正直に言うと、理解不足のせいで設定&キャラ崩壊を起こしている気もします…
MS.406さんの立ち絵を見て頂ければわかるのですが、左目に包帯を巻いてるんですよね。
それを情報生命体であるDOLLSの情報が破損したせいで、失明したからだと勝手に決めつけて妄想した過去話です。
学院の構造とか、そもそもDOLLSのもろもろが曖昧なせいで違和感があるかもしれません…
あとキャラ崩壊も…
足下に広がるのは、燃え盛る都市。少し遠くには、飛行種の
私は、それらを前にして震えていました。
もちろん、武者震いとかの高尚なものというわけではなくて、恐怖からです。
他のDOLLSたちは違うのでしょうが、私は災獣を前にすると、墜とされたときの嫌な記憶が浮かんでくるのです。
通信機からは、軍人からの無責任な指示が絶え間なく聞こえてきています。
それに気を取られていると、飛行種から一筋の光が放たれました。
咄嗟に身を捩って避けようとします。
幸い私に当たることはありませんでしたが、後ろにいた姿形が私と一緒の同位体が地面へと向かって落ちていくのが見えました。
「あわわわわわ…」
それを見て怯えていると、通信機からいっそう怒気の籠った叫び声が聞こえてきます。
「気合いを入れて突撃しろ!」
「ヒィ!」
私は言われるがまま、飛行種に向かって機銃を掃射しながら距離を詰めていきます。
ですが、それに気づいた飛行種が続けざまに光線を発射してすぐに、後ろの方でいくつかの爆発音が聞こえました。
それが、私の同位体に光線が直撃した音だと理解するのは、そう難しくありません。
ある意味、聞き慣れた音。
そして、私が聞きたくない音の一つです。
◆
戦闘から戻ってきた私に待っていたのは、労いの言葉などではなく、怒号と固く握られた拳でした。
力強く振り下ろされた軍人の拳が、私の左頬にめり込みます。
「ぅあっ!」
殴られた痛みのあまり、私は声を上げました。
ですが、それを一切気にすることなく、軍人は私の顔に拳を振り下ろし続けます。
「貴様…この作戦で何体の同位体を失ったと思ってるんだ!」
軍人は、しばらく私を怒鳴りつつ殴りつけた後腕時計を一瞥して、舌打ちをしながら立ち去っていきました。
私は目に涙を浮かべながら痛む左頬をさすって、その場に立ち尽くします。
頭の中では、「なぜ」といった疑問が渦巻いていました。
なぜ、私はこんな目に遭わないといけないのか。
なぜ、私はここにいるのか。
なぜ、私は戦っているのか。
人類の存亡のために戦う。それは分かっています。それが、私たちDOLLSの使命です。
ですが、私たちが必死になって守っている人間に怒鳴られ、殴られる理由はちっとも分かりませんでした。
私が弱音を吐いているから?
私が弱いから?
私が型落ちだから?
これまでもこんな目に遭い、そしてこれからも同じことが続くと考えると、恐怖で体が震えます。
戦うことが嫌なんじゃありません。勝てないのです。
臆病な私でも、DOLLSとしての使命を全うしたいという意志はあります。
それでも敵を前にすると手は震え、足がすくむのです。
もちろん、前線に出ないことが一番なのですけど…
撃墜される恐怖は、嫌というほど体験してきました。
それでも慣れることは無くって、いつまでも怖いのです。
それは底なし沼に沈むようで、思い出したく無いほどに…
◆
あれからも私は何度も戦場に駆り出され、何度も墜とされ、そして何度も殴りつけられました。
災獣を斃すことはできていますが、それ以上に、私の心に植え付けられたトラウマは大きなものです。
私たちDOLLSは本質的に人間と異なりますが、痛みや死の恐怖が異なるというわけではありません。
しかし、軍人たちにそれを伝えたところで「言い訳」と取られて、待遇が良くなるということはないでしょう。
実際、ここに来て最初に殴られたときには、「演技」と言われた記憶があります。
結局、彼らにとってDOLLSは「兵器」であり、人に類するものでは無いのです。
むしろ、DOLLSに対して偏見を持たずに接してくる人間は稀です。
以前学連の他のDOLLSたちと会食した時に聞いた話では、『
特に、『
ですが、私がその人々と関わる機会は無いでしょう。
――そう考えながら、都市の上空を飛んでいきます。
普段と変わらない軍人の無責任な声をなるべく聞かなかったことにして、雲の上を飛ぶように気をつけました。
こうしていれば、地上にいる災獣からは雲が壁となって、私が見えないはずです。
敵を見つけたら、位置がバレないように迂回して、側面に回ってから攻撃します。
正面から立ち向かえる勇気もARMSの性能も、私にはありません。
エンジンの馬力は低いですし、武装の信頼性も高い訳では無いのです。
相手が軽型なら5,6体墜とせればそれで十分です。当たらないことだってありますし、災獣の攻撃を長い間耐えられる体でもありません。
しばらく、空中の災獣をなんとか殲滅して回っていると、足元からいくつもの光が見えました。
いつの間にか、雲の切れ間に出てしまっていたようです。
「ヒィィィ!」
叫び声を上げながら体をひねります。
――防衛種『石墨』。私が特に苦手な災獣の一体です。
空を埋め尽くすように飛んでくる光線は、避けようとしても別の光線がその先を塞いできます。
運良く避けられることもありますが、それは本当に稀です。
