あの、マスターに選択肢なんていらないと思うんですけど 作:作刀
「う、ぐぉぉぉぉ……!?」
「お、おい、大丈夫かよ!?」
「成敗完了、ですね♪」
目の前のケミ耳着物美女に強烈な金的を食らわせられた俺はその場で蹲って死にかけていた。たぶん今の俺の顔色は真っ青を超えて真っ白だと思う。レフにやったことが、まさか俺に返ってくるとは……!
『このクソアマが……!調子乗ってんじゃねえぞ!』
『自業自得だ。しかし私は反省しない』
こんっのクソボケがぁ……!!元はといえばテメェのせいでこうなってんだぞ!?テメェがセクハラやらなんやらをさせなきゃ俺はただ女の子が好きなだけの普通(?)の男だったんだよ!クッソ痛みが引かねぇ……!もう下でいい!
「はっ、はは、自業自得ってやつか……しかし反省はしない」
「あら?まだ受け足りないようですね?」
「拓也、アンタある意味スゲェよ……」
「ああ!ウソウソ!めちゃくちゃ反省してる!」
待て!待つんだ!これ以上蹴られると二度と機能しなくなっちまう!そうなってしまえば俺の美女美少女達とイチャラブするという計画が何もかもおしまいだ。そうなる前にテスラをぶっ飛ばしてから聖杯回収して帰らねぇと……!
「はぁ……はぁ……たっく……たっくん!?」
「マスター!?まさかあのマスターが敗北してしまったのですか!?」
「いや、あれどう見ても拓也がなんかしたじゃろ」
「ふむ、よく見れば何やら股間を押さえているような……なぜだ?」
み、みんな!上がってきたのか!だが俺は今この状態だ。みんなは俺に駆け寄ってきた。いや待て!そんな事してる場合じゃない!
「みんな!今すぐ目の前にある階段を登ってテスラを追いかけるんだ!俺は今動けそうにない!」
「う、うん!話はあとで聞くからね!」
「俺は少し、休む……」
俺は目を瞑り、その場に仰向けになった。さて、このメンツなら俺がいなくたって勝てる。指揮は頼んだよリっちゃん。俺はちょっとの間寝る。股間の痛みもそこそこ引いてきたしな。まだ痛いには痛いんだが
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『選君!起きるんだ!選君!!』
「んあ……?」
『やっと起きたね!寝起き早々悪いんだけど今すぐ目の前の階段を登ってくれ!』
「……なんかあったのか?」
『新たな敵が現れたんだ!ニコラ・テスラを倒したと思ったら今度は槍を持ったアーサー王が出てきたんだ!』
「そんなみんながボコられるぐらいつよいのか?」
「いや、今のところこちらが優勢だ」
『じゃあいいじゃん。面倒くさいからいかない』
『ひと目は見ておくべきだ。アーサー王なんだからな絶対女だ』
……確かにそうじゃん!この世界のアーサー王ってアルトリアちゃんだもんな!でも剣じゃなくて槍なのか。まあ女の子なら見に行くしかないよな!
「分かった!今すぐ行く!」
『ああ、頼んだよ!』
俺は階段を5段ぐらい飛ばしながら一気に駆け上がる。駆け上がった先にはリっちゃん達と、ボロボロの槍を持ったお姉さんがいた
「たっくん起きたんだね!」
「ああ、それより、あのお姉さんは──」
「マスター?もし何かすれば……わかってますよね?」
「はい!!」
あっぶねぇ。もし沖田ちゃんが何か言う前に選択肢が出てきてたら俺はまた金的を食らっていたかもしれない。あれね、ほんと耐え難い痛みなのよ。どれだけ鍛えててもここだけは鍛えられない。あ、俺がなにかする前に消えちゃった……これなら何もしないでしたにいてもよかったな……
「ま、終わったならとりあえず下に戻ろうか」
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俺達は地下に戻り、なんだかんだ言いながらも騒がしく会話をしていた。まあ後は聖杯を回収するだけだし、それもいいよな。俺?俺は狐耳の美女、玉藻の前事玉藻ちゃんに股間を蹴られて悶絶していたことについてリっちゃん達に話してたよとまあみんなの反応は『妥当。逆に今までやられてなかったのが不思議なぐらい』という散々なものだった。まあ自業自得なのはそう。まあ俺が2割聖杯8割だけどな
「さて、聖杯回収して帰ろうか」
『そうだね。今からレイシフトの準備をするから聖杯を回収しておいで……待った、何だこの反応は!?』
「ロマニ君?」
『みんな気をつけて!地下空間の一部が歪んでいる……!』
おいおい、まだ何かあるのかよ?……ッ!?何だこの悪寒は、ここまで俺が警戒するのは初めてだ。それほどヤバいやつが来るってのか!俺が身構えていると、前方に人影が現れた
「魔元帥ジル・ド・レェ。帝国真祖ロムルス。英雄間者イアソン。そして神域碩学ニコラ・テスラ。多少は使えるかと思ったが──小間使いすらできぬとは興醒めだ。くだらない、実に下らない。やはり人間は、時を重ねるごとに劣化する」
『ああクソ、シバが安定しない、音声しか拾えない!どうした、何が起きたんだマシュ!?』
「わ、わかりません。ヒトのような影がゆっくりと歩いてきて──」
おいおい、こりゃヤバいだろ。魔力量が桁違いだ。聖杯の魔力を取り込んだ俺よりも更に上!いや、聖杯を取り込んでから疑似界王拳だったりで消費してるから満タンには程遠いけど。それでも並のサーヴァントよりは多いんだぞ?それなのに届かねぇ!
