OCG・マスターデュエルデッキ使いの行くGX世界〜ヲーと記憶喪失メンヘラを添えて〜   作:名無しのモンスター

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今回で2人目の原作キャラとのデュエルだよ☆

そしてオリ主、別のデッキを使います。


ティアラメンツvsマグネット・ウォリアー(前編)

 

 十代達との雑談しながら昼飯の時間が終わり、俺は教室に戻ろうと廊下を歩いていた。4人と精霊1人での会話は思ったよりも盛り上がったなぁ。授業はどんな感じだったのかとか、そういうのを楽しく話し合えたし。

 ティルルは精霊で、翔と隼人には見えていないから、上手く会話に参加できなくて不服っぼかったけどな。まぁ、精霊が見えない人からしたら精霊と話してる人は独り言を言ってるように見えてしまうから、ティルルがそれで空気を読まざるを得なかったってのもあるが。

 と、そんな事を思い返しながら歩いていると、ふと掲示板に貼られている1枚の紙に目線がいった。

 

「えっと、何なに? 『本日の実技デュエルの組み合わせ発表』? へぇ、授業初日から実際にデュエルをやる授業が出るんだな」

 

 実技デュエルの授業って、確かランダムでデュエルの組み合わせが毎時間決められるヤツじゃなかったっけ。クラス別だったり階級別だったり、時に同じ階級じゃない奴とのデュエルもあったりとか……

 ってか、今日からあるってことは俺もその中に入ってるって可能性もあるじゃねェか。モブとデュエルする可能性はあるだろうけど、一応確認しておかないと。

 ええっと、ラー・イエローはどこに記載されてるのか……あった、これだな。で、俺の名前はあるかな……

 

 

ラー・イエロー 1年 王辻 翼

vs

ラー・イエロー 1年 三沢 大地

 

 

 マジかよ。初日からいきなり三沢とデュエルすることになるのかよ。アイツは確かデッキを6つも持ってたんだよな? デッキの多い相手となると、どのデッキで挑んでくるのか分からん……

 というか、原作で十代の融合ヒーローデッキ対策として7つ目のデッキを作ったことがあるのだから、もしかすると【ドラゴンメイド】対策のデッキでも作ってた可能性も……

 

『ど、どうしましょうご主人様……もしも三沢さんが私達用のデッキを作れたとなれば、なるべく警戒した方がよいのでは……』

「(ティルル、悪いがこの授業のデュエルに【ドラゴンメイド】は使わないでおく)」

『えっ?』

 

 ティルルがアワアワと不安がってた様子を見せていたので、俺はそう言って彼女をなるべく落ち着かせるようにした。結果キョトンとした表情を見せてくるも、一応落ち着いてはくれたようだ。

 

「(あの入学試験の時から【ドラゴンメイド】を対策されている可能性を考えれば、三沢はあれやこれといった方法でお前達を無力化してくるだろう。なら無理にお前達を使うよりも、別のデッキを使った方が様々な対策を回避できるはずだ)」

『な、なるほど……しかし、そうなると使う別のデッキは何がいいのかなども決めておく必要があるかと思います。私達への対策が他のデッキの対策にもなりかねないかと……』

 

 自分達を使わない理由に納得してはくれたものの、じゃあ代わりに使用するデッキはどうするのだと不安気味に問いかけるティルル。オイオイ、俺が何個デッキを所持していると思ってんだ?

 

「(【ドラゴンメイド】対策のカードを掻い潜れそうなデッキなら、もう既に思いついてるよ)」

 

 

 

 

 

 

 ついに実技デュエルの授業が始まった。デュエルする事になった者達はそれぞれ気合いを入れており、デュエルできず観戦することになった者達はデュエルする者達のプレイングを参考にすべく熱い視線を送っていた。

 そして、そろそろこの時がやってきた。

 

「それでは、今から実技デュエルを始めるぞー‼︎ ん? 何故新人教師のボクがこの教科の担当をしてるのかって? いやね、デッキ構築の授業をするにしても、みんなのデッキがどんなのかとかの把握をしながら、なるべく個人個人でも良いデッキを作ることができるようにと……えぇい長ったらしい説明はここまで‼︎ 早速モニター通りの組み合わせになって開始の準備しろー‼︎」

 

 何故か今日の担当となっている間藤先生ことマッドラヴが指示を出したため、俺は早速三沢のいるデュエルエリアに足を踏み入れた。三沢は既にデュエルディスクを構えており、やる気満々だ。

 

「翼。君のことだから【ドラゴンメイド】じゃないデッキで挑んでくるだろうが、それでも俺は負けん‼︎ この時のために、まだ試作品とはいえお前のデッキパワーをある程度封じ込めるデッキを作っておいたからな」

「そっか……その対策となるデッキがどんなものなのか、お手並み拝見とさせていただくぜ‼︎」

 

 どうやら三沢は俺がこのデュエルで【ドラゴンメイド】を使わないだろうと予測してはいたらしいが、やる気十分みたいだし引くわけにはいかないな‼︎

 ってなわけで、俺は我ながらウザい決め顔をしながら装着しているデュエルディスクを展開させた。さぁ、いつでもいいぜ?

 

「みんな準備万端、やる気満々みたいだね‼︎ それじゃあデュエル開始の宣言をするぞー‼︎ デュエル開始ィイィイィイィイィイィイッ‼︎」

 

 喧しいなこの科学者。どんだけノリノリなんだよ。

 

「「決闘(デュエル)‼︎」」

 

 

LP:4000

 

三沢

LP:4000

 

 

「先攻は俺からだ‼︎ グ、ウゥゥゥ……ドロォォォォォォッ‼︎」

「顔を歪ませる程に先攻ドローが嫌なのか……演技でもなんでもなさそうだな」

 

 うん、ごめんね? マスタールール2が嫌いで発作を起こすイカれキャラでごめんね? でも先攻を取った人がアドバンテージを稼げるルールなんて実質ズルじゃん、インチキじゃん。はよルール改定しろ。ってかさせろ。

 それよりも手札の確認っと……うわっ、これちょっと事故ってるかも。まぁ何もできないってわけじゃないから、動けるだけ動いてみるとするか。

 

「手札の【沼地の魔神王】の効果発動‼︎ このカードを手札から墓地へ捨てることで、デッキから【融合】を手札に加える‼︎」

 

 地面からヌッと這い出るように、厳つい人間の顔と両手を模した緑色のドロドロとしたナニカが現れた。そいつは律儀に防水用スリーブに入れている【融合】のカードを俺に差し出し、地面の中へと潜っていった。

 アイツ、ドロドロとした沼の身体で出来ているのに、手に持つ物は汚れないようにしているのか。親切なこった。人は見た目によらないってのはこの事なんだな。

 

「さてと……後はカードを4枚伏せてターンエンドだ」

「モンスターを出さないだと……?」

 

 うわぁ、手札事故を起こしたせいで三沢に怪しまれたよぉ……すまん三沢、今回の俺は調子が悪いみたいなんだ。許せ。伏せカードも妨害できるかどうか実質運任せでやるようなのが多いし。

 

 

LP:4000

手札2枚(【融合】×1?)

