OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

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古関連のテーマ対決はいいぞ

今日マスターデュエルの改訂でウーサが禁止に……これでウーサはこの小説のデュエルには出られませんな。ドンマイ☆
ってそんな事より、彼女の別イラストに頑張って課金してたユーザーが可哀想すぎる……(ちなみに自分は未所持)
 


古代の機械(アンティーク・ギア)vsヴァンパイア(前編)

 

クロノス

LP:4000

 

カミューラ

LP:4000

 

 

 三幻魔の鍵を賭け、2人目のセブンスターズとの命懸けのデュエルが幕を開けた。先程まで怖気ついているクロノス先生だが、この世界では果たしてカミューラに勝てるのだろうか……

 

「レディファーストよ。私の先攻、ドロー‼︎ 私は手札から魔法(マジック)カード【おろかな埋葬】を発動‼︎ デッキからモンスターを1体墓地に送れるため、この効果で【ヴァンパイア・ソーサラー】を墓地へ」

 

 カミューラの目の前に、召喚された訳でもないのに関わらず、紫色の悪魔に掴まれたかのような装飾の黒い法衣を着ている、肩辺りまで長い緑色の吸血鬼が姿を現した。

 その吸血鬼は、蝙蝠を模した杖を両手で持ち、何かの呪文の詠唱をし始めていた。

 

「そして墓地の【ヴァンパイア・ソーサラー】の効果発動‼︎ 自分メインフェイズ時、墓地のこのカードを除外する事により、このターンに1度、【ヴァンパイア】闇属性モンスターを召喚する場合に必要な生贄素材をなくす事ができるわ。よってレベル5の【シャドウ・ヴァンパイア】を生贄無しの攻撃表示で召喚‼︎」

 

 やがて魔法使いの吸血鬼は闇の瘴気に包まれていき……爆ぜたその中から、別の吸血鬼が姿を見せる。

 

 

【シャドウ・ヴァンパイア】

ATK:2000

DEF:0

 

 

 それは、肩から胸部にかけて棘状が連なるゴシックアーマーを着込んでいる、無口で不気味な雰囲気を持つ男性。鎧の色に合わせてなのか肌も髪も黒く、赤い瞳と胸部の十字型になっている赤い宝石が妖しく光っていた。

 

「【シャドウ・ヴァンパイア】が召喚に成功した場合、手札・デッキから同名以外の【ヴァンパイア】闇属性モンスターを1体特殊召喚する事ができる。私はこの効果で【ヴァンパイアの眷属】を特殊召喚よ‼︎」

 

 その騎士の吸血鬼が、棘や牙を思わせる鋭利な部分が数多く見える剣を突き刺したかと思えば、その剣を中心に赤い魔法陣が浮かび上がる。その魔法陣が光を放てば、中心から何かが導かれるように這い出てきた。

 

 

【ヴァンパイアの眷属】

ATK:1200

DEF:0

 

 

 鋭い爪と大きな尾を持つ白い狼の召喚。だがその狼の左半分は影に覆われており、左目も赤く光り、牙を剥き出しにしている左半分の口からは長い舌が出ていた。

 影が本体と言ってもいい程に、不気味。だが吸血鬼の眷属であるがためか、普通の狼よりもこの姿の方がそれに相応しいと言われるだろう。

 

「【ヴァンパイアの眷属】の効果発動‼︎ ライフポイントを500支払う事でデッキから【ヴァンパイア】魔法(マジック)(トラップ)カードを1枚手札に加える事ができるわ。【ヴァンパイアの領域】を手札に」

「さっきからカードの回し方が、敵ながらにも中々上手いノーネ……‼︎」

 

 

カミューラ

LP:4000 → 3500

 

 

 一瞬、カミューラの体から血液を思わせる色の瘴気が漏れ出てくる。その瘴気の臭いに反応してか、眷属が赤い目を光らせながら夜空に向けて遠吠えする。するとその方向から蝙蝠が現れ、手に取っていた1枚のカードをカミューラに手渡した。

 

「そして【ヴァンパイアの領域】の効果よ。ライフポイントを500支払う事で【ヴァンパイア】モンスターを1体召喚できるわ」

 

 

カミューラ

LP:3500 → 3000

 

 

「【ヴァンパイアの眷属】を生贄に捧げ、【ヴァンパイア・グレイス】を攻撃表示で召喚‼︎」

 

