アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

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この世界のミカは闇堕ちする理由一切ないんですよね。健全ミカです


第九話 聖園ミカ()は強い女の子

 

 

ざぁざぁと降り頻る雨がアルトのコートに落ちていく。

 

 

『ゼロワンドライバー』

 

無言でいつものようにドライバーを腰に装着し、2()()から借りた拳銃を両脇のホルダーに通す。

カチッと小気味のいい音がしてホルダーに二長の拳銃が格納された。

 

 

「“準備できた?“」

 

 

「......うん、万端だ」

 

“先生“は傘もささずに立ち尽くしているアルトに傘を向け、自身も準備ができたと伝える。

 

 

 

「......先生」

 

 

「“どうしたの?“」

 

 

 

 

 

「________________」

 

 

 

 

 

「“......うん。私も、良かった“」

 

 

 

 

 

 

________________________________

 

 

7時間前、病室

 

 

 

「えーと、ヒヨリちゃんだっけ?私のこと覚えてる?」

 

 

「み、ミカさん......ですよね......?」

 

 

ひとしきり全員が落ち着いた頃、ミカはベッドの隣の椅子に座った

 

 

「あはっ⭐︎久しぶり!元気してた?」

 

 

「うぅ......は、はい......」

 

 

圧倒的な『陽』のオーラに気圧されるヒヨリ。まるで生まれたての子鹿のようにプルプルと震えている

 

 

 

「アルトさんはこの前ぶりだね⭐︎」

 

 

今度はアルトに向かって目線を向け、話し始める

 

 

「......怪我、大丈夫?」

 

 

「あー、うん、俺は大丈夫だ。ほら」

 

 

軽く腕を振って見せて自分が大丈夫だと言うことを伝えようとするアルト。

だが、その腕はいつものような動きではなくなんだかぎこちない。逆にアルトが現在絶不調であることをありありとミカに見せつけていた

 

 

「先ほども言ったとおり先輩は重症です。そうやって痩せ我慢をするのはやめてください」

 

 

「......まぁ、ほら、俺は動ければいいからさ」

 

「さて次は左頬を差し出してくださいまだ先輩には治療が必要なようなので」

 

 

「ちょっ!?怪我人だよ!?」

 

 

再び平手を作ったセナがミカに止められながらもペチペチアルトを叩いている。

もちろんその平手に先ほどのような威力はないが

 

 

「もう!ゲヘナはお医者さんまで乱暴なんだから......」

 

 

「ですがこのアホの先輩が世迷いごとを吐いているので治療を......」

 

「確かにそれは同感じゃんね⭐︎」

 

 

ゲヘナとトリニティの間にあった蟠りとミカのゲヘナ嫌いを差し引いてもアルトがアホのクソボケだと言う問題のようが大きかったようだ

 

 

 

「いや、俺は本当に大丈夫で......それよりも、セナは他の生徒の治療に行ってくれ。怪我人だっているだろ」

 

 

「それについては問題ありません。どこぞの先輩がボロボロの死た.........ではなく負傷者になりながらミサイルの影響をほぼゼロにしたおかげで、どこぞの先輩以上の負傷者(死体)はいませんので」

 

 

その言葉にアルトはホッとした表情を作り、またセナにペシペシ叩かれる。当然である

 

 

「というか、そろそろ着替えていいか?」

 

 

「は?なんで?」

 

 

「いや、普通に先生とかに謝罪を......」

 

そう言ってアルトはベットから立とうとするが________________

 

 

「ヒヨリちゃん押さえててね」

 

「は、はい!」

 

 

「なっ!?離しなさいヒヨリィ!!」

 

ここで予想外のヒヨリの裏切りによってアルトは動けなくなる。

さらに上半身をミカに抑えられたことによって完全に動けなくなった

 

 

「それについても必要ありません。先生の方から連絡をいただいておりますので」

 

「その怪我で一歩でも動いたらもっと怪我人にするからね⭐︎」

 

 

「......ハイ」

 

 

おやおやクソボケテロリストよ、情けない

 

 

 

「......本当に、心配なんだよ?」

 

