「“ん〜〜〜っ......よし、ここで一区切りかな......最近疲れが溜まるなぁ...変な夢も見るし......“」
シャーレでは、仕事を終えた先生が大きく伸びをしていた。彼もまた多忙の身、最近は徹夜することも少なくなってきたとはいえ、なかなか自分の時間を取ることはかなわない。
特に
「“......アルトに、早く会わなきゃな“」
先生は、なかなかアルトと会う時間を取れずにいた。
その理由は、明白にこの多忙さだろうが、先生からしてみれば明らかに彼から避けられているのは伝わってくる
それもそうだろう。自分の家族に等しいものを手にかけなければならない原因、それが自分にあるのだから
それを、先生は理解していた。決してバカな大人ではない。理解した上で、自分もまた彼になんと話せばいいのかがわからなかった。
下手に刺激して傷つけてしまうかもしれない
それこそ、どの口が案件だ
かといって、彼の優しさに甘んじて罪と罰に向き合わないのは教職者としても、彼自身としても望むところではない
「“...クヨクヨしてても仕方ない。私が後悔しようがなんの役にだって立たないんだ“」
ベチっと頬を叩き、無理矢理にでも『先生』としての矜持を再び胸に刻み込む
『“汝、教職者であれ。生徒を守り、育て、共に苦楽を分つべし“』
彼もまた学徒だった頃、自らの座右の銘として刻んだ言葉だ。
諦めるわけにはいかない。甘えるわけにはいかない。私には、その権利はないのですから
諦めるのも、甘えるのも、それは彼の学徒たちの権利
「“さて、午後の仕事も_______ん?“」
視界の端が、微かに光をとらえた
________________________________________________
「さて、定例会議を始めましょうか」
『黒服』はゲマトリアの会議室で不敵に笑う。いつものことだ
「
会議室の一角で軋轢音を鳴らしながら『マエストロ』は考えるような姿勢をとっている
「ええ。流石の『色彩』と言えど平行の断層を乗り越えるには少なく見積もっても行儀良くお迎えの準備ができる程度にはあるでしょう。ですが、事は悠長に構えられるほどでもありません」
「......もはや、教導者の存在も意味を為さぬ物語へと変貌......いや、違う。この『世界』は元より『彼』の物語だ」
遺影を顔面のように扱う『デカルコマニー』、そして声を上げる『フランシス』
「だが、仮にその主軸が崩れれば、この世界はどのような結末を迎えるのか「少なからず」
彼の声を、黒服は遮った
「まだ、彼はおとなしく盤面から引き摺り下ろされるのを待たないとは思いますが......クックック......」
それぞれが再び呼吸を整え、黒服は宣言する
「ベアトリーチェの犯した行為は、私たちの研究現場を崩壊させられかねません。よって、『ゲマトリア』を解散とし有事に備えてください。もし
2人も異議なしと言ったように頷き、それぞれがそれぞれの準備を
だがそんな事はどうでもいい
お前たちの歪で狂った創作はもう終わりだ
世界は先輩を裏切った
ならば先輩にも世界を裏切る権利がある
『先生』も『ゲマトリア』も、大人も子供も企業も学校も銃も剣も悪魔も天使も天国も地獄も
秤アルトを裏切ったのだから
「......まさか......色彩をも追い越して『直接』侵略を始めるとは思いませんでした」
「うん。必殺技を最初から使っちゃいけないなんてルールはないから」
黒服の前には、『死』が広がっていた
というより、『死』そのものが衣服を身に纏い、こちらへその力を向けている
「ククッ......それは、愛ゆえの?」
「うん。そうかもしれないけど。それを語る権利なんて私たちにはないから」
「クックック......いかにも、あなたらしいと言えば貴女らしいでしょう......ですが......彼が貴女の思惑通りに動くとは、考えられませんが?」
「うん。そうだろうね。でも私はどんなことがあっても先輩の味方だから。問題ないかな。まぁでも______________________
その前に、先輩を殺したこと箱庭は船ごと壊す」
「ええ。それが貴女の本質です。
砂狼シロコ
________________________________________________
同刻;ミレニアムサイエンススクール
「ああっ!ケイ!最風コンボは御法度です!!もう一回勝負......ケイ?」
本来彼女が安心できる場所であるはずのそこで、彼女はゲームコントローラーを握ったままカタカタと震えている
まるで、何かに怯えるように
「......おかしい......!いくらなんでも、早すぎます......ッ!!」
__________________________
同刻;シャーレ
「“......何、あれ“」
_______________只今、D.U.地区に特別厳戒令が発令されています、お住まいの方は空からの飛来物に注意し______________________
先生が目を向けた先にあったそれは
黒い光を携えた、船と、反転せし歪みの塔
アトラハシースの片船
「“...ッ!とにかくみんなに連絡____________
ガンッ!!