フィールド:

伏せカード×4

 

 

(トラップ)ビートか……? どちらにせよ、動かなければ何も分からないな」

 

 いや違うの。これは(トラップ)ビートじゃないの。手札事故が起きたから4枚も伏せカードを出したの。誤解させちゃってごめんね?

 

『何故よりによって手の内の読めづらい相手に事故るのだ。汝よ、試しドローはきちんとしたのか?』

『というか、いくらデッキのタイプがアレとはいえ60枚デッキにするのはまずくないかい? そりゃあ手札事故も起きるよ』

 

 デュエルに参加できないペンダント組にダメ出しされたよ……確かに60枚デッキにしちゃったのはまずったな……せめてちょっと減らすべきだった。

 

「俺のターン、ドロー‼︎」

 

 さて、三沢は一体どんなカードを使うのか……

 

「俺は【電磁石の戦士γ(エレクトロマグネット・ウォリアー ガンマ)】を召喚‼︎」

「ファッ⁉︎」

 

 

電磁石の戦士γ(エレクトロマグネット・ウォリアー ガンマ)

ATK:800

DEF:2000

 

 

 帯びた電気を流しながら現れたのは、首周りに1つの大きなU字型の磁石を付けている、翡翠色の丸い磁石の体でできている戦士だった。

 つーか【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】って、この世界では時代的に登場するのはまだずっと先なんじゃね⁉︎ 俺が前世のカードを誕生させたことによる調整が起き始めたのか⁉︎ はえーよ○セ。

 

「【電磁石の戦士γ(エレクトロマグネット・ウォリアー ガンマ)】の効果発動‼︎ 召喚・特殊召喚に成功した場合、手札からレベル4以下の【マグネット・ウォリアー】を特殊召喚することができる。【電磁石の戦士β(エレクトロマグネット・ウォリアー ベータ)】を特殊召喚だ‼︎」

 

 γが上空に向けて拳を突き上げれば、そこからバチバチと電流をさらに放ち出した。そしてその電気の引力に引かれるかのように、何かがγの隣に降り立った。

 

 

電磁石の戦士β(エレクトロマグネット・ウォリアー ベータ)

ATK:1500

DEF:1500

 

 

 電気を帯びながら降り立ったのは、頭と手にU字型磁石を嵌めており(手に嵌められたものは指に見える)、赤いメッキの身体を煌めかせている磁石の戦士。天井に向けて上げた腕の間接をむんっと曲げ、いつでも戦えることをアピールした。こいつあんな性格だったの?

 

「βの効果。召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからレベル4以下の【マグネット・ウォリアー】を1体手札に加えることができる。この効果で───」

「待った‼︎ その効果にチェーンして手札の【ティアラメンツ・ハゥフニス】の効果発動‼︎ このカードを手札から特殊召喚し、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る‼︎」

「【ドラゴンメイド】と違って、バトルフェイズじゃないのに相手ターンに手札から発動できるだと⁉︎」

「来い、【ティアラメンツ・ハゥフニス】‼︎ 攻撃表示‼︎」

 

 

【ティアラメンツ・ハゥフニス】

ATK:1600

DEF:1000

 

 

 電磁石(エレクトロマグネット)の身体から漏れ出た電気を弾きながら現れたのは、耳や手足が魚のヒレのようになっており、青と白のヴェールを着込み、頭に少々黒がかった小さめなティアラを被り、前髪で左目を隠している長い銀髪の少女。

 両手には剣の柄に鱗が嵌め込まれた2本の短めのサーベルを逆手に持っていた。その剣で先程の電気を弾いたのだろう。カッコいい。

 

『……電気やめて……感電したら、しんどい……』

 

 もしかするとと思う輩がいるかもしれないが(誰に対して言ってるのか俺にも分からん)、彼女もラー様や【ドラゴンメイド】達と同じカードの精霊である。

 暗い顔をしていて無表情に見える上に口数が少ないが、分かりにくいだけで意外と感情豊かである。今みたいに、表情は眉を顰めている程度だが、声のトーンは怒りを表しているかのように低めになっているのがその証拠……だと思う。

 

「さ、効果処理の続きだ。デッキのカード3枚を墓地に送らせてもらうぜ」

『えいっ……あ、いいカード落ちた……やったー……』

 

 ハゥフニスが左手に持つ方のサーベルを振るえば、その風圧によって生まれただろう3つの水泡が弾け飛び、それがカードとなってデュエルディスクの墓地ゾーンに送られた。

 で、今見た?(誰に言ってんだって話だけど) 顔は暗く見えるままだけど、表情筋はパァッと明るい喜びの感情を表していたぞ? しかも声のトーンも少し高くなってた。ね? 意外と感情豊かでしょ?

 

「なるほど。カードを墓地に送って溜めることで力を発揮するデッキか……βの効果処理として俺はデッキから【磁石の戦士ε(マグネット・ウォリアー イプシロン)】を手札に‼︎」

 

 βが掌と指を向き合わせるかのような手の形を作れば、U字型磁石で出来た指の先がバチバチと漏れ出た電気がぶつかり合い始める。そのぶつかり合った電気は1枚のカードとなり、それを三沢に手渡した。

 効果処理が終わったな? ならば……

 

「この瞬間、ハゥフニスの効果で墓地に送られた(トラップ)カード【壱世壊に奏でる哀唱(ティアラメンツ・サリーク)】の効果発動‼︎」

「やっぱり入っていたか、墓地から発動できる(トラップ)カードが……‼︎」

 

 予想通りだったって反応あざます。

 

「このカードは1ターンに1度、フィールドで発動できる効果と効果で墓地に送られた場合の効果の、いずれか1つのみを発動できるカード。後者はデッキから【ティアラメンツ】モンスターを1体手札に加えることができるため、その効果を使用し【ティアラメンツ・シェイレーン】を手札に‼︎」

 

 墓地ゾーンから複数の小さな水晶が飛び散り始める。それらは一点に集合して錬成され、1枚のカードとなって俺の手札に加わった。

 実はこの水晶、【ティアラメンツ】の流した涙から生まれたものなんだよ……ってことは、今のタイミングで【ティアラメンツ】の誰かが泣いてるのだろうか……可哀想に……

 

