第−2話 秤アツコはブラコンである
秤アツコ 十五歳
アリウス分校出身の生徒であり、前アリウスの生徒会の血筋である『ロイヤルブラッド』
秤アルトの実妹であり、『アツコ』の名もアルトからもらったものであり、アルトが親代わり。
年齢が十二歳になるまでアルトとベアおばさん以外の人間と接してこなかった影響で、アルトに少々......いやかなりお熱。
それ自体は本人も否定しないし、何なら誇りに思っている節がある。
どの様にお熱といいますと......
「.........何してんの?」
「ん〜?」
現在時刻は6時46分。
アルトは寝苦しさから目を覚ます。
寝苦しい、と言っても実際苦しいわけではなく誰かの体温を感じる心地いい苦しさ。
「おはよう」
「おうおはよう......ってなるかい。自分のベッドで寝なさいよ......」
お兄ちゃんが布団を剥がし、抱きついた私の頭を優しく撫でてくれる。
口ではいやそうなことを言っているけど、こうやってちゃんと甘やかしてくれる。すき
「......やだ。」
「そっかぁ......」
お兄ちゃんは私が甘えると大抵のことは聞いてくれる。
優しい。すき
「あったかいよ?」
「サオリたちと寝てくればいいのに......」
「お兄ちゃんがいいな」
そう言ってアツコはアルトの手を取り、にぎにぎと弄ぶ。
あったかくて、私よりも大きい掌。
小さい頃はこの腕にたくさん抱っこされて、今もたくさん撫でてもらっている。
「......起きる。か」
上に乗ったアツコを片手で支えながら、体を起こす。
「朝ごはん手伝うよ」
「んあ、頼む」
少し欠伸をしながらアルトはアツコを膝から降ろそうとするが、意外にも強い力で抵抗される。
「降りなさいて。」
「抱っこしてくれないの?」
「はいはい。おっきい赤ちゃんですねー」
少々呆れ気味にアツコを抱き上げて食堂に向かう。
サッちゃん達は今日も朝練があるだろうから、私たちが朝食を用意する。
「今日は......ま、いつもの味噌汁と卵でいいか。ヒヨリこれ好きだし」
流石に料理の時は私立たせてコンロに火を灯す。
キヴォトス内でも肌寒いアリウス自治区に、この時間から漸く暖かさが灯る。
「じゃあ食器用意するね。」
「頼んだ。あと、サオリ達が帰ってきたらタオル出してやってくれるか?多分汗かいてるだろうし」
「わかった」
指示された通りに共用スペースからタオルを取り出す。
そしてそのままアルトの隣に立ち、食器や箸を準備する。
「......こうしてみると、夫婦みたいだね」
今のは流石に詰めすぎだっただろうか。
一瞬拍を置いて自分で言ったことに赤面する。
「確かにそうだなぁ......いつかアツコの花嫁姿見ることになるかもだからな」
「ひゃっ!?」
急なカウンターにアツコは上擦った声を出す。
軽くだった赤面もすでに顔真っ赤レベルまでになっている。
「そ、それって......つまり......」
娶ってくれるのか。と聞く前にアルトは答える
「あ、でもアツコのことを本気で愛してくれる人としかお兄さん結婚は許しませんからね」
「......へ?」
「もしもチャラ男だったら粉砕しちゃるけんね」
さっきまで辺を漂っていたロマンチックな雰囲気が霧散する。
そう、アルトが言っているのは、『いつか誰かの花嫁になるであろうアツコの姿を見る』を想像していたのだ。
「.................................」
「どした?」
つい、食器を持つ手に力がこもる。
「......何でもないよ」
いつか、絶対食ってやる。
だから今は、ただの仲のいい兄妹でいようね?お兄ちゃん
タイトルに−(マイナス)がついている話は過去編です。
そして、短いのが鏑丸クオリティ