アリウスクソボケオオバッタ   作:カブライニキ

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小話


「んぇ〜……えぐみ……」

『味噌の入れすぎだ。そもそもお前は出汁を取る時間も短い』

「こんなんアツコたちに食わせらんねぇって……」

『………今入れている味噌を半分にして出汁を取る時間ももう少し伸ばせ。そうすれば大体は解消する』

「………お前って日常生活動作手伝ってくれるよな」

『見ていられないだけだ』

「……なぁ、俺さ、ネクタイの締め方とか、あんまりしらねぇんだよ。だからこう言う日常生活動作、教えてくんね?」


『……別に構わない』

「……ありがと。お前って結構優しいよな」

『否定、知らん』


第十四話;名前

 

 

 

「“っ......すごい......“」

 

 

先生は、目の前で繰り広げられる光景に感嘆の声を漏らすことしかできなかった。

 

 

ケイの『ロンギヌスの燦剣』から放たれる無数の暴力。

 

それをアルトはただ一本の剣と肉体だけで凌ぎ切っている。それだけではない

 

 

 

「光よ」

 

「『逸れろ』」

 

 

先生たちへ流れそうになった光線や自身にあたりかけたものを全て神秘で逸らしている

 

 

「っ......私たちも、何かできないのかな......!」

 

 

「.....今この状況で割って入ったとしても、誰だってアイツの邪魔になる」

 

 

モモイのつぶやきを、ネルは一蹴した。

 

「でも...!」

 

「わーってる......だから今考えてんだよ......!!」

 

 

だが、ネルもまたそこで割って入らないを選択できるほど諦めのいい人間ではない

 

 

「何か......方法を......!」

 

 

だが、浮かんでくるのはどう動いたとしても、

 

 

「ふっふっふ......」

 

「ふっふっふ......」

 

「ふ、ふっふっふ......」

 

 

「“ど、どうしたの?“」

 

 

「いやいや、先生。私たちが前回を何も鑑みないままここへ赴いたとでも?」

 

「なんか手ェあんのか!?」

 

 

「はい!ここは!端的に!短く!素早く!私が説明しましょう!!」

 

 

ウタハの言葉に食いついたネルの間に割って入り、コトリがそう叫ぶと、ヒビキがいつの間にか止まっていたトラックのコンテナを開いた

 

 

「“こっ......これは!!“」

 

 

「アリスが光の剣を多用してくれていたおかげで十二分にデータはとれた...!」

 

 

 

そのままトラックのコンテナが大きく展開し、その中に入っていた『純白の砲』を露わにさせた

 

 

「かなり急な建造になりましたが!アリスちゃんの生体データをもとに改修、改良を施した真なる光の剣!この火力ならば!彼女にも届きうるはずです!」

 

 

「改修に改修を重ねて、それと、とある人から技術提供を受けて作ったから、最大火力ならきっとあのロンギヌスも超えると思う」

 

 

ウタハは砲身に体を預け、リオの方を見る

 

「そうとも、だろう?とある人」

 

「まさか......会長が!?」

 

「えっ...!?なんで?!この人はアリスちゃんを壊そうとして...!!」

 

 

モモイとミドリの疑問はもっともだろう。だって、やっていることと目の前にある現状があまりにも違う

 

「その砲の建造を依頼したのは私であって私じゃないわ」

 

「“依頼したのはリオで......アイデアを出したのは別...ってことだよね“」

 

「ええ。もうわかっているでしょうが、先輩よ」

 

リオは少しバツが悪そうに顔を俯かせ、目を伏せた

 

 

「先輩は、全てが終わった後のことすら考えていたわ......」

 

 

_________________________

 

 

『なぁリオ、もし仮にアリスの中に二重人格的な......いや、別の何か、それこそ世界を崩壊へと導ける奴が別にいるとしたら......』

 

 

『......対応策は、やっぱあったほうがいいだろ?』

 

 

_________________________

 

 

「私は、ただ目の前の状況を打破することだけを考えていたのに...」

 

 

拳をぎりっと握り、自分の無力を噛み締めるようにリオはつぶやいた

 

 

「“......本当に、アルトはすごいよ“」

 

先生もまた、同じだった。

 

「“......それがあれば、勝てる?“」

 

 

