魔法使いたちの骨肉相食む血筋争いが見たい   作:reverofllaF / 永遠下降

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Sin20-1.「永昼荒野の共骸」

 そうして己達は再会を果たす。

 無論一日……というか半日ばかりの分散行動は、しかしそれぞれに新たな出会いと知識を与えたらしかった。

 中でもとびきりの出会いは、やはりこの二人だろう。

 

「……。……テン。久しいですね」

「そんな警戒しないでよ、イリスちゃん。私達は仲良し、でしょ?」

「ええ……あなたが何もしない内は、そうなります」

 

 テンと名乗る少女。聖護隊番外隊長の座を頂く、肉体強化(フィジクマギア)以上の魔法使い殺し。

 生命の次元階位が高いというわけではないのに先を見透かしたような発言を多くする──まぁ、件の稚児だ。

 

 イリスの旧友を謳う彼女への反応はまばら。一歩引いた目で見ている者もいれば、興味津々な様子の者もいる。

 惜しむらくはテンを詮索する機会というものは今後一切訪れないだろう、ということだろう。彼女自身がその隙を周囲に与えようとしない限り、そういう「無駄話」を彼女に持ち掛けることはできない。

 閑話休題(プリンシパル)。ここまでの練度のものは見たことが無いけれど、技術自体は昔流行ったものだ。それはまだ魔法が絶対的ではない時代……五千年前から四千年前にかけての暗黒期にて、魔法にとって代わるために出ていた催眠術。

 何を考えてかは知らないけれど、それを極めているらしい。無駄なことに時を費やすものだねェなんて考えてから「恐らく時など費やしていないのだろう」というところにまで辿り着いた。

 天才。あるいは傑物。アレはエンジェやスヴェナとは違った埒外の化け物なのだろうから。

 

 けれど同時に、何を今更、という感想も出る。

 ここにいる者達は揃いも揃って"そう"だろう。結局のところ単なる少女でしかなかったはずの始祖ら五人は、成長しないはずの精神をそのままに始祖たらんとあれている。己に巻き込まれる形で舞台上へと上がった聖護魔導学園の生徒たちは、それぞれに自らの運命を克己し始めている。同じく傍流になるのが関の山であった教師陣も頭角を現し終えた。

 己が望んだ展開ではないけれど、己が待ちわびた世界にはなっている。

 それを紡いでいるのは今を生きる人々だ。過去の幻想などではない。

 

「何か蟠りがあるならとっとと解消しておきなさい。魔法大戦が始まってしまった以上、身内同士のつつき合いなんて無駄でしかないんだから」

「聖護隊、かぁ。噂でしか内情を知らないなー」

「ただ、面白い、とは思えてくるな。これで俺達は正式に全家の血筋を抱えたことになるんだ、いずれ覇道天還(フラッジロード)が全世界に周知された時、そのやっかみはとんでもねぇことになりそうだよな」

「たしかにぃ。聖護隊まで抱え込んだ組織は史上初めてじゃないですかぁ? 『せぇんぱぃ』、彼女の血をちょっとだけ拝借するのはぁ」

「彼女自身に問うといい。問えるかどうかは別として」

「?」

 

 皆が俄かに騒がしくなり始めた──その瞬間。

 己、エンジェ、スヴェナ、アリス、ケニスを除いた他全員が虚ろな目になる。

 

「ああやっぱり効かないんだ。『何某さん』とエンジェちゃんは半ば予想通りだったけど、そっちの三人は意外カモ」

「……これ、なに?」

「身体の動きや目線の動きなんかで魔力にまで作用を起こす催眠術さ。精神に特別なプロテクトでもかかっていない限り、テンに宿った『先見の明』から取得された"来るであろう刻"までの無駄の一切が省略される。とはいえたかが催眠術だからねェ、ある程度の衝撃を与えてやるか解除手段を用いてやれば割と簡単に解けるものだよ」

「そう。じゃあ、解いて」

「ダッコー、お姫様」

 

