OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜 作:名無しのモンスター
マスターの許可無しに行動している精霊もいるんだな……
エルドリッチ様との再会してから数日が経った。アカデミアの生徒達は何やらソワソワとしている様子だった。
そうなるのも無理もない。何せ今日は、
いや、偏見的な考えだったかなこれ? いくらなんでも全員が
ん? そっちは整理券を手に入れたのかって? そりゃもちろん。俺だって
まぁ、そして何より……
『
『えっ? そ、そうでしょうか? ユベルさんも中々形取っていますよ』
『だがヲーからすればまだ地味すぎるZO☆ もっと腕にゴールド巻くとかさ‼︎』
『そこはシルバーですよラー様。ゴールドだとラー様寄りに……アラ? シェイレーン、貴方は遊城さん……アテムさんじゃなくて【ブラック・マジシャン・ガール】のコスプレをしてるのね?』
『はい姉様‼︎ 【ブラック・マジシャン・ガール】は
『やめろ、愛が重い』
『ワイトはその言葉を彼女にかけるにしては今更だと思います』
『
『俺もそんな感じダ‼︎ だから俺の体格と似てルキマイラのマネをしてル‼︎』
『私もブラマジガールの真似をしたかったなー。でもさすがにモンスターのコスプレが被るのはなー』
ウチの精霊達は皆、遊戯さん達のファンなんだよ。だからこそなのか、これまでに使ってあげたデッキにいるモンスターのほぼ全員がアテムさんのコスプレをしているんだよ。もうアテムさんの人格はないってのにね。
後、シェイレーンと【シャドール・ビースト】は遊戯さん繋がりだけど遊戯さんじゃないコスプレをしています。シェイレーンは古参からの人気女性モンスター【ブラック・マジシャン・ガール】、【シャドール・ビースト】は遊戯さんの融合モンスターの中でよく出てそうな【有翼幻獣キマイラ】ね。
【シャドール・ビースト】は本人が供述した通りの理由で、シェイレーンはレイノハートとの既成事実を作るための作戦か何かだろうな。コスプレ元の2人の関係も良い感じなんだし(信頼関係的意味で)、ブラマジガールをコスするのも分かる。
ちなみにラー様は体格や身長的理由でコスプレをしなかったそうな。いや、アテムさんはこの世界の方のラー様を持っていたから、ラー様の存在自体がコスプレ……かな?
「……お前ら、そんなに
『それは分かっておりますが……私達は表の方の遊戯さんのコスプレを用意するのを忘れてましたもので……』
「いや忘れてたって。それはそれで遊戯さんが可哀想だろ」
いくらアテムさんより影が薄いからって、この扱いはないだろ……俺はDSODの時の遊戯さんめっちゃ好きなんだけどなぁ……
『というか王辻少年、君は
『‼︎ ご、ご主人様の
「いや勝手にコスプレしてる奴らに何故着ないのかなんて言われてもなぁ……後ティルル、食いつきがすごくて怖いんだが……」
間も入れない感じの早口で喋るし、目がハートになって顔も真っ赤で息を荒げているし、何ならどっからか取り出していたブラマジガールのコスプレを着ようとしているし……
彼女が向けている俺への感情って何なの? 今にも性的に襲って来そうで怖いんだが。まぁ性格も体もタイプな子に、恋愛感情を向けられながら性的に襲われるのも良……
っていやいやいやいや、これじゃあ変態じゃん俺。タイプの女性に好かれているからって、それが本当に恋愛感情なのかどうか分からんのに決めつけてエロい事考えるとか、モテない二次創作キモオタっぽいじゃん。抑えろ抑えろ。
「ハァ……とりあえず今日はここら辺で静かにしておいてくれ。俺は明日に備えて早く寝る準備を───ん?」
ふと、俺のデュエルディスクのPDAにメールを受信した音が鳴る。画面に表示された文字──送信先の人物は……
「神楽坂? 一体どうしたってんだ? ……とりあえず見てみるか」
デッキ構築の件なら今日は終わったはずでは? 不思議と思い首を傾げながらも、俺はメールを開くボタンを押して中身を確認するのだった。
♢
神楽坂からの電話の内容は、『写真の通りの場所まで来てくれ』の一文だけだった。なんでそれだけしか伝えないんだよ、と思いながらも、何やら嫌な予感がしてきたので目的地へと向かうことになった。夕暮れ時だし、門限に間に合うだろうから別にいいだろ。
神楽坂に呼ばれた場所は、岩場の中でも大きく海側にせり出した岩の上。なんか舞香とSALがデュエルした場所に似てる気がするが、まぁ気のせいだろ。と思いながら、俺はその場所へと向かう。そこには神楽坂が立っていたのが見える。
「おーい、来たぞ神楽坂ー。こんなところまで呼び出して一体何の用だー?」
神楽坂を呼びながら、俺は彼の元へと歩いていく。何やら背を向けているらしいけど、黄昏れているのだろうか───
『ご主人様、下がってください‼︎』
「うおっ⁉︎ (きゅ、急にどうしたんだよティルル⁉︎ 思わずビックリした声を───)」
『気をつけろ翼。神楽坂の奴から、何やら精霊の気を感じる。それも、何やら禍々しい類の気だ』
「(……なんだって?)」
神楽坂から禍々しい精霊の気を感じる、だって? オイオイ、冗談はやめてくれよユベル。神楽坂は精霊を持ってないし見えないはずだぜ?
