魔法使いたちの骨肉相食む血筋争いが見たい   作:reverofllaF / 永遠下降

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Sin19-4.「内外万包の足跡」

 魔核については以前も述べた通りのものだ。天恵の樹液(エリクシル)がどの生物にも吸収されることなく凝固したもの。

 あるいは、自律のできないものに宿ったが故にそれが寿命を迎えて固結したものを指す。

 

 だからこそ、ここの光景は……さぞかし異様に映ったことだろう。

 

 己とエンジェは二人、そこを、夜の森を……所々に血肉の飛散するその森を歩いていく。

 

「肉片の食べ残し……って、結構珍しいわよね。フツーの魔物なら、骨を残すことはあっても血肉はしゃぶり尽くすのに」

「良い気付きだ。そう、珍しい。つまり、普段の魔物が行うのではない所業がここにある」

「アンタは答えを知ってるってワケね。……順当に考えるなら、フツーの魔物が欲しているのが人間の血肉で、ここのはそうじゃない……とか」

「順当もなにも、それだけだよ。ここの魔物は守るべきものを守るためにいるのだから、食欲で殺しているわけじゃない。だから血肉が残っている。彼らは捕食されたのではなく迎撃されただけなんだ」

 

 補足としてつけ加えるなら、それを目的にやってくる他の魔物や掃除を行う機構が目当て……ではあるけれど、今はいいだろう。

 とかく、ここの魔物は人間に興味がない。それだけだ。

 

 そんな風に森を観察しながら歩くこと十数分。

 唐突に、それは現れた。

 

「え……遺跡?」

「正式名を『迷彩式森林防衛要塞XENOVIA』。あのアーティファクトにも映らなければ、こうして一定距離まで接近しないと目視すら敵わない……過去の遺物」

 

 ナノマシン技術に依るシールドフィールドの強化版。且つ小型化されたもの、かな。

 つまるところ。

 

「第三次魔法大戦までは使われていたんじゃなかったの?」

「使われていたさ。ろくに機能も知らない、けれど感知や検知のされない砦として。この遺跡そのものがアーティファクトとして見られていた」

「ああ……そういうこと」

 

 前身文明の遺産。時代から置き去りにされた氷山。

 

「けれどある時、使用者がとある機構を作動させてしまった。第三次緊急体制移行スイッチ。それにより、要塞の中にいた魔法使いは皆『魔物』として認識され、周囲にいた兵士も同じ運命を辿る」

「……つまり馬鹿がやらかして使えなくなって、それが今も続いてる……ってワケ?」

「有り体に言うならね」

 

 そんな場所に偶然にもエリクシルが落ちてきて、更なる大混乱が起こり……。

 

「こうして、機構が魔物化した、と」

 

 以前も述べた通り、この世界にゴーレムなる魔物はいないけれど、無理矢理指すなら彼らがゴーレムだ。

 有機的でない命を有する機械生命体。意思を持つナノマシンに汚染された機構。普通の魔物とてナノマシン汚染生物だけど、彼らは順番が違う。

 

「繁殖ではなく防衛を主目的とするここの魔物は、魔核を守ることを至上とし、それ以外に興味を向けない」

 

 そうプログラムされているから。

 近づく生物、機構は全て破壊し、機構のパーツやナノマシン汚染生物の骨だけを持っていく。要塞の補強材になるから。

 

「真相を知ると……なんかどうでもいいっていうか、私が知る意味があったのかさえわからないんだけど」

「エンジェ。今の己たちが有する拠点は聖護魔導学園だけだ。他の家……特に分家の持つような、防衛に適した領島は一つもない」

「……成程。ここは一定距離まで近付かないと目視不可な……陸の孤島。今この……機構? ってやつらが攻撃してきていないのは、アンタがいるからよね」

「ああ」

「使える、わね」

 

 今は名前さえ轟いているとも言えない覇道天還(フラッジロード)

 ゆくゆくは領土や領島を獲得して行くにしても、とりあえずの攻撃拠点は必要だろう。

 

