アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

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デカグラマトンパート2ッ……シュポガキ実装……ぅ……石無いッ……タイムリーにアツコの香水……


石無い!!金ない!!だずけでっ!!


第十六話 秤アルトとゲヘナシナシナシロモップとアビドスオジサンユメモドキと先生

 

 

データは先生に送った。武器も通る。

こいつらの動きは単調だから凡ミスさえなければ取り囲まれることもない

 

 

だが、

 

 

 

「いかんせんっ数が多いなぁっ!!」

 

 

剣を振れども振れども一向に数が減らない。

 

 

倒しても倒してもカタコンベの奥から出てくる出てくる

 

このままじゃ埒が開かないが、かといって何か方法があるわけでもない

すでにカタコンベの内部に入ってしまっているため、ゼロワンドライバーは使えない

 

 

ジリ貧になるわけでもなく、逆にこっちが好調というわけでもない

 

 

 

所謂、硬直状態

 

統率が取れた動きだからこそ戦いやすく、それに対して迷いなく向かってくるからそこはかとなく厄介

 

 

「しゃがんで」

 

 

「うおっ!?」

 

 

ミサキの声が一瞬聞こえて、それに従った瞬間目の前が白い閃光と熱風が駆け巡った

 

 

「......やっぱり、ダメか」

 

「撃つ時は一声くれよぉ......病み上がりなんだよぉ......」

 

「兄さんが大人しく後ろにいないのが悪い」

 

 

再びむすっとした表情で転がったアルトを物陰に引きずる。

そしてぱぱっとアルトの体についた土汚れを手で払い、汚れている白色のコートをミサキは見つめた

 

 

 

「......どした?」

 

 

「......別に」

 

 

土汚れに紛れてこびりついている、赤い斑点。

アルトの血液がすでに洗っても取れないほどに固着してしまっている

 

 

「......ほんと、馬鹿じゃないの」

 

「......ハイ」

 

 

ぎゅっと握りしめたコートの端から手を離し、ミサキは障害物である小さな岩から顔を少し出す。

 

「......多すぎ......」

 

 

ゴツゴツと額や頬に銃弾を受けるが、通常の弾丸より多少痛い程度で特に目立った殺傷性も特殊な弾丸でもない。

威力は、さっきのアサルトライフルと同程度。それならばあのナイフのようなガジェットもそれほど大きいダメージを叩き出せないだろう

 

 

「......なんというか、攻め方が気持ち悪いな」

 

「やたらめったらに攻撃しないように命令してるんでしょ。現に今も牽制だけで、積極的に距離を詰めに来ない」

 

 

銃弾を額に食らったことでついた石の破片やら土埃やらをぐしぐしと拭いつつ、ミサキは『セイントプレデター』に弾頭を込める。

 

アルトもサウザンドジャッカーを再び握り直す。

 

 

「......けほっ......えほっ、ゲホッ」

 

だが、やはり万全とは程遠いアルトの体調。

さっきから咳の回数が増えている

 

 

「......咳、つらそうだね」

 

「......スゥー.........ケホっ、まぁ、死ぬほどってわけでもないし.........ペッ」

 

 

ネオシーダーの苦い煙を吸い込み、それによって口内に溜まる痰をアルトは吐き出す。

 

 

「......酷い匂い」

 

「.........マジごめん」

 

 

「別にいいよ。酷い匂いだけど......この匂いは......」

 

 

この匂いは、兄さんがいる証拠でもあるから、私は好き

 

 

 

そんな言葉が喉に出かかり、ミサキはその言葉を結局飲み込む

 

 

ここは戦場だ。こんなことを言っている場合じゃないことはミサキも重々承知だ

 

 

「......別に、嫌いじゃないから」

 

 

いつものように感情が出てこない瞳をアルトから背けながら呟く

 

 

「......さぁて、先生の到着までにどんぐらい片付けられるかな」

 

「無尽蔵すぎてもう数えてない」

 

 

「ま、なんとかなるで、しょ!!」

 

 

