メインはヴィクトリア家政ですね。
今回からヴィクトリア家政は出てきます。
※オリジナル設定、オリジナルキャラ要素があります。
そこら辺ご理解お願いします
大きな鰭を持つ尾をたなびかせる。真新しい傷が目立つ尾は風に当たるだけで、少し傷む。ラブカのシリオンとして生まれ、その上でラブカとしての遺伝子も濃く、それは自分に絶大な力を与えると共に、傷が治らないという体質も与えた。誇りであり汚点。
「ここかぁ…っし…やるか」
手に持った書類を確認し、今回の゛狩場゛を確認する。今回の依頼は巨大企業の社長暗殺。どうやら治安局に対して相当なコネがあるらしく、それを良く思わない治安局の幹部が多額の金を払ったらしい。これだけの金額ならば社長がムキになるのも少し分からんでもない。その依頼主からの送られた書類に指定された場所に向かった。そこは巨大な劇場であった。この巨大劇場のオーナーも務めているらしい。今日は特殊な公演があるらしく、その社長殿も出席するらしい。そこを狙う。空も暗い朝、クローズの文字を書かれた看板を確認し裏口からの侵入を試みる。裏口は薄汚れたゴミ捨て場らしく、特に手入れもさせている様子はなく、難なく侵入することに成功した。スタッフ専用の裏ルートを通りひたすらに真っ直ぐ奥の方へと進んでいった。暗く先も上手く見えないような道を進み、やがて重鎮専用の階へとつながるエレベーターを発見した。エレベーターには専用のパスがいるらしくそこで足止めを食らった。
「ちっ…そう上手くはいかねぇよな。別のルートも無さそうだしな。なんとかパスを手に入れるしかねぇ」
エレベーターのパスは専属のスタッフマンしか持っていない、そして恐らく今はスタッフルームにて管理されているだろう。スタッフルームは下の階にある。下の階へと続く階段を急いで下り、スタッフルームへと向かう。スタッフルームのドアを開け、内部の様子を確認した。人がいる気配は全くといつまでいいほどなく、肝心のパスはよほどスボラなスタッフなのか、机の上に放置されていた。
「ラッキーだったな、早いところ行こう」
先程通った道を通り再びエレベーター前に戻ってきた。エレベーターが来るまでそこそこな時間がかかった。周りの静寂が心を突き刺す。自分の鼓動がうるさく響く。もうすぐ゛狩り゛が始まる。人を殺すあの不快な感覚が蘇って来る。生臭い血の匂い。それでも殺させねばならない。やがて点灯が光りエレベーターがついたようだ。葛藤を抱えながら乗り込む。ここからは30階以上上の階。到着までの間に武器の確認を行う。片手斧が2つ。赤との黒を基調とした特注品。特にこれと言ったギミックも無く、ただの斧。しかしこれが一番しっくりくる。
「………っしゃ」
両頬を軽く叩き、その瞬間に備える。
エレベーターが目標階へと到着し、両手に斧を持ちエレベーターを降りる。広々としているホールには豪華絢爛な装飾品。壮大なシャンデリアが点灯している。人がいるのは明らかだった。ホールのど真ん中には巨大な階段があり、その先がオーナー専用ルームであった。周囲のトラップや監視カメラを確認した後、階段を駆け上がろうとするその時、
「キャハハ!!」
背後から笑い声がする、後を見るとそこには宙を舞うパペットドールがいた。そいつらは雷を纏いながらこちらめがけて突っ込んできた。
「おっと!!あっぶねぇ」
すんでのところで回避したが当たればただでは済まないのが肌で感じられる。しかし、そのドールを操っている人の姿は全く無かった。周囲の気配察知に全力を注ぐ。周囲を見渡す。するとコツコツとか階段を下る音が聞こえた。それも複数人だ、階段の方を向いた時に3人の姿が見えた。おそらく傭兵か何かだろう。手に握っていた斧を握りしめる。
「ここまでさぞ容易い道中だったでしょう」
