アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

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大体残り四話でクライマックス……!!


第十話;美甘ネルと秤アルト

先生たちのアリス奪還作戦開始から30分。要塞都市エリドゥ北ブロック

 

 

「“やっばいやばい!!!“」

 

「思ったより早く現れてくれましたね♩」

 

「あはははっ!すごいねあの子!!」

 

「“うおあっ?!ちょっ、ちょっとは手加減してーッ!!!“」

 

 

先生率いるC&C、そしてゲーム開発部一行は、無事に......うん、無事に要塞都市へと辿り着いた。

 

 

「今からでも遅くはありません、投降をお勧めします」

 

 

「うーん、それはちょっと難しいかなぁ?」

 

 

C&Cは狙い通り早速『飛鳥馬トキ』との戦闘を繰り広げていた。

トキのライフルのような武装から放たれる通常の弾丸とは思えない攻撃に、先生筆頭に生徒たちは逃げ惑っていた。

 

 

「ふむ......ではちゃっちゃと皆さんを捕縛して先輩に褒めてもらいましょう」

 

トキはそう言って再び武装を構え、先生たちへと向けた

 

 

「先生はお下がりください。少々『手荒』に対応することになりそうです。カリン」

 

 

『もう撃ったぞ』

 

 

アカネは先生を間合いの外側へと逃し、カリンの遠方狙撃と同時に多量の爆発物を放った。

 

 

「ム......アルト先輩からの教えです。狙撃と同時の攻撃は________________________

 

 

 

 

ガッ...

 

 

ギンッ!!!

 

 

 

「壊して進め、と」

 

 

狙撃は避け、爆発物を撃ち、火花が炸裂する前に身を躱す

容姿も相待って、それはまるで舞のよう。完璧に避け_________________________

 

 

 

 

「ええ、素晴らしいです」

 

 

ガシっ

 

 

「.....なんと」

 

 

 

ドガガガがガガガガガガガッ!!!!!!

 

 

 

 

アカネが放った多量のグレネードは一気に炸裂。

 

そしてアカネ本人はなんと爆心地につっこみトキを羽交締めにすることで一気に爆発へと巻き込んだ

 

 

なんたる自爆。もはや自殺行為

 

 

「“なんたる覚悟アカネ=サン...“」

 

「アイエエ......メイドナンデ...!?」

 

 

 

「先生とお姉ちゃんはなんでこんな時も呑気なんですか!?」

 

 

どことなくニンジャソウルを感じる言い回しを放つ先生とモモイ。それを諌めるミドリ=サン、アッパレ

 

 

「初めまして後輩さん。先日は部長が大変お世話になったと伺いました」

 

 

爆炎が晴れ、アカネの声がこだまする

 

「ふふ...わざわざ投降の勧告、痛み入ります。貴女がリオ会長のボディーガードということは分かりましたが......こちらとしてもその有難い提案に乗ることはできません」

 

 

「......まだやり合いますか?少なくとも、ネル先輩がいない状況では苦しいのでは?」

 

 

ぐっぱ、とトキは自身の体の動きを確認し、再びアカネへと向き直る

 

「ええ。もちろん。ふふ......全く」

 

 

 

   ク

 

 

 

「C&Cをみくびって貰っては、困りますね」

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

 

 

同刻、南ブロック

 

 

 

 

チャリ、チャリ

 

 

『ツインドラゴン』から垂れる鎖が、小さな音を立てながら要塞都市の閑散を埋めていく

 

 

銃装から鳴る音色が?

 

それとも、少し小さな足音が?

 

 

 

 

 

 

 

「......よぉアルト。しょぼくれながら何やってんだ?」

 

 

「......はぁ......やっぱネルだよな、そりゃ」

 

 

 

C&C最強にして部長

 

『美甘ネル』の放つ圧力が、だ

 

 

 

「......そんじゃ......やるか。ほら、かかってこい」

 

 

アルトはなぜか余裕ありげに振る舞った。ドライバーすら着けていない

 

 

 

「...............バカじゃねぇの?」

 

 

「......急に悪口」

 

 

「あー違ったな。テメェは大馬鹿だ」

 

 

ネルは自分の耳を小指でほじるような動作をし、くるりと銃を回して臨戦状態を解いた

 

 

 

 

「お前、戦う気なんてねぇだろ」

 

 

 

「......あるよ」

 

「ねぇ」

 

「あるって」

 

「ねぇ」

 

「ある「おんなじこと何回も言わせんな!!」

 

 

はぁ、とため息をつき、ネルは鋭い視線をアルトへと向けた。

 

 

「......テメェの考えがアタシに読めねぇとでも思ったか?浅ぇ」

 

 

アルトは言葉を返さない

 

