OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

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前回のあらすじ

海馬、この世界で翼が転生者だと1番最初に知った原作の男となった‼︎

海馬「来年のルールや禁止制限はそちらの世界に合わせるか」
翼「わーい」
海馬「とりあえずデュエルしろ」
翼「ですよねー」
 


シャドール+αvs青眼(ブルーアイズ)(前編)

 

 冬休み。

 海馬コーポレーションへと連行されました。

 俺が前世のカードをたくさん使ったことで、海馬社長に色々と疑われました。

 もう転生者であることとラー様のカードを持っている事をカミングアウトしました。

 そしたら海馬社長が、来年のアカデミア入学シーズンではルールとリミットレギュレーションを前世の世界に合わせると言ってくれました。

 何故かデュエルしろと言われました。

 

 で、現在に至る。

 海馬コーポレーションの、なんか何処か未来感のあるデュエルスペースへと案内され、そこでデュエルをすることに。にしても、まさか俺が海馬社長とデュエルする事になるなんてな……人生どうなるものか分からないもんだ。

 ん? 俺・海馬社長・モクバさんの3人で先に到着して、デュエルの準備をしていたら、後から入ってきた磯野さんが海馬社長に何か渡してきたぞ? 『ご苦労だった』って声が海馬社長から聞こえたけど、何してたん?

 

「磯野。例のヤツを翼に渡せ」

「ハッ‼︎ ……王辻 翼。これを君のデュエルディスクのメモリーにセットしろ。このデュエルをするに当たって必要となる」

「えっ? ハ、ハァ……? わかりました」

 

 なんかチップみたいなのを渡され、デュエルディスクに差し込めと言われた俺氏。何だってんだ? って思いながらも指示に従うことに。

 するとどうだろうか。突然展開されたデュエルディスクの、右から2番目のモンスターゾーンのスロットから、さらにもう1枚のスロットがスライドして現れたのではないか。

 

「ファッ⁉︎ こ、これってまさか……⁉︎」

「あぁそうだ。これが貴様の世界のデュエルモンスターズのルールで追加された……エクストラモンスターゾーン用のスロットだ」

 

 マジッスか⁉︎ この僅かな短時間でエクストラモンスターゾーンを展開できるようにしてくれたんですか⁉︎ 社長、アンタの会社の技術力とそのスピードは尋常じゃないって‼︎

 ってか、どうして突然エクストラモンスターゾーンのスロットの追加なんかを? ……あ、まさか。

 

「このデュエルで行われるのは、実際に貴様が前世でやってきたというマスタールール2020と呼ばれるルール形式でのデュエルだ。俺のデッキのリミットレギュレーションもそれに合わせ、【強欲な壺】や【天使の施し】などは抜いておいた」

 

 嘘でしょ⁉︎ 海馬社長、まさかのマスタールール2020を体験⁉︎ しかもデッキの禁止制限もこちらの世界に合わせてる⁉︎ なんて律儀な……

 ってか俺、このシーズン下での、精霊達以外との対人戦デュエルなんて超久しぶりなんですけど⁉︎ ヤバい、嬉しすぎて涙が出そう……

 

「念のため聞いておくが……貴様はアレらのカードが嫌いだから、デッキに入れてない……という認識でいいか?」

「あ、はい。問題ないです」

「そうか、ならいい……配置につけ、直ちにデュエルを行う」

「はい‼︎」

 

 海馬社長に急かされ、俺はそそくさとその位置へと移動。マスタールール2020に適用されたデュエルディスクを構え、海馬社長を見据える。

 久々の前世のルールでの対人戦……それも海馬社長が相手だから、結構緊張するな……けど負けねェ‼︎ 絶対勝ってやる‼︎

 

決闘(デュエル)開始の宣言をしろ、磯野‼︎」

「は、はい‼︎ 決闘(デュエル)開始ィィィィィィッ‼︎」

 

 出た、遊戯王MADでよくあった磯野さんの決闘(デュエル)開始の合図。これに何回笑ったことか……

 おっといけね、デュエルに集中せねば。

 