オオカミのシリオン。艶のある毛並みと、その瞳が人格をよく表している。その服装は中世の執事服というのがシンプルな感想だ。
「あんたら、誰だ?傭兵…と言った感じもしねぇな」
オオカミのシリオンが口を開こうとするが、断念する。どうやらほかメイド服の2人が気なるようだ。一際小柄でツインテールの少女は怯えているのか緊張なのか、いつそのチェーンソーを落とすか分からない様子、もうひとりは大きな鮫の尾を持つ少女で爪をチェックしながら欠伸をしている。オオカミのシリオンはため息をし
「カリン…エレン…」
そう声をかけると、ツインテールの少女もといカリンは
「ごごご、ごめんなさい!!カリンはだめな子です…」
もうひとりの少女、エレンはカリンに近づき
「そんなことないって大丈夫だよ」
そう慰めている様子だ。オオカミのシリオンは再びこちらを向く。だが目線は少しそれている。
「リナ」
そう声をかけると、フッフッと笑い声が聞こえた。
「いつの間に…!」
そう背後を見ると、女性が立っていた。長い髪が目立ち、こちらもメイド服着ているが、それ以前に空中を浮いているのが気になる。そして彼女の周りを先ほどのドール達が舞うように飛んでいた。彼女があのドールを操っているらしい。
「ふっふっごめんなさい。あなた感が鋭いですね」
リナとい女性はオオカミのシリオンを見ると
「ライカンさん、そろそろ名乗ってはいかがですか?」
ライカンは言われなくともという顔で再びこちらを向いた。手にはめた手袋を再びはめ直し、こちらを向いた。
「失礼いたしました。我々はヴィクトリア家政です。どうぞよろしくお願い致します」
ヴィクトリア家政来たことのない名だ
「ヴィクトリア家政……か、ただの家政婦さんではなさそうだなぁ」
するとリナは説明をはじめた。
「我々は富裕層と呼ばれる方々へサービスをおこなっている組織です。ご存じ無いのも無理はありません」
再びライカンが口を開いた。俺を敵視しているのは明らかだった。
「我々はここのオーナーに雇われ護衛をおこなっています。ここ最近誰かにつけられているような感覚がすると仰っていました。周囲の方々は気の所為だと仰られていましたが、まさか本当だとは思いませんでした」
おそらく依頼主が何か雇ってつけさせていたのだろう。余程の初心者だったか、もしくはこいつらが異常なのか…どちらにせよ厄介であることに変わりはない。
「まぁそんなとこさ、俺も雇われの身でね。失敗するわけにはいけないんだよ。ここのオーナーを殺す。そんだけ」
ライカン達の目が変わる。完全に敵として見なしている。衝突は避けられないだろう。ライカンが口を開く。
「残念ですがここまでです」
ヴィクトリア家政は瞬時に配置についた。連携の取れた強いチームであることは一目瞭然である。ペインは手に握った斧を握りしめ、軽くジャンプをする。戦闘前の癖だ。大きな尾の傷はみるみるうちに開く。それに呼応するようにペインの集中力が極限に達する。これがペインの戦闘スタイル。ラブカの遺伝子の濃さ故の無せる技。
「゛狩り゛の時間だぜ…!!」
刹那、カリンが巨大なチェーンソーを持ち切り刻まんと言うばかりに接近する。体格に見合わない凄まじい速度だった。それを軽くいなし回避する、その隙を埋めんとパペット達が突っ込んできた。先ほどとは比べ物にならない一撃。もろには食らわずともその一撃により宙に浮いた。歯を食いしばる。宙に浮いた隙を狩ろうとするライカンによる蹴り。それを斧で弾き耐える。
「らちあかねぇなクソ!」
宙を舞いつつ後へ下がる。体勢を取り直し再び構える。そして
「お前らに構ってる暇はねぇ」
そう言いペインは階段を駆け上がり、オーナールームへと向かう。この劇場の重鎮専用階からさらに上がったところにオーナールームはある。さらに屋上にはヘリポートがある。ここまで用意周到ならば恐らくヘリすらも用意しているだろう。急いでいかねば恐らく逃げられる。しかし、
