魔法使いたちの骨肉相食む血筋争いが見たい   作:reverofllaF / 永遠下降

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Step8-3.「魔導学園の危機」

 聖護魔導学園に在籍する全本家、分家の当主、次期当主の引き渡し。

 それが『残照回廊(リメノンス)』を名乗る者達からの要求だった。

 無論──そんなことはとうの昔に識っていたがために拒否。ただし、夢幻独白(ネクロレアニー)たる教師ドリューズを用いて全員を拘束する……という「掴むはずだった未来」は、「教師ドリューズが『残照回廊(リメノンス)』を名乗った魔法使いと教師陣を誤認する」という結果に変えられ、大混乱が起きる次第となる。

 この時点でようやく理解できたのは、敵の聖護星見(クライムドール)が彼女を……イレイア・クライムドールを上回る実力の持ち主である、ということだけ。

 複数の教師とフィニアンによる決死の脱出作戦により敵の拘束から脱したイレイア達は、自身に可能な最大限の陣地を励起したあと、起こることをその場その場で対処するだけの、完全な後手へと回ってしまっている。予め配置していた教師らによる迎撃が成功したのは初めの一度のみで、その後は次々に敵方へ人員が奪われてしまっているのだ。

 

 聖護星見(クライムドール)はその性質上、生まれた時から高い倫理観を植え付けられる。

 それは最早洗脳にも似た手段での教育であり、それゆえにこと陰謀という点においては聖護星見(クライムドール)の関わる現場は少ないとされている。

 無論分家になればなるほどその洗脳教育は薄まっていくが、本家の人間がこういった悪事を働くことはほぼあり得ない。

 あり得るとしたのなら、それは。

 

「自身が正しいと疑っていない時、ですね……」

「学園長?」

「ああ……いえ、ごめんなさい。……外の様子はどうですか?」

 

 埋没していた思考を浮上させる。

 問いを投げかけるは次元空間(デルメルサリス)の系譜たる教師だ。

 

「依然、厳しい状態としか……。空間的なアプローチを仕掛けようものなら、悉くが潰され、時には引き摺り込まれそうになる場合もあります」

「情けの無い話ですが、四大元素(エレメントリー)は今回役立ちませんね。風の端子も水の波紋も、魔力そのものが組変わる空間においては何にもなりません」

「それを言うのなら肉体強化(フィジクマギア)など捨て身に走るしかない現状。各々、得意分野と苦手分野があるのだ、気にすることもあるまい」

 

 陣地、というものの中においてのみ、聖護星見(クライムドール)は最強を名乗り得る。

 遠方に足を延ばすことや咄嗟の事態への対処においては他の家に一歩劣る家ではあるものの、こういう場面で聖護星見(クライムドール)の魔法が他家に見劣りすることはない。

 ゆえにこの状況は誰の質が低いという話でもなく──しいて言えば、現当主であるはずのイレイアだけが劣っている、ということになる。

 

 だから、考えていたのだ。

 自身より実力に勝り、且つこういうことを……己の信ずる正義を敢行してしまいそうな聖護星見(クライムドール)の人間を。

 

「……これから……どうするべきなのでしょうね、我々は」

 

 そんなことを誰かが呟いた。

 これから。それはつまり、『残照回廊(リメノンス)』相手に、という話ではなく。

 

「失った信用を取り戻す段階でのこれですからね……。それも敵方の狙いが次期当主らの身柄とあらば……安全を省みて、生徒返還、及び聖護魔導学園への入学を考える家も多くなるでしょう」

「始祖に助けを乞うことも視野に入れる必要が出てきます。……ただ、イーリシャ様がこの事態を予見していなかった、とは思えませんので……」

「まさか、見捨てられた、ということですか?」

 

 その可能性は高い。

 イーリシャ・クライムドールの予知能力は十数年後にまで及ぶとされている。だというのに聖護魔導学園が……聖護星見の名の下に建てられたこの学園がこういった事態になることを看過した、ということは。

