アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

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曇らせばっか書いてるからさ、たまにはアルトくんと生徒達がイチャイチャしてるだけでもいいんじゃ無いかって思うんだ。

だけどそうすると大体アルトくんが喰われて終わるんだよ。

その流れを紙に書き出してみると、


いつもの(クソボケ)→甘やかされた生徒ができあがります。→大体壁に押し付けられてアルトくんが喰われます。

この流れしか思いつかない。あいつ弱すぎやろ


第−6話

 

きっかけは、ベアトリーチェとの戦いの後だった。

 

「どうすればいい.....!?血が......ッ!」

 

ベアトリーチェに腹を貫かれたアツコの傷が一向に治らない。

 

このままだと、確実にアツコが死ぬ。

 

今はクラスターセルで腹の傷を塞いではいるが、これも気休め程度にしか機能しない。

 

今ではないが、アツコはいずれ死ぬ。

 

「『願い』も効かない.....っ......神秘の治癒.........!」

 

古書館にあった文献を片っ端から読み漁った。

 

探し始めてから一週間が過ぎた頃、希望を見出した一文が目を過ぎった。

 

 

 

 

 

 

 

『強力な神秘は、別系統の神秘を補填することができる』

 

 

 

 

 

神秘の治癒方法が見つかったわけではない。

ましてや、アツコを救う算段が整ったわけでもない

 

 

今度は、最も純度の高い神秘を探し始めた。

 

 

どうやら一部の学生や、生徒会長クラスになれば高い純度の神秘を持っているらしいが、アツコの神秘は別格に純度が高い。

 

生半可なものでは逆効果だろう。

 

 

 

「......純度の高い神秘......心当たりがあります」

 

 

俺が縋った藁は、皮肉にも俺が憎む人間の1人だった。

 

「私は今アビドスで実験をしているのですが......そこで『ホルス』を確認しました」

 

 

『暁のホルス』

 

その情報だけを探って、俺はアビドスに向かった。

 

本来なら、俺の神秘でも代替可能だった。だが、それには大量の神秘が必要になる。

 

俺とアツコの似通った神秘でさえ、俺の命を捧ぐほどの量が必要。

 

 

やらなかったのか、って?

 

 

やろうとしたに決まってんだろ。

 

だけど、アツコはそれを拒んだ。

 

 

だからもう、この方法しかなかった。

 

 

ホルスを探した。

 

 

一週間経った。

 

見つからない。

 

 

二週間経った。

 

 

見つからない。

 

 

三週間

 

 

一ヶ月

 

 

一ヶ月と二週間。

 

 

 

砂漠を練り歩いて、練り歩いて。

 

苦痛を感じない体にこれほどに感謝したこともないだろう。

 

 

どうやったら見つかる。

 

 

どうしたら見つかる

 

時間がない。

 

 

焦る気持ちを抑えながら、とにかく探して探した。

 

 

 

 

そして、砂漠で泣き声を聞いた。

 

 

押し殺すように、誰にも聞こえないように。

 

砂嵐の中で泣いている、少女を見つけた。

 

 

今、この子を助ける理由も、時間もない。

 

 

だけど、

 

 

「大丈夫か!?」

 

 

どうやら、俺はそこまで非情じゃなかったらしい。

 

そして、俺はどうやらそこまで家族が大事じゃなかったらしい

 

 

時間も、余裕もないのに。

 

アツコに貸してもらった時間を刻一刻と費やして、その子を助けた。

 

 

 

________だからこそ、その子が病院で目を覚ました時、息を飲んだ

 

蒼色の瞳と、暁色の瞳。

 

 

桃色の頭髪

 

 

そして、

 

 

 

『小鳥遊ホシノ』

 

 

 

 

 

 

こいつが、暁のホルス

 

 

 

ついに見つけた

 

 

 

 

 

 

ただただに純粋な、神秘の原型

 

 

 

 

 

 

 

 

第−6話

 

『たとえヒーローで無くとも』

 

 

 

 

 

___________________________

 

 

 

「......んで、俺はアビドスに通って、ホシノの頭髪とか、爪を集めては黒服に抽出してもらって薬を作ってたんです」

 

 

「“.........そっか“」

 

ライズホッパーで道路を駆ける。アビドスとは全く違った、文化的な都市圏

 

「......幻滅......しないわけないか。つまり俺は、自分の家族の命欲しさにホシノを騙し続け、果てには裏切った。最低で最悪の人間ですよ」

 

