OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

37 / 61
前々回と前回のあらすじ

【恋する乙女】でコントロールできたモンスター、1体だけってマ?


前回の感想は1件も出なかった……前々回もそうだし、前回は出たけど1件のみ……ウチの小説の人気下がった? 凹む……
 


さらばレイ‼︎ また会う日まで(尚約2年後まで)

 

 ……レイちゃんのデッキの確認&アドバイスという名目で、彼女と外でデュエルする事になったボク氏(勝っちゃったけど)。外でデュエルしたのには理由があるから後で教えるとして……

 

「帽子帽子‼︎ そして髪留め‼︎ 2つとも落ちてるからはよ拾え‼︎ 君にとっては必要なのだろう⁉︎」

「えっ? ……あっ⁉︎」

 

 気づいてなかったの⁉︎ 頭に大きな物を着けてたら、それが外れた事に気づきやすいかと思うんだけど⁉︎ はよ2つとも拾え‼︎ そして付けて被れ‼︎

 

「よ、よかった……落ちたのが近くで……」

 

 ホントにな。もしも海に落ちてたら、後々どうやってその髪を隠せばいいのか……特に帽子が、ね?

 って、ちょっと待って? 髪留めの落ちたところが、茂みの近くになってるんじゃね? って事は……

 

「なぁ、これお前のか? 落ちてたぜ」

「えっ。あ、どうもありがとうござ───あっ」

 

 十代ィィィィィィッ‼︎ そして後ろにマスタァァァァァァッ‼︎ と、神楽坂まで……なんか神楽坂はついで感覚みたいな感じに気づいたんだけど、今はそんな事どうでもいい‼︎

 そうだった、マスター達もデュエルの観戦をしていたんだった……まだレイちゃんの性別のカミングアウトをするつもりはないのに、まさかの彼女の編入初日にバレるとか……

 いや、外でデュエルする事にはちゃんとした理由があるからね? それもマスター達にこのデュエルを見せるためじゃないからね? 3人は偶然ボクとレイちゃんがデュエルしてる場面を見かけただけだからね? バラす目的じゃないからね?

 

「えっと……早乙女、だったか? その髪と十代が拾ったのって……」

「あぁ……この髪留めのデザイン、男性が持つにしては違和感があるような……」

 

 オイ‼︎ マスターは空気読め‼︎ 君は原作知識があるだろ‼︎ そして時系列的に彼女の性別を探るのはまだ早いっての‼︎

 あぁもう‼︎ まるで校則を破っている生徒を庇うクソ教師みたいな立ち回りになってしまうけど、さすがにこれは見守るだけに済ませられん‼︎ なんとか誤魔化さなければ‼︎

 

「待て待て‼︎ 待ちたまえ君達‼︎ 世の中には『男の娘』……『こ』のところを『娘』という漢字にしてる方のね? そういう男子もいるわけでね? 人の表現というのは自由なんだよ。レイちゃんにも『男の娘』になりたい理由があるんだ、余計な詮索をして個人の自由やアイデンティティを批判するような真似はやめたまえよ‼︎ そうだろうレイちゃん⁉︎」

「あ。は、はい。そういうわけで……」

 

 おいレイちゃん‼︎ そのオドオドしてる感じはやめたまえ‼︎ ボクが君のために嘘ついているのがバレるじゃないか‼︎

 

「あの、間藤先生? なら何故早乙女の事を『ちゃん』付けで……?」

「愛嬌ある呼び方にしようと思っただけだ‼︎ 本人の許可もちゃんと取ってる‼︎」

 

 神楽坂‼︎ 何君はさらに追求しようとしてるような事を聞いてくるねん‼︎ 余計な詮索するなと言ったばかりじゃないか‼︎ チクショー余計に焦っちまったせいで嘘がバレる確率が高まったじゃないかこのヤロー‼︎

 

「別にレイがどんな格好してもいいんじゃねェのか?」

「「「「えっ?」」」」

 

 まさかの助け舟を出してくれた奴がいた。十代である。

 

「十人十色、だっけ? 確かそんな感じに、人それぞれ普通の人とは違う何かがあるんだろ? みんな違ってみんないい……みたいな。それが俺はおかしいとは思えないんだけど」

 