背後から変身したユスティナの気配を感じ取り、アルトは障害物ごと斬撃を放つ

その攻撃に合わせてミサキも補助拳銃のトリガーを引く

 

双方背中合わせで隙がない。だが、やはり凄まじい物量。だんだんと押され気味になっている

 

 

「っ......はぁ......」

 

「げほっ......」

 

 

量が多すぎる

 

変身してるユスティナに加えて、通常のままのユスティナがそれを押し出してくる。

捌ききれないということはないが、サオリとヒヨリとうまく合流できないせいでうまくコンディションを引き出せない

 

「......多すぎ」

 

「これでもだいぶ減らした方なんだけどなぁっ!」

 

 

正直、体調がキツくなってきた

ライダーシステムによる補助が効いていないのもあるが、痛覚がないだけで怪我事態はどうやら酷いらしい。

 

 

体が若干グラつく。

 

 

呼吸は乱れるし、演算視が正常に機能していないのか視界もなんだか灰色がかってよく見えない

 

 

「っ......やべっ」

 

不意に、アルトは踏み込みに失敗して左足を滑らせた。

 

すでにユスティナのスラッシュライザーがその隙を狩らんと振り下ろされている

 

 

 

 

「っ!兄さ.......!」

 

 

 

これ、マジでやば____________

 

 

 

 

 

まるで他人事のように斜めっていく視界に、ユスティナの凶刃が

 

 

 

 

 

 

 

ガギッ____________________

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい先輩、遅れた」

 

 

 

「すみません、遅れました。先輩」

 

 

 

 

 

 

 

_______突き立てられることはなく、代わりに響いたのは金属同士の擦れる音と、LMGのような連続射撃音に続いてショットガンのような射撃音だった。

 

 

「......ここからは、私が引き継ぐ」

 

 

「うへっ、やっぱまた無理してるし......」

 

 

 

倒れる寸前のところで背中を支えられる。

 

 

どうやらアルトよりも()()()()()()()()が支えてくれたようだ

 

 

 

 

 

「ヒナ.........ホシノ、まで」

 

 

 

灰色からだんだんと色彩を取り戻していく視界に映ったのは、アルトが信用を積み立てた2人だった。

 

 

「もう、大丈夫」

 

「うん。ここからは私に......私たちに任せて」

 

 

 

ヒナは再び『終幕:デストロイヤー』をユスティナに向け、神秘を込めたトリガーを引いた

 

 

圧倒的な弾幕が有象無象を粉々にするまで続く。その弾丸を放つヒナの表情は、いつも以上の気合に満ち溢れていた。

 

 

 

「ほら、フラフラじゃん」

 

 

「......ありがと、ってかお前、髪切った?」

 

 

 

「うへ、まぁ、気分転換ってかんじ?」

 

 

久々にあったと思えば、ホシノの頭髪は昔のように短く切り揃えられていた。

相違点があるとすれば、少し襟足を伸ばしてウルフカットのようにしているところだろうか

 

 

「やっぱり似合ってるよ。まぁロングも可愛かったけど」

 

 

「うへっ!?ま、またそんなのばっかりぃ......」

 

ホシノは口角を上げながらアルトが立てるように手を伸ばす。

 

伸ばされたホシノの手を取ろうとアルトは手を伸ばすが___________

 

 

 

「早く立って」

 

「おわ」

 

その寸前でホシノとアルトの間にミサキが割って入り、アルトの手を掴んだ。

 

 

「......誰」

 

「あー、俺の後輩。アビドスの子だよ」

 

 

「ふーん......」

 

 

ミサキは取った手を離さずに、ホシノをじっと見つめた。

 

 

「よろしくね〜、私のことは気軽におじさんって呼んでくれていーよー♩」

 

 

「......戒野ミサキ」

 

 

双方短く自己紹介を済ませた。

 

 

「これで、終わり」

 

 

そしてヒナの掃射もどうやら終わったようだ

 

 

「ゲヘナの風紀委員長まで......何人堕としてきてるんだか」

 

「人聞き悪いなぁ......」

 

 

失礼だな、俺にだって友達くらいいますよミサキさぁん

 