「「決闘(デュエル)‼︎」」

 

 

LP:4000

 

海馬

LP:4000

 

 

 さてと、先攻は……俺か。よし、早速デッキを回しておこう。

 

「俺のターン‼︎ こちらの世界では当たり前のように先攻ドローは無し」

 

 ……うん、これよこれ。先攻ドローで先攻がかなり有利になるなんてことはない。そして先攻ドローアレルギーは発生しない。こういうのを待ってたんらだよ俺ァ……‼︎ 今はこのデュエルだけでしか味わえないのが辛いところかな……‼︎

 よし、集中集中(いきなり落ち着いた)。

 

「フィールド魔法【影牢の呪縛】を発動‼︎」

 

 俺がフィールド魔法を発動させた途端、俺達の足元に1つの巨大な影らしき黒い物体が徘徊する。何処かキラリを目を輝かせているように見えるのは気のせいだろうか。

 あ、このフィールド魔法はとあるテーマのカードだけど、カード名がテーマのヤツじゃないし効果もちょいと地味だから、結構マイナーなカードである。けど上手くいけば相手モンスターの妨害に役立つんだよなぁこれが。だからピン刺ししたってわけだ。

 

「準備ができたところで、早速いかせてもらいますよ‼︎ 速攻魔法【神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)】を発動‼︎ 手札・フィールドのモンスターで【シャドール】融合モンスターを融合召喚する‼︎」

 

「いきなり速攻魔法での融合だって⁉︎」

「あんな強いカードを何事もないかのように……‼︎」

 

 おうおう、外野がいきなり驚いてらァ。けど大袈裟なリアクションをするにはまだ早いですよ?

 

「いきなり融合か……」

 

 相手が貴方ですからね。最初から全力でやらないと負けちゃうんで、早速仕掛けさせてもらいますよ‼︎

 ただし‼︎ いつもの【シャドール】デッキとは異なるアクセントでね‼︎

 

「俺は手札の【シャドール】モンスターである【シャドール・リザード】と……光属性モンスターである【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】で融合‼︎」

「……何? 青眼(ブルーアイズ)だと……?」

 

 お、海馬社長が睨んできたぞ。まぁ、無理もないよな。自分が渡した新たな青眼(ブルーアイズ)を、このような形で使われているんだから。

 けど、このデッキでは青眼(ブルーアイズ)は墓地に送ることに意味があるんだ。貴方には悪いけど、ここでは俺の好きなようにやらせてもらうぜ‼︎ ……後で破り捨てないでくださいね? ホント、お願いですから。

 そんな事を考えている内に、俺の背後の上空に、蜥蜴を模したかのような、影に覆われた影に枷でも着けるかのように鈍い輝きを放つ金具が現れる。そしてその背後には、全身が輝く純白の鱗で覆われている、鋭く輝く青い目を持つ龍の姿が。

 その2体の背後に、黒紫色の霧──闇の渦が現れる。そして2体とも溶け合うように混ざり合い、渦に吸い込まれていく。そして闇が爆ぜ、1体の闇の人形が生まれる。

 

「慈悲深き修道の絡繰よ。この地に舞い降りその糸を持ってして全てを破壊へと導け。融合召喚‼︎ いでよ、【エルシャドール・ネフィリム】‼︎」

 

 

【エルシャドール・ネフィリム】

ATK:2800

DEF:2500

 

 

 爆ぜた闇から発生したのは、白い光を隙間から見えるように放っている繭。その繭を突き破り這い出るように現れたのは、巨大なる女性の像だった。

 紫と白、金で織り込まれた修道服を身に纏い、様々な箇所へと伸びる紫色の糸。それを背より排出し、影の中より全てを操る修道女像。その像は物静かに、慈悲深く目を閉ざしたまま両腕を広げていた。

 あ、ちなみにこいつはエクストラデッキから特殊召喚されたため、エクストラモンスターゾーンに置いてます。リンクモンスターもいないし、使わないわけにはいかないもんね。

 