「ああ。もちろん」

 

 

ウタハは自信満々に笑みを浮かべるが、その言尾に「だが」とつけた

 

 

 

「問題が三つほどある」

 

 

「多いな!?」

 

「ま、まぁまぁ部長...これでも勝率が上がると考えれば......」

 

 

ウタハは一本指を折った

 

 

 

「まず、これは一撃しか撃つことができない。再装填も期待しないでくれ」

 

「い、一発勝負、ってことですか...」

 

「どれだけ大きいバッテリーを積んでも出力に負けてしまって......燃費は最悪なんです......」

 

 

そして、二つ目の指を折る

 

 

「この武装を動かすには三人の砲手が必要だ」

 

 

「さ、三人も!?」

 

「エネルギーをリアルタイムで計算して臨界点を超えた時点で装填を行う出力計算、そして、弾道を調整する弾道計算」

 

 

「この役についてはすでに私が目星をつけている。カリン、君に弾道計算を」

 

「...わかった。やってみよう」

 

 

ヒビキの説明に合わせるようにウタハがカリンを指名し、カリンはすでに砲手位置へと身を移した

 

 

「そして、出力計算はトキ、君に頼みたい」

 

「なるほど。大体は理解しました。破壊します」

 

 

「ほ、本当にわかってるんですか...?」

 

「はい、ミドリ。こう見えて数学のテストでは120点を取ったことがあります」

 

 

「“点数ってそんなことになるの...?“」

 

 

トキもまた大型武装から降り、砲手へと役を変えた

 

 

「そして......最後は一番重要な役さ、花岡ユズくん」

 

 

「......へっ?」

 

 

ウタハは立っていた場所からずれ、その砲のまるでコックピットかとすら思える_________________________

 

 

「射手を頼むよ、クイーン」

 

「......ええええええええっっ!?!!?」

 

 

 

 

 

________________________________________________

 

 

 

 

 

「無理です」

 

「おお...ユズがこんなにはっきり否定を...」

 

 

砲手席へと案内されたユズはカタカタ震えながら席で否定を繰り返していた

 

 

「こういうのは絶対ネルさんとかの方がッ!!?」

 

「その美甘ネルさん本人からのご指名だよ」

 

「お前スターキャッツで連続3回撃墜王だっただろ」

 

 

「シューティングゲームとは訳がちまいますよ?!」

 

 

無理無理いやいやとユズはふるふると身を震わせる

 

 

「......テメェならできる、何てったって、土壇場でアタシを騙し切りやがったからな」

 

 

「ひぅ......」

 

 

そう言われると、ユズはもはや逃げられないと悟って涙目になりながら席の真ん中に備えられていたトリガーに手をかけた

 

 

「さて......では最後の関門だ」

 

 

全員が覚悟を決めた顔立ちでウタハに視線を預けるが、飛んできた言葉は.........

 

 

 

 

「すまない、このレールガン、まだ完成していないから動かない」

 

 

「「「“ぶべっ?!“」」」

 

 

「はぁァァァぁ!?」

 

 

先生とモモイ、ミドリはずっこけ、ユズは失神

 

ネルからは怒号が飛んだ

 

 

 

「仕方がないだろう!?私たちとヴェリタスだって努力した!だが間に合わなかった!!撃てる状態にまでもっていった方を褒めて欲しい!今ばかりは!!」

 

「“君が一番言わないであろうセリフを!!?!?!“」

 

 

何とここで下された置き物宣言。溢れていた戦意はすでに挫けているものも数名

 

 

『こういうとき...部長と副部長がいてくれさえすれば......』

 

 

コタマは通信越しにため息を漏らす。

 

すると_________________________

 

 

 

『あーーあーー、もしもし、呼んだ?』

 

 

『!?!?!!』

 

『あーッ!!噂をすれば先輩!!』

 

『ベストタイミング......!!』

 

 

何と、そこで通信に現れたのは噂の副部長『各務チヒロ』

 

 

「や、チーちゃん。重役出勤じゃないか」

 

 

『ごめんごめん、こっちも色々ゴタゴタしててさ。とりあえずそれを動かせる状態までプログラムとか組めばいいんだよね?』

 

 

『そう!!お願い先輩!!』

 

