効果発動‼︎ さらにそれにチェーンし、手札の【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】の効果発動‼︎」

 

 ゲゲッ⁉︎ そいつもう手札にあったのか‼︎ あの時【飛龍炎サラマンドラ】の墓地に送られた時の効果発動をしなくてよかった気がする……‼︎

 

「まずは【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】の効果発動の処理だ。俺様のフィールドの闇属性・機械族モンスターが破壊された場合、手札から特殊召喚できる。さぁ【リボルバー・ドラゴン】、強化して生まれ変わりな‼︎」

 

 先程まで【リボルバー・ドラゴン】だったものの塵が、磁力に引っ張られるかのように一点を中心に集結していく。そこに朱色・黄緑色・銀色……それぞれの色を持つ鋼鉄のパーツが次々と現れ、塵を覆うように組み立てられていく。

 

 

【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】

ATK:2800

DEF:2200

 

 

 やがて完成したのは、より明るく色彩となった【リボルバー・ドラゴン】。銀色の銃の撃鉄の形をした翼や角となるパーツが追加され、3つの銃口の色も変わりより強化されたものとなった。

 

「んで、【補給部隊】の効果で1枚ドローだ。そして【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】の効果発動‼︎ 俺かテメェのバトルフェイズ中、そのターンのこいつの攻撃権を放棄することで、コイントスを3回行うぜ。そして表の数まで、テメェのモンスターを破壊する‼︎ デスペラード・ルーレット‼︎」

 

 機械の軋む音のような唸り声を出しながら、【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】が3つの銃口を【炎の剣士】と【闘炎の剣士】に向けられた。そしてそれらに付いているシリンダーが高速で回転する。

 そして3枚のコインの落ちた音が聞こえたのと合わせて、シリンダーが回転する音が止み、3つの銃口から熱が込められ始めた。

 ん? 3つ全部に? まさかな……

 

「悪いな、どうやら今回は全部表らしいぜ」

 

 ファッ⁉︎ やっぱりかよ‼︎

 

「3回とも表のため、さらに1枚ドローだ。さぁ、【炎の剣士】と【闘炎の剣士】はここで破壊させてもらうぜ‼︎」

 

 銃口全ての引き金が引かれ、シリンダーが再び高速回転。今度は空の薬莢を排出しながら込められた弾丸が、コンマという間すら空けずに次々と発射されていく。

 2体の剣士がそれぞれの剣を盾代わりにするも、弾丸の豪雨が蜂の巣のように襲い掛かってきたため、弾丸の威力とその爆発力に身体が耐え切れるわけなく、弾丸と共に爆発して消えていってしまった。

 俺のフィールドに目標となるモンスター達がいなくなったのを土煙の中で確認した【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】は、シリンダーの回転をゆっくりと収めながらその場を眺めた。

 その場に残っていたのは、地面に突き刺さっていたデュランダルとその場を旋回しているサラマンドラだけだった。

 

「だけど‼︎ ここで【闘炎の剣士】のもう1つの効果、装備元が離れ墓地に送られた【飛龍炎サラマンドラ】と【焔聖騎士ーローラン】の効果、そして最後に【補給部隊】の効果発動‼︎」

「ハァッ⁉︎ 1度に4枚のカードの効果を発動だとォッ⁉︎」

「これは……さすがにエグいな……」

 

 だろうね。いくらプロデュエリストだろうと、自分のカードだけでここまでチェーンを組むなんてこと、そう簡単にできるわけないもんな。OCGプレイヤーでもこの枚数はそこそこ難しいけどな。

 

「チッ……一旦【補給部隊】以外の効果を確認させろ‼︎」

 

 ここで俺が処理する前に全部の効果を把握するのか? まぁどれも初見のヤツだし、仕方ないといっちゃ仕方ないか。よし、教えるとするか。悪役じゃない人に教えない程クズじゃないし、前世でもそうやってたしな。

 

「では宣言した順番に説明しますね」

 

 そう言って俺は淡々と以下のカード(【補給部隊】以外)の効果説明に入った。

 

【闘炎の剣士】:墓地へ送られた場合に【炎の剣士】またはそのカード名が記されたモンスターを1体デッキ・エクストラデッキ(ここではちゃんと融合デッキに言い換えた)から墓地に送る

 

【飛龍炎サラマンドラ】:このカードが墓地へ送られた場合に【サラマンドラ】魔法(マジック)(トラップ)カードを1枚デッキから手札に加える

 

【焔聖騎士ーローラン】:このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズにデッキから同名以外の戦士族・炎属性モンスター1体または装備魔法カードを1枚手札に加える

 

 そう、つまりどれもサーチ効果。しかもチェーン逆順として【補給部隊】の効果が先に発動するようになっているから、並大抵の無効効果では発動・効果を無効しにくいようになっているんだ。そう簡単にサーチを止めれるはずが……

 

「新しく出たばかりのこいつが使えるとはな……リバースカードオープン‼︎ 速攻魔法【墓穴の指名者】を発動‼︎」

 

 ………………えっ?