 あるいは聖護星見の子孫たちすらをも見捨てた、ということだって──。

 

「……あの、学園長」

「はい」

「その……気のせいでなければ、不可視であるはずのこの空間、及び陣地をノックしている少年がいるのですが、どういたしましょうか」

 

 思考が切り替わる。

 少し外へと感覚素子を飛ばしてみれば、確かにあった。

 

 携行を許可された杖を突き、それを持たぬ方の手でこの空間に呼びかけを行っている──『最上級生』さんの姿が。

 

 イレイアは溜息を吐く。

 見捨てたとか、裏切られたとか。

 そういうことではなく……単純に彼がここにいるから、どうとでもなる、と思われたのかもしれない、と。

 

「入れてあげてください。でないと破壊されます」

「わかりました」

 

 こうなれば、あとは。

 

 

 

 

 何やら膠着状態にあったらしい教師陣らと合流する。

 これは聖護魔導学園の解体の日も近いかも知れない。質の低下が激しいどころじゃないじゃないか──とは、まぁ思うけれど。

 敵の方が一枚も二枚も上手だったと、そう解釈できなくもないわけで。

 

「スヴェナ・デルメルグロウが君と敵の敷いた陣地の解除に成功している。最早彼女は生徒の範疇内にあるとは言えないね」

「……そうですね。それが本当なら……いえ、嘘を吐く理由がありませんか。では次元空間(デルメルサリス)の皆さん、お願いいたします」

死霊病毒(ネクロクラウン)の半数も同行しますよ。万が一があった時の癒し手は必要でしょう」

「それならば全員で行くべきだ。生徒たちの保護も兼ねて、多少の犠牲を已む無しで」

 

 犠牲、というワードに反応した者達が何人かいたようだったけれど、それでもその案は可決された。

 事態は急を要するのだ。だから、と。

 

「あなたはどうする気ですか?」

「大本を叩きに行くよ。この後、デートが待っているからね」

「……はぁ?」

 

 こんな些事よりも大事なことだから。

 

 なんて、言うだけ言って隔離空間を出る。

 少女Cの方にも行ってあげたいところではあるけれど、まぁ無理かな。

 時が経てば経つほど生徒たちの生存率は低くなるし、当主でも次期当主でもない人間の死亡率も跳ね上がる。その辺己はどうでもいいと思う性質ではあるけれど、エンジェが悲しむだろうからね。

 

 しかし、『残照回廊(リメノンス)』はいったい何がしたいのだろう。

 純度の高い血を集めて……それだけでは樹殻を抜ける、なんてことはできない。それとも何か己の知らない法則の類でも発見したか。

 なんにせよというかどちらにせよ、その目論見は全て崩させてもらうわけだけど。たとえそれが、本当に樹殻に対して有効的な手段であったとしても、ね。

 

 ……学園長室にも、禁書庫にも彼らはいなかった。

 少し面倒に感じている己がいるのは確かだ。ナノマシンを使わないとすると、完全に現行の世界から離れた力……超能力の類を扱わないといけなくなる。

 そしてそれは、まぁ、己が己に課しているルールへの敗北に近しいことだ。それをやってしまって辿り着く先は、すでに先人……先虫の通った軌跡に過ぎないからね。

 

 ああ、いや。

 だから……いいんじゃないか? 己に現行の魔法が宿っていたことにしたって。

 だって、始祖らはもう己を認知している。教師陣も己を魔法使いだと認めている。それならば……隠す必要が無いじゃないか。

 

反響定位(レヴェルベレーション)

 

 杖を突いて、陣地に波紋を生む。

 数秒。……あっちか。

 

 陣地はね、高密度のナノマシン、その海のようなものだ。

 ただでさえ高濃度のナノマシン世界でそんなものを作ったのなら、異物は見つけやすくなるというもので。

 今のは一応四大元素(エレメントリー)の風と水の複合魔法になる。次元空間(デルメルサリス)を疑われたり四大元素(エレメントリー)を疑われたりと忙しいけれど、どちらともコンタクトを取ったばかりだから平気平気。