 そこでこれが使えると判断し、内見に来てもらったわけだね、己たちの王に。

 

「こいつら、アンタがいなくなったらどうなるの?」

「細かい設定も可能だよ。血筋ごとの攻撃対象、防衛対象も変えられる。まぁ全て己が弄る必要があるから、見つけ次第続々と、というわけには行かないけれど」

「……使える。けど……」

「ズルいと感じてしまう、かな?」

「まぁ、そうね。そうだし、アンタはどうなの、って」

「己?」

「こんな便利なものがあるのに、アンタはずっと隠してきた。それってちゃんと目的があったから……でしょ。けど、今になって明かしたのは、フラッジロードを……ううん、私を王様にするのに使えるって判断したから」

 

 正しい。それがどうかし──。

 

「アンタの方が、システマチック(アーティファクト)じゃない、それ」

「……──」

「前に言ったと思うけど……勝手に振り返らないで、振り向かせてみせるから、って。ちょっと恥ずかしいけど、告白の時、私はそう言った。でも今のアンタは全力で私を注視してて、アンタ自身がどこにもいない。アンタ、本当は別の目的があって学園に来てたんでしょ。それさえ今はどうでも良く思ってる……風に見える」

 

 それは。

 正しい。

 是を返す。

 

「ロクな目的じゃない、けど多分それ自体アンタから生じたものじゃない。アンタには究極自分が無い。使用者の意思に従うアーティファクト。……今のアンタは、それに見える。それにしか見えない」

「……是を、返そう。己の名前を覚えているかい」

LILLIAN・CIRCWLEITH(ルリアン・サークレイス)

「そう。だけどそれは、ここではない星で使われていたある道具……「LULLIAN・CIRCWLEITH(ルルスの円盤)」という名前でね。使用者の吐き出すアイデアや単語から、新たな発想を出力する、というものだった」

 

 つまりは、道具の名前だ。

 勿論あの虫も地球の寄生虫から取った名前をしている。アイリポデパルなんかはまんまだね。

 己達惑星外生命体には本来名前など無くて、寄生した星で気に入ったものがあればそれを名乗るし、生態が似ていたらそう名付けられることを良しとする……そういう生命体だ。

 

 己も例には漏れなかった。

 

「全てに是を。己には己が存在せず、今は君を王様にすることにだけ心を砕いている。それ以外の目的はついでに過ぎず、達成されずとも良いものだ」

「それ、嫌」

 

 明朗な拒絶があった。

 なん……の、嫌だろう。

 

「ただ、私だって私の生き方を変えられない。だから、私はアンタに道具として、その円盤として……アンタに出力を要求するわ」

「何をお求めかな」

「アンタ自身を持ちなさい。私が振り返らせるのは、そういう未来を掴んだアンタ。今のアンタじゃない」

「……とすると、"恋仲"は解消かい?」

「継続よ。そうしないとアンタは私の要求に従わないでしょ」

 

 よくお分かりで。

 解消なら、元の目的……魔法使いたちの骨肉相食む血筋争いが見たい、に戻っていた。

 ()()()()()の目的に。

 

「この砦は使う。アンタも使う。けど、アンタが自分を獲得したら……その時、もう一度告白する。そこで振り返るかどうか、是を返すか否を返すかは未来のアンタ次第」

「ダッコー、エンジェ。そのオーダーを受け取ろう」

 

 己が望む、己に来るとされている弱体化。

 それは己が自己を獲得するための一助になるのだろうか。

 

 どうかな、グリーフィー。

 今も己を視ている君は……この現状を、どう思う。

 あの『天使』クンが有していた「必死さ」を獲得せんとする己を、君や『智者』は阻むのかな。

 

 それとも、それより先に待ち受ける何かを知っているからこそ……己の意思など無視して、暗躍を続けているのだろうか。

 


 