 

「相手のモンスターを1体除外し、次のターン終了時まで、このカードの効果で除外したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される‼︎ つまり1体は効果が無効にされ、サーチできるカードは2枚となり、【補給部隊】の効果を含めても増える手札は3枚に減るってわけだ‼︎」

「えっと、いや……えっ?」

「驚いているようだな? ま、無理もねェよ。1週間前に超激レアカードとして一般発売のパックに入ったばっかりのヤツなんだから、すぐに効果を把握できるわけないもんな‼︎」

 

 そうじゃねェよッ‼︎ なんで墓穴までもがこの世界でいろんなデュエリストに渡るようになるんだよッ⁉︎ 強すぎるからレアリティがかなりの高順になっているとはいえ、一般にも流用されたら今後俺の前世の世界のカードが影響された時に色々とヤベェって‼︎

 

「対象とするカードは……そうだな、【飛龍炎サラマンドラ】だ‼︎ そいつで融合系や速攻魔法などのカードを持って来られたら厄介な気がするんでな‼︎」

 

 それはあながち間違ってない。寧ろ大正解。

 地面から悪魔でもいるかのような不気味な深緑色の腕が掘り出てきた。そしてその腕は、俺のフィールド周辺を旋回しているサラマンドラに向けて、鋭利な爪を持つ自身の指を差した。今宵、冥界に行くのはお前だ、と。

 自身が指を差されているのだと知ったサラマンドラは、それを避けるべくすぐにその場を離れようとする。しかし腕には不思議な能力を持っているのか、全身が無機物となる炎で出来ているはずの体を掴まれ、そのまま地中へと引き摺り込まれていった。

 

「クッ……けど他のカード達の効果発動は避けられない‼︎ まずは【補給部隊】の効果でカードを1枚ドロー‼︎ ローランの効果もエンドフェイズに適用‼︎ そして【闘炎の剣士】の効果でエク……融合デッキから【闘気炎斬龍】を墓地へ‼︎」

「融合デッキからモンスターを墓地へ送るだと……?」

 

 先程まで【闘炎の剣士】が立っていた跡地に、半透明の龍の炎がその場で体を呻らせている姿が見られる。だがそれはサラマンドラよりも厳つい顔つきをしており、口には刃らしきものが咥えられていた。

 その半透明な姿を見せていた龍の炎は、まだ自分が出る時ではないと言わんばかりに唸り声を漏らしながら、やがてその場から消えていった。来たるべき時に備えるために。

 

「追撃をかけるためのカードは引けなかったぜ……俺はカードを2枚セットしてターンエンド‼︎ エンドフェイズ時、ローランの効果でデッキから戦士族・炎属性モンスターである【幻炎の剣士ーミラージュ・ソードマンー】を手札に‼︎」

 

 やがてデュランダルが淡い光に全身を包まれると、縮小・変形して1枚のカードとなり、俺の手札へと加わった。

 さて……最後はマリクさんのターンか。表の人格が直接デュエルするシーンなんて全くなかったから、このデュエルではどんなデッキを使うのか見ものだな。

 

 

翼&翔

LP:8000

翼の手札:2枚(【幻炎の剣士ーミラージュ・ソードマンー】×1)

翔の手札:8枚(【スチームロイド】×1、【ドリルロイド】×1)

フィールド:

【補給部隊】×1

【炎の剣域】

機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】×1

伏せカード×2

 

vs

 

マリク&キース

LP:7600

キースの手札:3枚(【モーター・カイザル】×1)

フィールド:

【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】ATK:2800

【モーターバイオレンス】ATK:2100

【モータートークン】ATK:200

【補給部隊】×1

 

 

「やっと僕のターンか……待たされた分、期待に応えないとな‼︎ 僕のターン、ドロー‼︎」

 

 なんか自分からハードル上げてないかこの人? 確かにたくさん待たせてたけどさ。

 

「僕は手札の【マシンナーズ・ラディエーター】の効果発動‼︎ 手札からこのカード以外の【マシンナーズ】モンスターを1体捨てることにより、このカードを特殊召喚することができる‼︎ 【マシンナーズ・フォートレス】を起動源にし、現れろ‼︎ 【マシンナーズ・ラディエーター】‼︎」

 

 

【マシンナーズ・ラディエーター】

ATK:1700

DEF:2400

 

 

 ウィィィンッという機械質な音を立てながら上陸してきたのは、重厚なる緑色をベースとした四角いパネルに上半身を合体させた人型のロボット。腕部分には銃口が盾並びに、背中には巨大な砲台が俺達のフィールドに向けられていた。

 にしても、マリクさんのデッキは【マシンナーズ】だったのか。ロボットは男のロマンだとか言うけど、『墓守家の多彩なる魔術師』と呼ばれてる人が機械族を使ってもいいのだろうか?

