OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

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前回のあらすじ

Q. 【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】をカードの精霊にしてしまった件について
A. 主人公ステータスなのが悪いんだよコンチクショー。反省してまーす。
 


闇に打ち勝つために

 

 クロノス先生が、原作通り敗北してしまった。彼の十代への捻くれを治すのにはちょうど良いのかもしれないが、それでも何もしてあげられなかったのが心残りだった。まぁ……たとえ乱入しようとしても、クロノス先生が教師として止めてたとは思うけどな。

 

 そして翌日、俺はどのデッキでカミューラを倒すのかの選別に入った。

 とりあえず、アカデミアで使用したデッキと海馬社長戦で使用した【シャドール】デッキは候補から除外した。既に使って他人に堂々と見せたデッキは、既にカミューラの目に入っている可能性があるからな。盗撮の蝙蝠の事もあるし。

 そのためか、デッキ構築中は窓のカーテンを思いっきり閉めている。マッドラヴによる盗撮対策があるとはいえ、少しでも俺のカードを見られてたまるかってんだ。

 

「……よし、奴とのデュエルで使うデッキはこれにするか」

 

 やがて試行錯誤している内に、俺が使用するデッキは決まった。このデッキなら、もしあの女が()()()()()を使ってきたとしても、利用されるモンスターは少ないだろうからな。

 後、()()()()()を使ってきた時の対策としての準備に使うヤツらも用意してっと……

 

「フゥッ……これで諸々準備完了かな。後は作戦が上手くいけばいいんだけど……」

『汝よ。シリアスな場面だというのに、何故ヲーを使うのを最終的に躊躇ったのだ?』

 

 一息ついたところに、ラー様がティルルから貰ったであろうクッキーの残りがある皿を俺に差し出しながら、痛いところをついてきた。

 あぁうん、そういう約束をしていたのは覚えている。けど、まだ使うタイミングはそこじゃないんだよなぁ……

 

「貴方のデッキは、余程の事がない限りは三幻魔戦で必ず使う事にしております。真の切り札は最後に使って、貴方の気分を良くしようと思いまして……あっ、ダメでしたか?」

 

 嘘は言ってない。三幻神に負けない力を持つ相手には、それ相応の力を持つモンスターで対抗するのが最適だ。だからこそ、世界は違えど三幻神の一角であるラー様にはそいつ相手に闘ってもらいたいんだ。

 しかし、この説得でラー様は果たして納得してくれるか……不安で夜しか眠れなくなりそうだ。

 

『……ヲーはシリアス回でヲーを使ってくれと言ったからな、約束を守ってくれると判断したのでヨシ‼︎ とする』

 

 ホッ……どうやら納得してくれたようだ。三幻魔との闘いにワクワクしたんだろうか。とにかく納得してくれてよかったよ……

 

『あ、あの……ご主人様‼︎』

「ん? なんだティルル?」

 

 突然ティルルに話しかけられたので、俺は咄嗟に振り向いた。なんか意気込んでいるような感じがしたけど、一体何だというんだ?

 って、待って? ちょっと待って? なんか突然両手を握られたんだけど。ちゃんと人肌を感じるんだけど。やめて女性にそんなに触られた事ないからドキドキしてまう。

 

『そ、その……闇のデュエルはダメージが実体化する事は、ご主人様も理解している上に、対策も講じている事は、重々承知ではございますが……それを私達がどうにかして緩和いたしますので、お身体の方はご心配なさらないでください‼︎ 全力でサポートいたします‼︎』

「お、おう……ありがとうな」

 

 お、俺の力になろうとしてくれるのは結構ありがたいんだけど……ち、近い近い‼︎ とにかく顔が近い‼︎ 下手したらキスまでいく程の距離だって‼︎

 

『………………あっ。も、申し訳ありません‼︎ わ、私、気が動転していたようで……‼︎』

 

 今の状況を察したのか、顔を真っ赤にしたティルルは咄嗟に俺から少し離れた。何このラブコメでありがちそうな展開は。

 

「い、いやそのっ……わ、悪い気はしてないから大丈夫だ……」

『そ、そうでしたか……な、ならよかったです……』

 