『……今の出た水晶……ただの演出……』

 

 あ、そっすか。『毎回毎回無理矢理泣かされてると思うなよ』って感じでハゥフニスに睨まれました。すいませんでした。

 

「しかし、ハゥフニスの攻撃力は1600か……これじゃあβでも戦闘破壊できないな」

「攻撃できない状況だってのに、随分と落ち着いているな」

「まぁな。これでも【ドラゴンメイド】じゃなくてもある程度の対策ができるようにと、このデッキを組んだんだ。この程度で乱されるわけにはいかないさ」

 

 ですよねー。デュエルにとって大事なのは冷静な判断力だし、三沢の言ってることは正しいよ。

 

魔法(マジック)カード【おろかな埋葬】を発動‼︎ デッキからモンスターを1体墓地に送る。【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー・)α(アルファ)】を墓地へ‼︎」

 

 三沢の目の前に十字架の形をした墓が現れ、そこに魂となる1つの光の球体が入っていき、透明になりながら消えていった。

 アニメではこんな演出なかったはずなんだが……まぁ他の魔法・(トラップ)カードでも似たような演出あったし、今更か。

 

「永続魔法【生還の宝札】を発動‼︎ 自分の墓地からモンスターが特殊召喚に成功する度、その時のタイミングであれば俺はデッキからカードを1枚ドローすることができる‼︎」

「出た、インチキドローカードの1枚‼︎」

 

 墓地からモンスターを出すだけで1ターンに何回でもドローできるってなんだよ。蘇生を何度も行えない古参時代から誕生したカードとはいえ、無限ドローはインチキすぎるだろ。これと比べたらなんだか【強欲な壺】の方がまだマシに見えてきたぞ。

 

「フィールド魔法【マグネット・フィールド】を発動‼︎ 1ターンに1度、自分フィールドにレベル4以下の岩石族・地属性モンスターが存在する場合、自分の墓地のレベル4以下の【マグネット・ウォリアー】モンスターを1体特殊召喚することができる‼︎ 現れろ、【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー・)α(アルファ)】‼︎」

 

 三沢のフィールドが、ハイテク化が極限的に進んだかのような近未来社会をイメージした風景となった。

 それと同時に、現れた地面に設置されている丸型のや天井のリングらしき装置から磁力が発生し、周囲にある複数の磁石を引き寄せ連結させていく。

 

 

電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー・)α(アルファ)

ATK:1700

DEF:1100

 

 

 そして完成したのが、他の【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】とは異なり細身な形状となっている、電気を帯びた磁石の戦士。右手にはネジを中心に作られた槍が、左手には磁石でちょうど良い大きさに連結された盾が握られていた。

 

「【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー・)α(アルファ)】の効果発動‼︎ 召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからレベル8の【磁石の戦士】モンスターを1体手札に加えることができる。【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】を手札に加えさせてもらうぞ。そして【生還の宝札】の効果で1枚ドロー‼︎」

 

 αが槍を天井に翳せば、そこから迸る電気が剣の先端へと昇っていき、その先端にて電気を集結・変形させていく。それはやがて1枚のカードを生み出し、それが磁力のように三沢の手札へと一人でに加わった。

 このまま何もせずに奴を呼び出されてもらっては困るな……仕方ない。こちらが不自由を受ける前に、ここは賭けに出るとするか‼︎

 

(トラップ)カード【針虫の巣屈】を発動‼︎ デッキの上から5枚のカードを墓地に送るぜ‼︎」

「今度は5枚も墓地肥やしするか……」

 

 地面から湧き出るように、頭に3本の長い針と左右の体に短い針が複数生えている紫色の芋虫のような虫が5匹も出て来た。うわ気持ち悪っ。

 その虫達はそれぞれ1枚のカードを口の先端で摘むように咥えており、それらを墓地ゾーンにセットさせて地面の中へと潜っていった。

 

「(昆虫族モンスターは【寄生虫パラサイト】程のグロさがない限りは大丈夫なんだけど、今の奴らの事を気持ち悪く感じてしまった……何故だ……)」

『……モンスターじゃないから、だと思う……ちなみに私は、あの虫は平気……海にも……人間が受け入れにくい、見た目の生き物が、わんさかいるし……』

 

 そっかぁ……効果でモンスターにもなれない虫だから抵抗しちやったのかぁ……そしてハゥフニスにはあの虫達を見ても全然平気だと言ってたな。……強い女だ。

 おっといけない、墓地に行ったカードを確認しないと。これは……よし、いけるな。

 

「効果で墓地に送られた、【ティアラメンツ・メイルゥ】、速攻魔法【壱世壊を揺るがす鼓動(ティアラメンツ・ハートビーツ)】、永続魔法【壱世壊を劈く弦声(ティアラメンツ・スクリーム)】、【ティアラメンツ・クシャトリラ】の4枚の効果発動‼︎」

「墓地から発動できるカードが4枚も……‼︎」

 

 さすがに墓地効果を4枚同時発動は想定していなかったようだな。いや、このタイミングでの複数枚同時発動は……の方が正しいか。そのためか眉を顰めながらこちらを睨み、警戒する態勢を取っている。

 

「何もなければチェーン逆順に発動させてもらうぜ。【ティアラメンツ・クシャトリラ】の効果でデッキからカードを2枚墓地へ」

 

 何処からともなく紅く巨大な水泡が2つ現れ、それらはすぐに破裂。そこから出てきた2枚のカードが一人でに動き、滑り込むように墓地ゾーンへと綺麗に入っていった。

 

「【壱世壊を劈く弦声(ティアラメンツ・スクリーム)】の効果での墓地送り効果で、デッキから【ティアラメンツ】(トラップ)カードを1枚手札に加えることができる。よって俺はカウンター(トラップ)壱世壊に澄み渡る残響(ティアラメンツ・クライム)】を手札に」

 

 狂気の混じった武人の声が木霊すると共に、いつの間にか出てきた巨大な水泡が破裂し、そこから出てきた1枚のカードが俺の手札にへと落ちていった。

 

「次に【壱世壊を揺るがす鼓動(ティアラメンツ・ハートビーツ)】の効果。墓地から【ティアラメンツ】(トラップ)カードを1枚手札に戻すことができる。【壱世壊に奏でる哀唱(ティアラメンツ・サリーク)】を手札にサルベージだ」

「これで次の俺のターンでの妨害がしやすくなったか……」

 

