アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

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新章開幕!!


第十四話 紛い物と本物

 

 

「“そっちは解析に回して。うん、ありがとう“」

 

 

ガヤガヤと人の声が重なって響く中、先生は携帯を耳に当てながら的確に指示を飛ばしていく。

 

 

「いやぁ、大忙しっすね、先生」

 

少し肩を回して伸びをする先生のもとに、糸目で黒色の制服を着ている生徒が後ろから近づく。

 

「“イチカ......ごめんね、こんな時に駆り出しちゃって“」

 

 

「いえいえ、先生に恩を返せるタイミングだ〜ってみんな張り切ってるっすよ」

 

 

先生の目の前には大量のモニターがあり、それが全てシッテムの箱に接続されている

 

 

シッテムの箱からさまざまな現場に指示を飛ばすための先生の『切り札』の一つであり、アルトが考案した戦闘スタイル。

 

 

脆弱な肉体を持っているくせにやたらと前線に出ようとする先生が安全な場所にいながら多数に指示を送ることができる戦法であり、シッテムの箱の弱点でもある『大多数の生徒を一気に動かすことができない』というデメリットを取り払った戦術である。

 

 

 

「......すごい隈っすね」

 

もちろん代償がないわけではない。

モニターを見続けることによる眼精疲労はもちろん、先生による戦術指揮は先生の精神力のもとその効力を発揮する。

 

だからこそ連続戦闘は先生の体力、精神力、集中力を著しく消費することによって成立するものであり、それによる疲労は相当なものだろう。

 

「“あはは、こう見えて元気だから心配しないで......あともう少しだから頑張らないと。アルトが待ってる“」

 

 

 

先生はさっきまで指示を飛ばしていたモニターから目を離し、今度はシッテムの箱に目線をうつす。

 

 

「......あの人もすごいっすね。まさに八面六臂の大活躍って感じっす」

 

 

戦闘開始からすでに1時間が経過した

 

順調にアルト達が古聖堂に近づけている。

 

 

「“......そうだね、すごいよ“」

 

 

齢18歳の少年が、前線を張って戦い続けている。

自分の身の危険を顧みず、その怪我を負いながらずっと戦い続けている

 

 

「“だから、私も頑張らないと“」

 

 

アルトがせっかく作戦を立ててくれたんだ。

私がそれを成し遂げるための歯車になるのなら、喜んで協力する

 

そう思い、先生は再び意識をシッテムの箱に集中させる。

 

 

 

 

「“......ところで、ミカ達はどこに行ったの?“」

 

 

「ミカ......ああ、ティーパーティのお三方っすね。それならさっきあの筋肉の人を連れてどこかに......」

 

 

......まぁ、あの三人にあの人もいれば心配はないけど......

 

 

 

なんだか、胸騒ぎがする

 

 

 

________________________________

 

 

 

 

 

「兄さんは後ろ」

 

「いや、俺が前線張らなきゃ......」

 

「ヒヨリ、押さえてて」

 

 

「わ、わかりました......!」

 

「ム“ゥ......」

 

 

順調に古聖堂の内部に入ったアルト達は、軍隊となって押し寄せるユスティナを押し除けながら聖堂内を進んでいた。

 

サオリが最前線を張り、中距離からミサキが援護。

ヒヨリがいつも通り後方から狙撃。アルトは適宜防御用のクラスターセルをばら撒く。

 

 

この戦法で体力を温存しながらここまでくることができた。

三人とも怪我だらけではあるが、それは巡行ミサイルによる怪我がほとんどでそれ以外の傷はほとんどなかった。

 

 

いつも以上のポテンシャルで前線を張るサオリ。

 

いつにもなく怒りの感情を滲ませながら補助拳銃のトリガーを引いていくミサキ。

 

自分が前線を張ると言って聞かないアルトを引きずるように運ぶヒヨリ。引きずられながらブツクサ文句をいうアルト。

 

 

 

「いや、さっきまでみんなで頑張るって感じだったじゃん......俺さっきから何もしてない......」

 

 

「アルトの遮蔽物があるだけで何倍も戦いやすい。それがなければ全滅もあり得ていた」

 

「こう言う雑用は道具に任せておくのが持ち主ってものじゃないの?」

 

 

確かに2人が現在絶好調なのはわかるが、やっぱりみんなのお兄ちゃんとして妹に任せて何もしないってのは......

 

......よし、こっそりこっそr

 

『“次勝手に前線出て勝手に怪我したら本当に私がいくからね?“』

 

「身勝手な私で大変申し訳ありませんでした」

 

 

そうだった。俺今監視されてるんだったわ

 

 

『“もうヒナの方が終わったみたいだから、アルトの方に向かわせるね“』

 

「い、いやぁ、ここは元々俺1人でじゅうぶn『“む か わ せ る ね ?“』アッハイ」

 

 

監視の目、また追加です

 

 

「......よし、ここはもう大丈夫だ」

 

 

どうやら三人の雑魚殲滅が終わったようだ。

 

 

「他の学園が露払いをしてくれてるからか、そこまで苦じゃなかった」

 

ミサキの言う通り、先生の多重指揮によって強力なユスティナは全て聖堂外で処理された。

 

 

「アンブロやらとやり合わずに済んだのはめっけもんだな」

 

 

アレをマエストロさんは失敗作と言うが、俺たちにとっては十分脅威だ。

 

 