 たとえばこうやって、と指を鳴らす。

 そこから大気中の魔力へ波紋が広がり、その波が皆の脳を潜り抜けていく。

 脳を揺らす……のは危ないので、脳内魔力に揺らぎを起こして強制的な目覚めを促す技術。これも自らの魔力を使わずに魔力へ干渉する技術の一つとなる。

 

「んぁ~?」

「え──あ。……イリスちゃん、この子、大丈夫?」

「また……気味の悪い技の使い手が来たみたいね……」

 

 我を取り戻して真っ先に警戒を強めるはカナビ。ぽけぽけした様子を表面に出しつつ霊視を始めたのがアナ。無言でそれぞれの対抗策を練り上げるのがイリスとシェリーで、ただ文句を言うだけなのがアンジー。

 他の面々も徐々に意識を取り戻していくけれど、始祖らほど瞬時には行かない。

 

「だからそう警戒しないでってば。悪いようにする気はないんだから。でも、全員に効かないんじゃあんまり意味無いから、これは封印かな」

「何の断りもなくおかしな術を使う方がおかしいと思いますが……」

「騒がしいのは嫌いじゃないけど、何も生まれないやりとりに意味を見出せないだけだから。でもま、効かないってことはやる意味のないことってことだろうし、久しぶりに雑談へ花を咲かせてみるよ~」

「へぇ、シャニア。君、喋れるのかい」

「はい?」

 

 ……訂正。

 やはり特異はいる。ケニスとアリスに効かなかったのはしっかりとした理由がある。ケニスは霊魂の重複から、アリスはそもそもヒトの形に留められているだけの精霊に近いから催眠術など効かない。

 エンジェとスヴェナに効かなかったのは、二人がそれぞれに「自身」を違う場所に置いているが為。絶対位置にいるエンジェと相対位置を崩さないスヴェナは他者を見逃さない。

 だからこそ今のシャニアの特異性は際立った。催眠術自体はちゃんと受けていたのに立ち直りが早い。……恐らくは彼女が何度か使った同調の魔法の影響、もしくは今の己でも計り知れない何かを有している、かな。

 

「多少の余分はね、あるだろう。己を含め、ここにいる人々には次が無い。けれど……というよりだから、余分はあっても過分はないんだよ、テン」

「ん~。それが、イリスちゃんの停滞の理由?」

「君にわからないことがあるのかな」

 

 先見の明と直観を有する騎士よ。

 纏姓の偏在者よ。

 己に問いをかける必要は、どれほどあるのだろうか。

 

「ああ……ホントだ。でも、少し懐かしいかも。視えないのにわかる感覚は、生まれた時以来」

「さっきからアンタたち何の話をしてるのよ」

「一応、私にはそれらが雑談に聞こえますが、無駄ではないというのですね」

「わ、このチビっ子結構毒舌だねー。でも、確かに貴女の言う通り。今の気付きは無駄だったけど……意味のある無駄の連続が今を作るのなら、それに身を任せてみようと思えちゃったから、色々訂正! 何より私以上の無駄嫌いだったイリスちゃんが学生生活なんて無意味の塊をしているんだもん、早めにそこへ意味を見出すべきだったなって、反省反省!」

 

 ふむ。一連の流れで多少の警戒と蟠りは生まれたかもしれないけど、これは必要な衝突だろう。

 正直彼女の参戦は己も予想外だ。というより、もっと後になると思っていた、というべきか。

 テン。彼女は「解決する者」。己のような「かき乱し、整理する者」やエンジェ、スヴェナのような「投げかける者」の反対に位置する者。

 己はともかくエンジェたちが成長中なのだから、パワーバランス的にもっと後の投入になると考えていたのだけど……これは、案外世界の方が……己の考え以上に切羽詰まっているのかもしれない。

 だとして行動を早めるつもりはないのだけどね。

 

「感動の再会はここまでとしよう。各自の発見と状況の整理を進めないと、だ」

「はい。先程風の伝達で少しばかりの擦り合わせを行いましたが、一応、この半日の間に別々の場所で似たものが発見されているという事実は憂慮すべきだと思いますので」

 