 

 さらに探知した地点から己のいるところまでの直線上に生命がいないことを確認。

 そうなれば──突っ切るだけ、だ。どうせ陣地内だからね、破壊は気にしなくていい。

 

前進宣言(マルシェ)

 

 踏み込み。突きですらないソレによって、「一直線上」にあったあらゆるものが消え去った。

 だから、辿り着く。

 複数人の魔法使いの集うその場所へ。

 

「──来た、ノイズ!!」

「ちょ、はやくなーい? まだ収集率半分も行ってねぇけど!」

「馬鹿言ってないで対処しなさい! 突風尖槍(タービュランス)!」

空想毒槍(クリアランス)

 

 到着と同時に来る魔法。四大元素(エレメントリー)死霊病毒(ネクロクラウン)の分家魔法だろうそれを、技名の無い単なる打突で破壊する。

 

「うぞっ!?」

「マズ──」

「残すのは一人で良い。そうだね?」

 

 左手で一人目の魔法使いの顔を掴み、もう一人にぶつけ──そのままその頭蓋に対し、突きを行う。

 ……分解されたな。

 

「っ、ぶね、っぶねえ!」

「デイビッドがやられた相手よ、気を付けなさい!」

「おまえだって油断してただろ──ガ」

 

 再構築された魔法使いに肉迫し、その胸部へ掌底。

 そこそこの力で殴ったからだろう、彼の身体には大穴が空き──……直後、元に戻った。

 

 ふむ。上方修正する必要があるね、これは。

 予知の方が凄いものだと思っていたけれど……陣地の技術の方が高いのかな?

 

「ダメ、やっぱり視えない! 撤退已む無し!」

「ならば君からだ、クライムドール」

「──」

 

 杖により、その首をへし折る。続け様に頭蓋を蹴り砕き──背後にゆらりと現れた影のようなものへ、回転力を残したままの杖を叩きつけた。

 ……止められた?

 

「痛っ……ったぁ~!? なんだよ今の、ただのフルスイングで骨折れたんだけど!」

「相手は『執行者』だ。油断していたお前が悪い」

 

 次元空間(デルメルサリス)の……これまた珍しい血筋だね。

 

固定空間(フィクスサリス)。さらには次元投影(デルメルホロウ)の混血児か。いや、後天的……吸血、ないしは食人行為によって手に入れた力だね、それは」

「ひゃあ……今の一瞬で見抜かれちった? これもしやオレっちもヤバい?」

「全員撤退だ。収集率は気にするな。今は己の命だけを考えろ」

 

 目を瞠る。

 境界門(ワープゲート)が組み上がったからだ。……スヴェナからのヒアリングで聞いてはいたけれど、一応まだイレイアの陣地も残っているこの場所でそれを組み上げられるのか。

 

 まぁ、壊すけど。

 

「ヤベ」

「……組み上がりきっていない魔法を見抜き得るか。流石は『執行者』だな」

「感心してる場合じゃないよードゥナっち。さ、オレっちがもっかい魔法組み上げるまでの時間稼いで稼いで。みんなもだよ~!」

 

 言葉と共に魔法が殺到する。

 おや……頭蓋を砕いたはずのクライムドールも復活している。……これは、敵D'の治癒かな。あそこまで完璧に砕いた頭蓋も治癒できるというのなら、先程の敵Dがフェイククラウンの魔法で自らを千切り飛ばした理由にも納得がいく。

 世界を騙すと言ったって永続させるのは難しいからね。どこかで治癒する必要があったのだけど、半身を千切られての、となれば難しいんじゃないかと思っていたんだ。

 けど、成程。いわゆるヒーラーと呼べるもの達を数多く擁しているのであれば、捨て身の作戦にも得心が行く。

 

 であれば、こちらももう少し破壊力を上げようか。

 なに、治し得るというのなら、情報取りも楽になるというものだろう。

 