「“っぐ?!“」
先生は後頭部を殴られ、意識が半分飛んだ
「その必要はない。安心して眠っていろ先生」
その犯人は......犯人たちは
「今よりここシャーレは我々『ZAIA』の前線基地となる」
「“ッ...!カイ、ザー......!“」
蛸の足を携えた不届者であった
「喜べ先生。あの船は必ず我々が沈める。そうすれば......ククッ、『企業都市』の名も箔がつくというものだ」
『ジェネラル』は表情を変えずに部下たちに向き直った
「君たちは問題が解決する。我々はこの学園都市が手に入る......まさに、Win-Winの関係ではないだろうか?ああ、もう意識を保っているのも苦しいだろう。兵士たち、彼を『丁重に』休ませてやれ。お疲れのようだ」
......できなかった
対応、できなかった、また。
この状況に、真後ろからくる予想外の出来事に
どんな時もそうだった。アビドスの時も、エデン条約の時も......ミレニアムの時だって
私はずっと後手。何が先生だ。生徒を、守るべきなのにいつも守られてばかりで
情けない。情けない情けない情けない情けない
悔しい
......だから
ガッシャァァァァァァァンッ!!!
私は、情けなくとも生徒を頼る。それしか、できないから
「ハァッ!!」
シャーレの窓ガラスをぶち破り、入ってきたのは四つの影
「ッ!?貴様ら......!一体!?」
「......知る必要はない」
そう言い、リーダーの少女はジェネラルに弾丸を放った
「サオリねえ......じゃ、じゃなくてリーダー、あの人たち変身してるんですが......」
「兄さんの技術盗んで粗悪品作った程度でしょ。程度が知れてる」
「うん。あんなのお兄ちゃんの努力が汚されるだけだから。壊していいよね?」
「ああ。即刻シャーレを奪還し、あのプログライズキーとガジェットを破壊する」
そしてリーダー、つまりサオリは振り向き
「無事か、先生」
「“うん、ベストタイミング“」
_____________________________________________
同刻;トリニティ・サンクトゥムタワー
『先輩、校舎内、サンクトゥムタワー周辺の避難が完了しました』
「うん、ありがと。ナギサたちは休んでて。あとは______________________
『ゼロツージャンプ』
『Progrise key confirmed. Ready to lethallies.』
「俺がやる」
アリウススクワッド 現着
第二話『
_____________________________________________
同刻;???
「先生、虚妄のサンクトゥムと船の配置が終わりました」
「それじゃあ、アロナは話した通りにお願いね。私はここですることがあるから」
「......はい」
片目を白い髪で覆った少女は、玉座のような部屋で佇む女性に一瞥し、姿を消した
「......やっと、だね」
女性は.........『先生』は『アークドライバー』を持ち、額に当て気合を入れ直す
自らに刻んだ、矜持を
『汝、教導者であれ』
『生徒を、守り、育て』
「......会える、かなぁ」
【『All ZERO』】
けど私にはもう
【『それしか許されないから』】
第二話;『
先生、シロコ、プラナ。
いや、お前ら結局自分の過ちを他の世界に擦り付けて罪から目を逸らそうとしてるだけだからな
謝れると思うなよ、あほ