 それは既に共有を受けている。

 シェリー、スヴェナが遭遇したという『虚空龍(ヴォイドラン)』。始祖三人とガエンが遭遇したという『合成変龍(メタドラン)』。

 後者はコルリウムの手下が作り上げたもので、安置されていたそれをガエンたちが叩き起こした……というような旨を聞いているけれど、それは正解の半分でしかないだろう。

 スポットライトが当たったのだ。同タイミングになるように、わざと。

 

「ん~……まだちょっと頭がクラクラするけれどぉ~、僕たちの伝達網にも少し気になる報告があったよぉ~。過去にドラゴンの現れた土地でぇ~、大規模な魔力変動を確認した、とかってさぁ~」

「おや、シャニアに次いでの一番乗りは君か、ドクラバ・アッシュクラウン。流石だね、と言っておこう」

「じゃあありがとうと返しておくよぉ~。……それでぇ、件の土地に煤の使い魔を向かわせて、魔力周波を測ってみたんだけどねぇ~? スヴェナクンに付着していたおかしな魔力と波形が一致してねぇ~。勿論過去に……『虚空龍(ヴォイドラン)』、だったっけぇ~? それと類似した特性を持つ魔物、ドラゴンは報告されてないんだよぉ~。そこに伝えられているドラゴンは全く別の性質を持っていたからねぇ~」

 

 また……サラっととんでもないことをするものだ。

 やっていることは過去の残響から己の呼び名を割り出したことと同じだけど、今回は短期間且つ使い魔越し。彼もまだまだ成長コンテンツ、だねェ。

 

 しかし付着する魔力か。そういう作用をするナノマシン技術にはいくらか覚えがあるけれど、問題は『虚空龍(ヴォイドラン)』の操り手にそういった知識は無いはずである、という点だ。スヴェナから聞いた限りの『虚空龍(ヴォイドラン)』の動きにはまだ知性らしい知性がなかった。己と対峙した時よりかはマシになりつつあるようだけど、それでもだ。

 そんな知力で……スヴェナ程の感知能力に長けた魔法使いに気付かせず魔力を仕込む、なんてことは……うん、無理だろう。

 となると協力者がいると睨むべきだけど、果たして操り手……樹殻の協力者とは、という話になってきて。

 

 パッと考えつくのはコルリウムの魂、その輝きか。

 この世に再誕を受けたコルリウムにかつての輝きは無かった。あの時己は、樹殻に湛えられることでその輝きを掠め取られてしまう、というような考察をしたけれど……仮にそれが正であり、且つ掠め取られた輝きが意思を持つに至るなんてことがあれば、少々以上に面倒だ。

 樹殻はあくまで植物。生存本能と生理反応だけで動いている力の塊に過ぎなかった。そこにもしブレインが付いたのなら……付け入る隙になると同時に、凶悪な兵器と化す。

 可能ならば樹殻(きみ)は君のまま変貌を遂げてほしかったけれどね、なんて嘯きつつ……思考を巡らせる。

 

「『虚空龍(ヴォイドラン)』という魔物の運用可能数と代償について、かな?」

「何か意見ができるのかい、テン」

「んー。その『虚空龍(ヴォイドラン)』のサンプル、『何某さん』は持ってるんじゃない? 一目見せてくれたら、何か思いつくかも」

 

 ……良いだろう。

 

「異次相にしまってある。中で蘇生している可能性はあるけれど……君に心配は要らないね?」

「蘇生してたら、殺さない方が良いのかな?」

「殺さなければ視えないというのならその程度だね」

「わ、手厳しい。んー。んー? ……ああ待って、ここからでも充分……」

 

 己は異次相の扉すら開いていないのだけどね。

 所有者の繋がりから何かを見出したか。恐ろしいことだ。

 

「あ。……これ、まずいかも」

「代償不要、かい?」

「ざっと見た感じは。でも事実その魔物で世界が満たされているわけじゃないってことは、……ふんふん。ふむふむ。……へぇ。そのガエンって人、見張るモノは何も無いのに、ちゃんと辿り着けてる。というか……だから、そっか」