 境界門(ワープゲート)を作り出そうとしている敵C。その心臓を肩口から穿たんとして、しかし逸れる。

 ……今の干渉は、意識操作に近しいものだ。己に干渉したというよりは陣地に干渉して……成程、こういう組織にありがちな先入観は捨てた方がいいのだね。

 連係がかなり取れている。互いに互いの魔法をよく知っている。

 

歪曲混練(ファンデヴー)

 

 大気中の魔力、余剰魔力、散らばった魔力、他、誰に扱うこともできないナノマシンらを全て巻き込んで行う突き。

 捻りを加えて行うソレにはどのような魔法も干渉できない。というかしようとすれば巻き取られる。

 これならば──。

 

逆方転位(スクラッチ)!」

 

 入れ替わる。

 己と敵Cの位置が。

 

 成程、確かにそれならば己の杖に干渉せずに彼を逃がせるね。

 

「あぶねーとこ助けてくれたのはありがたいけど、座標変えられると設定し直しが面倒なんだよねっ!」

「命あっての物種です! 『ノイズ』が手加減をしてくれている内に、早く!」

 

 意識を切り替える。

 彼等はいわゆるテロリスト、というものとは違う。生存に長けた組織で、チームだ。

 であればこちらは一対一の戦いから一対多の戦いをしなければいけなくなる。

 

空間消滅(デルメルバニス)

「イ゛ッ!?」

 

 この空間全体を消滅させる。

 聖護魔導学園がどうとか、陣地がどうとか、そういうことの一切を無視した対空間攻撃は……構築し直された?

 

「けほっ……オイオイウソだろっ、あの『なんちゃって平民』っち、もう何も隠すつもりねーのかよ!」

「ああ……ようやく原理がわかった。そこのクライムドールの君、双子か」

 

 己にしては珍しく理解に時間をかけたけど、なるほどね。

 表裏一体、というかほとんど同位体なのかな。

 

「……だ、だとしたら……どうしますか、『ノイズ』」

「いや、さしもの己もどこにいるかわからない聖護星見(クライムドール)の片割れを見つけ出して殺す、というのは難しい。……だからまぁ、手打ちというか、引き分けにしないかい?」

 

 同位体。

 つまるところ、あの敵Eには完全に同じ魔法を使うことのできる双子の存在がいて、そちらが外部で魔法を使っている。

 全ての双子が同位体になるわけではない……というか、かなり珍しい存在だ。魔法というのは個人差があって然るべきものだからね。

 

 けど、彼女ともう一人は本当に同一。だからイレイアに勝る予知と陣地を扱うことができるし、今みたいに完全消滅させられても外部干渉で戻ってくることができる。

 もしこの二人が学園に通う生徒であれば、血筋争いのねらい目の最たる存在になったことだろうに……勿体ない。なんでテロリスト集団なんかに属しているんだ。

 

「さんせー! オレっちたち、千日手! つーか治るってわかってても毎回殺されるのは色々クる!」

「……致し方あるまい。だが、引き分けというのならデイビッドを返してほしいところだな」

「君達が要求できる立場にあると、本当にそう思っているのかい?」

「ドゥナっち、諦めな。これは"面倒臭いから見逃してくれる"って言ってんだよ~。見つけ出して殺すのは難しい、って言っただろ、できないわけじゃないんだ。なら、オレっちたちは大人しくそれに従うまで、だろ?」

 

 理解が早くて助かるね。

 敵Cは柔軟性のある魔法使いらしい。

 

「さ、早く境界門(ワープゲート)を作りたまえ。ああそして、君達からの要求を呑む気は無いけれど、こちらからは要求させてもらうよ」

「……なんだ」

「聖護魔導学園への手出しをやめてほしいかな。外でなら問題ないのだけどね、ここは己の遊び場なんだ」

「遊び場……」

 

 戒律機関といい残照回廊(リメノンス)といい、己の遊び場にちょっかいをかけ過ぎなんだよ。

 ただでさえ今回のことで信用問題が起こりそうだというのに、これからも、となると困る。己はエンジェと愛情を育む必要があるのだから……彼女との接点を失くされるのは、ねぇ。