仮に原作通りにデッキを盗んだ事による影響だとしても、遊戯さんがそんな恐ろしい性分のモンスターをデッキに入れるはずないと思───
「───⁉︎ ッ‼︎」
神楽坂に近くまで近づこうとした途端、俺は悪寒を感じ、後退してデュエルディスクを展開させた。何故こんな事をしているのか、俺自身も分からなかった。けど、精霊が見えているからこそ分かる事もある。
神楽坂の身体から、赤紫色の禍々しい瘴気が放たれていた。彼の瞳の色は正常であるのに、だ。
「おいおい、いきなりどうしたんだ翼? 急にデュエルディスクを展開させといて」
「……俺も何故こんな事してるのか分からない。ただ、お前からはいつもの神楽坂とは違う何かを感じる。お前は一体……?」
目の前にいる奴は神楽坂本人であることに間違いはない。だけど、ユベルの助言と禍々しい気配が、『あいつは俺の知る神楽坂ではない』と心の中で訴えかけてくる。
闘え。闘って助け出せ。もしくは真相を明かせ。何故かそんな事が頭を過ぎってくる。
「……なるほどな。今の俺が何者なのかを知るためのデュエル、ということか。いいぜ、俺もデュエルするためにお前を呼んだんだからな‼︎」
ヘヘッと微笑みながら、神楽坂も同じくデュエルディスクを展開させた。いつもの明るい表情の裏に、禍々しい気配を漂わせながら。
「
「……あぁ‼︎ 今回ばかりはそのつもりさ‼︎」
……さっきから何なんだ、この違和感は? 俺は一体、何を見つけようとしているんだ? そう自分に問いかけながらも、デュエルを開始させた。
「「
♢
先攻は俺。使用デッキは【ティアラメンツ】。いつもならある程度強いモンスターを出して様子を窺う……というのが、勝敗を決める重要なデュエルじゃない時に行うスタンスなのだが、今回ばかりはそんな事をしていられなくなった。
そして、【ティアラメンツ・シェイレーン】や【ティアラメンツ・キトカロス】などといった墓地肥やしカードを初っ端から使用していき、ソリティア展開をしていく内に。
【暗黒界の龍神王 グラファ】
ATK:3200
DEF:2300
【ティアラメンツ・カレイドハート】
ATK:3000
DEF:3000
【ティアラメンツ・ルルカロス】
ATK:3000
DEF:2500
【
ATK:2700
DEF:1900
龍の神を外骨格で表した黒い悪魔。禍々しい青と鱗の鎧に魚体な複数の脚を持つ男。凛として煌びやかな剣を掲げヴェールを靡かせている姫。巨大な龍を模しながら翼を広げている植物……
ほぼモンスターに対してめっぽう強い融合モンスターによる、強固といえば強固と言える布陣が誕生した。無効にできる
『できる限り迎え撃つ準備は整えられたようだな。だが汝よ、油断してはならぬ……いや、伝えるまでも無きか』
「(分かってますよラー様。《手加減したら絶対やられる》って、頭の中で訴えられている程にヤバい気がしてますから)」
神楽坂は参考にしたデッキを、本人顔負けの戦術で使い熟すとちょいちょい噂されている程の相手だ。少しでも気を抜いていたら、きっと俺のこの布陣を突破してくることだろう。
……いやそれどころか、このターンで負けてしまうのでは……と不思議と思ってしまう。勝つつもりではいるのに、だ。
「三沢も苦戦したモンスター達か……このデッキの相手にとって不足はないぜ‼︎ 俺のターン、ドロー‼︎」
仮に神楽坂が使っているデッキが
「まずは手札から速攻魔法【サイクロン】を発動‼︎ 言わずと知れた効果により、その伏せカードを破壊させてもらうぜ‼︎」
