あの、マスターに選択肢なんていらないと思うんですけど 作:作刀
1話 女の子のビンタって心が痛むんだね
どうも、俺は
『思い切り蹴破る』
『ドアの前で30分ほど静止する』
目の前に文字が現れ、世界が停止する
これだよ(呆れ)いや、実はさ?俺って生まれた頃からこの選択肢とか言う呪いを持ってるんだよね。ほら、名前もそれっぽいでしょ?で、こんなふうに今目の前に現れてるんだけど……まーじでこいつ余計なことしかしないの。なんだよ蹴破るとか30分静止するとか。アホなんじゃないかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぃぃっ!!?
はい、もう一つがさっさと選ばないとメタクソに頭が痛くなります。ていうか現在進行系で痛いからもう選びますねぇ!?
「弁償するから許して!!」ばごぉん!
『……!!?』
ごめんなさい。でも弁償はするので、許してください……あ、その前に謝って席つかなきゃ……あ、一番前でリっちゃんが寝てる、可愛いな
『無言で席に座る』
『元気に挨拶する』
ぐ、ぐぅぅぅ!!頼むから今は大人しくしててくれ……!!でも選ばないことに始まらないし……無言で席に座るのはなんか感じ悪いし、遅刻した分際で謝罪もなしか、とか思われちゃう。でも元気に挨拶もなぁ……今この状況でするべきではないよなぁ?今するのは謝罪なんだよ、わかるか?なあ、選択肢さんよぉ?
まあ、もう堂々と挨拶しましょうか!!(ヤケクソ)
「どうもぉ!!選拓也でぇぇす!!よろしくお願いしまーすッ!!」
フッ……ああやばい、奇妙なものを見るような視線が辛いです……ほら、一番前で立ってる銀髪の美人さんとかめっちゃ強い視線を……ん?銀髪の美人さん?──いや、可愛いな!?え?カルデアのパンフレットにはあんな人載ってなかったけど……
『銀髪美人の前に跪き、一世一代の告白をする』
『睨まれている。ならこちらも睨み返そう』
すぅぅぅぅ……余計なことすんなぁぁぁ!!!お前マジで、初日から悪い意味で目立たせるんじゃねえよ!?しかもなんだよ告白って、初対面でそんな事できるかぁ!!もう一択しかねぇじゃん!そっちもなんか睨み返すとかだし、こいつ俺が遅刻した側だってこと忘れてないか?
「………」(# ゚Д゚)アアン!?
「……!?」
「……」(# ゚Д゚)ゴゴコゴゴ
「……そこの貴方、遅刻しておきながらその態度は一体どういうことかしら?それどころかドアまで破壊して、非常識にも程があるわ」
「あ、ごめんなさい……」(´・ω・`)
「……さっさと座りなさい。席は一番前の空いてるところよ」
お、あそこはリっちゃんの隣か。いや、いまだにぐっすりしてんな……よし、幼馴染であり気のいい兄ちゃん枠である俺が起こしてあげよう!!
「リっちゃん、リっちゃん、起きて」
「ん、んう……?」
「ほーら、幼馴染の拓也さんだよ〜?」
「んへ〜、たっくん〜……」
あらやだ奥さん。うちの幼馴染すっごく可愛いわ!!でも、今は心を鬼にしてちゃんと起こさないと!……いやなんだよ今のキャラ
「リっちゃん、起きて。起きなきゃキスしちゃうよ?」
「ん〜」
……この娘、起きてるよね?それとも寝ぼけているだけか?だが、この顔、いわゆるキス待ちと言うやつか?え、俺、やっちゃっていいんですか?リっちゃん可愛いから俺としては約得でしかないんですが?でもこの場でしちゃっていいんですか?
「貴方たち、最前列、それも私の目の前で一体何をしているのかしら?」
「いや──」
『リっちゃんにキスしようとしてました』
『リっちゃんにセクハラしようとしてました』
ああああァァァァ!!?そんな言い方したら俺が変態だと思われるだろうが!?しかもリっちゃん寝てるから寝ている間に手を出すクズの変態野郎になってしまう!もう終わったかもしれん。もう正直に言おうかな
「リっちゃんにキスしようとしてました」
「……は?」
『ええええええ!?』
「はいそこ!ええええ!?とか言わない!」
「……」プルプル
「……?」
「最っ低!!」
あ、やばい、銀髪ちゃんが俺の顔に平手打ちしようとしてる。俺は咄嗟にその腕を掴んで合気道の技を使用して投げる。そして投げた銀髪ちゃんをお姫様抱っこでキャッチする
「ごめん、急にひっぱたかれそうになったから咄嗟に腕掴んで投げちゃった」
「は……」
「は?」
「離しなさい!?」
「ぶべら!?」
あかん、せっかく回避したのに結局ひっぱたかれた。身体的には痛くないけど女の子からビンタされるのって結構心にくるんだね。お母さんやリっちゃんには叩かれたことなかったから分からなかった。
「……次何かしたらこの部屋から出ていってもらうわよ」
「はい」
それは勘弁してください。説明は聞いておきたいし。ていうかリっちゃんまだ寝てんの?ああもういいや、揺すって起こそ
俺はリっちゃんを起こして、銀髪ちゃん、オルガマリー・アニムスフィア所長の説明を聞く。まあ色々やらかしてしまったからファーストミッションからは外されてしまった。その後はリっちゃんとその隣にいるマシュ・キリエライト、長いからマシュちゃんって呼ぶことにしよう。で、マシュちゃんに俺達の部屋を案内してもらった。その道中でフォウっていうモッフモフの動物がマシュちゃんの顔面に飛びかかってくるアクシデントが起こったがそれはいつものことらしいから放っておいた。それはそれとしてフォウさんはモフった。意外と懐いてくれた。かわいい