『誰だか知らないが敵ならぶん殴る』
『ここは逃げの一手だ。あんな怪物に勝てるわけがない』
は、はは、いつもなら逃げるなんて論外だって吐き捨ててやるんだが、今は俺一人じゃない。リっちゃん達もいる。皆を守りながらアイツを倒すってのはちと骨が折れる。かと言って逃げ切れるかといえば無理だ。俺一人なら何とかなるがやはり仲間たちを置いて逃げるなんてことはできない。そうなればぶん殴るほうが幾分か可能性がある
俺はぶん殴るほうを選択し、未だペラペラ語っている推定ラスボスに高速接近し、殴りかかる
「チェストォォォォォ!!」
「……決定した滅びを受け入れず、未だ無の大海に漂う哀れな船だ。それがお前たちカルデアであり、藤丸立香、そして選拓也。燃え尽きた人類史に残った染み。私の事業に唯一残った、私に逆らう愚者共の名前か」
コイツ、俺の打撃を弾きやがった。俺の不意打ちは成功率100%だったんだがな……ほかの皆は……あいつの動きを観察してるみたいだけど隙がないって感じか
「そんな!たっくんの不意打ちが通用してない!?」
「マジか……まあいい、お前がレフの言ってた王って奴だな?」
「ん?すでに知り得ているはずだが?そんな事も教わらなければならない猿か?」
「んだとテメェ」
「だがよかろう。その無様さが気に入った。聞きたいのならば答えてやろう。我は貴様らが目指す到達点。七十二柱の魔神を従え、玉座より人類を滅ぼすもの」
「名をソロモン。数多無象の英霊ども、その頂点に立つ七つの冠位の一角と知れ」
「冠位……」
ソロモンか……そりゃまた大層なのがでてきたな。でも俺達のやることは変わんねぇ。つーかここでコイツ倒したら世界救えるんじゃね?何だ、スゲェ近道があるじゃねえか。これを見逃す手はねえよなぁ!!行くぜ!疑似界王拳7倍だぁぁぁぁぁ!!
「隙ありぃ!!」
「なっ──ぐはっ!?」
「さあ来いよ王様。お前の理屈は聞き飽きた。さっさと捻り潰してみな」
「……懺悔は聞かぬぞ、人間!!」
ソロモンはそう言うと複数体の魔神柱を出現させた。おいおいマジか!まあそりゃそうか!七十二柱の魔神を従えるとか言ってたもんなぁ!!
