アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

13 / 89
みんなヒナちゃん好きすぎやろ


EX2 そうだ、思い出そう

 

空崎ヒナはめんどくさがり屋の典型である。

部屋の掃除などの最低限の行動はできるが、料理などはいつもコンビニ弁当で済ませてしまうようなズボラさも持ち合わせている。

三年生でゲヘナ風紀委員長となった今もそれは変わらない。

いや、今になってからもっとひどくなっている。

 

 

この物語はそんな彼女が二年生時代を()()()()()と過ごしたお話である。

 

 

 

________________

 

「大丈夫か?」

 

「うぇえ.........ぐすっ.........」

 

秤アルトは泣きじゃくる少女をあやしていた。

あやしている、と言う表現は間違いでも何でもない。正しい表現である

 

実際帽子を目深に被った少女はずっと何も言わず泣き続けている。

 

 

「もうやだぁ.........ふうきいいんかいやめる.........」

 

「そう言わずにさ......?もうちょっと頑張って見ない?」

 

「はかりせんぱいときたくぶやる...............」

 

「俺と一緒にいても楽しくないよ?」

 

「.........たのしいもん」

 

 

 

もこもこもっぷの少女_____空崎ヒナは秤アルトにひしっ、としがみつく。

そんなヒナの白い髪をアルトは撫で続ける。

 

 

「......辛い?」

 

「.........うん」

 

身長142センチの体躯がアルトの胸に頭をグリグリと擦り付ける。

まじでこれ流行ってんのかな

 

「う“〜ん......無理に続けさせるのも酷だよなぁ......」

 

アルトとしては頑張って欲しい部分もある。別に風紀委員会を続けてほしい訳ではないのだが、ヒナの面倒を見てくれる子が結構多いからそれを分かって欲しい。

 

 

「......今日はもう帰るか」

 

「..........!うん!」

 

 

話が平行線になる前に話を切り上げる。長々と話を続けては説教臭くなってしまうからな

 

「今日何食いたい?」

 

「秤先輩のご飯」

 

「......グラタンでいい?」

 

「グラタン.......!」

 

 

さっきまでの涙は何処へやら、すでにヒナは夕食のグラタンに思いを馳せてニコニコ笑顔になっている。

 

向かう先はもちろんヒナの私室。

 

そう、この男は当たり前のように女子高生の部屋に向かおうとしているのだ。

これにはもちろん訳がある。

 

「ほら、手」

 

「う、うん.........えへへ」

 

 

ヒナは少し恥ずかしそうにアルトの手を握る。

体躯的にも親子のように見える。

 

 

そう。ヒナの反応を見て分かった方もいると思うが、ヒナの精神はすでに崩壊している。

 

 

度重なる疲労、情報部からの引き抜きによるストレス、環境の変化が限界まで重なり_________

 

 

「はかりせんぱい.........えへへ......すき」

 

「おう、俺もヒナちゃん好きだぞ」

 

 

結果、ぶっ壊れた。

 

羞恥心は消し去られ、まるで幼児のようになってしまった。

 

端的にいえば、普通に目が離せない。この前とか側溝に片足突っ込んだままゴリゴリ歩いてた

 

 

ヒナの崩壊はアルトが気づいた時にはもう遅かった。

ストレスに弱いことは知っていたが、ベアトリーチェとの戦いやらサオリたちのメンタルケアなどが忙しく、留意すべきヒナを疎かにしてしまった

 

 

「ただいまー......いや、居候の俺が言うのは違うか......」

 

と言うことで、こんな状態のヒナをアルトが放置するわけもなく、無期限でヒナの世話係となった。

 

「散らかしとるねぇ......」

 

 

最低限の掃除はされているようだが、それももう何日前だろうか

床にはパジャマが落ち、何だか重要そうな書類が散乱している。窓際には読みかけの本が開いたまま伏せられており、机なんてもう使い物にならないレベルで物が占拠している

 

 

「お布団は綺麗だな」

 

物が散乱しているから汚く見えるが、部屋自体は殺風景だ。

だが、その中にあるメルヘンチックな大きなベッド。

 

 

「秤先輩と選んだから......」

 

「そういえばそうだったな......あー思い出してきた、地獄の二ソリ」

 

 

昔ヒナがまだ中学生の頃一緒に選んだベッド。

まじであの時のショッピングモールは地獄だった。

 

 

家具、家電専門店『二ソリ』

 

いや、俺も思ったよ。『二ト○』じゃんって

 

 

......話が逸れたな。戻そう

 

 

ヒナの寝具を見ようと言うことで中学生の頃2人で二ソリを見にいった時、ショッピングモール自体がぶっ飛んだ。

 

文字通りぶっ飛んだのだ。

原因は爆発。爆発自体はゲヘナでは珍しく無いがゆえ、改装工事が行われる程度で済んだ。

 

だが問題はそこから。

そこから何度か二ソリをハシゴしたのだが、行く先々を爆破されてはハシゴ、爆破されてはハシゴ。

 

結局最後は通販で買ったんだっけ

 

まぁ、そんなこんなで俺はこの出来事を『地獄の二ソリ事件』と呼んでいる

 

 

「......うし。じゃあ掃除と夕飯作り始めるからな」

 

「手伝う」

 

「座ってテレビでも見てなさい」

 

立ち上がって手伝おうとするヒナを抑えてアルトはキッチンへ向かう。

 

 

掃除と料理をテキパキと終えていくアルトを申し訳なさそうにヒナは見つめていた。

 

 

アルトから掛けられたカーディガンをきゅっとヒナは握り締める。

 

 

「.....................」

 

切る時間がなくて伸びっぱなしになっているヒナの癖毛

そこから覗かれる瞳はずっとアルトに向けられていた。

 

 

「______________き......好き」

 

 

 

どれだけ壊れようとも見失わない、一つの答え

 

 

どれだけ時が経とうとも変わることのなかった答え

 

 

 

 

空崎ヒナは、秤アルトが________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「____ちょう.........委員長」

 

 

 

 

 

机に突っ伏して眠るヒナを誰かが揺り起こす。

 

ゆっくりと目を開けると、ヒナの視界に飛び込んできたのは特徴的な服装。

 

 

「.........アコ?」

 

 

「随分とお疲れですね......委員長が居眠りなんて珍しい.........」

 

 

___懐かしい、夢を見ていた気がする。

 

 

「今からでもお休みにしましょうか......?」

 

 

「ん......いや、大丈夫」

 

 

眠さが残る瞼を擦り、意識を覚醒させる。

 

 

少し前は秤先輩に毎日起こしてもらってたっけ

 

 

「今日はバイトの面接があるから」

 

 

もしかしたら、今日のうちに顔を合わせられるかもしれないから。

 

 

 

「ああ、そのことで報告なのですが________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度そのバイトが乗った列車が横転事故を起こしたそうです」

 

 




うわあああああああん!!赤バーが黄色バーに戻っちゃいましたああああああ!!
低評価も評価と受け止めるのは私には辛すぎますぅぅぅぅ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。