公爵令嬢アリアドネの(世界が)破滅(するかもしれないSCP)配信 作:[Brrd_Kakeruは存在しません]
御機嫌よう、わたくしの大切な友人の皆様。公爵令嬢アリアドネでございます。ご存じの方も多いかと思いますが、只今SCP財団日本語支部では、「棍棒での殴り合いコンテスト」という、一聞しただけでは野蛮にも思える催しが開催されておりますの。
今宵はこの催しへの参加作品から、一篇。SCP-2238-JP──知識の守護神ともいえる存在について、語らせていただきますわ。
勤勉の象徴とも言われる二宮尊徳様の姿を模した像、二宮金次郎像。皆様が通われた小学校にも設置されていたのではないでしょうか。SCP-2238-JPは、我々が知る金次郎像とは一線を画す異常性を有する像でございます。外見的には、通常のものとほぼ変わらず背負子を背負い、柴を運ぶ傍ら、手元に目線を落としておりますが、肝心の手元には書物を持っていないのです。
しかしながら、とある出来事を経て、SCP-2238-JPはその手の中に、書物を転移させる力を持つことが判明いたしました。その力はまるで、知識を握りしめ、深く理解しようとする尊徳様の姿勢を象徴しているようではありませんか。
SCP-2238-JPは、何の前触れもなく、彼の設置されている施設内に存在する学術的な書物をその手に取り込みます。書物の選好には特に経済学、社会学、農学の本がみられておりました。一定時間が経過すると、こちらも前触れなく、書物は元の場所に戻されるのですが、その際、彼の指先から染み出したかのような赤線で重要な部分が強調されているのです。この線はSCP-2238-JPと同質の酸化銅で構成されておりますが、計測しても、本体の質量には影響していないようですわね。
転移現象は、文字数に比例して時間が伸びていくことが確認されているため、まるで金次郎像が一文字一文字追いかけて、知識を吸収しているかのようにも思えます。また、彼が「読み終わる」前にその手から書物を抜き取ると、即座に元の場所へと転移します。この場合、書物が大量の酸化銅で覆われた状態になってしまうため、この行為は推奨されていませんわ。
SCP-2238-JPが持つこれらの異常性は、彼が単なる石像ではなく、知識への深い理解や、知識を得ることに対する深い愛情を抱いていることを示唆しています。まるで、二宮尊徳様が学び続け、探求し続けたその精神を、現代に伝えようとしているかのように。
この像が異常性を発現した背景には、児童たちの悪戯から始まった物語があります。実はこの金次郎像、初めから書物を持っていなかったわけではなく、設置されていた小学校の児童が悪戯で持ち去ってしまったのです。その後しばらく時間をおいてから、翌年になって初めて、金次郎像がいつの間にか図書室の書物を手にしている姿が発見されました。この出来事が最初の「転移」であったのか、これもまた「悪戯」であったのか判然としませんが、以来、図書室の書物が次々に像の手元へと転移するようになり、学校側が公的機関に調査を依頼した結果、財団の知るところとなりました。
SCP-2238-JPの研究が進んだ結果、最近では学術書以外のジャンルにも興味を示すようになり、娯楽小説や漫画、成人向け雑誌まで転移させるようになりました。そして、これら大衆娯楽、特に性的な内容を含む書物の転移中に、職員が収容室へと入室すると、書物は即座に消え去り、代わりに学術書が出現するという、まるで──これをいうのは野暮と言うものですわね。ともあれこれらの現象から、SCP-2238が周囲の状況を認識し、適切な反応を返している可能性を示しておりますわ。
総括して、SCP-2238-JPは知識と学問への敬意を教え、我々が何を大切にすべきかを問いかけているような存在です。知識の追求は、
さて、皆様、このSCP-2238-JPについてどう思われますか? 彼が示す知識への愛から、貴方はどんなメッセージを受け取ったのでしょうか。
以上、侯爵令嬢アリアドネがお送りいたしました。ご笑覧いただけたようでしたら幸いでございます。
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SCP-2238-JP - 勉強熱心な銅像
written by polodexus