「兄さまから貰った青眼(ブルーアイズ)を融合素材に……? 何を企んでやがるんだ……?」

 

「……ふぅん、俺が渡した青眼(ブルーアイズ)を早速デッキに入れていたようだな。だが、今のところ属性に関連した融合モンスターの素材にすることでしか、そのデッキとのシナジーを見出せていないではないか。そんなものは付け焼き刃にしか過ぎん」

 

 あ、現時点でのデッキのシナジーに目をつけていたんですね。で、それは噛み合ってないのではないかと思っているようだ。まぁ確かに、今のところ属性融合の素材にしか使ってないから、そう思われるのも無理もないけど……

 けど、このデッキに青眼(ブルーアイズ)を入れた理由はちゃんとあるんで、ホントに付け焼刃だと思わんでくださいね?

 とりあえず、今はこのタイミングで発動で発動できるカードを使わせてもらいますんで。

 

「それは後のお楽しみにってことで。まずは【影牢の呪縛】の効果。【シャドール】モンスターが効果で墓地へ送られる度に、1体に1つずつこのカードに魔石カウンターを乗せる」

 

 地面を徘徊する影に、黒紫色に輝く石のような何かが体内で光り出す。まだ1つだけだが、それが何かしらの脅威になる事を、海馬社長はまだ知らない。いや、こんな序盤からすぐに知るはずがない。

 

 

【影牢の呪縛】

魔石カウンター:0 → 1

 

 

「そして【シャドール・ネフィリム】の効果、それにチェーンして【シャドール・リザード】の効果発動‼︎」

「一度の融合をするだけで効果を2回も発動するか……」

「チェーン逆順の処理を行います。【シャドール・リザード】が効果で墓地に送られた場合の効果で、デッキから【シャドール】カードを1枚墓地に送ることができる。よって【影霊の翼(リーシャドール) ウェンディ】を墓地へ‼︎」

 

 溶けて混ざっていったはずの、蜥蜴を模した金具が地面を這って再び姿を現す。

 そして何処からか、星の煌めきの形状を模したかのような金具に水晶を嵌めた杖を引っ張り出し、この世界へと通るために使われたであろう黒紫色の丸い門の中へと戻っていった。

 それと同時に、地面の中で動く影の持つ石がもう1つ増え、軽く光を放つ。

 

 

【影牢の呪縛】

魔石カウンター:1 → 2

 

 

「次に【エルシャドール・ネフィリム】の効果。このカードもデッキから【シャドール】カードを1枚墓地に送ることができる。【影依の原核(シャドールーツ)】を墓地に落とさせてもらいます」

 

 巨大な修道女の人形──ネフィリムが両手で何かを抱え込むかのように両腕を軽く掲げる。するとそこに、ネフィリムが入っていたのよりも小さめな光り輝く繭が現れ、彼女の手元に置かれる。

 

「【影霊の翼(リーシャドール) ウェンディ】の効果と【影依の原核(シャドールーツ)】の効果発動‼︎」

「また墓地からの効果発動か……」

「まずは【影依の原核(シャドールーツ)】の効果を適用。このカードが墓地に送られた場合、墓地の同名以外の【シャドール】魔法(マジック)(トラップ)カードを1枚手札に戻すことができる。【神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)】をサルベージだ‼︎」

 

 不気味な輝きと瘴気を放つ、禍々しい雰囲気を放つ、泥に似た性質の体を持つ龍の頭のような怪物が繭の中から突発的に現れる。するとその怪物は、いつの間にか咥えていた1枚のカードを俺の元に手渡し、そのまま闇に隠れるように消えていった。

 

「そして【影霊の翼(リーシャドール) ウェンディ】の効果処理。効果で墓地に送られた場合、デッキから【シャドール】モンスターを1体裏側守備表示で特殊召喚することができる。俺は【シャドール・ドラゴン】を特殊召喚します」

 