 まぁ、自分のバイクを手に入れて運転したいとかなんとか言ってたって原作知識があったし、そこから彷彿として【マシンナーズ】を使うようになったって思えばいいんだろうな。そうしとこう(オイ)。

 ってか、こいつの効果はそこそこヤバかった気がする。しかも【補給部隊】がある状態で出されるとかまずいって。

 

「さらにだ‼︎ 手札からレベルの合計が8以上になるように機械族モンスターを捨てることにより、このカードを手札・墓地から特殊召喚することができる‼︎ レベル10の【マシンナーズ・カーネル】を起動源として、現れろ‼︎ 【マシンナーズ・フォートレス】‼︎」

 

 

【マシンナーズ・フォートレス】

ATK:2500

DEF:1600

 

 

 巨大なキャタピラを動かす音を出しながら現れたのは、それらが水色の体の左右に付けられた機械。左肩にはラディエーターのよりも長い砲台が乗っており、車体の上部中央に取り付けられた顔部からは無機質なモノアイがフィールドを見回していた。

 ってか、さらにまずいことが起きたじゃねェか。ラディエーターがいる状態で墓地にカーネルっておま……

 

魔法(マジック)カード【アドバンスドロー】を発動‼︎ 自分フィールドのレベル8以上のモンスターを生贄に捧げることでカードを2枚ドローすることができる。僕は【マシンナーズ・フォートレス】を生贄に捧げる‼︎」

 

 え? 自分の出番、もう終わり? とでも訴えかけているかのようにマリクの方を振り向くフォートレス。だが返答を返してもらう間もなく彼の身体は白く光り、やがてその場から消滅していってしまった。フォートレス、南無三。

 

「ここから面白いものを見せてあげるよ‼︎ 【マシンナーズ・ラディエーター】の効果発動‼︎ 自分フィールドの機械族モンスターを1体対象とし、そのモンスターとはカード名が異なり、そのモンスターのレベル以下のレベルを持つ【マシンナーズ】モンスターを1体、自分の墓地から特殊召喚し、対象のモンスターを破壊することができる‼︎」

「つまり、墓地のモンスターとの入れ替え……‼︎」

 

 そう、これが【マシンナーズ】の強いところの1つ。墓地に攻撃力の高いモンスターを溜め込み、それらを破壊でトリガーして蘇生させることができるんだ。

 今のラディエーターみたいに攻撃力が低いモンスターを自身の効果で自壊させといて、同レベルで攻撃力が自身よりも高い【マシンナーズ】を蘇生……なんてこともできる。しかもフィールドには既に【補給部隊】もあるから相性が良いんだよなこれが。

 

「アレ? でも今のマリクさんの墓地の【マシンナーズ】は、レベル8のフォートレスとレベル10のカーネルだけじゃ……?」

「そう。だから今の僕のフィールドを見るからに、1番レベルの高いレベル8の【マシンナーズ・ラディエーター】しかいないため、【マシンナーズ・フォートレス】しか出せない……けど、これでいいのさ‼︎」

 

 ただドローカードのコストとして墓地に送ったモンスターと入れ替えただけで、手札が増えてるとはいえモンスターの数が減るだけでは……と翔は思っているようだが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「【マシンナーズ・ラディエーター】を破壊し、【マシンナーズ・フォートレス】を復活だ‼︎」

 

 

【マシンナーズ・フォートレス】

ATK:2500

DEF:1600

 

 

 刹那。ラディエーターに向けて淡い色を持つ光の極太なレーザーが放たれ、ラディエーターのパネルよりも小さい身体に直撃。ラディエーターは何も抵抗することなく爆発してしまい、代わりに巨大なキャタピラを持つ水色の機械──【マシンナーズ・フォートレス】が移動するように再び現れた。

 それと同時に、燃え盛る木っ端微塵の残骸となったラディエーターが震動によって揺れ始め、フォートレスが現れたのとは別の方向からキャタピラの音が聞こえてきた。

 

「えっ⁉︎ ま、まさかまた【マシンナーズ・フォートレス】が出るの⁉︎ 2体目も手札にいたっすか⁉︎」

「残念だけどそれは違うな。このカードは名称での1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の機械族・地属性モンスターが戦闘・効果で破壊された事により、このカードを墓地から特殊召喚することができる‼︎ 起動して現れろ、【マシンナーズ・カーネル】‼︎」

 

 

【マシンナーズ・カーネル】

ATK:3000

DEF:2500

 

 

 ラディエーターの残骸をキャタピラで蹴り飛ばし、発生した爆発による爆煙・爆炎を、光のレーザーや斬撃で消し飛ばしたのは、【マシンナーズ・フォートレス】のキャタピラが変形し直立したかのような異質な形状となっている、ライトブルー・銀・赤を基調とする装甲の機械。

 左腕がレーザーキャノン砲に、右腕が巨大なチェンソーになっており、4つのキャタピラがケンタウロスの下半身を彷彿とさせていた。

 

「ちなみにデュエルディスクで既に反応を示しているだろうけど、チェーンを組んで【補給部隊】の効果も発動しているため、カードを1枚ドロー‼︎」

 

 で、さらっとした感じにドローもしたというね。

 

「よし、良いカードが来た‼︎ キース、お前の【モータートークン】を使わせてもらうよ」

「構わねェよそんくらい。そのために残しておいてやったようなもんだからな」

「なら遠慮なく。【モータートークン】を生贄に捧げ、【タイム・イーター】を召喚‼︎」

 

