魔法使いたちの骨肉相食む血筋争いが見たい   作:reverofllaF / 永遠下降

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Sin11-3.「不確定性の権化」

 己の作った『UMBRELLA』とスファニア・ドルミルのおかげで、樹殻の枝の被害は着実に減っていっているようだった。

 無論、この世界が本当の地球のように陸地三割な惑星であれば、この二つだけではどうにもならなかったかもしれない。だけど陸地が一割しかない元メガリアであるこの地球でなら「世界を救う」ということが本当に可能となるのである。

 とはいえ根本の問題は何も解決していない。

 世界の中心の海(ゲヌ・エリ・マレア)にある明日天気になあれ(ドゥマニル・テンポ・エピーロ)は未だ健在であり、あれは元々人類を滅ぼすための兵器。むしろ樹殻への刺激は単なる副産物で……その花粉が海を渡って大陸にまで届いてしまえば、新たな脅威が生まれることとなる。

 正直言って今の魔法使いでは廃徊棄械(クラッドオレオム)には勝てないだろう。土台が違うというか、デザインの話。となるとまたスファニア・ドルミルに頑張ってもらうか、あるいはどこかにいるはずのあのカップル……人と機械のカップルがなんとかしてくれることを祈るしかない。己が手を出すのは本当に切羽詰まってからだ。

 

「『せぇんぱぃ』!」

「……いやまぁ入学したらいいと言ったのは己だし、"未来送り"の装置がまだある可能性がある以上己の近くにいてくれた方が楽、というのも事実なのだけどね。……まだ己は初学生だよ、アナ」

「えぇ~、だって『せぇんぱぃ』が言ったんじゃないですかぁ。自分たちの後輩として入学してくるといい、ってー。イーリシャちゃんに確認を取ったらー、正式な入学は来年になりますが、体験入学という形でなら構いませんよ、って言ってくれたしぃ」

「始祖イーリシャ・クライムドールもよくわからないものだね。聖護魔導学園をどうしたいのだか……」

 

 というわけで、『快晴の雷』こそ降りやんではいないものの、ほとんど気にしなくてよくなったことを受け……己はこれを「平和」と称することにした。

 天上の地へと連れていった彼ら、及び連れ去られた生徒教師らのほぼ全員に「記憶処理」を施し、元の生活へ戻したこともあって、聖護魔導学園が再開。……とはいえ生徒数は激減しているので──襲撃の多さから聖護魔導学園の信頼が落ちたが故──クラス分けが再編となり、なんと初学生は一クラスにまで減った。

 そう、己とエンジェらが同じクラスになったのである。

 

 こうしてゆっくり愛情というものを育んでいこう、としていた矢先が、これだ。

 彼女だって後処理はたくさんあるはずなのに……他の始祖に負ける気は無いから、なんて言って入学してきた始祖D。容姿は己が偽装しているので見抜かれることもないし、そもそも強力な認識錯誤がかかっているので意識することさえ難しい状態にある彼女は、やろうと思えばどんな悪事だってできる状態にある……のだが。

 

「『せぇんぱぃ』、他の女のことなんか考えてないでぇ、いまはわたしを見てくださいよぉ」

「己の恋仲はエンジェなのだけどね」

「勿論わかってますよぉ? ただー、エンジェちゃんがいない時は、わ・た・し・と一緒……でいいじゃないですかぁ」

 

 特に悪さをすることもなく、こうして己にべったりと。

 いやまぁ世界のためを想えば良いことだ。己にそんなものを想う心があるかは別として。

 

 この世で起きる大体の悪事。その八割くらいに関わっているとされている始祖D。彼女がここで大人しくしている限りは、外で何かが起きることも少なくなる。

 無論全部が全部ではないので……たとえば最上級生Cの手引きによってまた何かがやってくることはあるかもしれないけれど、「とんでもないこと」は起こり難くなっているはずだ。