 眷属が軽く『ワンッ』と鳴けば、複数もの蝙蝠が眷属を包み込むように群がり始めた。すると蝙蝠諸共闇の瘴気に覆い尽くされ、1つの生物となって解放された。

 

 

【ヴァンパイア・グレイス】

ATK:2000

DEF:1200

 

 

 こうして姿を見せたのは、青白い肌と上向きに纏められ紫の王冠を被った灰色の髪を持つ伯爵夫人。

 ソーサラーと同じく悪魔の手に掴まれたような装飾のついた、高く立ち上がった襟の紫と黒を基調とした豪華なドレスを着ており、胸元や袖には金色や赤の装飾が施され、宝石が散りばめられている。

 右手には赤い宝玉が先端に付いた長い杖を持ち、左手には細長いワイングラスを優雅に掲げていて、中にはワインが入っていた。

 

「【ヴァンパイア・グレイス】の効果発動‼︎ 1ターンに1度、魔法(マジック)(トラップ)・モンスターの内1つを宣言する事で、相手に宣言したのと同じ種類のカードを1枚墓地に送らせる事ができる。私が宣言するのは魔法(マジック)カードよ。さぁ、墓地へ送りなさい」

 

 グレイスが杖をクロノス先生に向けて突きつければ、宝玉から赤い光を放ち出した。これは魔法の発動ではない、脅迫だ。払えるものの代償を支払わなければ、貴様を石像にでもしてやる……と。

 

「展開遅延を狙ったみたいデスーネ……ナラーバ、私は【古代の採掘機(アンティーク・ギアドリル)】を墓地に送ルーニョ‼︎」

 

 クロノス先生がデッキからカードを墓地に送れば、グレイスは杖から発している光を収め、構えをも解いた。脅す必要はない、そう判断したのだろう。

 

「先攻はこれくらいね。私はカードを2枚伏せてターンエンド。さ、どうぞ。先生」

 

 

カミューラ

LP:3000

手札:1枚

フィールド:

【ヴァンパイア・グレイス】ATK:2000

【シャドウ・ヴァンパイア】ATK:2000

【ヴァンパイアの領域】×1

伏せカード×2

 

 

「ふむ。レベル5のモンスター2体で何かしら下準備をして様子見トーハ、そこそこ思い切ったと見せかけて、中々に堅実なデュエルナノーネ。しかーし、この私相手にその堅実さは意味がありまセーン。アンティパストで終わらせてあげルーノ」

「アンティパストで終わるですって? 私からしてみれば、貴方はアペリティーヴォにすらならないわ」

「「ふふふっ……」」

 

 あの……おふたりさん? いがみ合いながら笑い合うのやめてもらってもよろしいでしょうか? 怖いんですけど。2人とも怖いんですけど。

 

「あんてぃ……何ですかにゃ?」

「アンティパストとアペリティーヴォです。意味は知らないッス」

「おい翼、いい加減な反応するな。ハァ……大徳寺先生。アンティパストは前菜、アペリティーヴォは食前酒ですよ」

「へぇ〜。さすがは万丈目君、博学ですにゃ」

 

 ふむ……? 万丈目お前、兄弟で高級レストランに何度か行った事があるんか? 社交辞令でしか覚えそうにない言葉を覚えるとか、ホントに博学キャラなんかお前?

 

「私のターン、ドロー‼︎ 私は手札カーラ、フィールド魔法【歯車街(ギア・タウン)】を発動するノーネ‼︎」

 

 クロノス先生とカミューラの周りの景色が、古びた巨大な歯車の音が響く、工業的かつ無機質で重厚な機械都市へと変わった。巨大な工場や塔などが聳え立ち、古代の技術が息づく架空の機械文明を思わせていた。

 

「さらに永続魔法【補給部隊】を2枚発動させるノーネ‼︎」

 

 あ、【補給部隊】。クロノス先生のデッキとも結構相性が良いんだよなあのカード。モンスターの破壊にしか反応しないけど。ってかさらっと2枚も発動させるんかい。

 

「リバースカードを2枚伏せ、ここで私は魔法(マジック)カード【古代の機械射出機(アンティーク・ギアカタパルト)】を発動ナーノ‼︎ 自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分フィールドの表側表示のカードを1枚破壊し、デッキから【アンティーク・ギア】モンスターを1体召喚条件を無視して特殊召喚する事ができるノーネ‼︎」

「普通じゃ召喚できないモンスターを、過程をすっ飛ばして出せるですって? 中々面白いカードを使うじゃない」

 