うげっ、そういえば
ここは発動して、コストで墓地に送った【ティアラメンツ・メイルゥ】の効果で融合するか……? いや、墓地に沼地も他の【ティアラメンツ】もいないからダメだな。通すしかない……
俺の融合モンスター達の間に竜巻が発生。それは
「ッ…… 【
妨害を1つ崩されてしまったものの、過ぎた事を考えても仕方ない。とりあえずリソースの回収はして、このターンはどうにか耐えれることを祈ろう。
「
ここで手札入れ替えだと⁉︎ しかも禁止カードとかクソがよ。せめて【手札抹殺】で手札交換しなさい。あのカードも
「カードドロー‼︎ ……よし。この2枚を捨てて、と……さぁ、ここから一気に仕掛けさせてもらうぞ‼︎
【天使の施し】の効果でドローして捨てなかったカードの1枚が【死者蘇生】か。一体どんなモンスターを墓地から呼び出すというんだ?
「俺が墓地から呼び出すのはこいつだ。現れろ、【ブラック・マジシャン・ガール】‼︎」
「師匠よりも先にそいつが出るのかよ……‼︎」
【ブラック・マジシャン・ガール】
ATK:2000
DEF:1700
翡翠色の巨大なアンクが浮かび上がり、それが眩く発光。光が収まったのと同時、アンクに代わって1人の美少女が現れる。
光り輝く金の髪。ライトブルーとピンク、鮮やかな配色で露出の激しい奇抜な衣装。左手で抑えているライトブルーのトンガリ帽。透き通るような美しい肌。そしてあどけない翠の瞳。
その美少女は手に持つ杖をクルクルと回しながら、デュエルしている者達に向けてウインクした。
これが
『マスター‼︎ 見ましたか⁉︎ 本物です‼︎ 本物のブラマジガールが出てきましたよ‼︎』
「(わ、わかった。わかったから落ち着け)」
ルルカロスもといキトカロスが【ブラック・マジシャン・ガール】を見てはしゃいでいたので、俺は引き気味になりながらも彼女を落ち着かせる。【ブラック・マジシャン・ガール】って精霊世界でも人気なんかな?
「驚くのはまだ早いぜ‼︎
【ブラック・マジシャン・ガール】が地面に向けて杖を振るえば、そこから黄色い魔法陣が浮かび上がる。そしてそこから出てきた宝石が瞬時に砕かれ───
「現れろ‼︎
【ブラック・マジシャン】
ATK:2500
DEF:2100
その宝石から飛び出てきたかのように、1人の男性が姿を現した。
黒紫色の三角帽付きのローブに身を包んだ、普通の人間と同じ肌色に紫色の髪の、眉目秀麗な魔術師。右手に手にした杖をくるりと回し、対峙している者──つまり俺と俺のモンスター達──に闘争心を見せつける眼差しを見せる。
これこそ、
「これが【ブラック・マジシャン】……‼︎」
この世界に転生してから……いや、前世でも当たり前だったが、ソリッドビジョンとはいえ実物の【ブラック・マジシャン】を見るのはこれが初めてだ。遊戯さんが使っていたエースモンスターなんだから、貫禄もあって身が震えた。
チクショー。これが神楽坂が盗んだデッキからの登場とかじゃなかったら、もっと素直に喜べたのによォ……‼︎ まるで自分が遊城さんだと言っているかのような雰囲気出しやがってこの野郎……
ん? アレ? にしては神楽坂、遊戯さんになりきろうとしている感じが一切ない気がするんだが……?
『お師匠様。なんだかすっごく強そうな敵がたくさんいるんですけど……』
『臆するな。私達とこの男が力を合わせれば必ず勝てる』
『はい‼︎』
………………ちょっと待って?
