あの、マスターに選択肢なんていらないと思うんですけど 作:作刀
マルタちゃんを倒した俺は見回りをやめてみんなのもとに戻ってきていた。でも女の子達が起きてた。う〜ん……やっぱ大きな音を立てたのがダメだったか……
「ああ……ごめんね?大きな音立てちゃって」
「マスター!大丈夫だったんですか!?」
「ん?ああ、大丈夫だよ。ほら、傷1つついてない」
「拓也さん、何かあったんですか?」
「黒ジャンヌちゃんのところのライダーが襲撃しようとしてた所に遭遇したから倒した。真名はマルタ。ロマニ君が言うには祈りだけで竜を屈服させた聖女……らしいよ」
「そんな事が……」
「それでね、マルタちゃんが確か……リヨンだっけ?その街に行けば俺たちに力を貸してくれる奴がいるって言ってたよ」
「そんな事を……それで、たっくんはどうするの?」
「俺が決めていいの?」
「うん、聞いたのはたっくんだし、それにたっくんの判断なら従うよ」
「リっちゃん……分かった。じゃあ俺が決める」
『リヨンに行く』
『たぶん罠だ。行かないでおこう』
いや、行く。これは決定事項だ。実際に話した俺は分かる。マルタちゃんは嘘を付くような人じゃない。たぶん本当のことを言ってる。選ぶのは上だ
「リヨンに行こうか。俺は彼女の言葉を嘘だとは思わない」
「だよね。たっくんならそういうと思ってた……だって女の子の言葉だもんね?」
「うん、ぶっちゃけ嘘だろうがほんとだろうが行くっていう選択肢以外はなかったよ。俺が女の子の言葉を信用しないわけないじゃん」
「君、いつか悪い女性に騙されるんじゃないか?」
「まあ、騙されたとしてもこいつなら普通になんとかするだろうけどな」
「そうだね。じゃあ次の目的地も決まったし、善は急げだ。早速向かおうじゃないか」
アマデウスはそう言うが、まだ待ってくれ。せっかく召喚サークルあるんだしサーヴァント召喚しない?一応聖晶石3つだけ手元にあるから
「ねぇ、ちょっとサーヴァント召喚していい?聖晶石は1回引ける分はあるから」
「そうですね。戦力は多いに越したことはありません」
「まあ、それ楽しみです!どんな方が出てくるのかしら!」
「今回はたっくんに譲るよ。それ集めたのたっくんだしね」
「そう?じゃあ遠慮なく」
俺はマシュちゃんの盾を召喚サークルの上に置いて聖晶石をサークルに放り投げる。さぁ、誰が来る!?
「サーヴァントアーチャー。召喚に応じ参上した……君は」
「あ、あんたは……!?」
この人、俺が特異点Fでぶっ飛ばしたアーチャーじゃねえか!?うわっ。気まず!
「あの時はよくも私をバットで打ち上げてくれたね?しかも不意打ちで」
「誠に申し訳有りませんでした」
俺は土下座した。だってこんなとこで来るとか思わなかったんだもん……!
「げえっまさかお前がくんのかよ……」
「青いランサー、まさかお前までいるとは……」
「え、何?二人とも知り合いだったの?ああ、そういや前もなんか言い合ってたもんね」
「まあ、いろいろあったんだよ。とにかく俺とこの赤いアーチャーは相性が悪い」
「その通りだ。こればかりはこの青いランサーと意見が一致する」
「ええ……?ま、まあ安心してよ。えっと……名前教えてくんない?」
「ああ、すまないね。私はエミヤ。そう呼んでくれてかまわない」
「オッケー。エミヤのマスターは俺だけど、槍ニキのマスターはリッちゃんだから。ああ、リっちゃんっていうのはそこの赤い髪の女の子ね」
「そうか。同じマスターの下でないのなら少しはマシだ。だがあまり奴と一緒には戦わせないでくれると助かる」
「はっ、それはこっちのセリフだ。テメェと一緒に戦うなんて想像するだけで鳥肌が立つぜ、うう、やだやだ」
「貴様……」
「あん?なんだやんのか?俺は別にいいぜ?あの時は坊主に譲ってテメェとは決着つけられなかったからなあ!」
「いいだろう。その根性、叩き直してくれる」
『喧嘩はよくない。2人まとめてブチのめす』
『令呪を使って止める』
無視するのもあれなのでブチのめすわ。ていうかそんな事やってる場合じゃねえんだわ。こんな事のために令呪使うのは勿体ないし……(どの口が言ってんだ)まあ2人ならぶっ飛ばしてもすぐ治るでしょ
「喧嘩すんなゴラァ!」
『ぐっはぁ!?』
「おお……見事に2人にアッパーが決まったね」
「流石マスターです!男性2人を一撃で戦闘不能にさせるなんて!」
「エミヤさんの方はわかりませんが、クーフーリンさんはケルト神話の大英雄のはずなのですが……」
「マシュさん。もう拓也さんに常識を求めるのは辞めましょう」
「……そうですね」
君達?言い過ぎだよ?俺にだって常識は──(思い出す数々の奇行)──うん、端から見れば俺奇人変人の類だわ。いやもはや魑魅魍魎の域に片足突っ込んでるかもしれん
『さらに追い打ちをかける。ここはマスターの怖さを分からせよう』
『顔に落書きする。できるだけ面白くしよう』
もうよくない!?1回ぶん殴ったんだから許してあげようぜ!?これ以上追い打ちかけるの可哀想だろ!人の心とかないんか?いや、そもそも人じゃなかったわ。お前ってなんなの?概念?