ただネルの言葉を聞き、佇んでいるだけ

 

 

「テメェはドが付くほどお人よしだだから最初からアタシ。もとい先生と敵対する気なんて無かったんだろ」

 

 

アルトは言葉を返さない

 

 

「そんな中で予想外だったのは、リオが下した決断。『アリスのヘイローの破壊』だ」

 

 

アルトは言葉を返さない

 

 

「テメェのことだ。先生、あとはあのチビどもの友情を守り切ってハッピーエンド。そしてテメェはリオが買うはずだったヘイトを背負って大団円の文字通りのハッピーエンド。だろ?」

 

 

アルトは言葉を返せない

 

 

「テメェの考えそうなことだ。わーってんだよその程度。アホらしい」

 

 

アルトは

 

 

「.........悪いか」

 

 

「悪りぃ。バカだ。アホだぞその選択は」

 

 

「......誰かが悪役になるってのは、俺の見てきたの物語でもよくあるんだよ。そうしてようやく先生(主人公)たちがちゃんとした終わりにたどり着ける」

 

 

ネルは_________________________

 

 

 

「.........ばーーーーーか」

 

 

怒り通り越して、呆れを見せた

 

 

「テメェ1人で全部抱え込んで悪役なって終わり?ざけてんのか」

 

ネルの中で、ようやく辻褄が合った。それと同時に、もっと呆れた

 

 

「言っとくけどよ、リオもチビも、テメェがそんなツラしてたらハッピーエンドなんて言わねぇよ」

 

 

「.........じゃあどうすればいいんだよ」

 

 

そこで、アルトは声を荒げた

 

 

 

「このままじゃ先生とリオは違い違ったままになる、アリスは最悪殺されるかもしれない自分以外の何かが要因で死ぬかもしれない!!!」

 

 

ネルは、言葉を受け止めた

 

 

「俺はっ......!先生たちが好きなんだよ......!」

 

 

アルトは、絞り出すように涙を流した

 

 

「アリスは......いい子だよ。太郎の死ぬ要因になったとしても......きっと見ないふりをしたら、一生後悔する」

 

 

秤アルトは、泣き虫だ

 

ただ、自分の願望を叶えるために奔走するしか無かった、幼子のようなもの

 

それは、前世の経験があったとしても。だ

 

 

「......はっ.........言えたじゃねぇか」

 

 

「くっそ......後輩に泣いてるとこ見られたし......」

 

 

 

ぐしぐし、とアルトは顔をぬぐい、大きく鼻を啜った

 

 

 

「......どうすりゃいいか、って話だったな」

 

 

ネルは、そう言って『ツインドラゴン』を構えた

 

 

「簡単だ。かかってこい」

 

 

 

今度は、ネルがアルトを挑発した

 

 

「テメェが勝ったらさっきの話全部忘れてテメェの浅っさい思惑に乗ってやるよ」

 

 

ただし、とネルは笑った

 

 

「アタシが勝ったら、アタシの......いや、アイツらのハッピーエンドに付き合ってもらう」

 

 

ネルがアルトに贈った、最大級の譲歩。

 

 

アルトは_________________________

 

 

 

「......俺不利すぎない?」

 

「そりゃそうだろ。めんどくさいことしやがったんだからハンデだ」

 

 

ネルのペースに呑まれながら、プログライズキーを掴む

 

 

「......ネル」

 

 

「あん?」

 

 

 

「......ありがとな」

 

「......ははっ、いいってことよ」

 

 

 

『JUMP!』

 

 

アルトはフォースライザーにキーをセットし、いつもとは違う構えを取った

 

 

 

「......久々に、胸借りる」

 

 

「おう。どんとこい」

 

 

半自動的に鉄煙(ノロシ)が展開され、警告音が鳴り響く

 

 

 

 

「......変身」

 

 

 

『フォースライズ』

 

 

『ライジングホッパー』

 

 

「っら行くぞ!!!」

 

 

「 っぶおあっ!?変身は普通待つだろこのやろっ?!」

 

「ゲームじゃねぇんだから諦めろ!自衛しない方が悪りぃ!!」

 

「くっそ正論!!」

 

 

 

『Blake Down.』

 

 

 

 

 

 

______________________________________

 

 

 

 

 

同刻_________________________

 

 

 

 

 

「............」

 

 

 

アリスは、これからどうなるのでしょう

 

 

......ヘイローを壊されたら、どうなるのでしょう

 

 

痛いかもしれません。ゲームでも、特にFPSのプレイヤーたちはダメージを喰らうとすごく痛そうです

 

アリスは、まだ痛みはちょっとしかわかりません

 

 

だから、少しだけ怖いです

 

 

 

 

「.........ぐすっ」

 

 

 