 

「......ごめん」

 

 

ミカがいつにもなく真面目な表情になり、アルトはようやく抵抗をやめて病人らしくベットに横たわった

 

 

 

「......怖くないのか?」

 

 

「何が?」

 

 

「いや、俺はテロリストだし......」

 

「だから何?」

 

 

いつも通りすぎるミカに対してアルトは質問を投げかけるが、ミカはそれを意に返してすらいない。

 

 

「......私を怖がらせて、自分に関わらないようにするつもり?」

 

 

「............うっ」

 

 

痛いところ......と言うより完全に図星をつかれた。

 

 

「......もしかしたら、アルトさんと長く過ごしてなかったらそうかもしれないよ。それこそ、そうやって私を怖がらせようとしてるアルトさんがわざわざ遊びに来てくれなかったらね」

 

 

「......だとしても、俺はみんなの信用を「だーかーら、先輩は信用を全部失ってないじゃん?」......は?」

 

 

 

信用を、失っていない?

そりゃないだろう。だって俺は確かに皆んなを________________

 

 

 

「確かにアルトさんはこんなことをしたし、もしかしたら許してくれない子もいるだろうけど、少なくとも私と、そこのゲヘナの子と、ヒヨリちゃんに先生だってアルトさんのことを見限ってないでしょ?」

 

 

 

「そんなはずないだろ!?俺は今までもらった信用を全部裏切って......」

 

「......本当に信用を裏切れる人が、『信用をもらった』って言うかな」

 

 

「ぁ......っそれ、は......」

 

 

どうにかして反論を返そうとするが、またミカから図星をつかれてアルトは押し黙る。

だって、それは本当のことなんだから。

 

 

「先輩は今までずぅっと、無意識かもしれないけどみんなからの信用をコツコツ積み上げてた。もちろん許すことと信用することは違うから、当然怒られちゃうだろうけど怒ってくれるってことはその人のことをどうにかしたいって思ってくれてる証拠じゃんね?」

 

 

「私も同感です。現に私は怒っていますので」

 

セナが目を合わせてくる。確かに怒っているが、その表情に軽蔑や愛想を尽かした様子はなかった

 

 

「......私も、アルト兄さんにいつも怒られてばかりです、けど、今日は私がちゃんと怒ります.........」

 

ヒヨリもずっと怒ってくれている。だと言うのに、ずっとアルトの手を握ってくれている

 

 

 

「でも、俺がしたのは、許されないことで......」

 

 

「確かに、先輩がしたことは決して許されることではありません」

 

 

セナが痺れを切らしたようにアルトの言葉に被せてそう言った。

 

 

 

「だからこそ、先輩は自分を責めるだけで終わってはいけないんです」

 

 

自分を、責めるだけ?

 

 

 

 

「自分を責めて、閉じこもるだけなら誰だってできます。ですが、まだ先輩が信用を取り戻したいと思うのなら_______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ、できることがあるのではないですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ほんとにアルトさんにも困ったよねぇ〜......」

 

 

「全くです。あのクソボケに効く薬でも調合しようかと思うほどです」

 

 

「そんなことできるの?」

 

 

「......冗談です」

 

 

「.........あはっ、あなた面白いね⭐︎」

 

 

「......先輩のこともそうですが、あなたは大丈夫なのですか?」

 

 

 

「.......何が?」

 

 

「あなたに向けられた誹謗中傷がすでに嵐のように広まっています。『あの魔女が災いを連れ込んだ』と言う書き込みがすでにSNSで大バズりしています」

 

 

「......そう言うのって遠回しに伝えるのがマナーじゃないの?やっぱりゲヘナの子は変なんじゃない?」

 

 

「申し訳ありません、遠回しな言い方が苦手ですので。それより、大丈夫なのですか?」

 

 

逡巡

 

 

 

「んー......」

 

 

まるであの人のように

 

 

 

「まぁ、大丈夫だよ。今の私にはみんながいるから」

 

 

あの人が気づかせてくれたように

 

 

 

 

「私、こう見えて強いんだよ?」

 

 

 

 

 

 





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