「“っ......ぁ......何、が......?!“」
光に飲まれた瞬間、先生はシッテムの箱の力による防衛で己が生徒と自らの身を守り切った。
「“アロナ......一発で充電切れ......!?“」
だが、その代価はシッテムの箱の充電切れという形で現れた。
「はぁ......なんというか、使いづらい力ですね。こんなものを制御下に置いて使っていたなんて、今になってわかりました。彼はやっぱり異常ですね」
そして、その光を放った張本人であるアリス......ではなく、『ケイ』と名乗ったそれは、自らの手に焼きついたコゲのようなものをわずらわしそうに取り払った。
「“っ......アリス......いや......
先生はその実を知っている。
というか、ほとんど直感だった。アリスを回収したあの日、同じくして回収したkeyという謎のデータ。
Keyをそのまま日本語ローマ字のようにして読めば確かに『ケイ』。モモイが確かにそれを読んでいた
安直だと思いつつも、状況証拠が揃いすぎている
「......人を役割で呼ぶな」
なんの逆鱗に触れたのか、ケイは再び手のひらに光を溜め込む
「“まずっ!“」
防衛本能から、先生は『
「“光よ!“」
「光よ」
詠唱を同じくして、二つの光が衝突。
どちらとも、天童アリスの固有武器である『光の剣』による攻撃と酷似した攻撃方法
そして、これこそが先生の切り札であり最後の力
『大人のカード』
絆を結んだ生徒の力を、自らの『時間』と引き換えに行使することができる力
「厄介ですね。教導者の力ですか」
「“ぐ......ぁっ......!“」
ケイは片手間に、先生は全霊をかけて出力を向上。
だが、結果はもう見えている
「邪魔ですので、貴方は下がっていてください」
ケイはさらに出力を向上させ、先生はそれに敗れる_________________________
が
「ARMS!!」
自走式のロボットが先生をすんでのところで掬い上げ、先生は窮地から脱することができた
「ッ!!」
さらに、そのロボットに命令した本人はケイに対して追撃を与えた
「ミレニアムの長......そして星を追う者ですか」
ケイは自らの『データーベース』から情報だけを抜き取り、リオが放った弾丸を『消した』
「行き過ぎた探究心は身を滅ぼしますよ」
「情報と違って......ずいぶん感情的ね...key」
「はぁ......先ほど言ったように私はその名で呼ばれることを快としないのですよ。まぁ、仮に呼んで許すのは彼ですが」
心底面倒臭いといったようにケイは自己を語った。
「......先輩をそこまで付け狙うのは一体何」
「ああ、ちゃんと気づいていましたか。その上で言わせていただきます、付け狙うだなんて人聞きの悪い。私はただ、返してもらいたいだけなのです」
「返す......?」
そして、リオはケイの姿を見失う
「まぁ、話す義理もありませんが」
次に耳元でそれを聞いた瞬間、その体躯からは想像もできないほどのトルクで体を押され、すでに壊れているモニターへ派手に突っ込んだ
「“リオ!!“」
「私のことを心配してる場合?!早くゲーム開発部を連れて逃げなさい!」
「“っ!?何言って「今ここにいられれば先生貴方は間違いなく死ぬ!それはその子たちも同じ!」
リオは怒号を上げながらARMSたちを繰り、どうにか先生たちへヘイトが向かないように立ち回る
「エリドゥは......あらゆる事象に対して対応できるよう先輩と私が作った要塞都市よ」
拳銃をしっかりと握り、リオはケイを睨みつけながら先生への言葉を連ねた
「勝率が高いのは、私」
その立ち姿は、まさにミレニアムの生徒会長。
リオの肩書きは、決して見せかけのものじゃない
「だから貴方たちは早く
「“は“」
音もなく、『足元』が消えた
「何か勘違いしているようなので言ってあげますが.........」
消失の原因は、やはりケイ
宙を踏むように空を歩き、『
「勝率?勝算?そんなことはもう考える必要はありません」
体が、重力に惹かれて地面が降ってくる
「ヘイローを持とうが持たまいが......貴方たちはこれでゲームオーバー」
だというのに、ケイの言葉は鮮明に届く
「一掃できて満足しています。ただの偽善者がアルトを救えるだなんて、文字通り片腹が痛い」
「アルトが傷ついたのも」
「生徒が傷つくのも」
「貴方が傷つくのも」
「これも全て、
そういえば、書類仕事をまだ片付けていなかった。
そういえば、一緒に食べるって約束したケーキをまだ食べていなかった
そういえば、買ったフィギュアの置き場所をまだ考えていなかった
まだ
ちゃんとアルトに、謝れてない
「“ッ!!“」
手を伸ばせ手を伸ばせ手を伸ばせ手を伸ばせ!!!