 な、なんかこの時期の十代らしくない、ごもっともな意見が飛んできたんだけど……マスターと神楽坂も同じ考えだったのか呆気に取られたような顔をし、レイちゃんは『あぁ……』と言いたげに納得した感じを見せた。

 

「……十代の口からことわざが出るとは思わなかったぜ」

「翼⁉︎ なんだよその言い方‼︎ 俺がそこまで知らないバカだって言いたいのかよ⁉︎」

「実際デュエルバカだろ」

「ヒデー⁉︎」

 

 うん、それもごもっともだ。バカ扱いされたくなかったら授業をまともに受ける努力でもしなさいな。

 と、そんな事を考えていたら、左側からパチパチと賞賛の拍手をする音が聞こえてきた。

 

「早乙女 レイと言ったな。いいデュエルを見させてもらった」

 

 その方向にボク達が向けば、そこにはカイザー亮と明日香がこちらへと向かってきていた。しかもカイザー亮はレイが落とした帽子を持っている。

 

「………………えっ。……えぇっ⁉︎」

 

 当然、恋愛対象であるカイザーが来た事に正常でいられるはずもなく、レイちゃんは本物が来たのを間近に目撃したためか顔を真っ赤にした。

 

「カイザー‼︎ それに明日香も‼︎ 2人とも見てたのか? レイと間藤先生のデュエルを」

「えぇ。間藤先生が『是非見てほしいものがある』と亮へメールが送られてきたものだから、私もせっかくだからとの事でね」

「そして実際に拝見したところ、先生相手に翻弄しながら勝利寸前まで持ち込んだ()()のデュエルタクティスには度肝を抜かされたよ」

「カ、カイザーが、ボクのデュエルを……」

 

 フッフッフゥッー。これが外でデュエルしようと提案した理由。カイザーに間近でレイちゃんのデュエルを見てもらおうって算段さ‼︎

 これで彼女の評価を良くし、今後のデュエルへの意欲を向上化させようってわけさ。好きな人に良評価を得られて気分が乗らないわけがないもんねー。

 ………………ん? ちょっと待てよ? なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたような……

 

「ちょっと亮、その言葉は……」

「む……すまない、最後のは聞かなかったことにしてくれ」

「えっ? なんでだよ、良い評価してるしレイも嬉しそうだから別にいいんじゃねェの?」

 

 いやその前。その前にカイザー亮がレイちゃんの事をなんて呼んだのか、それをちゃんと聞いてなかったん? 話はちゃんと聞こうね?

 

「あぁ、その……やっぱりレイは女の子、だったか? 髪飾りから怪しいと思っていたけど」

「えっあっそっちか──って、ええっ⁉︎ 女の子⁉︎ レイが⁉︎」

 

 だから空気読めマスター。ボロが出たからと言って、もうバラすのはどうかと思うぞ。もうちょっと猶予を……

 後十代、気づくのがちょっと遅い。

 

「……うん、訳あって性別隠してたんだ。騙してごめんね」

「やっぱりか……」

「ほら、彼女が自分からバラす事になっちゃったじゃない」

「そ、それは本当にすまない……」

 

 まさかのレイちゃんからみんなに白状する事になるとは……って。

 

「いや君はまだ諦めんなよ⁉︎ まだ隠し通せるチャンスがあったんじゃないの⁉︎」

「で、でも……ここまで来たら自白した方が、良くないタイミングでバレるよりも後から起きる重荷が軽くなると思って……」

 

 それはそうだけど‼︎

 

「マ、マジで女の子だったのか……けど、なんでそれを先生がみんなに内緒にしてるんだ?」

「確かにそれはおかしいな……間藤先生、何故このような事を?」

 

 ウグッ‼︎ 質疑の対象をボクに向けてきやがった……‼︎ グヌヌ……ここまでくると、これ以上隠し通そうとしてもボクへの怪しさが増して色々と厄介な事に……‼︎

 

「……あぁもうわかったよ、白状する。実は彼女がレッド寮のみんなに挨拶する前にね、ボクが彼女に失礼な事をしちゃってさ。その時に彼女の事情を聞き、お詫びも兼ねてって事で条件つきで……ね? ボクの部屋を使わせる事になったのも、その条件の内になっているんだよ」

「失礼な事って……?」

「聞くな。男子は特に」

 