 ドクンッドクンッと、何処からか心臓の鼓動が聞こえてくる。すると天井から宇宙のような複数の小さな水泡が流れ落ち、そこに混じった1枚のカードが自然に俺の手札へと加わった。

 そして……この後がこのデッキの醍醐味だ。

 

「最後に【ティアラメンツ・メイルゥ】の効果‼︎ 墓地のこのカードを含む自分の手札・フィールド・墓地のモンスターを好きな順番でデッキの下に戻し、それらで融合召喚を行う‼︎」

「何ッ⁉︎ 墓地からデッキに戻しての融合だと⁉︎」

 

 やっと仰天した表情を見せてくれたか……‼︎ そうよ、これこそが【ティアラメンツ】の真骨頂‼︎ 墓地から除外ではなくデッキに戻しての融合なのだ‼︎

 

「俺はこのカードと、ハゥフニスの効果で墓地に送られた方の墓地の【沼地の魔神王】で融合‼︎」

 

 上空からこれまでに出てきたのよりも巨大な2つの水泡が、ゆっくりと俺達の頭上の位置にまで降下していく。その2つの水泡には、少々小柄な少女と両腕のついた泥で押し固められた人の顔のシルエットが映し出されていた。

 それらが互いに引き寄せられ合い、互いに触れた途端に破裂。それによって出てきた水滴全てが渦のように混ざり合って光りだした。

 

「壱世壊に住む絶世の姫君よ。今こそ戦場にて姿を現し、その歌声を響かせよ‼︎ 融合召喚‼︎ 現れろ、【ティアラメンツ・キトカロス】‼︎」

 

 

【ティアラメンツ・キトカロス】

ATK:2300

DEF:1200

 

 

 海中に響かせる程の美しい歌声を発しながら、光の中から姿を現したのは、ところどころ鱗の装飾が施された青と白のヴェールを煌めかせている、ハゥフニスと同じく耳や手足が魚のヒレのようになっている、ふわりと揺れている青がかった長い銀髪の女性。

 左手にはハゥフニスのサーベルと同じく鱗を柄に施している短剣が握られている。サーベルと異なり鱗と銀色の縁が美しい輝きを放っていた。

 はい、これがOCGでは禁止カードになってるけどマスターデュエルでは制限カードとなっている、禁止制限がガバガバなカードの1枚です。

 まだこの時代に【ティアラメンツ】が実装してないからフル投入してもいいじゃんとは最初思ってたけど、届いた時には1枚しかなかったんだよなぁこれが。まぁ前世にて使われた時は強すぎてイライラしていたから、改めて相手目線で考えたら1枚だけ生成されてよかったと思う。

 

『マスター。【ティアラメンツ・クシャトリラ】で墓地に行ったカードの効果が無いのならば、早速私の力をお使いください』

「(おうよ) 【ティアラメンツ・キトカロス】の効果発動‼︎ このカードが特殊召喚に成功した場合、デッキから【ティアラメンツ】カード1枚を手札に加えるか墓地に送ることができる。俺は2体目の【ティアラメンツ・シェイレーン】を墓地へ‼︎」

 

 キトカロスが美しい歌声を再び響かせると、短剣の鱗の煌めきが増したのが見えた。その発せられた輝きから1枚のカードが生成され、それが墓地ゾーンへと送られた。

 ちなみにシェイレーンは1枚ずつだった他の闇属性下級【ティアラメンツ】とは違い、マスターデュエルでは準制限となっている。その影響なのか、届いた時も2枚だけあったなぁ彼女。自身も出しやすいし、これは良い。

 おっといっけね。この子の墓地効果も使わないと。

 

「今効果で墓地に送られた【ティアラメンツ・シェイレーン】の効果発動‼︎ このカードも墓地からデッキに戻しての融合が行える‼︎」

「そのカードもか……‼︎ まだ俺のターンだというのに、結構動くんだな……‼︎」

 

 それがこのデッキの強みの1つなんで。すまんね。晩年。

 

「この効果でこのカードと、ハゥフニスの効果で墓地に送られていた【絶海のマーレ】、そしてクシャトリラの効果で墓地に送られた【ティアラメンツ・レイノハート】をデッキの下に戻して融合‼︎」

「今度は3体融合か……‼︎」

 

 上空からメイルゥの効果で現れたのと同じ大きさの水泡が、ゆっくりと降下していった。ここでの違いはその水泡が3つあることと、映し出されているシルエットが女性に近い少女・大きな槍を右手に持った男性型の人魚・鎧を纏い長髪を揺らす美青年の3体であることだ。

 それらが引き寄せられ合って破裂し、その全ての水が混ざり合って光を放つ。この間のはメイルゥと同じ流れであった。

 

「哀しみの感情しか持たぬ壱世壊の支配者よ。今こそ覚醒し、全てを哀しみのみの世界へと沈めよ‼︎ 融合召喚‼︎ いでよ、【ティアラメンツ・カレイドハート】‼︎」

 

 

【ティアラメンツ・カレイドハート】

ATK:3000

DEF:3000

 

 

『フンッ、もう私の出番か。いつもの姿よりもこっちで先に出ることになるとはな』

 

 光が収まり、その場にはキトカロスよりも多い数の鱗がある蒼の鎧を着込んでおり、複数に枝分れした縄鏢のような鞭を持つ、1人の長い青がかった銀髪を持つ美青年が立っていた。

 否、彼はただの美青年と捉えてもいいものだろうか。耳は魚のヒレとなっており、下半身には紫に近い青色の鰻の体のような複数の足があり、同じ色を持つ爪は鋭利的に伸びているのだ。

 これはもう化け物……というより組織のボスとなる人型の怪人である。

 

「攻守ともに3000⁉︎ いや、それもすごいが問題はヤツの効果だ。一体どんな効果が……」

 

 最初にステータスを見て動揺してはいたものの、すぐにカレイドハートの持つ効果が何なのかと警戒する三沢。フッフッフ、カレイドハートの効果はエースモンスター並に危険だぜ?

