最初のミッション「張り子の基地」のみ。
一部AIのべりすとを使用。
作者は軍事知識は素人です。
雰囲気で読んでくれると助かります。
「…っぅ!!」
シートに押しつけられるような、そんな衝撃が体を襲う。
男の機体、F-4E『ファントム』は男の意思に従うように、ジェットエンジンを吹かせながら急激に加速していく。
「おい!!"ソラ"!!何を考えている!?本当に味方機を置いていくつもりか!?」
男の後部座席にいる野太い男の声が響く。
「あぁ、そうだ!!"ハドソン"!!味方機と同行しながら1機ずつエルジアの爆撃機を片付けていたら、この先を先行している爆撃機隊が飛行場への爆撃を始めてしまう!!実際にアレンフォート市への爆撃はこうして始まってしまったじゃないか!!なら_」
ソラと呼ばれた男はジェットエンジンのスロットルを更に入れていく。
「_単機で突っ込んで、1番先頭にいるエルジアの爆撃機を落としてしまえば、アレンフォート飛行場への爆撃は阻止できる!!そしてそれさえ阻止できれば、数機ではあるが飛行場から味方の戦闘機が空に上がってくる時間くらいは稼げるだろう!?」
ソラは吠えるように後部座席にいる男に怒鳴り、そしてソラが駆る『ファントム』も、エンジンの咆哮をさらに大きく響かせながら加速していく。
「ソラ、それは確かにそうだが…!!お前、死ぬ気か!?」
その時、『ファントム』のレーダーに機影が映る。進行方向の先、4つの敵機の機影、敵の護衛機が立ち塞がるように現れる。
「死ぬ気かだと…。ここで墜ちるつもりはない……な!!」
ソラはそう叫び、そして操縦桿を握りしめる。
「っ!!ハドソン!!」
「おう!!フレアの用意!!」
その瞬間、アラートが激しく鳴り響く。
ミサイルアラート、それも4つの光点がソラの機体に急接近する。
「っ!!」
その瞬間、ソラは操縦桿を動かし始める。
「っぅ!!ハドソン!!」
「おぅ!!任せろ!!」
ソラの機体が天地を引っくり返しながら、いわゆるバレルロールを行いながら、ソラの『ファントム』はフレアを放つ。
「__っ!!」
「__よし、ミサイル全弾回避!!」
そして、ソラ目掛けて放たれた敵機の4発のミサイルはファントムが放ったオレンジ色に輝くフレアに突っ込んでいき、事なきをえる。
「っ!!」
そして、ソラは目視でも捕らえた敵の護衛機である戦闘機、それぞれMig-21『フィッシュベッド』2機、そしてF-5E『タイガーⅡ』2機の編隊に目を細める。
敵機達はまさかソラが4発のミサイル全てをかわされるとは思わなかったのか、動揺するかのように戦闘機動を取ることなく真っ直ぐに飛行している。
「っ!!」
今だ!!
