ワンピース見てサボってたわけじゃないです
ペルソナ4にどハマりしてたわけじゃないです
……まぁ、怒るほどのことja((((((
「風紀委員会ってかなりハードだな......」
「あの作業を1人でやり切れる方がおかしいと思うのだけれど......」
ゲヘナの喧騒が落ち着く夜、俺とヒナは2人でピアノを弾いていた。
弾いている、といっても俺の熟練度の上がり幅が少ないため少し音が歪だが
「やっぱ、ヒナちゃんとこうやってピアノの練習してる時が一番楽しいわ」
「だ、だから......急にびっくりする事を言わないで......」
赤面するヒナを横目に、アルトは再び鍵盤に目を落とす
「ラ......ド......高いド......」
音楽経験が皆無のアルトからすれば、鍵盤がなぜ白と黒があるのかすら解っていない。
一方ヒナは、短い練習期間ながらも生来の要領の良さや飲み込みの早さで大きく実力を伸ばしていた
「うん......この部分はもう大丈夫」
「はやっ......ヒナちゃんも頑張ってるし、俺も頑張らないとだな」
一歩ずつ、丁寧に鍵盤を叩く。
そうしていると、だんだんと心が研ぎ澄まされるような感覚を覚えた。
「秤先輩も十分成長は早いと思うけど......特に、楽譜はちゃんと読めてるし」
「んー.....これは慣れというか......昔さ、ピアノじゃないんだけど楽器を弾いてたやつがいて、そいつから無理やり覚えさせられた思い出が......」
アリウスにいた頃、ハーモニカを吹いていた顔見知りがいた。
あいつの演奏はなかなかに綺麗で、何もなかったころは娯楽として楽しんでいたやつも多かった。
......今頃、何やってんだろうな
アリウスから逃したやつは、トリニティにいる子たち以外は知らない
今どこで何をやっているのか
生きているのか
死んでいるのかさえ
「.........先輩?」
「っと、ごめんごめん。ちょっと昔を振り返ってた」
......いかんな、今はピアノに集中だ
「にしても、いいところ見つけたぜ〜」
「まさかゲヘナにこんなところがあるだなんて、私も知らなかった」
俺たちが今いる場所は、ゲヘナの外輪に位置する旧校舎だった。
遡ること一日前、ワイ氏が風紀を正すためにマッハで不良たちを粉砕⭐︎していた時にたまたま発見した場所
そこはがっつり荒れ果てていたが、特段不潔というわけでもなく、ピクニックやおサボりになかなか使えそうなこじんまりした空間だった。
一際目を引かれたのは、部屋の中央に堂々と鎮座していた大きなグランドピアノ
調律は狂っていたが、それ以外は恐ろしく整えられた良品。大きな傷や埃がなければ、誰かが管理していたのかとさえ思った
「......月も綺麗だし、完璧〜な場所だ」
そこを見た瞬間、買うはずだった電子ピアノをキャンセルしてヒナちゃんを呼びに行ったね。
だって、こんな綺麗な場所使わないなんて勿体無い勿体無い
「......せ、先輩と来られて......よかった」
「そう言ってもらえると、俺も見つけて大正解だったな」
でも、結構な廃墟だし、俺も暗いところは怖いから1人じゃ来ようとも思わなかっただろう
......これも、ヒナちゃんのおかげだな
「......その、先輩......」
「ん?どした」
ヒナはピアノから手を下ろし、体と表情をアルトに向けた。
その頬は、暗闇でもわかるほどには赤面している
「......ありがとう、私のことを、いつも見ていてくれて」
「......長い付き合い、だし?」
あれ?
なんだこれ
体が熱い
ヒナちゃん、可愛い
いや、わかってんだよ。昔から可愛いとは全然思ってるし
ドキドキする
近くにいたくない
一刻も早くいつもの感じで話したいのに
近くにいたい
あれ?
まじで、なんだこれ
ありがとう、って
面と向かって言われて、恥ずかしいとか、そういう感じの熱さじゃない
無性に
触れたい
「せ、先輩......?」
「ぁ......あ、ははは!ヒナちゃんはかわええのぉ〜!」
無意識のうちに、ヒナのことを撫でていた。
ふわふわしていて、慣れ親しんだその感覚が、なぜか今日はより明瞭に感じる
だ、ダメじゃね?
先輩として、信頼をしてもらってるのにこれは......
それに、アツコに対してだって......
あガガガガガガガガガガガ、頭がショートするンゴゴゴゴゴゴゴ
「......今日はもう、帰ろ......」
「え、ええ......?」
困惑するヒナちゃんと共に、2人で寮に戻った。
なんとも思わなかった手繋ぎや、同衾はなぜかできなかった
不貞をや邪な感情を持つんじゃなあないぞ秤アルトッ!!邪な目でヒナちゃんを見るのだって厳禁だァ!
.........でも.........
なんでかわかんない
ほんとにわかんないんだけど
「......すっげぇ、幸せ」
そう思わずには、いられなかった
ピアノ熟練度60%
パーティ準備;四日目
はい、皆さんこんにちは
今回はね、なんか思ったより重要な回になってしまいました
勘のいいガキどもの皆様ならもうお分かりと思いますが、この小説のメインヒロインは三名おります
まず1人目が本妻である『秤アツコ』
妹でありながらアルトと速攻ゴールインしたサイッキョの方です
2人目は『小鳥遊ホシノ』
恩人という間柄から、本妻の許可を得つつゴールイン
これは現在製作中のR18版の話です
3人目はやはりこの人『空崎ヒナ』
はい、この方アルトとの関係がかなり特殊です
アルトと同等かそれ以上の力を持ち、尚且つ気兼ねなくアルトが接せられる『親友』の立場
そして、アルトの心を救った大切な人でもあります
家族のように想って、大切に関係を育んできたまさに健全な間柄
そんな2人がいつしか矢印を向け合うのは必然的だったわけでございます
まぁアルトくんはそれを知る前に周りに愛を振り撒きすぎたせいで強制ゴールインされましたが
私が言いたいのは、ヒナちゃんはアルトくんにとってかなり重要な存在だということです
そのことに気づく、というのも今回のイベントストーリの醍醐味だと思いますね。はい
そう思うと、なんだかタイトルもヒナちゃんから、ではなく、アルトくんからヒナちゃんへ、という受け取り方もできるのかもしれませんね。
ありがとうございました