せめてみんなが笑ってハッピーエンドを迎えられる!!
最善の未来を__________________________________
「っ!捕まえたァ!!」
「“!?“」
空中で手を掴まれ、先生の体は謎の足場に乗せられる
「無茶しやがってこのクソボケ教師が......トキッ!そっち大丈夫か!」
「無論です」
先生だけでなく、リオ、そしてゲーム開発部の三人もトキの『大型武装』によって保護されていた
「“.........アルト.........“」
「遅れてごめんだけど、危ねぇと思ったらすぐ逃げる癖も付けろよ先生」
「“.........うん、ごめん......“」
細かい話は後
アルトはまず
「この前ぶりだな、鍵......」
演算視を輝かせ、空中を歩くケイの姿を睨みつけた
「_______っ.........は......!」
ケイは、まるで『喜びを隠しきれない』かのように笑った
「やっと.........やっと会えましたね」
「俺はお前を知らない」
「ええ、それでいい。それでいいんです。私だって、貴方のこと以外覚えてなんていませんから」
話が通じない、と誰が聞いても判断するような問答でアルトは『アタッシュカリバー』を抜き身にした
「はぁ......全く、素晴らしい先見です。私のようなイレギュラーに対しても、対策を講じている」
ケイは猟奇的なほどに笑みを浮かべ、何かがうまくいかないと楽しそうに語っている
「ファーストプランはここにDivi;sionを呼び込むつもりでしたが......そもそもアトラハシースの力すら使えないとは......」
「るせぇ。日の本言葉でしゃべれや」
「ふむ......確かにそうですね。失ったものばかりに目を向けるのは時間の無駄ですから」
そう言うとケイは再び手のひらに光を集める
ただ、今度は攻撃のための光ではないようだ
「『王女は鍵を失い、箱舟は姿を変える』」
protocol ATRAHASIS
『破棄』
「......やはり......あなたとなら、どこまでだって高く飛べる」
禍々しい光を放ちながら、光の剣は巨大な砲塔へと姿を変える
「我が願いの力により、この地に新しき『サンクトゥム』を建立する」
そしてケイは少し考え
「ふむ......テクストにはそれに準じる名が必要ですね.........では今よりこの剣の名を」
Longinus
「とでも、させていただきますか」
それは
神聖の命を奪いし聖具の名
__________________________________________________
『秤アルト』
「......ああ」
『もはや選択肢はない』
アルトは腰からフォースライザーを外し、ゼロワンドライバーを持った
『ケイとやらの意識にアリスのメモリーが侵食される前に、やつの存在を私の残った演算領域で崩壊させる』
「.........お前はそれでいいのか?」
眼前に広がる光景を見ながら、アルトは連れ添った相棒へと言葉をむけた
『......忘れているようだから言ってやろう』
デカグラマトンもまた、アルトへと言葉を向ける
『私はお前の計画に賛同した。つまり、お前が望むことは等しく私が望むこと』
知ってしまった愛に目を逸らし、デカグラマトンはその願いを伝えた
『それが......相棒と言うものだと、認識している』
「.........そっか......んなら、俺もお前のやりたいこと、付き合う」
『JUMP』
『オーソライズ』
「それが......これが、お前が本当にやりたいことなんだな」
『......ああ』
相棒の覚悟には、相棒が答えるのが流儀。って何かで見たことがある
「......先生」
呼ばれ、先生は並々ならぬ雰囲気のアルトへと目を向けた
「俺は守るよ。何回だって。だって、そのための
そして、アルトはプログライズキーを大きく振りかぶり、地中からはライダモデルが飛び出す
「先生たちの未来を」
『プログライズ』
「これからの、奇跡も」
『「全部」』
『飛び上がライズ!ライジングホッパー!』
アタッシュカリバーを振り抜き、アルトもまた空を駆ける
なぁ
俺と一緒で、お前は楽しくいられたのかな
次回;「名前」