「テン。それは悪い癖だと言ったはずです。思考の中身を吐き出してください。過程をスキップする直観、その多重。恩恵を受ける分にはありがたいですが、会話の中でやるには少しばかり時間を取ります」

「えー? 最終結論を先に取得した方が楽じゃない?」

「ここにいる方々はあなたが考えつかないこと、あなたにはできないことができる方々である、と言っています」

 

 お。……珍しいものを見たな、と思ってイリス以外の四人に目をやれば、彼女たちも同じ心境のようだった。

 イリス。彼女は基本的にほとんどを知った上で行動している。彼女にとっては大体の事柄が既知であり、対等たる始祖以外にはあまり興味を向けない。"想像以上"を出せないから。

 だから……無意識なのだろうけど、彼女はほとんど他者を褒めない。口では「凄いですね」とか「称賛されるべきことだと思います」とか言うけれど、大抵本心じゃない。空気的にその言葉を吐いておくと円滑に会話が進むことを知っているから吐いているに過ぎない。

 

 けれど、今の言葉は本心だった。

 テンが嘘を見抜くから、というのもあるのかもしれないけれど……だからこそこの言葉には重みがある。

 

「ふぅん。ちょっと変わったんだね、イリスちゃん。……じゃあ、まだ最終結論じゃないけど。といっても目新しいことはないよ。結局今までの全て……"直近の古い記憶"ならディンドコンゲンスでさえも"ドラゴン出現のルール"から逃れたわけじゃなかったんだ、って話」

「……成程。確かにあの機奇械怪(メクサシネス)の出現前後じゃ大勢が死んだ。ありゃミケルのやつが作り出したモンだから関係ないと思っていたが……その形をしたものはそういう時にしか現れないってんなら、機構の方の龍型にも何か意味がある、か?」

「あんまり快い話じゃないですね。結局のところ"前"の私と今の私は別人ですから、その全てに共感できるわけじゃないですけど……元身内のあの生き様が汚されたような気がして」

「おかしな話ではあったんだよ、アリス。なんせあの時のこの星には、どの時代を見てもドラゴンの影なんかなかったんだ。だというのに彼はその想像力だけであの巨龍を作り上げた。勿論創作物としての"空飛ぶ蛇"は存在したから、そこから得られた着想の可能性もあるけれど……」

 

 彼。あの虫が気に入ったかつての天才、ミケル・レンデバラン。

 己が観測した限り、彼の作り上げた作品は、なぜか地球の童話から名前を引っ張ってきていた。あの虫が目を付けた最初の作品の製作時点では地球の関係者の誰にも出会っていなかったというのに、だ。

 その陰にはフレイメアリスがいたわけだけど、フレイメアリスはこの星の作り上げた虚構の神。地球の知識がインプットされていたかというと微妙だ。あの虫を否定するためだけに知っていたことにされた、というのはあるかもしれないけれど……むしろそれなら、そんな星は無かったことにしようと動くはずなんだよね。虫の反対を行くのが虚構の神だから。

 

 だからまぁ、快くない話であろうと、何かの影響を受けていたと考える方が自然なんだ。

 別にそれで彼の天才性や生き様が汚されるわけではないから、大目に見てほしいものだね。

 

「とすると、まずい話ではないかもしれませんね、一応。少なくと集中した大量死がなければ生贄足り得ないというのなら、無制限に『虚空龍(ヴォイドラン)』が出現する、ということではないのでしょう。逆に言えば大量死の下限値によっては効率化が見込める、ということにもなりますが……」

「全部の話を理解してるワケじゃないけど……代償不要、ただし条件が満ちるまではその魔物が生まれ落ちることはない、ってワケでいいのよね」

「それが話の全てだよ、エンジェ」

「だとしたら、今までの魔法大戦で生まれなかった理由はなに?」

 

 ……ふむ。

 確かにそうだ。ガエンの推測から割り出されたルールが正しいのなら、今までは霊魂たるドラゴンにその気が無かっただけ、ともとれるけど……にしたって出現数が少なすぎる。

 

