ウマ娘を知らない競馬ファンがライスシャワーに転生した話   作:雅媛

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4 友達がうちに遊びに来た話

 今世の私の家はちょっとしたお屋敷だ。

 和風建築の家には部屋がいくつもあり、泊りのお手伝いさん一人、通いのお手伝いさんが二人いる。両親は世界中を飛び回っているので顔を合わせるのは年に2,3回程度だ。

 他には離れという名の一軒家があり、そちらにはマルゼンスキーさんとトレーナーさんが住んでいる。

 

 お手伝いさんたちも気心知れているし、彼女らがどうしてもいないときはマルゼンスキーさんところでお世話になるので、生活には困っていない。

 人によっては他人とのかかわりが少ないと思うだろうが、元来一人で本を読んでいるのが好きな性格なものだから、寂しいと思うこともなかった。

 

 そんな生活の上に、私は現状学校にも通っていない不良不健全不登校娘なものだから、ヒトとのかかわりが極端に少なかった。

 小学校で何があったかは面倒なのであまり深くは語らないが、いじめられて、反撃して、関係各所全部に文書をばらまいたところ、大変面倒なことになったため行かなくなっただけだ。

 こちらとて金持ちの家なので関係がある議員とかまで送ったもんだから大騒ぎになったらしい。らしいというのは直接的には見ておらず後から聞いたためだ。

 学校もいまいち精神年齢が合わな過ぎて苦痛だったのもあるのであまり後悔はしていないが…… これでトレセン学園は入れるのかだけは少し心配である。

 

 そんな社会不適合者になりつつある私だったが、友達が二人もできたのだ。

 一人はメジロマックイーン、マックちゃんだ。メジロ家のお嬢様で、芦毛の美少女だ。性格は優しくてお人好しなところが結構ある。だけどトレーニングやレースに関しては結構ストイックな頑張り屋さんだ。

 もう一人はミホノブルボン、ブルボンさんだ。お父さんが元トレセン学園のトレーナーという、こちらも美少女だ。性格は情に脆くて優しい子なのだが、表情筋が基本死んでいて無表情なので何を考えているかわかりにくい。こちらもこちらでトレーニングやレースに関しては結構ストイックだ。

 

 レースを通じて知り合った二人だが、土日は大体少なくともどちらかはうちに遊びに来るし、平日もお昼過ぎぐらいに時々遊びに来る。

 私に会いに来てくれる、というのはうれしいが、本当の目的はおそらく別だろう。

 そう、うちのトレーニング施設だ。

 

 うちのトレーニング施設はなかなか立派だ。ダートとウッドチップのコースがあり、最近は坂路コースも新設された。トレセン学園でも最近作られた最新設備だ。

 土地だけは無駄に余っているうちの裏山の一部を、トレーナーさん経由でアルバイトとして雇ったトレセン学園サポート科整備部の人たちの助力を得て作られたこの坂路コース。トレセン学園のものと比べれば小規模だが、本格化前の私たちにはちょうどいい長さのコースである。前世で西高東低といわれる、栗東が強くなる原因を作ったトレーニング法だし、と思って作ってもらったのだが、予想以上に評判がいい。

 このコースを特にブルボンさんは気に入ったし、メジロ家にも通常のトレーニング設備はあるだろうが、さすがに坂路までは準備していないらしく、マックちゃんもなんだかんだで気に入ったようでよく使いに来るのだ。

 

 

「はっ、もしかしてライスは都合のいい女?」

 

「何言ってるんですかライスちゃん」

 

「お邪魔します、ライスさん」

 

「いらっしゃい、二人とも」

 

 

 自分ではなく坂路コースの方が魅力的なのでは、とか考えているうちに今日も二人が遊びに来た。

 

 

「いまからダートにする? 坂路にする? それともら、い、す?」

 

「どういう選択肢ですかそれ」

 

「迷いますね」

 

「迷うんだ……」

 

「ひとまずライスさんにします」

 

 

 そういうとブルボンさんは私を抱きしめて持ち上げた。

 