「人間よ、死ぬ前に1ついいことを教えてやろう」
「遺言か?」
「減らず口を。まあいい。魔神どもはこの星の自転を止める楔である。天に渦巻く光帯こそ、我が宝具の姿である」
「天に渦巻く光帯……まさか……あらゆる時代にあった光の輪、は──」
「そうだ、あれこそは我が第三宝具『
やっぱ伊達にラスボスやってねーな。規格外の化け物じゃないか。だが星を破壊するならワンチャン俺でもできる。やりはしないが。俺の戦闘力はドラゴンボールの世界に腰ぐらいまで浸かってるからな
「みんな!俺はアイツをやる!みんなは魔神柱を頼む!」
「了解した。さすがのマスターと言えど、奴相手は骨が折れるだろう。多少の怪我は止むを得ないだろうが死ぬんじゃないぞ」
「マスター!頑張ってください!」
「私はマスターを良くも悪くも信頼しているよ。今はよい方であるが、くれぐれも無茶だけはせぬようにな」
「たっくんなら大丈夫!ここは任せて!」
「わしは何も心配しとらんぞ。どうせまた荒らすだけ荒らして敵を追い詰めるだけじゃろうからな」
「■■■──」
「帰ったら、腕によりをかけて、料理を作ってあげるね!」
頼もしい限りだ。さてソロモン。俺とお前でタイマン張ろうや!とは言っても疑似界王拳7倍はさすがに魔力の消費量がとんでもねえ。短期決戦で行くしかねえな
「人間にしてはよくやると褒めてやろう。しかし貴様、何やら妙なものに憑かれているな?」
「──ッ!?よくわかったな」
「我は過去も、未来も、そして世界を見通す。貴様の事など全てお見通しだ。だが貴様に憑いているものは我もこの目で見たことがない。何だそれは?」
「これは……」
『言う訳ねえだろバーカ!』
『見破られたなら仕方がない。教えてもいいが、その時が奴の最後だ』
冥土の土産にってことか。しかし今まで何度か言う機会はあったが、頑なに言わせようとしなかったこいつがどういう風の吹き回しだよ。まあいいか。知りたきゃ教えてやるよ。知られても別に俺は痛くもかゆくもねぇ
「脳内選択肢。それが俺の中にある呪いだ」
「脳内選択肢だと?」
「ああ、こいつのせいで俺は今までか散々な目にあってきた。俺はたまに(?)奇っ怪な行動をするが、それはすべてこの脳内選択肢に行動を強制された結果だ」
「ほう、続けろ」
「こいつが出てきた時は俺以外の周囲の時間が止まり、2つ以上の選択肢を選ばせてくる。だがこの選択肢がクソみてぇなやつでな。俺に害しか生まねえ。たまに普通の選択肢があるが本当に稀だ」
「それにたぶん死ぬまで俺はコイツに苦しめられる。ま、こんなもんか」
「ハハハハハ!貴様のような下等な人間にふさわしいゴミのような呪いだな!ならば我がその苦しみから解放してやろう」
「確かに苦しめられてる。だが悪いけど、ここで死ぬわけにはいかねーんだわ。だから、死ぬのはテメェだぁぁぁぁぁ!!」
俺とソロモンの死闘とも言える戦いが幕を開ける。だが俺は過去最高に苦戦している。というのもこいつ、あの時出現させた魔神柱以外にもまだまだストックを残してやがった。いや、そりゃそうか。七十二柱だもんな。そのせいで本体を殴る前に魔神柱に攻撃を阻まれる。埒が明かねぇ
「チッ、めんどくせえ!」
「どうした人間。先程までの威勢は!」
「こうなりゃ仕方ねえ。もういっちょ行くぜ!」
「何をしようと無駄だ!」
「かめはめ……波ぁぁぁぁ!!」
かめはめ波で周囲の魔神柱を一掃し、ソロモンに迫る。そして顔面をぶん殴った。けどこんなんじゃ倒せねえ。しゃあねえ。疑似界王拳の出力を上げるか
『フルパワーだ!疑似界王拳、100倍だぁぁぁ!!』
『疑似界王拳、10倍だぁぁぁぁぁ!!』
100倍は死ぬわ!やるなら10倍だ。てことで俺は下を選ぶ。だが10倍でも慣れないうちは筋肉痛とかで疲れるだろうな。だがそんなのは俺が無茶をしない理由にはならない!