 歯車の街並みの中央にて、基部を頑丈な石や金属の台座などで支えている、古代ローマ風の投石機が用意される。

 すると発射口から細いレーザーが放たれ、工場を貫きながら塔の中央に直撃する。するとどうだろうか。工場と塔が同時に爆発し、同時によって規模が広がったその爆撃は、機械都市を呆気なく崩壊させてしまった。

 

「破壊された【歯車街(ギア・タウン)】の中カーラ、現れるノーネ‼︎【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】 ‼︎」

 

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)

ATK:3000

DEF:3000

 

 

 崩壊され瓦礫の山となった、かつての機械都市の残骸から、1つの巨体が瓦礫を押し除けながら這い上がって姿を現す。

 それは、古代文明の力によって造り上げられた装甲を盛った、機械仕掛けの巨人。騎士の兜を思わせる頭部から覗かせる赤いモノアイが、侵入者を拒まんとしていた。

 

「【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】は本来、特殊召喚ができないモンスター……デスーガ、【古代の機械射出機(アンティーク・ギアカタパルト)】の効果ナラーバ、その縛りを無視して特殊召喚する事ができるノーネ‼︎」

「特殊召喚すらできないモンスターをも出せるのね……やるじゃない」

「まだまだナノーネ‼︎ 破壊された【歯車街(ギア・タウン)】の効果発動‼︎ 手札・デッキ・墓地から【アンティーク・ギア】モンスターを1体特殊召喚できルーニョ‼︎ デッキから現れるノーネ、【古代の機械飛竜(アンティーク・ワイバーン)】‼︎」

 

 

古代の機械飛竜(アンティーク・ワイバーン)

ATK:1700

DEF:1200

 

 

 続けて瓦礫の山の中から現れたのは、腕が翼となって歯車で体を動かしている翼竜。歯車を回す音と共にパタパタと羽を動かす音を鳴らしながら、『ギャースッ』と可愛く鳴き声を上げていた。

 

「【古代の機械飛竜(アンティーク・ワイバーン)】の効果発動‼︎ 召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから同名以外の【アンティーク・ギア】カードを1体手札に加える事ができるノーネ。ただーし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分はカードをセットできなくなってしまうのがネックとなっているノーデス」

「だからさっき、先んじてリバースカードをセットしたのね」

 

 なんでサーチすると、その後に伏せカードの準備ができなくなるんだろう……もしやアレか? 実装当初は【アンティーク】カード──魔法(マジック)(トラップ)・モンスター全てに簡単にサーチできるのが強すぎたから、何かしらの縛りをつけないといけない……とか? うーん、謎だ。

 そんな事を考えていると、飛竜(ワイバーン)が瓦礫の山を漁り出し始めた。壊れたものの中で使えるヤツを探して取り出そうとしているようだ。

 

「幅広いサーチ効果だけど……私の目の前で勝手に使うなんてNGよ。カウンター(トラップ)【ヴァンパイアの支配】を発動‼︎」

「ナヌゥッ⁉︎」

 

 あ、これはヤバそうだな。

 

「私のフィールドに【ヴァンパイア】モンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、その発動を無効にし破壊する事ができるわ」

 

 飛竜(ワイバーン)の怪しい行動を無視できんとした、2体の【ヴァンパイアの眷属】が突如として現れ、飛竜(ワイバーン)の翼に噛みつき上空へと放り投げる。

 そこに無数の蝙蝠が飛竜(ワイバーン)を覆い尽くすように群がり、飛び去っていったかと思えば、飛竜(ワイバーン)の姿は何処にも見当たらなくなっていた。

 

「その後、破壊したカードがモンスターカードだった場合、自分はその元々の攻撃力分だけライフポイントを回復する。よって1700ポイント回復させてもらうわよ」

 

 先程の蝙蝠の群れが、オイルの臭いが付いてないか気がかりになりながらも戻ってくる。そして羽から赤い光の鱗粉を振り撒き、それをカミューラへとかけた。

 

 

カミューラ

LP:3000 → 4700

 

 

「【ヴァンパイア】の効果で下がったライフポイントを、【ヴァンパイア】カードで回復にさせたのか」

「1つのテーマでライフポイントの支払いと払い戻しを繰り返して、自分の有利な状況を作る……やるな、あの女」

 

 それは本当にそう。ライフポイントを減らすカードがどれも役に立つ効果ばかりなんだよな。

 特殊召喚せず召喚しないと発動しないカードもあるけど、リリース素材をなくしたり召喚権を増やしたりして対策しているしで、そんなに目立つ隙がないんだよな【ヴァンパイア】って。