 

「きゃー、ブルボンさんにもらわれちゃう」

 

「楽しそうですね、二人とも」

 

「マックイーンさんも混ざります?」

 

「私は遠慮しておきますわ」

 

 

 そういいながら、私はブルボンさんに運ばれ、マックちゃんと一緒に居間へと移動した。

 

 ブルボンさんの服装は丈の長いレギンスにTシャツという運動できる格好だ。恐らくうちまで走ってきたのだろう。一方マックちゃんはワンピースというお出かけの服装なので着替える必要があった。

 ちなみに私もゆったりしたワンピースなので着替える必要がある。軽装の方が好きなのでシャツ一枚とかで過ごしたいが、さすがにお手伝いさんが悲しむので着ていて楽なワンピースは着るようにしていた。当然走れる恰好ではない。

 

 居間で早速着替えて私はレーシングブルマとランニングシャツという本格的な格好に、マックちゃんは白いTシャツと短パンという格好になる。

 

 

「ライスちゃん、いつもその本格的な格好ですね。何かこだわりでも?」

 

「速そうに見えない? ウマ娘で着てるの見たことないけど、陸上選手だと結構着てる人いるし」

 

 

 あまり大きな意味はない。前世の知識に引きずられているのもあり、できるだけ薄着で速そうな服を選んでいたらこんな格好になってしまった。実際こんな格好はウマ娘業界ではかなり少数派で、トゥインクルシリーズのG1以外の服装はみな白いTシャツに短パン、もしくはブルマという体操着スタイルだ。

 あとは尻尾穴を通すのが面倒なので、ローライズのブルマにすることで尻尾がブルマの上に出るようにするためとか言う理由もあったりはする。

 

 ただ、この薄くて軽くて空気抵抗が少ないから速そうな格好というのは、あまり皆に納得してもらえない。

 トゥインクルシリーズの勝負服とか重さやら空気抵抗やらを一切無視してるし、服の実用性が考慮されないのがこの世界の一般常識のようだ。

 

 

「ちょっとエッチな気がします」

 

「ブルボンさんはライスのセクシーさにやられちゃったかな」

 

 

 どや顔したが、ブルボンさんの表情は変わらずどう思っているかはよくわからなかった。

 

 まあ体にぴったりの服なので、体の線がばっちり出るのでエッチといわれるのはわからないでもない。

 とはいえ最近大きくなってきた胸やお尻をしっかり包んでくれるので変に揺れなくなって走りやすいのも気に入っている理由の一つだ。まあ揺れなんかはTシャツ短パンの下にスポーツ用の下着を着用すればいいのだが、わずかでもスピードを求めたい気持ちと、ノーパンノーブラで上下1枚ずつで完結する簡単さが個人的には気に入っていた。

 

 着替え終われば、マルゼンスキーさんのトレーナーさん特製のウォームアップである。かなり時間がかかる欠点があるが、背に腹は代えられず、ケガを防ぐには有用と聞いているので、毎回サボらず頑張っている。前世の馬で見れば、メジロマックイーンもミホノブルボンもライスシャワーも、みんな怪我で最後は終わってるからね…… 怪我はこわいんだよ。特に私の場合予後不良の怪我を負ってるし、その前の骨折も予後不良に近い怪我だったからね。

 

 

 丁寧なウォームアップを済ませた後、やっと走り始める。

 今日のメニューは三人での併走の後、坂路を数本走ることになった。

 

 

「負けませんわ」

 

「負けません」

 

 

 マックちゃんもブルボンさんも、やる気満々である。

 併走の勝率は、私:マックちゃん:ブルボンさんが大体8:1:1ぐらいのイメージだ。

 今のところ、トレーナーさんにちゃんと教えてもらいながら練習を重ねてきた分、私がそれなりに有利であり、特に併走のような純粋な実力勝負ならば早々負けることはなかった。

 

 

「ライスの勝ち~」

 

「くっ、あとちょっとでしたのに」

 

「悔しい……」

 

 