 

「【ティアラメンツ・カレイドハート】の効果発動‼︎ このカードが特殊召喚に成功した場合、またはこのカードがフィールドに存在する状態で、水族モンスターが効果で自分の墓地へ送られた場合、相手フィールドのカードを1枚デッキに戻すことができる」

「デッキバウンスによる除去効果だと⁉︎ しかも特殊召喚した後でも発動できる仕様だなんて……」

 

 カレイドハートの足元周辺に、深海に似た水面が発生する。その水面は【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】達の足元を覆う程の深さとなっており、γに至っては下半身を少々覆い被さっている程だ。

 その水面への対処をすべく、αが剣に電流を迸らせ水面に突き刺そうとした……途端、足元の水面からカレイドハートの足のような何かが数本、αの体に巻きついた。

 

「対象に取るカードは【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー・)α(アルファ)】だ‼︎ サドネス・アンガー‼︎」

『今の貴様が邪魔な存在だということがわかった。失せたまえ』

 

 抵抗する隙も与えられず、αは虚しくも巻きつかれたカレイドハートの足によって水面の深くへと引き摺り下ろされてしまった。

 

「手札に戻るわけでも墓地に送られるわけでもないため、マグネット・ベルセリオンを特殊召喚するための何かしらの素材にはならない……はず‼︎ 残念だったな‼︎」

 

 マグネット・ベルセリオンを特殊召喚する方法は前世で知ってたけど、まだ周知されてない可能性があるから敢えて知らないフリをして、勘も鋭いなって感じなのを出してさらにちょっと強いデュエリスト感を出してみることにしてます。後者の意味あるかって話だけど。

 さて、マグネット・ベルセリオンの特殊召喚を封じられたであろう三沢はどう動く……?

 

「まさかマグネット・ベルセリオンの特殊召喚を考慮して、揃ったタイミングで墓地肥やしからデッキバウンスへと繋げるとは……してやられたよ」

 

 おっ? これはかなり効いたか? マグネット・ベルセリオンを特殊召喚できない状況に陥ったか? これはやりぃ。

 

「だが、すぐにその準備は整えられる‼︎」

 

 ヒョッ?

 

魔法(マジック)カード【天使の施し】を発動‼︎ カードを3枚ドローして手札を2枚捨てる‼︎」

「ファッ⁉︎」

 

 既に握ってたのかノーコストでドローと墓地肥やしの両立ができるクソインチキカード⁉︎ ふざけんなよ、なんで9期カードと前世で長年禁止されてるカードが一緒に入れられるんだよ‼︎ 禁止制限ガバガバなのもいい加減にしろ‼︎

 

『こっちのデッキでも禁止制限が滅茶苦茶ではないか。紙とゲームでのごちゃ混ぜがあっただろう?』

『……これぞまさに、おまいう……』

 

 はい、カレイドハートとハゥフニスに正論ブッパのダイレクトアタックを受けました。いくら【ティアラメンツ】がこの世界にないとはいえ、そのカード達の禁止制限を前世よりもガバガバにしてる人が文句を言っちゃいけないと思いますよね。返す言葉もございません。すみませんでした。

 

『ところで、あの三沢って人が墓地に送ったカードは何なのでしょうか?』

 

 ここで救いの手を差し伸べるかのように、キトカロスが話題転換をした。助かったよキトカロス……

 そういえば、言われてみれば確かに、三沢はあの禁止カードで何を墓地に送ったのか気になるな。

 

「さらに準備を整えよう。魔法(マジック)カード【三戦の才】‼︎ 相手が俺のターンにモンスター効果を発動したため、3つの効果の内1つ……カードを2枚ドローする効果を選択‼︎」

 

 三沢のフィールドに巨大なうちわ型の軍配のソリッドビジョンが出現。振り下ろされたのと同時に一瞬だけ発光し、その光の中から2枚のカードが現れ、それが三沢の手札に加わった。

 

「お前も【三戦の才】を持ってたのかよ……‼︎」

「昨日試しに立ち寄ってみた購買で買ったパックから出たんだ。昨日から新しく出たものらしい。翼のデッキ相手なら使いやすいと思ったが……やはり入れておいて正解だった」

 

 昨日から新しくって……絶対あの新人教師に扮した精霊達が何か仕込んだろ。アレイスターが十代に強力な未来のカードを渡したんだし、そうに違いない。

 ってかそうなると、そのパックを買った奴らも、未来のカードをデッキに入れることになるだろうな……もう俺の持つカードに合わせた調整が起こってるのだろうか……

 

「ここでいくぞ‼︎ 魔法(マジック)カード発動‼︎ 【死者蘇生】‼︎ この効果で俺が墓地から呼び出すのはこいつだ‼︎ 現れろ、【磁石の戦士ε(マグネット・ウォリアー イプシロン)】‼︎」

「【天使の施し】で墓地に送った1枚がそれか‼︎」

 

 

磁石の戦士ε(マグネット・ウォリアー イプシロン)

ATK:1300

DEF:1500

 

 

 輪つき型十字架が現れ発光。その光の中から現れたのは、薄紫色の磁石のボディを先端に磁石が付いている黒いバネらしきもので連結させた、胴体のやや細めの戦士。

 全体をよく見れば、後頭部の左右に片方ずつ、さらに両足にもU字型の磁石が、背中には胴体と同じ色の磁石のウィングパーツが付けられていた。ちなみに右手は白い『N』の文字が書かれた丸く赤い磁石、左手は白い『S』の文字が書かれた丸く赤い磁石になっていた。

 

「【磁石の戦士ε(マグネット・ウォリアー イプシロン)】の効果発動‼︎ 召喚・特殊召喚に成功した場合、同名以外のレベル4以下の【マグネット・ウォリアー】モンスターを1体墓地へ送って発動できる。【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー・)α(アルファ)】を墓地へ‼︎ このカードはエンドフェイズまで、墓地へ送ったモンスターと同名カードとして扱う」

「墓地に送っての発動だから、墓地肥やしの効果までは無効にできないってことか」

「その通りだ」

 

 

磁石の戦士ε(マグネット・ウォリアー イプシロン)

DEF:1500

 

 ↓

 

電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー・)α(アルファ)

DEF:1500

 

 

 知らないフリしてるけど実は知ってました。すみませんでした。

 εが両手の拳を合わせるように、両手の磁石を繋ぎ合わせる。すると身体中からバチバチと迸る電流が、まるでαの姿を輪郭で模すかのように変形した。この時、εの姿がαと重なり合わさっているように見えた。

 ってかマジかよ。もうαの準備を整えたのかよ。

 

「その後、同名カードが自分フィールドに存在しない、【マグネット・ウォリアー】モンスターまたは【磁石の戦士】モンスターを1体自分の墓地から選んで、戦闘・相手の効果破壊への耐性を付与させて特殊召喚できる。【磁石の戦士δ(マグネット・ウォリアー デルタ)】を特殊召喚‼︎」

 

 

磁石の戦士δ(マグネット・ウォリアー デルタ)

ATK:1600

DEF:1400

 

 