 

「アルト!無事か!?」

 

 

「お、サオリ」

 

さっき分断されたサオリがアルトの元に駆け寄る。

息を切らしながらアルトの傷が増えていないか頬を掴んで確認。くすぐったさは普通に感じるからこそばゆい

 

 

「大丈夫だよ、2人が来てくれたし」

 

「そうか.......感謝する」

 

 

サオリはマスクを顎までずらしながら2人に深々と頭を下げる。

 

 

「あ、あはは、まぁいつものことだからねぇ」

 

「感謝されるようなことはしてない......」

 

 

2人は若干恥ずかしがりながらそう言葉を返す。実際2人は『護る戦い』になれている。

しかもそれを褒められることなど日常にほとんどないため、なんだか新鮮な気持ちになった

 

 

「本当にな。ありがと、2人とも」

 

 

アルトはそう言って2人に手を伸ばしかけて、腕が止まった

 

 

「あれ......あーだめだ、これ以上上がんない」

 

 

空いている左腕がギシギシと音を立ててそれ以上上がらなくなる。

 

戦闘中は特に気にしていなかったが、おそらく筋肉裂傷が起こっているだろう。

 

まぁ、腱が裂けなければ安いだろう

 

 

「ああっ、委員長ちゃんの足がまるで生まれたての子鹿のように......」

 

「私がまた.....遅かったせいで.........(ガクブルガクブル)」

 

「なんでどうして?!」

 

「ナデテ......ナデテセンパイ......」

 

「これ撫でてあげたほうがいいんじゃないの!?」

 

「えっ!?そういうシステム!?」

 

 

とりあえずアルトはミサキに掴まれていた手を一度離し、足をガクブルさせているヒナの頭やらほっぺやらを両手でなでなでする。

 

すると、

 

 

「......ふぅ、ごめんなさい先輩、もう大丈夫」

 

「そ、それはよかった?」

 

 

なぜかさっきまでシナッシナだった髪の毛に色艶がました。震えも止まっているようだし、安心、か?

 

うおっ、まるで天使のような笑みが......

 

 

「.........ん」

 

「おうっ......どしたの」

 

 

それに続いてなぜかミサキが肩に頭を押しつけてきた。

しかもいつもの伝統芸である『頭グリグリ』まで追加してきた。これなら俺でもわかるぞぉ

 

 

「よしよし、ミサキもありがとな」

 

 

今度はミサキの頭もナデリナデリ。マスクで表情は遮られているし、そもそも無表情なミサキだからあまり感情は読めないが、おそらく喜んでくれてはいるだろう。

 

 

「......ほら、サオリいいぞー」

 

さっきから物欲しそうにこちらをチラチラ見ていたサオリに向かって空いている片手を伸ばす。

 

 

「い、いや、私は......」

 

「いいから、休憩」

 

 

そう言うとサオリはおずおずと近づき、頭の上にぽす、と俺の手を乗せた。

 

 

「あは、よしよし、いいこいいこ」

 

 

「っ......あ、あまりそう言うのは......」

 

いやぁ、なんだこのかわいい生き物。

 

実は俺の妹達なんだぜ。マジかよ

 

 

「......せ、先輩......わ、私も......」

 

 

「あ、確かに......ホシノもかもぉん」

 

 

「う、うへぇ......あったかい..........えへ......」

 

 

昔のような厳しい表情ではなく柔らかな表情でホシノは撫でられている。

 

あーっやばいです、かわいいの過剰摂取で砂糖吐きそう

 

 

 

「.........(頭ゴスゴス)」

 

「ごめんて......」

 

「ぁ......」

 

「あぁごめんごめん......」

 

「う、へ......終わっちゃった......」

 

「ぬぁぁ......」

 

「あぅ.......(ガクブルガクブル)」

 

「ん“ん“...... 」

 

 

だめだ、手が足りない。

4人に対して腕二本は少なすぎる......