と、ソラはそう思ったのか機体のエンジンをフルスロットルで吹かす。
「っ!!」
「ぐっ!!ソラ!?」
「信じてくれ!!」
ソラはハドソンにそう叫び、そして『ファントム』はアフターバーナーを吹かしながら急加速する。
「ぐっ」
ソラは思わず顔をしかめる。
これが『ファントム』の本気。旧式とは言えども戦闘機は戦闘機。訓練兵の頃に搭乗した練習機のT-4、練習機仕様のF-5戦闘機とは比べ物にならない加速だ。
その加速力に、ソラはシートに押しつけられるようなGを感じながら、歯を食いしばって操縦桿を握る。
そしてソラは操縦桿を引き、機体を斜め左に傾けつつ急上昇していく。
「ぐっ!!」
「うぉっ!?」
ソラとハドソンは急激に襲いかかるGに思わずうめき声をあげる。
「今だ!FOX2!!FOX2!!」
そしてソラは目の前を真っ直ぐ飛んでいた敵戦闘機、F-5E『タイガーⅡ』目掛けてミサイルを1発、そうしてだめ押しの機関砲発射のスイッチを押す。
「っ!!」
「っぅ!!」
『ファントム』に走る衝撃。ミサイルが射出され、白い煙を吐き出しながら敵戦闘機へと迫り…。
「__避けられたぞ!!」
「__そんなの承知の上だ!!喰らえ!!」
そして、そのミサイルは敵機のフレアに突っ込むが、それはブラフと言わんばかりにソラの機関砲が相手のF-5戦闘機の片方のエンジンに吸い込まれるように放たれ、そのエンジンから黒い煙を吐き出させる。
「__よし!!」
「__やったな!!ソラ!!撃墜には至らんが、撃破と見て問題ない!!あれじゃあ、満足に戦えまい!!」
ソラとハドソンは後方で撃破されて、エンジンから黒煙を噴いているF-5E『タイガーII』を見て思わず笑みを漏らす。
「行け!!」
ソラは『ファントム』の機首を先頭を飛ぶ敵爆撃機TU-95に向け、そのまま一気に加速させていく。
「っ!!ソラ!!敵機が追いかけてきたぞ!!」
「ちっ!!そう簡単にはやらせてくれないか!!」
ソラはレーダー、そして顔をそちらに向けると、確かに敵機であるMig-21『フィッシュベッド』とF-5E『タイガーⅡ』のもう片方の片割れの1機が反転しながらこちらに追いかけてこようとしているのが確認できた。
だが、その時であった。
「うん、回避機動だと?」
その時、ソラを追いかけようとした敵機は突如急旋回や急上昇、急降下などの回避機動をし始めたのだ。
「何……?」
ソラが思わず疑問を抱いたその時であった。
「__ミサイルだと!?」
後方を確認していたハドソンは敵機に向けて追尾してきているミサイルがあったことを確認した。それぞれ4発、いずれも敵機の各機に向けて放たれていた。
『メビウス1!!聞こえるか!!こちらヘイロー2!!』
「っ!!」
その時、後ろに置いてきた味方機から通信が入り、ハドソンは通信に応じる。
「こちらメビウス1!!お前たちか!!」
『あぁ、そうだ!!メビウス1!!先行している爆撃機は任せた!!その間の護衛機は俺達に任せてくれ!!時間を稼いでやる!!』
『むしろ4対3なんだ!!ここで護衛機を全て落としてやる!!だから頼んだ!!』
「了解!!気をつけろよ!!お前ら!!」
ハドソンは後ろの味方機にそう叫び、そしてソラの『ファントム』を追いかけようとしていた敵機は反転し、そのままソラを追いかけるように飛行してきた友軍機であるF-5E『タイガーⅡ』2機と、ソラと同じF-4E『ファントム』2機が敵機に対してドッグファイトを仕掛け、いずれもミサイル全てを回避した敵機4機は、損傷した機を除いた敵の3機の護衛機達もそれに応じるように機首をそちらに向け、辛うじてミサイルを回避した損傷した機はこの戦域を離脱するように彼らから離れていく。
「よし、ハドソン!!今のうちに墜とすぞ!!」
