では彼は何を_______
「“アルトは、どんな大人になりたい?“」
「......どうしたんすか、藪から棒に」
拳を叩きつける。銃弾を浴びせる
「“アルトは私より大人っぽいから、私ぐらいの年齢になったらどんな人になるのかなって“」
「......別に今と変わんないんじゃないすか?」
効かない。次だ
『アサルトバレット』
「大人になってもきっとアツコ達のサポートとかに追われるでしょうし......別に自分でもここでやりたいこととかないんですよね」
やはり恐怖に対して俺の神秘は届かない。
あの力も使い切った。
俺は名実ともにヘイロー無しになった
「“......じゃあ、アツコ達が卒業したら、シャーレに来る?“」
「......また急ですね」
シロコの蹴りが装甲を抉る。“先生“からのサポートのせいで下手に近づけば一瞬で挽肉にされるだろう
「......それも良いのかもしれませんね......シャーレに就職」
1番や厄介なのはA.L.O.N.Aのジャミングだ。
あれのせいでこっちの能力値を落とされてる
「“私もアルトがいてくれれば心強いな“」
「仕事手伝ってくれるからでしょーが」
「“あ、バレた?“」
「テメェ......」
1番いい勝ち筋はやはり________
「......まぁ、考えときますね」
先生を、しっかり殺すところからだ
ショットライザーから放たれた弾丸はシロコのそばを通り抜け________
先生に着弾した。
『ッ!?』
「先生!」
戦いを放棄するな。
アルトは再びシロコに接近し、飛び蹴りを喰らわせる。
『やめっ___
タブレットに弾丸を放つ。
どれだけ頑丈なオーパーツでもさすがに耐えられなかったようで、しっかりと穴があいて画面が暗転した。
「終わりだ」
あとはあの石像を壊すだけだ。
『“アルトも特撮好きなの!?実は私もいっぱいグッズ集めててさ!“』
初めて出会った日のことを思い出す。
『“やっぱりこう言う趣味を気軽に話せるのは楽しいね!“』
俺も楽しかったよ
『“今日も助けてもらっちゃってごめんね......今度一緒にご飯でも行こうか“』
結局飯行けなかったじゃん
『“けっきょ。く......たより......っぱなし、で.....ご。めん“』
死にかけの癖に謝ってんじゃねぇよ
『......自分のことを優先しろよ』
『......え、へへ......また......心配......させちゃった』
優先しろよ
『“今日は、調子が......良いから散歩......でも行こう』
優先しろよ
『“......ある......と......シロコを.........“』
優先しろ
『“......ありがとう“』
優先して、ほしかったよ
『アタッシュカリバー』
アルトはアタッシュケース型の剣を開く。
弾丸は素の防御力で防がれる。
なら、防御無視で叩き切る
「せん......せい......!」
背部装甲に衝撃が走る。どうやらシロコの弾丸で穴が開いたらしい。
「やめて!!!」
シロコは必死の形相でアルトに迫る。黒色のドレスが軽く土で汚れている。
「あぐっ!?」
アルトは無言で背面に弾丸を放つ。
「......先にお前だ」
『アサルトチャージ』
地面に剣を突き立て、アルトは再びシロコに向き直る。
ショットライザーから流れ出す警告音が静寂の中に響き渡り、うずくまるシロコに迫る
『マグネティックストームブラスト』
アルトは容赦なく引き金を引いた。
「.........じゃあな」
マグネティックストーム
ブラスト
__________________
どこから違ったんだろう
なんで俺たちは戦ってるんだろう
守るべき後輩と
恩を返すべき大人に銃を向けて
殺そうとしているのは何故だろう。
疑問が、止まらなくて
仮面で閉じ込めたはずの涙が、止まらなくて
引き金を引いたままの指が、動かなくて
何が違った
俺がシロコ達と戦ったところか?
先生が色彩に飲まれた時か?
ベアトリーチェと戦ったところか?
___俺が、生まれたところか?
じゃあ、なんで俺は生まれたん
ずぶ
「......あ“?」
背中が熱い。
頭が回らない
熱い
滅茶苦茶熱い
『シロ......コ.........』
なんで先生が動いてる
なんで後ろにいる
なんで、声が聞こえた。
「せん.........ぱい?」
シロコが、信じれられないといった表情でこちらを見上げている。
雨で濡れた表情はさらに悲痛の色に彩られていく
シロコがアルトの左胸を見つめている。
そこで、アルトも悟った
「......痛覚ない......のも......困りもんだな......」
装甲が光の粒子となって消えていく
そのままアルトは前にのめり込むように倒れる
その体からは、すでに鼓動は消え失せている
「......え.........あ.........なん、で.........せんぱい.........」
シロコは漸く銃を置いた。
アルトの胸には___
ビシリ、と何かが割れる音がした
『はーっ......はぁっ......う“ぁっ......』
アルトが撃ち抜いたはずのタブレットには、白く長い髪の少女が嗚咽を漏らしながらアルトへのジャミングを続けている
パキ、とまた割れる音がした
「......あ......あぁ......ぁあ」
シロコ達は理解する。
「おき、て......ねぇ......」
人生はドラマじゃない。
死体が奇跡のように蘇ることは絶対にない
それは、たとえ『
秤アルトは一瞬で絶命した。
最後の言葉を残す余裕も、時間も
「ねぇ......ね“ぇっ!!」
『アルト、さん......っ...』
お前が奪った
『ア.........ルト』
お前の驕りが、奪った
未来を、過去を、可能性を
総て。
「あ“ぁあああああぁああ“ああ“ああああ“ああああぁ“ぁああ“っ!!」
号哭の果てに、隻狼は咽ぶ。
後悔先に立たず。覆水盆に返らず
奪った命は、果たして戻っただろうか?
彼女は望んだ、ジェリコの嘆きを
彼は拒んだ、七つの古則を。
そして我々は望んだ。この結末を