魔法使いたちの骨肉相食む血筋争いが見たい   作:reverofllaF / 永遠下降

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Step6-3.「樹殻世界の裂罅」

 ほぼ手付かずだった無人島は、一週間で「領島」となった。

 防波堤や港といった基本的なものに始まり、魔物避けや天候災害、天恵の樹液(エリクシル)避けなども完備され──今日、試験として用意される「守るべき領民たち」がやってくる。

 スヴェナ曰く、その領民たちは多種多様な性格をしている──演じさせられている──らしく、些細なことに文句を言う者もいれば、不満を抱えながらも黙し、後で爆発させるもの、何も考えていないで言葉を発する者などが来るらしい。所謂「領主の抱える悩み」の体現というやつだね。

 条件付けもされている。彼らは領民であるのだから、領主が彼らを傷つけることなどあってはならない。彼らはどれほどに愚鈍であろうと守るべき民で、見下す平民ではないのだから、と。

 ただし「守るべき領民たち」も不満を垂れるだけではないのだそう。領主としての仕事をしっかりと熟せているのであれば評価も上がっていくし、なんと卒業後、本当に彼ら彼女らの治める領地・領島へと移住してくる者までいるのだとか。つまりそれほどには公平に判断するということだね。

 

 ま。

 己と生徒Cにはあまり関係のないことなので、出迎えは少女Aらに任せた。

 ……のだけど、生徒Cは一応ついていく、らしい。まぁ確かに少女Aと少女A''のように……次期当主とされていた者が次々に死なば、生徒Cも領主となる可能性が出てくる。あるいは当主となる可能性すら、だ。あらゆることを想定しておくのは魔法使いの基本であるのだし、うん、良いことだと思うよ。

 

 そういうわけで、この島で最も高い丘の上に立つ一本木……に、取り付けたハンモックでゆるりと読書である。

 読書。そう読書だ。

 地下の『WEAPON LINE』には配属研究員用だろう詰め所があって、そこには多少の娯楽があった。

 ヒトの生み出す娯楽など既に知り尽くした己ではあるけれど、それは別にヒトの生み出した創作の全てを知っているわけではない。だから、どれほど既視感に苛まれる創作物であろうと楽しめる。

 ……幸運なことに、そういう創作物だけでなく、あの部屋には旅行雑誌なんてものもあった。戦争が激化していた時代のもの、というよりは、「かつて行くことのできていた場所」を載せた雑誌。出版社は民間企業に見せかけているけれど、作らせたのは軍だろうねェ。

 戦争に勝てば、ナノマシン汚染をどうにかすれば、樹殻を壊してさえしまえば……外に出て、こういう場所に行くことができる、と。

 情報を制限して駒として使うのではなく、情報を解禁して欲を出させ、それを原動力に士気を向上させる。

 

 軍にも色々なやり方があった、という話だ。

 そしてそれらは……遺物となって。もはや見ることの適わない思い出となって、今己に読まれている、と。

 

「こういうの、風流というのかねェ」

「意外です。『御館様』にそういったものを理解する心があったのですね」

「……君みたいなものを無粋と、そう呼ぶのだろうね」

 

 己の寝転がるハンモック。それの架かった樹木に凭れ掛かるは……一見して、「魔力の少ない没落貴族」に見える少年。

 この子もまた存在抹消の里に住まう者。己を慕うおかしな者。

 

「なぜここにいるのかな」

「移住してくる領民の一人に選ばれました。外での身分を長期間使うことは避けたかったのですが、現当主がそれを許さず……面倒に思っていたところ、行き先を調べてみれば『御館様』の向かった島ではありませんか。やる気も出るというものです」

「ああ……そうか、そういう選出をしているのか」

 

 未来で、他の貴族の土地に移住する可能性のある者、ということは。

 どこに出してもどうでもいい領民、ということでもある。貴重な血は手放さないだろうからねェ。

 

