OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

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前回のあらすじ

マッドラヴ「【恋する乙女】コントロールビートデッキ、意外とめちゃくちゃ強くね?」


VS(ヴァンキッシュ・ソウル)vs恋する乙女(後編)

 

 何故か行われた、マッドラヴとレイのデュエル。互いの1ターン目が終わった感想なんだけど、1ついいかな?

 

 【恋する乙女】、いくらなんでも魔改造されすぎじゃね?

 

 いやね、分かるよ? ここまでしないと、今のカードプールに追いつけないって事ぐらいは。でも、だからってアニメオリカの【キューピット・キス】や【ディフェンス・メイデン】を内蔵させるのはおかしくないですか? しかも攻撃強要も入ってるって……

 それだけじゃない、レイ自身のデュエルタクティスも高いものだ。リクルート手段や【恋する乙女】の攻撃による自傷戦闘ダメージ対策もきちんとしてるし、時間稼ぎしてる間の何かしらの準備もしてる感じだしで……

 もうこの子は編入時だからってレッドからのスタートは似合わなくね? アカデミアのシステム上仕方ないけどさ。

 

「スゲェなあのレイって奴が使う【恋する乙女】って奴は‼︎ 仲間をバトルから護ったり、相手モンスターを返しのバトルでコントロールしたり、色々と面白い事してるじゃねェか‼︎ それをサポートするカードとの相性も結構良いし、編入によるものだからってレッドから始めたってのが勿体ないぜ‼︎」

「それがアカデミアの規律なんだから仕方ないだろ」

 

 やはりと言うべきか、十代がレイとデュエルしたすぎてはしゃぎ気味の愚痴(?)を溢し、神楽坂がそこに指摘を入れる。まぁ確かに彼女の腕前ならレッド寮スタートはおかしいけどさ……

 

「でも間藤先生のデッキも面白ェよな‼︎ 好きなタイミングで手札の特定の属性を持つモンスターを見せる事で、それに合わせた効果を使えるだなんてさ‼︎」

「相手にハンドアドバンテージを公開する必要があるってのが弱点だろうけど、それでもフリーチェーンでモンスター効果を発動できるのもさすがにすごいよな」

 

 確かにハンドアドバンテージの公開が弱点ってのはあるけど、その分どのモンスターも条件さえ合えば、フリーチェーンで効果発動できるから確かに強いよな。

 マッドラヴの使うデッキのテーマも、レイの【恋する乙女】中心のデッキも、結構強い上に高クオリティなデュエルが見られるだろうな。ん? シンクロ以降が使える事も考慮してかって? 何を言ってんだアンタら。

 

 

 

 

 

 

間藤

LP:3500

手札:5枚(【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】×2、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) マッドラヴ】×1)

フィールド:

【強欲なカケラ】×1

伏せカード×2

 

vs

 

レイ

LP:4000

手札:1枚(【D.D.クロウ】×1)

フィールド:

【恋する乙女】ATK:400

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ヘヴィ・ボーガー】ATK:2500(乙女カウンター:1)

セットモンスター×2(【デス・ラクーダ】×1)

【スピリットバリア】×1

伏せカード×2

 

 

 正直に言っていい? かなりキチィ。

 【恋する乙女】1枚だけで原作にあったサポートカードの効果をほぼ全部投入とか、OCGの彼女の効果めちゃくちゃヤバいじゃん。しかも自傷ダメージを受けずともコントロールできるとかさぁ……

 しかも前のターンのように、【デス・ラクーダ】の反転召喚効果でドローしているという事は、【恋する乙女】によって護られているレイのデッキ自身のモンスター効果で状況をさらに有利にしようとしている算段なのだろう。

 この子のデッキ、思ったよりもマジでヤバい。よく考えて作られてるってマジで。プロ顔負けだったりして……

 さてと、これはどうすれば良いのやら……とりあえずドローしてから考えるとしようかね。

 

「ボクのターン、ドロー‼︎ ボクのドローフェイズ時に通常のドローをした事により、永続魔法【強欲なカケラ】に強欲カウンターが1つ乗る‼︎ これが2個溜まれば2枚ドローができる……実質タイムラグありの2枚目の【強欲な壺】ってワケさ‼︎」

 

 

【強欲なカケラ】

強欲カウンター:0 → 1

 

 

「次に……そうだな、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】を召喚‼︎」

『また俺の番か……今度こそ活躍してやるぜ‼︎』

 

 いやまぁ……サーチ効果は使えたから、一応活躍したっちゃ活躍したと思うけど……

 

 

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】

ATK:1800

DEF:1500

 

 

 こうして再び現れた、青……というか水色のイメージカラーが強い格好の少年・ラゼン君。愛用のトンファーを相手に見せつけ、このターンもやる気満々だ。

 

「ラゼン君の効果発動‼︎ その効果で───」

「あ、確認いいかな間藤先生? 確かラゼンって、サーチ効果と公開してからの効果を、同時に使えないんじゃなかったっけ?」

「ん? あぁそうだね」

 

 使えたら使えたでリミットレギュレーション行きになると思うから、こういう調整はなんだか助かるんだけどね───

 

「だったら使うなら今だ‼︎ リバースカードオープン‼︎ (トラップ)カード【ブレイクスルー・スキル】‼︎」

「んげげっ⁉︎」

「【ブレイクスルー・スキル】の効果により、ラゼンの効果はこのターン無効になる‼︎」

『うおっ⁉︎ クソッ、阻害されたか……‼︎』

 

 ラゼン君がトンファーの電源をONにしようとするが、そんな彼に向けて半透明の壁が迫ってくる。構えを取っていない状態での瞬時の出来事だったからなのか、ラゼン君は回避が間に合わず壁に押されその場で倒れ込んでしまった。

 

「むぅ、同一チェーンができない事を狙っての発動か……」

 

 なんだろう……なんでこのタイミングで効果を全部無効にしてくるねんって感じだな。こんなにも『同一チェーン不可を消してほしかった』と思う事はない……

 

「おっと、なんか諦めムードに無意識に行きそうだった。気を取り直して……リバースカードオープン‼︎ (トラップ)カード【戦線復帰】を発動‼︎」

 

 するとボクのフィールドに、ナース服を着て女性の厚化粧を付けた筋肉マッチョの男が現れた。その男の肩には白い法衣の女性──ホーリー・スーが担がれており、戦場に戻す態勢に入っているようだ。

 