 

「ウヌヌのヌ……ならばグレイスだけでも倒しておくノーネ‼︎ その前に2枚の【補給部隊】でカードを合計2枚ドローして……バトルするノーネ‼︎ いきなサーイ、【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】‼︎ 【ヴァンパイア・グレイス】を攻撃───」

「攻撃される前にこのカードを発動するわ。永続(トラップ)【デモンズ・チェーン】よ」

 

 突如として、地面から暗めな色となっている鎖が飛び出し、【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の両手両脚を縛りつけた。

 

「ナ、ナンデスート⁉︎」

「これで貴方の【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の攻撃も効果も無効となる。【アンティーク・ギア】モンスターは、攻撃中の相手の魔法(トラップ)(トラップ)カードの効果を封じる効果があるのでしょう? ならば攻撃される前に、こちらがそれらを封じちゃえば何の問題もないわ」

「わ、私の【アンティーク・ギア】のモンスター効果を把握していたと言うノーネ⁉︎」

 

 ……あっヤベッ⁉︎ そういや忘れてた⁉︎ カミューラは部下の蝙蝠達にアカデミア中の窓を覗かせて、デッキを盗み見させたんだった⁉︎ そりゃ把握されるわけだわ‼︎

 と、とりあえずいい加減な、というか勘のフリしてみんなのデッキが盗み見されないようにしておかないと……‼︎

 

「き、汚いぞお前‼︎ どうせ何かしらの手段で俺達のデッキを盗み見したんだろ‼︎ 昨日からお前みたいな奴を見かけたって噂が流れてっから、絶対そうだろこの野郎‼︎」

「「「「なにッ⁉︎」」」」「なんだって⁉︎」「なんですって⁉︎」「ナンデスート⁉︎」

 

 あっいや、まだそうとは限らないから、確定しているみたいな捉え方はやめてくれませんか? あくまで原作通りの展開になるとは限らないので……

 

「アラ、そこの人間は勘が鋭いようね。バレてしまったものは仕方ないわ。その通り……と、いきたいところだけど」

 

 潔く認めたと見せかけて不正解? 人の心を弄ぶのやめてもらってよろしいですか?

 

「確かに私は、自分の眷属達に貴方達のデッキの情報を得てもらうよう命令しておいたわ。けど、それはほとんど無駄にされた(・・・・・・・・・・)

ほとんど無駄にされた(・・・・・・・・・・)……?」

 

 なんか、原作には絶対無さそうな情報が聞こえた気がするぞ? ほとんど無駄にされたって、一体どういう意味なんだ?

 

「アカデミア側の盗撮対策が特殊だったから、窓との距離が30〜50cm離れたところから得たカードの情報しか見れなかったのよ。電気の通ったバリアがあるなんて思わなかったわ」

「えっ、知らん……何そのシステム……怖っ……」

 

 バリアってなんだよオイ。そんなシステム、アカデミアにはなかっただろ。それが原作にもあったら、絶対カミューラに与えてしまう情報がかなり少ないじゃないか。

 

「バリアだと? そんなの聞いた事ないのだが……」

「カイザーも知らないのか? 確かにアレのおかげで、相手に与えられた俺達のデッキの情報が少なくて済んだな」

 

 やっぱりカイザーも含めてみんなそのシステムを知らなかったようだな。もし知ってたら反応が薄いはずだし。

 ………………あっ(察し)。もしかして……

 

「(ボクの科学力のおかげだね‼︎ 外からデッキを盗撮されたら困るし、作っておいて正解だったよ‼︎)」

 

 マッドラヴ、やっぱりお前が内緒でそんな対策してたのか。マジでありがとう、お前の科学力って半端ないよな。

 

「けどね……そんなに情報を得られなくても、このデュエルに勝つのは私よ。さ、先生。貴方のターンは終わってないのでしょう?」

「ヌヌヌゥ……私はこれでターンエンドナノーネ‼︎」

 

 

クロノス

LP:4000

手札:2枚

フィールド:

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】ATK:3000(【デモンズ・チェーン】適用)

【補給部隊】×2

伏せカード×2

 

vs

 

カミューラ

LP:4700

手札:1枚

フィールド:

【ヴァンパイア・グレイス】ATK:2000

【シャドウ・ヴァンパイア】ATK:2000

【ヴァンパイアの領域】×1

【デモンズ・チェーン】×1

 