「それでは、私はこれで」
「うん、またね」
「それじゃ──」
『マシュについていく』
『部屋に入ってゴロゴロする』
いや、部屋でゴロゴロするって……休日のおっさんじゃないんだから。でも、マシュちゃんについていくって言うのはどういうことだ?まあ、言葉通りの意味か。まあ暇だしついていこ
「マシュちゃん、俺もついて行っていい?」
「え?」
「管制室に行くんでしょ?俺もレイシフト実験って言うのが気になってさ。見るぐらいなら別にいいかと思ってるんだけどダメかな?」
「たっくんも行くの?なら私も」
「いや、リっちゃんさっきの説明会の時だいぶぐっすりだったじゃん。たぶん疲れてるでしょ?」
「うっ……」
「じゃあ部屋で寝てたほうがいい」
「たっくんがそう言うなら……」
「うん、じゃあそういうことだから。いいよね?マシュちゃん」
「私は構いませんが、所長がなんと言うか……」
「ああ、オルガマリーちゃんか〜……まあ、なんとかなるでしょ」
「分かりました。では向かいましょう」
「うん」
─────────
管制室に来た俺は案の定オルガマリーちゃんにボロクソに言われた。まあめちゃくちゃ説得して見るだけなら許してもらえた
「いやぁ、楽しみだねぇ」
「何を呑気なことを……」
多分、俺もいつかレイシフトをすることになるだろう。いや、一般枠だし普通のスタッフみたいに雑用係とかになるかもしれないけど。お、そろそろ始まるか
『オルガマリーを抱えてその場から離れる』
『嫌な予感がする。自分の部屋に戻ろう』
……お?なんだこれ。嫌な予感?それにオルガマリーちゃんを抱えてその場から離れるってなんだよ。いやでもこういうときの選択肢はなぜか当たるんだよな。何回かこういう事があった。俺が子供の時にリっちゃんと遊んでたらこんな感じの選択肢が出てきて、その時はリっちゃんの手を掴んでその場を離れたんだ。そしたらそこには車が突っ込んできた。あのままそこにいたら俺もリっちゃんも死んでた。だからこう言うときは選択肢のことを信用してる。まあ普段は終わってんだけど
さて、オルガマリーちゃんを抱えるか部屋に戻るか……リっちゃんの件もあるしオルガマリーちゃん抱えて離れよう
「ごめん!オルガマリーちゃん!」
「へ?な、何を──」
俺がオルガマリーちゃんを抱えて飛び上がった瞬間──爆発した。俺は咄嗟にオルガマリーちゃんを守るようにして体を傾ける。幸い、俺の体は異常に頑丈だから服は燃えても体に傷はない。しかし、ほんとに嫌な予感が的中したな。オルガマリーちゃんを抱えて飛んでなかったら死んでたな
「オルガマリーちゃん、大丈夫?」
「い、一体、何が起こったのよ……!?」
「俺にもわからない。けど、かなりまずいね、これは」
「な、なんで急に爆発なんか……?」
「これは……誰かが仕掛けた可能性が高い」
多分誰かが爆弾を仕掛けて今爆破させたんだと思う。何の目的でそうしたのかは分からないけど。そういえば、マシュちゃんは大丈夫なのか?
俺はなっている警報の音を無視して瓦礫をどけながらマシュちゃんを探す。オルガマリーちゃんは蹲ったまま動かないが無理もない。だから俺一人で探すしかない。
「生存者がいたぞ!!」
「たっくんと所長!?」
「な!?リっちゃんと……誰?」
「ボクはロマニ・アーキマン。それより、爆発があったはずだけど、よく無事だったね」
「ああ、生まれつき体は頑丈なんでな」
まあ、そのおかげでクソ選択肢に鬼のように筋トレさせられまくったけどな!!
「ボクは所長を連れて地下の発電所に行く。カルデアの火を止めるわけにはいかない。君達はすぐにここを離れるんだ。そして外に出て外部からの救助を待つんだ!」
「俺はもう少し生存者がいないか探してみる。いないようならすぐに離れる」
「じゃあ私も!」
「分かった。もし生存者がいたら一緒に外に出るんだよ!」
ロマニ君はそう言いながらオルガマリーちゃんを連れて走っていった。俺たちは引き続き瓦礫をどけて生存者を探す。すると、頭から血を流しているマシュちゃんが出てきた
『無事でよかった』
『痛そうだねぇ……』
痛そうだねぇ……じゃねえよ!!今テメェに構ってる暇ねえんだよ!!上だ上!
「無事でよかった」
「これは、無事って言えるのかな……?」
「お二人とも……逃げてください……私はもう、助かりません……」
「そんな事ない!一緒に外に出よう!」
「外に出てすぐに手当てしよう」
俺はマシュちゃんを抱えて外に出ようとする。だが隔壁が閉まったとかいうアナウンスが流れて外には出られないようになってしまった……もう壁ぶち抜くか?
「こんな状況なのに……選さんに抱えてもらって、安心してるんです」
「……リっちゃん、マシュちゃんの手、握ってあげてくれないかな。3人でいれば、もっと安心できるはずだ」
「うん、分かった」
『レイシフト開始まで──3』
レイシフト……?まあいい、来いよ。どんな困難だって、乗り越えてやるよ──
『俺たちの力でな!!』
『仲間と一緒に!!』
テメェいいとこだけ持っていってんじゃねえぞぉぉぉぉぉ!!
ここで俺の意識は途切れた