「それにしても、ついてそうそう風の感知を行ったのですが……凄まじいまでの危険地帯ですね、ここは。『WEAPON LINE』があることは知らされていましたが」

「そうしたんだよ、己が。今の己はエンジェ・エレメントリーという少女に執着していてね。彼女のポテンシャルを考えると、もう少し手荒にしてもいいのではないか、と考えているくらいだ。ああそれと、イズ・アドクロス。彼は彼で……そうだね、君達と同族の気配がする、とだけ言っておこうか」

「成程、災難の班、と」

「明け透けないねェ」

 

 ……そうだ。

 

「一応告げておこう。『WEAPON LINE』には君達魔法使い……魔力をその身体に帯びさせる者、及び現代の大気に適応した人間の全てを除染対象とするよう指示してある。つまり、領主である彼女らだけでなく、君も、君以外の移住者たちもターゲットとなるわけだ」

「はあ。まぁそれは領主役の生徒が対応すべきことで、私達には関係ない話では?」

「咄嗟に反応してボロを出さないように、と言っているんだよ、ベレット・フィジクマギア」

「……『御館様』、今の私はアゥドゥア・ヴィトクリアスです。そのような者はもういませんよ」

「エレメントリー分家、風のヴィントル家の更に先細り。……ここに派遣されたということは上手くやれているようだけど、ここを襲う機構を前にしてその余裕はいつまで続くかな」

「素晴らしいですね、『御館様』。監視の目が届かないからでしょうか、いつにも増して趣味が悪い」

 

 クツクツと笑って……少しインスピレーションを得た。

 そうだね、次に襲わせる機構はそれにしよう。ついでに魔物も鹵獲して……。

 

「ああそうだ、既に知り合いかもしれないけれど、スヴェナは君とほとんど同一の境遇だ。君達にかけられている言葉上の認識錯誤は里の者同士では外されるから、窮屈な思いをしたくなければ彼女のもとへ行くといいよ」

「もうこの外側の翻訳口調にも慣れましたが、マジですか」

「マジだね。大マジだ」

 

 スヴェナはまだ自身の発話する言葉と周囲が聞いている言葉の違いに戸惑っているけれど、彼のように全てを理解して話している者もいる。その方が勘違いが起き難いからね。

 それでもそれは自身を抑圧した姿であると言えるし、本来であれば今のようにとても軽薄な口調の青年だ。今現在こそ礼儀正しい少年を演じられているけれど……元がフィジクマギアだからねェ。

 咄嗟の時に拳が出ないか、己は心配だよ。

 

 ガラァン、と。

 少女Aによって築き上げられた城、その最上の取り付けられた鐘楼の鐘がその音を鳴らす。

 普段は定期的な時刻を伝えるために鳴らされるものであるけれど、この鳴り方は違う。

 

「……『御館様』、この島へ急速接近している飛行型の機構を感知したのですが」

「雑談の合間に組み上げて、適当な魔物を鹵獲させて、こちらへ呼び込んだからねェ。大型輸送機『DRAGONFLY』。今調達できる材料で最速のものを選んだんだ、移住説明をエンジェたちが行っている間に到着できたようで何よりだよ」

「……大人しく守られてきます」

「ああ、そうするといい。君は無力な没落貴族、だからねェ」

 

 一応、己は忠告したからね。

 君達もターゲットだ、と。

 

 ──存在抹消の里。そこに住まい、未だ外の肩書きを捨てない君達が持つ恩讐。

 それを全うしたいのなら、流されるだけ、なんて状況を己が見過ごすとは思わないことだ。

 

 奪われてもいい混ざり物だと認識されているのなら、しっかりと爪痕を残してくるといい。

 そのために己はあの里を作り、そのために己は君達の命を繋いだのだから、ね。

 

 

 高空から飛び降り、フロストスネイルの頭蓋を一突きにする。

 そうしてステッキの上に立てば……怒り顔の少女Aが近寄ってきた。

 

「アンタ! 今までどこにいたのよ! 領主仕事をしない分、魔物退治はアンタの役目でしょ!」

「そう言うのならあとで東の海岸を見てくるといい。己の仕事ぶりが見えるはずだよ」

「……ごめん」

 