「おうよ!!ミサイルの誘導は任せろ!!」
ソラは機首を敵爆撃機に向けて一気に加速させる。
「__あれだ!」
ソラは目を細める。
エルジア軍の爆撃機TU-95が2機、悠々と飛行していた。
そしてその目と鼻の先にはアレンフォート飛行場。そして離陸するために滑走路に入っていた2機の味方の戦闘機達がいる。
「__やらせるか!墜ちろ!!」
ソラはそう叫び、ミサイルの発射スイッチを押す。
「っ!!」
ソラの『ファントム』の右翼に装備された2発のミサイルが白煙を吐き出しながら、轟音と共に撃ち出される。
「ハドソン!!誘導を!!」
「おう!!もうやってる!!爆撃機の主翼の付け根のど真ん中、っててなぁ!!」
ソラの後部座席のハドソンはそう言いつつ、モニターを睨みながら小刻みに操縦桿やスイッチ等を操作して、ミサイルを敵機の主翼の付け根のど真ん中目掛けて誘導していく。
「__行けぇ!」
ハドソンの雄叫び。それは迎撃のために爆撃機の尾部機銃から放たれる機銃の弾丸を恐れることなく、放たれた2発のミサイルは敵機の主翼の付け根に吸い込まれるように飛び、そして。
「_よし!!」
「_よっしゃ!爆撃機一機撃墜!!撃墜!!」
爆撃機から閃光が2つ上がり、ミサイルの直撃を受けた爆撃機の主翼は胴体と切り離されるように引きちぎれるように折れ、そして炎を噴き出しながら機体から激しく黒煙を上げつつ高度を落としていく。
「ソラ!!」
「分かってる!!」
ハドソンのかけ声に、ソラは操縦桿を倒しもう一機の爆撃機の方に機首を向ける。
「墜ちろ!!」
そして再びミサイル発射スイッチ、また追撃の機関砲のスイッチを押して『ファントム』に火を噴かせる。
そして放たれたミサイルや機関砲の弾丸は吸い込まれるように爆撃機の胴体に襲いかかり、頑丈な胴体は閃光と共に爆発を起こし、そしてそのまま黒煙を上げながら、高度を落としていく。
「よし!!」
「やったなぁ!!ソラ!!」
撃墜を確認したソラとハドソンは笑みを浮かべあう。これで何とかぎりぎり味方飛行場への爆撃は阻止された。
『__敵爆撃機2機撃墜を確認。前席の無線が不調の中、よくやってくれたメビウス1』
そして通信機から味方のAWACS、空中警戒管制機『スカイアイ』からの通信が入り、ハドソンは『スカイアイ』に答える。
「こちらメビウス1、アレンフォート飛行場への爆撃を行おうとした爆撃機を寸前で阻止した。味方に任せた敵護衛機はどうなってる?必要であれば援護に向かうが」
『こちらスカイアイ、敵護衛機の対応は不要だ。すでに3機中2機の撃墜を確認した。現在は残存の敵のミグ1機を4機で囲いながら攻撃し続けている。撃墜も時間の問題だろう』
「了解。ならば自分達は後続の敵爆撃機編隊の対応に移る」
『こちらスカイアイ、了解した。頼んだぞ』
スカイアイからの通信はそこで切れる。
「__ソラ!!聞いたな!?後続の敵爆撃機の対応をするぞ!!」
「あぁ、分かってる!!ハドソン!!行くぞ!!」
ソラはハドソンのかけ声にそう返し、そして『ファントム』のアフターバーナーを点火させ、加速させようとする。
その時であった。
『_待ってくれ』
『_俺達も行かせてくれ』
「__っ」
「__お、この声はもしかして」
ソラはスロットルに置いた手をその場で止め、そして声の正体に気付いたハドソンが口を開く。
『_こちらアレンフォート防空飛行隊改め、オリオン隊オリオン1。基地を、そして地上にいた俺達を守ってくれてありがとう。待たせたな』
『_こちらオリオン隊のオリオン2だ。感謝する、助かった。メビウス1、これから貴機と行動を共にする。さぁ、共に敵爆撃機を墜とそう』
通信から聞こえてくる声、それは先ほど滑走路にいた2機の味方機、ソラと同じF-4E『ファントム』のパイロットの声であった。