「守備表示でモンスターを蘇生するカード……けど先生の墓地のモンスターはホーリー・スーだけ……なら闇属性の【D.D.クロウ】を見せてヘヴィ・ボーカーの効果、それにチェーンして手札の【D.D.クロウ】を捨てて効果発動‼︎ 対象はホーリー・スーだ‼︎」

 

 うわ、ここで連続チェーンを組んできた⁉︎ ま、まぁ1枚の手札がそれで、ボクが発動させたリバースカードの効果の事も考えれば仕方ないだろうけどさ……

 そんな事を考えている内に、何やら不気味な装置を付けている黒い鴉が現れ、ホーリー・スーを連れ去ろうとする。ナースの男が腕を振るって振り払おうとするが、鴉はその場から逃げ去ろうとしなかった。

 

「だったらこれも使うしかないか……‼︎ ライフポイントを500払い、リバースカードオープン‼︎ 速攻魔法【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) コンティニュー】を発動‼︎」

 

 

間藤

LP:3500 → 3000

 

 

「このカードの効果により、ボクの墓地の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】モンスターを1体対象とし、そのモンスターを手札に加えるか守備表示で特殊召喚する事ができる‼︎」

「また蘇生効果……って事は⁉︎」

「その通りさ‼︎ さぁ墓地より蘇れ、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ホーリー・スー】‼︎」

 

 

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ホーリー・スー】

ATK:500

DEF:2000

 

 

 突如ナース男の周囲に貼られた、黄色い半透明のバリア。どうやら鴉の鳴く声、ナース男の必死に抵抗している声、そしてボクの呼び声が鼓膜に響いたのか、ホーリー・スーが目を覚ましたのだ。

 発生したバリアによって大きく弾かれた【D.D.クロウ】は恐怖を覚えたのか、涙目になりながらその場から飛び去っていってしまった。

 ホッ。フリーチェーンの蘇生札が2枚もあってよかった……これでもう1回、というか今度こそサーチ効果が使える……

 

「ホーリー・スーの効果発動‼︎ 手札の炎属性であるラゼン君と闇属性であるマッドラヴを見せ───」

「それも通さない‼︎ リバースカードオープン‼︎ カウンター(トラップ)【神の通告】‼︎」

「もうやだそのデッキ」

 

 思わず本音が出ちゃったよ……

 でもさ、モンスター効果を無効にするカードが多くてさ? しかも(トラップ)カードがめっちゃ多くてさ? これもうただの(トラップ)メタビートデッキじゃね? って思ったわ。メタビートは邪道、はっきりわかんだね。

 

「このカードは、モンスター効果が発動した時、またはモンスターが召喚・特殊召喚された際、ライフを1500ポイント支払う事で発動可能。このカードの効果または召喚・特殊召喚を無効にして破壊する‼︎よってホーリー・スーの効果を無効にし、そのまま破壊だ‼︎」

 

 

レイ

LP:4000 → 2500

 

 

 なるほど……戦闘ダメージを受けにくいデッキだからこそ採用しやすいカードってことか。しかもそのカードで【恋する乙女】を護る事にしたと。

 フッフッフ……教えられたわけじゃないのに、レイちゃんのデッキの本筋が分かってきた気がするZE☆

 ま、だからといって、状況が良くなるとは限らないんだけどね‼︎(泣)

 

『ムゥ……フンッ‼︎』

 

 いつの間にかフィールドの中央に、首を覆い尽くす程に長い鼠色の髭わ持つ老人が神々しい雰囲気を放ちながら現れ、ホーリー・スーに向けて右掌を翳した。するとどうだろうか……

 

『アバババババババッ』

《ペギャッー⁉︎》

 

 ホーリー・スーの頭上に、何故か雷が落下した。天候は曇りですらないというのにだ。これは老人の力によるものだろうか。

 そして雷が爆発となり、黒い煙を広げていく。その煙の中にいたホーリー・スーは身体が黒焦げとなっており、白目を剥いて立ったまま気絶してしまった。

 そんな中、何故かまだソリッドビジョンとして残っていたナース男がホーリー・スーを運び、その場から立ち去っていってしまった。

 

「むむぅ……まさかサーチ効果を2回連続で無効にされる上に、またホーリー・スーが破壊されるなんてね……」

「さて……このままだと間藤先生はラゼンで【恋する乙女】を攻撃しなきゃならないけど、この後どうするのかな?」

 

 成績もデュエルの腕も良いからって調子に乗って……いや、これは敢えてボクの出方を窺うための行為なのかな?

 ふーん……随分と教師の事を期待してるじゃん。生徒の期待にどうにかして応えるのが教師ってもんだし、それに応える準備でもしなくちゃね。

 

「あぁ……この後の事ならなんとかなると思うからこのままでいいかなー。ってなわけでバトルだ‼︎ ボクはラゼン君で【恋する乙女】を攻撃‼︎ 螺旋流辻風(ダストデビル)‼︎」

「そのまま攻撃だって⁉︎」

 

 このように、期待に応える前に落としてから持ち上げるけど‼︎(心の奥底に秘めたゲス顔)

 

『なんで俺が闘う気のねェ奴を……』

 

 悪いねラゼン君、これがデュエルモンスターズだ。それにフィールドに出てきた以上、【恋する乙女】も闘う気満々ってわけさ。でなかったらセット状態の【デス・ラクーダ】を護らなかったし。

 珍しくやる気の無い態度を取るラゼン君だったが、デュエルのシステム上やらざるを得ないためか渋々了承。いつもの必殺技を放つ……事はなく、ただ【恋する乙女】の前に立って脚を振り上げるだけに収めた。

 

「何が目的かは分からないけど、とりあえず【恋する乙女】の効果発動‼︎ ラゼンにも乙女カウンターを乗せる‼︎」

『私の事を考えてあのような事を……ラゼン様、貴方もお優しいのですね……』

『あぁいや、アンタのような奴が相手なのは初めてだったからさ……』

 

 オイ言い方。なんか誤解されそうな感じだったぞ今。ってか、なんかラゼン君のこそばゆい感を見せてる姿は初めて見るな。

 

 

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】

乙女カウンター:0 → 1

 

 

「ま、このターンはこれ以上する事がないから、カードを2枚伏せてターンエンド‼︎」

 

 さぁ、ここから【恋する乙女】布陣を突破して見せるぞー‼︎ 教師としての期待に応えるためにも‼︎

 

 

間藤

LP:3000

手札:4枚(【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】×1、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) マッドラヴ】×1)

フィールド:

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】ATK:1800(乙女カウンター:1)

【強欲なカケラ】×1(強欲カウンター:1)

伏せカード×1

 

vs

 

レイ

LP:2500

手札:0枚

フィールド:

【恋する乙女】ATK:400

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ヘヴィ・ボーガー】ATK:2500(乙女カウンター:1)

セットモンスター×2(【デス・ラクーダ】×1)

【スピリットバリア】×1

 

 

「何を狙っているのかは知らないけど、ボクは手を緩める気はないよ‼︎ ボクのターン、ドロー‼︎ リバースカードを1枚伏せ、このカードを反転召喚だ‼︎」

 

 ふむ……何をこのタイミングで伏せたのかはともかく、またここで【デス・ラクーダ】のドロー効果を使うか。さて、また良いカードを引いてくるのだろうか───

 アレ? 【デス・ラクーダ】をリバースするにしては、なんか位置とかが違うような……

 

 

【メタモルポット】

ATK:700

DEF:600

 

 

 姿を見せてきたのは、包帯の巻かれたラクダのゾンビの【デス・ラクーダ】……ではなく、大きな1つ目とニヤリとしている口を覗かせる藍色の壺だった。

 ……って。

 

「ウェッ⁉︎ メ、【メタモルポット】ォッ⁉︎」

 

 なんつーもんまでデッキに入れてんだこの子ォッ⁉︎ 確かに結構ドローソースとしては役に立つし、より強固な【恋する乙女】布陣を作るのに結構カードが必要だけどさぁ‼︎

 

「【メタモルポット】のリバース効果発動‼︎ 互いのプレイヤーは手札を全て捨て、互いにカードを5枚ドローする‼︎ さぁ、せっかくサーチして出すタイミングを窺っているところ悪いけど、そのカードは捨ててもらうよ‼︎」

 

 これだよこれ。リバースだからタイムラグが必要で、互いのプレイヤーで行われるとはいえ、ハンデスと手札からの墓地肥やしが同時にできるし大幅な手札補充も出来てヤバいんだよなぁ……

 

「とりあえず何がドローで来るか分からないし、ラゼン君の効果を使うなら今か。というわけでラゼン君の効果発動‼︎ 手札の炎属性であるラゼン君と闇属性であるマッドラヴを見せ───」

「当然こうする‼︎ 墓地の【ブレイクスルー・スキル】を除外し、その効果でラゼンの効果を無効にする‼︎」

「う ん 知 っ て た」

『チクショウ、またかよ‼︎』

 

 またもや半透明なバリアが出現し、それがラゼン君にぶつかり弾かせる。態勢を崩されたラゼン君は後退り、怪我したであろう口元を袖で拭い汚れを拭き取った。

 

「他に発動するカードがないのなら効果処理に入るね。【ブレイクスルー・スキル】の効果でラゼンの効果は無効となり、【メタモルポット】の効果でハンデスとドローを同時に行うよ‼︎」

 

 ウゥ……ボクの分身と【速攻のかかし】、【貪欲な壺】が……けど、その代わり結構良いカードを引けた‼︎ これでなんとかすっぺ‼︎

 

「そして【デス・ラクーダ】を反転召喚‼︎ 効果でカードをさらに1枚ドロー‼︎」

 

 

【デス・ラクーダ】

ATK:500

DEF:600

 

 

 次に今度こそ包帯の巻かれたラクダのゾンビ──【デス・ラクーダ】が姿を見せ、包帯の一部から出てきた1枚のカードをレイちゃんに渡した。

 ってか、これでレイちゃんの手札が6枚になっちゃったじゃん。ハンドアドバンテージが彼女の方が上なの忘れてた(汗)

 

「さらに【強欲な壺】を発動‼︎ カードを2枚ドローだ‼︎」

 

 と思ったら7枚になった(泣) これだから禁止カードが使える時代は(怒)

 

「よし……ここでいくよ‼︎ 手札の【真竜皇リトスアジム(ディザスター)】の効果発動‼︎ 自分メインフェイズ時、このカード以外の手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、地属性モンスターを含むモンスターを2体破壊し、このカードを手札から特殊召喚する事ができる‼︎ 手札の【ならず者傭兵部隊】とフィールドの【メタモルポット】を破壊し、特殊召喚だ‼︎」

 

 ファッ⁉︎ ここで【真竜】だって⁉︎ 一応そのシリーズは出しやすかったり強い効果を使いやすかったりするから、結構高額扱いされているのに、よく手に入れたなオイ⁉︎

 そんな事を考えていたら、【メタモルポット】が立っている地盤が割れる。抵抗する間すら虚しく、悲鳴を上げ涙を流しながらそのまま落下していく。

 それと同時に、ならず者の傭兵とも言える男達も次々と落下していく幻覚が見えるんだけど、気のせいかな……? 気のせいじゃないよね?

 

 

【真竜皇リトスアジム(ディザスター)

ATK:2500

DEF:2300

 

 

 その亀裂から這い出てくるように現れたのは、暗い緑色の体を持つ、鋭い爪や牙・角を持つ重厚なる竜。身体はゴツゴツとした岩のような鱗を持ち、破滅的で威厳のある荒々しさを見せていた。

 

「地属性モンスターを2体破壊して【真竜皇リトスアジム(ディザスター)】を特殊召喚した場合、相手の融合デッキを確認し、その中からモンスターを3種類まで選んで除外できる‼︎」

「コラー‼︎ 相手のデッキを覗くとかサイテーだぞー‼︎」

「いや、それがこのカードの効果だから……と、とにかく融合デッキのカードあるなら見せて? じゃないとデュエルが進行しないから……」

 

 申し訳ないと思っている感じを出しながら、レイちゃんはボクのエクストラデッキを全て見せるようにと要求してくる。ボクのデッキにエクストラデッキのカードがあるからこその要求なんだろうな、クソー。

 

「……ほい、これ。さぁ、どれを除外するんだい?」

 

 この世界・時代人達のデュエルディスクは、まだ液晶での相手のカードの確認とかが出来ないから、ボクが態々取り出して見せないといけない。これがめんどくさいんだよなぁ……

 あ、ちなみにボクのエクストラデッキはこんな感じね。

 

 

【灰燼竜バスタード】×3

【エルシャドール・アプカローネ】×3

【共命の翼ガルーラ】×3

【爆撃獣ファイヤ・ボンバー】×3

月光舞香姫(ムーンライト・パフューム・ダンサー)】×3

 

 

「最近出ている【強欲で金満な壺】のコスト要因なのかな……? とりあえず何かしらの方法でドロー効果を使われると困るから、【共命の翼ガルーラ】を3枚除外してね」

 

 うわ、鳥を落とす勢いで選んだな。これでドローソース予備軍が減らされてしまった……

 ちなみにこのエクストラデッキ、どれも墓地で効果を発動できるものばかりで使いやすいんだ。だから【ドラグマ・パニッシュメント】も入れて……ね?