 幸い、今日も勝つことができた。レースほどではないにしても、一人で走るよりも気持ち良い汗が流せるので私としても併走は好きだった。なにより、美少女二人の悔しがる顔を見るのが楽しい。性格が悪いと言われそうなので、表には出さないし、併走やレースで勝つぐらいしか悔しがらせるようなことはやらないようにしているが。

 万が一二人に嫌われたらダメージが大きすぎるし。

 

 

 三人で、併走についてああでもないこうでもないと話しながら、残りは坂路コースを走る。

 坂路コースの良いところは、負荷をかけるのに距離があまり必要なく、また、地面にウッドチップを敷いているので脚への負荷を軽くしているところだろう。つまり、必要な練習を脚部負担少なくやれるのだ。

 その分平坦なコースを走るよりもつらいのだが……

 

 ひ~ひ~いいながらどうにか三本こなしたところで、今日のトレーニングはおしまいになった。

 

 

「今日も頑張ったね!」

 

「でもライスちゃんに負けましたし、もう一本行ってこようかしら……」

 

「やり過ぎは逆効果だよ!」

 

「……」

 

「ブルボンさんも無言で行こうとしないで!!」

 

 

 マックちゃんの軽口を真に受けて本当にもう一本行こうとしたブルボンさんを二人で止める。

 やり過ぎないメニューをトレーナーさんに考えてもらっているのだから、頑張ればいいものではない。怪我にもつながりかねないのだから、必死に止めるとブルボンさんがしょんぼりしてしまった。

 

 

「ほら、みんなでお風呂入って甘いものでも食べよ!」

 

「そうです! 休むのもまた練習ですよ!」

 

「わかりました」

 

 

 しょんぼりするブルボンさんを二人で励ましながら、そのままお風呂へと向かうのであった。

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 

 

 

 

 

 うちのお風呂は一般家庭の中では広めだが、別に数人が入れるようにできている大浴場というわけではない。

 なので3人で入ると結構狭かったりするのだが…… 何となくいつも勢いで3人で一緒に入っている。

 私としては眼福なので全然かまわない。二人ともスタイルがいいし、お互い洗いっこするのも非常に楽しい。

 面白いもので、私自身もスタイルはそれなりに良いのだが、自分の体というのは見ていても面白くないのだ。隣の芝は青く見えるものなのかもしれない。

 

 二人が洗い、一人が湯舟につかるスタイルでどうにか回るのだが、洗うのはそれなりに時間がかかる。なんせ三人とも髪が長い。これを丁寧に洗うのはそう簡単ではない。私だけだと雑に洗ってしまうのだが、それではだめだとマックちゃんによく怒られる。ブルボンさんもあまり髪を洗うのは得意ではなさそうで、時々跳ねているし、私なんかはもうぼっさぼさだが、マックちゃんはその点いつも綺麗なストレートロングだ。癖もあるかもしれないが、これが手入れの差か、といつも思ってしまう。

 

 

「もう、ライスちゃんはすぐ手を抜くんですから」

 

「にゃ~」

 

 

 マックちゃんに全身洗浄されて、私は抵抗できずになされるがままである。

 大体こんな感じでマックちゃんに私が洗われて、ブルボンさんも洗われて、マックちゃんは自分で洗って、といった感じだ。マックちゃんの負担が非常に重い。私も二人を洗ってみたいが、劣情を抑えきれるかちょっと怪しいので今のところ我慢している。

 

 マックちゃんが全身を洗っている間、私はブルボンさんに抱っこされながら湯船につかっている。

 若干狭いが、身長差が結構出てしまった関係で、膝の上に乗るとちょうどいい感じに収まる形になっている。

 

 

「ふにゅぅ」

 

「……」

 

 

 私がゆでライスになっている間、ブルボンさんは暇を持て余してよくちょっかいをかけてくる。髪をいじったり、ほっぺたを揉みしだいたり、結構お触りをしてくるのだ。

 拒否するのが面倒でいつも放置しているが…… 触って楽しいのだろうか。

 