 血筋争いを見たい己としては喜ぶべきか否か微妙なところだけど、少なくともエンジェを裏切るような結果にはならなそうだから良いことにする。

 

 ……認識錯誤と偽装で絶対に彼女を始祖Dと判別することはできないはずなのに、凄まじく強烈な視線を向けてきているスヴェナなどは気にしないでおいて。

 

「ま、少しだけ真面目な話をしますけどぉ、イーリシャちゃんは何か……別の未来が見えたみたいですよー?」

「へえ」

「むしろ背中を押された感じだったのでぇ……わたしがここにいることで、何か別の……少なくとも前よりは良いことがおこるんじゃないですかねぇ」

「それは、誰にとって?」

「勿論イーリシャちゃんにとって、ですよぅ。あの子、別に世界平和なんか望んでないですしぃ」

 

 そうだね、その通りだ。

 始祖たちにはそれぞれの思惑がある。一見して善性に見えるそれらは、けれどしっかり腹に抱えるものがある。

 始祖Dと始祖Eがわかりやすくあくどいだけ、なのだ。

 

「『せぇんぱぃ』はわたしのこと保護してくれてますけどー、他の子はどうなんですかぁ? コルリウムさん……というか彼の手下が他の始祖を"未来送り"にしないとは限りませんよねぇ」

「彼が明確な害意を持っていたのが君であったから君の周辺を警戒している、というだけだからねェ。コルリウムの計画の内に他の始祖をどうこうする、というものがあったとして……まぁ、後手に回るしかない。君に他の始祖を想う心が少しでもあるなら、使い魔でも飛ばしておいたらどうだい?」

「んー、想う心、なんてものはありませんけど、消えられるのは困るので……何匹が出しておきますかぁ」

 

 始祖D。ディアナ・ネクロクラウン。

 彼女は未だに諦めていないらしい。つまり、ネクロクラウンの分家による「己」の合成をこそ諦めはしたけれど、他の血筋全てを集めて「己」の代替を作る……という計画は手放していない。だから彼女にとって他の始祖は大切なものの内に入る。いずれ害する存在だとしても、勝手にいなくなられては困る存在なのだ。

 

「そういえば……『ジェヴォーダンの魔物』がこの学園を襲撃した時も、裏に君の影があったと聞いているけれど、実際のところはどうだったんだい?」

「どう、とはぁ?」

「もし本当に君の仕業なら使い魔なんて飛ばさないだろう。直接仕込めばいいだけなんだから。つまるところあれは、ネクロクラウンの分家が糸を引いていたものと認識しているのだけど、どうなのかな、とね」

「……うーん。ちょっと微妙な話なんですよねぇ。つまり、『残照回廊(リメノンス)』が背後にいたので、そのスポンサーである私が欠片も関わっていないかと問われたら首を振らざるを得ないっていうかぁ」

「ああ……そうか、聖護魔導学園へのちょっかいは大体が『残照回廊(リメノンス)』の仕業だと」

「ですねぇ。だから、あの時復讐に来た元『残照回廊(リメノンス)』のメンバー以外は……まだ精力的に聖護魔導学園を狙っていると思いますよぉ?」

 

 幹部たるメンバーがいなくなろうとも、か。

 そして……最上級生Cともつながりがありそうなもので。

 

 いやはや。

 

「次に学園が襲撃された時、君はどうするんだい? どの立場になるのかな」

「勿論、『せぇんぱぃ』に守られてぷるぷる震える何もできない後輩女子、の立場ですよぉ」

「そんな存在が聖護魔導学園に通うとは思えないけれどね」

 

 まぁ、オーバーパワーも良い所だから、そうしてくれるのは助かるけれど。

 

 ……と。

 

「ようやく解けた。いやぁ、天才というのは度し難いね。どうして普段使いする扉にここまでのプロテクトをかけるんだか」

「自分は簡単に解けるからじゃないですかぁ?」

「ま、そうなのだろうけど……」

 