「それじゃ、一旦待機で________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『HIT!』

 

 

 

 

『シンクネットライズ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『製造過程不明のプログライズキーを確認』

 

 

ユスティナ達は掲げたプログライズキーをどこからともなく取り出した『ショットライザー』と『スラッシュライザー』を模したライザーに差し込み、ノータイムでトリガーを引いた。

 

 

するとそこから登場したのはさっきまでのシスター姿の亡霊ではなく、打って変わって完全に機械的な見た目になった兵士たちの姿だった。

 

 

 

 

 

「......マジかよ」

 

 

「あ、アルト兄さん、アレって......」

 

 

先ほどサオリ達に一掃されたユスティナ達が立ち上がった。

 

弾丸で体に空いた穴をそのままにしながら、緑色を基調にしたバッタの意匠を凝らしたプログライズキーを掲げながら、大多数が再び蘇る

 

 

「......先生」

 

 

 

アルトは静かにゼロツープログライズキーを取り出す。

 

 

 

「やっぱり早めに来てくれると、助かるッ!」

 

 

 

『クリエイト』

 

 

 

まだおぼつかない足で地を一気に踏み、サオリとミサキを抜いてプログライズキーを掲げたままのユスティナに肉薄する

 

 

見たことのない形状のプログライズキー、一見ショットライザーとスラッシュライザーにしか見えない二つのドライバー

 

 

初見だからこそ

 

 

 

 

「何もさせずに、ぶっ潰す!!」

 

 

 

体に防御用のクラスターセルを纏わせながら一気にユスティナの腕を、体をホッパーブレードで断ち切る

 

 

だが、いかんせん数が多い!

 

 

「アルト!」

 

「いきなり飛び出さないで」

 

 

ナイフによる近接戦闘でサオリがユスティナと俺の間に割り込んでくれたおかげで単独孤立だけは免れた。

 

 

 

「......アレは、アルトの......」

 

 

「おそらくあのババアが作ったやつだ。まぁ、俺の技術を盗まないわけねぇもんな」

 

 

 

アルトは一度ホッパーブレードとアタッシュカリバーを地面に突き刺す

 

 

 

「自販機、アレ出せ。1,000%の方」

 

 

誰にも聞こえないように呟くと、ゼロツープログライズキーが一瞬淡い光を発し、アルトの手に金色の刃をした刺突型の武器が生成される

 

 

『サウザンドジャッカー』

 

 

「自販機、解析した分は全部先生に回してくれ」

 

 

 

 

後ろに2人がいる。

今は、肩に力を入れずに戦えそうだ

 

 

脚部にだけ『ライジングホッパー』の装甲を纏わせ、視覚では反応できない速度で変身したユスティナに突撃。

 

 

 

『ジャックライズ』

 

 

そのままショットライザーのようなガジェットに剣を突き刺し、柄に当たる『ジャックリング』を一気に引き抜く

 

 

そのまま切先に力を込め、一気に貫く。

 

 

『ジャッキングブレイク』

 

 

そのまま倒れる装甲の襟部分を掴み、引き寄せる

 

 

 

「どうせ聞いてるだろうから言ってやるよ」

 

 

その向こう側にいるであろう、敵に向けて

 

 

 

 

「......紛い物が本物に勝てると思ったか?」

 

 

 

それは、どちらにも向けられた言葉ではあったが

 

 

 

「首洗って待っとけ」

 

 

 

_________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早く逃げなければ。

 

 

いくら高スペックの量産型とはいえあんな単調な動きでは秤アルトを倒すどころか時間稼ぎすら怪しい

 

 

 

「っ......はやくっ」

 

 

トリニティの制服を着た少女は、いつもの送迎車に向かってさらに歩を早めた。

 

 

 

「ねぇ、そんなに急いでどこいくの?」

 

 

 

後ろから、溌剌としたよく通る声が響いた。

 

 

「み、ミカ様には、関係ありませんので......」

 

 

 

「あはっ⭐︎関係あるよ」

 

 

こつ、こつと広い駐車場にヒールの音が響き渡る

 

 

「......ずいぶん大荷物じゃんね?どこ行くの?」

 

 

すでに距離は目と鼻の先。

 

 

この、ままでは

 

 

 

「さ、先ほども言ったとおりあなたには関係ありません!」

 

 

「いえ、確実に.......先輩風に言わせていただくと『1,000%』関係あります」

 

 

逃げようと送迎車に向かった先には、今度は桐藤ナギサが登場した

 

 

涼しい笑みを浮かべているが、その瞳の奥には笑いなど一切なかった。

 

 

 

「君に、私からも少し話があってね」

 

 

さらには送迎車の中から現ティーパーティーホストの百合園セイアまでもが現れる

 

 

 

「っ......私、は......」

 

 

「どうか、ご同行願えるかな?」

 

 

 

 

「.........私はっ!楽園に行くんだッ!!」

 

 

荷物を投げ捨て、少女は三人のいない方向に向かって走り出した。

 

 

 

だが___________________

 

 

 

 

「きゃっ!?」

 

 

「ご協力お願いいたします!」

 

 

「離せっ!!離してっ!!」

 

 

 

少女は突然現れた筋肉の化身に抱えられる。

まるで岩のような筋肉を前にして、少女の抵抗など児戯にも等しかった

 

 

 




戦闘描写苦手すぎる……


あ、R18版製作中です
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