許してください
「知っての通り、私はミレニアムの生徒会長。そして、『千年難題』の解決を望み、星を追う者」
「“......それで、そんな君がわざわざ話に来てくれたのは、なんでかな“」
先生はいつものスタンスを崩さず、リオの話を聞く姿勢を作った
「『真実』を伝えに来たのよ。先の、天童アリスが起こした事件の真実を」
それは、先生が今最も欲している情報の一つだった。
あの時顕現した、アリスではないナニカ。その正体を
「単刀直入に言うわ」
そして、厳かに、されど静かに彼女は真相を突きつけた
「あなたたちが『天童アリス』と名付けたそれは、「名もなき神」を信仰する無名の司祭が崇拝した『オーパーツ』であり、古の民が残した遺産」
「『名もなき神々の王女 AL-1S』」
「“.........何を、言っているのかな“」
「端的にまとめたつもりがあったけれど、理解に及ばなかったかしら?」
先生は、自身の耳を疑った。
「......つまり、貴方が廃墟から持ち帰り、人の言葉を教え、『ゲーム』を教えた生徒は______________
世界を滅ぼしうる、化け物よ」
「“......化け、物?“」
「なぜあの存在を容認したのかは、私には分からない。それはきっと、先輩にも......」
リオは人知れず想いを馳せた。ミレニアム崩壊をすんでのところで防ぎ、今回も自身を助けた『先輩』を
「“言いたいことがわからない“」
「ええ、わかってもらう必要はないわ。これはただの事後処理だもの」
リオは冷たくそう言い放つと、先生に向けて頭を下げた
「今回の事件が起こったのは、紛れもなく
「“......あのロボットのことか...“」
「ええ。今回は壊れかけの個体と接触するにとどまった.........いいえ、だとしても先輩の力添えがなければこんなものでは済まなかったはず」
ことあるごとにリオが放つ
どれだけ信用されているのかは、先生にもわかったことだった。
「もし次にこれと同じ現象が起これば、先輩がいたとしてもこんなことでは済まないでしょうね」
「“っ......“」
先生は幻視する。
アルトが再び傷つく姿を。そんなものは、どうしても見たくなかった
「この脅威を解決する方法はただ一つ__________」
リオは目を一瞬伏せ、再び先生を見つめ直す
「
その一言は
「“......え“」
「聞こえなかったのかしら。私はアリスをこのキヴォトスから排除すると」
「“やめて“」
先生の視界は、ものすごい勢いで歪み始めた
わかっている。この少ない言葉の中にある溢れんばかりの情報の意図を
「何を止めるのかしら?目の前の真実から目を背けることは、シャーレの統治者としても合理性を欠く行動よ?」
「“合理非合理の問題じゃない...ッ“」
その言葉にリオはため息をつく
「......私としても、あまり気持ちのいい決断ではないわ」
そう言いながら、リオは先生の隣を通り抜けようとする
「“っ!行かせない...!“」
先生はリオの前に立ち塞がり、進路を塞いだ。
行かせない。だなんて言っておきながら彼に戦闘能力はないのだから、リオからすればレッサーパンダが威嚇しているのと大差ない
「......私は映画の悪役じゃないわ。行かせない?ずいぶん楽観的なのね」
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「......ネル、先輩?」
「......よ、チビ」
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「すでに、手は打ってあるわよ?」
「“ッ!!“」
先生はリオに背を向け、一心不乱に駆け出した
「......憎まれるのは、私の役目」
リオはアルトが持っていたゼロツープログライズキーを握り、そう呟く。
「......まだまだ、私も先輩のようには動けないわね」
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「......あー...なんだ、その。お前は「アリス、わかっています」.........そうか」
拘束室へ赴いていた美甘ネル。それと相対したアリスは、半分諦めた目線でネルを見つめた
「アリスが、悪いことをしたのも」
朧げながら覚えていた。
校舎を破壊したことを
「ゲーム部のみんなを、危ない目に合わせたことも」
自身の行動を、アルトが咎めなければもっと酷いことになっていたことを
「アルトを.........傷つけてしまったことも」
自分を笑わせてくれた、腹筋崩壊太郎を破壊したことを
そのせいで、アルトが深く、深く傷ついたことを
「......だから_________アリス、もうわかっています」
ネルは、アリスの言葉を咎めず、騒がず、ただじっと聞いていた
「......どこへでも、連れて行ってください」
だからアリスは、自身を罰した
「きっとアリスは、もうここにはいられません」