そうして滑走路から上がってきた2機のファントム達はソラのファントムに従うよう、後方につく。
「こちらメビウス1、分かった。共に敵爆撃機編隊を墜とそう。付いてきてくれ」
『了解』
『了解だ』
ハドソンは2機のファントムパイロットに対し、無線越しにそう声をかける。
「__よし、ソラ!!行くぞ!!」
「__あぁ!!」
ハドソンのかけ声にソラはスロットルを再び前に押し出し、アフターバーナーで急加速していく。
そして『ファントム』達は後続の敵爆撃機編隊へと向けて加速していく。
「フォックス2!!」
『よし、一機撃墜!!』
『もう一息だ!!』
ソラ達のファントム達は敵爆撃機編隊に襲いかかる。護衛機達の護衛を失った爆撃機達なんぞソラ達の敵ではなかった。
そうして一機、また一機とソラのファントム達が装備しているミサイルや機関砲によって撃墜され、そして先ほどソラが任せた護衛機達を完全に排除したF-4E『ファントム』やF-5E『タイガーⅡ』の味方戦闘機達がソラ達の編隊に加わり、そして敵爆撃機達の殲滅に加わり、殲滅していった。
『__こちらスカイアイ、最後の爆撃機の撃墜を確認した』
スカイアイからの通信、それはアレンフォート飛行場への爆撃機編隊の殲滅の完了であった。
『__スカイアイへ、こちらアレンフォート。こちらでも爆撃機の撃墜を視認。撃墜したエース達に感謝する。彼らに礼を言っておいてくれ』
そうしてスカイアイの通信にアレンフォート飛行場からの通信も入る。
『こちらスカイアイ。了解した、アレンフォート飛行場。後でもう一度礼を伝えておこう。…メビウス1』
スカイアイはソラの『ファントム』に声をかけ、それにハドソンが応じる。
「こちらメビウス1、どうした?」
『今日の俺の誕生日プレゼント。この戦いの勝利というプレゼント、最高だ。ありがとう』
「おぉ」
「ははっ」
スカイアイからのその言葉にハドソン、そしてソラも思わず笑みをこぼす。
「こちらメビウス1、それはよかった。ならば来年のスカイアイのプレゼントはもっと良いものを用意しよう」
ハドソンは冗談交じりにスカイアイにそう言う。
『ほぉ、良いものか?それはなんだ?』
そしてそれにスカイアイも笑いながらそう返す。
「そうだな…。よし、それなら来年のスカイアイへの誕生日プレゼントは終戦記念日と言うことにしよう。俺達ISAF軍がエルジア軍を降伏させた日に、な。うちのソラがそう言っている」
「おい!!」
『終戦記念日か…ははっ!!』
『こりゃあ、来年が楽しみだ!』
『そうだな、そのためには来年の今日までにエルジアの首都ファーバンティまで行かないとな!』
ハドソンは陽気に笑いながら、ソラは焦ったようにハドソンの言葉にツッコミを入れ、その通信を聞いていた味方機のパイロット達は思わず笑みを浮かべる。
『はははっ、それは確かに素晴らしいプレゼントだ。…よし、期待するとしよう。メビウス1、ハドソン大尉とソラ少尉。ソラ少尉の無線が不調で使用が不可能になってしまっていた中、よくやってくれた。活躍に感謝する。帰投してくれ』
「そうだな。お仕事はお仕舞いだ。お家に帰ろう。RTB!」
「了解、帰投する。RTB」
スカイアイのその言葉にソラとハドソンはそう返し、そしてソラの『ファントム』を筆頭に味方機達もそれぞれの方向へと進路をとり、帰投していく。
こうしてアレンフォート飛行場への攻撃を防いだISAF軍の活躍により、エルジア軍のアレンフォート飛行場の無力化、並びにアレンフォート飛行場の先にあるISAF軍の総司令部のあるノースポイントへの爆撃は阻止され、ISAF軍の延命が果たされたのであった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