でも、そんなの、アルトが受けた苦しみに比べたら、きっと、きっと小さいです

 

アルトの大事な友達を、アリスは壊しました

 

 

アルトは、怒って当然です

 

 

アリスを恨んで当然です

 

だから、ちょっとだけ安心しました

 

 

『天童アリスは、俺が処分する』

 

 

 

そう言ってくれて、アルトはちゃんとアリスを恨んでくれているのがわかりました

 

 

悲しかったです。怖かったです。冷たかったです。苦しかったです

 

 

いつも向けてくれるアルトからの声も、目も、そこにはない気がして、すごく怖かったです

 

 

それと同時に安心しました

 

 

アリスは、化け物なんだって

 

 

アリス知ってます。アリスは、化け物だって

 

リオ会長も、アルトも何も言いませんでした。

でも、アリスはわかります。

 

 

あの時、どうしてか覚えているロボットに触れた時、アリスはわかりました

 

 

自分の輪郭が、モモイや、ミドリや、ユズや、アルトと違うことに

 

 

だからきっと、アリスは化け物です

 

 

だからアルトは、アリスを嫌って_________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

『は?』

 

 

 

「ぇ......?」

 

 

 

『......王女よ。もう二度と、そんな妄言を吐かないでください』

 

 

また、アリスの目の前に『ケイ』が現れました

 

 

『アルトが、貴女を、私を、嫌う?貴女が、何を知っているんですか?』

 

 

前回は、触れられることすらありませんでした。今は、アリスの肩を痛いくらい掴んでいます

 

 

『アルトは、優しいんです。世界を滅ぼした元凶を赦してしまえるほど優しんです。それを、王女、貴女の尺度で測る?」

 

 

怖くて、声が出せませんでした

 

 

『巫山戯るな』

 

怖いです

 

 

『アルトは私のことをを貴女のことを認めてくれました赦してくれました愛してくれました』

 

 

アリスは_________________________『私は』

 

 

 

早口でアリスを捲し立てる

 

 

『だから......あんな結末に至ってはいけないんです。絶対』

 

 

私は、刻み込んだ信念を、心の奥から呼び覚ました

 

 

『それを邪魔するのなら......それを全て踏み潰しましょう。私たちの手で』

 

 

だから、今は王女、貴女を失いたくなんてない。

 

 

そして、アルトを

 

 

「ケイ......あなたは、いったい......?」

 

 

『......そうですね......』

 

 

答えは決まっていた。

 

だけれども、わざとらしく考え、答えてみせた

 

 

 

 

『名を与えられたもの、です』

 

 

 

 

 

()()を靡かせ、アリスの視界から『私』は消えた

 

 

 

天童ケイ

 

 

忘れていない

 

 

あなたがくれた私の名前を

 

 

 

絶対に、逃したりしません

 

 

逃げてもいいです。隠れてもいいです

 

 

どれだけそうしても、絶対に絶対に

 

 

 

 

 

絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に

 

 

 

見つけ出して、私がアルトを救います

 

 

 

 

ええ。

 

 

 

どんな困難も、あなたとなら壊してしまえますから

 

 

きっと























『ケイちゃん!久しぶりにキヴォトスクラフトでも一緒にやろーぜー』

『誰がケイちゃんですか。今は忙しいです』

『おっす〜ケイちゃん』

『だから誰が…』

『ケイちゃーん』

『だから…っ』

『ケイちゃん助けてェェェ!?』

『ああもう自業自得です!』

『ケイちゃん!』

『はいはい』

『お、呼ばせてくれた』

_________________________

『ケイ』


『ごめんな』




悲しくて、悲しくて、仕方がありませんでした

会いたくて、会いてくて、仕方がありませんでした


怖くて、怖くて、仕方がありませんでした

憎くて、憎くて、仕方がありませんでした


だから、




自分を裂きました


忘れたくない

忘れてなるものか


ぐちゃぐちゃになっても、あなたは私を見つけ出してくれます

ズタズタになっても、あなたは私を大事にしてくれるはずです


忘れるものか


忘れるものか


忘れるものか



忘れる_________________________




「あ、もしかしてこれじゃないかな?」

「うおおおゲームの叡智!ここまで来た甲斐があったよぉ!!」



誰でしょうか


「“も、モモイー…待って…“」

「もう、お姉ちゃんってばすぐどっか行こうとする……」


「ゆ、ユズだって一緒に走ったもんね!?」

「ご、ごめん…」

「いや、ユズはいいでしょ」

「妹がお姉ちゃんに冷たいッ!?」





どうでもいい




だが好都合








『何かをお探しですか?』










アルト、今、会いに行きます







だから、





またケイって、いっぱい呼んでください




今度は、ケイちゃんって、いっぱい



絶対咎めたりしませんから

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