アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

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ほんへ始まってからバッドエンドの肥溜め作ると言ったな。あれは嘘だ。もう作っちまった。
よければご覧ください

https://syosetu.org/novel/366622/


EX7 そうだ、またこよう

 

「というわけで、明日帰るわ。」

 

「......来るときも急でしたが、帰る時も随分急ですね」

 

全員がパトロールで出払った風紀委員室にいるのは、アコとアルトの二人だけになった。

アルトは万魔殿と折半した半分の書類を手際よく片付け、暇を持て余して装備の手入れをしていた。

 

 

「委員長には話したんですか?」

 

「帰ってきたら話す......ってさっきから思ってんだけどさぁ......寂しくなってきちゃったんだよね」

 

天井を仰ぎながら普通に弱音を吐くアルト。

 

 

「......意外ですね。貴方がそんな弱音を吐くなんて」

 

「俺だって人間だもん。弱音ばっかりよ?」

 

アルトは別に冷徹な人間ではない。

戦闘時に著しく冷静になるだけで、何も感じていなわけではないし、何なら戦闘中は緊張しっぱなしである。

 

「......うし。帰ろう」

 

再び自分に事実を言い聞かせ、特設されたデスクに乗せられた私物を片付け始める。

ペンやパソコンをケースに入れ、風紀委員会に残された自身の痕跡を消していく。

 

 

「......次はいつ来るんですか?」

 

 

「しばらくは無いかも。あってもまた一年後とかかなぁ......」

 

これからもう少し忙しくなる。自販機のメンテも必要だし......あとはミサキがまた自傷してないか確認と治療もしなきゃ無いしでい結構忙しい。

 

「確かそろそろ先生?みたいなのがキヴォトスにくるんだろ?だったら、もう少しゲヘナの治安が良くなってくれるかもな」

 

   が確かそんなこと言っていた。あいつもあいつで連邦生徒会長なんて御大層な地位をつけられて大変だろうな。

 

「......私はそれで構いませんが、委員長はどうするんですか?」

 

「そりゃヒナの仕事が今以上に少なくなるかも知れないんだから俺は結構嬉しいぞ?」

 

「その『先生』が男性だったら?」

 

「別に性別は関係ないだろ。あ、でも男の人だったら嬉しいな。キヴォトスで俺以外の男は大体ロボットとか犬だからな」

 

アコはその答えを聞いてため息をつく。 

 

 

これだからクソボケは......

 

 

「ん?」

 

「何でもありません。仕事を続けましょう」

 

 

ため息もほどほどにアコは仕事に戻る。

いくらアルトがこの一週間で仕事量を減らしたと言ってもここがゲヘナであることに変わりはない。

依然として銃声は絶えないし、事件も事故も絶えることはない。

 

 

「アコもたまには休めよ?ただでさえキツイ仕事なんだからさ」

 

「心配されなくてもわかっていますよ。ですが私は大丈夫で___

 

 

「嘘つけ。目の下隈隠せてない」

 

アルトは身の回りの整理をしながらアコを労う。

 

「......女性にそういうことを言うのはノンデリカシーですよ......全く......///」

 

 

「はは、すまんすまん。はいこれ」

 

アルトはアコのデスクに小さな袋を置く。

こじんまりとした包装に可愛らしいデザインの袋。

 

「これは......」

 

 

「昨日作ったクッキー。せっかくだから食え。結構上手くできた」

 

そのままアルトは執務室を出る。

 

 

「......アコは、ヒナのそばにいてやってくれ」

 

そんな言葉を、残して

 

 

「.........全く」

 

 

クッキーの入った袋を開けてみる。

中にはいろいろな形に切り抜かれた可愛らしいクッキーが沢山入っている。

 

 

「.......なんでゲヘナに入学しなかったんですか.........先輩」

 

 

アコはそう呟く。

『先輩』と呼び続けながら

 

 

 

____________________

 

 

11時48分。

ゲヘナ中央駅:正門前

 

「忘れ物はない?」

 

 

「おう。部屋のものも全部片した。あんま手伝えなくてごめんな」

 

翌日、アルトはヒナと一緒に帰り支度をしていた。

 

「大丈夫。先輩のおかげで万魔殿もだいぶ大人しくなったし、温泉開発部なんてかれこれ一週間牢屋にいるからだいぶ楽だった」

 

ヒナはアルトの帰宅に嫌がるでも拗ねるでもなく、来た時と同じ笑顔で駅に立っていた。

 

「......なーんかわすれてるような.........あ」

 

 

アルトはそこでようやく思い出したと言わんばかりにスマホを取り出す。

ライズフォンではなく、アルト個人用のありふれたスマートフォン

 

「連絡先交換しよう。これなら前みたいに連絡取れないみたいなこと無くなるし」

 

「えっ.........いいの?」

 

ヒナはそう言いながらもおずおずと自分のスマホを取り出す。

 

「夢だったんだよね。後輩と連絡先交換するの」

 

アルトはそんなヒナに笑顔を見せ、交換用のQRコードを画面に出す。

 

「えっと......じゃあ」

 

ヒナはそれを読み取り、画面にはトーク画面が開かれた。

 

『モモトーク』

この世界に存在するトークアプリ。

 

スマートフォン同士で無料で会話できるチャットシステム。

 

「これでOK。これでようやく連絡が取れるゾ〜」

 

アルトとヒナのスマホにそれぞれの名前が表示される。

 

 

「.........ねえ、せんぱ____

 

 

 

連絡しても、いいだろうか。

 

 

ヒナがそう言おうとした瞬間、駅のアナウンスが響き渡った。

 

「おっと......そろそろ時間か。それじゃあヒナ、短い間だったけどありがとな」

 

そう言ってアルトはヒナに背を向け、改札の前に立つ。

 

 

「......ぁ」

 

短く声をあげ、アルトを引き止めようと手を伸ばすが、届かない

 

またお別れになってしまう。次はいつ会えるだろう

次はいつ、その腕に飛び込めるだろうか

 

 

「あ.......必要じゃなくてもいつでも連絡してくれな!俺が寂しいから!」

 

 

アルトがそう言いながら笑顔でヒナへ手を振る。

 

 

 

「......っうん!」

 

 

彼はそのまま改札を通り、ホームに向かう。

 

 

 

 

「......懐かしいわね」

 

 

彼女は思い返した。別れを思い出す

 

 

 

________________

 

 

『先輩帰っちゃやだ!!!』

 

『いや......俺にも家がありまして......ごめんなぁ』

 

 

________________

 

 

そうやって、先輩を困らせたっけ。

 

あの時は恥も外聞もかなぐり捨てて泣きじゃくって引き止めたっけ。

 

 

「......」

 

 

そうして、ヒナも改札に背を向ける。

 

「またね、先輩」

 

 

そうして、アルトとヒナの短い再会は綺麗な形で幕を________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァァァァァァァァァン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーっはっはっは!!秤アルトはすでにゲヘナにはいない!!と言うことはつまり!!」

 

 

「温泉発掘再開〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

___閉じることはなく、再びゲヘナの日常が戻って来た音がする。

 

 

「......はぁ......」

 

せっかくの綺麗な閉幕が、爆炎に包まれる。

 

 

「仕方ない」

 

 

そうして、ヒナは自身の銃に手を掛ける。

 

 

「めんどくさいけど......容赦はしない」

 

 

その日、電車の発車音と共に響き渡る銃声が再びゲヘナの『いつも通り』の幕を開ける

 

 

 

 

 

 

 

EX そうだ、ゲヘナいこう___完




当初の予定通り7話で終わらせられた。ん、満足
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