 男子に言えるわけないだろ。いたなんて知らなかったとはいえ、女子の着替え中にノックせず入っていっちゃっただなんて。

 小さくてもウエストは良かったんだからな? 彼女の体型でも卑しい想像される可能性がある、だから言いたくないんだよ。

 

「それに、生徒のある程度の要望を蔑ろにしたくないってのもある」

「要望?」

 

 とりあえずここまで言っておいて、ボクはレイちゃんの背中を押し、カイザー亮の前に出れるようにした。

 

「うえっ⁉︎ ま、間藤先生⁉︎ い、いきなり何するの───何するんですか⁉︎」

「おいタメ口……あ、みんなの前以外で言ってって約束だったっけ。まぁ今それは別にどうでもいいとして」

 

 何後退りしようとしてんねん。約束した身なんだからさ、勝手に破るような真似しちゃダメだルォ? 今ここで逃げたら『逃げるな卑怯者‼︎ 逃げるなァァァァァァッ‼︎』ってやるからな?

 

「色々と手伝う条件の1つ。『カイザー亮に会ったら覚悟を決めろ』。その条件を飲んでくれたんだろう? そして、君はカイザー亮に会った。今が想いを伝えるチャンスじゃないのかい?」

「あっうっ……」

 

 それにある程度の緊張とか云々を発散させるために、外でデュエルしていらない感情とかを飛ばしてもらったってわけ。ボクに促されても1回後退りしただけのネガティブ感だけで抑えられたじゃないか。

 あ、ちなみにこのような状況ができたのは偶然じゃないよ? カイザー亮に『是非デュエルを見てほしいデュエリストがいて、その子が丸藤君に用があるから来て』ってメールしたからね?

 つまり君は、既にこのような状況を作るためにボクの掌の上で踊らされたってわけさ‼︎

 

「想い? それってどういう───」

「そういう事だよ。レイがここに来た理由……カイザーに自分の好意を伝えるって事だ」

「えっ……あ、そっか‼︎ いっけね……」

「事の重大さに気づいたな。ホラ、部外者は黙って見届けるぞ」

 

 さすがの鈍感タイプな十代もなんとなく察してくれて、マスターに促される形でレイちゃんとカイザー亮から少し離れる事に。もちろん神楽坂も明日香も、このような状況を作ったボクもだ。

 ちなみに明日香は、カイザー亮に『男の役目だから向き合ってあげなさい』みたいな感じに釘刺ししてたね。同じ女性だからなのか、覚悟を決める少女の気持ちを蔑ろにするなというメッセージでもあるのかも。

 

「チャンス、か……そう、だね。ありがとうございます、間藤先せ───」

お礼(そこ)はタメ口でプリーズ」

「あ、うん……ありがとう間藤先生。もう、後悔はしない」

 

 さぁ覚悟を決めてけ早乙女 レイちゃん……いや、レイ君‼︎ カイザー亮に想いを伝え、彼の返答次第で次のステップへと進むんだ‼︎ ……結果が原作通りになる可能性がほぼ確定だけど。

 1つ大きく深呼吸をしたレイ君は、覚悟を決めた様子でカイザー亮と視線を合わせ、口を開いた。

 

「亮様‼︎ ボク、いや……私、亮様に会いたくてこのアカデミアに来たんです。男子を装ったのも、潜りやすい上に成績が良かったら亮様に会いやすくなるんじゃないかと思って……」

 

 編入の事で他に色々とツッコみたいところはあるけど、よく大人相手に性別とかを隠蔽できたな。編入できるまでの工程だけでも大変だろうに、君色々とスゴくね?

 

「亮様がアカデミアに進学なさってから、どうしても会いたかったから……色々と抜け道を探したり、両親にお願いしたりして、やっとここまでやってきたんです。間藤先生とのデュエルには負けたけど、亮様への想いなら誰にも負けません。どうか、乙女の一途な思いを受け止めてください‼︎」

 

 真っ直ぐ、自分の想いをカイザー亮に伝えたレイちゃん。その時、彼女の背後にて【恋する乙女】が重なっているように見えた。もしかして、彼女もカードの精霊だったりして? だったら同じ精霊である【VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】達と会話できたのも納得だ。

 というか、短期間でよく編入までやって来れたな君? 恋する乙女(モンスターの方ではない)は強いと言うけれど、ここまで頭が回るものなの? 行動力ヤバすぎるって。

 一方のカイザー亮はというと……少なくとも押されてるって感じか。そりゃそうだよな。恋に関する本心をまっすぐぶつけられたんだし。

 