 

後ろでは俺に捕まってライズホッパーに乗っている先生がいた。

 

先生には、俺がアリウスの生徒だとか、ベアトリーチェの名前とかは伏せた。

......また、俺は嘘吐きだ。

 

 

「“......ううん、そんなことない。だって垓は家族を助けたくてたくさん頑張ったんでしょ?“」

 

「......他人を犠牲にしながら」

 

「“それにしては、アビドスに肩入れしすぎじゃない?自分の最高戦力を投げ打ってまでアビドスを守った、いわばヒーローだよ!“」

 

 

「どっからそんなこと......ヒーローなんかじゃない。俺が知ってるヒーローはもっと......」

 

学校に転校して、親友(ダチ)を作り続けた男を思い浮かべる。

 

俺じゃなくて彼ならば、アビドスも、アツコも、どっちも幸せにできたのだろうか。

 

人間の可能性を信じて、命を燃やし続けた男を思い浮かべる。

 

俺じゃなくて彼ならば、他人と自分の可能性を信じて、ホシノを救えたのだろうか

 

 

 

俺じゃなくて、他の誰かならば、ユメが死ぬことなんて、なかったのだろうか

 

 

「“......もっと?“」

 

「......強くて、優しい人たちばっかりですよ」

 

 

今にも吐き出しそうになる心を仕舞い、バイクの速度を緩める。

 

 

「......ほら、着きましたよ」

 

 

ゲヘナ学園正門

まさかこんなに早くに戻ってくるとは思わなかった。

 

 

「“ありがとう垓!あとは私が頑張るよ!“」

 

 

「んじゃ、ここで待ってますね」

 

 

なぜゲヘナに来たのか?

 

単純だ。ホシノを助けるためにはアビドスじゃ人数が少なすぎる。そのための人員を借りにきた。

 

単体制圧能力が高い俺1人だけいたとしても、物量で押し返されるだろう。

 

 

先生が正門に入っていき、姿が見えなくなった。

 

あとは、待つのみ。

 

 

 

_________________

 

 

 

 

『人殺しッ!!』

 

そう言われた瞬間、妙に納得したんだ。

 

その通りだと、俺は人殺しで間違いない。

 

 

ユメが死んだ後も俺はのうのうとホシノを騙し続け、神秘のカケラを集め続けた。

 

シロコとノノミにつけ込んで、信用させた。

 

 

だからこそ、『人殺し』と言われた瞬間に分かった。

 

 

ユメを殺したのは、間違い無く俺だと。

 

俺なんかがアビドスに来なければ

 

俺なんかが命を大事にしたから

 

 

ユメは死んで、ホシノは傷ついた。

 

何もかもをめちゃくちゃにして、壊して、殺して

 

 

 

『先輩、これがクジラです』

 

『食えんの?』

 

『肉は美味しいらしいね』

 

『ん、クジラ狩る』

 

『買った方が楽では......?』

 

 

『お前ら......』

 

 

でも、楽しかった。

 

嬉しかった。

 

先輩、と呼ばれて嬉しくない先輩なんていないだろう。

 

ホシノと出会った日も、ユメと署名活動をした日も、三人で宝探しをした日も、ノノミと出会った日も、シロコを拾った日も

 

 

どれもこれも、幸せだった

 

だからこそ、その度に俺のヘイローが鋭さを増していくようだった。

 

ズキリ、と痛みもないのに痛みが走った。

 

 

お前は裏切り者だと

 

お前は所詮殺すことしかできないと

 

 

俺自身が、分かっていた。

 

 

だから、嫌われたくなくて、悪い思い出にしたくなくて

 

 

自己満足で、ホシノを助けた。

 

 

 

結果はご覧の有様だったがな。

 

 

今回も結局俺の自己満足の偽善でしかない。ホシノを助けたいと思うのだって、俺がホシノにもう一度謝るためだ。

 

 

だけど________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホシノを助けたい、この気持ちだけは本当だ」

 

 

 

 

誰もいない空間で、そう独りごつ。お昼前の学校だからか、かなり静かだ。きっとみんな今は巡回か授業に勤しんでいる頃だろう。

 

ゲヘナにしては今日は静かだな。

 

 

手持ち無沙汰にキーを取り出して遊んでいると_____

 

 

 

 

「ぎ、ぎゃァァァァァァアァァァァァ!?」

 

 

なんとさっき先生が向かった方からとんでもない叫び声が聞こえた。

 

 