 見るまでもなく風で感知したか。

 精度も速度も、凄まじい成長曲線を描いているね。

 

「それで、状況は? 上空から見た限りではそれなりに殲滅できているようだけど」

「まだよ。何が目的なのかはわからないけど、上空をとんでもなく速い魔物が飛行してて、そいつがぼとぼと魔物を落としてきてる。領民はシャニアとケニスが守っていて、イズとスヴェナと私が魔物の殲滅役。……アンタには上空の魔物をお願いしたいんだけど」

「足場が欲しいね。己は空を飛べるわけではないから」

 

 林を掻き分けて出てきたマーブルアントが一瞬にして氷漬けにされる。

 その足元を通って出てきた無数のスパイクスパイダーは燃やし尽くされ、矢のように少女Aへと突き刺さらんとしたダーツバタフライが紫電と共に焼き切られた。

 

「忙しいかい、エンジェ」

「全然。こんなの無意識にでもできる。足場は風と氷で作るから、アンタは──」

 

 ()()()()()()

 バッとそちらを振り向いた少女A。彼女の目に映ったのは──ただ上空を行き来して魔物を運んでくるだけだったはずの『DRAGONFLY』が、逃げ遅れたのだろうか、今しがた移住してきた領民の一人を連れ去らんとする光景。

 

 エレメントリー、デルメルサリス、デルメルクラン、デルメルグロウ、アドクロス。

 質だけ見れば上位に位置する魔法が『DRAGONFLY』に殺到するけれど、アレの速さを舐めちゃいけないよ。

 今集められる材料で最上のものを使ったんだ。その速力は音速の三倍。それが加速無しに動くんだ、目で追えるものではない。ま、ただの輸送機だからね。安全機構として生じるはずの衝撃波はナノマシンによって相殺される仕組みになっている。それがなかったらあの場は血の海だろう。

 とはいえそれを抜いても凄まじい暴風が吹き荒れるから、飛ばされた領民は受け止めないとねェ。

 

「いいのかい、エンジェ。領民が攫われてしまったよ。領主として……」

「ちょっと待って、集中してる。……捕捉したわ」

 

 口角が上がる。

 音速の三倍。マッハ三で急制動を繰り返す『DRAGONFLY』を捕捉した?

 それは、まさか。

 

風鎖禁固(セプテマ)

 

 ギィン、という音がして……少女Aの足元から上空へ、氷の糸筋のようなものが伸びる。その先にいるのは勿論『DRAGONFLY』。けれどその身は凍り付いている。魔法(ナノマシン)抵抗を越えて、動力源まで。

 

「シャニア! 今渡した位置に空間抱擁(エンブレイスサリス)お願い!」

 

 遥か遠方、遥か高空に次元空間の穴が生成される。動力を失った『DRAGONFLY』は除染すべき強化人間を取り落とし──彼の真下に生まれた波紋の中へと回収すべきものを奪われる。

 それは空間移動の亜種。疑似的な量子間テレポーターの設置に等しいもの。そうして直後、連れ去られたはずの領民がポト、と少女Cのもとへ振ってきた。

 この距離を繋いだのか。へえ、少女Cも中々……。

 

「イズ、ケニス! あの合わせ技お願い! スヴェナは止め!」

 

 六面結界、ではない。

 単なる面としての結界が六つ形成され、その結界に十字痕が刻まれる。

 

多重十字痕陣衝(アド・アクト・クロス)

「っ……相変わらず、容赦ねえな!」

「君が耐えられるというからこうしている。本来であれば僕一人で充分だ」

「ああそうかよ! で、チビ! 準備は──」

 

 自身の作った結界に陣地を埋め込まれる、というのは、恐らく得も知れぬ違和感があるはずだ。

 それを六面、さらに多重。生徒Cはよく堪えている方だよ。

 

「一応、貴方に心配されるほどの力量ではない、とだけ言っておきましょう。次元消滅(デルメルバニス)

 