 

【タイム・イーター】

ATK:1900

DEF:1700

 

 

 【モータートークン】が藍色の巨大な手によって掴まれ、上空へと放り込まれる。そして落下していっている先には、ネジのようなものを目として付けている藍色の巨人が。その巨人は落下してきた【モータートークン】をそのまま口の中へと受け入れ、ゴクンッと飲み込んでしまった。

 その巨人の腹部には、摩訶不思議なネジ巻き式の時計が、本体の周りに纏わりついている白い極細のワイヤーらしき糸によって付けられており、刃のような形状の針がゆっくりと時を進めていた。

 怖っ。フランケンシュタインかよ。ってか悪魔族な姿して機械族ってなんだよ。大体なんで全体像がカードイラストには描かれてねェんだよ。おかしいだろ。

 って、アレ? 【タイム・イーター】って確か、古いカードだけど効果がめちゃくちゃヤバいって話を、前世で聞いたことあるようなないような……

 

「……すみません、【タイム・イーター】の効果の確認ってできますか?」

「……? まぁそれくらいならいいが……【タイム・イーター】は相手モンスターを戦闘で破壊した場合、次の相手ターンのメインフェイズ1をスキップする効果があるんだ。今の君達のフィールドにはモンスターはいないけど、このモンスターよりステータスの低いモンスターを出す時は用心しておくことだ」

 

 ファッ⁉︎ ただ戦闘破壊しただけでこっちのメインフェイズ1が飛ばされるだって⁉︎ そんな事されたら状況次第では【タイム・イーター】を効果破壊しないとザ・○ールド状態ならぬずっと俺のターンになるって‼︎ あ、でも戦闘破壊できるモンスターがいなけりゃ問題ないか……じゃなくて‼︎

 

「こちらも永続魔法【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】を発動し、バトルだ‼︎ 僕は───」

「ちょっと待った‼︎ 攻撃宣言が行われる前に永続(トラップ)【リビングデッドの呼び声】を発動‼︎ 俺の墓地のモンスターを攻撃表示で特殊召喚する‼︎ 蘇れ、【炎の剣士】‼︎」

 

 

【炎の剣士】

ATK:1800

DEF:1600

 

 

 キラリと天井から1本の大剣が落ちてきて、それが地面に突き刺さる。するとそこから赤色の魔法陣が浮かび上がり、炎を噴き出しながら1人の戦士を呼び起こす。

 その戦士こそ、大剣──『炎』の文字が彫られている剣の持ち主である【炎の剣士】。地面に突き刺された己の得物である大剣を引き抜き、機械の集団に向けて穂先を向けた。

 

「あぁ? マリクの【タイム・イーター】での攻撃宣言前に特殊召喚だと……?」

「ええっ⁉︎ ダ、ダメだよ翼君‼︎ 状況が状況とはいえ、【タイム・イーター】が攻撃し終えてない時に、攻撃力1900よりも低いモンスターを出したら……‼︎」

「大丈夫だ翔、そのケアならちゃんと用意してある」

 

 マリクさんが蘇生カードの発動タイミングに疑問を抱き、翔が焦りを見せる。だが、このタイミングで蘇生させたのにはちゃんとしたワケがあるんだ。何も考えてないのかと思ってるのなら、足元を掬われるぜ?

 

「何が狙いなのかは知らないが、バトルフェイズに入ってしまった以上、ここは叩いてみるのみ‼︎ 僕は【タイム・イーター】で【炎の剣士】を攻撃‼︎ ビットタイム‼︎」

 

 【タイム・イーター】が握り拳を作った両腕を上げながら叫び、下ろした途端に【炎の剣士】を見据える。そしてお前の生命時間を奪ってやると言わんばかりの殺意を持ってして、地を踏みしめながら走り出した。

 

「俺の融合モンスターが戦闘を行うこととなった……そのため、このカードは発動可能‼︎ リバースカードオープン‼︎ 速攻魔法【決闘融合ーバトル・フュージョン】‼︎」

「‼︎ そのカードって‼︎」

 

 そうだぜ翔。こいつは俺と十代がデュエルしていた時、十代が発動させたカードだ。あいつのカード、俺も使わせてもらったぜ。

 

「俺のフィールドの融合モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時、その自分のモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする!! このカードは俺の戦闘を行うモンスターが融合モンスターであれば、相手モンスターの攻撃宣言時でも使用可能‼︎」

「逆に攻撃宣言時でしか使えないから、攻撃される前に【炎の剣士】を特殊召喚したってわけか……」

 

 そういうことです。これで少なくとも、こちらがどのタイミングで使おうとも、攻撃力パンプする速攻魔法がない限りは【タイム・イーター】の効果発動の条件を満たせそうにないってわけ。ハッハッハー、残念だったな───

 

「ならばこうだ‼︎ それにチェーンして【マシンナーズ・カーネル】の効果発動‼︎」

 