「行かせるかっての!」
凄まじい速度で何かが追ってきた。赤い眼光はその速さを物語っていた。エレンだ。あれだけ大きなハサミを持ちながら俺に追いついたのだ。恐らく俺と同じタイプか…
「鮫のシリオン…俺と一緒か…」
「あんたと一緒にしないでよ」
そう言い巨大なハサミを振るう。冷気を纏った刃が首元へと近づく。斧では受け止めようとすれば間に合わない。。そう判断し素手で浮き止めた。苦痛に顔が歪む。さすがに痛い。腕が焼けんばかりの痛みを訴えるが、それとは相反し視覚は冷たさを訴える。切りつけられた腕は凍っていたのだ。エレンは素手で受け止めるとは考えていなかったらしい、さすがに生きた人間の腕を切り落とすことはできなかったのか、すぐに力が抜けてしまったらしい。その隙を見計らいペインは階段を駆け上がった。エレンは驚き少し遅れをとるがすぐに追いつかんと向かってくる。やがて階段にも終わりは見えてくる。その先にはオーナーとSPが脱出の準備をしていた。オーナーは死に面したような顔でおびえている。SPはこちらに銃を向けているが初心者であるのが見てわかる。
「こっちへ来るな!!撃つぞ!!」
エレンも直に現場に到着する。その姿を見たオーナーはいきなり声を荒げて、
「お、おい!!なんとかしろ!!大金はたいて雇ったんだ!!わ、わたしに何かあったら容赦しないぞ!!」
エレンは面倒くさいと言った表情をし、ペインの顔を見つめ直す。ペインは腕の傷を抑えつつもその瞬間は一瞬であった。
カキンッ!!
エレンのハサミが弾かれ宙を舞った。その隙を逃さずに標的を狙う。しかし、パニックを起こしたSPが銃を乱射した。そしてその凶弾がエレンの方を向いた。ハサミを捕まえるために体勢を崩しているエレンは避けれる状態では無かった。凶弾がエレンの額を撃ち抜かんとしている。しかし、
ドン!!
「なんで…あんたが…」
ペインはエレンの身代わりとなり、肩を撃ち抜かれていた。苦痛に身悶え、血がじんわりと滴る。しかし、体勢を崩すこと無く体を支えきった。ペインはオーナー達を睨む。尋常ならざる殺気に気圧されたのか逃げるようにその場を去った。肩を撃ち抜かれたペインに追う気力は無く、その場を去ろうとした。その時エレンに手を引かれ止められる。
「なんであたしを助けたの?あのまま放置すれば良かったのに」
ペインは作り笑いをし
「あんたらはあいつらに雇われただけ、関係ない人間を見殺しにはできないし、何となく放っておけなかった。そんだけ」
エレンは疑いの目で
「意味わかんない。殺人鬼がそんな事考えるわけ?」
と言うが、それに対してペインは
「殺人鬼か…間違ってはねぇな。まぁそれ以前に俺は人間さ。ひとりの女の子を助けるのは間違ったことではねぇだろ。」
何より…
「人殺しなんて好きではやってねぇよ」
そう言い残し、手をヒラヒラとさせその場を去っていった。
エレンは呆然とその場に立ち止まることしかできなかった。しかしエレンにとってペインは忘れられない人物になった。そこだけは確実だった。エレンはその場でひとり、
「………名前、聞けば良かったな」
静寂のなかでひとり呟いた。
「なにやってんだよ!!お客様がカンカンだぞ!!お前の腕を期待してお前に託したのに…所詮は魚か。期待した私が馬鹿だったよ。」
うるせぇよクソ女
「もういいいよ、お前クビ」
そうかよ勝手にしろ
「まぁクビとは言っても、お前ほどの存在を野放しにはできねぇ。いつ我が社の情報を漏らすかもわかんねぇ。ここで殺す。」
やってみろよばーか
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業務報告
対エーテリアス部門主任ペイン・ラヴューの殺害に失敗。発見次第殺害をお願いする。
スカー社社長 バレル・ローズ