 ん? ヌトス? あいつは生成出来なかったから……だって融合素材がシンクロとエクシーズだし……

 後、【化石融合ーフォッシル・フュージョン】によって出る融合モンスターも、この世界の主要キャラが使うから生成できなかった……

 

「続けてヘヴィ・ボーカーの効果‼︎ 闇属性である【邪帝ガイウス】を見せて1枚ドロー‼︎ そして【デス・ラクーダ】を生贄に捧げ、この【邪帝ガイウス】を攻撃表示で召喚‼︎」

 

 しれっとドロー効果が発動された後、【デス・ラクーダ】が黒い瘴気に包まれ飲み込まれていく。やがてその瘴気が霧散すれば、そこにはラクダではなく、人型の何かが突っ立っていた。

 

 

【邪帝ガイウス】

ATK:2400

DEF:1000

 

 

 その人型は、邪悪な気を纏った暗い色の鎧や王冠を装着している帝王。顔を覆い尽くす影と靡く黒いローブやマントが、禍々しく不気味な雰囲気を醸し出していた。

 ってか、【帝王】モンスターまで採用していたんだ。……【恋する乙女】デッキって、何なんだろね……

 後……

 

「ようやく分かってきたよ、そのデッキのコンセプトが。主に(トラップ)カードの恩恵を受けている【恋する乙女】で護りながらコントロールし、彼女に護られたドローソースのモンスターでドローしながら、相手モンスターも一緒に上級モンスターを出すための養分とする……そんな感じかな?」

「養分って言い方は良くないけど……概ねそんな感じだよ‼︎ここまでボクのデッキを分析するなんて、すごいよ間藤先生‼︎」

 

 アカデミアの教師は伊達じゃないってね‼︎ でも、その歳でそんなデッキを作り上げられる君も君で凄すぎなんだけど……

 

「【邪帝ガイウス】の効果発動‼︎ このカードが生贄召喚に成功した場合、フィールドのカードを1枚除外する事ができる‼︎ 対象は間藤先生の伏せカードだ‼︎」

 

 ガイウスが両掌から、エネルギーを迸らせている黒紫色の球体を作り上げていく。それを放って対象を消すつもりのようだ。

 

「じゃあそのリバースカードオープン‼︎ (トラップ)カード【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 裏螺旋流雪風(スノーデビル)】を発動‼︎」

 

 悪いね。大量ドローの恩恵、ボクも受けさせてもらうよ‼︎

 

「手札から地・炎・闇属性モンスターをそれぞれ1体ずつ見せ、その数によってそれぞれの効果を発動する事ができる‼︎ 手札の地属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) パンテラ】、炎属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 蛟龍(ジャオロン)】、闇属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) Dr.マッドラヴ】を公開し、この効果を適用‼︎」

「3体もモンスターを公開して発動する効果……?」

 

 本来なら発動条件に合うカードが2枚だけでも使えるけど、3枚ある事で使える効果が使えるからね、敢えて【メタモルポット】が発動されるまで温存していたのさ。賭けに出てよかったZE☆

 

「1体以上なら相手に400ポイントのダメージを与え、手札から【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】モンスターを1体特殊召喚できる。2体以上なら相手に600ポイントのダメージを与え、このターン、ボクフィールドの【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】モンスターは効果では破壊されなくなる。そして3体なら相手に800ポイントのダメージを与え、その後、フィールドのモンスターを全て破壊できる‼︎」

「モ、モンスター全破壊できるだって⁉︎ しかも合計1400ポイントのダメージを⁉︎ こ、これじゃあボクは、負ける……‼︎」

 

 そう、レイちゃんのデッキはあくまで【恋する乙女】中心のデッキ。そのモンスター……いや、それどころかモンスターさえいなくなれば、盤面操作する事は難しくなるだろう。だからこそ、効果によるモンスターの除去は必要となっていくのだ‼︎

 ボクが発動させた事で起き上がった裏螺旋流雪風(スノーデビル)のカードから、雪混じりの風──吹雪が発生する。その風はフィールド全体へと広がり始め、【恋する乙女】諸共レイちゃんのモンスターを凍えつかせようとした。

 

「……なんてね」

 

 へっ? ……なんか嫌な予感がする。

 

「手札の【ライフ・コーディネイター】を捨てて効果発動‼︎ ボクのライフにダメージを与える効果が発動した時、このカードを手札から捨てる事でその発動を無効にし、破壊する‼︎」

「うげっ、そんなカードまで入れてたの⁉︎」

「【恋する乙女】を無視して効果ダメージを狙う人もいると思って採用したけど、入れておいて正解だった‼︎ というわけで、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 裏螺旋流雪風(スノーデビル)】の効果は無効にさせてもらうよ‼︎」

 

 突如レイちゃんのフィールドに、淡い青や白などが見える丸い液体が、意思を持ってして浮遊しながら現れた。主に光やエネルギーの集合体として柔らかな輝きや流動的な形状を目立たせていた。

 その液体が青白く発光した途端、吹雪が全て液体へと集中して向かっていく。そして次々と体積を変えさせないまま液体の中へと入っていき、やがて全て吸い込んだ液体はそのまま何処かへと飛んで行ってしまった。

 そして吹雪を発生させたカードは、ガイウスが放ったエネルギーの球体に飲み込まれ、やがて爆ぜて消えていってしまった。

 

「クッ……無効にされたという事は、ダメージの他に発生する効果も使えないという事……これはしてやられたよ」

 

 デッキのありとあらゆる弱点への対策を、次々と施している……こりゃ大徳寺先生が『すぐに昇格する優等生』と評価する訳だよ。こりゃあ女性にも階級制度があったとしても、苦なくブルーに行けそうだ。

 

「おっと、このカードの発動も忘れないようにしないと。手札の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 蛟龍(ジャオロン)】の効果発動‼︎ このカードを【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】カードの発動のために手札から見せた場合、このカードを特殊召喚する事ができる‼︎」

『……フンッ』

 

 

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 蛟龍(ジャオロン)

ATK:2400

DEF:2100

 

 

 無愛想に鋭い目つきをしながら現れた、黒の混じった長い銀髪かつ長身細身の男。東洋的なスーツや装飾を着込んでおり、独特な形状の多節棍を構えて静かに佇んでいた。

 