 ……な、なんか気まずい雰囲気になってきたな。もうすぐカミューラとのデュエルが始まるというのに……

 っておい、【ティアラメンツ】一同。何お前らのデッキが入っているケースから覗き見してんだよ。見せ物じゃねェから覗き込んでくんな。レイノハート……は、いないか。どうせシェイレーンに精○を搾り取られたんだろ。

 ウェンディは写真撮ろうとするな。しかも本格的なカメラでかよ。無駄に気合い入ってるの何なのさ。アプカローネは無言で温かい目やめろ。

 そしてラビュリンス。2人揃ってサムズアップすんな。なーにが『よくやった』たふざけやがって。しばらくお前達のデッキを使ってやらないからな。

 

 

 

 

 

 

 カミューラが作り上げた、吸血鬼の主のための居城。

 そこで入浴を終え、バスローブを着てリビングらしき場所へと戻ったカミューラは……そこでとある人影を目撃し、口角を少し上げた。夜空の影に紛れて姿は見えないものの、顔見知りであるが故の反応か。

 

「アンタがわざわざ来るなんて、珍しい事もあるのね。忙しいからとか言って、同じセブンスターズなのに、他の奴ら以上に雇い主にも顔を合わせて来なかった癖に」

「お前達もそんな感じだろう? 私は組織の信頼関係などには興味ない。支配して操る方が好ましい」

 

 どうやらセブンスターズは、雇い主により集められた傭兵のような集団であり、仲間意識などはないようだ。

 それでも『次は誰が出るのか』『どのようにして鍵を奪うのか』という話し合いのために偶に集まるらしいが、彼の場合はそのような集まりに参加する事自体がごく稀となっているらしい。

 

「……貴様に用があって来たのだ。私の方の準備が、ある程度終わった区切りも含めてな」

 

 こちらの準備がある程度終わった。その言葉を聞いたカミューラの眉が動く。誰よりも顔を見せない彼を見るに、彼女にとっては本題よりも気になってしまう点のようだ。

 それ故なのか、「ちょっと待ちなさい」と軽く断りを入れ、カミューラは無理矢理話題を転換させる。

 

「そういえばアンタ、三幻魔の鍵を効率良く手に入れるために、色々とやる事をやるって言ってたわね。どう? 捗りそうかしら? ま、私が全部手に入れるつもりだから無駄だろうけど」

「全員に勝てると? ハッ……子供ばかりの集団だからと甘く見るなよ、吸血鬼」

「……ッ」

 

 乾いた笑い声からの、凍てつくような睨み。それが影越しに見えたからなのか、カミューラは思わず後退りする。そして直感で気づいたようだ。彼はこの件を、笑い事で済ます気ではないのか……と。

 

「昨日のデュエルにて、貴様がクロノスとやらの相手をしている間、私はとある7人のデュエリストが危険だと感じ、視点を当てたのだ」

「……あの時からいたのね。で、何故その7人に注目していたのよ?」

 

 デュエルの覗き見されていた事に不服さを覚えながらも、カミューラは彼に、要注意している人物達がいるという点を指摘する。

 彼女自身は一目見ただけで、誰1人として脅威を感じていないと思い込んでいたらしいが、彼の意見からして無意識に危機感を覚え、眉を顰めた。

 

「そいつらは集団の奴らと同様、闇のゲームを全く体験していない。内1人は既に1回だけ、もう1人は2回程受けてはいるがな。だが……あの7人には、何やら普通とは言えない力を秘めていた。まるで付喪神でもいるかのように……な。内1人はその自覚が全くといってなかったが」

「……付喪神?」

「あぁ。私を破ったあのデュエリストと似た……同じというべきだろうな。その力と同じだった。欠如した記憶からどう言えばいいのか分からぬが……とにかく、奴らを甘く見るな。負けて自滅したくなければ……な」

「……そう」

 

 完全に納得しているわけではない。だが彼は闇のゲームを実行した経験があると、初対面の時にも語ったのだ。

 だからこそ注視すべき敵がいて、その者達が不思議な力をかつて相手にした者と似ているという、曖昧な記憶からの説明でも、カミューラはどうにも納得せざるを得なかったようだ。

 少しの間だけ沈黙が流れる。すると彼が立ち上がり、カミューラの元へと歩み寄る。それでも尚、影に隠れている姿が全く見えずにいる。

 

「ここで本題を交えて忠告してやろう。誰1人と、甘くみて相手をするな」

 