 何処からともなく、今度は紫色の髪が少々混ざったおさげ付きのボリューム多めな金髪の少女が、肩の金色に縁取った紫色のマントと腰の透明な毛皮を靡かせていた。

 右手には【シャドール・リザード】が持っていったはずの杖を持っており、リザードによって無くしていた所有物を回収してくれたことにより姿を現したと言える。

 その少女──ウェンディが杖を天に掲げれば、淡い光がフィールドを包み込む。その光が治った時には、ウェンディの姿は見当たらなくなった代わりに、1枚の裏側守備表示のカードが置かれていた。

 

「……なるほど。【シャドール】は墓地からデッキに戻しての融合ができる【ティアラメンツ】とは違い、墓地のリソースを増やしていき融合もしながら盤面の安定化を図るテーマカード……そういった感じか」

「まぁ、そんな感じです」

 

 予想を当てるのはさすがですけど、いくら何でも初見から察するの早くないですか? どんだけ頭が良いんですか貴方は。

 

「カードを1枚伏せ、俺はこれでターンエンドです」

 

 融合以外が使えない中での、ちょっとした純構成寄りの【シャドール】のルートだと、妨害できそうな融合モンスターを1体出すぐらいしかできないんかな? とりあえず今はネフィリムと【シャドール・ドラゴン】で様子見しておくか。

 

 

LP:4000

手札:1枚

フィールド:

EXモンスターゾーン:【エルシャドール・ネフィリム】ATK:2800

セットモンスター×1(【シャドール・ドラゴン】×1)

【影牢の呪縛】(魔石カウンター×2)

伏せカード×1

 

 

「初期手札5枚だと展開に落ち着きがある感じか……まぁいい、俺は俺なりに動かせてもらうぞ。俺のターン、ドロー‼︎」

 

 さて、海馬社長は【青き眼】などのチューナー無しのデッキでどんな動きを見せるというのか……とりあえず睨みを利かせるか。

 

「このスタンバイフェイズ、手札の【増殖するG】の効果発動‼︎ 貴方がモンスターを特殊召喚する度に、その回数だけ俺はカードを1枚ドローします」

「ほう、早速相手ターンに手札からモンスター効果を発動するカードを使ってきたか……」

 

 俺の背後に、複数もの小さな黒い何かが『ブブブブ』と音を立てながら浮遊する。さらにその全てが、そこに目があるかのように2つの光を見せてくる。やっぱ怖いよねこれ。

 

「それで牽制するつもりだろうが、俺は手を緩めんぞ‼︎ まずは俺のフィールドにモンスターが存在しないため、このカードを手札から特殊召喚させてもらう。来い、【カイザー・ブラッド・ヴォルス】‼︎」

 

 

【カイザー・ブラッド・ヴォルス】

ATK:1900

DEF:1200

 

 

 地面から突き出ながら現れたのは、斧を武器に持ち、龍の顔の骨を兜にしている屈強な悪魔【ブラッド・ヴォルス】。

 元祖と異なる点は、肌色が水色であること。着込んでいるジャケットはマゼンダ色であること。角や棘が金色であること。そして、斧がギザギザで凹凸もある形状となっていること。

 これらを見ると、【ブラッド・ヴォルス】があまりにもパンプな感じにリメイクされたなーと感じた。映画でリメイクされたとはいえ、実装される時代に恰好も合わせてるのかな?

 

「【増殖するG】の効果で1枚ドローします」

「さらに手札の【ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの独裁者-】の効果発動‼︎ 手札・デッキの我が最強の僕である【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】を1体墓地に送ることで、手札から特殊召喚できる。デッキの我が最強の僕に導かれ、独裁的な力を見せよ‼︎」

 

 ホントに手を緩める気ないんかこの人⁉︎ 増G適用下の状況なんですよ今⁉︎ そこんところ分かってます⁉︎ 返しのターンで逆転される可能性があるんですよ⁉︎ 分かってます⁉︎

 

 

【ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの独裁者-】

ATK:1200

DEF:1100

 

 

 【カイザー・ブラッド・ヴォルス】の隣に現れたのは、竜の骨を鎧として纏った、赤いマントを靡かせる魔術師。左手には白がかった青い鱗を持つ龍の顔を模した笛を持っていた。