 

「なら私のターン、ドロー‼︎ 魔法(マジック)カード【強欲な壺】を発動‼︎ デッキからカードを2枚ドローする‼︎ ……アラ、これは良いカードを引いたわね」

 

 出た、禁止カードの【強欲な壺】。やっぱりあの便利カードはセブンスターズも使うよね、うん。だって勝てば鍵が手に入って、彼等の思い通りに物事が運ぶのだから。

 

「動く前にちょっとやる事をやっておきましょうか。【ヴァンパイア・グレイス】の効果発動‼︎ 今度は(トラップ)カードを墓地に送ってもらうわ‼︎」

「ならば【ダメージ・ダイエット】を墓地に送るノーネ‼︎」

 

 グレイスが杖の宝玉を光らせば、それに合わせてクロノス先生が即座にデッキからカードを引き抜き、慣れた手つきで墓地スロットに装填させた。

 にしても【ダメージ・ダイエット】か。これなら予想だにしない方向から効果ダメージが発生したとしても、それを軽減する事ができるのだが……果たしてカミューラのデッキでそんな事が起きるのだろうか。

 

「次に【ヴァンパイアの幽鬼】を召喚‼︎」

 

 

【ヴァンパイアの幽鬼】

ATK:1500

DEF:0

 

 

 ここで新たな吸血鬼が姿を現す。巨大な数珠らしきものや赤い宝石などが施された黒寄りな灰色のローブを身に纏い、青白い霊気を放つ中性的な人物だ。性別が男なのか女なのか、それは判断し難い。

 

「【ヴァンパイアの幽鬼】の効果発動‼︎ このカードが召喚に成功した場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、このカード以外の【ヴァンパイア】カードを1枚墓地に送る事で、デッキからレベル4以上の【ヴァンパイア】モンスターを1体手札に加え、同じくデッキからレベル2以下の【ヴァンパイア】モンスターを1体墓地に送る事ができるわ」

「ニュヤッ⁉︎ サーチと墓地肥やしを同時に行えるデスート⁉︎」

 

 召喚でしか機能しないとはいえ、かなりぶっ壊れた効果ですよねこの効果。ただでさえ手札コストで墓地肥やしができるというのに、サーチしてデッキからまた墓地肥やし……【ヴァンパイア】デッキのエンジンといっても過言じゃないですな。

 

「私は【ヴァンパイア・レッドバロン】を発動コストとして墓地に送り、デッキから【ヴァンパイア・スカージレット】を手札に加え、【ヴァンパイアの使い魔】を墓地へ送る」

 

 幽鬼の周囲に、3つの魂が浮遊する。それが幽鬼の周りを旋回していくと、やがてその内の1つは1枚のカードとなってカミューラの手札に渡り、残り2つの魂は何かしらの吸血鬼の幻覚を見せながら消えていった。

 

「墓地の【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動‼︎ このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から【ヴァンパイア】カードを墓地に送る事で、このカードは特殊召喚できる‼︎ 【ヴァンパイアの幽鬼】を糧とし、【ヴァンパイアの使い魔】を守備表示で特殊召喚‼︎」

 

 青白い瘴気を体から放出していく幽鬼。すると彼の体をその瘴気が包み込み、その中で彼を別の何かへと変化させていく。やがて瘴気が霧のように消えていけば、そこに見えたのは……人型とは別の、吸血鬼の元とも言える生物だった。

 

 

【ヴァンパイアの使い魔】

ATK:500

DEF:0

 

 

 その生物は、目らしきものが見当たらない、真っ黒な蝙蝠。胴体と細長い尾が連なり、唯一色の違う口の中身が、これまで多くの血を吸い取ってきたのだと窺える。

 そして一番注目すべきは、何といってもその大きさ。複数で群がっている蝙蝠1匹と比較すると、10体分の大きさであった。元が小さいから……という観点もあるのだが。

 

「【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動‼︎ このカードが特殊召喚に成功した場合、ライフポイントを500支払う事により、デッキから同名以外の【ヴァンパイア】モンスターを1体手札に加える事ができる。私は【ヴァンパイア・デューク】を手札に加えるわ」

「また【ヴァンパイア】モンスターを手札に確保しターノ……」

 

 

カミューラ

LP:4700 → 4200

 

 

 その蝙蝠は既に尾で1枚のカードを掴んでおり、それをカミューラに手渡した。カードが曲がってないから器用に思えるなー。

 