私の予想通り、石墨の光線の一つが顔に、そしてもう一つが左側の翼に直撃しました。
視界が強い光に包まれます。
「うあ…」
痛い熱い痛い。
痛い痛い痛い痛い熱い痛い熱い痛い痛い。
光が晴れたと思ったら、すぐに目の前が真っ暗になりました。
その恐怖で叫び声をあげます。
顔についた液体を拭って、視界を確保しようとしました。その手には、黒い液体がべっとりと付いています。
「し…視界が…」
試しに、左目を瞑ります。
視界には何の変化もありません。
反対に、右目を瞑ります。
その瞬間、私の視界は暗闇に閉ざされました。
「あ…あぁぁぁあああ!」
暗い、怖い、暗い。
光が失われたという恐怖が、私の心を突き刺してきます。
それは、災獣を目の前にしたときとは比べ物にならないものでした。
――DOLLSは情報生命体です。
そのため、いくら大きな怪我をしようと…それこそ体を真っ二つに切断されようと、その情報が破損しない限りは障害になることはありません。
そう、基の情報が破損しない限りは。
若干雲がかかっていたせいで、光線が拡散され威力が弱まったせいでしょう。
即死にはならなかったものの、むしろそのせいで、死ぬ一歩手前で生きてしまっています。
瀕死という状態は、人だろうとDOLLSだろうと一番弱い状態です。
被弾の衝撃が『MS.406』を構成する情報に傷を付け、左目の失明という結果を引き起こしたと理解することに、そう時間はかかりませんでした。
破損した左側の翼が折れて揚力を失った私は、枯れて落ちる木の葉のように、ゆっくりと回りながら地面へと落ちていきます。
そして、地面とぶつかり鈍い痛みを感じた瞬間、私の意識は上空へと引き戻されました。
「うぅ…」
同位体に意識が移る感覚も、私にとっては幾度となく経験したことです。
けれど、この感覚を何度経験しようと、慣れることはないでしょう。
先ほどまでと同じく、左目は暗いままでした。
『暗い』という表現が正しいかは分かりません。
一つ間違いなく言えることは、私の左目は役目を果たすことができなくなったということです。
同じ情報を共有するDOLLSにとって、その破損は同位体にも影響を及ぼすのです。
かといって、あの軍人が任務の中止の許可を出すことはなく、私は普段より狭くなった視界で戦うことになりました。
◆
作戦から戻った私は、いつものように軍人から怒鳴られ、殴られました。
彼にとって、私の目が見えなくなったということは何の意味もないのでしょう。
部屋に戻って鏡を見ると、私の顔の左側は焼け爛れたようになっていました。
それを隠すように、左目ごと包帯を巻いていきます。
左目を出しておく必要はありません。もう見えないのですから、出しているだけ無駄です。
――しばらくの間、私は狭くなった視界のまま戦い続けました。
当然かつてのように災獣と戦えるはずもなく、明らかに戦績は悪くなります。
ですが、私にとっては戦績なんてどうでもよくて、生き残ることに必死なのです。
ただ、軍人から殴られる回数は、戦績が悪くなるにつれて増えていきました。
ある日、習慣となった包帯を巻き直し終えた私は、机の奥にしまっておいた封筒を取り出します。
その中身を確認してから、学院の執務室へと向かいました。
執務室の扉を開けた私は、手に持っていた封筒をデスクの上に置きます。
理事長はそれを見て、少し驚いたような表情をしました。
「…ごめんなさい。私には、もう耐えられそうにありません…。左目も見えなくなって、これ以上戦い続けられるとはとても…」
「現役引退…か。」
「はい…」
そう応えると、執務室が沈黙に包まれました。
理事長がしばらく黙り込んだ後、椅子に座り直してからゆっくりと口を開きます。
「…これは預かっておこう。モラーヌ学院からMS.406の人類への貢献に最大限の敬意を。」
「預かる…?」
理事長の言葉に引っかかってそう尋ねると、彼は一呼吸置いてから再び口を開きました。
「あぁ、一つ提案をしようと思ってね。『整備会』は知っているかい?」
「整備会…ですか?以前行われた学連の会食の時に名前は…」
「ここは最後に一つ、環境を変えることを提案しようと思ってね。もちろん、無理強いはしない。ただ、これは君のためでもあることは分かって欲しい。」
「…分かりました。ただ…その…前線には…」
「ありがとう。職務範囲は警備だけにするよう書いておく。…もう少しだけ、我々のために頑張ってくれ。」
――それから数日後。
私は整備会の執務室の扉の前にいました。
正直に言えば、こんなことになるなんて思っていなかったのです。
確かに、提案を持ちかけられたとき興奮はしていました。
逸話の数々を聞いて、憧れないはずがありませんでしたから。
それでも、いざ整備会の荘厳な扉の前に立つと緊張してしまいます。
なんとか意を決した私は、首から下げた懐中時計を少し見てから、震える手で扉を開けました。
「どうもすみません、私はMS.406です、整備会はここで間違いないですよね? 今日から赴任することになりました、よろしくお願いします……それで、その、一つだけ確認したいことがあるのですが、私のここでの職務範囲は警備だけになっているのですよね? 前線に出ることはないはず……そうですよね!?」
世界観とかの設定がストーリーのどこで見れるか把握できてないよ~