 

「もう一つは、君達の目的かな。『忘我の繭』、と呼んでいたかな、この世界を覆う存在のことを」

「なぜその名を……」

「アニっち、今口挟まないで。ダルい。……そうだよ、オレっちたちは『忘我の繭』を破ろうとしてる。それが目的だけど、そういうことじゃないよね?」

「ああ。本家、分家の当主。……つまり純血を集め、且つ許容量に空きのある血を集め、それで何をしようとしているのかを聞いてみたいんだ。『忘我の繭』を壊すことを止めはしないし、やり方があっているのなら支援したっていい。ただ間違ったやり方をすれば手痛い反撃を食らうに終わるからね」

 

 境界門(ワープゲート)が……組み上がる。早いな。余程手慣れていると見た。つまり、次元投影(デルメルホロウ)が本来の血か。

 

「渾沌、抽出、凝縮、それを砲弾として射出する。……オレっちたちが盟主から聞かされてるのはそこまで」

「……それでは失敗するよ。過去五千年……いや、もっと、かな。その間、同じことを試した組織や個人が合わせて六十と二人。悉くが失敗し、悉くが余計な事態を引き起こしてきた。アプローチが間違っているとは言わないけれど、最後が甘い」

 

 だから、と。

 人差し指の上に、一枚のコインを出現させる。それを弾いて敵Cへと渡した。

 

 恐る恐る、といった様子で受け取る敵C。

 

「これは?」

「オールドフェイスと呼ばれるコインだ。それを君達の盟主へ見せるといい。今の君達にできる助言はこれくらいかな。さ、行くと良いよ。そろそろ学園全体の陣地が解除されるから、己も引き分けた、なんて言い訳ができなくなってしまう」

「……よくわかんねーけど、取引成立だ。うっしみんな、帰っぞ~!」

 

 言葉に、一人、また一人と境界門(ワープゲート)へ入っていく残照回廊(リメノンス)

 殿を務めるは敵Cと敵D。この二人は幹部か何かなのかな。

 

 しかし……どうして射出に落ち着くんだろうね、皆。

 何番煎じだ、って話なんだけど。

 

「最後に一個いいかい、『なんちゃって平民』っち」

「ん、構わないよ。何かな」

「オレっちたちが鹵獲した生徒と教師に関しては何にも要求しないわけ?」

「痛み分け、というやつで構わないだろう。己は己が気に掛けている者以外がどうなろうと知ったことではないからね」

「りょーかい。……んじゃ、次会う時は敵じゃねーことを祈ってるぜぃ」

 

 なんて言って、敵Cと敵Dも境界門(ワープゲート)へと姿を消した。

 ……消滅する境界門(ワープゲート)と……解除されていく陣地。スヴェナがやったというより、この場を支配する陣地作成者がいなくなったことが大きいね。さらに教師陣の協力もあってようやく、か。

 

「ああ……もう一つ訊き忘れたな」

 

 なんで残照回廊(リメノンス)ってネーミングなのか、って話。

 

 

 

 こうして学園は平穏を取り戻した。

 連れ去られた教師・生徒は全体の三割。初学生から最上級生まで幅広い分家当主が攫われており、さらにはフィジクマギアの本家次期当主……『ジェヴォーダンの巨人』事件の際に共闘した生徒Bも、との話だ。

 これを受けて、学園はまたも休校へ。数多くの問い合わせと返還要求に加え……聖護魔導学園の安全性に関する話が多く持ち上がる次第となった。

 

 まぁ。

 

 そんなことは己に関係なく──。

 

「デート、か。……私服を着るのも久方振りだねェ」

 

 とりあえず己の私服は何世代も前のものばかりなので、存在抹消の里の者達に今の流行りを聞く、など。

 あとスヴェナ、少女A'、少女Cがデートプランを組み上げたようなのだけど、これ本当に……。

 

 いやまぁ、愛恋に関しては素人だからね、己は。従おうか。

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