 ですよねー。

 マリクさんが効果発動の宣言をしたのに合わせ、ふと【タイム・イーター】の走っている足が止まる。彼の背後に、いつの間にか【マシンナーズ・カーネル】が立っていたからだ。

 背後から見下ろしてくる圧に、思わず体全体から冷や汗を出す【タイム・イーター】。俺、何かとんでもないことをやらかしたから罰を受けるんですか? と畏怖しているかのように。

 

「【マシンナーズ・カーネル】は自分・相手ターンに1度、自分フィールドの機械族モンスターを1体対象とし、その機械族モンスターと、その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊することができる。いくら攻撃力をアップするカードを使ったとしても、それがダメージ計算時以外での発動なら、適用前に発動できて対象は破壊され不発となる‼︎」

「攻撃宣言時でしか発動できない弱点を突いてきたか……‼︎」

「破壊対象は【タイム・イーター】‼︎ よってこのカードと攻撃力1900以下である【炎の剣士】も道連れだ‼︎ 機甲部隊の大爆撃(マシンナーズ・バースト)‼︎」

 

 恐る恐る振り向いた【タイム・イーター】の腹部にある時計─これが本当の腹時計─を、横薙ぎに振るった巨大なチェンソーで豪快に斬り裂いて破壊したカーネル。味方に対していともたやすく行われるえげつない行為を行うとは……見損なったぞカーネル‼︎(カーネル違い)

 悪魔の腹部ごと切断された時計から火花が発生し、何度か小さな爆発が発生。やがて盛大な爆発が巻き起こり、デスペラードと【モーターバイオレンス】が銃となっている腕で顔を覆い、フォートレスはその場で鎮座して吹っ飛ばされるのを防ぐ。

 一方の【炎の剣士】はというと、運悪く【タイム・イーター】との距離が近かったためか爆発に耐え切れず、爆炎の中へと飲み込まれて消えていってしまった。

 また【炎の剣士】が破壊されてしまったが……このターンでは逆にそれでいい。

 

「今、炎属性の融合モンスターを破壊しましたね? なら【補給部隊】にチェーンして手札の【幻炎の剣士-ミラージュ・ソードマン-】の効果発動‼︎ このカードを手札・墓地から特殊召喚することができる‼︎」

「このタイミングでモンスター効果……⁉︎」

 

 爆煙の中から、その場にあるはずのない黄金の輝き、そして消え去ってしまったはずの噴き出した朱い炎がそれぞれ覗かせてくる。そして2つの青い斬撃が爆煙を振り払らわれ、そこにいたのは……1人の戦士。

 

「現れろ、【幻炎の剣士-ミラージュ・ソードマン-】‼︎」

 

 

【幻炎の剣士-ミラージュ・ソードマン-】

ATK:2800

DEF:2000

 

 

 黄金の鎧を身に纏い、兜部分や自身の武器である2本の大剣から蒼い炎を放つ戦士が、その大剣の内の1本をマリクさんのフィールドに向けた。腰部から見える全面の橙色の腰マントが、燃え盛る炎のようにはためかせていた。

 

「そして【補給部隊】の効果で1枚ドローします」

「それが城之内の言っていた、【幻影の騎士-ミラージュ・ナイト-】の派生体か……どんなモンスター効果を持っているのかは知らないが、すぐにご退場させてもらうよ‼︎ 【マシンナーズ・カーネル】で【幻炎の剣士-ミラージュ・ソードマン-】を攻撃‼︎ 機甲部隊の激砲(マシンナーズ・バスター)‼︎」

 

 自身に得物を向けてくるミラージュ・ソードマンに対し、カーネルが黄色い2つのモノアイを眼光として見据える。そして左腕のレーザーキャノンを構え、砲口に電子エネルギーを溜め込み始める。炎をも飲み込んでやる、そう伝えるかのように。

 

「もちろん即退場なんてさせるものか‼︎ 手札の【焔聖騎士ーローラン】の効果発動‼︎ この効果は相手ターンでも使用可能で、自分フィールドのモンスター1体の攻撃力を500ポイントアップさせる装備カードとなる‼︎ 俺が対象に取るのはもちろんミラージュ・ソードマンだ‼︎」

 

 ミラージュ・ソードマンの背後に、先程消滅していたはずの【焔聖騎士ーローラン】の持っていた剣が、まるで再生したかのように浮遊して出現する。

 そこから炎を彷彿とさせるオーラが発生。ミラージュ・ソードマンを包むように憑依すれば、共鳴したのか大剣の炎が増大し、彼も呼応し鼓舞するかのように叫んだ。

 

 

【幻炎の剣士-ミラージュ・ソードマン-】

ATK:2800 → 3300

 

 

「迎え撃て、ミラージュ・ソードマン‼︎ 炎の剣舞‼︎」

 

 俺がそう宣言した瞬間、カーネルのレーザーキャノンの腕があっさりと切り離されてしまった。だが、これは劣化などによる自然的な現象によるものではない。ミラージュ・ソードマンが瞬く間に距離を詰めては大剣を振るって切断し、さらに切断した跡に蒼炎を燃え移らせたのだ。