『師匠‼︎ 来てくれたのか‼︎ 実はさっき情けないところを……』

『言わずとも分かる。まだ命があるのだ、次に繋げておけ』

『おう、師匠‼︎』

 

 ラゼン君と蛟龍(ジャオロン)、実は師弟関係にあるわけで。ラゼン君の必殺技も蛟龍(ジャオロン)のを参考に編み出したんだとかどうとからしいけど……

 ま、今のデュエルには全く関係ない事だけどね。

 

「モンスターを増やされたけど、特に大した問題ではないね‼︎ バトル───」

「おっと、ちょっと待った。メインフェイズ終了前に、手札の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 龍帝ヴァリウス】の効果発動‼︎ 自分・相手のメインフェイズに、ドラゴン族以外の自分フィールドの【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】モンスターを1体手札に戻す事により、このカードを手札から特殊召喚する事ができる‼︎ ラゼン君を手札に戻すよ‼︎」

「ヘヴィ・ボーカーとほぼ同じ効果⁉︎」

『ここであいつの出番か……ま、デュエルに勝つためだ。喜んで協力してやるけどな‼︎』

 

 突如フィールドに、紅い稲妻が次々と発生する。ラゼン君が後退しながら立ち去れば、先程まで彼がいた位置に当たった途端この地を震動させ……眠れる龍人の力を、目覚めさせる。

 

「永き眠りから目醒めし龍人よ‼︎ 未だ現世に残る闘神の魂を砕き滅すべく、その拳を突き上げろ‼︎ 現れろ、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 龍帝ヴァリウス】‼︎」

『───我が魂を揺さぶる者は、何処のどいつだ?』

 

 

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 龍帝ヴァリウス】

ATK:3000

DEF:1500

 

 

 現れたのは、人型の龍。紅い鉱石を覗かせる、灰がかった黒い重厚かつ堅牢な鱗を覆い、青い何かを握り潰して砕きながら、その拳を天に突き上げていた。

 

「フッフッフゥッ……どうだい? これがこの【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】デッキのエースモンスターさ‼︎ カッコいいだろう?」

「た、確かにカッコいいけど……これ以上何もないというのなら、次のターンでそのモンスターも【恋する乙女】の虜になってもらうよ‼︎」

 

 お? ボクのエースモンスターを奪うってか? やれるものならやってみなさいな。

 ヴァリウスは、並大抵のカードには絶対負けないからね。

 

「バトルだ‼︎ ボクは【恋する乙女】で【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 龍帝ヴァリウス】に攻撃‼︎ 一途な想い‼︎」

『ヴァリウス様‼︎ 私の一途な想い、受け取ってー‼︎』

『えっ⁉︎ お嬢さん、一途の意味分かってるのか⁉︎』

 

 【恋する乙女】が再び走り出し、ヴァリウスに向かって飛びつこうとする。しかも『一途』って言葉をヘヴィ・ボーカーに対しても使っていたから、それを前のターンに受けたヘヴィ・ボーカーは驚き動揺しながら指摘する。

 うん、彼女はまだめっちゃ若いんだ。一途って意味を知らずに使ったんだろう。それに色んなものに恋したい歳なんだ、許してやってくれ。

 

『───闘いに勝ちたいというのなら……自分の身で媚びを売るな、幼き女子よ』

『えっ?』

 

 ま、これはヴァリウスには通じないんだけどね。

 

「龍帝ヴァリウスの効果発動‼︎ 手札の地・炎・闇属性モンスターをそれぞれ見せる事により、フィールドの他のカードを1枚選んで破壊する事ができる‼︎」

「破壊効果⁉︎ しかも発動処理時にカードを選ぶって事は……」

「そう、対象に取らない効果‼︎ よって君がこのチェーン上で使うカード次第で、ボクが破壊するカードを自由に選択できるってわけさ‼︎ さぁどうする?」

 

 ヴァリウスの拳に、紅い稲妻が宿る。その稲妻は形を変えていき、やがて左腕全体を覆い尽くす龍の形状の槍を作り上げた。

 

「ボ、ボクは……カード効果の発動は、しない……」

「じゃあ地属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) パンテラ】、炎属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】、闇属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) Dr.マッドラヴ】を見せてから、破壊するカードを選ばせてもらうよ。当然厄介な【恋する乙女】にはご退場だ‼︎」

「先生。悪いけど、か弱い女の子を厄介者扱いしないで」

「アッハイ」

 

 そういえばレイちゃん、【恋する乙女】をモンスターとして扱っているわけじゃないんだった。見た目的にも普通の女の子だし、確かに失礼だった……

 

「と、とにかく効果処理だ‼︎ 龍帝ノ槍(カラミティ・カイザー)‼︎」

 

 飛躍し、地上へと稲妻の槍を投擲するヴァリウス。仲間への被害を出させまいと、ガイウスやリトスアジム(ディザスター)、ヘヴィ・ボーカーが前に出ようと身構えるが……

 そんな彼等を庇うように、【恋する乙女】が飛び出し、自ら稲妻の槍に命中。その電撃を受けながら、彼女は3体のモンスター達の方を振り向き……微笑んだ。

 

『後は……お願いします』

 

 その言葉と共に、稲妻は爆発を起こす。黒い煙が漂う中、複数もの光の粒子が飛んでいっているように見えた。

 

『『……‼︎』』

『お、お嬢さん……』

 

 ………………うん、なんかごめん……普通の女の子が自分達よりも真っ先に前に飛び出して、みんなを護るために自己犠牲になった感じの演出だったもんね。辛いって気持ち、分からなくもないよ……

 たたしヘヴィ・ボーカー、テメーはダメだ。効果によるものとはいえ、ボクとボクのデッキのモンスター達を裏切ったんだから。

 

「さてと……この後どうするんだい? 今のボクのフィールドには蛟龍(ジャオロン)もいるし、ヴァリウスの攻撃力は3000もあるから、今の君の盤面的にはボクのライフを削り切れないと思うよ?」

「いや、その心配はいらないよ間藤先生‼︎ ここで速攻魔法発動‼︎ 【エネミーコントローラー】‼︎」

 

 うげげっ⁉︎ このタイミングでコマンド入力左右AB(エネミーコントローラー)かいッ⁉︎

 レイちゃんのフィールドに、巨大なゲームコントローラー機が出現。それは自立しているかのようにボタンやスティックを、左・右・A・Bと順番に動かしていく。

 

「自分フィールドのモンスターを1体生贄に捧げ、相手モンスター1体のコントロールをエンドフェイズまで得る効果を選択‼︎ ガイウスを生贄に捧げ、龍帝ヴァリウスをコントロールさせてもらうよ‼︎」