とある男の荒い息遣いが響く。
どこまでも広がる青い空、その大空を男は自らの機体「ファントム」で駆け抜ける。
「はぁ、はぁ……。よし」
男は満足したかのように、とあるスイッチを押すと目の前は真っ暗になり、真上から白い光が降り注ぐ。
「_シミュレータに籠るとは随分熱心だな。ソラ」
「っ!!」
男は背後から聞こえた声に思わず振り返る。
「よっ、全くこれからレクリエーションがあるって言うのに、籠りすぎて忘れたか?はっはっはっ」
「ははは……。すまん、ハドソン」
その男、ソラは乾いた笑みでそう返す。
「なぁに、別に構わんよ。ソラがサボりじゃないってのは俺が分かってるしな。本当に真面目な奴だ。まぁ、とりあえず行こうぜ?」
「あぁ、そうだな」
そうしてソラはシミュレータから降り、ヘルメットを外す。
そうしてハドソンと共に部屋を出る。
「くぅ~、海風が気持ちいいな!!ソラ!!」
「あぁ、まぁそうだな。ハドソン」
男達は船上から釣糸を垂らし、釣りをする。
ソラとハドソンが乗船している船。
それは男達、戦闘機パイロット達の海上基地。ISAF海軍のとある艦隊の艦隊旗艦である航空母艦「アルバトロス」であった。
「_お、かかったな」
そうして補給の為にとある島で停泊中であったアルバトロスの下層デッキにて、ハドソンの糸に魚が食いついたのか彼の竿が大きく揺れる。
「おっ、こいつは大物だな!!ソラ、手伝って…。あっ……」
「…ハドソン。また、やったな?」
ハドソンはソラに竿を引かせるのを手伝わさせようとするが、その直後に竿の糸はプツンと切れてしまい、海へと糸が落ちてしまう。
「すまん……」
「まぁ、良い…。ほらよ」
「おっ、ありがとな!」
ソラは呆れた表情を浮かべながら、釣り針に餌を付け直してハドソンの竿へとつけ、そうしてハドソンは再び糸を海へと垂らす。
「……」
「……」
そして男二人は黙り込んしまう。
「…初めてなような気がするな」
「…何がだ、ハドソン」
そんな沈黙を先に破ったのはハドソン。ソラの問いかけに、ハドソンは話を続ける。
「いや、こうしたプライベートな時間、こうして空の上じゃなくて、海上の上、まぁ空じゃない所で気にもとめない日常の何気ないことを話す。っていうのがさ」
「あぁ、言われてみれば確かにそうだな」
ソラもまたハドソンの言葉に納得する。
「なぁ、ソラ…。お前ってどこ出身なんだ?それにお前のその腕。新人という割には相当以上の物だと思ったが。もしかして、既に数回実戦を?」
ハドソンはソラにふとした疑問を投げかける。
「……」
ソラはその問いかけに少し考えこむ。
「ソラ?」
「あぁ、いや。そうだな……」
そうしてソラは口を開く。
「_まず自分の出身だが、自分は少し複雑での出身はロスカナス。生まれは大陸中東部の出身で、育ちはノースポイントだ。そうして成人したらロスカナスに戻って、そのまま軍に入る事になって予備役となった。そうしてロスカナスで暮らしていたら、大陸戦争が勃発。エルジア侵攻の為にそのままなし崩し的に、こうして正規の戦闘機パイロットになった。そうしてあれが初めての実戦というわけだ…。これで満足か?ハドソン」
「なるほど、そういうことだったんだな…。ソラのその腕前だが、もしかして訓練兵時代は相当優秀だったのか?」
「優秀…。そこまでではないが、まぁ凡人、平均程度だった」
「へぇ、意外だな。空のあれからしててっきりエリートだったのかと……」
「そうか。まぁ、あの頃の自分は色々と訳ありだったからな…」
ソラはハドソンの言葉にそう返し、そして再び黙る。
「そうか……」
ハドソンもまた釣糸を垂らし、そして再び沈黙が流れる。