 それによる影響で怯みを見せるカーネル。ミラージュ・ソードマンはその隙を狙い、蒼炎を纏ったままの大剣を2本とも握りしめながらその場で斜め右に1回転。その勢いのままカーネルの胴体を右腕のチェンソーごと斬り裂いた。

 カーネルは泣き別れにされかけた半身を保ちながら、どうにかしてミラージュ・ソードマンを道連れにすべくキャタピラを動かそうとする。しかしミラージュ・ソードマンが俺のフィールドに後退したのに合わせるかのように、カーネルの体は爆発四散してしまった。

 

「クッ……‼︎」

 

 

マリク&キース

LP:7600 → 7300(3600 - 3000 = 600)

 

 

「だが、僕の機械族モンスターが戦闘破壊されたことにより、永続魔法【機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】の効果発動‼︎ デッキから攻撃力3000より低い機械族の地属性モンスター──【マシンナーズ・メタルクランチ】を特殊召喚‼︎」

 

 

【マシンナーズ・メタルクランチ】

ATK:2800

DEF:0

 

 

 突如として爆煙を振り払ったのは、橙色の装甲が細身でスタイリッシュな人型ボディのロボット。右腕の巨大なショベルアームらしき形状、左腕の関節がワイヤー式となっているアームといった、左右非対称なマニピュレーターを動かしながら、翡翠色のモノアイでこちらを見据えてくる。

 

「【マシンナーズ・メタルクランチ】の効果発動‼︎ このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから機械族・地属性モンスターを3体選んで相手に見せることができる。その中から相手がランダムで選んだモンスターを1体、僕の手札に加える。僕が選ぶのは……」

 

 メタルクランチがそのモノアイでカーネルの残骸の一部に目をつければ、そこに向けてワイヤーアームを伸ばす。そして取り出されるは、何故かばら撒かれていた3枚のカード。それらを手に取り、俺達に見えるように公開する。

 さてと、マリクさんはどの【マシンナーズ】達を見せつけてくるのやら───

 

「3体とも【マシンナーズ・ギアフレーム】だ‼︎」

「ファッ⁉︎」

 

 全部同じじゃないですかー‼︎ 何だよスリーギアフレームって。【汎神の帝王】じゃないんだからみんな同じとかやめてくれ……

 

「………………真ん中のギアフレームを手札に加えてください」

「分かった。そして残りの2体のモンスターはデッキに戻してシャッフルだ」

 

 真ん中のカードが消え、マリクさんの手札が増えたのを確認したメタルクランチは、残りの2枚をその場から放り投げ、マリクさんのデッキの中へと綺麗に差し込んだ。

 

「で、今の僕達のフィールドでは攻撃力3600のミラージュ・ソードマンを戦闘破壊することはできない……だが‼︎ 【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】の効果発動‼︎ デスペラード・ルーレット‼︎」

 

 今度はデスペラードがメタルクランチの前に立ち、唸り声を漏らしながら3つの銃口をミラージュ・ソードマンに向け、シリンダーを回転させる。そしてガチリッと音が鳴り……両腕の銃口に熱が込められる。

 

「裏、表、表……よってミラージュ・ソードマンは破壊だ‼︎」

 

 『ヒャッハー‼︎』と言っているかの如く叫び、両腕の銃口の引き金を引くデスペラード。そこから雨霧の如く放たれた無数の弾丸がミラージュ・ソードマンに迫り、彼の視界を覆い尽くさんとする。

 ミラージュ・ソードマンは大剣を振るっての蒼炎で弾丸を全て掻き消そうとするが、それを実行する前に数個もの弾丸が鎧に命中し、次々と爆発を巻き起こし、他の弾丸もそれに続くように被弾・爆発を繰り返していく。

 やがてミラージュ・ソードマンが爆煙に覆われると、デスペラードは対象の鎮座を確認したのかシリンダーの回転を収めた。

 そして悟った。アレ? これなんかデジャヴじゃね? と。

 

「【幻炎の剣士-ミラージュ・ソードマン-】の効果発動‼︎ 【焔聖騎士ーローラン】の効果発動‼︎ エンドフェイズに炎属性・戦士族のサーチが約束され、ミラージュ・ソードマンが戦闘または他のカードの効果で破壊された場合、【炎の剣士】またはそのカード名が記されたレベル7以下のモンスターを1体、デッキ・エク……融合デッキから特殊召喚することができる‼︎」

「また特殊召喚……‼︎」

「融合デッキから現れろ、【黒炎の騎士-ブラック・フレア・ナイト-】‼︎」

 

 

【黒炎の騎士-ブラック・フレア・ナイト-】

ATK:2200

DEF:800

 

 

 爆煙が横薙ぎに振るわれ、赤い線の見える黒き剣士が姿を現した。

 赤く縁取られた黒い衣に酷似した鎧を身に纏い、橙色の炎の明るさを灯す細剣と炎の形のように赤く縁取られた盾を携え、兜の奥から敵を見据えていた。

 

「そいつは確か、城之内の【炎の剣士】と遊戯の【ブラック・マジシャン】が融合した奴だったな。そんなモンスターまでをも簡単に呼び出しやがって……一体何モンなんだ?」

 

 どうやらキースはこのカードの事を既に把握していたようだ。いや、よく考えたらマリクがミラージュ・ナイトの事を口にしてたし、知ってるのも当然ってか?