ブラマジ師弟。アンタらも精霊なのはなんとなく分かる。だが、何故自分達が入っている遊戯さんのデッキを盗んだ神楽坂を、そこそこな感じに信頼してるんだよ? 本来のマスター泣くぞ?
……おかしい。神楽坂が
「さらに俺は装備魔法【魔術の呪文書】を発動‼︎ 【ブラック・マジシャン】か【ブラック・マジシャン・ガール】のみ装備でき、装備モンスターの攻撃力は700ポイントアップする‼︎ 【ブラック・マジシャン・ガール】に装備‼︎」
【ブラック・マジシャン・ガール】の隣に、銀箔の鍵止めが付いている薄紫の書物が浮遊して現れる。それが1人でに開かれると、【ブラック・マジシャン・ガール】はそれを読んでいく。そして『なるほど』と言っているかのように指をパッチンとさせた途端、彼女の身体が淡い光の膜に覆われた。
【ブラック・マジシャン・ガール】
ATK:2000 → 2700
「そして
続けて【ブラック・マジシャン】の身体にも光の膜が覆われる。それは紫とピンク、師弟のトレードマークとも言える色が混ざり合った。その光は【ブラック・マジシャン】の放つオーラを増大させ、強化へと導く。
【ブラック・マジシャン】
ATK:2500 → 5200
「攻撃力5200……けど、攻撃力が1番低いドラゴスタペリアを攻撃しても俺のライフは1500残るし、他にもモンスター達は並んでいる。ここからどうライフを削り切るというんだ?」
「フッ……その答えはすぐに出ている‼︎ ライフを1000ポイント払い、
「なっ⁉︎」
ここでSALも【DNA改造手術】とのコンボで使ったカードだと⁉︎ しかも発動条件を満たせる【ブラック・マジシャン】がいる……‼︎ これは、まずいか……‼︎
神楽坂
LP:4000 → 3000
「このカードは、自分フィールドのレベル7以上の魔法使い族モンスターを対象にして発動するカード。このターン、選択したモンスター以外が攻撃できなくなる代わりに、そのモンスターは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる‼︎ さらにこの攻撃で破壊された効果モンスターの効果は発動しなくなる‼︎」
【ブラック・マジシャン】が杖を握っている腕を伸ばせば、その杖に紫色の光──魔力の波動が蓄積していき、杖の先端がその波動が覆われていく。
ってかちょっと待て⁉︎ 全体攻撃が通るってことは……ライフ8000ルールでも受け切れないじゃねェか⁉︎
「これにより【ブラック・マジシャン】の魔法による全体攻撃が、翼‼︎ お前のフィールドの全てのモンスターに襲い掛かるぜ‼︎」
「ッ……‼︎」
「バトルだ‼︎ いけ、【ブラック・マジシャン】‼︎ 【ブラック・マジシャン・ガール】‼︎」
神楽坂がそう指示したのと同時に、最上級魔術師師弟は、悪態もつかず躊躇いもなく飛翔する。その目的はただ1つ。目の前の敵を全て倒し、このデュエルに勝利するためである。
『いくぞ‼︎』
『はい、お師匠様‼︎』
師弟が杖を交差し、魔力を溜め込み始める。2つの巨大な魔力の球体が混ざり合い、さらに体積と威力を増大させていく。そして……
『『
息を合わせて振り下ろした杖から、その魔力の砲弾が発射される。
それに対抗しようと、カレイドハートとルルカロスが得物を振るおうと、グラファが体内の電撃を放とうと、ドラゴスタペリアが複数の蔦と翼を前面に出して防御しようとする。
しかし、2人の最上級魔術師が同時に放った1つの魔力に対抗できる程の力はなく、成す術なく飲み込まれていった。
「ッ⁉︎ う、うおおおおおおっ⁉︎」
翼
LP:4000 → → → → 0
強大な魔力の余波が思ったよりも強く、俺はいつの間にかその風圧に負けて吹っ飛ばされ地面を滑っていってしまった。
吹っ飛ばされる直前、奥で一瞬にして輝く金色の光を、偶々見つけながら。
Q. 【死者蘇生】でブラマジ蘇生 → 【師弟の絆】でブラマジガールリクルート&【
A.