 その時、別々の場所で、聖護星見(クライムドール)の二人が顔を上げた。

 一人は傑物。始祖ですら叶わない『彼』を視認可能な未来視持ち。彼女は海底にある地下機構施設にて、星を読む。

 もう一人は『ジェヴォーダンの残骸』を相手取る味方をサポートしていた始祖。傑物では目視不可能な範囲と距離を見据えられる未来視持ち。彼女はノイズの走る未来に、琥珀色のほうき星と対峙する多くを観た。

 

 だから、別々の場所で、異口同音が発される。

 

「嘘……未来が、捻れて」

 

 その言葉の意たるは、彼女らのみぞ──。

 


 

 黙々と『XENOVIA』の点検、改築を行っていく。

 前身文明の生き残りがいることを考え、ナノマシン技術の改良、命令権限の改竄も行う。

 

「屋内なのに、空気が籠ってないの……不思議ね。風の感知は通らないから、外界からは遮断されてるっぽいのに」

「室内だけで換気や水道機能が完結する循環システムになっているからねェ。毒物や魔力汚染兵器が通常の戦法に組み込まれていた時代の産物だ、これくらいは当然だよ」

「魔力汚染を……兵器に、って。どんだけ切羽詰まってたらその思考になるのよ」

「逆も簡単だったんだよ。汚染防護、除染技術も限りなく発達していた。ま、現代ほどの魔力濃度じゃなかったから、って部分もあるけど」

 

 こうして黙々と作業をしていると、色々なことを思い出す。

 営業マンだったこと……ではなく、もっともっと、もっと前のことを。

 

 それはあるいは。

 

 ──ノイズ。

 

〝前──歴9.225〟

 入力、外部音声データ、自動取得記録(オートコレクト)

 

 ──"苦しめよ。アンタは耐えられる人間だ。散々疲弊し、疲労し、苦しみ苦しみ苦しんで苦しめ。うだうだ悩んで、落ち込んで、泣いても良い。声を荒げても良い。でもアンタは耐えきってしまうだろうよ。その妹とやらの生死さえ俺は知らんが、折り合いも割り切りもアンタには必要ない。だってアンタはもう知っている"

 ──"怖い、子供だな。君は"

 ──"どうしようもない、という事実は、決して。アンタの足を止める枷には成り得ない"

 

 白んだ視界に顔を上げる。

 別段眼球機能に支障はない。そもそも己は眼球で外部を知覚しているわけではないから、支障があったとしても関係ない。

 であれば今のノイズと彷彿は。

 

「何も手伝えていない私が言うのもおかしな話だけど、何かあった? 手、止まってるケド」

「……いや。少し……考え事をしていただけだ。何かあった、というわけではないよ」

 

 作業を再開する。

 原初の記憶。あるいは、……己達がまだ集合体とすら言えなかった頃の記憶。

 今己達が使っている力の大部分は何も無い星海で発生した力だけど、己やフリス、あるいは原初の人格のように、確たる意思を持つ自我は、この記憶を有している。引き継いでいる。

 己達に向けられたわけでもない言葉。それを勝手に取得した記録。

 

「少し前もあったわね、そういうこと。あの時は珍しいこともあるものね、とか思ってたけど……アンタの正体? 実際? を聞いた今だと、……どう、なの? 私達にはわからない物を喪っているとか、逆に蓄積があるとか……そういう話だったりするワケ?」

「確かに君達にはわからないモノが蓄積したり消費したりをしているけれど、今回のは別だね。……今回の考え事は、君に言われた言葉がきっかけだろう。ああ、気に病む必要はないのだけど」

 

 自分を持つ。

 それは今までやってこなかったことだ。そこまでの気付きを、そこまでの見抜きを持たれたこと自体が初。

 散々に嘘吐きだの詐欺師だのと罵られてきたけれど、中身が虚空であることまで理解されたのは……それは、うん。元の所有者でさえわかっていなかったことだろうにね。

 

 自分を持つ。己が無い。是、是、是。

 それは是だ。是也。

 

 ……ああ、ならば。

 

「エンジェ、一つ問いを。答えは今出さずとも良い」

「なに?」

「完璧な人間……人間足り得る人間、人間と呼び得る人間を作ろうとした時。仮にそれが作り得てしまったとして……」

 