 

「おいマリク。あいつを戦闘破壊したら……後はもう分かるよな?」

「あぁ、分かっているさ。だから悪いけど、こうさせてもらうよ。【モーターバイオレンス】で【黒炎の騎士-ブラック・フレア・ナイト-】を攻撃‼︎ モーターカノン‼︎」

 

 【モーターバイオレンス】が熱気を帯びた6つの銃口から熱光線を放つ。その内の1つがブラック・フレア・ナイトの鎧を掠めたのと同時に、彼が地を蹴り駆け始めた。

 何故相打ちにするのかは知らないが(ブラック・フレア・ナイトとの戦闘での俺への戦闘ダメージは0になるからって理由もあるだろうけど)、今は何もできないからこれに乗るのみ‼︎

 

「迎え撃て、ブラック・フレア・ナイト‼︎ 魔導炎斬剣‼︎」

 

 次々と熱光線が己の鎧・盾・体に当たり、焦がされたり砕かれたりされるも、ブラック・フレア・ナイトは駆ける足を止めない。

 やがて腹部に熱光線が命中した時には、【モーターバイオレンス】との距離が至近距離となっており、ブラック・フレア・ナイトは熱光線の威力と熱力に負けじと剣を振るう。

 体を右斜めに切断された【モーターバイオレンス】はそのまま爆発を起こし、ブラック・フレア・ナイトを巻き込みながら消えていった。

 

「破壊された【モーターバイオレンス】の効果発動‼︎ 生贄召喚したこのカードが墓地へ送られた場合、【モータートークン】を2体特殊召喚することができる‼︎」

「けど、ブラック・フレア・ナイトも戦闘破壊されたことにより、手札・デッキからこのカードを特殊召喚できる‼︎ デッキから来い、【幻影の騎士-ミラージュ・ナイト-】‼︎」

 

 

【幻影の騎士-ミラージュ・ナイト-】

ATK:2800

DEF:2000

 

【モータートークン】×2

ATK:200

DEF:200

 

 

 爆煙が晴れた時には、【モーターバイオレンス】のいた位置に、そいつの活動源を作っていたのであろう2つのエンジンパーツがその場で浮遊して現れる。【タイム・イーター】か離れた事でモンスターゾーンが空いたから適用されたのか。

 一方、ブラック・フレア・ナイトのいた位置からは1人の影がこちらへと後退する。その者は幻炎の騎士と姿が酷似しているが、蒼炎は一切なく、大鎌と結った青い長髪を目立たせていた。

 

「【幻影の騎士-ミラージュ・ナイト-】は確か、ダメージ計算時に相手モンスターの元々の攻撃力を加える効果を持っていたよなぁ? そいつをマリクの野郎がわざわざ呼び出させたってことは、テメェのそのモンスターはこれから何されるんだろうなァ?」

「なんでそんな挑発的に教えるんですか」

「そうじゃなきゃ、こいつが無闇に新しく強力なモンスターを呼び出すわけねェだろ」

 

 いや、それはまぁ……何も考え無しに突っ込んできたとは思えませんがねェ……

 

「お喋りが過ぎるぞキース。けど、正解だ。速攻魔法【エネミーコントローラー】を発動‼︎」

 

 ファッ⁉︎ そのカードはッ⁉︎

 俺がそう驚愕している間に、1体の【モータートークン】の目の前にゲーム用の巨大なコントローラーが現れ、左・右・A・Bと1人でにボタンが押される。

 

「2つの効果の内の1つを選択‼︎ 自分フィールドのモンスターを1体生贄に捧げ、相手モンスター1体のコントロールをエンドフェイズまで得る‼︎ 【モータートークン】1体を生贄に、ミラージュ・ナイトをいただくよ‼︎」

 

 コントローラーに押されたボタンが全て光り出したのに合わせ、【モータートークン】がそのコントローラーの後ろに貼り付けられる。さらに光が増したかと思えば、その光に覆われてしまったミラージュ・ナイトは、自身でも気付かぬ間にマリクのフィールドへと移動していた。

 

「そ、そんな⁉︎ このままじゃ翼君の……いや、ボク達のライフが⁉︎」

 

 ここでダメージ計算だ。

 ミラージュ・ナイトとメタルクランチの攻撃力はそれぞれ2800。フォートレスは2500。【モータートークン】は僅か200。

 それらを合計すると、このまま全ての攻撃を受ければ8300の戦闘ダメージを喰らい、俺達は負けてしまう。このままいけば、だが。

 

「さぁ……残り手札1枚だけで、この後の全ての攻撃を受け切れるかな? 【マシンナーズ・フォートレス】でダイレクトアタック‼︎ 機甲部隊の砲撃(マシンナーズ・ブラスト)‼︎」

 