『ぬぅ、この我がこんなものなんかに……』

 

 後は任せたと言っているかのように、ガイウスは親指を立てながら光の粒子となって消えていく。そしてコントローラーのコードが、次々と接続するようにヴァリウスに付着し、レイちゃんのフィールドへと引き寄せていった。

 クソー……一時期によるものとはいえ、まさかボクのデッキのエースモンスターが出たターン中にすぐ奪われるなんて……

 

「というか、【恋する乙女】以外のコントロールカードも入れていた事にも驚きなんだけどね……」

「これで攻撃が全て通れば、ボクの勝ちだ‼︎ 龍帝ヴァリウスで蛟龍(ジャオロン)を攻撃‼︎」

『敵の言いなりとは、屈辱……』

 

 呟いている間に、【エネミーコントローラー】によって主導権を握られたヴァリウスが構えの態勢に入る。レイちゃんの宣言通り、蛟龍(ジャオロン)を倒すための準備をし始めたのだろう。

 

「残念だけど、そいつの効果は通らないよ。蛟龍(ジャオロン)の効果発動‼︎ 手札の炎属性モンスターを1体見せる事により、フィールドのモンスター1体の表示形式を変更する事ができる‼︎」

「表示形式の変更って事は……⁉︎」

「手札の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】を見せ、ヴァリウスを守備表示に変更‼︎ これでこのターンでの敗北はなくなった‼︎」

 

 蛟龍(ジャオロン)が多節棍を両手で持ちながら構え、地を蹴り一瞬でヴァリウスとの間合いを詰める。そしてヴァリウスの脇腹・脚部辺りに目掛けて自身の持つ武器を振るえば、それが右脚の腿辺りに命中。ヴァリウスはその衝撃で右膝をついてしまった。

 

『我の一瞬の隙をつき、我を屈服させるか……なかなかやるではないか、かの少年の師よ』

『私はただ、目の前の敵を相手にしただけだ』

 

 いや実際は効果処理によって起きているものだからな? 効果処理は逃れられないものだから、運や実力が左右したとか考えんといて?

 

「ッ……でも、これで終わったわけじゃない‼︎ リトスアジム(ディザスター)蛟龍(ジャオロン)を攻撃‼︎」

『ッ……‼︎』

 

 リトスアジム(ディザスター)が雄叫びを上げた途端、大地が震撼する。そして白く巨大な羽を使って蛟龍(ジャオロン)の近くまで飛行し、腕に付いている紫色の刃を振るう。

 蛟龍(ジャオロン)は多節棍を盾の代わりとしてその刃を受け止めようとするが、その構えを見たリトスアジム(ディザスター)はすぐさま彼の背後へと回り込み、彼の背中に向けて刃を振るう。

 巨大な斬撃を受けた蛟龍(ジャオロン)は断末魔を上げる間もなく、咄嗟のフェイントへの対応ができなかった事を悔やみながら光の粒子となって消えていってしまった。

 

「イッテェ……」

 

 

間藤

LP:3000 → 2900(2500 - 2400 = 100)

 

 

「次にヘヴィ・ボーカーでダイレクトアタック‼︎」

『許せ、マッド……間藤』

 

 今度はヘヴィ・ボーカーが、リトスアジム(ディザスター)を通り過ぎながら飛び出して来た。そしてその巨大な拳を、ボクの身体に当たらないように振るい、それによる突風を浴びせた。

 なんかボクの事を本名で呼びかけてたけど、レイちゃんが精霊の見えない子だから、指摘しないでおくか。ん? 十代の耳に聞こえているのではないかって? 彼はちょっと離れたところにいるし、大丈夫だろ(適当)

 

「ってか、【恋する乙女】がいないのに攻撃するのに躊躇ねェな……」

 

 

間藤

LP:2900 → 400

 

 

 これで2枚目以降の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) コンティニュー】は発動できなくなったか……実際に手札にあるし、これはキツいかも……

 

「ボクはカードを2枚伏せてターンエンド‼︎ このエンドフェイズ、【エネミーコントローラー】の効果が切れたから、龍帝ヴァリウスは先生の元に返すね」

『フンッ……』

 

 【エネミーコントローラー】によって無理矢理繋げられたコードが外れ、すぐさまボクのフィールドへと戻ってきたヴァリウス。あまりにも屈辱的だったのか、怒りに満ちたようなオーラを漂わせていた気がするけど、気のせいかな……?

 

 

間藤

LP:400

手札:4枚(【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) パンテラ】×1、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】×1、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) Dr.マッドラヴ】×1、【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) コンティニュー】×1)

フィールド:

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 龍帝ヴァリウス】DEF:1500

【強欲なカケラ】×1(強欲カウンター:1)

 

vs

 

レイ

LP:2500

手札:1枚

フィールド:

【真竜皇リトスアジム(ディザスター)】ATK:2500

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ヘヴィ・ボーガー】ATK:2500(乙女カウンター:1)

【スピリットバリア】×1

伏せカード×2

 

 

 うーむ、これはどうしたものやら……今のボクの手札はあまり良くないんだよなぁ……レイちゃんのフィールドには【スピリットバリア】があるし、なんか伏せカードのどれかが【恋する乙女】を蘇生する手段を持っていそうだし……

 とりあえず、まずはドローしてから考えるか。

 

「ボクのターン、ドロー‼︎」

 

 ……む。これだけだと、蘇生される【恋する乙女】に対する対抗が出来そうにないな。だって伏せカードが2枚あって、もう1枚が何かしらの妨害をしそうだし……

 よし、ここはこれにも賭けよう‼︎

 

「ドローフェイズ、【強欲なカケラ】に強欲カウンターが1つ乗る‼︎」

 

 

【強欲なカケラ】

強欲カウンター:1 → 2

 

 

「そして‼︎ 強欲カウンターが2つ以上乗っているこのカードを墓地へ送る事で、自分のデッキからカードを2枚ドローする事ができる‼︎ よって実質タイムラグな【強欲な壺】であるこのカードの効果を適用し、2枚ドローだ‼︎」

 

 さぁ、頼む‼︎ このドローで形成逆転させてくれ‼︎

 

「カードドロー‼︎」

 

 ………………むぅ……引いたカードがどんなものなのかが怖いな……思わず目を瞑っちゃったよ……えぇいままよ、カードチェックだカードチェック‼︎ チラリズム───おっ? おおおっ?