だからアリスは、自身を律した
「ゲーム開発部にも、ミレニアムにも」
だからアリスは、自身を押し殺した
「せめて、アルトにこんなことをしてしまった責任を、ちゃんと取りたいです」
アリスは、これから自分の身に起ころうとしていることを理解していた
「アルトがまた元気になってくれるなら、こんな体、いらないです」
「......だから、一つだけ。一つだけでいいので、お願いがあります」
アリスは涙なのか、公開なのかわからない感情を押し殺して、言葉を振り絞った
「アルトに、ごめんなさいと「ああっ!!もううるっせぇなぁこのどチビが!!」あたっ!?」
その独白を、美甘ネルはチョップで打ち砕いた
「ごめんなさいを伝えてくれだ?!だったら自分の意思で!声で!伝えろこのバカ!」
「ひ、ひぇ...」
「アタシにそれを言って何がしたい!!贖罪か?自分が不幸なナニカでごめんなさいってか!?」
「で、でもアリスは......」
ネルは思い切りアリスの胸ぐらを掴んで、後輩への説教を始めた
「アタシは洒落た言い回しなんてしらねぇ。だから直接的に教えてやんよ!」
「ネ、ネル先輩......」
アリスはさっきまでの神妙なムードを忘れ、ネルの言葉を真ん前から受け止めていた
「アイツは......アルトはな!テメェが死んで!壊れて!それでスッキリしただなんて言えるやつじゃねぇんだよ!!一緒にいて、お前だってそんなことわかってんだろ!!」
「ッ......!!」
「逆だ。テメェがもし死んだとしたら、アルトはそれを一生背負う。お前が言う、元気なんて一生出せねぇだろうよ」
「...っ、そ、そんなの、ダメ、です」
アリスは、今度こそ、腹の内側から言葉を捻り出した。
「あ、アリスは...アルトに絶対、元気になって欲しいです...」
自分が壊れることで、どうにかなるなんてふざけた考えは捨てて
「また.......また!一緒にゲームが......クエストが、したいですッ!!」
その言葉を受けたネルは_________________________
「......よく言った、チビ」
ぐしゃり、とアリスを撫でた。
「それじゃあよ、早速だ。今からでもアイツを呼び出して______「その必要はありません」ッ!!?!?!」
突然、ネルの背後から衝撃が襲った。
「ッ?!テメェ......後ろから奇襲とは卑怯なことしてくれんじゃねぇか...!」
「ええ。卑怯卑劣は褒め言葉。先輩もそう言っていました」
ネルの固有武器『ツインドラゴン』の弾幕をひらりと避けながら、その人影は着地した
「テメェ......何もんだ」
ツインドラゴンが起こした煙幕が晴れ、その人影......そして、『メイド服』が顕になった
「自己紹介が遅れ、申し訳ありません『先輩』......私はC&Cコールサイン04......『飛鳥馬トキ』と申します」
自らをC&Cの存在しないナンバーで呼称する『トキ』と言う人物。
表情が読めず、攻撃が読めない_______________
「なるほどな......リオのやつ、アタシが裏切ることを想定して...「もとい、秤アルト先輩の本妻を狙うハンターでもあります。ぶい」
「...................................は?」
知りもしない相手から繰り出される、あまりに聞き馴染みのある名前
「まぁ、先輩にはすでに本妻様がいるという噂もありますので、今は側室の座を狙うハンターでもあります」
妙に腹の立つダブルピースを掲げ、ネルからすれば『戯言』を放つ敵
「.......オイ......ぶっ殺されてぇなら先にそう言えば良いだろ駄メイド...!!」
「あ、雇用主とメイドのいけない関係っていうのもアリでしょうか」
「話を聞けこの頭真っピンク野郎がッ!!!」
ネルはトキに速攻で拳を仕掛ける。
が
「あいにく、近接戦は特に習っていますので」
軽々とトキによって拳を流され、追撃を_________________________
『フォースライズ』
ガゴォンッ!!
『ライジングホッパー!』
何かが、天井を突き破ってネルとトキの間に割って入った。
その姿は、アルトが変身する『ライジングホッパー』を歪めたような姿形をしていた。
「っぐっ!?」
『それ』はネルを押さえつけ、同時に腰に巻きつけられたベルトに装填されたプログライズキーを取り外した
「......っぁ.........ある、と?」
「......落ち着け、ネル」
アリスが視線を向けた先には
「......アリス」
演算視を光らせた、アルトが佇んでいた
「.........天童アリスは」
「俺が処分する」
「............そう、ですね」
Break Down.
アルトくんッ!!!!君はッ!!そんなこと!!できる人間じゃないだろッ!!
ふざけるな…ふざけるなーーッ!!
バカやろおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!