「っ......!?先生!!」

 

 

キーを仕舞い、俺は正門に侵入する。

叫び声が上がったのは風紀委員会の本殿

 

何かが起こりうる可能性は十二分にある

 

 

「今助け.........て...............は?」

 

 

「やっ、やめろぉ......!」

 

「“いほひがなめほっていっらんらほ(イオリが舐めろって言ったんだよ)“」

 

 

......目の前で起こったことのありのままを話すぜ。

 

先生がイオリの前に屈んで、一心不乱にその足を舐めていた。それはもう一心不乱に。あのとんでもない集中力をどうにか仕事に向けられないかと一瞬考えちまったよ。

生徒の足を舐めてる教師っていう大問題から思わず目が逸れるほどの集中力だったんだ。

 

超スピードとか、催眠術とかじゃあ断じてねぇ。

 

最も恐ろしいものの片鱗を、味わったぜ

 

 

「“レロレロレロレロレロレロ......わらひは生徒のためなら誰の足だっていくらでも舐めう“」

 

 

「こっ、この変態教師がァァァァ!!誇りとかは無いのか!?」

 

 

「“そんなものはない“」

 

 

何秒か見物していたが、流石にそろそろ可哀想なのでイオリを助けてやることにした。もちろん写真は撮ったよ。五枚ほど

今の行動で先生への警戒レベルが3ぐらい引き上がったんだゾ。ポは恐怖したゾネ

 

 

「......フタエノキワミアーッ!!」

 

「“ブゴフッ!?“」

 

なんか悦に入ったような先生の横っ腹を蹴り飛ばす。

流石に問題行動だぞ、それは

 

 

「秤先輩.....!?なんでこんなところに......」

 

「すまん、獣を世に放つべきではなかった」

 

 

よくよく考えてみれば先生を1人で行かせるんじゃなかった。最近はかっこよく見えてたけど、こいつユウカの太ももの間に手とか平気で入れるやつだからな。このイケメンフェイスで。頭バグるわ

 

 

「“ひ、ひどい......“」

 

 

「何も酷くないが......?」

 

 

そうこうしていると風紀委員会の本殿から1人の少女が登場した。

 

 

「随分と楽しそうだけど、どうしたのイオリ?」

 

 

「よ、ヒナ」

 

「最近はよく先輩と会うわね......ところでなんで先生は蹲ってるの?」

 

 

「理性を失った獣の妥当な末路だ」

 

足元にはウゴゴゴと唸る先生が倒れていた。

 

脚力の低いキヴォトス人だったことに感謝して欲しいレベルである。

 

「ま、どうせイオリもヒナに会いたかったら足を舐めろとか言ったんだろ?」

 

「い......言いました......」

 

 

「気をつけろ。先生はいつでも本気だ」

 

そんなこんなありつつも、俺たちは本題に入った。

 

 

「......分かったわ。私が出る」

 

「本当か?」

 

 

「今のゲヘナは先輩のお陰で比較的静かになったから。それと、先輩の手伝いができるなら私も喜んで協力する」

 

 

そう言ってヒナはにこやかな笑顔を向けてくれる。その表情はどこか嬉しそうで、どこか照れくさそうだった。

 

「“やったね!“」

 

「おう。おどれが生徒の足さえ舐めてなければもうちょい早く話が進んだがな」

 

 

そんなヒナを他所に2人はすでに撤収準備を始めている。

 

「もう行くの?」

 

 

「ごめんな、あんま時間がないんだ」

 

 

先生にヘルメットを被せ、先にバイクに乗せる。

 

さてはこいつ、意外とバイクを気に入りやがったな

 

 

「.....ところでアコは......」

 

 

「反省文千枚」

 

「おう。可哀想だな(脳死)」

 

多分今ペンを握りながら泣いている横乳のことは一度忘れて俺もバイクに跨る。

 

 

「保険役、今回も頼んだ」

 

 

そう言われるとヒナは嬉しそうに微笑む。

 

「分かったわ。その機会がないことを今回も祈っておくわ」

 

 

そう言ってヒナは2人を見送る。

バイクの音が遠ざかり、ヒナの視界からアルトが消える。

 

 

「......委員長、保険っていうのは......」

 

イオリは興味本位でアルトが言っていた言葉を聞いてみる。

 

 

「......何かあったときに、先輩を殺す役」

 

 

「......は?」

 

 

いきなりヒナが冗談にすらならないことを言い出し、イオリは硬直する。

 

 