「さらに【ヴァンパイアの領域】の効果で、私のライフポイントを糧に【ヴァンパイア】モンスターの召喚をもう1回使用する‼︎ 【ヴァンパイア使い魔】を生贄に捧げ、【ヴァンパイア・デューク】を召喚‼︎」

 

 

カミューラ

LP:4200 → 3700

 

 

 使い魔が翼で己の体を包み込むように畳めば、彼が率いている蝙蝠の群れが覆い尽くすように群がり始めた。そして発された赤黒い光に包まれていき、やがて人型へと進化を遂げた。

 

 

【ヴァンパイア・デューク】

ATK:2000

DEF:0

 

 

 その姿は、正しく正統な吸血鬼といってもいい。薄紫色の肌を持つ人型の吸血鬼が、西洋の貴族らしい服の上に、腰まで伸びて襟を立てている赤いマントを翼のように広げながら羽織っていた。

 

「【ヴァンパイア・デューク】の効果発動‼︎ このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の闇属性【ヴァンパイア】モンスターを1体特殊召喚する事ができる。攻撃表示で蘇りなさい、【ヴァンパイアの眷属】‼︎」

 

 【ヴァンパイア・デューク】が一度マントを片手で翻し、バサッと勢いよく広げた。するとそのマントの中から、何故か複数の蝙蝠が出現する。魔法陣の代わりとしてマントを召喚魔法として使っているのだろうか。

 そしてその蝙蝠の群れの中に紛れながら、蝙蝠とは異なる存在がその中から飛び出してきた。

 

 

【ヴァンパイアの眷属】

ATK:1200

DEF:0

 

 

 それは、前のターンで現れた白い狼。その時と同じように不気味な闇に覆われながら、その半分の恐怖を感じさせる顔で古代の巨人を睨む。

 

「【ヴァンパイアの眷属】の効果発動‼︎ ライフポイントを支払い、デッキから【ヴァンパイアの領域】を手札に加え、これを発動‼︎」

「うげっ……」

 

 

カミューラ

LP:3700 → 3200

 

 

 眷属が咥えていた1枚のカードをカミューラに渡せば、彼女はそれをすぐさま発動させた。あのカードを出してきたって事は……

 まずいな、これ。思わず嫌味のある言葉を吐いてしまう程に、かなり危険だ。

 

「クロノス先生、気をつけてください‼︎ あのカード、最近たくさん出ている名称ターン1制のカードではないと思います‼︎」

「ホワッツ⁉︎」

「勘づいても遅いわよ‼︎ ライフポイントを糧に【ヴァンパイア・デューク】を生贄に捧げ、【ヴァンパイア・スカージレット】を召喚‼︎」

 

 

カミューラ

LP:3200 → 2700

 

 

 すると複数の蝙蝠がデュークの方に群がり始め、纏めて赤黒い光と霧に包まれ始める。それらが霧散しフィールド中に広がっていき、やがて収まったかと思えば、新たな人型の吸血鬼が誕生した。

 

 

【ヴァンパイア・スカージレット】

ATK:2200

DEF:2200

 

 

 それは、これまでのとは異なる美貌を持つ青年の吸血鬼。レイピアとして使えそうな鋭い形状となっている持ち手に赤い宝玉がついた杖を持っており、ボロボロなマントがより吸血鬼の翼のように広げていた。

 

「【ヴァンパイア・スカージレット】の効果発動‼︎ このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、ライフポイントを1000支払う事で、同名以外の【ヴァンパイア】モンスターを1体特殊召喚できるわ。そのモンスターはこのターンに攻撃できないのだけどね。現れなさい、【ヴァンパイア・レッドバロン】‼︎」

 

 

カミューラ

LP:2700 → 1700

 

 

 スカージレットが正面を見ながら杖を天に掲げ、目を閉じて何やら小声で呪文の詠唱らしきものを呟きだした。

 すると宝玉が紅く光り出し、空を紅く染めるかのように広がり出した。さらに彼の前方の地面に赤い魔法陣が展開され、その中央の模様から何かが飛び出してきた。

 

 

【ヴァンパイア・レッドバロン】

ATK:2400

DEF:1000

 

 

 ゆっくりと降り立ったそれは、金の縁を持つ黒い甲冑を着けた背中にまである赤い鬣を持つ黒い馬に跨る、骸骨の騎士。馬の甲冑と同じ色合いの鎧を身に纏い、ボロボロのマントを広げながら、鎧や甲冑と同じ色合いを持つランスを振るう。