 

 

「あーぁぁっ!!みなさんひどいですぅっ!!私だけ置いていってぇ......!」

 

 

「おお、なんか足りないと思ったらヒヨリか」

 

「ちょっと前まで2人で頑張ったじゃないですかぁ?!」

 

 

いやぁ、やっぱりこう言う大型犬的可愛さも補充補充。

 

「こんなんなんぼあってもいいですからねぇ〜」

 

「うぅ......どうせ私はアルト兄さんの役にも立てないお荷物ですよぉ......」

 

「ちゃうよぉ......」

 

 

ひしっとしがみついてきたヒヨリも丁寧に撫でる。

 

 

「......ふへっ、ありがとうございます......やっぱりアルト兄さんは優しいですねぇ......」

 

 

「流石の湯たんぽだ、あったけぇ」

 

「湯たんぽ扱いですかぁ!?」

 

 

体温高いからしがみつかれると安心するんだよなぁ

 

 

「......ヒヨリ、引っ付きすぎ」

 

「あうっ......」

 

「アルトはこれでも病み上がりだ。あまり負担をかけてやるな......」

 

「は、はいぃ......」

 

 

2人からちょっと詰められてヒヨリが涙目になっている。俺は別にいいんだけどなぁ

 

 

「“おぉーい......待ってよぉ〜......“」

 

 

「あ、先生!」

 

「“はぁ......はぁ......デスクワーカーなのバレる......“」

 

 

先生は通路の奥からゆっくりゆっくり登場した。

中腰になりながらひょこひょこと歩いている

 

 

「まぁ、ここら辺結構急勾配だからなぁ......」

 

 

そう呟くと、サオリがハッとした表情を浮かべてアルトの前に背を向けてしゃがんだ。

 

 

「乗ってくれ、アルトの言う通りこの辺りは坂道が厳しい」

 

「いや......それじゃあサオリがきついだろ......」

 

「私は大丈夫だ、それにアルトは軽いからな。それほど苦にもならない」

 

やる気十分、と言った感じでサオリは背を向けたままじっとしている。

 

だが、アルトとしても兄の威厳的にもサオリの負担的にもこのままそれに甘んじるのは控えたい。

少なくともここまでの道のりのほとんどをサオリに運んでもらったのだ、いくら体重軽いって言ったって負担はかかるだろう

 

 

「......姉さんは休んでていいから。私が背負う」

 

「いや、そう言う問題でもなくてですね......」

 

 

というか、後輩2人に見られながらおんぶは流石に恥ずかしいとかの次元を超えているのですが

 

 

「うへ、じゃあおじさんがおんぶしたげよっか?」

 

「.........あ、あの、私も......多分背負えると、思う......」

 

 

......ウゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

俺の中の日本が『背負われたい派』『兄の威厳を守りたい派』『足の筋壊れてるからそろそろ背負ってもらわないとやばい派』の三つに分かれて混沌を極めようとしている

 

 

「.......先生ぇ......」

 

「“私は多分無理というか......“」

 

「だよなぁ......サオリ、ごめんけどもうちょこっと頼んだ......」

 

 

結局サオリに背負われ、カタコンベ内を再び進んでいく。

さっきまでの少人数ではなく、少し人数が増えたことにより安心感が段違いだぜい

 

ちなみにゆったりに思えるだろうけど普通に走ってます。先生はホシノに背負われている。俺たち2人情けねぇよ、涙出る

 

 

 

________________________________

 

 

 

 

「......どうやら、迷いは晴れたようだな」

 

 

私はギィギィと小気味よく軋む体を動かし、その木でできた腕を前に出す。

 

 

 

「......秤アルトよ。貴様が今急がなければならないのは重々に承知だ」

 

 

それでも、私は

 

 

「私は、お前の力を確認したい」

 

 

 

 

1人の芸術家として

 

 

「お前を肯定しよう」

 

 

 

まだ未完成であり、不恰好も甚だしい私の作品だが.......彼ならば正当な評価をもたらしてくれるだろう

 

 

 

「......どうか......喝采の準備を、秤アルト」

 

 

 

 

 

 

1人の芸術家として

 

 

 

 

 

1人の、友人として

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦おう

 

 






次回、みんなのトラウマ、再来
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