学徒は学んだ。痛みを
学べなかったのは、果たしてどちらか
先生であれ
『“ア......ルト......“』
奪った命は鼓動を失う。
生徒の味方であれ
『“.........殺した?“』
とめどなく血が溢れて、ハイライトを失った眼がこちらを見つめていた
『“私が、刺した“』
嚮導者であるように
学徒を守れ
『さては先生、特撮だけじゃなくてドラマもいける口ですね......?』
『先生先生!!大ニュースですよ!限定発売のプラモが二つも!』
『教師を助けるのだって、生徒の役目じゃないすか』
だというのに、眼前に広がるのは守るべきはずだった未来の塵芥
私が奪った、可能性の塊
『“......なん、で......私......こんな......“』
心配してくれて、私にお弁当を作ってくれた手は、もう冷たくなって動かない
『“生徒を、守るって“』
楽しげに動いたその表情は、凍てついたように時を止めた。
『“......い、や.........“』
一緒に笑い合って、悲しんで、たくさんぶつけた言葉は、もう聞こえない
『“なん、で“』
失ってから、なんで気づくの
失ってから初めて、なんで気づかせるの
『“ね、ぇ......ねぇってば!!“』
石像と相違なくなったその手が、未だ喪った物を求めて伸び続ける
届くはずもないのに。
何故届かぬものに手を伸ばす?何故奪った物を悲しむ?
『【お前が奪ったんだろ?】』
『“ちが、う......私は生徒を......“』
『【アルトは痛かっただろうね。背中から剣を突き立てられて、心臓を一発だよ?】』
『“シロコを、守りたくて......!“』
『【ふーん......じゃあアルトはどうでも良かったんだ。間違った自分をとめに来てくれたのに?】』
『“必死で......!冷静じゃなくて___『【冷静じゃなかったら大切な生徒の未来を奪っていいんだ?へぇー初めて聞いたなァ】』
“先生“の脳裏に響く、
『【面白い自己解釈お疲れ様!そうだよね?自分を正当化するだけで手いっぱい!】』
未だに握られた剣を持つ手が震えている。
だって、シロコを守りたかった。
生徒同士で争うのを、もう見たくなかった
『【そうそう!だってアルトは私のことを殺しに来たんだもん!正当防衛、正当防衛!】』
もう、あんな冷たい表情をしたアルトを見たくなくて、
『【だから殺した!機会を伺って、剣でヒトツキ!】』
あんな、怖い声を聞きたくなくて
『【憎たらしく見えたよね?今まで自分の味方だった都合のいい子供が豹変したんだもの!】』
あんな悲しい顔を、させたくなくて
『【しかも奪ったのはアルトだけじゃない!だってお前は____________
『“アツコすらも、手にかけた!“』
『【怒られて当然!憎まれて当然!恨まれて当然の、お前が!!】』
脳内で補填した自分自身が私の鳩尾に蹴りを入れる。
『【優しくて強くて綺麗な心をぶち壊した!!】』
ごめんなさい
『【何謝ってんの?何に謝ってんの?】』
未来を奪って、ごめんなさい
『【......そーだね。その気持ちがなんで殺す前に出せなかったかな!!?】』
過去を燃やして、ごめんなさい
『【大切な生徒を2回も!!2回もだぞ!?わかってんのかって聞いてんだよ!!!】』
ごめんなさい、ごめんなさい
『【アルトはこんなバカが先生になって、不幸だっただろうなァ......心底同情するよ......可哀想にね】』
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい
『【結局お前は、何も守れない。何も生まない。殺してばっかりだ】』
こんなばかでごめんなさいこんなむのうでごめんなさいこんなごみくずでごめんなさい
_______________人殺しで、ごめんなさい
パキ
『【なら、償え】』
ビキ
『【お前が壊した全部】』
ビシリ
『【お前が殺した全部】』
ガシャン
『【全部全部
纏う瓦礫は崩れゆく。
人の肌が、露出する
望んだ悪意が是ならば。
あの時をまだやり直せるのなら。
『【アルトに、謝れ】』
それが私の贖罪となるのならば
その悪意、甘んじて受け入れよう
いずれかの未来は、いずれかの可能性にあり。
いずれかの幸運は、いずれかの不幸なり
悪意と哀しみの最下層。
このお話は、一度、お終い