 さて、今まで己と始祖Dが談笑していた場所は、実は聖護魔導学園ではない。

 いや、敷地内ではあるけれど校舎の中ではないというべきか。

 そこは聖護魔導学園の敷地の隅も隅、且つ巧妙な隠蔽の為された地下施設。

 

 ドクラバ・アッシュクラウンの研究室──の中にある、秘密の部屋。あの時貰った煤の鍵でのみ開く部屋だ。

 ……その煤の鍵を差し込んで終わりかと思ったら、よくわからないパズルのようなものを解かされたせいでここまで時間がかかった。遊び心なのかプロテクトなのか知らないけど、本当にやめてほしい。己は別に天才とかではないのだから。

 

 扉を開く。

 

「わあ」

「……これはこれは」

 

 ずらりと並ぶは培養槽。そこに入るは──数多の魔物。合成魔物は当然として、突然変異の魔物もいれば、己の目をしてもどこで発生したのかわからない魔物までいる。

 さらには……死した魔法使いの、傷のついていない肉体、なんてものまで。

 

「血の繋がりなんてほとんどないとはいえ、血筋を感じますねぇ」

「彼には墓荒らしをして得た知識があるらしかったから、ここ以外にも研究室を持っているのだろうけれど……うん、倫理からかけ離れているね。彼の善性とこの所業が両立することが、やはり研究者というものの業の深さを感じさせるよ」

 

 そしてちゃんと興味深い。

 ここは主に合成魔物に関する研究室らしく、その成果物がずらりと並んでいるわけだけど……。

 

「本来無性である魔物に雌雄を後付けして、繁殖を可能に、か。……確かに己からは出ないアプローチだな……」

「この子、面白いですよー。魔核を取り込んだ上で生存可能な魔物と、魔力隔液(コーティング)に使う薬草を主食とする魔物を掛け合わせて、生物でありながら魔核を回収、保管しておけるタンクとして機能するみたいで……これ結構革命的なんじゃないですかぁ?」

次元空間(デルメルサリス)の認識錯誤と同じ働きをする霧を展開できる魔物、肉体強化(フィジクマギア)と同一のプロセスを取って身体を強化する魔物、四大元素(エレメントリー)に負けない干渉力で元素へ働きかける魔物……。これは、発表でもしようものなら全貴族からヘイトを買いまくるものばかりだねェ」

 

 確かに人間の実験体はいない。

 それはけれど、生きた人間の実験体がいないだけだ。死体から血を抜いて分析して、こういう違法魔物を作り上げたのだろう彼は……まぁ、どうなのだろうね。

 悪用する気が一切ないことだけが救い、かな。

 

「あのアッシュクラウンのコ……なんて名前でしたっけぇ?」

「ドクラバ・アッシュクラウンだね」

「……この技量があれば、『せぇんぱぃ』を作ることもできる……かも?」

「本人の前で言うことじゃないねェ」

 

 なんにせよ、これらを見ることができたのは「良い知見を得た」と言える。

 十二分の報酬になるよ。

 

「アッシュクラウン全体が天才、というわけじゃないですよねぇ」

「まぁ、ドクラバが特異なだけだろうね」

「じゃあちゃんと保護しないと……。コルリウムさんがどうでもいい道に走っちゃいましたからぁ、今度は良好な関係を築きたいものですよぅ」

「……本家筋と分家筋が初めて交わる、ということかい?」

「も~、わたしの欲しいヒトは白スーツさんだけですよぉ」

「己はヒトではないけれどね」

 

 交わされたけど、実際良いんじゃないかな。

 新しいことを始めてみるのも中々良い物だよ。これは経験談さ、直近のね。

 

「……『せぇんぱぃ』、一つ訊いていいですかぁ?」

「どうしたんだい、しおらしい声なんて作って」

「わたしたち始祖は……自分たちで検証し合った限り、余程の外傷以外では死なない、寿命の無い存在、ですよねぇ」

「まぁ、そうだね。そう設計した」

「でも……『せぇんぱぃ』は、いつかこの星を出ていく。……そうですよね」

 