……まあいいか。で、怖さを分からせるか顔に落書きするか?……落書きしようか。これ以上ボコすのは俺の良心が痛む
「へっへっへ、俺の前で呑気に気絶とは……落書きしてやるぜ!」
俺は槍ニキの額に肉と書いてエミヤの頬に猫の髭みたいなのを描いた。そしてさらに2人に両さんみたいな繋がった1本の太眉毛を描いた。これぐらいでいいか
「ぷ!あはは!2人ともすっごい顔になってる……!」
「ダメ、ダメです。笑っては……!」プルプル
「マスター、これは……ふふ……!」
「拓也さん……」
「まあ!とっても面白い落書きだわ」
「まあ、自業自得だね、これは」
お、意外と評判いいね。リっちゃんマシュちゃんリリィちゃんの3人は笑っちゃってるよ。ジャンヌちゃんは苦笑いしてるしマリーちゃんは感心してるよ。あ、2人とも起きた
「ぶはははは!何だお前その顔!あははははは!ダメだ!腹いてぇ!」
「んふ、お前も随分と滑稽な顔になっているぞ?」
「あ、俺が?」
「ああ、お前もだ。どうやら私たちの顔に落書きをされたらしい。そしてこんな事をするのは……」
「おい坊主、テメェだろ?」
「お前らが喧嘩始めようとすんのが悪いんだろうが。反省しろ」
「……ぐうの音も出ん」
「……悪かったよ」
「ほら、そこに川あるから顔洗え。書いといてなんだけど、その顔で歩き回るのは嫌だろ」
俺の言葉に頷いた2人は川で川に顔を洗いに行った。たく、喧嘩するのはいいけど時と場合ってもんを考えてくれよな
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「あ、マリーちゃんが戻ってきてる」
俺達はリヨンについての情報をマリーちゃんに聞きに行ってもらっていた。帰ってくるのを待っていると、マリーちゃんがこちらに小走りで向かってきていた
「すいません、マリー。私が入ると街は大騒ぎになってしまいますので……」
「気にしないで、ジャンヌ。お互いサーヴァントなんだから、ね?」
「それで、どうだった?マリーちゃん」
「結論から言うと、リヨンは滅ぼされました。そこから逃げてきた難民が住み着いたのです」
「……そうか」
「そして、そのリヨンには守り神と呼ばれる存在がいたんですって」
「守り神……ですか?」
「大きな剣を持った騎士様が怪物たちから街を守っていたんだとか」
「てこたぁ、その騎士っつうのがマルタってヤツの言ってた竜殺しなんだな?」
「恐らくそうだろうな。だが、街が滅んでいるということはその騎士も敗北したということ、相手はサーヴァントだろう。早めに確認しなければ手遅れになるかもしれん」
「エミヤの言う通りだ、生きていることを祈って早く行こう。ワイバーンとかサーヴァントとかがいるんなら倒さなくちゃならない。大丈夫、俺たちなら勝てるさ。必ずね」
「拓也さん……貴方達がいれば勝てる。そう確信しています」
「ふふ、流石拓也さん!私からご褒美をあげちゃうわ!」
チュッ
「……ゑ?」
「……随分と大胆だな」
「ああ、出てしまったか。悪いね。何でもかんでもベーゼするのはマリアの悪い癖なんだ……しかも、今回はよりにもよって相手は選君だ」
「ま、マリーちゃ──」
『あちらがベーゼをしてくれたなら、こちらもし返そう』
『こちらも感謝の意を持って抱きつこう』
──これは、マリーちゃんのほうがやってきたんだから俺からやってもいいんだよね?後から大変なことにとかならないよね!?
キスしてくれたのなら仕返しても文句言われないよね!抱きつくのもいいけど気分的にはキスなのでキスしまーす!
チュッ
「君がしてくれたベーゼのお返しさ」
「きゃ☆拓也さんったら!」
「えへ、えへへ───!?」ゾクリ
な、なんだこの……殺気!?おい槍ニキなんだそのあちゃーみたいな顔は!?そしてエミヤ、なんだその苦笑いは!?ひぃ!?リリィちゃん?ジャンヌちゃん?リっちゃん!?
「あ、ははは?ど、どうしたのかな?」
「ねえたっくん、なにデレデレしてるの?」
「い、いやぁ……?デレデレなんてしてないけど?」
「マスター……じゃあ鼻の下を伸ばしていたのはなぜですか?」
「拓也さん、正直に言ってください」
「はい……デレデレしてました」
「たっくん、後でお話ね」
「……はい」
「マスター、君も大変なんだな……」
「エミヤァ……」
お前だけだよ。俺に寄り添ってくれるのは
赤いアーチャーさんが来ました。これでカルデアのキッチンは大丈夫ですね