 それは己達が生まれた理由の一つ。

 

「雌雄同体では意味が無いと、そういう気付きを得た場合。君ならどちらを作るだろうか。男性か、女性か」

「……また曖昧っていうか、思いっきり禁忌な質問ね。特に四大元素(エレメントリー)に対してはクリティカル」

四大元素(エレメントリー)が勝手に自分たちの禁忌にしているだけで、どこの家にとってもこの話題はタブーだよ。どこの家の魔法でも辿り着けるのだから」

「ああ、そうなの。……で、どっちかしか作れないワケ?」

「というと?」

「この問題の答えよ。男も女もどっちも作る、が正解でしょ。どっちか片方を作ったって、雌雄同体を作るのと変わらないもの」

 

 ……。

 答えの前半だけなら「そう答えると思っていた」と言っていただろう。

 そして後半も聞き終えて、言える。

 そう答えることを期待していた、と。

 

「何十万年と前、この星には幾つかの時代があった。悪魔、ゾンビ、精霊、機械。時代を冠する名前は全て人類の脅威たるものの名前がそのまま使われたけど、その中で唯一"人類を滅ぼし得た"のに使われなかった単語がある。……それが錬成、もしくは錬金だ」

「土の特化属性の話じゃない、ってことよね」

「ああ。疑似生命の開発。生体の発掘。錬金術とは名ばかりに、その名が錬ったのは命ばかりの技術。この星でも十二分に発展して然るべきだったそれを、時代の生成者は意図的に無視した。……勿論すべての意図を知っているわけではないから、憶測も十二分に入り混じるけれど……それでも明らかに無視して作られた歴史は、己のように全体を俯瞰できる者からすれば、むしろ影を浮き彫りにさせるものだったと言える」

 

 錬金術。

 己達が発生した時、流行っていた技術。

 

 故に己達の()()()は、二つを作った。

 女性人格で、名前と、役割を持つ──狂った個体。

 男性人格で、名は無く、役割もない──無個性体。

 

「君のその答えは、己達を作り上げたある錬金術師が遺したものと合致する」

「特にうれしくはないのだけど、それって良いこと?」

「どうだろうね。ただ、己達を作り上げたその人物は……君とは似ても似つかない性格でありながら、一点だけ一致する部分があった」

「まさかとは思うけど、ソイツも博愛主義だった、とか」

「ああ、そのまさかだ。ソレは人類の全てを愛していた。けれど、ソレ自身には何の力も無くてね。だから己ともう一つのような力ある不思議を作り上げたのだろうけれど……寿命だったか病だったかで、簡単に死んでしまったことを記憶しているよ」

「ふぅん……。ま、それは天命だったんじゃない? 寿命にまで悲哀を割けるほど人格者じゃないから、なんとも思わないわ」

 

 思わず笑みも零れようというもの。

 製作者の最期の言葉まで完璧に模倣するとは。いや、天然だから、模倣ではないか。

 

「良い機会だし、そのまま語ってくれない? アンタの過去」

「……語って楽しいものになるような過去は背負っていないのだけど」

「いいじゃない。私が聞きたいから聞いてるのよ。今の言い方だと、アンタはその完璧な人間? とやらの片割れとして生み出されたって感じだけど、今のアンタ全然じゃない。その辺とか詳しく知りたいわ」

「己が至らないのは己の責だよ。なんせ己達の片割れは人間と区別がつかない程にまでたったの九百年で成長しきったし、己ではない己達の中には、己より短い稼働年月なのに情緒豊かな個体も多い」

「良いから、ここの仕様上誰も聞いていないことはわかり切ってるんだし、教えなさいよ」

 

 ……まぁ、それもそうだ。

 けれどこの辺はトップシークレットだからね。未来視、及び過去視対策をさせてもらおう。

 未だナノマシンの縦軸挙動を掴んだとは言い難い己だけど、その波の感知は既に掌中にある。

 

 どこからどこまでを足跡と取るかは君達の自由だけど、内外万包の足跡を今見せることはできないと、ただそれだけだ。

 