「なぁ、ハドソン。そういうお前はどこ出身なんだ?それにあんたもあんたで、その判断力からしてそれなり以上の場数を踏んでる筈だ」
沈黙に耐えきれず、ソラはハドソンへとそう聞く。
「俺の出身か…?俺はセントアークだ」
「セントアーク…?うん、セントアークって、あのセントアークか?」
ソラはハドソンの言葉に思わずそう返す。
「あぁ、そうだ。大陸から撤退が完了したISAFの中部軍や南部軍とは違い、未だに撤退未了の北部軍が抵抗を続ける、あのセントアークだ。そして俺はそこで戦っていた」
ハドソンの言葉にソラは驚きを隠せない。
「なっ_!?ほ、本当か?あの激戦ってよく聞くセントアークで戦っていたのか?…それなら、なんでハドソンは中部に配属されたんだ?」
「あぁ、それはだな…。実はとある輸送の護衛任務で中部と北部を行ったり来たりしてたんだ。だがそのとある日、大陸中部の海岸で数多くの敵機に襲われ、そうして目的の輸送機、また仲間や味方機を逃がしきった代償として俺の『ホーネット』が撃墜され、それで俺は海に投げ出されて……。そこからまぁ、中部の友軍に救助されて、そうしてそのままの流れでこの空母のアルバトロスに臨時で配属されることになったってわけだ…!はっ、はっ、はっ!!」
ハドソンは笑い飛ばすように、そう自分の過去を話す。
「ハ、ハドソン……。そんな過去が……」
ソラはハドソンの過去を知り、言葉が出ずにいた。
「あぁ、そうだ」
そう返したハドソンの顔はどこか哀しげであった。
「……」
「……」
再び沈黙が流れる。
「…俺は早く、あそこで必死に抵抗を続ける仲間達を助けたい。無事に北部の奴らの撤退を完了させたい」
ハドソンは水平線をぼんやりと眺めながら、呟くように言う。
「それは……」
ソラはハドソンの言葉に難しそうな表情を浮かべる。
「あぁ、分かってる。小規模でありながらも連日連夜のエルジア軍による空襲に、仲間達の艦隊の戦力よりかは劣るものの、奴らの空軍海軍共同の海上封鎖、そしてその空襲や海上封鎖の包囲網は毎日少しずつではあるが、着実にセントアークやセントアーク港に対する圧迫を強めている」
ハドソンはソラの言葉に頷き、話を続ける。
「_だからこそだ。俺が北部ではなくこの中部で戦う理由というのは」
「…なるほど、中部方面で戦果を挙げれば挙げるほど、北部に圧力を加えているエルジア軍は中部に意識を向けなければならなくなる。つまりは北部での圧力を強める力が弱くなると……」
「あぁ、そういうことだ」
ハドソンはソラの言葉に頷き、そして言う。
「だから頼りにしてるぜ、ソラ。あんちゃんの腕は確かなようだ。少なくとも俺が後部座席に乗って、サポートするなんて必要はないだろうな。それどころかもしかするともっと経験を積めば、きっとエースパイロットになれるかもしれない」
ハドソンはソラに笑みを見せながらそう言う。
そんなハドソンの言葉にソラも笑みを浮かべる。
「あぁ、任せてくれハドソン。期待には答えてみせるさ」
「ははっ、そうか、ありがとうよ」
ハドソンは嬉しそうな笑みを浮かべながら水平線を眺める。そしてソラに言う。
「_どうやら俺達の次の戦いも、そろそろのようだしな」
「…というと?」
ソラはハドソンの言葉に首を傾げる。
「あぁ、先日の俺達の活躍により、敵爆撃機隊の侵入は阻止されただろう。だから総司令部はこの勝利を無駄にしないために、もう次の行動をとるということだ」
「つまり……?」
「…あぁ、ちらっと噂を耳にしたんだが、どうやら俺達の次の作戦目標は“リグリー飛行場”。_」
_エルジア軍の前線空軍基地であり、総司令部への爆撃を試みた敵軍の拠点。そうして敵の大規模爆撃機編隊が集結している中部のエルジア軍の重要拠点の一つだ。