 3人で1時間弱かけてようやくお風呂から上がる頃には日もすっかり暮れて夜になっていた。

 

 

「あ”~」

 

「変な声出さないでくださいまし」

 

 

 お風呂から上がればドライヤーで髪を乾かす時間だ。

 これも基本マックちゃんに全部やってもらっている。

 私は雑だからあまり向いてないし、ブルボンちゃんはごくまれに謎の機械トラブルに陥るので、マックちゃんの独壇場であった。

 

 

「いつもすまないねぇ、おっかさん」

 

「ライスちゃんを子供にもった覚えはないですわ」

 

「でもマックちゃんならいいお嫁さんやお母さんになれそう」

 

「誉め言葉として受け取っておきますわ」

 

 

 一応でも何でもなく褒めてるんだけどあまり伝わっていないようだった。

 実際将来絶対美人になるマックちゃん、真面目で優しいこんな子が母親とか、もうそれだけで人生勝ち組だろうと思う。

 

 そんな話をしていたら、ぽけーっとしていたブルボンさんが急にドライヤーをもって私に迫ってきた。

 時々ブルボンさんは謎に対抗心を燃やしてくるが、いいお嫁さんとかお母さんがブルボンさんの何かに刺さったのだろうか。

 

 

「私もライスさんのお手入れしてあげます」

 

「ありがと~」

 

 

 急に二人がかりになった髪を乾かす作業だが、今回はブルボンさんのドライヤーも爆発することなく無事に終わることができた。

 ポカポカふわふわになった私の髪は、結構ボリュームがある。後ろから見たら黒いミノムシか何かに見えそうなふわふわっぷりである。

 

 

「ブルボンさんもいいお嫁さんになれそうだね」

 

「ん……」

 

 

 反応は薄いが、尻尾が嬉しそうに揺れているのできっと私の発言に満足してくれているのだろう。

 

 

「何と言うか、ライスちゃんって鈍感ですよね」

 

 

 マックちゃんが呆れたようにつぶやいたのが耳に残った。

 

 

 

 お風呂のあとは、うちでご飯を食べることもあれば、そのまま帰ることもある。

 今日はご飯を食べずにお迎えが来たのでそのまま帰宅である。

 帰りはメジロ家からマックちゃんのお迎えが来てくれて、ブルボンさんも便乗して送ってもらうことが多い。ごくまれにブルボンさんのパパさんが迎えに来ることもあるが、基本はメジロ家の黒塗りの高級車だ。追突したら大変なことになりそうな高級車である。

 

 

「そういえば、メジロの車って乗り心地良さそうだよね」

 

「そうかしら? 私はいつも乗っているからよくわからないけど……」

 

「とてもいいですよ。いつも途中で眠くなってしまいます」

 

「へー、ライスも一度乗ってみたいかも」

 

「では今度はメジロ家にライスちゃんを招待しますわ。いつもお世話になってばかりですし」

 

 

 珍しくマックちゃんがおうちへ来るように誘ってくれた。

 どういう気の吹き回しだろうか。とはいえメジロ家は交流会とかパーティでしか行ったことがないので、そういうの抜きで一度行ってみたいところである。

 

 

「本当? 楽しみにしてるね」

 

「近いうちにいらしてください」

 

 

 しゃべりたいことはまだあるが、湯冷めしてもよくないし、二人を見送ることにした。

 やはり二人が来てくれると楽しいものだ。

 次はいつ来てくれるだろうか。それともメジロ家に行くのが先だろうか。

 期待に胸を膨らませながら、私は家へと戻るのであった。




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ライスシャワー(10歳)

誕生日    3月5日
身長     140cm
体重     結構むっちり
スリーサイズ B82・W56・H88

一杯食べて一杯動いたおかげで、体格がとてもよくなったウマ娘。
同年代の人と比べれば背が低いとは言い難いが、ウマ娘の中では低身長。

ウオダスもキタサトも推定中1なのに160cm前後あるし……


【挿絵表示】
運動着のイメージ

ライスシャワー(ウマ娘)の体格

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