「〝前──歴0.122〟、己達は──という錬金術師の手の中で、──、──、──と共に生まれ出でた」

「……今の、なに? 風は全く動いていないのに……聞き取れなかった?」

「ああ、今のでも聞こえないのか。参ったな、固有名詞は言い換えが……」

「アンタが意図してやったものじゃない、ってこと?」

「そうだね。隠蔽作業は既に終えている。これは次元階位の問題だろう。……ま、適当に覚えておいてくれたらいいよ。君の魂が然るべき階位へと上がった時に思い出せば、自ずとわかるはずだから」

 

 最初にあった四存在。ただし、その内の二つはすぐに死滅した。失敗したわけじゃない。己達と片割れに命を注ぐためだけに生まれ落ちたその二つは、仕事を全うして死したのだ。

 

「その時点で製作者の命は風前の灯火だった。片割れは製作者に寄り添うことを選んだ。それが形だけのものであろうと、そうすることが特別であると知っていたから。そして己達は去ることを選んだ。それ以外の道が無いことを知っていたから」

 

 可能な限り固有名詞を避けて発話する。

 片割れの名はRESUR(リザ)。彼女はそう名付けられた。名付けられなかった己達と対比を明るくするように、片割れはその個性をぐんぐんと伸ばしていった。

 

「〝前──歴0.138〟、ついに己達と──は自由を手にする。製作者の被創造物から、寄生生命体へ。早い段階でその星に見限りをつけていた己達は、自身の半数以上を宙へと向かわせた。残りは──とその星の人類の行く末を見守るために残った。見守るとは言ったけれど、何かをすることはなかった。ただの記録用として置いていかれた、でもいい」

 

 ここがまず大きな差だ。

 己とアイメリア・フリスの。アイメリア・フリスは前者……早々に見限りを付け、宙へと旅立った存在。己はもう少しばかりあの星に残ることを選択した存在。

 

「そこから約九百年間、己達はロクな自我も有さぬままにその惑星の人類を観察し続けた。記録し続けた。どこかへ行きたいという願いを持つこと自体が特別だったから、入力の為されないそれを欲しはしなかった」

「……一つ、いい?」

「うん?」

「さっきから言ってる惑星っていうのは、この大地のことでいい、のよね?」

 

 ……ああ。

 そういえば、そうか。普段から始祖たちと話していると忘れてしまいがちだけど、樹殻が閉じて、更に賢者が人類滅亡を担ってからの教えは。

 

「正しいよ。……そうだな、少しばかり世界というものを魅せておこう。その方が話しやすい」

 

 赤雷を走らせる。 

 それはアンブロシウスで始祖二人に見せた再現映像と同じもの。

 ただし今回見せるのは、X,Y座標ではなくZ座標をずらしたもの。

 即ち。

 

「……!」

「特に怖がる必要はないよ、エンジェ。見えるかい。この黒が、そして綺羅星こそが本来の空だ。君達が見ていて然るべき空。樹殻……『忘我の繭』に浸されぬ全天」

 

 聖護星見(クライムドール)の星見とはここに由来する。未来の変質を波として感知する彼女らは、ある種何光年先で潰えた星の一生を観測するに同じ。だからそう名付けたんだ。

 広々と横たわる星海。身の竦むようなそこに輝く惑星メガリア。さらに縮尺を小さくしていけば、この惑星系が目に入ることだろう。地球の属する太陽系とはかなり様相の違う惑星系は、けれど樹殻発生以前の科学者であればどれほど畑違いであろうと大体が知っていた話。

 

「話を続けよう。結局己の話は、こことは違う、遠い遠い星々の話に過ぎないのだから」

 

 あるいは、もうとっくに星の寿命を向かえたかもしれないその星の……昔々のおとぎ話。

 原初の人格。彼が得た名前に纏わる生死の話。

 

 reverofllaF。

 ここより始まるは、語られぬ予定だった彼の、秘される意味の無い誕生秘話だ。

 

 さて──。

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