 

「よっしゃ‼︎ すっごく良いの来た‼︎ これで勝つる‼︎ 「か、勝つる……?」 魔法(マジック)カード【ハーピィの羽根帚】を発動‼︎」

「なっ⁉︎ そのカードは‼︎」

「さぁ、これで君の魔法(マジック)(トラップ)カードは全て粉砕☆だ‼︎」

 

 これぞ正しく神ドロー‼︎ これが無効にされなければいいのだけど、どうだ……⁉︎

 

「仕方ない……‼︎ リバースカードオープン‼︎ (トラップ)カード【戦線復帰】‼︎ これで【恋する乙女】は復活するよ‼︎」

 

 まぁ、そういう系のカードはあるとは思ってたけど。

 

 

【恋する乙女】

ATK:400

DEF:300

 

 

 ナースのコスプレをした筋肉モリモリマッチョマンの変態が、今後はレイちゃんのフィールドに姿を現す。彼女の肩には【恋する乙女】が担がれており、そっと彼女を下ろしてあげた。あらヤダ紳士。

 

「で、他に発動するカードはないみたいだね? じゃあ改めて玉砕☆だ‼︎」

「ッ、【召喚制限-猛突するモンスター】までもが……‼︎」

 

 うわっ、【恋する乙女】と【スピリットバリア】と組み合わせれば最強の布陣じゃん。【最終突撃命令】と違って、永続的に守備表示にならないデメリットを打ち消せるから、【召喚制限-猛突するモンスター】も結構きちぃんだよな……

 

「これで厄介なのが【恋する乙女】だけになった‼︎ 後はもう……ね?」

「ッ、しまった……‼︎」

「大喝采☆ 龍帝ヴァリウスの効果発動‼︎ 地属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) パンテラ】、炎属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ラゼン】、闇属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) Dr.マッドラヴ】を見せ、【恋する乙女】を破壊だ‼︎ 龍帝ノ槍(カラミティ・カイザー)‼︎」

『闘いの場に、闘士でないものは邪魔だ』

 

 拳に宿しながら生成した龍の顔をした紅い雷槍を、ヴァリウスが左手で持ち、飛躍してから投げつける。その強力な槍から味方を護ろうとして前に出ようとするが……

 やはり効果処理という原理に逆らえず、またもや【恋する乙女】が真っ先に仲間達を庇うように飛び出し、雷の槍を受け止めた。

 

『皆さん、私なんか気にせず勝ってくださいね……』

 

 そう言いながら【恋する乙女】笑顔をレイちゃんのモンスター達に向け、またもや発生した爆発の中で光の粒子となって消滅していってしまった。

 

『……‼︎』

『ま、またお嬢さんを救えなかった……どうしても償いをさせてくれないというのか……』

 

 だからそういう悲壮感を出すのやめろお前ら。ってか、ヘヴィ・ボーカーは彼女に恋に落ちたからじゃなくて、怖がらせたとかそういう理由で味方になったって感じなのか……

 

『そもそも戦場に力無き者を出すのが非常ではないのか?』

『それはまぁ、言えてるが……』

 

 オイこらヴァリウス、さすかにこの場面で正論やめろや。ヘヴィ・ボーカーも正気に戻ったじゃねェか。『恋は幻想』みたいな感じに言ってるようなのやめろや。

 

「とりあえず、今の手札ではラゼン君の効果を発動できないから……【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) Dr.マッドラヴ】を召喚‼︎」

 

 

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) Dr.マッドラヴ】

ATK:1200

DEF:2000

 

 

 はいやっと出ましたー、ボクの分身ー‼︎

 科学者などが着る白衣にしては腕の通っておらず、ズボンが半ズボンなどといった奇抜なファッションをしており、黒と白に分かれた髪の左頭に大きな白いハートのパーツのついた少女。つまりボク‼︎(ドヤァッ…)

 ボクと分身の相違点と言えば、マジックハンドなどの機械が入っている、ピンクや紫色が混じったリュックを背負っている点ぐらいかな。現実世界だとそんなにリュックは必要ないし……ね?

 

「アレ⁉︎ そのモンスター、間藤先生と姿が同じじゃない⁉︎」

「フフーン、ボクのこの格好はこのモンスターをコスプレってるのさ‼︎」

 

 なーんてね、嘘だよーん☆ これくらいの理由がないと、早くも間藤=マッドラヴって印象が生まれてしまうからねー。実際にみんなが精霊達と関われる原作イベントが発生するまで内緒にしたいんだー。ま、今のユベルがアレだから起きないとは思うけどね☆

 

「マッドラヴの効果発動‼︎ 召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)魔法(マジック)(トラップ)カードを1枚手札に加える事ができる。ボクがサーチするのは【Start for VS!(スタート・フォー・ヴァンキッシュ・ソウル)】だ‼︎」

 

 マッドラヴのリュックから、もう1つのマジックハンドが出てきた。それは巨大な手からは想像できそうにない程丁寧に1枚のカードを摘んでおり、それをボクに手渡した。そして引っ込んだ。バトルの時にまた出てくれるのかな……?

 

「そしてそのままフィールド魔法【Start for VS!(スタート・フォー・ヴァンキッシュ・ソウル)】を発動する‼︎」

 

 刹那、大地が色褪せた地図の模様へと変換される。各国の図形の所には、ボクら【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】の写真が貼り付けられていた。

 つーか写真デケーし、大地が地図になるってどゆことよ? ソリッドビジョンの判断力どうなってんの? まぁいいや(即決)

 

「自分フィールドの【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】モンスターであるマッドラヴを対象とし、【Start for VS!(スタート・フォー・ヴァンキッシュ・ソウル)】の効果発動‼︎ デッキから対象に取ったモンスターと異なる属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】モンスターを1体手札に加える事ができるため、闇属性ではない【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ホーリー・スー】を手札に‼︎」

 

 マッドラヴが指差しをすれば、その方向にあるホーリー・スーの写真が光り出す。するとその写真の上に1枚のカードが浮かび上がり、それが1人でにボクの手札に加わった。

 

「そしてホーリー・スーの効果発動‼︎ 手札のラゼン君を公開し、特殊召喚だ‼︎」

『前の前のターンでの失態はここで晴らします』

《今度こそ目立とうね、スー‼︎》

 

 

VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ホーリー・スー】

ATK:500

DEF:2000

 

 

 再び姿を現した、フェイスベールを着けた白い法衣の魔法使い。喋る杖を握りしめながら、ヘヴィ・ボーカーとリトスアジム(ディザスター)を見据える。

 

「ホーリー・スーの効果発動‼︎ 手札の地属性と闇属性のモンスターをそれぞれ見せる事により、相手フィールドの攻撃力が1番低いモンスター1体のコントロールをエンドフェイズまで得る事ができる‼︎」