「疑似界王拳、10倍だぁぁぁぁぁ!!」
「くっ……!どういうことだ、なぜ人間がそれ程の魔力に耐えられる!」
「俺はちょっと特別なんでなぁ。この程度じゃ死なねーよ!」
「さーて、ここからが本当の勝負だ、ソロモン!」
「いいだろう、来い!選拓也ァァァァ!!」
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「はぁ……はぁ……ぐっ……!」
「ぜぇ……ぜぇ……へっ……!」
俺とソロモン、両者共に膝をついている。俺は疑似界王拳を10倍まで引き上げた反動。そしてソロモンは俺に与えられたダメージの蓄積。そして俺たちの現在地は地上。地下では狭すぎるから俺がソロモンごと地上に移動した
「出鱈目な奴め……!」
「お前に言われたかねぇ……何度も何度も魔神柱召喚しやがって……!まあ、後は俺の仲間に任せる。もう動けそうにない」
「く、フハハハハハ!ならばその仲間とやらが来る前にこの場で始末して……いや、辞めておこう」
「なんだ。慈悲でもくれんのか?」
「そうではない。1つ聞くことがある」
「何だよ」
「なぜ戦う。いずれ終わる命、もう終わった命と知って。なぜまだ生き続けようと縋る。お前たちの未来には、何一つ救いがないと気づきながら」
なんでってそりゃ……俺は可愛い女の子と結婚して幸せな家庭を築いて最期には色んな人に囲まれて死にたいからだな。まあ言ったところでこいつは理解しねえだろうからここはシンプルに……
『童貞を捨ててないから』
『俺はまだハーレム王になってない!』
クッソが。確かにそんな理由もあるにはあるが、ここで言うことじゃないだろ。空気は読もうぜ……って!そういやソロモンは選択肢のこと知ってたな。ならもういいか
「まだ童貞を捨ててないんだよ。だから俺は死ねねぇ!!」
「……実に下だらん理由だ。ならばこれは忠告だ。貴様らはここで全てを放棄することが最も楽な生き方だと知るがいい。灰すら残らぬまで燃え尽きよ。それが、貴様らの未来である」
そう言いながらソロモンは消えていった。はぁ……助かったぜ。まだ戦えるには戦えるけど、疑似界王拳は使えて3倍だ。いやまぁアイツもダメージを負ってたから勝てたかもしれないけど
ていうか、アイツ選択肢のことは知ってるけど俺のする行動が選択肢なのか素なのかはわかんないよな。まあいいか
「さて、この特異点での活動も、これで終わりだな。よし、決めた。10倍でこんなんなってたらダメだ。20倍を使ってもまったく疲れないぐらい、強くならねえとな!」
俺がそう意気込んでいると、地下から仲間たちが戻ってきた。まあ服が破れて上裸になってる俺を見てリっちゃんや沖田ちゃんはすっげえ必死な表情で駆け寄ってきてくれた。愛されてんなぁ
「は、はは、いやぁ、ソロモンやばいわ。今の俺じゃ1人で勝つのはちょっとキツイもんがある」
「そんな、たっくんでも勝てないの……?」
「大丈夫だよリっちゃん。人間は成長する生き物だ。次アイツと戦うときにはもっと強くなる」
「お母さん、大丈夫?」
「大丈夫だよジャックちゃん。でも、俺達はここでお別れだ」
「……また会える?」
「ああ、もちろんさ。俺がカルデアで召喚してあげるよ」
「うん、約束」
「ああ」
ジャックちゃんと指切りで約束をして、俺は小次郎の肩を貸してもらい立ち上がる。そしてロマニ君にレイシフトの準備をしてもらうように伝えた
「まあ、なんだ。短い間だったがそれなりに楽しめた。もし召喚するってんならその時は、応じてやるよ……」
『ツンデレいただきましたー!!』
『あはっ、超可愛い』
あのさぁ……やっぱお前のことみんなにも伝え……くぁwせdrftgyふじこlp!?痛ッ!?あだだだだだだ!?ぐおおおお!?や、やめ!言わない!言わないから!……はぁ、なんでソロモンには伝えてみんなにはダメなんだよ……
「ツンデレいただきましたー!」
「死にてえらしいな。だったらソロモンの代わりにオレが殺してやるよ」
「待て待て待て!?」
「死ねぇ!!」
「ロマニ君!レイシフトォォォォ!!」
「ぬわァァァァ!!」
俺の声が届くことはなく、モーさんの宝具に直撃したその数秒後にレイシフトが開始された。ロマニ君、俺は君を恨む……!
はい、これでロンドン編は終わりです。そして槍王オルタまさかの出番無し。それと、選択肢の存在に気づいてしまったソロモン。まあ選択肢さんは仲間には気づかれないように拓也君を支配するんですけどね。だってみんなに気づかれたらああ、コイツは操られてこうなってるんだなってなるから。同情とかでボコられなくなるんですよ。そんなもの選択肢さんからしたら面白くないですからね。
まあ操られてるけどそれはそれてしてボコりはするってサーヴァントもいそうですけど