 フォートレスの肩の砲台が下に下がり、俺達に向けて標準が向けられる。そして徐々に砲口に熱と光を溜めていき、それが奔流となって放たれ、俺達を飲み込んだ。

 

「ちょっ、いくら実際に体で受けることはないとはいえ、このソリッドビジョンをダイレクトで受けるとかヤバいって‼︎」

 

 

翼&翔

LP:8000 → 5500

 

 

 これがリアルで発生したら絶対死ぬやんこれ⁉︎ そうでないにしても精神的にもヤバい気がする‼︎

 

「ッ……手札の【BK(バーニングナックラー) ベイル】の効果発動‼︎ 自分が戦闘ダメージを受けた時、こいつを特殊召喚し、受けた戦闘ダメージ分だけライフを回復させる‼︎」

 

 

BK(バーニングナックラー) ベイル】

ATK:0

DEF:1800

 

 

翼&翔

LP:5500 → 8000

 

 

 奔流を遮断するように、突如として1人の戦士が俺達の目の前に現れ奔流を押し飛ばした。

 現れたのは、両腕を守る程の大きさを誇る黄色い半月型のアームシールドらしきものを付けた、朱色の防具を着込んだボクシング選手。彼がアームシールドで奔流を防いだことで生まれた黄緑色の光の粒子が俺達の体に引っ付き、ライフを回復させた。

 危なかった……正直に言って、ベイルをドローできなかったら俺が負けてた……運の良さに救われたぜ。

 

「ライフを回復させた上に壁を用意してきたか……なら【幻影の騎士ーミラージュ・ナイトー】で【BK(バーニングナックラー) ベイル】を攻撃させてもらう‼︎ 黄金斬首‼︎」

 

 奔流を防ぎ切り、戦況を把握しようとアームシールドから顔を覗かせたベイルの目の前に、黄金の騎士──ミラージュ・ナイトが獲物を見下ろすように突っ立っていた。

 ミラージュ・ナイトは片手で大鎌を振り回し、それに黄金のオーラを纏わせる。そして首を刈り取る勢いで斜め右に振り下ろし、ベイルの身体をアームシールドごと切断。アームシールドと防具から発生し激しく散らす火花によって爆発四散させた。

 

「次だ‼︎ 【マシンナーズ・メタルクランチ】でダイレクトアタック‼︎ 機甲部隊の腕撃(マシンナーズ・アームブレイク)‼︎」

 

 ミラージュ・ナイトが跳躍してマリクのフィールドに後退。それと同時にこちらへと急接近してきたメタルクランチが巨腕の右腕を振るい、俺の左横の地面を叩きつける。

 

「クッ……」

 

 それによる衝撃波に思わず足を踏み止まる態勢を取ったが、ソリッドビジョンシステムによって吹っ飛ばされることはないため、その構えをすぐに解いた。

 

 

翼&翔

LP:8000 → 5200

 

 

「最後に【モータートークン】でダイレクトアタック‼︎」

 

 で、【モータートークン】が1人でに飛んできて俺にぶつかって来た。最後の最後で攻撃の仕方がシュールな奴がいたんだけど。

 

「イテッ‼︎」

 

 そして俺も痛みは一切感じないはずなのに、思わず一瞬の悲鳴を上げてしまった。だってシュールだったんだもん……

 

 

翼&翔

LP:5200 → 5000

 

 

「結構やられた……けど、これでこのターンに負けることはなくなった……はずだ‼︎」

「やるね。僕はこれでターンエンド。そしてエンドフェイズ、【エネミーコントローラー】の効果を受けたモンスターのコントロールは元に戻る……が」

「ミラージュ・ナイトは戦闘を行ったターンの終わりに除外されてしまう……」

「その通り。というわけで、除外ゾーンに送って返してあげるよ」

 

 やがて【エネミーコントローラー】の効果が切れ、糸が切れたかのように膝をつくミラージュ・ナイト。そして体が光の粒子に包まれ、この場から消滅していった。

 

「だが‼︎ こちらのローランの効果でデッキから【ゴッドフェニックス・ギア・フリード】を手札に‼︎」

 

 

翼&翔

LP:5000

翼の手札:1枚(【ゴッドフェニックス・ギア・フリード】)

翔の手札:8枚(【スチームロイド】×1、【ドリルロイド】×1)

フィールド:

【補給部隊】×1

【炎の剣域】×1

機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】×1

 

vs

 

マリク&キース

LP:7600

マリクの手札:3枚(【マシンナーズ・ギアフレーム】×1)

キースの手札:3枚(【モーター・カイザル】×1)

フィールド:

【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】ATK:2800

【マシンナーズ・メタルクランチ】ATK:2800

【マシンナーズ・フォートレス】ATK:2500

【モータートークン】ATK:200

【補給部隊】×1

機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)】×1

 

 

 とにかく、これでなんとか翔のターンへと繋げられた。後は頼んだぜ、翔。特訓したお前の力を見せてやれ。

 




正直それぞれのプレイヤーに1ターン回してあげただけでここまで長くなるとは思わなかった……しかも次回に続くというね。もうさ、今回も何処かでプレミがあってもおかしくねェって……
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