「なんかカイザーもたじたじだな。それにしてもスゲー迫力‼︎ デュエルと同じだ」

「部外者は黙ろうって言うただろ。後、恋とデュエルは全くもって無関係だ」

「あっやべっ」

 

 まぁうん。こちらとしては、絶対どっかのタイミングで十代が茶々入れてくるとは思ってたけど。そしてマスター、指摘ナイス。

 

「そうね、翼の言う通りだわ。デュエルと違って、本物の男性を振り向かせるには、ウインクや投げキッスじゃダメなの。デュエルにせよ恋にせよ、お互いの心が繋がって初めて実るものなんじゃないかしら?」

「お、何なに? もしかして明日香君って意外と経験豊富? それとも丸藤亮君に何かしらの──」

「どれも違います」

「アッハイ」

 

 なんか明日香がそれっぽい事を言ってたから揶揄ったら、平然とした感じに一言でボクを制してきた。さすがにね? うん。ボクもそれによる無意識の圧には勝てなかったよ……

 

「りょ、亮様とはそういう関係じゃなかったんだ。よかった……」

 

 うん、君はそれでよかったよね。もしも明日香がカイザー亮に何かしら想うところがあったら、フラれた時の心の傷が結構深くなるからね。明日香にその気がなくてよかったね。

 ってか、何フラれる前提な事を考えてるのさボク。それはさすがに失礼すぎたわ。

 

「レイ。君の気持ちは嬉しい……だが、今の俺にはデュエルが全てなんだ。周りの期待に応えるためのデュエルができても、それで1人の女性を愛する事はできない。デュエルの魅力に取り憑かれた俺では、君の恋人になったとしても、幸せにしてやれないと思う」

「亮様……」

 

 分かってはいたけど、やっぱりダメかー。まぁ正直言って、カイザー亮が誰かと付き合うってのが想像できないんだよなー。なんというか、皆平等?的な。

 一方のレイ君……いや、レイちゃんは静かに涙を流していた。けど、何故だか安堵しているようにも見えた。心の何処かでその答えが出ると思ってはいたけど、自分が見たカイザー亮と何か重なるところでもあったのかもしれないな。

 ってかカイザー亮のセリフ、原作よりも盛ってる感じあるな。ボクがメールで色々教えた上で、『自分の想いをはっきりと充分な長さで伝えろ』とか言ったからかな? 多分そう、きっとそうだ。

 一時の沈黙の後。拾っていた帽子をレイの頭に優しく被せ、カイザー亮は申し訳なさそうな表情で再び口を開いた。

 

「レイ、君は故郷に帰るんだ」

「そこまで言う必要ないだろ‼︎ 女の子だって……オベリスクブルーの女子寮に入れてもらえば‼︎」

 

 カイザー亮の言葉に怒りのようなものを感じたのか、十代が彼に食って掛かった。さすがの彼でも『帰れ』だなんて良い言葉掛けではなかったことぐらい分かっているようだな。

 

「カイザー……お言葉ですが、彼女は貴方に会うために入るのすら難しいこのアカデミアに来たんです。せめてもうちょっとくらい、ここで色々と経験させても……」

 

 それに続くように、神楽坂もレイちゃんのアカデミア滞在を促そうとしている。今日初めて会ったとしても、同じアカデミアの仲間という認識でいるのだろう。それでレイちゃんを庇っているのだろう。

 でもね君達。カイザー亮があんな事を言ったのには、ちゃーんとしたワケがあるのだよ。

 

「レイはここにはいられない。何故なら……

 

 

 

 彼女はまだ11歳──小学5年だからだ」

 

 

 

「「………………えっ?」」

 

 衝撃のカミングアウト。早乙女 レイ、まさかの小学生であった。

 この事実に十代と神楽坂が目を丸くし、そのままお互い顔を見合わせる。そしてレイの顔を見る。彼女は『ごめんね』と言うように可愛く舌を出してへぺろした。

 ここで2人は気づいたのだ。聞き間違いではなかった、彼女は本当に小学生ながらもアカデミアの編入試験に合格していたのだと。

 いやよく考えたら、試験担当や学園の人達は身元確認ちゃんとしたん? 小学生を編入させてしまうとか、セキュリティ大丈夫なん? タイタンがアカデミアに来た時もそうだけどさ。