 そも、魔物に関して己はほとんど手を付けていない。ナノマシン汚染に遭った動物たちがそのまま進化してきたものが魔物だ。

 とはいえここは『叡素励振惑星(ソフォンタイド)』。この星で生まれる命は全て情報の影響を受ける砂上の楼閣。ミケル・レンデバランにさえ影響を及ぼしていた何かがあり、それが抜けずに残っていたのなら、自然の触覚たる魔物たちが強い影響を受けていたっておかしくはない。

 

 だとすればもっと……汚染動物の時代からたくさんのドラゴンがいておかしくはないのに、数えるほどしかいない、というのは。

 

「分岐点にしか現れない、とか?」

 

 ──ん。

 

「それはどういう意味かな、エンジェ」

「だから、分岐点よ。人生の分岐点。運命の分岐点。そういうものの前にしか現れることができない、っていう……追加のルールがあるんじゃないかしら」

「『虚空龍(ヴォイドラン)』の出現にそれほど意味があったとは……。……いや」

 

 そういえば、帰ってきてからのスヴェナは、また一段と生命の次元階位を向上させている。

 共有を受けた限り『虚空龍(ヴォイドラン)』の討滅はほとんどスヴェナ単体で行ったそうだけど……シェリーでも理解できないことをしている可能性はあるな。

 

 であれば以前己の前に現れたのはなんだろう。

 あの時は勉強会の最中だった。それほど大きな分岐点とは──。

 

「私、でしょうね。私がまだ"馬鹿なアリス・フレイマグナ"だった時……低い点数を取って追放されると心に決めた時。その直後のこと、でしたから」

「仮にタイミングがそれだったとして、大量死は?」

 

 大量死はなかった。

 けれど、明日天気になあれ(ドゥマニル・テンポ・エピーロ)を食してきてすぐだったと予測している。

 

 つまり。

 

「必要な生贄は大量死じゃなくてぇ、大量の霊魂、なんですねぇ」

「今死したものでなくとも良いというのなら……やはり厄介だ。分岐点を観測する術が無い以上……。……いや」

「はい。未来視は疑似的な分岐点の監視になるでしょう。……正直な話をすると、()()()()は視る必要が無いと割り切って、視ていませんでした。『先輩』がいると視られるものも視えなくなりますし」

「なら、私も手伝ってあげる。私に未来視はないけど、騎士の血がそれを扶けるはずだから」

「……それは」

「あんまりサラっとネタバラシをしてほしくないのだけどねぇ。ま、今はどうでもいいか。頼んだよ、聖護組」

 

 騎士の一族の本来の存在意義、なんて。

 もう語られることはなかったはずの話なのにねェ。

 

「それより。──エンジェちゃん!」

「なによ、いきなり大声出して」

「今度"話し合い"をしたいな、って! 私達なら、すべての真実を見つけられると思うから!」

「……イリス、これどういう意味?」

「言葉の通りですよ、エンジェさん。今の会話の流れで、テンはあなたを認めたようですね」

「よくわからないんだけど……まぁ、話したいのなら好きにすればいいわ。でも今は忙しいから、諸々終わってからね」

 

 直観同士の話し合い。

 前に見た父親Aとエンジェの会話に似たもの……恐らくそれよりも高度な次元のものが飛び交うのだろうけれど、それをする暇はあるのかな。

 

 ま、その辺りは己が気にするべくもないか。

 それより『合成変龍(メタドラン)』の方ももう少し話を詰めたいところ……だけど。

 

「流石に気になるかな。どうしたんだい、ドクラバ・アッシュクラウン。それと意識混濁から戻ってきたドリューズ・ネクロレアニー」

 

 話の途中から、難しい顔で空を見上げ続けていた二人。

 一応天空へ感覚を張り巡らせたけど、ドラゴンのようなものが出現している気配はなかった。

 であれば。

 

「うーん。……僕の気のせいかもしれないんだけどねぇ~?」

 

 大丈夫だ、ドクラバ・アッシュクラウン。君の言葉を気のせいで終わらせる者はもういないよ。

 

「──さっきから、太陽が欠片も動いていないなぁ、って……変な観測をしちゃってさぁ~」

 

 なん、だって?

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