 

「【増殖するG】で1枚ドローです」

「【ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの独裁者-】の効果発動‼︎ 手札から【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】またはそのカード名が記されたカードを1枚墓地に送ることにより、俺の墓地の【ブルーアイズ】を呼び起こす‼︎」

 

 やっぱり出してくるか、海馬社長の顔となるあのモンスターを……‼︎ 融合素材にしたこちらとは大違いだ。

 ロード・オブ・ドラゴンが手に持つ笛を力いっぱいに吹く。すると龍の轟咆が鳴り響くかの如く、笛が高らかに鳴り響く。

 それに続くように鳴り響いてきたのは、これぞ正真正銘、本物の龍の轟咆。それが鳴り響き終わったかと思えば、突如として天から巨大な淡い光がこの地に降り注ぐ。

 

「俺の手札の【青眼龍轟臨】を糧にし、冥界よりいでよ‼︎ 【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】‼︎」

 

 

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)

ATK:3000

DEF:2500

 

 

 光が治り、姿を現したのは、鋭く青い眼を持つ神聖かつ破壊的な力を持つ伝説の龍。全身に覆われた輝く純白の鱗を宝石のように反射させた、巨大で細身な体と大きな翼が、優雅さと力強さを放ちつつ、圧倒的な存在感を示している。

 しかし、後攻1ターン目からいきなり青眼(ブルーアイズ)を出してくるとはな……そうしないといけない程に、俺は強いデュエリストだと確信してるのだろうか……

 

「……増Gでカードを1枚ドローです」

 

 さて……海馬社長はこの後青眼(ブルーアイズ)でネフィリムを攻撃する算段だろうけど、そうはいかないんだよなぁこれが。何のためにネフィリムを攻撃表示で出したと思ってんすか。

 ネフィリムは特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時、そのモンスターを破壊する効果を持っている。強制だからネフィリムより攻撃力の低いモンスターとの戦闘でも必ず発生しちゃうけど、厄介なのを消すにはもってこいだ。だから一度禁止になった。

 まぁどのみち、俺のフィールドには【影牢の呪縛】がある。そしてこのカードの効果には───

 

魔法(マジック)カード発動‼︎ 【滅びの爆裂疾風弾(バースト・ストリーム)】‼︎」

「ファッ⁉︎」

「貴様が青眼(ブルーアイズ)を初っ端から出してくる事を想定していた上で、それよりも攻撃力の低いモンスターを攻撃表示で出したとなれば、何かしらの効果で妨害してくるだろうからな……真っ先に効果でそいつを除去させてもらうぞ」

 

 警戒されてた⁉︎ そして読まれてた⁉︎ いやでも、それもそうか。

 海馬社長が青眼(ブルーアイズ)を中心に闘う事を、俺は既に把握している。そんな中で青眼(ブルーアイズ)よりも攻撃力の低いモンスターを攻撃表示で出していれば、何かしら仕掛けてくることを想定するだろうな……

 

「俺のフィールドに【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】がいる状態でのみ、このカードは発動可能。貴様のフィールドのモンスターを一掃する‼︎」

 

 青眼(ブルーアイズ)が顎を中心に、青白い光を稲妻のエネルギーとして溜め込み始める。まだ放射される前だというのに、大地が揺れ、亀裂や窪みが発生し、漏出した稲妻に触れた位置では小さな爆発が起きていた。

 

「セットモンスター含め、その融合モンスターにはこの場から即刻消えてもらおうか‼︎ やれ、青眼(ブルーアイズ)‼︎ 滅びの爆裂疾風弾(バースト・ストリーム)‼︎」

 

 そして放たれる、全てを破壊する光の奔流。余波に触れるだけでその一部を溶かすその威力は、ネフィリムを守る修道服風の鎧をも簡単に溶かし、彼女をセットモンスターごと飲み込み消し炭にしていった。

 

 

【影牢の呪縛】

魔石カウンター:2 → 3

 