 

「まぁ……うん、俺はもしかするとって思ってた。小柄な高校生にしては違和感があったし、声質もなんだかなぁって感じだったしな……」

 

 嘘つけマスター。君は原作知識のおかげでレイちゃんの性別知ってるだろ。疑われないためとはいえ、そんな嘘をついちゃいけません。

 

「ってことは……間藤先生は小学生相手に苦戦したって事か?」

 

 ウグッ⁉︎ いや、うん……言いたいことは分かるけどさ……

 

「別にデュエルに年齢は関係ないだろー‼︎ 寧ろ若者デュエリストの成長の方に驚くべきだぞコノヤロー‼︎」

「俺達も若者ッスよ。そして先生も20代ですし」

 

 マスターはだまらっしゃい‼︎ 別にいいだろこういう言い訳ぐらいしてもさぁ‼︎

 

「ってか、レイもよく色んな強力なカードを集められたな……小学生なのに」

「えへへ……実はボクのデッキ、何枚かは単発で手に入れたパックから引き当てたものなんだ。【デス・ラクーダ】と【リトル・オポジション】はストレージから偶々2枚とも見つけたものだけど」

「ちょっと待ってそれは聞いてない」

 

 ほとんどが単発+ストレージ購入で作られたデッキに、ボクが苦戦してたってマ? そして編入試験担当もそんな彼女のデッキに負けたってマ?

 

「………………なぁ君達。ここって、デュエルモンスターズ専門のデュエリスト養成学校のデュエル・アカデミア……だよね?」

「えっ? そ、そうだけど……」

「あ。これもう1つの衝撃の真実によって、自分が置かれてる現実を受け入れられなくなってるヤツだ……」

「えっと……なんかごめんね、間藤先生……」

 

 説明するなー‼︎ 『よく分からないけど』みたいな感じに謝るなー‼︎ それらの反応が1番傷つくんだよボクは‼︎ グサッって心に傷を負わせるなー‼︎

 

「ハァ……もうレイちゃんの事がみんなにバレちゃったし、レイちゃんも結果はアレだったけど丸藤亮君に告白したわけだし、もう匿う必要ないかもね。じゃあボクは学園と問い合わせしたりしてレイちゃんを帰還させる準備しておくから、後はもう好きにしてね……んじゃレイちゃん、先に部屋で待っておいてくれたまえ……」

 

 なんかもう、ショックによって疲れた……そう思いながら、レイちゃんに部屋の鍵を投げ渡して学園の方に向かう事にした。帰還させるための資料とかを集めないといけないからね、ハァ……

 

「間藤先生、急に疲れを見せていたな……予想できない事実を聞いたのがそんなに堪えたのか……」

 

 神楽坂君。その話はせめて、ボクがもうちょい君達から離れてからしてくれない? ちょっと離れているとはいえ丸聞こえなんだけど。

 

「そうなる程、レイのデュエルは凄かったって事だろ? なぁレイ‼︎ せっかくだし次は俺と──」

「良い子はそろそろ寮に戻る時間です、ホラいくぞー。そんじゃあレイ、カイザー、天上院。また明日な」

「ちょ、イテテテテテッ⁉︎ 耳引っ張るなよ翼ー⁉︎」

 

 十代がレイちゃんにデュエルを申し込もうとするが、それをマスターが止めて引っ張りながら、神楽坂と一緒にこの場から離れていった。

 正直2人のデュエルは見たかった感ある。そうなろうとする前にバイバイと言って離れてってしまったから、もし始まっても遠くから見なきゃならないけど。

 

「アハハ……またね3人ともー‼︎」

 

 ふとレイちゃんの声も聞こえ、くるりと顔をそっちの方へと向けた。その時のレイちゃんの顔は……いつになく満面の笑みだった。それも無理強いさの無いものとして。

 これは……大丈夫そうだ。彼女なら、新しい恋に挑戦できるはずだ。

 

 翌日。レイちゃんの件を校長先生に話したところ、彼女やその家族に申し訳ない事をしただの、編入試験での対応諸々が雑であったと反省しなければならないだのと呟き始めたため、こちらも申し訳なくなった。

 あーあ、我々大人のせいです。

 

 

 

 

 

 