 εが繋ぎ合わせた両手の磁力に導かれるように、1体の【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】が姿を現す。水色のメタリックな三角形の磁石をバネで連結させて身体を形成させた磁石の戦士で、首の後ろと両手にU字型の、足に棒状のNS磁石が嵌め込まれていた。

 

「εとチェーンを組んだ【生還の宝札】の効果で1枚ドローだ。【磁石の戦士δ(マグネット・ウォリアー デルタ)】の効果発動‼︎ このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからレベル4以下の【マグネット・ウォリアー】モンスターを1体墓地へ送ることができる」

「なるほど、それでさらに【マグネット・ウォリアー】を墓地に送るのか……」

「【磁石の戦士α(マグネット・ウォリアー アルファ)】を墓地へ。【生還の宝札】で1枚ドロー」

 

 δが両腕を天に翳せば、彼の持つ磁石の磁力に導かれてか、山葵色の岩石によってできた磁石が複数引き寄せられ、それが集結・凝縮されて1枚のカードとなって墓地ゾーンへと送られていった。

 ちなみにだが、【マグネット・ウォリアー】には通常モンスターである【磁石の戦士(マグネット・ウォリアー)】と【マグネット・ウォリアー】デッキを有意義に回すことができる効果モンスターである【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】の2つあり、α・β・γはその2種類も存在している。

 そして三沢がδの効果で墓地に送ったのが前者の方だ。通常モンスターでも【マグネット・ウォリアー】だしその恩恵を受けられる上、通常モンスターをサポートするカードと併用しやすいはず。だから採用されてもおかしくない。

 

「せっかくだ。今さっきドローしたこのカードも使おう。魔法(マジック)カード【苦渋の決断】を発動‼︎ デッキからレベル4以下の通常モンスターを1体墓地へ送り、その同名カードを1枚デッキから手札に加える。俺がこの効果を適用させる通常モンスターは【磁石の戦士γ(マグネット・ウォリアー ガンマ)】だ」

 

 この瞬間、丸めのボディに『S』と書かれ、その背中に金属質の翼を付けている朱色の磁石の体をした【磁石の戦士(マグネット・ウォリアー)】が、半透明の姿となって現れる。それは全体が光に包まれると1枚のカードに変換され、三沢の手札に加わる。

 にしても、また通常モンスターの【磁石の戦士(マグネット・ウォリアー)】が墓地に行ったか……何を狙っていることやら……

 

「ここで魔法(マジック)カード【儀式の下準備】を発動‼︎」

 

 儀式モンスターまで用意するのかよ……って、儀式? 【マグネット・ウォリアー】デッキで? なんで?

 

「デッキから儀式魔法カードを1枚選び、さらにその儀式魔法にカード名が記された儀式モンスターを1体、自分のデッキ・墓地から選ぶ。俺が選ぶのは【合成魔術】と、それによって呼べる【ライカン・スロープ】だ。そして選んだこの2枚のカードを全て手札に加える」

 

 何故三沢が儀式を採用しているのかと疑問に思っている中、金箔の2枚の仮面を左右の顔半分に付けた黒い鳥が降下して現れる。何やら右手のフォークに刺しているお肉を食べながら、左手で懐から取り出した。それを三沢の手札に渡してその場から飛び去っていった。

 

「ここで儀式魔法【合成魔術】を発動‼︎ レベル6以上になるように手札・フィールドのモンスターを生贄に捧げ、とある儀式モンスターを特殊召喚する。俺はフィールドにいる【電磁石の戦士β(エレクトロマグネット・ウォリアー ベータ)】と【電磁石の戦士γ(エレクトロマグネット・ウォリアー ガンマ)】を儀式の供物にする‼︎」

 

 βとγの足元に青い魔法陣が浮かび上がり、そこから発生する光の柱にその2体のモンスターが包まれる。その中で2体は光の球体──魂となって溶け込み、天へと昇って行った。

 

「儀式召喚‼︎ いでよ、【ライカン・スロープ】‼︎」

 

 

【ライカン・スロープ】

ATK:2400

DEF:1800

 

 

 光の柱が魔法陣と共に消え、その中から灰色の毛並みの体にチューブらしきものを付けている二足歩行の狼──狼男が現れる。その狼は自身よりも攻撃力の高いカレイドハートを見つめ、グルルルルと唸り声を上げた。

 

『己が弱いと自覚しながらも私を睨むか……愚かだな』

 

 確かにカレイドハートどころかキトカロスよりも攻撃力は低いが……問題は三沢が【マグネット・ウォリアー】デッキに儀式を採用していることだ。【ライカン・スロープ】は同じ地属性だから属性サポートを一緒に受けられるけど……それだけだとまだシナジーが合うかどうか分からん。

 ちなみに。【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】を中心としたデッキに通常モンスターである【磁石の戦士(マグネット・ウォリアー)】が入っているのは百歩譲ってまだ分かるぞ。エレクトロも同じ【マグネット・ウォリアー】だし。

 

「1回目の【生還の宝札】の効果でドローした魔法(マジック)カード【儀式の準備】を発動‼︎ 自分のデッキからレベル7以下の儀式モンスターを1体手札に加える。2体目の【ライカン・スロープ】を手札に‼︎ その後、自分の墓地から儀式魔法カードを1枚手札に加える事ができる。俺が回収するのはもちろん【合成魔術】だ」

 

 黒いローブを羽織っている、性別も年齢も不明な2人の人物が三沢のフィールドに現れる。

 1人が魔法の杖を持ちながらの詠唱によって発生した光の中から、もう1人が分厚い本を捲りながらの詠唱によって発生した光の中から、それぞれ1枚ずつカードを生成した。

 それを三沢に渡し手札に加わったのを確認した後、そのまま2人とも消えていった。

 ってか、また儀式モンスターと儀式魔法が手札に加わったということは……

 

「儀式魔法【合成魔術】を発動‼︎ フィールドの【磁石の戦士δ(マグネット・ウォリアー デルタ)】と【磁石の戦士ε(マグネット・ウォリアー イプシロン)】を儀式素材にする‼︎」

 

 今度はδとεの足元に青い魔法陣が浮かび上がり、そこから発生した光の柱が2体を飲み込んだ。魂となった2体が粒子となりながら混ざり合い、光が爆ぜる。

 

「来い、【ライカン・スロープ】‼︎ 2体目‼︎」

 

 

【ライカン・スロープ】B

ATK:2400

DEF:1800

 

 

 黒色が多少混じった灰色の体毛を靡かせながら、光から飛び出して来たもう1体の【ライカン・スロープ】。隣にもう1体の自分が並んでいる事を確認すれば、2体揃って夜空に向けるように遠吠えを上げた。

 

「ここで【磁石の戦士δ(マグネット・ウォリアー デルタ)】の効果発動‼︎」

 

 えっ? δにもう1つの効果なんてあったっけ?