 ん。

 どうしたんだ、いきなり。

 

「わたしが『せぇんぱぃ』を作ろうとしているのは、いつか『せぇんぱぃ』がいなくなってしまうと知っているからです。……初めはー、多分、力を与えてくれたことへの感謝と、憧れと……あと、一種の強迫観念でしたぁ。覚えているかはわかりませんが、わたしのいたコロニーでのわたしの扱いは……」

「覚えているよ。だから復讐するように彼らを傀儡にしたのだろう?」

「……ですねー。……けど、今は……多分、親を求めているんだろうなぁ、って。そう思うんです」

 

 親。……まぁ、そうだね。

 君達の親は全員いない。始祖五人とも、いや、あのコロニーにいた子供達のすべてに親がいない。

 世界の消退……『賢者』が世界を滅ぼしたが故に。

 

「エンジェちゃんとスヴェナちゃんがお気に入りなのはわかりましたぁ。……そして、いつかあの二人が死した時、白スーツさんは彼女らの魂を連れて、この星を出ていく。……その時はもうすぐのことで、でもわたしは……まだ親離れ、できそうにないです」

「五千年を経てなお子供のつもりかい?」

「精神が成長しないようデザインしたのも白スーツさん、でしょ?」

「おや、そんなところまで気付いていたのか」

 

 発狂されても達観や諦観を持たれても困るからと、精神の変調を封じた。

 だから彼女たちはずっと子供のままだ。あの時点ですでに大人っぽかった者……始祖Aと始祖Cと始祖Eは「長年を生きたことでまるで老獪且つ思慮深い存在になった」ように見えているけれど、あれは彼女らの本来の性質がそうであるだけ。

 五人の少女は決して成長できない。魔法の練度も、設計時点を越えられない。

 

「出ていくよ。……ああ、そうか。君がコルリウムの思想を支援したのは、自らの生命の次元階位が上がれば……己についていけると思ったから、なのか」

「はい。結局……樹殻から取り出した彼の魂は、変質してしまっていましたねぇ。ああ、一応別人、なんでしたっけぇ? ……なんにせよ、あれほどの天才がこれ以降現れるとも思えなくてぇ……わたしは、親離れする精神を持つこともできないまま……永遠の別れを経験しないといけない。……二度目の、ですねぇ」

「試してみるのはアリだと思うけれどね。それこそ過去……何十万年と昔の話だけど、その過去において、ある機械が自らの生命の次元階位を上げたことがあった。特筆すべき才能を有していなかったその機械は、けれどただただ強い自我を以て、偽物であったはずの自らを……"こちらが本当の自分である"と定義し直した。無意識にね」

 

 ルバーティエ=エルグ・モモ。

 

「またある少女は、自らを食らう存在と迎合した。会話をし、共存し、進化を行った。できるはずのないポテンシャルで、できるはずのない環境の中で。それによって捨ててしまった感情も多くあったけれど、彼女は最後まで彼女だった」

 

 アスカルティン・メクロヘリ。

 

「そして……先日の大戦時、突然出てきた粗暴な口調の少女がいただろう。あれも似たような存在だ。未だ生命の次元階位を上げるには至っていない……というか自ら拒否しているようだけど、星の大意に操られる立場にありながら、己は己だと自らを奪い返した者」

 

 スファニア・ドルミル。

 

 この三人は、あの虫からしても、己からしても……特異な存在だ。というかあり得ない存在だ。

 それはできてはならないというか、それが可能ならいくらでも同じ環境を用意して同胞(はらから)を増やす、と言い切れるくらいあり得ないことをやってのけている。

 努力や潜在能力ではなく、奇蹟。己達が手を加えなかったからこそ起きたその奇蹟を……今なお望んでいる。

 

 エンジェとスヴェナもその階梯に足をかけている。

 発芽の可能性を考えれば少女Cやドクラバもあり得る。

 