 それから1週間……次の定期便のフェリーでレイちゃんが帰るまでの期間。マスター達がレイちゃんに楽しい瞬間を与えてくれた。

 

 マスターや十代・神楽坂が知り合い達──翔や隼人、三沢に雪乃(ゆきのん)、半次君や舞香ちゃん、ジュンコにももえ──を呼び、彼らも一緒にレイちゃんと仲良くしてくれた。もちろん明日香やカイザー亮も連れて……って感じで。

 皆が皆、レイちゃんのためにと色々接してくれた。デュエルの有無関係なく何気ない会話して、騒いで、デュエルして……とにかくみんなレイちゃんに良い思い出を作ってあげてくれた。

 雪乃(ゆきのん)はなんかレイちゃんが知るにはまだ早そうな言葉を使おうとしてマスターに止められたり、半次君は子供の相手をする事に対して愚痴を溢しながらもそこそこ優しく接したり、舞香ちゃんはそのスリムでボインなスタイルでレイちゃんの目を丸くさせたり……って感じだった。

 

 部屋に戻ったら、今度はボクがレイちゃんを楽しませる時間だ。

 実験の成果をお披露目したり、小学校での生活はどうなのかと聞いてみたり、料理を振る舞ったり……楽しい思い出になるよう、できる限りの事をし尽くした。

 もちろんデッキ構築に関する話もした。レイちゃんのデッキは【恋する乙女】の力を引き出せてはいるんだけど……

 

「妨害カードや相手モンスターを利用して使うようなカードが多すぎて、逆に【恋する乙女】の強固な盤面を作るまでの時間がかかってしまうね」

「えっ? そ、そうなの?」

「別に妨害カードを入れる事自体は全然悪くないさ。けど、それらを増やしすぎて展開しやすくするためのカードが少ないと、逆にジリ貧となって盤面完成前に決着がつく可能性がある。そうなるとメタビートデッキ寄りになってしまって、せっかく盤面を完成させたとしても『アレ? こんな事しなくてもこのままいけば勝てるんじゃね?』という苦い結果で終わるだろうね」

 

 まぁ……【恋する乙女】中心のデッキ自体が、メタビート寄りって感じがするけどね。防御面ではコンボが決まればかなり強固な盤面になるけど、攻めは相手モンスター依存になるってのが……

 

「だからさ。君のデッキの場合はドローソースとなるカードを確保しておきながら、【リトル・オポジション】や天使族をリクルートしたりするカードを増やして【恋する乙女】を出しやすくしたり、(トラップ)カードをサポートするカードも入れたりすればいいんじゃないかとは思うね」

「な、なるほど……」

 

 盤面を作るために必要な展開カードを多く入れるだけでも、それと同時に相手を妨害できる事だってあるからね。小学生としてはたくさんカードを集めるのは難しそうだけど、参考にしてもらいたいね。

 

「……フフッ」

「ん? 何を笑っているんだね?」

「いや、こうやって真剣にデッキ構築について話し合う事なんてなかったなぁって。そう考えていたら楽しくなって、気づいたら笑えてきてさ」

 

 あ、そっか。小学生は皆が皆、レイちゃん程のレベルのデュエリストになれるとは限らないもんね。

 それにアカデミアに入る事も視野に入れれば、そんな難しい話題に乗れる小学生なんているはずもない……となると、肩身が狭く感じるのも無理もないか。

 アレ? そう考えると、ボク達がレイちゃんのためにしている事は大抵正解だったりして?

 

「そっか……でも小学5・6年となれば、中学受験を狙っている子みたいに、そこからアカデミアに入る事を視野に入れる子もいるかと思う。その子を見かけたら、その事をボク達みたいに楽しく話し合ってみなよ。それもきっといい思い出になると思うよ」

「うん、そうだね。今度から探してみるよ‼︎ きっと話が合いそう‼︎」

「だといいね‼︎」

 

 原作でなんか入学の時に仲良くなりそうな子がいたらしいし、この際先んじて見つけてもらうのもいいかもしれない。さらに良い関係になりそうだしね☆

 

「あ、そういえば恋の方はどうするのかね? カイザー亮の事、まだ諦めないとか?」

 

 あ、ヤベッ。出来ればその事に関しては触れないつもりでいたのに、なんで聞いちゃうんだよボク。まだ彼女がその事で吹っ切れているとは限らないってのに。

 