『私の妖怪MAX一年分献上するから......!!』

 

 

『いや...そんなにエナドリもらっても飲まないって......はぁ、ごめんね先生。うちの子たちがまた迷惑かけた』

 

 

 

「“ううん、すごく助かってる“」

 

それぞれが久々の邂逅を喜ぶ暇もなく。チヒロは容赦なくキーボードを捌く

 

 

『......うん、とりあえず撃つだけならこれで最低限』

 

「“もう!?“」

 

『伊達にハッカーやってないからね』

 

 

組み上がったプログラムデータが砲身にインストールされると、純白だったその砲に青色の光が灯った

 

 

『あー、そうだ。今回はもう少し頼りになる人連れてきたよ』

 

 

「チーちゃん以上に頼りになる人なんていたっけ?」

 

 

と、アスナの鋭い言葉の刃が先生の首で研がれたところで、通信にもう一つアイコンが追加された

 

 

『聞こえていますか?』

 

 

「......ええ、『ヒマリ』」

 

 

リオがそう返すと、通話の向こうのヒマリは少しだけ間を空け、続けた

 

 

『超天才美少女ハッカーこと、明星ヒマリと申します』

 

「だれ...?」

 

『ヴェリタスの元部長...?になるのかな。とりあえずすごい人だよ』

 

 

モモイの疑問にハレが答えると、ヒマリは少し機嫌よさそうに『ふふん』と鼻を鳴らした

 

 

『では、この天才美少女ハッカーの真髄、久しぶりではありますが先輩にお見せしましょう」

 

 

だが、こんな状況のためかすぐにさっきのテンションを取り戻し作業を開始した

 

 

『この砲は確かに凄まじい攻撃力を持っていますが、それ相応のにチャージに時間がかかります。リオ、説明と言いたいことは終わるまでは省きます。ついてこれますよね?』

 

 

「ええ。これでもミレニアムを背負っているもの」

 

 

リオもまた空中にキーボードを投影し凄まじい速度でチャージを開始する

 

 

 

『先生』

 

 

「“......うん、わかってる“』

 

 

ヒマリからの無言のメッセージ

 

 

先生は、その使命をしかと胸の内に刻み込んだ

 

 

 

 

「それじゃ、ちぃっと行ってくるわ」

 

 

ネルは自身の愛中である『MPX(ツインドラゴン)』を携え、勢いよく駆け出した

 

 

 

いい考えが浮かんだ、と言わんばかりの笑みを浮かべて

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________________

 

 

 

 

「 っれならッ!どうだッ!!!」

 

 

『シャイニングアサルトホッパー』

 

 

 

 

こいつ......!!底がマジで見えねぇ...!

 

 

かなり消耗しながら戦闘をしているものの、対してケイは慈愛たっぷりの笑みでアルトを見下ろすばかり。

自分に向かってくるレーザーも、細くマルチ化したもので弱い

 

ケイ自体も攻撃に転じることはなく防衛と先生たち方面への攻撃ばかりを行なっている

 

 

 

『シャインクリスタ......起動失敗。バックアップも消失』

 

 

『ッ...!なんか悲しくなるからやめて!?』

 

 

 

刻一刻と消失していく俺たちの権能。

 

 

「......我が物顔でその席に座っているそれは......」

 

 

脳内会話をしていると、ケイはなぜか不機嫌そうな表情になり_________________________

 

 

 

「やはり邪魔ですね」

 

 

『ッ!?』

 

 

瞬間、変身が解けてしまった

 

 

「終わりです。諦めていいですよ、アルト」

 

「っ...くは...っ!こちとら...諦めの悪さだけで18年ここで生きてんだよ...!」

 

 

アルトは今の体重では明らかに重いオーソライズバスターを持ち、ケイを睨む

 

 

「......ふふ......本当に、変わらない」

 

 

「随分俺に詳しいな」

 

「ええ、よく知っていますよ」

 

 

『自販機、テメェまだ死んでねぇだろうな』

 

『......あa......も...う消えかけもいいところだが』

 

 

 

「...あきらめましょう?私は、絶対それを肯定しますから」

 

「っ......だったら...もっと平和的に解決しやがれってんだ...!」

 

「......穏便は、停滞ですから」

 

「...?」

 