「君達始祖とて条件は同じだ。そうならない、と断言できる存在がそもそもいない、というのもあるけれど、己は君達が同胞となることを拒まない」

「五千年かけてもできなかったこと、ですよぉ?」

「意味の無い五千年と意味のある数十年。重みの違いくらいはわかるだろう」

「……酷いなぁ、そんな風に切り捨てて」

「言葉を選んでほしかったのかい?」

 

 それは人選ミスというやつだねェ。

 

「羨ましいですねぇ。……何もしていないのに、白スーツさんのお眼鏡に適う存在」

「ヒントを得るためならば、彼女らに近付くのもアリなのではないかな」

「……お友達、ですかぁ」

 

 作ってこなかっただろう、そういうの。

 あるいはエンジェとスヴェナへの刺激にもなりそうだ。それくらい強烈ではあるからね、始祖Dは。

 

「そろそろ戻るよ、アナ」

「人目が無い時は普通に呼んでくださいよぉ、『せぇんぱぃ』」

「考えておくよ」

 

 己を親に、ねェ。

 ……それこそ盛大なる人選ミスだと思うけれど。

 

 

 して、授業が再開した。

 再編されたクラスにおいては当然のように習うレベルに差異があった……けれど、教師三人体制を導入した学園側の裁量によって、なんとかうまくコトが進んでいる。

 ただ、座学の方はそうでも実技の方は不安定だ。

 魂への施術は完璧だったけれど、後遺症が一つも出ないとは言っていない。それを自覚するものしないものといたけれど、己には辿り着かないようになっている。

 その不調を理由に教師Dの夢幻での練習を希望する者が絶えず、彼女はもう大忙しだ。彼女の夢幻に入るということは彼女に自らの魔法を教えるのと同じだ、ということを理解した上でのそれなのだから、余程の不調なのだろうね。

 

 凹んだ魂に、埋め込まれた魔物の欠片。その上から上書きされたヒトの魂。

 上手くやれば魔物の能力を使うまでに至るのだけど……至り得る人間はどれくらいいるかな。

 

「『せぇんぱぃ』、ちょっと教えてほしいんですけどぉ」

「己が君に何を教えるというんだい?」

「ここの構築式……無駄、多すぎじゃないですかぁ? 四大元素(エレメントリー)の魔法なんて門外漢もいいところですけどぉ、素人目に見て遠回りをし過ぎているっていうかぁ」

「ああ……それは敢えてなんだよ。魔力の通りが良すぎると射出に使う魔力が待機中の増幅式を通り越してしまうから、そういう遅延がかけられている」

「だったら最初から充填式にした方が」

「……との話だけど、なぜそうしないんだい、エンジェ」

「今普通に授業中で私語厳禁なんだけど、話しかけてくるのやめてくれないかしら」

「ではお姉さまに代わってアリスが答えましょう! そして答えは単純、難しいからです!!」

「私語厳禁だよぉ~そこぉ~。競い合い高め合うのは良いことだけど、授業はちゃんと聞いてねぇ~?」

 

 平和だ。日常そのものだ。

 血筋争いなんて起きそうにないこの空間は……でもまぁ初学生のクラスだけ、だったりする。

 

 上級生は最上級生Cがキャッキャするほどにドロドロしているのだとか。楽しみだねェ、そのドロドロがこちらにまで波及することが。

 

「ああ──本当に」

 

 世界から色が落ちる。騒がしかった周囲が静まり返る。

 

 時の歩みが、遅々としたものになる。

 

「あと数週間くらい待てないものなのかな」

 

 ──ま、のこのこと……自分たちから出向いてくれたことはありがたい限りだけどね。

 コルリウムの手下たちは、余程始祖Dを消したいらしい。

 

 美しい世界を好むのは勝手だけど──いつの間にか君達自身が美しくなくなっていること、そろそろ気付こうよ。

 

 さぁ、残業の時間だ。

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