 彼はそう言って、懐から取り出したであろう1枚のカードを、カミューラに向けて差し出した。そのカードを見て戸惑うカミューラだったが、流れに負けたのか不意にそのカードを受け取り、一瞥する。

 

「これは……?」

「雇い主が、この地に散りばめられた三幻魔のエネルギーの毬を集め、貴様の奥の手となるカードを基に完成した強化版……といったところか。代償もそれと同じものとなっている事だろう」

「……⁉︎」

 

 渡されたカードの正体に、カミューラは思わず目を見開きながら驚愕する。自分が所持している奥の手となるカード。それを雇い主が作り上げ、彼を通じて渡してきたのだ。

 だがカミューラが驚愕しているのは、自分の切り札の強化版のカードを作り上げた事でも、それによって既に所持している奥の手を下位互換にされた事でもない。もっと注視すべき理由があったのだ。

 

「な、何よそれ……⁉︎ まるで私に躊躇いなく、あのカードと一緒に使えと言っているようなものじゃない⁉︎ 彼もあのカードの事を危惧し、『命の危機に陥った時などのいざという時しか使うな』と釘を刺していたというのに‼︎」

 

 カミューラの抗議に近い追求に対し、彼は背中を向け歩きながら答えた。

 

「そうでもしないといけない程に、奴らが強いと判断された……そういう事だ」

 

 それだけ伝えこの場から去ろうと窓を開け、彼はもうすぐ夜空となる景色の方を見ながら、カミューラに告げた。

 

「もう守る必要なくなった条件を、飲み込み続けるというのなら、これ以上は何も言うまい。だが、奴らを相手にするならその2枚のカードも必要となる……それを頭に入れておけ」

 

 彼はそう言って、窓から静かに飛び降りていってしまった。それと同時に、光が発生した音と頑丈なガラスを美しく踏む音が鳴りながら。

 そしてこの部屋に残ったのは、物苦しそうに渡されたカードを握りしめるカミューラだけであった……

 

 

 

 

 

 

 夕日が落ち、空が暗くなる。とうとう、カミューラとのデュエルの時が来た。盗み見対策はしてきたし、闇のデュエルによるダメージをなるべく抑えるためのトレーニングもしてきた。後はこのデュエルに勝つ……それだけだ。

 けど……やはり緊張はするものだな。このデュエルで俺の運命がどうなるのかなんて、まだそれが決まっているわけじゃない。負けは想像したくないけど、ちょっと……ね。

 とりあえず深呼吸をしよう深呼吸。深呼吸すれば落ち着いてデュエルに集中できそうだからな。スゥッ……ハァッ……スゥッ……ハァッ……

 

「相変わらず不気味だぜ」

「なんか霧も出てるっすよ」

「まぁ、吸血鬼らしい佇まいと言えるな」

「西洋映画あるあるね、けどゾクゾクするわ」

「フンッ、陰気なだけだ」

「これは城内も雰囲気が良くなさそうだな」

「それに趣味も悪いわ」

「同感だ」

「チッ……遺憾しかない」

「わたくし達人類と吸血鬼とでは違いがあるのですね」

「な、なかなか雰囲気があるんだにゃ〜……」

「お、俺の後ろに隠れないでほしいんだな……」

「大徳寺先生ってオカルトへの耐性がないんだね〜☆」

「普通こんな出来事なんてないからね」

「都市伝説に実際に遭うとそうなりますよね」

 

 俺の後ろにて、十代達がカミューラの城に関して色々と言っていた。そのためなのか、緊張はほぐれたけど同時に水を差された感じがしたのか思わずずっこけてしまった。

 

「ハァッ……お前ら、昨日の緊張感どこいったんだ? 人の命がかかっているんだぞ?」

 

 溜息をつきながら振り向けば、全員罰が悪そうに顔を逸らしていた。これからクロノス先生を元に戻せるかどうか、それを賭けたデュエルだという自覚はあるようだな。

 ちょっと言い過ぎたかな? 緊張感を解いてくれたから、これは良くなかったな……と思っていたら、十代が苦笑いしながら話しかけてきた。

 

「悪かったよ。けど、お前なら負ける事はないだろ? 毎回デュエルで勝っているし、勝てなかった試合なんて、万丈目との闘いで引き分けになっただけだしな」

 