 

「レベル6の【ヴァンパイア】モンスターが2体……しかーし‼︎ どれも私の【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の攻撃力を超えていないノーネ‼︎ 【デモンズ・チェーン】によって攻撃できないとはイーエ、効果で破壊されなければ私を守る盾となってくれるノーネ‼︎」

 

 それは確かにそうだな。どの【ヴァンパイア】モンスターも【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の攻撃力を超えていないどころか同じになっていないし、どれも破壊効果を持っていない。

 普通に考えれば、【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】は健在してカミューラの攻撃を防ぐ事ができるだろう。このままいけば……だけどな。

 

「安心しなさい。その【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】……貴方のエースモンスターを破壊なんてしないわ。破壊は……ね?」

「ムムッ?」

 

 前世で【ヴァンパイア】デッキについて調べた俺だからこそ分かる。この状況……実はヤバい。

 

「【ヴァンパイア・レッドバロン】の効果発動‼︎ 1ターンに1度、ライフポイントを1000支払う事により、相手フィールドのモンスター1体とこのカード以外の自分フィールドの【ヴァンパイア】モンスター1体のコントロールを入れ替える事ができる‼︎」

「ニャ、ニャヌーッ⁉︎ コントロールの入れ替えデスートッ⁉︎」

「私はこの効果により、【ヴァンパイアの眷属】と【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】を入れ替えさせてもらうわ‼︎ さぁ【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】よ、我が手中に収まりなさいな‼︎」

 

 

カミューラ

LP:1700 → 700

 

 

 レッドバロンがランスを天に翳せば、そこに赤黒いエネルギーのオーラが集まり始める。それを纏ったランスをレッドバロンが横薙ぎに振るえば、オーラは【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】と眷属に迫っていき、纏わりつくように旋回した。

 そして2つのオーラが爆散したかと思えば……いつの間にか眷属と【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の位置が入れ替わっており、【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】に至っては胴体に巨大な紅い蝙蝠の模様が描かれていた。

 

「わ、私の【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】が奪われるだナーンテ……デ、【デモンズ・チェーン】によって攻撃できないのが、まだ唯一の救いナノーネ……」

「本当にそう思っているのかしら? 貴方は今……最悪な状況下にあるのよ、先生」

「んなっ⁉︎ まさか、ナーノ⁉︎」

「そのまさかよ‼︎ 魔法(マジック)カード【マジック・プランター】を発動‼︎ 私のフィールドの永続(トラップ)を墓地に送り、カードを2枚ドローする‼︎」

 

 【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】を縛りつける鎖が、光の粒子となって天へと昇り消滅していった。

 縛られるものが何もないと気づいたからなのか、【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】が雄叫びを上げる代わりに直立し、中の歯車をより多く回していく。

 

「これで【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】は攻撃でき、準備は整ったわ。バトルフェイズ‼︎」

「ま、待つノーネ‼︎ リバースカードオープン‼︎ 速攻魔法【収縮】を発動するノーネ‼︎ これで【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の攻撃力は、このターンの間だけ半分になルーニョ‼︎」

 

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)

ATK:3000 → 1500

 

 

 【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の体に紫色の光の膜が覆われていく。それと同時に錆びたかのような音が発生し、歯車の回るスピードが遅くなっていく。

 これで【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】の攻撃によるダメージの件は心配なくなったが……数が数だ、もう1枚の伏せカード次第では防ぎきれないぞ。

 

「ふーん……けど、攻撃できる事に変わりないわ‼︎ 【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】で【ヴァンパイアの眷属】を攻撃‼︎ アルティメット・パウンド‼︎ ……だったわね、攻撃名は」

 

 【古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】が右腕を勢いよく振り下ろし、大地を叩いて激しい震動と突風を発生する。それによって【ヴァンパイアの眷属】は吹っ飛ばされ、突風がクロノス先生を襲った。

 

「ぐふっ⁉︎」

 

 

クロノス

LP:4000 → 3700(1500 - 1200 = 300)

 

 

 突風を主に腹部に受けてしまったのか、クロノス先生は思わず片手で口元を押さえ、右膝をついてしまった。ゆっくりと息を飲み込んではいるが、拳を握りしめている事から、戸惑いを感じているようだ。

 