 最後を飾るはスヴェナ。だけど君、それ結構な……というか多分禁呪だよ。始祖CCは今頃頭を抱えているんじゃないかな。己と交わした約定とはいえ、まさかこんなものが生まれるとは、って。

 いやはや。

 素晴らしい連係だ。「敵を倒すこと」に関してはもう一流を名乗れるよ。

 

 けれど、領民の評価はどうだろう。

 

 聞き逃さない。後方、生徒Eから漏れ出でた言葉。「……なんだよ、守ったのに」。生徒Cから零れた言葉。「そもそも連れ去られないようにって……」。少女Cから溢れ出た言葉。「その通りですが……いえ、領主とは、そう、ですよね」。

 どれも、「連れ去られる前に助けてほしかった」とか、「守りは万全じゃなかったのか」とか……そういう不満へ向けられたもの。

 いやぁ、役者ばかりだね。それを行うことで賃金を得ているのだろうけど、なんともなんとも。

 

 何も言わないのはスヴェナだ。まぁ彼女にとっては例年のことだろうからね。

 そして少女Aは。

 

「……感知を怠ったわ。ね、アンタ。いつも私の感知をすり抜けてくるけど、あれ、どうやってるワケ? 今みたいなことが起きないように教えてほしいんだけど」

 

 ただただ、向上を目指す、か。

 他者を責めるでもなく、己を悔いるでもなく。

 

 ならば……応えよう。未来の己ほど心を砕けるかはわからないけれど、君を強くすることに関して己は惜しまない。

 サイドストーリーは勿論進めるけれど、メインストリームはこっちに移行したい。

 

「君の風の感知は、渦状をしている。だから隙間があるんだ。──相談するといいよ、色んな人に。領民の中には風の分家も何人かいるようだからね」

「……ん。そうするわ。ありがと」

「もう一つアドバイスをするのなら、先入観を捨てることだ。先程己に頼ろうとしただろう? 速すぎて追いきれないから、と。けれど実際、君はアレを捕捉し、魔法によって氷漬けにした。──君は自らで自らに制限をかけている。君はやろうと思えばなんだってできると思うよ」

「なによ……やけに優しい言葉をかけるじゃない。なに、何かいいことでもあったワケ?」

「恋仲だからねェ。恋人を気に掛けるのがそんなにおかしいかい?」

「……まぁいいけど」

 

 ──杖を突き出す。

 彼女の頭蓋。それを狙って伸びてきた()()()()を防ぐために。

 

「きゃ──!?」

「な、るほど。『天使』クン、君はここで、彼女を突き飛ばしたのか。それとも抱き寄せたか──」

 

 凄まじいエネルギーが衝突する。

 それは雷を思わせる姿でありながら、黒白の光をあたりいっぱいに撒き散らしていく。

 

 一本、じゃない。

 少女Aを狙って伸びてくるは、十三本の枝。

 

「ああ、けれど、己と君とでは、決定的な違いがあるよ」

 

 なんせ己は。

 

「未だに『彼』を覚えているのだから」

 

 その全てを弾き返し、巻き取り、己を流し込む。

 今、己は、話をしていただろう。

 

 君が現れるのは十数年後。そうだろう?

 

 だから──後にしてほしいかな、『樹殻』。わかっているよ。ナノマシンが、いいや、魔法使いが。

 この惑星を蝕む毒であるなんてことくらい、最初から。

 

「アンタ、大丈夫なの、それ……」

「ん? ああ」

 

 まぁ、今は肉体があるからね。

 光速に近しいとかじゃなくて、光速の物体なんてものを受け止めて、且つ世界に齟齬がおきないよう調整したのなら……そりゃ腕くらい破損するよ。

 別に物理法則が壊れたわけじゃないからねェ。

 

「まぁ己の頑丈さは知っているだろう。今はそれより、次の攻撃の可能性に備えて適切な避難指示でも行うべきなんじゃないかな。今の事象で領民も不安がっているだろうし、魔物の襲撃へのストレスもあるだろう」