 

「ッ……‼︎ 【シャドール・ドラゴン】には、効果で墓地へ送られた場合、フィールドの魔法(マジック)(トラップ)カードを1枚破壊する効果があるが、魔法(マジック)(トラップ)カードは俺のところにしかないため使わない……が‼︎ ネフィリムは別‼︎ 寧ろ使わないともったいない‼︎」

 

 モンスターを破壊した事によって発生した煙が晴れ、そこからどういう原理なのか、破壊されたはずのネフィリムが半透明の姿となって現れた。

 

「【エルシャドール・ネフィリム】の効果発動‼︎ このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の【シャドール】魔法(マジック)(トラップ)カードを1枚手札に加える事ができる。よって俺は【影依の原核(シャドールーツ)】を手札に‼︎」

 

 ネフィリムが両手をゆっくりと翳せば、そこに泥のような形状の不気味な形状の龍の顔が姿を現し、ネフィリムに抱えられているかのような状態となった。

 その怪物はふとネフィリムの顔を見ると、彼女はゆっくりと頷いた。それに『答えを貰った』と感じた怪物は軽く唸り声を上げ、淡い光に包まれながら縮小・変形していき、1枚のカードとなって俺の手札へと加わった。

 

「ネフィリムを効果破壊してきたことには驚きましたが、【滅びの爆裂疾風弾(バースト・ストリーム)】を発動したターンは【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】は攻撃できない。この後は一体どうするというんですか?」

「ふぅん……俺がその対策をしてないとでも思っていたのか? ……いや、貴様に聞く必要ないか」

 

 まぁそうなんだろうとは思ってましたけどね……まだ通常召喚権が残ってるってのもあるけど、墓地にも……ね?

 

「墓地の【青眼龍轟臨】を除外し、効果発動‼︎ これにより、青眼(ブルーアイズ)融合モンスターを融合召喚する‼︎」

「やっぱりか……‼︎」

「貴様のおかげで、墓地から除外して効果を発動する魔法(マジック)(トラップ)カードがたくさん出てきたのだ。俺がそのようなカードを青眼(ブルーアイズ)のために作らないわけがないだろう」

 

 あ、【青眼龍轟臨】はそちらが作ったものなんですね。ご時世に合わせてカードを作るとかさすがは海馬コーポレーション。いや、青眼(ブルーアイズ)狂いというべき、か?

 

「俺はフィールドと手札にそれぞれ存在する、2体の【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】を融合する‼︎」

 

 青眼(ブルーアイズ)の隣に、姿形が同じである龍──もう1体の【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】が姿を現す。そして2体の青眼(ブルーアイズ)の背後に、三日月が昇っていく。

 その三日月が光を放てば、2体の【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】がその光に包まれ、中で変形し合っていく。まるで混ざり合っていくかのように……否、実際に溶け合って混ざり合っている。

 

「最強のドラゴンは、新たなる強さと進化の可能性を幾度となく見出すのだ‼︎ 融合召喚‼︎ 現れろ、【青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)】‼︎」

 

 

青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)

ATK:3000

DEF:2500

 

 

 やがて誕生したのが、2つの頭を持ち、身体の至るところに強靭なる鋭利さを持たせた1体の青眼(ブルーアイズ)。その身体に水色のラインが文様のように奔っており、それらが特殊な力を宿らせていた。

 

「2ターン目から青眼(ブルーアイズ)2体融合とはやりますね。あ、増Gで1枚ドロー」

「ふぅん。未来のカードを我々にも先取りできるような環境にさせた貴様が相手なのだ、手加減などしている暇などない」

 

 あぁ……うん。確かに未来のカードを発祥させたのは俺ですけど、それがデュエルの腕の強さと比例するわけじゃないですからね。大体そうさせたのは神様の力と、それに合わせるように帳尻合わせさせたこの世界ですし。

 

「バトルだ‼︎ やれ、双爆裂龍(ツイン・バースト)よ‼︎ ダイレクトアタックだ‼︎ 滅びの双爆裂疾風弾(ツイン・バースト)‼︎」

 