 

「このカードが墓地へ送られた場合、δ以外のレベル4以下の【マグネット・ウォリアー】モンスターを3体自分の墓地から除外することで、手札・デッキから【磁石の戦士マグネット・バルキリオン】を1体召喚条件を無視して特殊召喚することができる‼︎」

「な、なんだってー⁉︎」

 

 デュ、デュエルリンクスでは使われてなかった事が印象深かったから、隠されてないけど隠されたという認識で忘れていた……そ、そのために【マグネット・ウォリアー】を墓地に溜めてたのか……‼︎

 何処からともなく【マグネット・フィールド】の装置の背後から、次々と分解済みであろう磁石や金属が浮遊して現れる。そしてそれらは次々と変形・分解・連結を繰り返し、何やら形になるものを作り始めていた。

 

「【磁石の戦士α(マグネット・ウォリアー アルファ)】、【磁石の戦士γ(マグネット・ウォリアー ガンマ)】、【磁石の戦士ε(マグネット・ウォリアー イプシロン)】の3体を除外し、デッキより現れろ‼︎ 【磁石の戦士マグネット・バルキリオン】‼︎」

 

 

【磁石の戦士マグネット・バルキリオン】

ATK:3500

DEF:3800

 

 

 やがて完成したのは、磁石の体を合成させて誕生する1体の戦士。山葵色・黄土色・朱色の細身となる磁石の体を持ち、金属の翼を広げながら磁石の剣を振るう。手甲・腰部・膝関節には赤い『N』、青い『S』が書かれている丸い磁石のパーツが嵌め込まれていた。

 ……ん? ちょっと待てよ? これってもしかして……

 

「儀式モンスターを採用したのは、大型モンスターを出すために【マグネット・ウォリアー】を墓地に溜めやすくして、それを利用するため……?」

「察しがいいな。半分正解だ‼︎ 切り札を呼び込む時に【マグネット・ウォリアー】を墓地に溜め込む上で、効果を使い終わった【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】をさらに活用できないかと考察し、生み出したのがこの儀式搭載型ってわけさ‼︎」

 

 なるほど……リンクどころかシンクロもエクシーズもないこの時代で、マグネット・ベルセリオンなどの大型モンスターを出す時に【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】をフィールドに出したままやってももったいないと感じるかもしれない。

 だからその代わりとして、儀式召喚で素材に墓地に送ってからマグネット・ベルセリオンなどを出すという方向に変えたんだな。ある意味無駄のない動きだった……

 

『翼、今は感心してる場合じゃないと思うよ?』

『例のモンスターまで呼ばれるぞ』

 

 シュワット⁉︎ そうだった⁉︎ クソッ……今じゃ伏せカードでの妨害ができないから、あいつを出すことも許してしまうじゃないか……‼︎

 

「そろそろいくぞ‼︎ 自分の手札・フィールド・墓地から【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】と名のつくα・β・γの3体を1体ずつ除外することで、手札のこのカードは特殊召喚することができる‼︎」

『……レベル3の、【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】が、3体……‼︎』

『来ますよ、○馬さん‼︎』

 

 来るか……‼︎ ってちょっと待てハゥフニス。この時代にエクシーズなんて出ないし、素材にされるだろうそいつら全員墓地に行ってるぞ。そしてキトカロス、誰が○馬じゃコラ。

 

「墓地の【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】α・β・γを除外‼︎」

 

 【マグネット・フィールド】の装置の背後から、【電磁石の戦士(エレクトロマグネット・ウォリアー)】のα・β・γの、3体それぞれのボディパーツと思わしきものが全て、マグネット・バルキリオンの頭上よりも高く浮遊していく。

 それらが全て集結したのと同時に、マグネット・バルキリオンが特殊召喚されるのと同じように変形・分解・連結を繰り返し、重量級の戦士を模すかのように人型を形成していく。

 

「現れろ、【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】‼︎」

 

 

【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】

ATK:3000

DEF:2800

 

 

 やがて完成したのは、マグネット・バルキリオンよりも体躯の大きい電磁石の戦士。αのボディパーツを中心とし、脚のパーツをβ、上半身と両肩のパーツをγのものとしており、さらにはαが持つものよりも一回り大きい槍を携えていた。そして体中に電流を迸らせている、まさにパワーと瞬発力に優れた電撃の戦士だ。

 

「たった1ターンで【マグネット・ウォリアー】のエースモンスターを2種類も……‼︎」

「本当は最低限でもマグネット・ベルセリオンだけを呼び出せればいいと思ったが、俺自身、まさか君のデッキを対策するための試作デッキでここまで展開できるとは思ってなかったさ」

「ノーコストのドローソース様様だな」

 

 三沢はドローや運命力に頼らずとも布石を自分で作れるようにデッキ構築をするのを得意としているが、ドローソースのカードはサブプランや最大展開ができるように補填として入れているのだな。

 よく考えてみれば、ドローソースを使わずとも自分が有利になれるような展開も可能にさせるとか、実は三沢って主要キャラの中でトップレベルで強くね?

 

「マグネット・ベルセリオンの効果発動‼︎ 墓地のレベル4以下の【マグネット・ウォリアー】を除外することで、相手フィールドのカードを1枚破壊することができる‼︎ δを除外し、カレイドハートと同じ列の伏せカードを破壊する‼︎ 超電磁撃(エレクトロマグネット・ブレイク)‼︎」

 

 マグネット・ベルセリオンが槍を天に掲げる。するとその槍に帯電していた電流が放たれ、【マグネット・フィールド】の天井近くにまで昇っていく。そしてその電流は雷となって降下していき、カレイドハートの背後に置かれていた伏せカードに落下。電撃に耐えられず、その伏せカードは砕かれて消えていった。

 

「ヤベッ⁉︎ よりによって【神風のバリア ─エア・フォース】を破壊されてしまった‼︎ 効果破壊しちゃいけない奴対策にピン刺しで入れといたのに……クソッ‼︎」

「どうやら当たりのようだ」

 

 あぁそうだよ。お前は盤面崩壊されそうなカードを除去れたんだからさぁ。運がいいよお前この野郎。

 

「ってか、なんでカレイドハートやキトカロスを狙わなかったんだ? こっちが伏せたカードが多かったとはいえ、このターンで決着をつけたいのなら、ステータスの高いモンスターを除去したがると思ったが……」