「それは……そうだけど、アンタをそのままにしておく理由にはならないでしょ。……アンタだけでも学園に帰って、ネクロクラウンの治療を」

「理由になるよ、エンジェ。己は君が守るべき領民ではないのだからね。その割り切りができなければ領主になどなれないし、当主としてもやっていけないだろう」

 

 博愛主義。

 それは……ヒトとして、少しばかり「おかしい」。

 いつか壊れるか、元々壊れているのか。

 

 君は慕われる領主であった方が良い。だって君は、既に色んな人間から愛されているのだから。

 愛は世界を救うんだよ、少女A。

 見てきたからね、知っているんだ。

 

「……ちゃんと応急手当でもいいから、やりなさいよ。あの人たちを安心させたら、すぐに戻ってくるから」

「ああ、頑張ると良い」

 

 己に背を向け……飛んでいく少女A。

 

 ふむ。

 腕の破損、どうしようかな。そのままにしようかな。

 だって治ったらおかしいだろう。

 

「『御館様』、特に何が露見することもなくこの事態を乗り切ることに成功しました」

「それさえできないのであれば己は君に価値を覚えていなかったよ、アゥドゥア・ヴィトクリアス」

「……それで、その腕は……()さないのですか?」

「どっちが風流(エモ)だと思う?」

「はい?」

 

 あの虫が頻りに言っていた言葉だ。

 曰く、罪悪感やストレスといったカタルシスがあった方が愛は大きくなる、だったかな。創作物としては些かテンプレートが過ぎる気もするけれど、まぁ言いたいことはわかる。

 

「学園へと帰ってネクロクラウンの治療を受けたことにして、普通に腕を取り戻すパターン。遠洋課業の点数を失いたくないからと、片腕のまま過ごすパターン。どちらが良いかな」

「……いえあの、『御館様』の好きにしたらいいのでは」

「はぁ。この世界をしっかりと生きる君達の意見が聞きたいのだけどね。ま、いいや。とりあえず直さない方向でいこう。……で、アゥドゥア・ヴィトクリアス」

「はい」

 

 消音結界が張られる。風のエレメントリーが板についてきたねェ。

 

「さっき逃げ遅れた魔法使いは、どこの血筋かな」

「ダストクラウンとネクロレアニーの混血で、魔力適性の低い存在、ですね」

「それとなく動向を気にしておくといいよ」

「……まさか、始祖の尖兵ですか?」

「逆に聞くけど、そういう役を演じさせられているのだとしても、本当の命の危機に瀕するほどの演技ができるものなのかな、移住者たちは」

 

 不満を垂れ流すだけの「守られる者」。

 それは、けれど自ら命を差し出そうとしているわけではない。

 

「あの状況下で逃げ遅れる? しかも『DRAGONFLY』が他の魔法使いには目もくれずに回収した存在だ。これ以上何か言う必要、あるかな」

「いえ。……はあ、ですが……また始祖ディアナですか。アレ、もう魔王認定とかして全魔法使いによる一斉討滅とかしていいんじゃないですかね。私、現在と生前合わせて四度目ですよ、あの魔女の企みを見るの」

「魔王候補で言えば、まぁ、始祖ディアナ・ネクロクラウン以上の逸材がいるけれどね。……そんなわけで、この島は毎日のように魔物の襲撃を受けるから、上手く動いて、おかしな人間を見つけ出すと良いよ」

「承知しました。──あ、一つだけ言っておくと……腕に巻く包帯は時折血染みを浮き上がらせる、などすると効果的ですよ。私はそういう娯楽創作には詳しいんです。生前の趣味ですが」

「へえ。もしかしたら今後も君に相談しにいくことがあるかもしれない。その時は是非意見を聞かせてほしいかな」

「おっとこれは、……でも他のやつらに羨ましがられて背中を刺されそうですね。はい、じゃあ、また。秘密裡にやりましょう、そういうのは」

 

 ま。

 ああやって第二の生をエンジョイしている魔法使いもいる、という話だ。だとしても逃れられないものはあるけれど、ね?

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