紅魔館パートです。
どうぞごゆっくり。
前日、紅魔館にて
「お邪魔しまーす♪」
「・・・スキマ妖怪が、何しに来た?」
「あらあら、歓迎ぐらいしてくれてもいいじゃない。吸血鬼さん?」
「わざわざ訪ねてくるなんて、異変でも起きたのかしら?」
「違うわよ・・・ある提案をしに来たの。」
「詳しく話しなさい。胡散臭いわよ。」
「・・・貴女、人間に興味ない?」
「人間ならうちにも2人いるわよ?」
「あの人達は規格外でしょ。なんの変哲もない、ただの人間。」
「興味ないわ。帰ってちょうだい」
「まあまあ、詳しくって言ったのはあなたじゃない?」
「・・・何が言いたい?」
「不法侵入者で、記憶喪失の人間は欲しくない?」
「・・・まさかと思うが、あの博麗大結界が破られたの?」
「そのまさかよ。彼が破ったの。これは紛れもない真実。」
「!?」
「フフフ、フランちゃんのいい遊び相手にもなるんじゃないかしら?」
「・・・だからどうした。アイツの遊び相手なら咲夜がいる。メリットが無い」
「どうかしら?彼、名前もないようだし、とっても教育しがいがあると思うけど。」
「・・・仕方ないわね。今回だけは貴女に乗ってあげる。感謝しなさいよ?」
レミリアがニヤリと笑う。
「契約成立ね。」
「お嬢様!?そいつは!?」
時を止めていた咲夜がいきなり現れる。
「あらあら、見つかっちゃった。それではよろしく頼むわね?」
「クッ・・・又しても、あのスキマ妖怪め・・・!!」
「咲夜、喜びなさい。・・・新しい人間が来るわよ。とびきり育てがいのあるのが。」
よし。心の準備は出来た。第一印象は礼儀正しく・・・
ん、?あれは・・・
「あの・・・紅魔館の方ですか?」
門の横で寝ている女性に話しかけると、バッと飛び起きる。
「ひゃっ!? ・・・私は紅魔館の門番!貴様何者だ!?」
「やっぱり。外来人ですけど、お話聞いてません?」
「・・・あーーーーー!!昨日言ってた、名前のない方ですか!?」
「お恥ずかしながら。」
「聞いてますよ!早速中へとうぞ!お嬢様がお待ちです!」
「お邪魔します。」
お嬢様?この館の主は女なのか?
というか、幻想郷に来て一人も男を見てない気がする・・・
「お嬢様、例の外来人を連れてまいりました」
「入りなさい」
「失礼します・・・」
ガチャっとドアが開く。主はどんな人だろう?やっぱ貫禄がありそうだなあ・・・
そう思って部屋に入ると、そこには・・・小学1年生くらいの少女が座っていた。
これが主?まさか・・・
「初めまして。私がこの館の主、レミリア・スカーレットよ。」
「・・・失礼ですが、貴女がですか?」
「何よ?私が務めちゃいけないの?」
「えっいや・・・えっ!? 」
「貴方、随分と失礼なのね。これから仕える主だというのに。」
仕える!?何を言っているんだ!?
「えーっと・・・申しわけありません。何も聞いていない物で・・・」
「ハア・・・これだからスキマ妖怪は・・・いい?よく聞きなさい。これから貴方は紅魔館のメイドとして働くのよ?」
「えぇ!?」
「・・・あなた名前が無いんでしょう?私が名付けてあげるわ。」
「今日から貴方の名は・・・空から降ってきたのだから、弦月《げんげつ》 降《こう》でどうかしら?」
俺は驚愕した。紫にハメられたのか!
まあ詳しく聞かなかった俺のミスか・・・っていうかアバウトすぎるんだ。
っていうか名前付けられたぞ俺!
「いい名が付いたわね、降。咲夜!例の外来人が来たわよ!」
すると何処からともなく、銀髪の美女が現れた。彼女も妖怪なのだろうか。
「貴方の話は聞いているわ。私は十六夜 咲夜。この紅魔館のメイド長を務めています。」
「咲夜、その者は弦月 降という名前が付いたわ。みっちりと教えてあげなさい。」
「畏まりました、お嬢様。降、付いてきなさい。」
「ここが今日からあなたの住む部屋よ。自由に使いなさい。」
「えーっと、咲夜さん?色々と聞きたい事があるんだが?」
「何かしら?」
「何って、俺は何も聞いていないんだけども・・・」
「・・・仕事内容はおいおい説明するわ。」
「そういう事じゃなくて。そもそも此処は何だ?」
「・・・本当に何も知らないのね。此処は吸血鬼、レミリアお嬢様の館、紅魔館よ。」
「本当にあの子供が!?」
「・・・次お嬢様の悪口を言ったら殺すわよ?」
そう言って咲夜はナイフを突きつける。
「スイマセン・・・」
こうして、俺の命懸けのメイド生活が始まるのであった。
弦月とは、半月の異称です。弓張月とも言います。
今はまだ半人前だけど、成長し、満月になるようにと願いを込めて付けたというニュアンスでお願いいたします。
やっぱりレミリアお嬢様はかわいい。