 双頭の青眼(ブルーアイズ)が共鳴の轟咆を上げれば、文様から光のエネルギーが灯される。そしてその光は全て顎へと繋がっていき、やがて放出される……

 はずだった。

 

「それをみすみす通すわけにはいきませんよ‼︎ 速攻魔法発動‼︎ 【神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)】‼︎」

 

 俺がそう高らかに宣言した途端、地面を徘徊する影から、4つの腕らしき凹凸が急激に伸び始める。それらは双爆裂龍(ツインバースト)の脚・翼を強く掴んだ。

 

双爆裂龍(ツイン・バースト)が影に掴まれただと……?」

「【シャドール】融合モンスターを融合召喚する際、【影牢の呪縛】の魔石カウンターを3つ取り除くことにより、相手フィールドのモンスター1体をも融合素材にできる‼︎ 魔石カウンターは全部で4つあります。よってこの効果は適用され、双爆裂龍(ツイン・バースト)も融合素材にすることが可能‼︎」

「何ッ⁉︎ 俺のフィールドのモンスターをも融合素材にするだと⁉︎」

 

 すいませんね、貴方の青眼(ブルーアイズ)を利用するような真似をして。でもこうでもしないと負けるし、そいつには普通の融合召喚以外でも出せる手段があるので、そのままエクストラデッキに残すわけにもいかんのですよ。サーセン。

 そんな事を考えている中、未だ影に掴まれ引き離そうと抵抗する双爆裂龍(ツイン・バースト)の背後に、ランプに似た橙色に透き通ったカプセルが浮遊する。

 そのカプセルの中には、青がかった黒い尖り帽子とコートを着込んだ水色の髪の少女と、彼女の所有物であろう、先端が細やかな装飾の施された鏡を模した杖が入っていた。

 

「俺は手札の【影依の巫女(ノェルシャドール) エリアル】と貴方のフィールドの【青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)】で融合‼︎」

 

 2体の頭上に、闇の渦が2体を混ぜ合わさんと出現する。その渦が現れたのを見込んだ影が双爆裂龍(ツイン・バースト)から離れたのと同時に、エリアルと双爆裂龍(ツイン・バースト)は溶け合い渦の中で混ざり合う。

 そして、闇が爆散する。発生した黒い霧の中で淡い色の光を放ちながら。

 

「慈悲深き修道の絡繰よ。太古の双頭の龍を原動力として核に取り込め‼︎ 融合召喚‼︎ 派生して再び現れろ、【エルシャドール・ネフィリム】‼︎」

 

 

【エルシャドール・ネフィリム】

ATK:2800

DEF:2500

 

 

 こうして姿を現したのが、先程破壊されたのとは別の巨大な修道の人形──ネフィリムだった。だが融合素材にした光属性のモンスターがより強力だからなのか、発する光が強くも優しさを感じさせた。

 さて、自分のエースモンスターの進化形態を俺のモンスターの融合素材にされた海馬社長はどんな反応を見せてくるのか……ま、まぁいい気分でないことは確定だけど……

 

 

【影牢の呪縛】

魔石カウンター:3 → 0 → 1

 

 

「くうぅっ……‼︎ 俺の青眼(ブルーアイズ)がこのような扱いをされるのは許せん……が、使うタイミングを間違えたのではないか?」

 

 苛立ってから急にれれれ冷静にならないでくれません? ってかなんでこれでプレイングミスしたと思い込んでるんで?