「それも一応考えたが、【ティアラメンツ】は効果で墓地に送られると効果を発動するのだろう? それを考慮すると、融合モンスターも厄介な効果での墓地送り時の効果を使われそうでな。それを戦闘破壊で回避するための判断さ」

「か、勘づかれたか……!!」

 

 そ、そりゃあそうだよな……魔法(マジック)(トラップ)・モンスターの3種類全てで発動しちまったもんな……そりゃあ融合モンスターもそうなんじゃないかと勘づいてしまうもんな……実際そうだし。唯一そうやって発動する効果がないのはフィールド魔法だけだし。

 

「さすがにもうこれ以上の展開はできない。バトルだ‼︎ 俺はマグネット・バルキリオンで【ティアラメンツ・カレイドハート】を攻撃‼︎ 電磁剣(マグネット・セイバー)‼︎」

 

 翼を広げながら跳躍し、飛躍力を活かしてカレイドハートへと急降下してくるマグネット・バルキリオン。返り討ちにせんとカレイドハートが己の持つ縄鏢の鞭を振るおうとするが、その寸前で鎧に斬り裂かれた跡をつけられ、足の数本諸共鞭を切断される。

 

『カハッ……‼︎ お、おのれ……こ、この私が……出たターンに戦闘破壊されるだとは……‼︎』

 

 マグネット・バルキリオンが彼の背後に着地したのと同時に、カレイドハートはその場で横たわれ、光の粒子となって消滅していった。

 

「カレイドハート……‼︎」

 

 

LP:4000 → 3500(3500 - 3000 = 500)

 

 

「次だ‼︎ マグネット・ベルセリオンで【ティアラメンツ・キトカロス】に攻撃‼︎ 超電磁槍(エレクトロマグネット・ランス)‼︎」

 

 マグネット・ベルセリオンが力強く踏み込んだ足で、地面を蹴った。それによる瞬発力が一気にキトカロスとの距離を詰め、電流を迸らせている槍を突きつけた。

 咄嗟に反応したキトカロスがヒレの手で腹部に届くことを防ぐも、滾り出した電流がキトカロスの身体に襲い掛かる。歯を食いしばっていたことで断末魔は上げなかったものの、耐え切れずにその場に倒れ込み消滅していった。

 

『ご、ごめんなさい……』

「キトカロスまで……」

 

 

LP:3500 → 2800(3000 → 2300 = 700)

 

 

 チクショウ、2体の融合【ティアラメンツ】がやられちまった……2体とも効果で墓地に送られた効果があった上に、それを発動させてあげられなくて申し訳ない……

 

「これで今いる脅威は一旦去った‼︎ 【ライカン・スロープ】で【ティアラメンツ・ハゥフニス】を攻撃‼︎ ファング・クロー‼︎」

 

 【ライカン・スロープ】が毛並みを奮い立たせながら駆け上がり、ハゥフニスへと接近したところで自身の顎の形を取るように両手を上下に動かし、鋭利な爪で彼女の身体を引き裂いた(皮膚が捲られたとかそういうグロ表現はない)。

 

『あべしっ……』

 

 狙って断末魔代わりに呟いたであろうハゥフニスはその場で倒れ込み、先程戦闘破壊された2体と同じように光の粒子となって天に昇っていった。

 

「クソッ……」

 

 

LP:2800 → 2000(2400 → 1600 = 800)

 

 

「【ライカン・スロープ】には、このカードで相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、俺の墓地に存在する通常モンスターの数×200ポイントダメージを相手ライフに与える効果があるが、今の俺の墓地には通常モンスターがないため発動が空振りに終わる」

 

 なるほど……マイナーな儀式モンスターみたいだからそれは知らんかった。通常モンスターの方をも採用することのある【マグネット・ウォリアー】とそこそこ相性が良いから、儀式枠としてそのモンスターを採用したってわけか……

 

「だがどちらにしろ、この攻撃でこのまま何もなければ俺の勝ちだ‼︎ いけ、2体目の【ライカン・スロープ】‼︎ ダイレクトアタックだ‼︎」

 

 攻撃を終えて前屈みとなった【ライカン・スロープ】を踏み台にして跳躍するもう1体の【ライカン・スロープ】。そいつは俺に目掛けてその鋭利な爪を振り下ろそうとしていた。

 けど、このままワンキルされるわけにはいかないんでね。そろそろ抵抗させてもらう‼︎

 

(トラップ)カード発動‼︎ 【パワー・ウォール】‼︎ 相手モンスターの攻撃によって俺が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時、そのダメージが0になるように、500ダメージにつきデッキの上からカードを1枚墓地に送る‼︎ 【ライカン・スロープ】のダイレクトアタックによって本来受けるダメージは2400。よってカードを5枚墓地に送らせてもらう‼︎」

 

 俺のデッキの上のカードが5枚も飛び出し、輪の形になるように並び始めた。するとそのカードを覆うように光の輪が、その輪の中に光の障壁が形成され、【ライカン・スロープ】の爪を弾いて彼を三沢のフィールドに後退させた。

 

「ここで墓地肥やし……まさか」

「一応安心しろ。【ティアラメンツ】カードの効果で墓地に送られる効果は名称ターン1で、ハゥフニスは1枚しか採用してない。融合はもうしないと思うぜ」

「……そうか」

 

 気を引き締めてはいるみたいだが、どうやら俺がこれ以上墓地融合をしないのだと理解してくれたのか、どこか安心しているかのような様子を見せてくれたようだ。まぁ、相手ターンに墓地から素材をデッキに戻して融合なんて想定できるわけないもんな。

 

「まぁこれ以上は動けないから、俺はカードを2枚伏せてターンを終了させてもらうぞ」

 

 

LP:2000

手札:4枚(【ティアラメンツ・シェイレーン】×1、【融合】×1、【壱世壊に奏でる哀唱(ティアラメンツ・サリーク)】×1、【壱世壊に澄み渡る残響(ティアラメンツ・クライム)】×1)

フィールド:

伏せカード×1

 

三沢

LP:4000

手札:1枚(【磁石の戦士γ(マグネット・ウォリアー ガンマ)】)

フィールド:

【磁石の戦士マグネット・バルキリオン】ATK:3500

【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】ATK:3000

【ライカン・スロープ】ATK:2400

【ライカン・スロープ】ATK:2400

【生還の宝札】×1

フィールド魔法【マグネット・フィールド】

伏せカード×2

 

 

 ヤベェ……状況不利じゃん。どないしよ。

 




スカル・ビショップ「え?ウチのエースの【ライカン・スロープ】が使われたんだけど?しゃあない、別のモンスターをエースにするか」(ビショップ本人が本編に確定で出るとは言ってない)
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