「(な、なんでスーノこの痛みは⁉︎ 通常のデュエルでは、こんな痛みなどあり得ないノーネ⁉︎)」

「アラ? たった300ポイントのダメージなのに膝をつくなんて、そんなに痛かった? 不細工な顔がさらに不細工になってるわ」

「シャ、シャラップ‼︎ 2枚の【補給部隊】の効果でカードを2枚ドローするノーネ‼︎」

「続いて【シャドウ・ヴァンパイア】でダイレクトアタック‼︎」

 

 剣を握る手の力を込め、紅い瞳でクロノス先生を見据えた【シャドウ・ヴァンパイア】。その場で剣を横薙ぎに振るえば、赤色の突風が発生し、それがクロノス先生の体に襲い掛かった。

 

「ヌァァァッ⁉︎」

 

 

クロノス

LP:3700 → 1700

 

 

 先程のとは比べ物にならない激しい痛みが、クロノス先生に襲い掛かってきた。けどクロノス先生は足に力を入れてなんとか踏ん張り、どうにか耐え忍んでくれた。

 

「(ま、まさかMr.亜鈴とタイタンが受けているのと同ージ……⁉︎ や、やっぱりあれも本物だったノーネ⁉︎ し、しかーし……‼︎)」

「ここで【ヴァンパイアの領域】の効果発動‼︎ 私の【ヴァンパイア】モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた場合、その数値分だけライフポイントを回復するわ。【ヴァンパイアの領域】は2枚あるから、合計4000ポイントよ」

「「「「ライフポイントを4000も回復⁉︎」」」」

「コストにしたライフポイントを回復させる手段が、【ヴァンパイアの支配】の他にもあったのか……」

 

 カミューラの体に、緑色が混じった赤い光の膜が発生する。それは体を癒す効果と同じらしく、微量の疲れをも回復させた。

 これでコストとして払った分どころか、それ以上の回復もしてしまったか。まずいな……

 

 

カミューラ

LP:700 → 4700

 

 

「これでトドメよ‼︎ 【ヴァンパイア・グレイス】でダイレクトアタック‼︎」

 

 グレイスが杖の宝玉をクロノス先生に向け、その宝玉から赤い光の弾丸を発射させる。簡易的な魔法だが、クロノス先生にはこれで充分だと思っているのだらうか?

 

「や、やらせないノーネ‼︎ リバースカードオープン‼︎ (トラップ)カード【カウンター・ゲート】‼︎ ダイレクトアタックを無効にし、カードを1枚ドローするノーネ‼︎ そしてそれが通常召喚が可能なモンスターの場合、召喚ができるノーネ‼︎」

 

 藍色の何かが見える四角い空間が出現し、クロノス先生を光の弾丸から守り防いだ。そして門が開き、そこから出てきたのは……

 

「ドロー‼︎ ……な、なんとか助かっターノ……【古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)】を守備表示で召喚ナノーネ‼︎」

 

 

古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)

ATK:500

DEF:2000

 

 

 手足のついた、体内のネジを回して動く機械の箱。こちらを睨みつける【ヴァンパイア】達に諸共せず、両腕をクロスさせ防御態勢を整える。

 

「守備力2000……思ったよりも厄介なのを出してきたわね。ならば【ヴァンパイア・スカージレット】で【古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)】を攻撃‼︎」

 

 カミューラの心情に合わせてか、スカージレットは不服な表情を表に出し、翻したマントから無数の蝙蝠を解き放つ。その蝙蝠は次々と機械の箱に噛みついたり翼で叩いたりしていき、やがてバラバラに粉砕してしまった。

 

「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド。この瞬間、【収縮】の効果が切れるわ」

 

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】 

ATK:1500 → 3000

 

 

クロノス

LP:1700

手札:4枚

フィールド:

【補給部隊】×1

 

vs

 

カミューラ

LP:4700

手札:1枚

フィールド:

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)】ATK:3000

【ヴァンパイア・レッドバロン】ATK:2400

【ヴァンパイア・スカージレット】ATK:2200

【ヴァンパイア・グレイス】ATK:2000

【シャドウ・ヴァンパイア】ATK:2000

【ヴァンパイアの領域】×2

伏せカード×1

 

 なんとかこのターンは乗り切れたみたいだが……クロノス先生、この闇のデュエルの中でカミューラに勝てるのか? 正直、勝ってもらいたいのだが……

 




Q. 何故【カウンター・ゲート】で出た【古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)】が守備表示で出たの? アレって『特殊召喚』じゃなくて『召喚』だよね?
A. アニメ版旧ルールだから別にえぇやろ‼︎
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