 

双爆裂龍(ツイン・バースト)は俺の青眼(ブルーアイズ)が2体ともフィールドにいれば融合カードを使わずに出せる事は知っているため、そいつを融合デッキ……いや、エクストラデッキからいつでも出せる準備をさせたままにするよりも、出させてから除去して正規の召喚枠を減らす……それが貴様の考えだろう?」

 

 あ、はい。そうです。

 ずっとエクストラデッキで待機させたままだと、いつ正規の召喚で出してきて襲い掛かってくるのか分かったもんじゃないですからね。先んじて出させて除去した方がいいかと思い、そうしたわけッス。

 

「だが、俺には双爆裂龍(ツイン・バースト)を墓地から呼び戻すための手段をいくらでも残してある。墓地から出てきた時の方が、突然の奇襲を仕掛けられる可能性は減るのではないか? それを考慮すれば、融合召喚する前にその素材となるフィールドの青眼(ブルーアイズ)を融合素材にするべきだったはずだ」

 

 まぁその判断も正しいですね。というかぶっちゃけ、そっちの方がOCG界でも正解の割合が高いッス。でも……

 

「それはごもっともですが……今回に限っては、今のが不正解ってわけでもないんですよ?」

「何……?」

「もう答えは出てくるんで‼︎ 効果で墓地に送られた【影依の巫女(ノェルシャドール) エリアル】の効果発動‼︎ 互いの墓地からカードを3枚まで対象に取り、除外することができる‼︎」

「な、なんだと⁉︎」

「俺がこの後何をするのか、もうお分かりですね? よってこの効果で、貴方の墓地の2体の【青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)】と【青眼の双爆裂龍(ブルーアイズ・ツイン・バースト・ドラゴン)】を除外する‼︎」

 

 俺のデュエルディスクの墓地ゾーンのスロットから、影によって作られた3つの黒い手が伸びていく。それらは海馬社長のデュエルディスクの墓地ゾーンのスロットから2体の青眼(ブルーアイズ)双爆裂龍(ツイン・バースト)のカードを引き抜き、除外ゾーンのスロットへと無理矢理押し込んだ。

 ちなみに海馬社長のデュエルディスクには、この時代の従来のデュエルディスクとは異なり、除外ゾーン用のスロットがきちんとあるらしい。俺のデュエルディスクもそうであるとはいえ、これは他のデュエリストからしたら贔屓なのでは?

 ま、今はそんなこと気にしなくてもいいか。デュエルに集中集中。さて、海馬社長の反応は……考えなくても分かりきったことか。

 

「お、おのれェ……‼︎ 俺の青眼(ブルーアイズ)達を融合素材にしただけに飽き足らず、除外して呼び戻さないようにするとは……‼︎ この屈辱許しはせん……‼︎」

 

 うん、知ってた。一度にあらず二度も青眼(ブルーアイズ)を雑な扱いされたからね、仕方ないね。あ、ウチが持ってる青眼(ブルーアイズ)を含めれば三度か。

 

「お気持ちはわかりますが、こういう風に敵の主力を封じないとやられるのが、OCG界ではよくある現状なんで」

 

 そうでもしないと制圧されたりワンキル(後攻1ターン目とか関係なく)されたりする場合が多いんです。やられる前にやる、そんな環境ばかりでね……

 

「えぇい……‼︎ カードを2枚伏せる‼︎ これでターンエンドだ‼︎」

 

 海馬社長、青眼(ブルーアイズ)を除去されまくってご立服ですか。でもその反応はこちらでもよくあります。思い通りに展開ができなかったり昇格できなかったりと、そうした時に苛立つことが多いのでね、無理もないッス。

 

 

LP:4000

手札:4枚(【影依の原核(シャドールーツ)】×1)

フィールド:

EXモンスターゾーン:【エルシャドール・ネフィリム】ATK:2800

【影牢の呪縛】(魔石カウンター×2)

 

vs

 

海馬

LP:4000

手札:0枚

【カイザー・ブラッド・ヴォルス】ATK:1900

【ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの独裁者-】ATK:1200

伏せカード×2

 

 

 海馬社長がウチの世界の遊戯王の洗礼を受けてくれたのは嬉しいが、この後彼はどのようにして挽回してくるんだ……? なんか、これでも俺の方が有利になったとは思えないんだよなァ……

 




Q. 【シャドール】デッキに青眼(ブルーアイズ)をぶち込むとか正気か?
A. 正気です。ちゃんと入れた理由もございます。次回で明らかとなるッスよ。
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