「もう手段を問うている場合ではないとだけ、なぜか覚えているんです」

 

 

ケイはアルトの青い瞳をじっと見つめ、言葉を紡ぐ

 

 

「あなたが愛してくてたまらない」

 

「あなたに触れたくてたまらない」

 

「あなたに名前を呼ばれたい」

 

 

「......なぜだか、それだけが私のメモリーに強く刻まれていました」

 

 

短く息を吐き、アルトへと歩を進めてにぱ、と笑った

 

 

「あなたを救うために、私はこの世界を壊します」

 

 

「ッ...その時点で...俺とお前は相容れないに決まってんだろ...!」

 

 

「ですね。それも『わかっています』」

 

 

そっと目を伏せ、「だから」と続けた

 

 

「そのための(理不尽)ですから」

 

 

 

大好きです、とケイはアルトを抱きしめようとするが_________________________

 

 

 

 

 

『伏せrろ!!!」

 

 

ノイズまみれの相棒からの警告を聞いた瞬間、頭上を何かが掠めた

 

 

 

 

「ッ!?...これは...!」

 

 

アルトの頭上を掠めた光は、夜、そして

 

 

「生者の剣など...!!」

 

 

ロンギヌスの燦剣を貫いた

 

 

 

 

「アルト!!」

 

 

「ッ!!ネル!」

 

 

そして、伸ばしてくれた友人の手のひら

 

 

それをしっかりと握りアルトの体は宙に浮いた

 

 

「手はあんだろ?」

 

 

「...当たり前だ」

 

 

アルトはネルのツインドラゴンの片割れを握り、最後の権能である『クラスターセル』で2人の体を空へ留めた

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 

「“ナイスユズ!!“」

 

 

『それでは第二射といきましょうか』

 

 

「えっ!?」

 

「二射は不可能と聞いたのだけれど」

 

 

レールガンの排莢を終えた先生たちは、ヒマリの一言でもう一度気合いを強制的に入れ直す

 

 

『それは『レールガン自体の』発射が難しいという話です。これから撃つのはもっと重要なものですよ』

 

 

「......アレを出すのかい?」

 

『ええ。先輩なら、気づいてくれるはずです』

 

 

「はぁ......ユズ、また仕事を頼まれてくれるかい?」

 

「きゅ......が、頑張ります...!」

 

「そのいきそのいき!」

 

「あと少しですよ!」

 

 

ユズは背後からC&Cの2人に応援をかけられながら再びトリガーに指をかけた

 

 

「......アルト、君は本当に無茶をする...治すのにかなり手間取った」

 

 

ウタハは砲身が傾いていく姿に合わせて指を銃のように構え、スッとそれを引いた

 

 

 

「だから......もう壊さないでくれよ?」

 

 

 

砲身から打ち出されたそれは、まっすぐ、空を裂くように飛来したそれを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ありがとな」

 

 

 

 

 

 

 

アルトは受け取った

 

 

 

 

 

 

プログライズゼロツヴァイ

 

 

新たなるアルトの剣は、反則の鍵(ゼロツープログライズキー)が装填されていた

 

 

 

 

「ッ...!!光_________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

「おせぇよ」

 

 

 

 

 

 

ネルが眼光を増せながら、ジャラリと鎖を手から離した

 

 

 

ガキッ!!

 

 

と、アルトを遠心力と鎖の張力で加速(swing by)させる

 

 

 

「行け」

 

 

「応」

 

 

アルトが最後に片割れの銃から手を離し、爆発的に加速

 

 

 

そして、剣のトリガーを引いた

 

 

 

アルティメットプログライズストラッシュ!

 

 

 

「光、よッ!!」

 

 

ケイの手のひらから放たれる光を断ち、ケイに迫る

 

 

演算(ラーニング)完了。撃て』

 

 

 

 

 

ああ

 

 

 

変身は解除されたけどな

 

 

 

 

 

『ライジング』

 

 

 

 

まだ、キーはドライバーに装填されたままだ

 

 

 

 

『インパクト』

 

 

 

 

 

 

「ぁ............」

 

 

 

ライジング

 

 

インパクト

 

 

 

 

 

 

ケイの短い悲鳴と共に、戦いは終わりを迎えた




次回 


ミレニアム編最終回


『Excite』
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