「ごめん、冗談」

 

 

そう言ってヒナは踵を返して出入り口に向かって歩き出す。

 

 

その表情は、冗談を言えるほど楽しげなものではなかったことは確かだった。

 

 

 

_____________________

 

 

 

「こ、ここまで装備を固める必要って......」

 

「ん、多分必要になる」

 

セリカは慣れない防弾ベストを着せられ、動きづらそうにしていた。

 

 

「みんなにあってるねぇ」

 

 

「“私は大丈夫なのに......“」

 

「1番貧弱なくせに生意気なこと言ってんじゃないよ。油断したら死ぬんだからな」

 

 

先生も同じように重装備で動きづらそうにしている。

 

「それにしては垓先輩は軽装備なような......」

 

 

「それについては心配しなくて大丈夫ですよアヤネちゃん。先輩はああ見えてホシノ先輩より強いですから⭐︎」

 

その言葉にアヤネは驚愕の表情をあげるが、シロコはうんうんと頷いている。

 

ちなみにシロコも同じく装備をしていない。

理由は色々とあるが、大きな理由としては得意のスピードを殺さないためである。

 

 

「......んじゃ、みんな準備はいいか?」

 

 

「ん。準備万端」

 

「同じくです⭐︎」

 

 

「私も大丈夫よ!」

 

「はい!」

 

 

「“私も大丈夫“」

 

 

ぽっと出の俺に、みんなが協力してくれた。

 

『カイザーが動き出した。それも大隊規模だ』

 

分かってるよ。

 

 

「......言っとくけど、かなり危険だぞ?」

 

 

「承知の上」

 

「.......死ぬかも」

 

 

「焦ったいわね!ホシノ先輩に言わなきゃいけないことたっぷりあるの!」

 

 

「裏切り者の言う戯言かもよ?」

 

「けどその裏切り者がホシノ先輩の居そうな場所を知ってるんでしょ!?だったら協力でもなんでもするわよ!」

 

 

セリカは堂々とそう言い放った。

態度と言葉は怒りの一色だったが、その瞳には確かな優しさが宿っていた。

 

 

「私も、天津先輩を信用します。というか、シロコ先輩達があそこまで懐いてる人なので......」

 

 

「信用されてんねぇ......」

 

 

後方で「ん」と言いながら腕組んでるよあの子。

 

 

「謝るなら、先輩の名前を教えてくれればそれでいい」

 

「あ、それは私も気になってました〜」

 

 

「“そういえば偽名だったよね......“」

 

後ろからの視線がいてぇいてぇ。

 

 

「......そうだな!俺がウジウジしてたってなんも変わんねぇんだった」

 

天津垓(秤アルト)は一度さっきまでのセンチメンタルを切り捨てる。

 

そう簡単に事実は消えないし、アルト自身の後悔だって消えることはない。

 

 

それでも

 

 

「......秤アルト、です。よろしく」

 

 

「......ん、よろしくアルト先輩」

 

「秤先輩ですね⭐︎」

 

 

「わ、私たちはどっちで呼べば......」

 

「別に好きな方で呼んでいいんじゃない?」

 

 

俺が悩んでも、時間は止まってくれない。

俺が尊敬する主人公達だってそれでも進んできたんだ。

 

 

仮面ライダーの名を背負う1人として、さっきまでの自分が恥ずかしいよ。

 

 

「“よろしくね、アルト“」

 

「......よろしくっす」

 

 

めっちゃ嬉しそうにしとるなこの人。

 

 

「あ、あの......ところでホシノ先輩は今どこに......」

 

 

「ん?いや知らんのよね」

 

 

「「......はぁ!?」」

 

 

アルトの言葉に一年ズ2人は思わず声が出る。

 

 

「でも、何か作戦があるんでしょ?」

 

 

「あたぼうよ」

 

待ってましたとばかりにアルトはタブレットを取り出し、机の上に出す。

 

 

「これは......?」

 

「ホシノを連れてったであろうやつのアジト一覧」

 

 

「でもこんなにたくさんあったらどれかわからないんじゃ......」

 

 

「おう、だから全部ぶっ壊す」

 

 

 

アルトは赤い点をその黒い瞳で見つめる。

 

______待ってろホシノ

 

 

 

「全部ぶっ壊して、必ず助ける」

 

 

 




過去編じゃねぇじゃん!と思ったでしょう?

でも紛れもなくアルトくんの過去への固執の理由のお話でもあるんですよ。
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