親父が魔法少女だった 作:おれ
親父が本物の魔法少女だと判明してから一日が経った。と言っても世界は変わらず、俺もいつも通り退屈で怠惰な日常を繰り返していた。
──と言う事は無かった。つまり、アレは人生の分岐点だったと言う事だ。アレと言うのは魔法少女として親父の跡を継いだと言う事である。
Q.アレだけ否定して反抗期まで起こしたのに継いだのか?
A.気になる情報が多過ぎて聞いてたらいつの間にか継ぐしか無くなった。
だって、皆だって親父が魔法少女で、母親が世界を侵略しに来た生物兵器だなんて言われたら気になるだろ?気になるよな?な?まぁ、それだけじゃないんだけどさ。
「親父が魔法少女なのは分かったけど、親父は何の為に魔法少女になったんだ?」
大抵物事には理由がある。何故?どうして?と言うのがついて回る。ヒーローモノでは良くあるだろ?誰かを救いたいからとか皆を護りたいからとか現実でもそれは変わらないと思う。そんな素朴でありふれた疑問。
『世界を救う為だ。救わないと、好きな女と付き合えないから』
その返しもまたベタだった。のだが、そこで引っ掛かった。そう言えば母親の話って聞いたことなかったなーって思ったんだ。思えば、言わないって事は地雷な確率が高いって事だ。結果俺は地雷を踏み抜いた。
「好きな女って母さんの事か?そう言えば、母さんって俺が小さい頃に亡くなったって聞いたけどどんな人だったんだ?」
『一言で言えば生物兵器だな、この世界を侵略しに来たんだ』
「は?」
親の惚気話かと思って多少の覚悟はしていたけれど、それを容易に飛び越えるのは辞めて欲しい。なんで言葉が分かるのに理解が難しい事ばっかり言うんだよ。
「あー元ヤンみたいな?地元ではそう呼ばれてたみたいな感じね」
『そうだな、国家のお偉いさん方からは侵略兵器って呼ばれてたな。本人はどうでも良さそうだったけど、俺がムカついたから国滅ぼしかけたっけ……懐かしいな』
本当に懐かしそうな表情で語っている。きっと昔を思い出しているのだろう。
『で、二人で国を騙す為に大迫力の戦闘を繰り広げてたんだけど最後になんか他の奴らが争い合いながら、ビームを撃って……』
悲しそうな顔をしたのですぐ分かった。きっとそこで俺の母親は。
『ビビって何処かへ消えたんだよ。そのせいでご機嫌取りが大変だった、全くアイツらは魔法少女じゃないな。さっさと辞めれば良いのに』
「あ、あはは」
プリ○ュアとかで良く皆で力を合わせて戦ったり合体技が多いのはこう言う理由なのかもしれない。当人達の仲は凄く悪そうだけれど。
『あ?』
「え」
『チッ、地獄耳ババアが。聞こえてやがったのか』
《余計なお世話だよ、クソガキ》
声が響くと共に部屋が消滅した。その前に親父が変身して、脱出させてくれたから助かったけれども。
『翔太、このフリフリドレスのマジカルババアがヨハネの……あー魔法少女だ。つまり俺の仲間でありライバルだな』
《仲間?良く言うよ。お互いの邪魔しかしなかった癖にねえ》
目の前の白髪の老婆はクックッと笑うと俺と目が合った。