「んー……もう大丈夫というか、亮様はあのままでいいと思う」

「ほう……その心は?」

「亮様はデュエルでみんなの事を想っている……という感じが伝わってきていて、その姿が様になっているなぁって、そう思えたんだ。それこそボクが見た亮様らしいし、ボクが何かしてそれを崩すわけにはいかないなって……」

「……そっか」

 

 この感じだと、カイザー亮の件はもう大丈夫のようだ。『憧れ』という概念はそのままに、ありのままの彼でいてほしいという想いがこちらにも伝わってきている。

 恋する乙女って、恋愛対象以外の人を見る目も結構良かったりするのかな? カウンセラーとかの仕事も合ってたりして。

 

「じゃあさ、他の誰かを恋愛対象に……とか考えてる?」

 

 原作沿いだと十代に鞍替えしてたし、彼とデュエルして仲良くなってたし、きっとそうなんだろうな。

 ホラホラ、新しい恋についてお姉さんに話してごらん───

 

「あー……それはまだいいかな(・・・・・・・・・)

「えっなんで?」

「亮様の事をきっぱりと諦められるようになってから、ボクが思う『恋』というのが、他の人とは何かが違うのかなって……そんな違和感を感じちゃって。だからもうちょっと、恋についても色々と考えてみようと思う。そしてそこから、本当に好きになるべき相手を探そうかなって」

「あ、あぁ……そう……」

 

 こ、この感じからすると、十代に対する恋愛感情はなかったりして? な、なんで? 十代は何かとレイの事を考えていそうだったし、別に想いを寄せてもよかったんじゃ……

 あ、もしかしていろんな人が仲良くしてきたから? それで何かしらの分岐が発生したとか? OCGカードが介入したり、アレイスター君がタイタンと邂逅としたのと似た影響?

 ……なんか、複雑だな。これはこれで良いのかもしれない自分がいた気がするから……ね。

 

 

 

 

 

 

 そして、いよいよレイちゃんが帰る事になった日。

 定期便の船にて彼女の両親が来たため、レイちゃんが多大な迷惑をかけたと謝罪。ボクもアカデミア代表として配慮の足りなさを謝罪した。

 けど、レイちゃんはそんなに怒られなかった。『心配したんだぞ』みたいな感じに言われただけだった。

 ボクに対しても、『うちの子のためにありがとうございました』的な感じに、様々な対応に関するお礼とかで済まされた。

 あぁ……うん。この2人、ある意味めっちゃ良い人達なん? もっと言うべきこと、たくさんあっただろうに……

 

 ある程度の話し合いが終わり、準備してあった荷物を持って港まで移動。その時、レイちゃんと仲良くしてくれたマスター達が迎えにいた。そりゃあ、今日で彼女と会うのが最後になるもんね。見送らない方がおかしい。

 みんながそれぞれレイちゃんに『また会おう』とか『頑張れ』などの言葉掛けをした後、出航した船のデッキから顔を覗かせたレイちゃんが手を振ってきた。

 

「来年卒業したら、またテスト受けて入学するからねー‼︎ 絶対みんなに会いに行くから、だから待っててね先輩達ー‼︎」

 

「だってよカイザー?」

「その時俺は卒業して、学園にいないがな」

 

 ………………ここからレイちゃんの言葉の続きを待ってたんだけど……

 嫌な予感的中。マジで『十代様』って言わなかったな⁉︎ その代わりみんなと仲良くなったから、みんなの事を呼んだ上に『先輩達』でまとめてたんだが‼︎ これはこれで新鮮味あるけど‼︎

 

「にしても先輩達、か……俺達がレイと仲良くなった証拠ともなるけど、その分彼女から結構期待されてるって事になるかもな」

「だな。次あいつが来た時には、立派な先輩デュエリストになっておかないとな」

 

 おいマスター、君はこの事に違和感を持てや。『恋路とかはどうなるんだろう』みたいな感じにさぁ……

 

「………………とりあえずレイちゃん、君は恋する乙女のイメージが崩れないようにね……」

 




Q. どうしてレイちゃんを原作通りの十代LOVEにしないのですか?
A. (※ネタバレ注意‼︎)なんか改めて入学した時、とある男の子と仲良くなるみたいだから、もしもの可能性を想像しちゃって……ね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。