 いや、お前との初戦と海馬社長とのデュエルで負けたから、2回の敗北を経験してたんだけどな。

 ま、十代の場合は主人公力が強かったんだし、海馬社長は……ね? そう考えると、普通の負けはないか。なら十代が『俺が負けるはずがない』と思い、緊張が解れるのも分からなくもないな。うん。

 

「ま、俺がやっても絶対勝つけどな」

 

 おっ? 言ってくれるじゃねェかこのやろう。いいぜ。だったら奴に勝ってきて、お前の出番をなくしてやるぜ馬鹿野郎。

 

「フッ……そんなに期待されてるってんなら、それに応えないといけないな。約束する。このデュエルに絶対勝って、クロノス先生の魂を取り戻してやるからな」

「あぁ、頼んだぜ‼︎」

「おう、任されたぜ」

 

 そして俺と十代は右腕と右腕をぶつけ合い、グータッチするように約束を交わし合った。誓い合いの腕の交差……なんか良いな。

 

「さてと……行こうぜ」

 

 カミューラが待つ湖上の城の方へと振り向く。そこには既に湖の上に赤い絨毯が敷かれていたため、その上を歩き城内へと入っていった。

 まるで中世を思わせる石造りの構造となっている城内。光の代わりとしている松明が不気味さを放っているが、意外と怖くなかった。背後に頼れる仲間達がいるから……かな。

 しばらく進んでいると、かなりの広さを持つ部屋に入っていった。全方位がやはり石で囲われおり、2階まではまさかの吹き抜けで階段が見え、、壁に沿うようにして通路がある。

 これは……ダンスホールってヤツか。2階から1階のパーティーを見下ろす物見席付きの階段がある場所……だったはず。

 そんな事を考えていると、上の通路からハイヒールの鳴る音が聞こえてきた。この音は……来たのか、奴が。

 

「フフフッ、逃げずに来たなんて偉いわね。それに、昨日私に宣戦布告してきた変わった坊やまで……今日のお相手は、昨日の通り貴方かしら?」

 

 高い声で軽く笑いながら、本物の吸血鬼・カミューラがその姿を現し、挑発的な態度を取ってきた。それで俺を怒らせたりするつもりだろうが、そうはいかない。この時のために、感情に身を任せないために瞑想してきたからな。

 軽く深呼吸をし、前に出た。そしてカミューラの方を見上げて睨み、高らかに宣言した。

 

「あぁ、その通りだ。早くテメェをぶっ飛ばして、クロノス先生を返してもらうぜ」

「威勢があるわね。いいわよ、上がってきなさい。楽しいデュエルをしましょう。闇という名の、ね……」

 

 そう告げて、カミューラは物見通路の中で僅かにスペースがせり出した部分に立った。なんかそこ、城の外で広くありそうなイメージがするんだが、気のせいか……?

 その反対側に同じスペースがあったため、俺もそこへ向かうべく上がるための階段を渡っていく。みんなも近くで見るためか、一緒に上がってきていた。

 そして向かい合う場面となり、俺はデュエルディスクを装着する。そんな中、同じくデュエルディスクを装着しているカミューラが不敵に笑い出した。

 

「フフッ……いいのかしら、こんなにお友達を連れてきて。貴方の負けを目撃したり、昨日の貴方みたいに怒ったりするかもしれないわよ?」

 

 また挑発か。いい加減しつこいぞ、俺にそんな外的戦術は効かない。そう思いながら、俺はカミューラを睨んだ。

 

「あいつらも覚悟を持ってここへ来たんだ、余計な口出しすんじゃねェぞ。それよりも早く構えろ、変なところで時間を靡かせるわけにもいかねェ」

「……上等よ。このデュエルに勝ったら、貴方も人形にしてあげるわ」

「やれるものならやってみろ」

 

 こうして俺達は互いを睨み合いながら、展開させたデュエルディスクを構えた。

 さぁ、クロノス先生の魂は返してもらうからな‼︎

 

「「決闘(デュエル)‼︎」」

 

 

LP:4000

 

カミューラ

LP:4000

 




タニヤは三沢との絡み、黒蠍盗賊団は万丈目との絡みとおジャマの実力を発揮させるための実験台に最適だから、セブンスターズとしていさせてあげよう。

アビドス3世? あいつは……良い奴だったよ。
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