「攻撃力が1番低いモンスター⁉︎ ボクのフィールドにはヘヴィ・ボーカーとリトスアジム(ディザスター)しかいなくて、2体とも攻撃力が同じ……って事は⁉︎」

「地属性の【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) パンテラ】と闇属性の【D.D.クロウ】を見せ、ヘヴィ・ボーカーを返してもらうよ‼︎」

 

 ホーリー・スーが杖をヘヴィ・ボーカーに向けて翳し、その宝玉から放たれた光でヘヴィ・ボーカーの身体を覆い尽くす。

 

『《らりるれろ、らりるれろ、らりるれろ……』》

 

 どんな呪文だよ。スマ○ラのス○ーク通信かよ。

 

『な、何か取り憑いていたものが取れたような感覚だ……』

 

 そんな事を考えていたら、ヘヴィ・ボーカーが清らかな雰囲気を醸し出しながら、ボクのフィールドへと戻っていった。あの呪文で一時的に正気に戻れるの?

 

「ここで【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) Dr.マッドラヴ】のもう1つの効果発動‼︎ 手札の闇属性モンスターを見せる事により、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力・守備力を500ポイントダウンする事ができる‼︎ 【D.D.クロウ】を見せ、リトスアジム(ディザスター)を弱体化させるよ‼︎」

 

 マッドラヴのリュックから、ドリルのついたアームが出てきた。そのアームは伸び出し、リトスアジム(ディザスター)の身体に突きつける。

 ドリルの脅威の回転力が、リトスアジム(ディザスター)の鱗を次々と削り落としていく。身体にも直接当たっている部分があったためか、リトスアジム(ディザスター)の悲鳴が鱗の削がれる音と共に響いていた。

 

 

【真竜皇リトスアジム(ディザスター)

ATK:2500 → 2000

DEF:2300 → 1800

 

 

 よし、これで準備は整った‼︎ これで終わらせてやるよ‼︎

 

「龍帝ヴァリウスを攻撃表示に変更させ、バトルだ‼︎ ボクは【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) ヘヴィ・ボーガー】でリトスアジム(ディザスター)を攻撃‼︎」

『今度こそ、マッドラ……間藤の隣で活躍するとしよう』

 

 またボクの事を本名で呼びかけたなこいつ? まぁ、今はボクがコスプレったって嘘ついてたおかげで、精霊持ちに『コスプレしてたからマッドラヴと勘違いしたのだろうか』って思われる程度に済むと思うけど。

 ヘヴィ・ボーカーが掌のコアを紅く光らせれば、その手で握り拳を作りながら力を入れ始めた。それでぶん殴るつもりか。

 

「やらせないよ‼︎ 手札の【アンクリボー】の効果発動‼︎ 相手モンスターの攻撃宣言時にこのカードを手札から捨てる事で、このカード以外の自分または相手の墓地のモンスターを1体特殊召喚する事ができる‼︎ 対象はもちろん【恋する乙女】だよ‼︎」

『アンクリ〜〜〜‼︎』

 

 レイちゃんのフィールドに、アンクの形などの金色の装飾を施している紫色の一頭身かつ毛むくじゃらなモンスター──【クリボー】の派生体が現れる。

 いや【クリボー】モンスターて。主人公や原作主要キャラぐらいしか持たないカテゴリーのモンスターを、んなOCGの汎用カードみたいに見せびらかさないで? それも一般販売してんの? 目ェ疑うっての。

 そんな事を考えていたら、その子は額に付いているものとは別のアンクを、何処からか取り出した。それが金色に光れば、そこからなんと【恋する乙女】の姿が半透明で映し出された。

 このままだと半透明の【恋する乙女】が実体化して、それで蘇生されたって事になるだろうけど……

 

「当然それは通さない‼︎ 手札の【D.D.クロウ】を捨てて効果発動‼︎」

『キィッー‼︎』

『アンクリッ⁉︎』

 

 既に対抗策は出ている。ってなわけで、謎の装置を着けた鴉【D.D.クロウ】が、【アンクリボー】の持つアンクを奪い取った。正しく獲物を狙う鳥類だ。

 

「そっちも使ったから効果説明は割愛。この効果により、【恋する乙女】を除外する‼︎」

「やっぱりそう来るか……‼︎」

「ドローで来てくれてホントよかった……」

 

 奪い取ったアンクを見て、何やら怪しげに嗤った【D.D.クロウ】。『金にできるんじゃね?』って思っているかのような感じだな……

 

『キィッー♪』

『アンクリィ〜〜〜⁉︎』

 

 そしてそのまま飛び去って行ったため、【アンクリボー】はそんな彼の後を追いかけて行ってしまった。(見た目が)普通の女の子の魂が入っているものを持ち去るとか、なんて罰当たりな……まぁそうしたのはボクのせいなんだけどね。

 

「とりまこれで攻撃を邪魔される心配はなくなった。ヘヴィ・ボーカーの攻撃続行だ‼︎」

『吹っ飛べ‼︎』

 

 改めて一連の流れの処理が行われる。

 ヘヴィ・ボーカーが前に出てリトスアジム(ディザスター)との間合いを詰め、握りしめていた拳を緩め掌を顔面に近づける。

 するとその掌のコアから紅い熱の奔流が放たれ、それがリトスアジム(ディザスター)を飲み込んでいった。

 いや結局パンチはしないんかい。

 

「ッアァッ……‼︎」

 

 

レイ

LP:2500 → 2000(2500 - 2000 = 500)

 

 

「これで最後だ‼︎ 【VS(ヴァンキッシュ・ソウル) 龍帝ヴァリウス】でダイレクトアタック‼︎」

『終わりだ』

 

 ヴァリウスの身体から、体内に溜めているであろう雷による電流が漏れ出してきた。その状態のまま大地を蹴れば、一瞬にしてレイちゃんの前を通り過ぎていた。風圧と電撃の余波や熱がレイちゃんのライフを襲った。

 つまり……

 

「うああああああっ‼︎」

 

 

レイ

LP:2000 → 0

 

 

「ここで言わせてもらうよ、レイちゃん。君のデュエルタクティスは、相手を本気にさせる程に素晴らしい(グレートだ)‼︎」

 

 

 

 ……あ。レイちゃんの帽子、落ちちゃってる……

 




これ、【恋する乙女】が強いのか他のサポートカード達が強いのか分からんな……
ってかマッドラヴの手札の引きの悪さも苦しい感じがする……?
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